説明

穀物貯蔵庫

【課題】貯蔵庫本体内に対する穀物袋の出し入れを容易にする。
【解決手段】穀物貯蔵庫10では、開閉扉24が一時的に開放されて、保冷箱18内に穀物袋28が貯蔵される。さらに、クーラーユニット36によって保冷箱18内を冷却して、穀物袋28内の穀物を冷却可能にされている。ここで、クーラーユニット36が保冷箱18の下側に設けられている。このため、保冷箱18内の下面を高く配置でき、保冷箱18内の下部における穀物袋28の出し入れでも、作業者が腰をかがめて行う必要を少なくできて、保冷箱18内に対する穀物袋28の出し入れを容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物が収容された穀物袋を貯蔵可能にされた穀物貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物貯蔵庫としては、玄米が収容された紙袋を貯蔵庫内に貯蔵可能にされたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この穀物貯蔵庫では、貯蔵庫の上側に冷却機が設けられている。このため、貯蔵庫内の下面が低くなり、特に貯蔵庫内の下部における紙袋の出し入れは、作業者が腰をかがめて行う必要があって、困難になる可能性がある。
【特許文献1】特開2000−106745公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、貯蔵庫本体内に対する穀物袋の出し入れを容易にできる穀物貯蔵庫を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の穀物貯蔵庫は、前面に開口が設けられると共に、前記開口を開閉可能にされた開閉扉が設けられ、穀物が収容された穀物袋を前記開口を介して内部に貯蔵可能にされた貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の下側に設けられ、前記貯蔵庫本体内へ冷気を送風して前記貯蔵庫本体内を冷却する冷却手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の穀物貯蔵庫は、請求項1に記載の穀物貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体内の前後方向に前記穀物袋の長手方向が沿った状態で前記貯蔵庫本体内に前記穀物袋を貯蔵不能にされると共に、前記貯蔵庫本体内の前後方向に前記穀物袋の幅方向が沿った状態で前記貯蔵庫本体内に前記穀物袋を貯蔵可能にされた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の穀物貯蔵庫は、請求項1又は請求項2に記載の穀物貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体の上壁に開閉可能に設けられ、前記貯蔵庫本体の内部と外部とを連通可能にされた連通孔を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の穀物貯蔵庫では、貯蔵庫本体の前面に設けられた開口を開閉扉が開閉可能にされており、穀物が収容された穀物袋を貯蔵庫本体の開口を介して貯蔵庫本体内に貯蔵可能にされている。また、冷却手段が貯蔵庫本体内へ冷気を送風して貯蔵庫本体内を冷却することで、穀物袋に収容された穀物が冷却される。
【0009】
ここで、冷却手段が貯蔵庫本体の下側に設けられている。このため、貯蔵庫本体内の下面を高く配置することができ、貯蔵庫本体内の下部における穀物袋の出し入れでも、作業者が腰をかがめて行う必要を少なくすることができる。これにより、貯蔵庫本体内に対する穀物袋の出し入れを容易にすることができる。
【0010】
請求項2に記載の穀物貯蔵庫では、貯蔵庫本体内の前後方向に穀物袋の長手方向が沿った状態で貯蔵庫本体内に穀物袋を貯蔵不能にされると共に、貯蔵庫本体内の前後方向に穀物袋の幅方向が沿った状態で貯蔵庫本体内に穀物袋を貯蔵可能にされている。これにより、貯蔵庫本体内の前後方向に穀物袋の長手方向が沿った状態で貯蔵庫本体内に穀物袋を貯蔵可能にされた場合に比し、貯蔵庫本体内の前後方向寸法が小さくされているため、貯蔵庫本体内の上部における穀物袋の出し入れも容易になり、貯蔵庫本体内に対する穀物袋の出し入れを一層容易にすることができる。
【0011】
