説明

穿孔工具

【課題】コア片が発生しても溝内に存在する時間を少なくし、コア片を効率良く粉砕できる穿孔工具を提供すること。
【解決手段】穿孔工具1は、基端面にシャフト9を設け先端面にビット2を設けた台座5を備え、台座の先端面に設けた通水穴6aを、ビットの基端面から先端面まで連続して形成した溝部3内に露出するように設け、前記通水穴から流水させると共に、前記シャフトを回転させてビットにより被穿孔部材Wを穿孔する穿孔工具において、前記台座は、前記ビットの直径よりも小さな筒形状に形成されると共に、前記シャフトから連続し当該台座の基端面から前記通水孔まで形成した流路6を備え、前記ビットは、前記溝部の両側に形成された少なくとも一方の壁部分の基端側にビット切欠部4を備え、前記ビット切欠部は、前記被穿孔部材から発生するコア片の少なくとも一部が浸入できる大きさに、前記壁部分を切欠いて形成するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、石材、タイル等の被穿孔物を穿孔するために使用される穿孔工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートなどの被穿孔物を穿孔する穿孔工具としてのコアビットは、さまざまな構成のものが提案されている。例えば、円筒形のシャンクの先端に円弧状のダイヤモンド切刃を等間隔に設置したコアビットがある。このコアビットは、直径3cm以上の比較的大きな穿孔を形成する場合に使用されている。また、小さな直径を形成するダイヤモンドビットとしては、円柱形状の一部を一端面から他端面までV溝形状にきり欠いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このダイヤモンドビットは、円柱形状の一部を一端面から他端面までV溝形状に切欠いたV溝部を形成したビットと、このビットのV溝部内の一端側に設けたダイヤモンド砥石と、ダイヤモンド砥石及びビットを固定するベースとを備えている。
【0003】
また、穿孔作業を行う場合に、冷却液を使用する構成のビットも知られている(例えば、特許文献2〜4)。このビットは、円筒形の一部を一端面から他端面まで切欠いた矩形溝を形成したダイヤモンドクラウン部と、このダイヤモンドクラウン部の一端面に接続した中空円筒形状のステム基部とを備えている。そして、ビットは、ステム基部の中空部分から冷却液をダイヤモンドクラウン部側に供給することで、穿孔部分に冷却液を供給しながら穿孔作業を行うように構成されている。
【0004】
また、ビットにより穿孔作業を行う場合には、図9(a)〜(c)に示すように、V溝に対面する位置の中央部分となる被穿孔部材の一部がコアWcとして突出して柱状に長くなるように削られ、図9(c)、(d)に示すように、所定の長さで破断してV溝内にコア片cfとなる。発生したコア片cfは、その後、ビットBtや被穿孔部材の壁面に接触することで磨耗して徐々に粉砕されることになる。なお、穿孔工具は、ビットBtの中心からビット壁面までの距離によりコア径の大きさが決まり、コアを形成することで穿孔作業の効率があがる。
【0005】
また、冷却液を使用する穿孔工具としてシャンクに切欠きを形成するものも提案されている(例えば、特許文献5参照)。この穿孔工具は、シャンクの先端側にコアドリル(ビット)を設置し、コアドリル側となるシャンクの端部分を切欠いて排出路を形成し、切粉やコアが冷却液を供給する開口部を塞がないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−37059号公報
【特許文献2】実開平02−59904号公報
【特許文献3】特開2001−232628号公報
【特許文献4】特開2001−232629号公報
【特許文献5】特開2001−158015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した従来の穿孔工具(コアビット)では、以下に示すような問題点が存在した。
従来の穿孔工具は、V溝内にダイヤモンド砥石を配置してV溝内のコアを磨耗しながら穿孔作業を行う構成であると、小さな直径(例えば、10mm以内)のときに、コアが発生しても、ビットが小さいためにV溝内にダイヤモンド砥石に当たると直ぐに折れてしまいコアを磨耗させ難くなる。また、ビットの直径を小さいままで、コアを大きくなるようにV溝を大きく形成すると、コアの直径は大きくなるが、V溝内に設置したダイヤモンド砥石でコアを磨耗しながら穿孔作業を行う時間が長くなってしまう。つまり、穿孔工具は、ビットの中心部に近くなるにつれ、周速度が低くなるので、穿孔速度が上がらなくなってしまう。
【0008】
また、従来の穿孔工具では、コア片が発生したときに、そのコア片がV溝内に存在して留まると、つぎのコア部分あるいはコア片の行き場を塞ぎ、穿孔作業に支障を来たした。特に、冷却液を使用して穿孔作業を行う構成の穿孔工具では、コア片がV溝内に留まっていると、冷却口の開口部を塞ぐことにもなり不都合であった。
【0009】
