説明

空調負荷予測装置及び空調負荷予測方法

【課題】空調機器の空調負荷を予測することで、空調機器を効率的に運転してエネルギ効率を向上させる。
【解決手段】過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量qdnを1日分の空調負荷量Qdで除して各時刻の1日に対する負荷配分率rdnを算出するとともに、複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定時間(例えば5時〜8時)における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量Qを予測し、この予測した1日分の空調負荷量Qに、算出済みの各時刻の負荷配分率rdnを乗じて各時刻の空調負荷量qを予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機器の空調負荷を予測する空調負荷予測装置及び空調負荷予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機器のエネルギ消費量である空調負荷を予測することは、空調機器を効率的に運転してエネルギ効率を向上する上で極めて重要であり、特に夜間電力を有効利用する蓄熱機器を備えた空調システムではエネルギ消費量を抑える意味での要求度が高い。また従来の熱源機器の運転は、最大空調負荷を前提とし余剰に蓄熱するケースが発生しており、機器のランニングコストと環境負荷の低減には繋がらず、精度のよい空調負荷予測をすることで負荷に見合ったフィードフォワードの運転手法が要求される。
【0003】
このような空調負荷を予測する例としては、例えば下記特許文献1〜3に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1に記載ものは、コンピュータ上に構築されたニューラルネットワークモデルを使用して、翌日の時間単位の空調負荷を予測する際に、外界条件データ、室内環境条件データ及び空調システム運転条件データを入力し、該入力データ毎の学習係数を、過去の入力データ及び翌日の時間単位の空調負荷値に基づいて最適化する処理を行うようにしている。
【0005】
特許文献2に記載ものは、空調負荷実績データ、気象データ、カレンダデータ及び空調機器稼動スケジュールデータを用いて学習した予測モデルに対し、これら各データを入力して空調負荷の予測を行っている。
【0006】
特許文献3に記載ものは、1日の周期的な変動パターンモデル式を付加したARMAモデル式により空調負荷を予測する際に、新事例として入力された現時刻における実測データに対し、過去の実測データを事例とする事例ベースを用いて予測を行う位相事例ベースモデリングにより当日の最高負荷を予測し、この最高負荷に基づいてARMAモデル式による予測負荷を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−78009号公報
【特許文献2】特開2005−226845号公報
【特許文献3】特許第3168529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来から空調機器の空調負荷を予測することは、空調機器を効率的に運転してエネルギ効率を向上する上で極めて重要となっている。
【0009】
そこで、本発明は、空調機器の空調負荷を予測する際に用いる従来の気象データ、外気データを必要とせず、予測当日の立ち上がり負荷を利用し、パラメータ入力の煩雑さを解消し、オペレータが容易に利用できることで、空調機器を効率的に運転してエネルギ効率を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を1日分の空調負荷量で除して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出する時負荷配分率算出手段と、前記複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量を予測する日負荷量予測手段と、この日負荷量予測手段が予測した1日分の空調負荷量に、前記時負荷配分率算出手段で算出した各時刻の負荷配分率を乗じて各時刻の空調負荷量を予測する時負荷量予測手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を1日分の空調負荷量で除して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出するとともに、複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量を予測する。そして、この予測した1日分の空調負荷量に、算出済みの各時刻の負荷配分率を乗じて各時刻の空調負荷量を予測する。このようにして1日における各時刻の空調負荷量を予測することにより、空調機器を効率的に運転してエネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる空調負荷予測装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】蓄熱槽を備えた熱源システムの全体構成図である。