請求項3に記載の穀物貯蔵庫では、貯蔵庫本体の上壁に開閉可能に設けられた連通孔が、貯蔵庫本体の内部と外部とを連通可能にされている。このため、貯蔵庫本体の上側に他の貯蔵庫本体を設置して連通孔を介して各貯蔵庫本体の内部を連通することで、上側の貯蔵庫本体内へも冷気を送風することができる。これにより、貯蔵庫本体の上側のスペースを有効利用して、安価に穀物袋の貯蔵容量を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る穀物貯蔵庫10が正面図にて示されており、図2には、穀物貯蔵庫10が右方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、穀物貯蔵庫10の前方を矢印FRで示し、穀物貯蔵庫10の右方を矢印RHで示し、穀物貯蔵庫10の上方を矢印UPで示している。
【0013】
本実施の形態に係る穀物貯蔵庫10では、下部において、直方体形箱状の支持枠12が設けられており、支持枠12の上面は開口されている。
【0014】
支持枠12の下面には、各角部において、支持手段としての脚状のアジャスタ14(支持脚)が固定されており、アジャスタ14は、穀物貯蔵庫10を設置する設置面(図示省略)に対して支持枠12(穀物貯蔵庫10)を支持している。アジャスタ14は、操作可能にされており、アジャスタ14が操作されることで、アジャスタ14の長さが調整されて、アジャスタ14による支持枠12(穀物貯蔵庫10)の設置面に対する支持高さを調整可能にされている。
【0015】
支持枠12の下面には、各角部近傍において、移動手段としてのキャスタ16が回転可能に取り付けられており、キャスタ16は、アジャスタ14が操作されてアジャスタ14による支持枠12(穀物貯蔵庫10)の支持が解除された際に、支持枠12(穀物貯蔵庫10)を設置面に対して支持可能にされている。これにより、穀物貯蔵庫10は、アジャスタ14による支持が解除された際に、キャスタ16を回転させつつ、移動可能にされている。
【0016】
支持枠12の上側には、貯蔵庫本体としての直方体形箱状の保冷箱18が固定されている。保冷箱18には、本体部としての直方体形箱状の箱本体20が設けられており、箱本体20の周壁は、断熱性を有している。箱本体20の前面は開放されており、これにより、箱本体20の前面には、矩形状の開口22が形成されている。箱本体20の前側には、扉部としての矩形板状の開閉扉24が一対設けられており、開閉扉24は、断熱性を有すると共に、箱本体20の開口22の右側部分と左側部分とに配置されて開口22を閉鎖している。右側の開閉扉24は右側端において箱本体20前端の右側端に回動可能に支持されると共に、左側の開閉扉24は左側端において箱本体20前端の左側端に回動可能に支持されており、開閉扉24が回動されることで、開閉扉24が開閉されて、箱本体20の開口22を開閉可能にされている。
【0017】
保冷箱18内(箱本体20内)の下面には、板状の載置台26(例えばスノコ)が載置されており、保冷箱18内には、載置台26上において、穀物(例えば30Kgの玄米)が収容された穀物袋28を貯蔵可能にされている。
【0018】
保冷箱18内の前後方向寸法は、穀物袋28の長手方向長さに比し小さくされると共に、穀物袋28の幅方向長さ以上(穀物袋28の幅方向長さに比し大きいのが好ましい)にされており、保冷箱18内の前後方向に穀物袋28の長手方向が沿った状態で保冷箱18内に穀物袋28を貯蔵不能にされると共に、保冷箱18内の前後方向に穀物袋28の幅方向が沿った状態で保冷箱18内に前後方向へ1つの穀物袋28を貯蔵可能にされている。
【0019】
保冷箱18内の左右方向寸法は、所定数(本実施の形態では2つ)の穀物袋28の長手方向長さ以上(所定数の穀物袋28の長手方向長さに比し大きいのが好ましい)にされており、保冷箱18内の左右方向に穀物袋28の長手方向が沿った状態で保冷箱18内に左右方向へ所定数の穀物袋28を貯蔵可能にされている。
【0020】
保冷箱18内の上下方向寸法は、所定数(本実施の形態では5つ)の穀物袋28の厚さ以上(所定数の穀物袋28の厚さに比し大きいのが好ましい)にされており、保冷箱18内の上下方向に穀物袋28の厚さ方向が沿った状態で保冷箱18内に上下方向へ所定数の穀物袋28を貯蔵(積載)可能にされている。
【0021】
