空気入りタイヤ
【課題】雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を従来レベル以上に向上するようにした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部にタイヤ周方向の周方向溝1と幅方向の横溝2により区画された複数の陸部3を有し、少なくとも1つの陸部3に環状サイプ4を有し、環状サイプ4に囲まれた陸部5の一部の表面を環状サイプ4に向かって傾斜させた少なくとも1つの内側傾斜面7と、環状サイプ4の外周に沿う陸部6の一部の表面を環状サイプ4に向かって傾斜させた少なくとも1つの外側傾斜面8とを有すると共に、内側傾斜面7と外側傾斜面8とが互いに対向しないように配置し、内側傾斜面7、外側傾斜面8の一方の環状サイプの端部7e,8eとこれに対向する環状サイプの他方の端部6e,5eとの間に段差9を形成させたことを特徴とする。
【解決手段】トレッド部にタイヤ周方向の周方向溝1と幅方向の横溝2により区画された複数の陸部3を有し、少なくとも1つの陸部3に環状サイプ4を有し、環状サイプ4に囲まれた陸部5の一部の表面を環状サイプ4に向かって傾斜させた少なくとも1つの内側傾斜面7と、環状サイプ4の外周に沿う陸部6の一部の表面を環状サイプ4に向かって傾斜させた少なくとも1つの外側傾斜面8とを有すると共に、内側傾斜面7と外側傾斜面8とが互いに対向しないように配置し、内側傾斜面7、外側傾斜面8の一方の環状サイプの端部7e,8eとこれに対向する環状サイプの他方の端部6e,5eとの間に段差9を形成させたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を従来レベル以上に向上するようにした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
雪氷路走行に用いるスタッドレスタイヤなどの冬用タイヤや、オールシーズンタイヤには、雪氷路走行時の駆動性能、制動性能及び旋回性能等の操縦安定性が優れることが求められている。従来、図11,12に示すように、トレッド部に周方向溝1とラグ溝を含む横溝2により区画されたブロックやリブからなる陸部3を設け、この陸部3に複数のサイプ15,16を形成することにより、陸部の柔軟性を高めて実接地面積を増加させると共に、これらサイプ15,16のエッジによる引っ掻き作用により雪上での操縦安定性(雪上性能)を確保するようにしている。この雪上性能は、サイプ15,16の長さや本数などを調節しスノートラクション成分を増加させることにより改良することができる。しかしながら、このような従来のサイプでは、タイヤ周方向のトラクションは高いものの、タイヤ幅方向のトラクションが低くなり、雪上・氷上での旋回時の操縦安定性が十分に得られなかった。
【0003】
このため、特許文献1,2は、図13,14に示すように、円形の環状サイプ17と十字サイプ18とを組み合わせたサイプや、六角形の環状サイプを連ねたハニカム状サイプ19を配置すること提案している。特許文献1,2に記載されたサイプは、従来のサイプ15,16と比べ雪氷路走行時の駆動性能、制動性能及び旋回性能等の操縦安定性を改良する作用が認められるが、これらの改良効果は必ずしも十分でなく、さらなる雪氷性能の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347468号公報
【特許文献2】特開2010−274800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を従来レベル以上に向上するようにした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向へ延びる複数本の周方向溝とタイヤ幅方向へ延びる複数本の横溝により区画された複数の陸部をトレッド部に有する空気入りタイヤにおいて、前記陸部の少なくとも1つに環状サイプを有し、該環状サイプに囲まれた陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの内側傾斜面と、前記環状サイプの外周に沿う陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの外側傾斜面とを有すると共に、前記内側傾斜面と外側傾斜面とを互いに対向させないように配置し、前記内側傾斜面、外側傾斜面の一方の環状サイプの端部とこれに対向する環状サイプの他方の端部との間に段差を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部の陸部に環状サイプを配置し、この環状サイプに囲まれた陸部をトレッド表面と同じ高さの領域と環状サイプに向かって低くなるように傾斜させた内側傾斜面とで構成し、環状サイプの外周に沿う陸部をトレッド表面と同じ高さの領域と環状サイプに向かって低くなるように傾斜させた外側傾斜面とで構成すると共に、これら内側傾斜面と外側傾斜面とを互いに対向させないようにずらせて配置させることにより、内側傾斜面の環状サイプの端部とこれに対向する外側陸部の環状サイプの端部との間に段差を形成し、かつ外側傾斜面の環状サイプの端部とこれに対向する内側陸部の環状サイプの端部との間に段差を形成するようにしたので、これら段差による引掻き作用により、タイヤ周方向及び幅方向におけるスノートラクション成分を高くし、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を一層向上することができる。