【図3】図1の空調負荷予測装置による空調負荷予測方法を示すフローチャートである。
【図4】1日24時間における午前1時から午前0時までの各時刻毎の冷房負荷配分率を一定期間分示すグラフである。
【図5】(a)は、図4に対し、一定期間分の複数日のうち例外日を除外した複数日における各時刻の1日に対する負荷配分率を算出した状態を示すグラフ、(b)は(a)の平均値を算出した状態を示すグラフである。
【図6】立ち上がり期間の各時刻の空調負荷に対する重み係数の指数を、各日の1日の実績負荷量と、該実績負荷量に対する直線で示す予測負荷量との差異の2乗の和が最小となる値を求める(最小二乗法)ためのグラフである。
【図7】予測負荷量と実際の空調器運転負荷量である実績負荷量とを各時刻毎に示すとともに、1日の予測負荷量及び実績負荷量が時間が経過するに従って減少する状態を示すグラフである。
【図8】図7に示した予測負荷量に対する図2に示した冷凍機及び熱交換器の運転パターンを設定することを示すグラフである。
【図9】図8に示した運転パターン設定に対する図2に示した冷凍機及び熱交換器の稼動状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0014】
本発明の一実施形態に係わる負荷予測装置は、図1に示すように、負荷データ収集部1と、空調負荷予測部3と、熱源設備制御部5と、熱源設備機器7とを主として備えている。
【0015】
負荷データ収集部1は、過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を収集して蓄積するもので、後述する蓄熱槽の温度データなども格納する中央監視装置として機能している。空調負荷予測部3は、負荷データ収集部1で収集蓄積したデータに基づいて、熱源設備機器7における空調負荷を、後述するような回帰分析によって予測する。熱源設備制御部5は、空調負荷予測部3で予測した空調負荷を考慮して熱源設備機器7を制御する。
【0016】
熱源設備機器7は、図2に示すように蓄熱槽9を備えた空調システムであり、室内の空調を行うファンコイル等の室内空調器11と、蓄熱槽9に主に夜間電力を利用して蓄熱するための冷凍機13,15と、蓄熱槽9の熱源を利用して室内空調器11による空調を行うための熱交換器17と、室内の空調を行うための冷凍機19と、を備えている。
【0017】
なお、符号21,23はヘッダ、符号25〜35はポンプである。
【0018】
次に、空調負荷予測部3による制御動作を含む図3に示すフローチャートに基づいて、上記した負荷予測装置による負荷予測方法を説明する。まず、負荷データ収集部1で、過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を収集して蓄積し(ステップS1)、この蓄積した過去のデータから、空調負荷予測のために採用する期間を、前年の同時期の一定期間(例えば前年同月の1ヶ月間)か、直前の一定期間(例えば3週間)のいずれかを設定する(ステップS2)。この設定作業はオペレータが手動で行う。
【0019】
そして、上記採用した期間における複数日それぞれの1日の時刻毎の空調負荷量qdnを、1日分の空調負荷量Qdで除して、各時刻の1日に対する負荷配分率rdnを算出する(ステップS3)。すなわち、rdn=qdn÷Qdである。したがって、空調負荷予測部3は、過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を1日分の空調負荷量で除して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出する時負荷配分率算出手段を含んでいる。
【0020】
図4は、1日24時間における午前1時から午前0時までの各時刻毎の冷房負荷配分率rdnを一定期間分示しており、この一定期間分の複数日の冷房負荷配分率rdnの平均値を算出する(ステップS4)。
【0021】
続いて、上記一定期間分の複数日の各日について、各時刻の負荷配分率と一定期間分の複数日の各時刻の負荷配分率の平均値との差異の二乗を求め、その求めた数値が大きい順に、1ヶ月期間であれば5日程度の冷房負荷配分率rdnを、上記ステップS4での平均値算出から除外する例外日を設定する(ステップS5)。
