説明

穀物選別機

【課題】 粒選別機と色彩選別機とを一体的に配設しても全体構成を小型化して製造費を大幅に削減することができる穀物選別機を提供する。
【解決手段】 供給された穀粒を整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別する粒大選別部と、該粒大選別部から選別された整粒から着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去する光学選別部とを備えた穀物選別機であって、前記粒大選別部は、整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別するために筐体3a内に選別網筒6及び揚穀螺旋8を立設した上送式竪型選別部3となす一方、前記光学選別部は、前記上送式竪型選別部3により揚穀しながら粒径選別された整粒を傾斜下方に流下させて整粒に含まれる着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去するシュート式光学選別部4となした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒選別機と色彩選別機とを一体的に配設して、前工程の粒選別機により被選別物をあらかじめ精選処理した後、後工程の色彩選別機により着色粒(被害粒を含む不良米)及び異物(着色物)を選別除去し、これにより、色彩選別機への負担を軽減して選別効率を向上させることを可能とした穀物選別機は周知である。
【0003】
特許文献1には、籾摺機に、籾玄米混合粒を籾と玄米に選別する粒大選別機と色彩選別機とを一体的に並設した構成の籾摺選別装置が開示されており、これにより、色彩選別機に供給する籾の量を大幅に減少させ、色彩選別機を小型化すると共に製作費を大幅に削減することができるものである。
【0004】
特許文献2には、精米を整粒と砕粒とに選別する形状選別機と、この形状選別機で選別された整粒又は砕粒を各別に異色粒選別し得る色彩選別機とを、これらの順序で配設した精米粒選別装置が開示されている。このものは、形状選別機により精米を整粒と砕粒とに選別した後に色彩選別機で選別するので、同一工程の同時間帯内に整粒と砕粒とが同時に異色粒が除去されて正常の色の整粒と砕粒が得られ、効率のよい精米の選別ができるものである。
【0005】
特許文献3には、供給ホッパーと、石抜選別機と、精米機と、砕米選別機と、色彩選別機とを備え、少なくとも前記精米機、砕米選別機及び色彩選別機を、1つの機枠内に出し入れ自在に設置すると共に前記機枠を着脱自在のカバーで覆うことで、一体化したことを特徴とする穀物調製装置が開示されている。このものは、多くの農家が既に所有している籾摺機、風力選別機及び粒径選別機を備えていないため、穀物調製装置を小型化することができ、運搬も容易にし、さらには、各機器を出し入れ自在にすることでメンテナンスを容易にすることができるものである。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2の穀物選別機にあっては、粒選別機及び色彩選別機で発生する藁屑、籾殻、しいな及び糠埃といった塵埃の排出・除去が十分とは言えず、色彩選別機の光学検出部や制御部などに微細な塵埃が混入して故障に繋がる危険性が高くなっていた。これを解決すべく、別途バッグフィルターや送風装置などを設けることも考えられるが、大掛かりな装置に形成しなければならない。
【0007】
また、特許文献3の穀物調製装置にあっては、色彩選別機に加えて石抜選別機、精米機及び砕米選別機が備わっており、色彩選別機のみを所望する農家にとっては経済的な負担が大きくなるものである。また、上記同様、色彩選別機をクリーンな状態に保つためにバッグフィルターや送風装置を別途設ける必要があった。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−23750号公報
【特許文献2】特開昭63−218288号公報