【0008】
本発明の空気入りタイヤは、前記環状サイプ一周にわたり前記内側傾斜面又は外側傾斜面が交互に配置されていることが好ましく、タイヤ周方向及び幅方向におけるスノートラクション成分をより高くすることができる。
【0009】
前記環状サイプのタイヤ周方向の長さが3〜10mm及び/又はタイヤ幅方向の長さが3〜10mmであることが好ましく、環状サイプを挟んで形成された段差及び内側傾斜面の両側のエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。
【0010】
前記外側傾斜面の幅は10mm以下であることが好ましく、環状サイプを挟んで形成された段差及び外側傾斜面両側のエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。
【0011】
前記環状サイプの深さは前記周方向溝の深さの30%以下、また前記段差の高さが前記環状サイプの深さの50%以下であることが好ましく、トッレド部の表面がある程度摩耗したときも段差及び傾斜面両側のエッジによる引掻き作用を確保し高いトラクション成分を得ることができる。
【0012】
前記傾斜面のトレッド面に対する傾斜角度が45°以下であることが好ましく、内側傾斜面に隣接した内側陸部及び外側傾斜面に隣接した外側陸部の強度を確保し、タイヤ耐久性を維持することができる。
【0013】
前記陸部一つ当たりに複数の環状サイプを形成し、それぞれの環状サイプにおける内側傾斜面の向きを互いに異ならせることが好ましく、タイヤ周方向及び幅方向のあらゆる方向の雪氷性能を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示すトレッドパターンの展開図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤの環状サイプの一例を拡大して示す平面図である。
【図3a】図2の環状サイプの斜視図である。
【図3b】図2の環状サイプを図3aとは異なる方向から見た斜視図である。
【図4】図2のX−X矢視断面図である。
【図5】図2のY−Y矢視断面図である。
【図6】本発明の空気入りタイヤの実施形態の他の陸部の例を拡大して示す展開図である。
【図7】本発明の空気入りタイヤの実施形態の更に他の一例を示す図6に相当する展開図である。
【図8】本発明の空気入りタイヤの実施形態の更に他の一例を示す図6に相当する展開図である。
【図9】本発明の空気入りタイヤの実施形態の更に他の一例を示す図6に相当する展開図である。
【図10】比較例1の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図11】比較例2の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図12】比較例3の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図13】比較例4の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図14】比較例5の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示し、トレッドパターンの一部を展開して示す説明図である。なおタイヤ周方向を矢印R、タイヤ幅方向を矢印Wで示した。
【0016】
空気入りタイヤのトレッド部には、タイヤ周方向へ延びる複数本の周方向溝1とタイヤ幅方向へ延びる複数本の横溝2により、複数の陸部3が区画されている。陸部3は基本的にブロックであるが、細く浅い横溝を有するリブであってもよい。
【0017】
陸部3の少なくとも1つには環状サイプ4が配置されている。図1の例では、一つのブロック列に環状サイプ4を四つずつ配置しているが、環状サイプを配置する陸部の選択及び環状サイプの配置数は、この例に限定されるものではない。すなわちトレッド部に形成されたすべてのブロックに環状サイプを配置してもよいし、一のブロック列に環状サイプを有するブロックと有しないブロックを混在させてもよい。環状サイプの配置の仕方は、特に制限されるものではなく、一列又は複数の列状に配置しても、ランダムに配置してもよく、隣接する環状サイプ同士が重なり合わなければどのように配置してもよい。また環状サイプを有する一つの陸部当たりの環状サイプの配置数は、1以上であればよいが、できるだけ多くするのがよい。
【0018】
図2は、環状サイプ4の一例を拡大した平面図である。図3a及び図3bはそれぞれ図2の環状サイプを異なる方向から見た斜視図、図4は図2のX−X矢視断面を模式的に例示した断面図、図5は図2のY−Y矢視断面を模式的に例示した断面図である。
【0019】
図2、図3a及び図3bにおいて、平面視で円形をした環状サイプ4に囲まれた陸部5、すなわち環状サイプ4の内側陸部5は、トレッド表面と面一の高さの領域と、陸部の表面が陸部5の中心から環状サイプ4の端部に向かって低くなるように傾斜させた内側傾斜面7とで構成される。内側傾斜面7は、一つの環状サイプ4当たり少なくとも一つ、好ましくは二つ以上を形成する。また環状サイプ4の外周に沿う陸部6、すなわち環状サイプ4の外側陸部6は、トレッド表面と同じの高さの領域と、陸部の表面が陸部6の外側から環状サイプ4の端部に向かって低くなるように傾斜させた外側傾斜面8とで構成される。外側傾斜面8は、一つの環状サイプ4当たり少なくとも一つ、好ましくは二つ以上形成する。