【0022】
図5(a)は、図4に対し、上記した例外日を除外した複数日における各時刻の1日に対する負荷配分率rdnを算出した状態を示しており(ステップS6)、図5(b)は図5(a)に対して平均値を算出した状態を示している(ステップS7)。なお、この例外日を除外した複数日における各時刻の1日に対する負荷配分率を、有効負荷配分率とする。
【0023】
ここで、前記ステップS6の負荷配分率rdnの算出と並行して、負荷予測演算に使用する当日の空調が立ち上がる一定時間における時刻(例えば5時〜8時)を、オペレータが手動で設定した後(ステップS8)、該立ち上がりの各時刻の負荷量に指数逓減法による重み係数Kを設定する(ステップS9)。この重み係数は、空調(熱源)が稼動している最終時刻を最も大きくし、過去に遡るに従って小さくする。すなわち、重み係数は、空調が立ち上がる時間に近いほど小さくしている。これは、過去のデータ(負荷量)を利用する際に直近データから過去に遡るほど精度が悪くなることによる。
【0024】
上記した重み係数Kは次式で計算する。
【0025】
0=(1−α)1
-1=(1−α)2
-2=(1−α)3
-3=(1−α)4
但し、αは1より小さい(α<1)指数であり、図6に示す各日の1日の実績負荷量と、該実績負荷量に対する直線で示す予測負荷量との差異の2乗の和が最小となる(最小二乗法)値を求め、これを指数αとして設定する。
【0026】
なお、図6は、横軸が立ち上がり期間(5時〜8時)全体の負荷量で、縦軸が1日(24時間)分の負荷量である。
【0027】
次に、立ち上り期間の各時刻の負荷量に重み係数を乗じた数値の合計数値と、前記ステップS7で算出した有効負荷配分率から、次式により1日の負荷量Qを予測する(ステップS10)。すなわち、空調負荷予測部3は、複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量を予測する日負荷量予測手段を含んでいる。
【0028】
Q={(Qo×K0)+(Q-1×K-1)+(Q-2×K-2)+(Q-3×K-3)}÷{(Ro×K0)+(R-1×K-1)+(R-2×K-2)+(R-3×K-3)}
但し、Qo:予測時刻の負荷量(実測値)
-1:予測時刻1時間前の負荷量(実測値)
-2:予測時刻2時間前の負荷量(実測値)
-3:予測時刻3時間前の負荷量(実測値)
o:予測時刻の負荷配分率
-1:予測時刻1時間前の負荷配分率
-2:予測時刻2時間前の負荷配分率
-3:予測時刻3時間前の負荷配分率
o:予測時刻の重み係数
-1:予測時刻1時間前の重み係数
-2:予測時刻2時間前の重み係数
-3:予測時刻3時間前の重み係数
そして、最後に上記予測した1日の負荷量(日負荷量)Qに各時刻の負荷配分率を乗じて各時刻の負荷量(時負荷量)qを次式により算出し(ステップS11)、算出した各時負荷量データを図1の熱源設備機器7に出力する(ステップS12)。すなわち、空調負荷予測部3は、日負荷量予測手段が予測した1日分の空調負荷量に、前記時負荷配分率算出手段で算出した各時刻の負荷配分率を乗じて各時刻の空調負荷量を予測する時負荷量予測手段を含んでいる。
【0029】
1=Q×R1
2=Q×R2
3=Q×R3
・・・・・・
24=Q×R24
但し、q1:1時の予測負荷量
2:2時の予測負荷量
3:3時の予測負荷量
・・・・・・
24:24時の予測負荷量
図7は、このようにして算出した予測負荷量(破線A)と、実際の空調機器運転負荷量である実績負荷量(実線B)とを各時刻毎に示しており、これら相互間の差が極めて小さく、負荷量の予測が精度よく実施されたことがわかる。
【0030】
また、破線Cの時刻1時に対応する数値は、算出した1日の予測負荷量Qdに相当し、破線Aで示す時刻毎の予測負荷量を、時間が経過するに従ってその前の時刻での予測負荷量を順次差し引いて示している。実線Dは、実線Bで示す実績負荷量を、時間が経過するに従ってその前の時刻で使用する実績負荷量を順次差し引いて示している。これら破線C及び実線Dの数値は、処理負担熱量として図7の右側の目盛りに対応している。
【0031】
図8は、図7に破線Aで示した予測負荷量に対し、一例として9時の時点での立ち上り負荷を予測した時間別負荷予測及び処理負担予測熱量と図2に示した冷凍機13、15,19及び熱交換器17の当日の運転計画のシミュレーションを示している。なお、図8のデータと図7のデータとは、異なる日を対象としているので、数値が互いに異なっている。
【0032】