【特許文献3】特開2005−334731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点にかんがみ、粒選別機と色彩選別機とを一体的に配設しても全体構成を小型化して製造費を大幅に削減することができ、かつ、色彩選別機の光学検出部や制御部などに微細な塵埃が混入する危険性が極めて低い穀物選別機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、供給された穀粒を整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別する粒大選別部と、該粒大選別部から選別された整粒から着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去する光学選別部とを備えた穀物選別機であって、前記粒大選別部は、整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別するために筐体内に選別網筒及び揚穀螺旋を立設した上送式竪型選別部となす一方、前記光学選別部は、前記上送式竪型選別部により揚穀しながら粒径選別された整粒を傾斜下方に流下させて整粒に含まれる着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去するシュート式光学選別部となす、という技術的手段を講じた。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、前記上送式竪型選別部の上端部に、揚上搬送された穀粒を放擲状に搬入する粒選貯留タンクを取り付け、該粒選貯留タンクの下方に前記シュート式光学選別部を配設すべく、正面視においては前記シュート式光学選別部の検知部が傾斜下方に臨むようシュート式光学選別部を傾斜配置するとともに、側面視においては前記シュート式光学選別部のシュート幅と前記粒選貯留タンクの放擲側の膨出部の幅とを略同一長さに形成するという技術的手段を講じた。
【0012】
さらに、請求項3記載の発明は、前記シュート式光学選別部の穀粒供給部となるフィーダ及びシュートを仕切り壁により仕切って、1次選別部と該1次選別部において選別・除去された着色粒又は異物などの不良粒を再選別するための2次選別部とに区画することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記上送式竪型選別部の選別網筒及び揚穀螺旋を収容する筐体内には、前記粒選貯留タンクと、前記シュート式光学選別部の1次選別部で選別された良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機と、前記1次選別部で選別・除去された不良粒を2次選別部に供給する第1不良粒揚穀機と、前記2次選別部で選別された良粒を前記粒選貯留タンクに返還する第2良粒揚穀機とを一体的に収容することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記上送式竪型選別部の筐体下部に、該上送式竪型選別部で発生する塵埃を吸引・除去すると共に、前記シュート式光学的選別部で発生する塵埃を吸引・除去するための兼用の吸引排風機を配設することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記吸引排風機の吸引口に、前記上送式竪型選別部の屑粒排出樋に連絡する吸塵管と、前記シュート式光学選別部のシュート上端近傍に連絡する吸塵管と、シュート式光学選別部のエジェクタノズル近傍に連絡する吸塵管とを分岐して接続することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、前記上送式竪型選別部の屑粒排出樋の天板に複数の通気孔を形成し、該通気孔の下方に流下板を斜設し、さらに、該流下板の下方に吸引口を形成して吸塵管に連絡することを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、前記屑粒排出樋に、屑粒排出樋内に屑粒又は未熟粒が詰まったか否かを感知する詰まり感知センサを設け、該詰まり感知センサの検知信号に基づき、吸塵管による吸引を停止さすべく、該吸塵管内に開閉可能なダンパーを設けることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、前記シュート式光学選別部に、繰出弁から落下する穀粒を受ける受板を設け、該受板とシュート上端との間に通風路を形成して、前記受板からシュート上に穀粒を落下させる構成となし、前記受板からシュート上に落下する穀粒に対して直交するように通風路に空気を通過さすべく、前記シュート式光学選別部の筐体の上部側壁に2次空気取入孔を穿設するとともに、2次空気取入孔と対向する側の側壁に前記吸塵管に連通する吸風口を設けることを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の発明は、前記シュート式光学選別部の1次選別部で選別された良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機に良粒貯留タンクを接続し、該良粒タンク下端に袋詰投入樋を延設し、該袋詰投入樋下端の供給口に、計量シャッタを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、穀粒を整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別するに際し、上送式竪型選別部の筐体の下部から供給された穀粒が揚穀螺旋により揚送されながら選別網筒によって粒径選別され、次いで、シュート式光学選別部により粒径選別された整粒が傾斜下方に流下されて整粒に含まれる着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去するものであるから、設置面積が小さく且つ製造コストが安価な粒大選別部と光学選別部とを備えた穀物選別機を提供することが可能となる。