【0020】
本発明において、内側傾斜面7と外側傾斜面8とが向き合わないように、すなわち環状サイプ4の周方向にずらせて配置する。このように内側傾斜面7と外側傾斜面8とを互いに対向させないように配置させることにより、内側傾斜面7の環状サイプの端部7eとこれに対向する外側陸部6の環状サイプの端部6eとの間に段差9を形成し、同時に外側傾斜面8の環状サイプの端部8eとこれに対向する内側陸部5の環状サイプの端部5eとの間に段差9が形成される。このように段差9を環状サイプ4の周上に形成することにより、環状サイプ4の引掻き作用を増大させることができる。これによりタイヤ周方向R及び幅方向Wにおけるスノートラクション成分を高くし、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を一層向上することができる。なお、図2、図3a及び図3bにおいて、内側傾斜面7及び外側傾斜面8に付した矢印は、それぞれの傾斜面が傾斜する方向を示すものである。また段差9とは、環状サイプ4の内側の端部5e又は7eの高さと、それぞれに対向する外側の端部8e又は6eの高さとの間に差がある形態をいう。したがって、上述した特許文献1,2のように、環状サイプ4の内側の端部の高さと外側の端部の高さが同じときは、段差は存在しない。
【0021】
本発明の空気入りタイヤにおいて、内側傾斜面7及び外側傾斜面8は、環状サイプ4の周上へそれぞれ1以上配置すればよいが、好ましくはそれぞれ2〜4つずつ配置するとよい。これにより段差9の向き並びに内側傾斜面7及び外側傾斜面8の両側に形成されるエッジの向きが、タイヤ周方向及びタイヤ周方向を含むあらゆる方向に向くようになるので、直進時及び旋回時のスノートラクション成分を高くし、雪氷路性能をより高くすることができる。
【0022】
また、環状サイプ4の周上に内側傾斜面7又は外側傾斜面8を一周にわたり配置し、段差9を環状サイプ4の全周に形成するとよい。すなわち外側傾斜面8以外の環状サイプ外周の外側陸部6が必ず内側傾斜面7と対向し、かつ内側傾斜面7以外の内側陸部5が必ず外側傾斜面8と対向するとよい。これにより、段差9の引掻き作用を環状サイプ4の全周に及ぼすことができるのでタイヤ周方向及び幅方向を含むあらゆる方向のスノートラクション成分をより高くすることができる。
【0023】
本発明において、内側傾斜面7に接する環状サイプ4の周長の合計と外側傾斜面8に接する環状サイプ4の周長の合計とを、ほぼ等しくすることが好ましい。また一の内側傾斜面7に接する環状サイプ4の周長と、これに隣接する外側傾斜面8に接する環状サイプ4の周長とを、ほぼ等しくすることが好ましい。これにより、段差に起因する引掻き作用をあらゆる方向に及ぼすことができる。
【0024】
図4及び5において、タイヤ周方向Rの環状サイプ4の長さaは、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜7mmであるとよい。またタイヤ幅方向Wの環状サイプ4の長さbは、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜7mmであるとよい。これにより、内側傾斜面7に対向する段差9及び内側傾斜面7の両側に形成されるエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。なお環状サイプ4の長さa,bは、環状サイプの外側端部同士の距離のうち、最大の値とする。
【0025】
また外側傾斜面6の幅cは、好ましく10mm以下、より好ましくは3〜6mmであるとよい。外側傾斜面8に対向する段差9及び外側傾斜面8の両側に形成されるエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。
【0026】
本発明において、環状サイプ4の幅は、好ましくは0.5〜2.0mm、より好ましくは0.8〜1.5mmであるとよい。環状サイプ4の幅をこのような範囲内にすることにより、陸部の強度を確保しながら陸部を適度に柔軟にし、かつサイプエッジの引掻き作用を大きくすることができる。なお環状サイプ4の幅は、環状サイプの内側端部と外側端部の距離をいう。
【0027】
また環状サイプ4の深さdは、周方向溝1の深さの好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10〜30%であるとよい。さらに段差9の高さe,fは環状サイプの深さdの好ましくは50%以下、より好ましくは20〜40%であるとよい。このように環状サイプ4の深さd及び段差9の高さe,fを設定することにより、トッレド部の表面がある程度摩耗したときに、段差9並びに及び内側傾斜面7及び外側傾斜面8の両側のエッジによる引掻き作用を確保し高いトラクション成分を得ることができる。同時に内側陸部5の強度を確保し、タイヤ耐久性を維持することができる。
【0028】
