説明

穀物を脱皮殻および脱胚芽するための方法および装置

本発明は、トウモロコシ粒を脱皮殻および脱胚芽するための方法および装置に関する。達成したいのは、トウモロコシの、より効率的でかつより簡単な脱胚芽である。このために、不純物除去されたトウモロコシは、湿式脱皮殻では濡らされ、次いで、脱皮殻および脱胚芽され、直接に粉砕装置に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物およびこれに類するもの、特にトウモロコシ粒を脱皮殻(Schaelen)および脱胚芽(Entkeimen)するための方法および装置に関する。
【0002】
トウモロコシ粒を脱皮殻および脱胚芽するための装置は、国際公開第89/00454号明細書に基づき公知である。この装置はステータを有しており、このステータのケーシング内には、ロータが水平方向回転可能に支承されている。このロータには、処理室の領域に少なくとも部分的に突起が配備されている。前記ステータケーシングの、処理室を制限もしくは画成している内面は、ふるい穿孔を備えたふるい落としエレメント(Durchfallelemente)を有していて、少なくとも2つの解離可能なケーシング壁部分を有している。少なくとも前記解離可能なケーシング壁部分は、それぞれ少なくとも1つの突起セグメントを有している。この突起セグメントは、ロータの回転軸線に対して半径方向で調節可能である。
【0003】
トウモロコシ粒は、まず、水および/または蒸気によって準備され、次いで、脱皮殻および脱胚芽され、皮殻なしの突離し部分(Abstoss)がふるい分けされ、さらに加工される。ふるい落し部分(Durchfall)は、別個にふるい分けされる。
【0004】
さらに、鉛直に配置されたロータを備えた、脱胚芽機械が公知である。前記ロータによる突離し部分は研磨機械内に導入され、場合によってはさらに1つのふるい分け器が両機械間に配置される。この場合、トウモロコシ粒は脱胚芽され、次いで、研磨され、吸引され、もう一度濡らされる。この後、粉砕前に10分間にわたる放置が続く。
【0005】
本発明の課題は、より高い歩留りおよび産物品質を伴うプロセスのさらなる簡略化を可能にする、トウモロコシ粒を脱皮殻および脱胚芽するための方法を提供することである。この課題は請求項1の特徴部によって解決される。不純物除去され(gereinigt)かつ濡らされたトウモロコシは脱皮殻および脱胚芽され、脱胚芽されたトウモロコシ粒は直接に加工装置/粉砕装置に供給されることができる。必要の際には、もう1つのふるい分け装置が、例えば加工装置の吸引通路内に前置されるだけである。
【0006】
これにより、プロセスガイドははるかに単純化され、設備費およびメンテナンスコストが低減され、サービスが簡単化される。驚くべきことに、歩留りおよび産物品質並びに性能を、特に乾式脱胚芽では強力に高めることができた。粗粒に粉砕する粉砕装置における機械的な手間も、顕著に減少させることができる。
【0007】
本発明の別の課題は、トウモロコシ粒を脱皮殻および脱胚芽するための装置を提供することにある。この課題は請求項6の特徴部によって解決される。当該装置は、適合可能な衝突条片を備えた加工区域と、ロータとを有している。このロータは、加工区域の長さにわたる突出部と空気スリットとを備えている。ふるいかごとロータとの間の距離は可変である。
【0008】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0009】
装置(トウモロコシ脱胚芽機械32)のステータ1はケーシング2を有している。このケーシング2は、このケーシング2内に支承されたロータ3を包囲していて、フレーム架台に組み付けられていて、これに続いている流出トリメレ(Auslauftrimelle)4によって下側に向かって開放している。この流出トリメレ4によって、胚芽と脱皮殻粉と皮殻部分とから成るふるい落し部分が導出される。
【0010】
産物流入部5からは、トウモロコシ粒が供給スクリュ10を介して加工区域6内に到達する。脱皮殻/脱胚芽中、トウモロコシ粒は、特有の加工圧力を加工区域6内に形成するために、調節可能な堰止め装置7に向かって案内される。脱胚芽されたトウモロコシ粒は、調節可能な流出開口8を通って加工区域6から出て、流出部9を介して脱胚芽機械から出る。
【0011】
加工区域6は、ステータ側では、4つの衝突条片11と2つのふるいかご半部12とによって形成される。この場合、それぞれ2つの衝突条片11が上側でステータ1に配置されていて、2つの衝突条片11が下側でステータ1に配置されており、この間にふるいかご半部12が、ロータ3を衝突条片11で軸方向において完全に取り囲むように配置されている。ロータ3は、中空軸14を備えた鋳造もしくは注型成形ローラ13から形成されている。このローラ13は、少なくとも2つの突出部15とこの突出部15に対応配置されたスリット16とを有している。これらはローラ13の周上において均等に互いに間隔を保って配置されていて、加工区域6の全長にわたって延びている。
【0012】
前記中空軸14は、空気の流出のための多数の開口17を有している。空気は、さらに、ローラ13におけるスリット16を通って加工区域6内に到達し、産物のふるい通り抜けを助成する。空気はベンチレータ20によって中空軸14内に圧入される。
【0013】