例えば、欠け米、焼け米、しらた、青未熟米及び虫食い着色粒(カメムシなどによって被害を受けた微小な黒点の存在する着色粒)などを低コストで選別・除去することができ、大規模農家や営農組合などにあって要望の高い穀物選別機の提供が可能となった。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、前記上送式竪型選別部の上端部に、揚上搬送された穀粒を放擲状に搬入する粒選貯留タンクを取り付け、該粒選貯留タンクの下方に前記シュート式光学選別部を配設すべく、正面視においては前記シュート式光学選別部の検知部が傾斜下方に臨むようシュートを傾斜配置するとともに、側面視においては前記シュート式光学選別部のシュート幅と前記粒選貯留タンクの放擲側の膨出部の幅とを略同一長さに形成したものであり、粒選貯留タンクの下方に前記シュート式光学選別部を配設する際に、側面視において粒選貯留タンクとシュート式光学選別部との間に段差が生じることなく、かつ、シュート式光学選別部の収納スペースを減少させて、穀物選別機の全体構成を小型化して省スペース化が可能となり、製造費も大幅に削減することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、1次選別部と該1次選別部において選別・除去された着色粒又は異物などの不良粒を再選別することができるシュート式光学選別部となしたから、小型でありながら高精度に着色粒又は異物などの不良粒を選別・除去することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、上送式竪型選別部の筐体内に、縦長の長尺物である第1良粒揚穀機、第1不良粒揚穀機及び第2良粒揚穀機を一体的に収容してあるから、特許文献1に記載されているように複数個の揚穀機を配設して複雑な配置構成とする必要がない。外観的にもすっきり纏まっており、籾摺工程の直後に本発明の穀物選別機を容易に設置することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、上送式竪型選別部で発生する塵埃を吸引・除去と、前記シュート式光学的選別部で発生する塵埃を吸引・除去とを1台の吸引排風機を兼用することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、前記吸引排風機の吸引口に、前記上送式竪型選別部の屑粒排出樋に連絡する吸塵管と、前記シュート式光学選別部のシュート上端近傍に連絡する吸塵管と、シュート式光学選別部のエジェクタノズル近傍に連絡する吸塵管とを分岐して接続するから、上送式竪型選別部では1ヵ所、シュート式光学選別部の供給側及びエジェクト側の2ヵ所で浮遊粉塵を吸引排除する構成であり、シュート式光学選別部の光学検出部や制御部などに浮遊粉塵が付着する虞(おそれ)が少なく、光学検出部や制御部に誤動作が生じることを防止することが可能となる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、未熟粒排出樋内で吸塵が行なわれることになり、屑粒又は未熟粒は停滞することなく流下板をスムーズに流下しながら排出させることができる。
【0027】
請求項8記載の発明によれば、屑粒排出樋内に屑粒又は未熟粒が詰まったか否かを感知する詰まり感知センサを設け、該詰まり感知センサの検知信号に基づき、吸塵管による吸引を停止さすべく、該吸塵管内に開閉可能なダンパーを設けてあるから、屑粒排出樋内に滞留した屑粒又は未熟粒が吸塵管及び吸引排風機を介して機外に排出されるおそれがない。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、繰出弁から落下する穀粒を受ける受板を設け、該受板とシュート上端との間に通風路を形成して、前記受板からシュート上に穀粒を落下させる構成となし、前記受板からシュート上に落下する穀粒に対して直交するように通風路に空気を通過させるから、穀粒に混入した塵埃をほぼ全て吸引・除去することが可能となり、シュート式光学選別部の光学検出部や制御部などに浮遊粉塵が付着する虞が極めて少なくなる。