内側傾斜面7のトレッド面に対する傾斜角度α及び外側傾斜面8のトレッド面に対する傾斜角度βは、好ましくは45°以下、より好ましくは15〜35°であるとよい。傾斜角度α及びβをこのような範囲内にすることにより、内側傾斜面7に隣接した内側陸部及び外側傾斜面8に隣接した外側陸部の強度を確保し、タイヤ耐久性を維持することができる。
【0029】
本発明において、一つの陸部当たりに複数の環状サイプを配置し形成し、それぞれの環状サイプにおける内側傾斜面及び/又は外側傾斜面の向きを、隣接する環状サイプとの間で、互いに異ならせることが好ましい。これにより、タイヤ周方向及び幅方向のあらゆる方向の雪氷性能を改良することができる。
【0030】
また環状サイプ4の平面視の形状は、特に限定されるものではなく、例えば図6のような円形の環状サイプや、楕円形、多角形(例えば図7は四角形、図8は六角形の環状サイプを例示する)、或いはトラック状形状、三日月状形状(例えば図9は三日月状の環状サイプを例示する)などの直線及び/又は円弧、楕円弧を組み合わせた閉じた形状を例示することができる。環状サイプの形状としては、好ましくは円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形がよい。
【0031】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
タイヤサイズが195/65R15で、サイプ以外のトレッドパターンを図1に示す展開図のものにすることを共通条件とし、陸部に配置するサイプの形状、タイヤ周方向のサイプの長さa、タイヤ幅方向のサイプの長さb、一の陸部当たりのサイプの数を、表1のように異ならせた9種類の空気入りタイヤ(実施例1〜4、比較例1〜5)を作製した。なお、比較例1の空気入りタイヤは、陸部にサイプを形成しなかった。
【0033】
得られた9種類の空気入りタイヤをリム(サイズ15×6J)にリム組みし、空気圧230kPaに調整し、国産2.0リットルの乗用車に装着し、駆動性能、旋回性能及び制動性能をそれぞれ下記に示す方法で測定した。
【0034】
駆動性能
雪氷に覆われた直線路(200m)を、停止状態から走行したときの、スタート時から100m通過時までの経過時間を駆動性能として評価した。得られた結果は、それぞれの経過時間の逆数を算出し、比較例3の空気入りタイヤの値を100にする指数にして表1に示した。この指数が大きいほど駆動性能が優れることを意味する。
【0035】
旋回性能
雪氷に覆われた周回路(1周3km)を走行したときの、評価ドライバーによるコーナリング及びレーンチェンジ時のフィーリング評価を旋回性能として評価した。得られた結果は、比較例3の空気入りタイヤの値を100にする指数にして表1に示した。この指数が大きいほど旋回性能が優れることを意味する。
【0036】
制動性能
雪氷に覆われた直線路(200m)を走行したときの、時速50kmからのフルブレーキによる時速0kmまでの制動距離を制動性能として評価した。得られた結果は、それぞれの制動距離の逆数を算出し、比較例3の空気入りタイヤの値を100にする指数にして表1に示した。この指数が大きいほど制動性能が優れることを意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように実施例1〜4の空気入りタイヤは、駆動性能、旋回性能及び制動性能が従来レベル(比較例1〜5)以上に向上することが確認された。
【符号の説明】
【0039】
1 周方向溝
2 横溝
3 陸部
4 環状サイプ
5 環状サイプ内側の陸部
5e 外側傾斜面に対向する環状サイプ端部
6 環状サイプ外周の陸部
6e 内側傾斜面に対向する環状サイプ端部
7 内側傾斜面
7e 内側傾斜面の環状サイプ端部
8 外側傾斜面
8e 外側傾斜面の環状サイプ端部
9 段差
CL タイヤ赤道
R タイヤ周方向
W タイヤ幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を従来レベル以上に向上するようにした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
雪氷路走行に用いるスタッドレスタイヤなどの冬用タイヤや、オールシーズンタイヤには、雪氷路走行時の駆動性能、制動性能及び旋回性能等の操縦安定性が優れることが求められている。従来、図11,12に示すように、トレッド部に周方向溝1とラグ溝を含む横溝2により区画されたブロックやリブからなる陸部3を設け、この陸部3に複数のサイプ15,16を形成することにより、陸部の柔軟性を高めて実接地面積を増加させると共に、これらサイプ15,16のエッジによる引っ掻き作用により雪上での操縦安定性(雪上性能)を確保するようにしている。この雪上性能は、サイプ15,16の長さや本数などを調節しスノートラクション成分を増加させることにより改良することができる。しかしながら、このような従来のサイプでは、タイヤ周方向のトラクションは高いものの、タイヤ幅方向のトラクションが低くなり、雪上・氷上での旋回時の操縦安定性が十分に得られなかった。
【0003】
このため、特許文献1,2は、図13,14に示すように、円形の環状サイプ17と十字サイプ18とを組み合わせたサイプや、六角形の環状サイプを連ねたハニカム状サイプ19を配置すること提案している。特許文献1,2に記載されたサイプは、従来のサイプ15,16と比べ雪氷路走行時の駆動性能、制動性能及び旋回性能等の操縦安定性を改良する作用が認められるが、これらの改良効果は必ずしも十分でなく、さらなる雪氷性能の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347468号公報