さらに、シャンクに切欠きとなる排出路を備える穿孔工具では、コア片が発生したときにV溝から排出路側に導かれるようになり、V溝内にコア片が存在し難くなるように構成されている。しかし、コア片がシャンクと被穿孔部材の壁面との間に入ることで破砕することになり、本来ビットの外周面で行う粉砕とは異なる状態を生じ易くなってしまう。また、一旦、排出路側に導かれたコア片が再びV溝内に戻ることもあり、更に効率良くコア片を粉砕させることが望まれていた。
【0010】
本発明は、前記した問題点に鑑みて創案されたものであり、コア片が発生しても溝内に存在する時間を少なくし、コア片を効率良く粉砕できる穿孔工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係る穿孔工具は、以下に示すように構成した。すなわち、穿孔工具は、基端側にシャフトを設けた台座と、この台座の先端側に設けたビットとを備え、前記台座の先端側に設けた通水穴を前記ビットの一端側から他端側まで連続して形成した溝部内に露出するように前記ビットが前記台座に設置され、前記通水穴から流水させると共に、前記シャフトを回転させて前記ビットにより被穿孔部材を穿孔する穿孔工具において、前記台座は、前記ビットの直径よりも小さな筒形状に形成されると共に、前記シャフトから連続し当該台座の基端面から前記通水孔まで形成した流路を備え、前記ビットは、前記溝部の両側に形成された少なくとも一方の壁部分の基端側にビット切欠部を備え、前記ビット切欠部は、前記被穿孔部材から発生するコア片の少なくとも一部が浸入できる大きさに、前記壁部分を切欠いて形成するように構成した。
【0012】
かかる構成によれば、穿孔工具は、被穿孔部材を穿孔するときに、コア片が溝部内に発生した場合、遠心力によりビットの溝部内において外周側にコア片が送られ、かつ、ビットを穿孔方向に移動することに伴ってコア片がビットの基端側に移動して行く。穿孔工具は、コア片がビットの溝部内壁面に沿って移動していくときに、その壁部分にビット切欠部があると、そのビット切欠部にコア片が入り込もうとする。そして、穿孔工具では、ビット切欠部が、コア片の一部を浸入させる大きさに形成されているので、コア片の一部が入り込んだ状態で、その後ろから次のコア片等により押される状態になる。穿孔工具では、穿孔作業をするときに振動が発生するために、コア片の一部がビット切欠部に入り込んだ状態でビットが回転すると、コア片の部分が破壊あるいは磨耗し、また、コア片の一部がビットの外周面側に突出した状態であれば、その突出した部分が穴壁面と接触する等により磨耗あるいは破断されることで、コア片を小さくして行く。さらに、穿孔工具では、強制的にコア片がビット切欠部を通過しようとするときに、ビット切欠部の開口が拡がるようにビットの壁部分が削られるようになる。したがって、穿孔工具では、ビットの溝部に連続するように設けたビット切欠部がコア片を通過させる大きさではなくても、発生したコア片を磨耗あるいは破壊しやくすなり、使用頻度が進むにつれてビットのビット切欠部がコア片により拡大して、穿孔作業を効率的にする。
【0013】
また、前記した穿孔工具において、前記ビット切欠部は、前記溝部の両側に形成される一方の壁部分及び他方の壁部分において、前記ビットの回転方向に対して回転後方側となる位置に設けるように構成した。そして、前記した穿孔工具において、前記ビット切欠部は、前記ビットの基端に合わせて当該ビット切欠部の一端が形成される構成としてもよい。
かかる構成により、穿孔工具は、コア片が溝内の溝壁面に沿って移動するときに、コア片が回転後方側に位置する状態が長くなるので、そのコア片をビット切欠部に誘導しやすくなる。特に、穿孔工具は、ビット切欠部の一端がビットの基端に合わせて形成されていることで、ビットの溝部内において、コア片が集まり易い位置にビット切欠部が設置されコア片の磨耗、粉砕等のコア片による目詰まりをより解消しやすくなる。
【0014】
さらに、前記ビット切欠部は、前記ビットの中心から直近の溝部壁面までの距離の2倍となる最大コア径幅を超えるように、前記ビットの基端側から先端側に向かって前記壁部分を切欠いて形成する構成とした。
かかる構成により、穿孔工具は、発生したコア片が溝部内を送られて移動し、コア片の直径より大きく形成されたビット切欠部からビットの外周面と穴壁面との間に送り出されることで、コア片が粉砕されやすくなる。
【0015】
さらに、前記穿孔工具において、前記ビット切欠部は、前記ビットの基端側から先端側に連続して前記壁部分を切欠いて形成されことや、また、前記ビット切欠部は、前記ビットの基端側から先端側に向かう切欠高さと、前記ビットの外周面からの切欠深さと、その切欠深さにおける切欠幅とが、前記ビットの基端側から前記最大コア径幅を超える位置までの範囲に前記壁部分を切欠いて形成するようにしてもよい。
【0016】
かかる構成により穿孔工具は、ビットの基端側から先端側まで連続して切欠部を形成した場合には、コア片が発生したら、ビットのどの位置においても、コアの外周面と被穿孔部材の穴壁面とに送り出すことができる。また、穿孔工具は、ビットの基端側から所定範囲で切欠部を形成することで、ビットの振動を小さくすると共に、磨耗性についても、ビットの基端側から先端側まで連続して切欠部を形成する構成と比較して良好となる