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、シュート式光学選別部の1次選別部で選別された良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機に良粒貯留タンクを接続し、該良粒タンク下端に袋詰投入樋を延設し、該袋詰投入樋下端の供給口に、計量シャッタを備えてあるから、粒径選別及び着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別除去されたものを直接計量・袋詰めすることができるため、大規模農家や営農組合などにあって要望の高い穀物選別機の提供が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係る穀物選別機の概略的な内部構造を示す図であり、図2は穀物選別機の外観を右斜め上方から見た斜視図であり、図3は左斜め上方から見た斜視図であり、図4は右側面図であり、図5は左側面図であり、図6は正面図であり、図7はシュート式光学選別部の概略図である。
【0031】
図1乃至図7において、本実施形態の穀物選別機1は、側面視がアラビア数字で略「2」の形状をしたフレームを対向状に配置した一対のフレーム2a,2b内に、全高が略2.0m、全幅が略1.0mの略直方体形状の粒大選別部3と、正面視で該粒大選別部3の上部から左下方に向けて穀粒が流れるように配置した光学選別部4とを一体的に配設したものである。
【0032】
フレーム2a,2bには所定数(本実施の形態では2個ずつ)のキャスタ2c…が設けられて、移動可能となっており、作業者が適宜なレイアウトに設置可能な構成となっている。
【0033】
粒大選別部3はその筐体3aの背面部に原料投入ホッパー5が設けられ、筐体3a内には、屑米及び未熟米と整粒とを粒径選別するための選別網筒6が立設されており、選別網筒6の上面は閉鎖され、選別網筒6内には揚穀ロール7が立設された、いわゆる上送式竪型選別部となしている。該揚穀ロール7には外周に螺旋状の揚穀螺旋8が軸装され、ギアモータ(図示せず)などの回転駆動手段により揚穀ロール7を回転させることで、原料投入ホッパー5から選別網筒6内の下部に供給された穀粒が、揚穀螺旋8の回転によって遠心力を受けつつ選別筒6内を上昇していく。
【0034】
選別網筒6には多数の選別孔9が穿設され、選別網筒6と筐体3aとの間は屑粒室10が形成されている。これにより、上述の遠心力を受けながら選別網筒6内を上昇する穀粒から屑粒(未熟粒)が多数の選別孔9を介して屑粒室10に移送することで、選別孔9の大きさにより穀粒から屑粒が除かれる。
【0035】
屑粒室10の下部は、屑粒排出樋11を介して筐体3a外に連絡されており、屑粒室10に移送された屑米が屑粒排出樋11を経て筐体3a外へ排出される。
【0036】
揚穀ロール7の上端部には、板状の掻出羽根12が所定数設けられると共に、選別網筒6の上端は、一次貯留タンクとしての粒選貯留タンク13の基端に連通しており、選別網筒6の上端まで搬送された穀粒が、掻出羽根12の回転による遠心力によって粒選貯留タンク13内に放擲状に搬入される。
【0037】
前記粒選貯留タンク13の下部には、前記粒大選別機3の正面側において左下方に向けて穀粒が流れるように配置した光学選別部4が設けられている。該光学選別部4は、いわゆるシュート式光学選別部であって、図1及び図7に示すように仕切り壁4aによって穀粒供給部となるフィーダ及びシュートを仕切って1次選別部4bと2次選別部4cとに区画されており、また、前記粒選貯留タンク13と供給シュート15との間にフィーダとしての繰出弁14が設けられ、粒選貯留タンク13に搬送された穀粒が、繰出弁14の回転によって繰り出されて、下方に流下させる傾斜状のシュート15に供給される。また、粒選貯留タンク13の下方にシュート式光学選別部4を配設すべく、正面視においてはシュート式光学選別部4の検知部が傾斜下方に臨むようシュート15を傾斜配置するとともに、側面視においてはシュート式光学選別部4のシュート幅Wと前記粒選貯留タンク13の放擲側の膨出部13aの幅Lとが略同一長さに形成されている。そして、上下方向において、粒選貯留タンク13の前面壁13bとシュート式光学選別部4の側面とが面一で配置される。
【0038】
すなわち、図4、図5及び図7に示すように、シュート式光学選別部4のシュート15の