【特許文献2】特開2010−274800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を従来レベル以上に向上するようにした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向へ延びる複数本の周方向溝とタイヤ幅方向へ延びる複数本の横溝により区画された複数の陸部をトレッド部に有する空気入りタイヤにおいて、前記陸部の少なくとも1つに環状サイプを有し、該環状サイプに囲まれた陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの内側傾斜面と、前記環状サイプの外周に沿う陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの外側傾斜面とを有すると共に、前記内側傾斜面と外側傾斜面とを互いに対向させないように配置し、前記内側傾斜面、外側傾斜面の一方の環状サイプの端部とこれに対向する環状サイプの他方の端部との間に段差を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部の陸部に環状サイプを配置し、この環状サイプに囲まれた陸部をトレッド表面と同じ高さの領域と環状サイプに向かって低くなるように傾斜させた内側傾斜面とで構成し、環状サイプの外周に沿う陸部をトレッド表面と同じ高さの領域と環状サイプに向かって低くなるように傾斜させた外側傾斜面とで構成すると共に、これら内側傾斜面と外側傾斜面とを互いに対向させないようにずらせて配置させることにより、内側傾斜面の環状サイプの端部とこれに対向する外側陸部の環状サイプの端部との間に段差を形成し、かつ外側傾斜面の環状サイプの端部とこれに対向する内側陸部の環状サイプの端部との間に段差を形成するようにしたので、これら段差による引掻き作用により、タイヤ周方向及び幅方向におけるスノートラクション成分を高くし、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を一層向上することができる。
【0008】
本発明の空気入りタイヤは、前記環状サイプ一周にわたり前記内側傾斜面又は外側傾斜面が交互に配置されていることが好ましく、タイヤ周方向及び幅方向におけるスノートラクション成分をより高くすることができる。
【0009】
前記環状サイプのタイヤ周方向の長さが3〜10mm及び/又はタイヤ幅方向の長さが3〜10mmであることが好ましく、環状サイプを挟んで形成された段差及び内側傾斜面の両側のエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。
【0010】
前記外側傾斜面の幅は10mm以下であることが好ましく、環状サイプを挟んで形成された段差及び外側傾斜面両側のエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。
【0011】
前記環状サイプの深さは前記周方向溝の深さの30%以下、また前記段差の高さが前記環状サイプの深さの50%以下であることが好ましく、トッレド部の表面がある程度摩耗したときも段差及び傾斜面両側のエッジによる引掻き作用を確保し高いトラクション成分を得ることができる。
【0012】
前記傾斜面のトレッド面に対する傾斜角度が45°以下であることが好ましく、内側傾斜面に隣接した内側陸部及び外側傾斜面に隣接した外側陸部の強度を確保し、タイヤ耐久性を維持することができる。
【0013】
前記陸部一つ当たりに複数の環状サイプを形成し、それぞれの環状サイプにおける内側傾斜面の向きを互いに異ならせることが好ましく、タイヤ周方向及び幅方向のあらゆる方向の雪氷性能を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示すトレッドパターンの展開図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤの環状サイプの一例を拡大して示す平面図である。
【図3a】図2の環状サイプの斜視図である。
【図3b】図2の環状サイプを図3aとは異なる方向から見た斜視図である。
【図4】図2のX−X矢視断面図である。
【図5】図2のY−Y矢視断面図である。
【図6】本発明の空気入りタイヤの実施形態の他の陸部の例を拡大して示す展開図である。
【図7】本発明の空気入りタイヤの実施形態の更に他の一例を示す図6に相当する展開図である。
【図8】本発明の空気入りタイヤの実施形態の更に他の一例を示す図6に相当する展開図である。
【図9】本発明の空気入りタイヤの実施形態の更に他の一例を示す図6に相当する展開図である。
【図10】比較例1の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図11】比較例2の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図12】比較例3の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図13】比較例4の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【図14】比較例5の空気入りタイヤにおける図6に相当する展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示し、トレッドパターンの一部を展開して示す説明図である。なおタイヤ周方向を矢印R、タイヤ幅方向を矢印Wで示した。
