説明

窒素酸化物を含むガスの処理方法

【課題】 一酸化窒素及び二酸化窒素を含む空気等の処理対象ガスから、優れた処理能力で効率よくこれらの窒素酸化物を除去できる処理方法を提供する。
【解決手段】 一酸化窒素及び二酸化窒素を含む空気等の処理対象ガスを、相対湿度が20%以下となるように処理した後、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤と接触させて、該ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に転化し、さらに二酸化窒素除去剤と接触させて、該ガスから二酸化窒素を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化窒素及び二酸化窒素を含むガスの処理方法に関する。さらに詳細には、空気等のガス中に水分とともに含まれる一酸化窒素及び二酸化窒素を、効率よく除去するための処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル自動車等から排出される窒素酸化物等の排出量の低減を図るため、平成4年に自動車NOx法が制定され、さらに平成13年に自動車NOx・PM法が制定されている。自動車NOx・PM法は、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質に関する総量削減基本方針、総量削減計画であり、目標数値に適合しない自動車(車種)は、将来規制されることが盛り込まれている。このような規制に対して、運転状況に応じて最適な空燃比にフィードバック抑制可能な内燃機関、あるいは窒素酸化物等を効率よく分解可能なパラジウム等の貴金属触媒の開発が行われてきた。
【0003】
前記に関連して、従来からシャシダイナモメータを用いて、各種走行モードで自動車を運転した際に排出される排ガスを、ガス測定装置に供給して、排ガスに含まれる窒素酸化物等の有害成分を分析することが行なわれている。窒素酸化物の濃度を測定する際には、窒素酸化物を全く含まないゼロガスが必要であり、このようなゼロガスを供給する手段としては、ゼロガスが充填された高圧ガスボンベを使用することができるが、使用量が多く高価なボンベを使用することは不経済であるという不都合があった。そのため、空気を原料とし、吸着剤、触媒、あるいは除去剤を利用して空気中の窒素酸化物を除去する各種の処理方法等が開発されてきた。
【0004】
このような窒素酸化物の除去処理方法としては、例えば特許文献1の明細書中に記載されているように、窒素酸化物を含むガスを、常温で、アルミナ、シリカ、ゼオライト等の高比表面積の無機質担体に、過マンガン酸カリウム、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム等を担持させた酸化剤と接触させた後、活性炭、ゼオライト等の吸着剤と接触させて、該ガスに含まれる窒素酸化物を除去する方法がある。また、特許文献2に記載されているように、無機質担体に金属硫酸塩のアンミン錯体を担持させた浄化剤と接触させて該ガスに含まれる窒素酸化物を除去する方法がある。
【特許文献1】特開平6−106030号公報
【特許文献2】特開2004−305949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された処理方法は、吸着除去し難い一酸化窒素を二酸化窒素に転化した後、吸着剤と接触させて窒素酸化物を除去する方法であるが、窒素酸化物の処理能力(処理剤単位量当りの窒素酸化物の除去量)が小さいという問題点があった。また、特許文献2に記載された処理方法も、窒素酸化物の処理能力が比較的に小さかった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、空気等の処理対象ガスに含まれる窒素酸化物を、優れた処理能力で効率よく該ガスから除去できる処理方法を提供することである。
【0006】
尚、半導体製造装置から排出されるような高濃度の窒素酸化物を含む排ガスの処理方法に関しては、アンモニア等の還元性ガスを添加し、加熱下で金属または金属化合物からなる触媒と接触させて、窒素酸化物を窒素及び水に還元分解することにより除去する処理方法がある。この方法は、優れた処理能力を有するが、還元性ガスの添加量が多くなってしまった場合は、アンモニア等の有害ガスが下流側に排出されるので、還元性ガスの流量のコントロールが難しいという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、一酸化窒素及び二酸化窒素を含む処理対象ガスを、予め相対湿度が20%以下となるように処理することにより、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤による一酸化窒素から二酸化窒素への転化反応速度が向上し、処理対象ガスに含まれる窒素酸化物を、優れた処理能力及び除去率で効率よく除去できることを見出し、本発明の窒素酸化物を含むガスの処理方法に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、一酸化窒素及び二酸化窒素を含むガスを、相対湿度が20%以下となるように処理した後、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤と接触させて、該ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に転化し、さらに二酸化窒素除去剤と接触させて、該ガスから二酸化窒素を除去することを特徴とする窒素酸化物を含むガスの処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の窒素酸化物を含むガスの処理方法は、該ガスの相対湿度が20%以下の条件で、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤と接触させるので、一酸化窒素から二酸化窒素への転化反応速度が向上する。その結果、窒素酸化物の濃度が比較的に低い空気等のガスであっても、優れた除去能力及び除去率で効率よく処理対象ガスから窒素酸化物を除去することが可能である。また、一酸化窒素を二酸化窒素に転化する反応速度が向上するので、転化剤と二酸化窒素除去剤を混合して充填することも可能となり、これらの充填装置を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、例えば、自動車から排出される排ガスをガス測定装置に供給して、排ガスに含まれる窒素酸化物等の有害成分を分析する際に用いられる、窒素酸化物を全く含まない基準用あるいは比較用のゼロガスの調製に適用される。本発明における処理対象ガスは、半導体製造装置あるいは自動車から直接排出されるような高濃度の窒素酸化物を含むガスではなく、空気、あるいは自動車の排ガス測定場所の近辺から採取される窒素酸化物が多少多く含まれている空気等であり、通常は一酸化窒素及び二酸化窒素窒が含まれ、これらの合計の濃度が2ppm以下のガス(空気)である。