1次選別部4b側の幅W1が約160mm、2次選別部4c側の幅W2が約80mmに形成され、シュート15の全幅Wは約240mmとなる。一方、前記粒選貯留タンク13の放擲側の膨出部13aの幅Lはシュート15の全幅Wと略同一長さに形成されている。そして、上下方向において、粒選貯留タンク13の前面壁13bに沿うよう、面一にシュート式光学選別部4が配置される。これにより、図4及び図5に示す側面視において粒選貯留タンク13とシュート式光学選別部4との間に段差が生じることなく、かつ、デッドスペースを生じることなく、シュート式光学選別部4の収納スペースが確保されており、穀物選別機1の全体構成を小型化して省スペース化が可能となり、製造費も大幅に削減することができるものとなる。なお、符号53は繰出弁14を間欠的に駆動するためのギアモータである。
【0039】
図1及び図7に示すように、シュート15は粒選貯留タンク13の下方から所定角度で傾斜して配設され、シュート15の下端に検知部26を形成している。検知部26には、該検知部26を通過する被選別物に可視光線を照射する可視光線照明器27及び近赤外線を照射する近赤外線照明器28が取り囲むように設けられ、また、被選別物からの反射光又は透過光を検知するために被選別物の流下軌跡を挟んで、表裏両面を光学的に監視するための一対のカメラ16a,16bと、該一対のカメラ16a,16bの下方に配置した選別手段としてのエジェクタノズル17が設けられている。
【0040】
エジェクタノズル17の下方には、穀粒の落下軌跡に対応した良粒排出樋18が、1次選別部用(18a)と2次選別部用(18b)とにそれぞれ設けられ、該良粒排出樋18にはエジェクタノズルで除去されなかった良粒がそのままの軌跡で落下する。一方、エジェクタノズル17の噴風方向に対向する位置には、着色粒や異物などを受ける不良粒排出樋19が1次選別部用(19a)と2次選別部用(19b)とにそれぞれ設けられ、該不良粒排出樋19内にエジェクタノズル17で選別・除去された着色粒や異物が落下する。これにより、良粒から着色粒や異物が選別・除去されることになる。
【0041】
そして、光学選別部4には、1次選別部の良粒排出樋18aに連設して良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機20と、1次選別部の不良粒排出樋19aに連設して不良粒を2次選別部に供給する第1不良粒揚穀機21と、2次選別部で選別された良粒を前記粒選貯留タンク13に返還する第2良粒揚穀機22が立設される。そして、2次選別部の不良粒排出樋19bはパイプ(図示せず)をして機外へ連絡される一方、第2良粒揚穀機22の排出樋22aからは、経路23を介して粒選貯留タンク13に返還される。そして、これら第1良粒揚穀機20、第1不良粒揚穀機21及び第2良粒揚穀機22は、前記上送式竪型選別部の筐体3a内に、一体的に収容してある。これにより、複数個の揚穀機をバラバラに配設して複雑な配置構成とすることなく、外観的にもすっきり纏めることができる。そして、本実施形態の構成により籾摺工程の直後に穀物選別機1を容易に設置することができる。
【0042】
第1良粒揚穀機20の排出樋20aには、良粒貯留タンク24が接続され、該良粒貯留タンク24下端には、穀粒の袋詰投入樋25が延設されている。該袋詰投入樋25下端の供給口には、手動で開くことができる側面視が扇状の門形状の計量シャッタ29が備えられており、例えば、大投入用シャッタ及び小投入シャッタ(いずれも図示せず)の2段シャッタが枢着される。符号30は前記計量シャッタ29に固着された把手部であり、供給口を手動で開口することができる。符号31は穀粒を穀物袋(図示せず)に誘導するための供給樋である。
【0043】
供給樋31の下方には、計量器32と、該計量器32に載置して穀物袋の開口部を開口させた状態で保持することができる袋立て器33とが設置されている。該袋立て器33は、計量器32上に載置するベース34と、その上面に所定間隔をおいて立設された一対のガイド筒35a,35bと、各ガイド筒35a,35bに下半部側が上下動自在に嵌挿された支柱36a,36bと、各支柱36a,36bの上端部に穀物袋の開口部の両端縁部を挟持するための袋挟持手段37a,37bとから構成されるものである。なお、符号38は一対のガイド筒35a,35bに設けられる、平面形状が略コ字状の袋支え部材である。
【0044】
図8は、本発明の穀物選別機の塵埃除去構造を示す概略図である。粒大選別部3の筐体3a下部には吸引排風機39が装備されており、該吸引排風機39の吸引口39aには、粒大選別部3の屑粒排出樋11に連絡する吸塵管40と、光学選別部4のシュート15上端近傍に連絡する吸塵管41と、光学選別部4のエジェクタノズル17近傍に連絡する吸塵管42とが分岐して接続されている。
【0045】