【0017】
また、前記穿孔工具において、前記台座は、前記切欠に連続するように、当該台座の先端面から基端側に向かって、前記台座外周面を切欠いて台座切欠部を形成しても構わない。
かかる構成により、穿孔工具は、ビットのビット切欠部及び台座の台座切欠部により、コア片を、コアの外周面と被穿孔部材の穴壁面との間、あるいは、コアの外周面と台座の外周面と穴壁面との間に送ることができ、コア片の粉砕をより確実にする。
【0018】
さらに、穿孔工具は、基端面から他端面まで連続して溝部を形成したビットと、このビットの溝部から通水穴が露出するように前記ビットに設けられ当該ビットの直径よりも小さく形成された台座と、この台座の基端面に設けられ流路を有するシャフトとを備え、前記シャフトの流路を介して通水穴から流水すると共に、前記シャフトを回転させて前記ビットにより被穿孔部材を穿孔する穿孔工具において、前記ビットの溝部の両側に形成された少なくとも一方の壁部分の基端側から前記台座の先端側まで連続する位置に亘って切欠部を備え、前記切欠部は、前記ビットの中心から直近の溝部壁面までの距離の2倍となる最大コア径幅を超えるように形成される構成とした。
【0019】
かかる構成により、穿孔工具は、コア片が発生すると、ビットの回転により遠心力でビットの溝部内で穴壁面側に移動させられ、穿孔方向に移動させられることで、コア片がビットの基端側に移動する。穿孔工具は、コア片がビットの基端側に移動して来ると、切欠部からコア片が、ビットの外周面と穴壁面との間側に送り出されて粉砕される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る穿孔工具は、以下に示すように優れた効果を奏するものである。
穿孔工具は、ビットの溝部の壁部分を切欠いてビット切欠部をコア片の少なくとも一部が浸入できる大きさに形成していることで、コア片がそのビット切欠部に入り込んだ状態で粉砕されやすくなり、穿孔効率を上げる。また、穿孔工具では、コア片がビット切欠部に強制的に押し込まれることで、ビット切欠部の開口部分が磨耗して拡がるので、コア片がビットの外周面と穴壁面との間に送り出し易くなることで、コア片の磨耗、粉砕をより速やかに行うことができる。なお、穿孔工具は、ビット切欠部を所定の大きさで特定の位置に形成することで、よりコア片を磨耗、粉砕しやすくなる。
【0021】
穿孔工具は、穿孔作業によりコア片が発生しても、ビットの溝部に連続する壁部分に最大コア径幅を超えるようにビット切欠部を形成することで、発生したコア片をビットの外周面と被穿孔部材の穴壁面との間に送り出し易くして、そのコア片の粉砕をスムーズに行うことができ、穿孔作業を効率的に行うことができる。
【0022】
穿孔工具は、ビットの壁部分の一端側から他端側に連続して切欠部を形成することで、発生したコア片を直ぐに、ビットの外周面と被穿孔部材の穴壁面との間に導き粉砕することができる。
穿孔工具は、ビットの溝部を形成する壁部分に切欠高さ、切欠深さ、切欠幅について最大コア径幅を超える範囲部分にビット切欠部を最小限で形成することで、ビットの外周面と被穿孔部材の穴壁面との間に、コア片を送り出し易い構成を維持し、かつ、連続して切欠部を形成したものと比較して、ビットの振動を小さくすると共に、磨耗性についても優れる。なお、穿孔工具は、ビット切欠部と併せて台座にも台座切欠部を形成することで、よりコア片を磨耗、粉砕し易くすることができる。
【0023】
穿孔工具は、ビットの溝部を形成する壁部分から台座に亘って最大コア径幅を超えるように切欠部を形成することで、その切欠部からコア片を、ビットの外周側と穴壁面との間に導いて粉砕することができ、穿孔作業をより効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る穿孔工具を穿孔システムのドリル装置の先端に装着して全体を模式的に示す側面図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明に係る穿孔工具の第1実施形態を模式的に示す斜視図、穿孔作業状態を模式的に示す断面図、及び、正面図である。
【図3】本発明に係る穿孔工具の穿孔作業を模式的に示す模式図であり、(a)〜(c)は側面側からの断面を示す模式図、(d)は正面側からの断面を示す模式図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明に係る穿孔工具の第2実施形態を模式的にそれぞれ示す斜視図、平面図、正面図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明に係る穿孔工具の第3実施形態を模式的にそれぞれ示す斜視図及び平面図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明に係る穿孔工具の第3実施形態を模式的にそれぞれ示す斜視図、平面図及び斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明に係る穿孔工具の第4実施形態を模式的にそれぞれ示す斜視図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明に係る穿孔工具の第5実施形態の穿孔動作を模式的にそれぞれ示す斜視図である。