図8において、9時に予測された処理負担予測熱量(破線C)の9時(E部)と17時(F部)との減算により該当時間9時から17時までの必要室内空調負荷量と夜間に蓄熱された熱量(2点鎖線Gより下部の領域)を消費するよう、冷凍機19(H部)の運転を仮定し、各時間の室内空調負荷の変動を熱交換器17(I部)において実施するよう運転パターンを設定する。その際、夜間蓄熱量では賄えない室内空調負荷量を補うため冷凍機13(J部)を9時から11時まで稼働させる運転パターンを仮定する。これにより蓄熱槽9に蓄えられた熱量が室内空調負荷の高負荷時間終了の17時に蓄熱槽の熱を使い切るようシュミレーションし、フィードフォワードによる冷凍機13、15、19及び熱交換器17の最適運転計画を容易に設定することができる。
【0033】
図9は、図8で示された負荷予測及び図2による冷凍機13、15,19及び熱交換器17の実際の稼働結果と負荷実績の結果を示している。
【0034】
図9において、22時から8時まで夜間電力利用による冷凍機13,15(J、K部)の運転で蓄熱槽9に畜熱し、室内空調負荷は冷凍機19(H部)にて行う。9時の時点において立ち上がり負荷を考慮した各時刻の予測負荷量が演算され、予測負荷熱量(破線A)として示される。空調負荷が高まる9時から11時までは、冷凍機19(H部)と冷凍機13(J部)による負荷予測時にシュミレーションされた熱源機器運転計画での運転を行い、蓄熱槽9に蓄熱した熱量を利用して熱交換器17(I部)で室内空調負荷に追従させた運転を示している。12時から17時までは冷凍機19(H部)のベース運転と蓄熱槽9に蓄熱した熱量を熱交換器17(I部)により室内空調負荷に追従し、電力ピーク時間帯では、冷凍機13(J部)を停止した運転を示している(ピークカット運転)。また18時から22時はベース機である冷凍機19(H部)にて室内空調負荷に追従した運転を示している。
【0035】
このように図8及び図9より、従来のフィードバック制御ではその時刻の必要負荷熱量(実績)で熱源機器を追いかけ運転し、蓄熱槽へ過剰蓄熱してしまうことによる残蓄熱が発生するが、日負荷量を予測した必要熱量から冷凍機13,15,19の運転パターンを決め、計画的に冷凍機13(J部)を11時に停止させ、夜間に蓄熱した熱量を熱交換器17(I部)で有効に使い切ることを考慮したシミュレーションが可能となり、実際、図9での予測負荷熱量(破線A)と実績負荷熱量(実線B)との関係及び、処理負担予測熱量(破線C)と実績処理負担熱量(実線D)との関係は、それぞれ±5%以内の精度となっており、熱源機器の最適化運転及びエネルギの効率利用が得られる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量(時負荷量)qdnを1日分の空調負荷量(日負荷量)Qdで除して各時刻の1日に対する負荷配分率rdnを算出するとともに、複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定期間(例えば5時〜8時)における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量Qdを予測する。
【0037】
この場合、1日分の空調負荷量Qdを、特定の説明変数(空調が立ち上がる一定期間の負荷量)によって、一定の精度(例えば95%の精度)で同定することが可能である。
【0038】
そして、この予測した1日分の空調負荷量Qdに、算出済みの各時刻の負荷配分率rdnを乗じて各時刻の空調負荷量qを予測する。このようにして1日における各時刻の空調負荷量qを予測することにより、空調機器である熱源設備機器7を効率的に運転してエネルギ効率を向上させることができる。
【0039】
その際、本実施形態では、次のような効果が得られる。
【0040】
(1)プログラム構造がシンプルで低コスト。
【0041】
(2)簡易なアルゴリズムで予測結果が明確に得られる。
【0042】
(3)空調負荷の実績値の蓄積を基にした設定パラメータ(空調負荷予測のために採用する過去の一定期間)の更新が容易である。すなわち、XX月XX日〜YY月YY日の設定ができ、月、季節などで任意に指定できる。
【0043】
(4)空調機器を使用する建物固有の負荷特性にあったパラメータ(前述した回帰分析による建物固有の負荷配分率)を設定することが可能である。例えば、オフィスビルであれば、出勤時間帯やオフィスビル活動ピーク時間帯に応じて負荷配分率を設定でき、商業ビルであれば、繁忙時間帯である例えば平日夕刻や休日午後のピーク時間帯に応じて負荷配分率を設定できる。これらの建物は、時負荷量の変動パターンが統一性と法則性を一定レベルで有していることから、建物固有の負荷配分率を精度よく算出することができる。
【0044】
また、空調負荷予測の改善によって、蓄熱機器を備えた空調システムの最適化運転制御の採用が容易になり、簡単な操作で自動化運転が実現する。このことによって機器の成績係数が向上し、深夜電力の最大活用と電力ピークカット、ピークシフトなどにつながり、省エネルギとCO2削減に貢献することが可能となる。