屑粒排出樋11は、天板11aに複数の小さい通気孔43を形成し、該通気孔43の下方には流下板44を斜設するとともに、該流下板44の下方に前記吸塵管40に連通する吸引口45が設けられている。そして、屑粒排出樋11には、屑粒排出樋11内に屑粒が詰まったか否かを感知する詰まり感知センサ51が設けられ、該詰まり感知センサ51の検知信号によって吸塵管40による吸引を停止すべく、該吸塵管40内には、開閉可能なダンパー52が設けられている。また、詰まり感知センサ51の検知信号によって、揚穀ロール7の回転を停止したり、前工程である籾摺機に警告を発して穀粒の供給を停止したり、過負荷であることを示す警告灯(例えば、パトライトなど)を点灯させる制御を行うことができる。
【0046】
光学選別部4のシュート15上端近傍には、繰出弁14から落下する穀粒を受ける受板46が設けられ、該受板46とシュート15上端付近との間は通風路47となし、受板46からシュート15上端付近に穀粒を供給する構成となっている。そして、光学選別部4の筐体4aの上部側壁に2次空気取入孔48を穿設するとともに、2次空気取入孔48と対向する側の側壁に前記吸塵管41に連通する吸風口49が設けられ、受板46からシュート15上端付近に落下する穀粒に対して直交するように通風路46に空気を通過させて吸塵可能な構成となっている。
【0047】
一方、光学選別部5のエジェクタノズル17近傍の筐体4aには、吸塵管42に連通する吸塵網50が設けられ、エジェクタノズル17の噴風選別作用によって生じる穀粒からの飛散浮遊粉塵を吸引排除し、光学検出部や制御部などに飛散浮遊粉塵が付着し、光学検出部や制御部に誤動作が生じることを防止している。
【0048】
以下、上記構成の穀物選別機1の作用を説明する。図示しない籾摺機から投入ホッパー5より穀粒を供給すると、揚穀ロール7に軸装された揚穀螺旋8により揚上され、選別網筒9からは屑粒、未熟粒及び塵埃が屑粒室10に排出されて選別されることになる。屑粒室10下方に落下する屑粒や未熟粒は図示しない掻出羽根によって未熟粒排出樋11(図8参照)から排出される。そして、屑粒及び未熟粒は未熟粒排出樋11の流下板44上を流下して未熟流排出樋11の先端口より排出される。このとき、吸引排風機39による吸引力が作用しているため、吸引口45から吸塵されて、屑粒又は未熟粒は停滞することなく流下板44をスムーズに流下しながら排出させることができる。
【0049】
屑粒又は未熟粒が除去された整粒は、揚穀ロール7の上端に至り、該揚穀ロール上端に設けられた掻出羽根12によって粒選貯留タンク13内に搬出される。粒選貯留タンク13からは、繰出弁14の回転によって繰り出されて、1次選別部4b側のシュート15に供給されるとともにシュート15上を滑流して検知部26に至り、検知部26では被選別物が欠け米、焼け米、しらた、青未熟米及び虫食い着色粒(カメムシなどによって被害を受けた微小な黒点の存在する着色粒)などの1次不良粒と、着色などのない1次良粒とに光学的に監視され、1次良粒と判定されたものはそのまま1次良粒排出樋18aに至り、1次不良粒と判定されたものは下方に配置したエジェクタノズル17から噴風されて偏向され、1次不良粒排出樋19aに至る。
【0050】
1次良粒排出樋18aに至った良粒は、第1良粒揚穀機20により揚穀され、排出樋20aから良粒貯留タンク24に供給される。該良粒タンク24からは、穀粒の袋詰投入樋25、計量シャッタ29を経て、例えば、30kg詰めの穀物袋(図示せず)に収容して出荷されることになる。一方、1次不良粒排出樋19aに至った着色粒などの不良粒は、第1不良粒揚穀機21を介して2次選別4c側のシュート15に供給され、上記同様検知部26によって2次不良粒と、2次良粒とに光学的に監視される。2次良粒と判定されたものはそのまま2次良粒排出樋18bに至り、第2良粒揚穀機22により揚穀されて粒選貯留タンク13に返還されて、1次選別部4bから再び選別されることになる。2次選別部4cにおいて2次不良粒と判定されたものは、不良粒排出樋19bからパイプを介して機外へ排出されることになる。
【0051】
以上のように、上送式竪型選別部の筐体3aの下部から供給された穀粒が、揚穀螺旋8により揚送されながら選別網筒9によって粒径選別され、次いで、シュート式光学選別部4により粒径選別された整粒が傾斜下方に流下されて整粒に含まれる着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去するものであるから、穀粒をいったん揚穀して粒径選別し、揚穀したものを流下させて着色粒などを光学的に選別・除去する穀物選別機の構成であり、設置面積が小さくコンパクトに纏まっており、且つ、製造コストも安価な粒大選別部と光学選別部とを備えた穀物選別機を提供することが可能となる。例えば、欠け米、焼け米、しらた、青未熟米及び虫食い着色粒(カメムシなどによって被害を受けた微小な黒点の存在する着色粒)などを低コストで選別・除去することができ、大規模農家や営農組合などにあって要望の高い穀物選別機の提供が可能となる。