【0016】
空気入りタイヤのトレッド部には、タイヤ周方向へ延びる複数本の周方向溝1とタイヤ幅方向へ延びる複数本の横溝2により、複数の陸部3が区画されている。陸部3は基本的にブロックであるが、細く浅い横溝を有するリブであってもよい。
【0017】
陸部3の少なくとも1つには環状サイプ4が配置されている。図1の例では、一つのブロック列に環状サイプ4を四つずつ配置しているが、環状サイプを配置する陸部の選択及び環状サイプの配置数は、この例に限定されるものではない。すなわちトレッド部に形成されたすべてのブロックに環状サイプを配置してもよいし、一のブロック列に環状サイプを有するブロックと有しないブロックを混在させてもよい。環状サイプの配置の仕方は、特に制限されるものではなく、一列又は複数の列状に配置しても、ランダムに配置してもよく、隣接する環状サイプ同士が重なり合わなければどのように配置してもよい。また環状サイプを有する一つの陸部当たりの環状サイプの配置数は、1以上であればよいが、できるだけ多くするのがよい。
【0018】
図2は、環状サイプ4の一例を拡大した平面図である。図3a及び図3bはそれぞれ図2の環状サイプを異なる方向から見た斜視図、図4は図2のX−X矢視断面を模式的に例示した断面図、図5は図2のY−Y矢視断面を模式的に例示した断面図である。
【0019】
図2、図3a及び図3bにおいて、平面視で円形をした環状サイプ4に囲まれた陸部5、すなわち環状サイプ4の内側陸部5は、トレッド表面と面一の高さの領域と、陸部の表面が陸部5の中心から環状サイプ4の端部に向かって低くなるように傾斜させた内側傾斜面7とで構成される。内側傾斜面7は、一つの環状サイプ4当たり少なくとも一つ、好ましくは二つ以上を形成する。また環状サイプ4の外周に沿う陸部6、すなわち環状サイプ4の外側陸部6は、トレッド表面と同じの高さの領域と、陸部の表面が陸部6の外側から環状サイプ4の端部に向かって低くなるように傾斜させた外側傾斜面8とで構成される。外側傾斜面8は、一つの環状サイプ4当たり少なくとも一つ、好ましくは二つ以上形成する。
【0020】
本発明において、内側傾斜面7と外側傾斜面8とが向き合わないように、すなわち環状サイプ4の周方向にずらせて配置する。このように内側傾斜面7と外側傾斜面8とを互いに対向させないように配置させることにより、内側傾斜面7の環状サイプの端部7eとこれに対向する外側陸部6の環状サイプの端部6eとの間に段差9を形成し、同時に外側傾斜面8の環状サイプの端部8eとこれに対向する内側陸部5の環状サイプの端部5eとの間に段差9が形成される。このように段差9を環状サイプ4の周上に形成することにより、環状サイプ4の引掻き作用を増大させることができる。これによりタイヤ周方向R及び幅方向Wにおけるスノートラクション成分を高くし、雪氷路における駆動性能、制動性能及び旋回性能を一層向上することができる。なお、図2、図3a及び図3bにおいて、内側傾斜面7及び外側傾斜面8に付した矢印は、それぞれの傾斜面が傾斜する方向を示すものである。また段差9とは、環状サイプ4の内側の端部5e又は7eの高さと、それぞれに対向する外側の端部8e又は6eの高さとの間に差がある形態をいう。したがって、上述した特許文献1,2のように、環状サイプ4の内側の端部の高さと外側の端部の高さが同じときは、段差は存在しない。
【0021】
本発明の空気入りタイヤにおいて、内側傾斜面7及び外側傾斜面8は、環状サイプ4の周上へそれぞれ1以上配置すればよいが、好ましくはそれぞれ2〜4つずつ配置するとよい。これにより段差9の向き並びに内側傾斜面7及び外側傾斜面8の両側に形成されるエッジの向きが、タイヤ周方向及びタイヤ周方向を含むあらゆる方向に向くようになるので、直進時及び旋回時のスノートラクション成分を高くし、雪氷路性能をより高くすることができる。
【0022】
また、環状サイプ4の周上に内側傾斜面7又は外側傾斜面8を一周にわたり配置し、段差9を環状サイプ4の全周に形成するとよい。すなわち外側傾斜面8以外の環状サイプ外周の外側陸部6が必ず内側傾斜面7と対向し、かつ内側傾斜面7以外の内側陸部5が必ず外側傾斜面8と対向するとよい。これにより、段差9の引掻き作用を環状サイプ4の全周に及ぼすことができるのでタイヤ周方向及び幅方向を含むあらゆる方向のスノートラクション成分をより高くすることができる。
【0023】
本発明において、内側傾斜面7に接する環状サイプ4の周長の合計と外側傾斜面8に接する環状サイプ4の周長の合計とを、ほぼ等しくすることが好ましい。また一の内側傾斜面7に接する環状サイプ4の周長と、これに隣接する外側傾斜面8に接する環状サイプ4の周長とを、ほぼ等しくすることが好ましい。これにより、段差に起因する引掻き作用をあらゆる方向に及ぼすことができる。
【0024】