【図9】(a)〜(d)は、従来の穿孔工具の穿孔状態をそれぞれ模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
はじめに、図1を参照して、穿孔工具1を穿孔ドリル100に装着して穿孔システムS1において使用する状態の概略を説明する。なお、穿孔システムS1は、全ての実施形態に共通のものである。
【0026】
図1に示すように、穿孔システムS1は、冷却液である水を循環して穿孔作業を行うことができるものであり、穿孔ドリル100と、この穿孔ドリル100の回転シャフト101の先端側に設けた水受ガイド筒200と、この水受ガイド筒200に沿って平行に配置され前記回転シャフト101の移動を案内する移動ガイドバー300と、回転シャフト101の先端に水受供給部110を介して設けた接続シャフト102から当該接続シャフト102の先端に着脱自在に設置される穿孔工具1に冷却水を供給すると共に、水受ガイド筒200に排出される排水を回収する冷却水供給回収装置400とを備えている。
【0027】
移動ガイドバー300は、その基端側を穿孔ドリル100の取付部109にボルト等で固定され、その先端側を水受ガイド筒200の係合部201に挿通することで係合させている。
また、回転シャフト101の先端側には、水受ガイド筒200の後端側から挿通できる大きさの水受供給部110が、当該回転シャフト101が回転自在となるように設けられている。そして、回転シャフト101の水受供給部110内に位置する部分には、図示しない水受孔が形成され、供給ホース410を介して冷却水供給回収装置400から水受供給部110に冷却水が供給されると、回転シャフト101の水受孔の周りに冷却水が充満する。さらに、冷却水は、回転シャフト101の水受孔から接続シャフト102内に設けた流路を介して穿孔工具1の台座5に形成された通水穴6aから供給されるように構成されている。
【0028】
一方、水受ガイド筒200の先端側には、回収ホース420が接続されている。そして、接続シャフト102の先端に設けた穿孔工具1の台座5に形成した通水穴6aから供給された冷却水は、ビット2の穿孔時に使用され、ビット2で穿孔した被穿孔部材Wの粉と一緒になったもの(スラッジ)が水受ガイド筒200内に送り出すように構成されている。そして、冷却水供給回収装置400は、ポンプを介して回収ホース420から吸引しているので、水受ガイド筒200内の冷却水及びスラッジが吸引されて回収できるように構成されている。
【0029】
以上のように構成された穿孔システムS1は、以下のようにして穿孔作業を行う。はじめに、穿孔システムS1では、水受ガイド筒200の先端を、被穿孔部材Wである例えば壁面Wfに当接した状態とする。そして、水受ガイド筒200内に他端側から水受供給部110を挿入した状態で、穿孔工具1が壁面Wfに当接するまで穿孔ドリル100を移動ガイドバー300に案内して移動して準備する。
【0030】
穿孔システムS1は、冷却水供給回収装置400を作動させ、冷却水を供給ホース410を介して供給すると共に、回収ホース420を介して内部に設けたポンプにより吸引して回収するようにして、穿孔ドリル100のスイッチ107を入れて回転シャフト101を回転させることで、接続シャフト102及び穿孔工具1を回転させて穿孔作業を行う。そして、図示しない作業者が穿孔ドリル100のハンドル108を一方の手で把持すると共に、水受ガイド筒200を他方の手で支えながら、ハンドル108を壁面Wf側に押しながら穿孔作業を進めるようになる。なお、穿孔システムS1では、冷却水を循環して、ビット2を穿孔ドリル100で回転させて作業を行っているため、作業位置に使用した冷却水がほとんどまき散らかされることなく、穿孔作業を行うことができる。
【0031】
次に、穿孔システムS1で使用される穿孔工具の各実施形態について、図2〜図7を参照して説明する。はじめに、穿孔工具の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2(c)に示すように、穿孔工具1は、台座5と、台座5の基端側に設けたシャフト9と、台座5の先端側に設けたビット2とを備えている。そして、ビット2は、先端面から基端面に渡って形成した溝部3と、この溝部3に連続する壁部分に形成したビット切欠部としての切欠部4とを備えている。
【0032】
図2(a)、(b)に示すように、台座5は、ここでは、円筒形状に形成され、その中央に冷却水の流路6が形成されている。そして、台座5は、先端面に流路6の通水穴6aを形成し、通水穴6aが露出するようにビット2を設置すると共に、基端面にシャフト9が突出するように設けられている。さらに、台座5は、ここでは、シャフト9と一体に金属材料で形成されている。
図1及び図2(c)に示すように、シャフト9は、穿孔工具1を接続シャフト102に接続させるためのものである。このシャフト9は、外周面にネジが形成され、また、軸内部には、冷却水の流路が台座5に連続するように形成されている。