【0045】
また、設備内容の変更や運用内容の変更には、プログラム構造等を変更することなく、予測式のパラメータ(空調負荷予測のために採用する過去の一定期間及び、当日の空調が立ち上がる一定時間における時刻)を変更することによって容易に対応することができる。
【0046】
また、本実施形態では、1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量に重み係数を設定し、この重み係数は、空調が立ち上がる時間に近いほど、過去に遡るほど、小さく設定している。このような設定とすることで、過去のデータ(負荷量)を利用する際に直近データから過去に遡るほど精度が悪くなるので、空調負荷予測をより高精度化することができる。
【0047】
また、本実施形態では、一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量は、複数日の同一時刻での平均値としているので、より高精度な空調負荷予測が可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、各時刻の1日に対する負荷配分率と、過去の一定期間の複数日の同時刻の負荷配分率の平均値との差が、少なくとも最も大きい日を除外して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出しているので、より高精度な空調負荷予測が可能となる。
【0049】
なお、上記した実施形態では、空調負荷として冷房負荷を用いて説明したが、暖房負荷であっても同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0050】
3 空調負荷予測部(時負荷配分率算出手段、日負荷量予測手段、時負荷量予測手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を1日分の空調負荷量で除して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出する時負荷配分率算出手段と、前記複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量を予測する日負荷量予測手段と、この日負荷量予測手段が予測した1日分の空調負荷量に、前記時負荷配分率算出手段で算出した各時刻の負荷配分率を乗じて各時刻の空調負荷量を予測する時負荷量予測手段とを有することを特徴とする空調負荷予測装置。
【請求項2】
前記1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量に重み係数を設定し、この重み係数は、前記空調が立ち上がる時間に近いほど小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の空調負荷予測装置。
【請求項3】
前記一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量は、前記複数日の同一時刻での平均値であることを特徴とする請求項1または2に記載の空調負荷予測装置。
【請求項4】
前記時負荷配分率算出手段は、前記各時刻の1日に対する負荷配分率と、前記過去の一定期間の複数日の同時刻の負荷配分率の平均値との差が、少なくとも最も大きい日を除外して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空調負荷予測装置。
【請求項5】
過去の一定期間における複数日それぞれの時刻毎の空調負荷量を1日分の空調負荷量で除して各時刻の1日に対する負荷配分率を算出するとともに、前記複数日の時刻毎の空調負荷量のうち、1日における空調が立ち上がる一定時間における各時刻の空調負荷量から1日分の空調負荷量を予測し、この予測した1日分の空調負荷量に、前記算出した各時刻の負荷配分率を乗じて各時刻の空調負荷量を予測することを特徴とする空調負荷予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220055(P2012−220055A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83743(P2011−83743)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(591014042)株式会社久米設計 (16)
【出願人】(390018706)ジョンソンコントロールズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】