図4及び5において、タイヤ周方向Rの環状サイプ4の長さaは、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜7mmであるとよい。またタイヤ幅方向Wの環状サイプ4の長さbは、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜7mmであるとよい。これにより、内側傾斜面7に対向する段差9及び内側傾斜面7の両側に形成されるエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。なお環状サイプ4の長さa,bは、環状サイプの外側端部同士の距離のうち、最大の値とする。
【0025】
また外側傾斜面6の幅cは、好ましく10mm以下、より好ましくは3〜6mmであるとよい。外側傾斜面8に対向する段差9及び外側傾斜面8の両側に形成されるエッジによる引掻き作用をより大きくすることができる。
【0026】
本発明において、環状サイプ4の幅は、好ましくは0.5〜2.0mm、より好ましくは0.8〜1.5mmであるとよい。環状サイプ4の幅をこのような範囲内にすることにより、陸部の強度を確保しながら陸部を適度に柔軟にし、かつサイプエッジの引掻き作用を大きくすることができる。なお環状サイプ4の幅は、環状サイプの内側端部と外側端部の距離をいう。
【0027】
また環状サイプ4の深さdは、周方向溝1の深さの好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10〜30%であるとよい。さらに段差9の高さe,fは環状サイプの深さdの好ましくは50%以下、より好ましくは20〜40%であるとよい。このように環状サイプ4の深さd及び段差9の高さe,fを設定することにより、トッレド部の表面がある程度摩耗したときに、段差9並びに及び内側傾斜面7及び外側傾斜面8の両側のエッジによる引掻き作用を確保し高いトラクション成分を得ることができる。同時に内側陸部5の強度を確保し、タイヤ耐久性を維持することができる。
【0028】
内側傾斜面7のトレッド面に対する傾斜角度α及び外側傾斜面8のトレッド面に対する傾斜角度βは、好ましくは45°以下、より好ましくは15〜35°であるとよい。傾斜角度α及びβをこのような範囲内にすることにより、内側傾斜面7に隣接した内側陸部及び外側傾斜面8に隣接した外側陸部の強度を確保し、タイヤ耐久性を維持することができる。
【0029】
本発明において、一つの陸部当たりに複数の環状サイプを配置し形成し、それぞれの環状サイプにおける内側傾斜面及び/又は外側傾斜面の向きを、隣接する環状サイプとの間で、互いに異ならせることが好ましい。これにより、タイヤ周方向及び幅方向のあらゆる方向の雪氷性能を改良することができる。
【0030】
また環状サイプ4の平面視の形状は、特に限定されるものではなく、例えば図6のような円形の環状サイプや、楕円形、多角形(例えば図7は四角形、図8は六角形の環状サイプを例示する)、或いはトラック状形状、三日月状形状(例えば図9は三日月状の環状サイプを例示する)などの直線及び/又は円弧、楕円弧を組み合わせた閉じた形状を例示することができる。環状サイプの形状としては、好ましくは円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形がよい。
【0031】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
タイヤサイズが195/65R15で、サイプ以外のトレッドパターンを図1に示す展開図のものにすることを共通条件とし、陸部に配置するサイプの形状、タイヤ周方向のサイプの長さa、タイヤ幅方向のサイプの長さb、一の陸部当たりのサイプの数を、表1のように異ならせた9種類の空気入りタイヤ(実施例1〜4、比較例1〜5)を作製した。なお、比較例1の空気入りタイヤは、陸部にサイプを形成しなかった。
【0033】
得られた9種類の空気入りタイヤをリム(サイズ15×6J)にリム組みし、空気圧230kPaに調整し、国産2.0リットルの乗用車に装着し、駆動性能、旋回性能及び制動性能をそれぞれ下記に示す方法で測定した。
【0034】
駆動性能
雪氷に覆われた直線路(200m)を、停止状態から走行したときの、スタート時から100m通過時までの経過時間を駆動性能として評価した。得られた結果は、それぞれの経過時間の逆数を算出し、比較例3の空気入りタイヤの値を100にする指数にして表1に示した。この指数が大きいほど駆動性能が優れることを意味する。
【0035】
旋回性能
雪氷に覆われた周回路(1周3km)を走行したときの、評価ドライバーによるコーナリング及びレーンチェンジ時のフィーリング評価を旋回性能として評価した。得られた結果は、比較例3の空気入りタイヤの値を100にする指数にして表1に示した。この指数が大きいほど旋回性能が優れることを意味する。
【0036】
制動性能
雪氷に覆われた直線路(200m)を走行したときの、時速50kmからのフルブレーキによる時速0kmまでの制動距離を制動性能として評価した。得られた結果は、それぞれの制動距離の逆数を算出し、比較例3の空気入りタイヤの値を100にする指数にして表1に示した。この指数が大きいほど制動性能が優れることを意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように実施例1〜4の空気入りタイヤは、駆動性能、旋回性能及び制動性能が従来レベル(比較例1〜5)以上に向上することが確認された。
【符号の説明】
【0039】
1 周方向溝