【0033】
ビット2は、例えば、メタルボンドと呼ばれる焼結金属の中にダイヤモンド粒が埋め込まれた素材を焼結して台座5に一体に形成されている。このビット2の素材は、穿孔作業で使用されるものであれば特に限定されることはない。
【0034】
図2(a)〜(c)に示すように、溝部3は、被穿孔部材WにコアWcを形成して穿孔作業を促進させるためと共に、冷却水を穿孔箇所に供給させるためのものである。この溝部3は、ここでは、ビット2の先端面から基端面に亘って連続して、中心側から外周面に向かって開口するように断面形状がV字状となる溝形状に形成されている。また、溝部3は、後記するように、基端面から先端面に向かって溝壁部分に、当該溝部3と連続して切欠部4が形成されている。
【0035】
溝部3は、図2(a)、(b)に示すように、切欠部4を除く部分において、後記する通水穴6aを越える位置に設けた中央溝壁面3a及びその中央溝壁面3aの両端から外周面まで形成される溝側壁面3b、3bにより外周面に扇形状に拡がったV字形状に形成されている。溝部3は、ここでは、中心側から外周面に向かって溝開口が拡がるように溝側壁面3b,3bが形成されているので、コア片cfが発生するとそのコア片cfをビット2の外周面側に送り出しやすい構成になっている。また、溝部3は、ビット2の基端面から先端面に亘って切欠部4を除く位置において、同一の溝開口幅となるように形成されている。
【0036】
切欠部4は、ここでは、溝部3に連続する位置の壁部分に、ビット2の基端側から最大コア径幅Sdを超えるまでの範囲に切欠いて形成されている。溝部3の壁部分は、一方の溝側壁面3bとビット2の外周面とにより構成される部分であり、ビット2の外周面が縮径する方向に、かつ、溝部3に連続するように、切欠いて切欠部4が形成されている。この切欠部4は、切欠きされた切欠幅w1と、切欠高さh1と、切欠深さd1のいずれもが、最大コア径幅Sdを超えるように形成されている。なお、切欠部4は、最大コア径幅Sdを超える大きさの切欠高さh1、切欠幅w1並びに切欠深さd1の最低限の大きさの範囲に亘って形成された開口となるように溝部3に連続して形成されている。また、切欠深さd1は、コア外周面から切欠いた深さを示す。さらに、切欠幅w1は、切欠深さd1における切りかかれた幅長さを示す。そして、切欠高さh1は、切欠深さd1における切りかかれた高さを示す。
【0037】
最大コア径幅Sdは、図2(b)に示すように、ビット2の中心から直近の溝部壁面までの距離の2倍となる値として設定されている。最大コア径幅Sdは、発生するコアWcの最大直径の値である。なお、実際にはコアWcの最大直径は、コア中心から直近の溝部壁面までの距離の2倍よりも、ビット2に振動が発生するために小さくなることが分かっている(例えば、Sd×0.8倍)。したがって、切欠部4は、最大コア径幅Sdより大きくなるように形成されていることで、確実にコア片cfを当該切欠部4からビット2の外周面側に送り出すことができる形状になっている。
【0038】
切欠部4は、ビット2の回転方向に対して、回転後方となる溝部3の壁部分に形成されている(図2(b)では紙面の左側壁部分)。切欠部4は、回転方向との関係を考慮して形成されることで、その溝部3内に発生したコア片cfをより当該切欠部4に誘導しやすい状態となる。つまり、穿孔工具1では、コア片cfが遠心力で穴壁面Hfに移動してその状態でビット2が回転するので、溝部3の回転後部側となる壁部分にコア片cfが誘導され、ビット2の穿孔方向に前進することにより溝部3内の先端側から基端側に送られることなる。
【0039】
そのため、コア片cfは、溝部3の溝側壁面3bに当接した状態で、徐々に切欠部4に向かって移動し、切欠部4の位置でビット2の外周面に送り出されることになる場合が多くなる。このように、穿孔工具1では、切欠部4を、最大コア径幅Sdよりも大きくなるように形成することで、コア片cfが発生しても、コア片cfが切欠部4から、ビット2の外周面と被穿孔部材Wの穴壁面Hfとの間に送り出され、発生したコア片cfを短時間で粉砕することが可能となる。
以上のように構成された穿孔工具1は、図1に示すように、接続シャフト102の先端に螺合することで接続され、穿孔ドリル100の駆動により回転し、かつ、冷却水供給回収装置400からの冷却水の供給により台座5の通水穴6aから冷却水を流水しながら穿孔作業を行う。つまり、図3に示すように、穿孔工具1は穿孔作業を行うことになる。
【0040】
図3(a)に示すように、穿孔工具1では、台座5に形成した通水穴6aから冷却水を流水しながら、ビット2により穿孔作業が進んで行くと、ビット2の中央にコアWcが形成される。そして、図3(b)に示すように、更に穿孔工具1による穿孔作業が進むと、コアWcが破断してコア片cfが発生する。図3(c)に示すように、コア片cfが発生すると、ビット2の溝部3内で転動し、あるいは溝側壁面3bに押し付けられた状態で遠心力によってビット2の外周側に送られると共に、ビット2の前進によりコア片cfがビット2の基端側に送られる。穿孔工具1では、コア片cfがビット2の基端側に送られると、ビット2の溝部3に連続して形成した切欠部4が最大コア径幅Sdよりも大きく形成されているので、その切欠部4によりコア片cfがビット2の外周面と穴壁面Hfの間に送り出される。