【0052】
また、上送式竪型選別部の筐体3a内に、縦長の長尺物である第1良粒揚穀機20、第1不良粒揚穀機21及び第2良粒揚穀機22を一体的に収容してあるから、複数個の揚穀機をバラバラに配設して複雑な配置構成とする必要がなく、外観的にもすっきり纏まっており、籾摺工程の直後に本実施形態の穀物選別機を容易に設置することができる。
【0053】
さらに、上記穀物選別機1には、上送式竪型選別部の筐体3a下部に、該上送式竪型選別部で発生する塵埃を吸引・除去すると共に、前記シュート式光学的選別部で発生する塵埃を吸引・除去するための兼用の吸引排風機39が配設され、該吸引排風機39の吸引口39aに、上送式竪型選別部の屑粒排出樋11に連絡する吸塵管40と、前記シュート式光学選別部のシュート15上端近傍に連絡する吸塵管41と、シュート式光学選別部のエジェクタノズル17近傍に連絡する吸塵管42とに分岐して接続されており、穀物選別機1の稼動時には、上送式竪型選別部では1ヵ所、シュート式光学選別部の供給側及びエジェクト側の2ヵ所で浮遊粉塵を吸引排除する構成であり、シュート式光学選別部の光学検出部や制御部などに浮遊粉塵が付着する虞が少なく、光学検出部や制御部に誤動作が生じることを防止することが可能となる。
【0054】
そして、シュート式光学選別部には、繰出弁14から落下する穀粒を受ける受板46を設け、受板46とシュート15上端との間に通風路47を形成して、受板46からシュート上に穀粒を落下させる構成となし、受板46からシュート15上に落下する穀粒に対して直交するように通風路47に空気を流通させるから、穀粒に混入した塵埃をほぼ全て吸引・除去することが可能となり、シュート式光学選別部の光学検出部や制御部などに浮遊粉塵が付着する虞が極めて少なくなる。
【0055】
なお、シュート式光学選別部の1次選別部4bで選別された良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機20に良粒貯留タンク24を接続し、良粒タンク24下端に袋詰投入樋25を延設し、袋詰投入樋25下端の供給口に、計量シャッタ29を備えてあるから、粒径選別及び着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別除去されたものを直接計量・袋詰めすることができるため、大規模農家や営農組合などにあって要望の高い穀物選別機の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る穀物選別機の概略的な内部構造を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る穀物選別機の外観を左斜め上方から見た斜視図である。
【図3】穀物選別機の外観を右斜め上方から見た斜視図である。
【図4】穀物選別機の右側面図である。
【図5】穀物選別機の左側面図である。
【図6】穀物選別機の正面図である。
【図7】穀物選別機のシュート式光学選別部の概略図である。
【図8】本発明の穀物選別機の塵埃除去構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1 穀物選別機
2 フレーム
3 粒大選別部(上送式竪型選別部)
4 光学選別部(シュート式光学選別部)
5 原料投入ホッパ
6 選別網筒
7 揚穀ロール
8 揚穀螺旋
9 選別孔
10 屑粒室
11 屑粒排出樋
12 掻出羽根
13 粒選貯留タンク
14 繰出弁
15 供給シュート
16 カメラ
17 エジェクタノズル
18 良粒排出樋
19 不良粒排出樋
20 第1良粒揚穀機
21 第1不良粒揚穀機
22 第2良粒揚穀機
23 経路
24 良粒貯留タンク
25 袋詰投入樋
26 検知部
27 可視光線照明器
28 近赤外線照明器
29 計量シャッタ
30 把手部
31 供給樋
32 計量器
33 袋立て器
34 ベース
35 ガイド筒
36 支柱
37 袋挟持手段
38 袋支え部材
39 吸引排風機
40 吸塵管
41 吸塵管
42 吸塵管
43 通気孔
44 流下板
45 吸引口
46 受板
47 通風路
48 2次空気取入孔
49 吸風口
50 吸塵網
51 詰まり感知センサ
52 ダンパー