2 横溝
3 陸部
4 環状サイプ
5 環状サイプ内側の陸部
5e 外側傾斜面に対向する環状サイプ端部
6 環状サイプ外周の陸部
6e 内側傾斜面に対向する環状サイプ端部
7 内側傾斜面
7e 内側傾斜面の環状サイプ端部
8 外側傾斜面
8e 外側傾斜面の環状サイプ端部
9 段差
CL タイヤ赤道
R タイヤ周方向
W タイヤ幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向へ延びる複数本の周方向溝とタイヤ幅方向へ延びる複数本の横溝により区画された複数の陸部をトレッド部に有する空気入りタイヤにおいて、
前記陸部の少なくとも1つに環状サイプを有し、該環状サイプに囲まれた陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの内側傾斜面と、前記環状サイプの外周に沿う陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの外側傾斜面とを有すると共に、前記内側傾斜面と外側傾斜面とを互いに対向させないように配置し、前記内側傾斜面、外側傾斜面の一方の環状サイプの端部とこれに対向する環状サイプの他方の端部との間に段差を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記環状サイプ一周にわたり前記内側傾斜面又は外側傾斜面が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記環状サイプのタイヤ周方向の長さが3〜10mm及び/又はタイヤ幅方向の長さが3〜10mmであることを特徴とする請求項1又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記外側傾斜面の幅が10mm以下であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記環状サイプの深さが、前記周方向溝の深さの30%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記段差の高さが前記環状サイプの深さの50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記傾斜面のトレッド面に対する傾斜角度が45°以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記陸部一つ当たりに複数の環状サイプを形成し、それぞれの環状サイプにおける内側傾斜面の向きを互いに異ならせたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項1】
タイヤ周方向へ延びる複数本の周方向溝とタイヤ幅方向へ延びる複数本の横溝により区画された複数の陸部をトレッド部に有する空気入りタイヤにおいて、
前記陸部の少なくとも1つに環状サイプを有し、該環状サイプに囲まれた陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの内側傾斜面と、前記環状サイプの外周に沿う陸部の一部の表面を環状サイプに向かって傾斜させた少なくとも1つの外側傾斜面とを有すると共に、前記内側傾斜面と外側傾斜面とを互いに対向させないように配置し、前記内側傾斜面、外側傾斜面の一方の環状サイプの端部とこれに対向する環状サイプの他方の端部との間に段差を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記環状サイプ一周にわたり前記内側傾斜面又は外側傾斜面が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記環状サイプのタイヤ周方向の長さが3〜10mm及び/又はタイヤ幅方向の長さが3〜10mmであることを特徴とする請求項1又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記外側傾斜面の幅が10mm以下であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記環状サイプの深さが、前記周方向溝の深さの30%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記段差の高さが前記環状サイプの深さの50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記傾斜面のトレッド面に対する傾斜角度が45°以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記陸部一つ当たりに複数の環状サイプを形成し、それぞれの環状サイプにおける内側傾斜面の向きを互いに異ならせたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−47053(P2013−47053A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186061(P2011−186061)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
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