【0041】
そして、図3(d)に示すように、穿孔工具1では、コア片cfがビット2の外周面と穴壁面Hfの間に送り出されることで、ビット2によりコア片cfは粉砕されることになる。図3(c)及び図1に示すように、粉砕されたコア片cfは、冷却水によりシャフト9側に送り出され、被穿孔部材Wの磨耗粉と一緒に、水受ガイド筒200に接続されている回収ホース420を介して冷却水供給回収装置400に送られる。冷却水供給回収装置400に送られたスラッジは、濾過され、濾過された水が再び冷却水として供給されることになる。
【0042】
以上説明したように、コア片cfが発生しても、穿孔工具1は、ビット2の溝部3に切欠部4が連続して所定位置に所定の大きさで形成されていることで、そのコア片cfを迅速に粉砕して、穿孔作業をスムーズに進めることが可能となる。また、穿孔工具1は、後記する穿孔工具10と比較してビット2の切欠部4の形成される部分が小さく、ビット2の先端側の形状には影響がないので、使用寿命が通常のビットと変わらない。
【0043】
[第2の実施形態]
つぎに、図4を参照して穿孔工具の第2実施形態について説明する。
図4に示すように、穿孔工具10は、ビット12の溝部13の一端側から他端側に亘ってビット切欠部としての切欠部14が形成されている。
【0044】
切欠部14は、切欠幅w1及び切欠深さd1が最大コア径幅Sdよりも大きくなるように形成されている共に、切欠深d1がビット12の高さ方向の全面に亘って形成される切欠高さh1となるように形成されている。切欠部14は、溝部13が形成されることで、その溝部13の両側となる溝側壁面13b及びビット12の外周面で形成される2つの壁部分の一方において、ビット12の先端面から基端面に連続して切欠いて形成されている。そして、切欠部14は、ビット12の回転方向に対して、回転後方となる溝部13の壁部分に形成されている。
【0045】
このように構成された穿孔工具10は、コア片cfが発生しても、直ぐに切欠部14によりビット12の外周面となる位置と穴壁面Hfとの間にコア片cfを送り出すことができる。そのため、穿孔工具10は、コア片cfが発生しても直ぐにそのコア片cfを粉砕することができ、穿孔効率に優れている。
【0046】
さらに、図5〜図7を参照して穿孔工具の第3実施形態、第4実施形態について説明する。なお、図5〜図7では、同じ構成の部材には同じ符号を付してその説明を簡略又は省略する。
[第3の実施形態]
図5(a)、(b)及び図6(a)〜(c)に示すように、穿孔工具1A〜1Cは、それぞれ台座5に凹部15A、15B、15Cをそれぞれ形成したものである。
【0047】
図5(a)、(b)に示すように、穿孔工具1Aは、台座5に台座切欠部となる凹部15Aを形成している。この凹部15Aは、溝部3の溝幅の延長上に連続する台座5の位置で、かつ、切欠部4に連続するように形成されている。そして、凹部15Aは、ここでは、台座5の先端側から基端側に向かって形成され、凹部幅w2、凹部深さd2及び凹部長さh2は、それぞれ最大コア径幅Sdよりも大きくなるように形成されている。凹部15Aが台座5に切欠部4と連続する位置に形成されていることで、コア片cfを送り出す幅が広がり、コア片cfをよりビット2の外周面と穴壁面Hfとの間に送り出しやすくなる。また、台座5に形成される凹部15Aは、切欠部4と同じように、回転方向に対して溝部3の回転後方となる壁部分に対向する位置に形成されることで、よりコア片cfを送り出しやすくなる。
【0048】
図6(a)、(b)に示すように、穿孔工具1Bは、台座5に台座切欠部となる凹部15Bを形成している。この凹部15Bは、図5(a)の凹部15Aよりも凹部幅w3が大きく形成され、溝部3の幅よりも大きく切欠かれるように形成されている。なお、その他の構成は、図5(a)と同じである。このように、穿孔工具1Bは、台座5に凹部15Bを形成することで、コア片cfを送り出す幅がより広がりコア片cfをよりビット2の外周面と穴壁面Hfの間に送り出しやすくなる。
【0049】
図6(c)に示すように、穿孔工具1Cは、台座5に台座切欠部となる凹部15Cが形成されている。この凹部15Cは、図6(a)、(b)で示すものと同じ凹部幅w3で、かつ、凹部長さh3として、台座5の先端面から基端面に亘って連続する長さで形成されている。したがって、穿孔工具1Cは、台座5に凹部15Cを形成することで、コア片cfを送り出す幅がより広がりコア片cfをよりビット2の外周面と穴壁面Hfの間に送り出しやすくなると共に、コア片cfが発生して切欠部4によりビット2の外周面及び穴壁面Hfでコア片cfを粉砕したときに、完全に粉砕しなくても、凹部15Cによりコア片cfが冷却水でシャフト9側に送り出されやすくなる。
【0050】
[第4の実施形態]