53 ギアモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された穀粒を整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別する粒大選別部と、該粒大選別部から選別された整粒から着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去する光学選別部とを備えた穀物選別機であって、
前記粒大選別部は、整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別するために筐体内に選別網筒及び揚穀螺旋を立設した上送式竪型選別部となす一方、前記光学選別部は、前記上送式竪型選別部により揚穀しながら粒径選別された整粒を傾斜下方に流下させて整粒に含まれる着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去するシュート式光学選別部となしたことを特徴とする穀物選別機。
【請求項2】
前記上送式竪型選別部の上端部に、揚上搬送された整粒を放擲状に搬入する粒選貯留タンクを取り付け、該粒選貯留タンクの下方に前記シュート式光学選別部を配設すべく、正面視においては前記シュート式光学選別部の検知部が傾斜下方に臨むようにシュート式光学選別部を傾斜配置するとともに、側面視においては前記シュート式光学選別部のシュート幅と前記粒選貯留タンクの放擲側の膨出部の幅とを略同一長さに形成してなる請求項1記載の穀物選別機。
【請求項3】
前記シュート式光学選別部は、穀粒供給部となるフィーダ及びシュートを仕切り壁により仕切って、1次選別部と該1次選別部において選別・除去された着色粒又は異物などの不良粒を再選別するための2次選別部とに区画してなる請求項1又は2記載の穀物選別機。
【請求項4】
前記上送式竪型選別部の選別網筒及び揚穀螺旋を収容する筐体内には、前記粒選貯留タンクと、前記シュート式光学選別部の1次選別部で選別された良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機と、前記1次選別部で選別・除去された不良粒を2次選別部に供給する第1不良粒揚穀機と、前記2次選別部で選別された良粒を前記粒選貯留タンクに返還する第2良粒揚穀機とを一体的に収容してなる請求項1から3のいずれかに記載の穀物選別機。
【請求項5】
前記上送式竪型選別部の筐体下部には、該上送式竪型選別部で発生する塵埃を吸引・除去すると共に、前記シュート式光学的選別部で発生する塵埃を吸引・除去するための兼用の吸引排風機を配設してなる請求項1から4のいずれかに記載の穀物選別機。
【請求項6】
前記吸引排風機の吸引口には、前記上送式竪型選別部の屑粒排出樋に連絡する吸塵管と、前記シュート式光学選別部のシュート上端近傍に連絡する吸塵管と、シュート式光学選別部のエジェクタノズル近傍に連絡する吸塵管とを分岐して接続してなる請求項5記載の穀物選別機。
【請求項7】
前記上送式竪型選別部の屑粒排出樋は、その天板に複数の通気孔を形成し、該通気孔の下方に流下板を斜設し、さらに、該流下板の下方に吸引口を形成して吸塵管に連絡してなる請求項6記載の穀物選別機。
【請求項8】
前記屑粒排出樋には、屑粒排出樋内に屑粒又は未熟粒が詰まったか否かを感知する詰まり感知センサを設け、該詰まり感知センサの検知信号に基づき、吸塵管による吸引を停止さすべく、該吸塵管内に開閉可能なダンパーを設けてなる請求項6又は7記載の穀物選別機。
【請求項9】
前記シュート式光学選別部には、繰出弁から落下する穀粒を受ける受板を設け、該受板とシュート上端との間に通風路を形成して、前記受板からシュート上に穀粒を落下させる構成となし、前記受板からシュート上に落下する穀粒に対して直交するように通風路に空気を通過さすべく、前記シュート式光学選別部の筐体の上部側壁に2次空気取入孔を穿設するとともに、2次空気取入孔と対向する側の側壁に前記吸塵管に連通する吸風口を設けてなる請求項5から8に記載のいずれかの穀物選別機。
【請求項10】
前記シュート式光学選別部の1次選別部で選別された良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機には、良粒貯留タンクが接続され、該良粒貯留タンク下端に袋詰投入樋を延設し、該袋詰投入樋下端の供給口に、計量シャッタを備えてなる請求項4から9のいずれかに記載の穀物選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−142678(P2010−142678A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319418(P2008−319418)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】