湿式脱胚芽では、不純物除去されかつ濡らされたトウモロコシは、調量器30および磁石31を介して、トウモロコシ脱胚芽機械32に供給され、この場所で脱皮殻および脱胚芽される。濡らしユニット21内の濡らしに際して粒の表面を湿らせること(皮殻を湿らせること)は、短時間しか行われない。ふるい落とし部分は皮殻および脱皮殻粉から成っており、脱胚芽されたトウモロコシ粒から成る突離し部分は、吸引通路33内に到達する。この吸引通路33内では、まだ含まれている、引き離されていない皮殻部分が、空気流内で分離される。吸引されたトウモロコシ粒は製粉機内に到達し、2つの第1の粉砕工程(B1,B2)34が、(ヨーロッパ特許第335925号明細書の教示による)中間ふるい分け(Zwischensichtung)なしに遂行される。第2の粉砕ステージ後、初めて粗粒はふるい分けされ、さらなる粉砕工程に供される。
【0014】
乾式脱胚芽では、濡らしユニット21内で粒表面を湿らすことが省略され、脱胚芽されるだけである。これにより、従来式の湿式脱胚芽と類似して、はるかにより高い歩留りが得られる。
【0015】
湿式脱胚芽では、性能を著しく高めることが可能である。産物品質は一定に保たれる。
【0016】
より小さい機械装置に基づいて、設備費を著しく低減することができ、メンテナンスコストおよびサービスの手間も低減することができる。
【0017】
本発明は、この実施例に限定されていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】装置の断面図である。
【図2】加工区域の横断面図である。
【図3】方法線図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ステータ、 2 ケーシング、 3 ロータ、 4 流出トリメレ、 5 産物流入部、 6 加工区域、 7 堰止め装置、 8 流出開口、 9 流出部、 10 供給スクリュ、 11 衝突条片、 12 ふるいかご半部、 13 ローラ、 14 中空軸、 15 突出部、 16 スリット、 17 開口、 20 ベンチレータ、 21 濡らしユニット、 30 調量器、 31 磁石、 32 トウモロコシ脱胚芽機械、 33 吸引通路、 34 粉砕工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物およびこれに類するもの、特にトウモロコシ粒を脱皮殻および脱胚芽するための方法であって、その際、粒を前もって不純物除去する方式のものにおいて、粒を直接に脱胚芽するか、または表面を湿らせた後で脱胚芽することを特徴とする、穀物を脱皮殻および脱胚芽するための方法。
【請求項2】
乾式脱胚芽では、粒を脱胚芽するだけである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
脱皮殻および/または脱胚芽を、加工区域(6)においてローラ(13)の衝突条片(11)間で行い、この場合、ローラ(13)が突出部を有している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
脱胚芽されたトウモロコシ粒を吸引し、粗粒または粉に粉砕する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
粉砕を、粉砕ステップ間の中間ふるい分けなしのダブル粉砕で開始する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
穀物、特にトウモロコシ粒を脱皮殻および脱胚芽するための装置であって、回転可能に支承されたロータが設けられており、該ロータが加工工具を備えており、ステータ(1)が設けられており、該ステータ(1)が加工工具およびふるいを有しており、該加工工具およびふるいが、加工区域(6)の形成下でロータを包囲している形式のものにおいて、ロータ(3)が中空軸(14)から成っており、該中空軸(14)が、加工区域(6)の領域において、外側のローラ(13)によって包囲されており、該ローラ(13)が、少なくとも2つの突出部(15)を有していることを特徴とする、穀物を脱皮殻および脱胚芽するための装置。
【請求項7】
前記突出部(15)が加工区域(6)にわたって延びている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記突出部(15)が、ローラ(13)の全周にわたって分配して均等に互いに間隔を保って配置されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記突出部(15)にスリット(16)が対応配置されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
中空軸(14)がベンチレータ(20)に接続されていて、加工区域(6)の領域に開口(17)を有している、請求項6記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−505389(P2006−505389A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548999(P2004−548999)
【出願日】平成15年1月27日(2003.1.27)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000061
【国際公開番号】WO2004/041434
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(501003320)ビューラー・アクチエンゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】