つぎに、図7(a)〜(c)に示すように、穿孔工具10A〜10Cで示す構成としても構わない。穿孔工具10A〜10Cは、すでに説明した穿孔工具10のビット12の構成に、図5で説明した凹部15A〜15Cを形成した台座5を備える構成としたものである。このように、穿孔工具10A〜10Cでは、コア片cfが発生したときに、コア片cfをビット12の外周面と穴壁面Hfとの間に送り出し、コア片cfを粉砕し、さらに、凹部15A〜15Cを備えることで、コア片cfを確実にビット12の外周面と穴壁面Hfとの間に送り出し、さらに、コア片cfをシャフト9側送り流し易くすることができる。
【0051】
[第5の実施形態]
また、図8を参照して、穿孔工具20の構成及び穿孔動作を説明する。
図8に示すように、穿孔工具20は、穿孔工具1の切欠部4の大きさが異なるように形成した切欠部40を備えており、その他の構成は既に説明した穿孔工具1のものと同じである。穿孔工具20では、切欠部40を発生するコア片cfの少なくとも一部が浸入できる大きさに形成されている。切欠部40は、コア片cfの先端あるいは後端の周縁となる角部分となる一部が入り込むことができる大きさに形成されることで、そのコア片cfを磨耗、粉砕し易くしている。
【0052】
図8(a)に示すように、穿孔工具20は、被穿孔部材Wに対して穿孔作業を開始すると、ビット2が回転して溝部3内にコアWcを形成しながら穿孔して行く。そして、図8(b)に示すように、穿孔工具20の穿孔作業が進んでいくと、コアWcが破断してコア片cfが発生する。図8(c)に示すように、コア片cfが発生して穿孔工具20が穿孔方向に進むことで、コア片cfが溝部3内の壁面に沿って台座5側に移動して、切欠部40にコア片cfの一部が浸入して入り込んだ状態となる。
【0053】
また、図8(d)に示すように、コア片cfは、溝部3内において複数が発生して存在している場合がある。そのために、切欠部40に入り込んだコア片cfを、後に発生したコア片cfが後ろから押圧して強制的に切欠部40に、先に発生したコア片cfを押し込む方向に作用する。したがって、切欠部40に入り込んだコア片cfは、磨耗あるいは粉砕されることで小さくなり、切欠部40からビット2の外周面と穴壁面Hfの間に送り出されて更に小さく磨耗あるいは粉砕される。
【0054】
そして、切欠部40は、コア片cfが強制的に通過しようとするときに、その開口周縁が磨耗して徐々に開口部分が拡がり、コア片cfが強制的に通過しようとする動作を繰り返すことで開口部分からコア片cfが通過できるような大きさになる。ビット2の材料は、コンクリートや石材等の被穿孔部材Wを研磨、研削するための焼結金属であることと、直径が小さいため、被穿孔部材Wの穿孔作業を繰り返し行うことで、徐々に磨耗していくことになる。そして、穿孔工具20では、ビット2が磨耗してビット2の長さが短くなり取り替えることになるよりも、切欠部40の大きさが拡がるほうが早いので、その切欠部40がコア片cfの直径よりも大きくなった状態で使用することが可能となる。したがって、切欠部40は、コア片cfの少なくとも一部が入り込むことができる大きさになっていれば、コア片cfを磨耗、粉砕することができるようになる。当然、はじめからコア片cfの直径よりも大きな開口であれば、既に説明した他の実施形態のように、スムーズにコア片cfを磨耗あるいは粉砕することが可能となる。
【0055】
なお、ビット2,12、20の外周面とは、ビット2,12、20の上面、円周面、下面等となる位置であり、穴壁面Hfとによりコア片cfを磨耗、あるいは、粉砕できる位置を示している。そして、穿孔工具1,1A〜1C,10,10A〜10C、20は、図1に示すと同様に冷却水を循環して使用することで、室内作業であっても床等に冷却水を撒き散らすことなく穿孔作業を行うことが可能となる。
【0056】
また、ビット2,12に形成された溝部3,13は、V溝形状として説明したが、凹(矩形)溝形状である構成としてもよい。また、溝部3,13は、基端面から先端面に向かって溝幅が変わらない構成として説明したが、中央溝壁面3a,13a及び溝側壁面3b,13aに基端側から先端側に向かって先端面開口が拡がるように傾斜角度を形成するようにしても構わない。
【0057】
さらに、穿孔工具1A〜1C、10A〜10Cにおいて、切欠部4と凹部15A〜15Cは、切欠深さd1あるいは凹部深さd2での全体の高さ(h1+h2)、最大の幅(d1+d2)が、最大コア径幅Sdよりも大きくなるように形成するようにしてもよい。切欠部4,14と凹部15A〜15Cの両方とで構成される部分が最大コア径幅Sdよりも大きく形成されることでも、コア片cfを効率よく磨耗あるいは粉砕することが可能となる。
【0058】
また、切欠部4,40が形成される位置は、ビット2の基端側であり、ビット2の中央よりも基端面に近い位置にあることが好ましく、さらに、基端面に切欠部4,40の一端が揃うように形成されることがより好ましい。これは、ビット2が回転することと、ビット2が穿孔方向に進むことにより、コア片cfがビット2の回転方向後方となる溝部3を形成する壁部分に導かれるようになるから、そのコア片cfが導かれる位置に切欠部4,40が形成されることがより適切にコア片cfを磨耗あるいは粉砕することができるためである。