保冷箱18の下壁(箱本体20の下壁)には、後側端において、送冷口としての矩形柱状の送冷孔30が貫通形成されると共に、前側端において、吸冷口としての矩形柱状の吸冷孔32が貫通形成されている。保冷箱18内の後面には、案内手段としての矩形管状の冷気ダクト34が固定されており、冷気ダクト34は、送冷孔30に連通されると共に、保冷箱18内の上面近傍まで上下方向へ延伸されている。
【0022】
保冷箱18の下側(箱本体20の下側)には、冷却手段としての矩形柱状のクーラーユニット36(冷却ユニット)が設けられており、クーラーユニット36は支持枠12内に配置されている。クーラーユニット36は、送冷孔30及び吸冷孔32に連通されており、クーラーユニット36が駆動されることで、冷気が、クーラーユニット36から送冷孔30及び冷気ダクト34を介して保冷箱18内の上部に送風されると共に、保冷箱18内を降下されて吸冷孔32を介してクーラーユニット36へ吸引される。これにより、保冷箱18内を冷気が循環されて、保冷箱18内が冷却されることで、保冷箱18内に貯蔵された穀物袋28内の穀物を冷却可能にされている。また、クーラーユニット36は、所謂ノンドレン静音設計によるものにされている。
【0023】
保冷箱18の上壁(箱本体20の上壁)には、後側端において、挿通孔(予備送冷口)としての矩形柱状の予備送冷孔38が貫通形成されると共に、前側端において、挿通孔(予備吸冷口)としての矩形柱状の予備吸冷孔40が貫通形成されている。予備送冷孔38及び予備吸冷孔40は、閉塞手段としての閉塞蓋42によって閉塞されており、予備送冷孔38及び予備吸冷孔40から閉塞蓋42が離脱されることで、予備送冷孔38及び予備吸冷孔40を開放可能にされている。また、閉塞蓋42は、断熱性を有している。
【0024】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0025】
以上の構成の穀物貯蔵庫10では、保冷箱18において、開閉扉24が一時的に開放されて箱本体20の開口22が一時的に開放されることで、保冷箱18に穀物袋28を出し入れ可能にされている。さらに、クーラーユニット36によって保冷箱18内を冷気が循環されて保冷箱18内が冷却されることで、保冷箱18内に貯蔵された穀物袋28内の穀物を冷却可能にされている。
【0026】
ここで、クーラーユニット36が保冷箱18の下側に設けられている。このため、保冷箱18の下壁を高く配置することができて、保冷箱18内の下面を高く配置することができ、保冷箱18内の下部における穀物袋28の出し入れでも、作業者が腰をかがめて行う必要を少なくすることができる。これにより、保冷箱18内に対する穀物袋28の出し入れを容易にすることができる。
【0027】
さらに、保冷箱18内の前後方向に穀物袋28の長手方向が沿った状態で保冷箱18内に穀物袋28を貯蔵不能にされると共に、保冷箱18内の前後方向に穀物袋28の幅方向が沿った状態で保冷箱18内に穀物袋28を貯蔵可能にされている。これにより、保冷箱18内の前後方向に穀物袋28の長手方向が沿った状態で保冷箱18内に穀物袋28を貯蔵可能にされた場合に比し、保冷箱18内の前後方向寸法が小さくされているため、保冷箱18内の上部かつ後部に作業者の手が容易に到達可能になって、保冷箱18内の上部における穀物袋28の出し入れも容易になり(保冷箱18内の上部における穀物袋28の扱い勝手も良くなり)、保冷箱18内に対する穀物袋28の出し入れを一層容易にすることができる。
【0028】
[第2の実施の形態]
図3には、本発明の第2の実施の形態に係る穀物貯蔵庫50が右方から見た断面図にて示されている。
【0029】
本実施の形態に係る穀物貯蔵庫50は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0030】
本実施の形態に係る穀物貯蔵庫50は、保冷箱18の上側に他の所定数(例えば1つ)の保冷箱18が重設(上下方向へ設置)されており、最下の保冷箱18以外の保冷箱18内にも穀物袋28を貯蔵可能にされている。なお、最下の保冷箱18以外の保冷箱18の上下方向長さは、最下の保冷箱18の上下方向長さと異なってもよい。
【0031】