【0059】
さらに、ビット2,12には、その溝部3,13の壁部分の一方に切欠部4,14、40を設ける構成として説明したが、切欠部4,14、40を複数設ける構成としても構わない。すなわち、穿孔工具では、切欠部4,40を、同じ壁部分に高さ方向に違えて複数配置することや、または、溝部3,13を挟んで異なる壁部分にそれぞれ、切欠部4,4を設けることや、あるには、切欠部4、40を設けることや、さらに、一方の壁部分に切欠部14を設け、他方の壁部分に切欠部4、40のいずれか、あるいは、両方を設けるように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1,1A〜1C,10,10A〜10C,20 穿孔工具
2,12 ビット
3,13 溝部
3a,13a 中央溝壁面
3b,13b 溝側壁面
4,14、40 切欠部(ビット切欠部)
5 台座
6 流路
6a 通水穴
9 シャフト
15A,15B,15C 凹部(台座切欠部)
100 穿孔ドリル
101 回転シャフト
102 接続シャフト
107 スイッチ
108 ハンドル
109 取付部
110 水受供給部
200 水受ガイド筒
201 係合部
300 移動ガイドバー
400 冷却水供給回収装置
410 供給ホース
420 回収ホース
cf コア片
Hf 穴壁面
S1 穿孔システム
Sd 最大コア径幅
W 被穿孔部材
Wf 壁面
Wc コア
d1 切欠深さ
h1 切欠高さ
w1 切欠幅
w2 凹部幅
w3 凹部幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端面にシャフトを設けた台座と、この台座の先端面に設けたビットとを備え、前記台座の先端面に設けた通水穴を前記ビットの基端面から先端面まで連続して形成した溝部内に露出するように前記ビットが前記台座に設置され、前記通水穴から流水させると共に、前記シャフトを回転させて前記ビットにより被穿孔部材を穿孔する穿孔工具において、
前記台座は、前記ビットの直径よりも小さな筒形状に形成されると共に、前記シャフトから連続し当該台座の基端面から前記通水孔まで形成した流路を備え、
前記ビットは、前記溝部の両側に形成された少なくとも一方の壁部分の基端側にビット切欠部を備え、
前記ビット切欠部は、前記被穿孔部材から発生するコア片の少なくとも一部が浸入できる大きさに、前記壁部分を切欠いて形成したことを特徴とする穿孔工具。
【請求項2】
前記ビット切欠部は、前記溝部の両側に形成される一方の壁部分及び他方の壁部分において、前記ビットの回転方向に対して回転後方側となる前記壁部分に形成されることを特徴とする請求項1に記載の穿孔工具。
【請求項3】
前記ビット切欠部は、前記ビットの基端面に合わせて当該ビット切欠部の一端が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穿孔工具。
【請求項4】
前記ビット切欠部は、前記ビットの中心から直近の溝部壁面までの距離の2倍となる最大コア径幅を超えるように、前記ビットの基端面から先端面に向かって前記壁部分を切欠いて形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の穿孔工具。
【請求項5】
前記ビット切欠部は、前記ビットの基端面から先端面に連続して前記壁部分を切欠いて形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の穿孔工具。
【請求項6】
前記ビット切欠部は、前記ビットの基端面から先端側に向かう切欠高さと、前記ビットの外周面からの切欠深さと、その切欠深さにおける切欠幅とが、前記ビットの基端面から前記最大コア径幅を超える位置までの範囲に前記壁部分を切欠いて形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の穿孔工具。
【請求項7】
前記台座は、前記切欠に連続するように、当該台座の先端面から基端側に向かって、前記台座外周面を切欠いて台座切欠部を形成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の穿孔工具。
【請求項8】
基端面から他端面まで連続して溝部を形成したビットと、このビットの溝部から通水穴が露出するように前記ビットに設けられ当該ビットの直径よりも小さく形成された台座と、この台座の基端面に設けられ流路を有するシャフトとを備え、前記シャフトの流路を介して通水穴から流水すると共に、前記シャフトを回転させて前記ビットにより被穿孔部材を穿孔する穿孔工具において、
前記ビットの溝部の両側に形成された少なくとも一方の壁部分の基端側から前記台座の先端側まで連続する位置に亘って切欠部を備え、
前記切欠部は、前記ビットの中心から直近の溝部壁面までの距離の2倍となる最大コア径幅を超えるように形成されたことを特徴とする穿孔工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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