最上の保冷箱18以外の保冷箱18においては、上壁の予備送冷孔38及び予備吸冷孔40から閉塞蓋42が離脱されることで、予備送冷孔38及び予備吸冷孔40が開放されている。これにより、下側の保冷箱18の上壁の予備送冷孔38及び予備吸冷孔40がそれぞれ上側の保冷箱18の下壁の送冷孔30及び吸冷孔32に連通されて、下側の保冷箱18内と上側の保冷箱18内とが予備送冷孔38及び送冷孔30と予備吸冷孔40及び吸冷孔32とを介して連通されている。このため、最下の保冷箱18以外の保冷箱18においても、クーラーユニット36からの冷気が、下側の保冷箱18から予備送冷孔38、送冷孔30及び冷気ダクト34を介して保冷箱18内の上部に送風されると共に、保冷箱18内を降下されて吸冷孔32及び予備吸冷孔40を介して下側の保冷箱18へ送風されることで、保冷箱18内を冷気が循環されて、保冷箱18内が冷却され、保冷箱18内に貯蔵された穀物袋28内の穀物を冷却可能にされている。
【0032】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0033】
さらに、最下の保冷箱18の上側に他の所定数の保冷箱18が重設されて、各保冷箱18内が予備送冷孔38及び送冷孔30と予備吸冷孔40及び吸冷孔32とを介して連通されることで、各保冷箱18内を冷気が循環されて、各保冷箱18内が冷却され、各保冷箱18内に貯蔵された穀物袋28内の穀物を冷却可能にされている。これにより、最下の保冷箱18の上側のスペースを有効利用して、クーラーユニット36を増やすことなく安価に穀物袋28の貯蔵容量を増やすことができる。
【0034】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、保冷箱18の上壁に一対の連通孔(予備送冷孔38及び予備吸冷孔40)を貫通形成した構成としたが、保冷箱18の上壁に1つ又は3つ以上の連通孔を貫通形成した構成としてもよい。この場合、上記第2の実施の形態の如く保冷箱18の上側に他の所定数の保冷箱18を重設する際には、最下の保冷箱18以外の保冷箱18の下壁には、送冷孔30及び吸冷孔32に代えて、下側の保冷箱18の上壁における連通孔に連通可能にされた1つ又は3つ以上の貫通孔が貫通形成される。これにより、下側の保冷箱18内と上側の保冷箱18内とが連通孔及び貫通孔を介して連通されて、各保冷箱18内へ冷気を送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る穀物貯蔵庫を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る穀物貯蔵庫を示す右方から見た断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る穀物貯蔵庫を示す右方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 穀物貯蔵庫
20 保冷箱(貯蔵庫本体)
22 開口
24 開閉扉
28 穀物袋
36 クーラーユニット(冷却手段)
38 予備送冷孔(連通孔)
40 予備吸冷孔(連通孔)
50 穀物貯蔵庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が設けられると共に、前記開口を開閉可能にされた開閉扉が設けられ、穀物が収容された穀物袋を前記開口を介して内部に貯蔵可能にされた貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の下側に設けられ、前記貯蔵庫本体内へ冷気を送風して前記貯蔵庫本体内を冷却する冷却手段と、
を備えた穀物貯蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵庫本体内の前後方向に前記穀物袋の長手方向が沿った状態で前記貯蔵庫本体内に前記穀物袋を貯蔵不能にされると共に、前記貯蔵庫本体内の前後方向に前記穀物袋の幅方向が沿った状態で前記貯蔵庫本体内に前記穀物袋を貯蔵可能にされた、ことを特徴とする請求項1記載の穀物貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵庫本体の上壁に開閉可能に設けられ、前記貯蔵庫本体の内部と外部とを連通可能にされた連通孔を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の穀物貯蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−22212(P2009−22212A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188699(P2007−188699)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】