【0011】
本発明の窒素酸化物を含むガスの処理方法は、一酸化窒素及び二酸化窒素を含む処理対象ガスを、相対湿度が20%以下、好ましくは相対湿度が15%以下となるように処理した後、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤と接触させて、該ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に転化し、さらに二酸化窒素除去剤と接触させて、該ガスから二酸化窒素を除去する方法である。
尚、日本における各地の相対湿度(月別平均)は、図5に示す通りであり、年間を通して通常は50%以上で、20%以下となるようなことはない。
【0012】
本発明において、処理対象ガスを相対湿度が20%以下となるように処理する方法としては、処理対象ガスを加熱する処理方法(通常は50〜120℃、好ましくは55〜110℃、さらに好ましくは60〜100℃)、または処理対象ガスを水分吸着剤(ゼオライト、活性炭等)と接触させて水分を除去する処理方法がある。通常はどちらか一方の処理方法が行なわれるが、これらの両方の処理方法を行なってもよい。
【0013】
本発明に用いられる転化剤は、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた剤であり、前記の無機質担体としては、ゼオライト、アルミナ、またはシリカ等のセラミックスを例示することができる。前記の転化剤は、例えば無機質担体に過マンガン酸カリウムを含む水溶液を添加し、乾燥することにより調製される。転化剤に含まれる過マンガン酸カリウムの含有率は、通常は5wt%以上かつ30wt%以下、好ましくは8wt%以上かつ20wt%以下である。過マンガン酸カリウムの含有率が5wt%未満の場合または30wt%を超える場合は、転化剤の能力(転化剤単位量当りの酸化能力)が低下する虞がある。尚、転化剤に含まれる水の含有率は、通常は10wt%以下である。
【0014】
本発明に用いられる二酸化窒素除去剤は、二酸化窒素を効率よく除去できれば特に制限されることはないが、処理能力が優れた除去剤としては、例えば、酸化マンガンを含む金属酸化物にアルカリ金属化合物の水酸化物またはアルカリ土類金属化合物の水酸化物を担持させた除去剤、またはアルカリ活性炭等を挙げることができる。本発明においては、通常はこれらの除去剤のうち1種類の除去剤が用いられるが、2種類以上の除去剤を用いてもよい。
【0015】
前述の酸化マンガンを含む金属酸化物にアルカリ金属化合物の水酸化物またはアルカリ土類金属化合物の水酸化物を担持させた除去剤には、金属酸化物として酸化マンガンのほか酸化銅を含むことが好ましい。酸化マンガンと酸化銅の含有比率は、重量比で酸化マンガン:酸化銅が、通常は1:0〜5.0程度である。尚、酸化マンガンは通常は酸化マンガン(IV)であり、酸化銅は通常は酸化銅(II)である。さらに不純物として金属あるいは他の金属酸化物が含まれていてもよいが、金属及び金属酸化物全量に対する酸化銅及び酸化マンガンの含有率の合計は、通常は70wt%以上、好ましくは90wt%以上である。
【0016】
また、アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を、アルカリ土類金属化合物の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム等を例示することができるが、これらの中では窒素酸化物の除去処理能力が優れている点で水酸化カリウムを用いることが好ましい。このような除去剤は、例えば前記の金属酸化物に、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属化合物の水酸化物を含む水溶液を添加し、乾燥することにより調製される。除去剤に含まれる水酸化物の含有率は、通常は除去剤全量に対して5wt%以上かつ50wt%以下、好ましくは10wt%以上かつ40wt%以下である。尚、調製された除去剤に含まれる水の含有率は、通常は10wt%以下である。
【0017】
前述のアルカリ活性炭は、BET比表面積700〜3000m/gのアルカリ性の活性炭である。このような活性炭は、例えばヤシ殻等の炭素原料を、600〜800℃程度の温度で、重量比で前記炭素原料の数倍のKOH等のアルカリを用いて賦活した後、アルカリが少量残存する程度に洗浄し、これを乾燥することにより容易に得ることができる。また、水蒸気を用いて賦活した前記BET比表面積を有する活性炭に、アルカリ性水溶液を添着させたり、活性炭をアルカリ性水溶液に浸漬させた後、乾燥することによっても得ることができる。
【0018】
本発明の窒素酸化物を含むガスの処理は、例えば、図1に示すような、ヒータ1と、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤3及び二酸化窒素除去剤4を充填した処理筒を備えた処理装置、あるいは、図2に示すような、水分吸着剤2を充填した吸着筒と、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤3及び二酸化窒素除去剤4を充填した処理筒を備えた処理装置を用いて行なわれる。また、本発明においては、一酸化窒素を二酸化窒素に転化する反応速度が速いので、図3に示すように、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤及び二酸化窒素除去剤の混合剤5を用いることも可能である。
【0019】
窒素酸化物を含むガスを図1、図2の処理装置により処理する際、転化剤とガスの接触温度は、通常は50〜120℃となるようにコントロールされる。また、転化剤、除去剤が充填された処理筒内の圧力は、いずれの装置であっても通常は常圧であるが、10KPa(絶対圧力)のような減圧下あるいは1MPa(絶対圧力)のような加圧下で操作することも可能である。尚、転化剤による一酸化窒素から二酸化窒素への転化率、除去剤による二酸化窒素の除去率は、いずれも通常は99.9%以上である。
【0020】
尚、窒素酸化物を含むガスが前記よりも高い温度で供給される場合が考えられる。例えば、処理対象ガスが窒素酸化物のほかメタンを含み、メタンを除去する必要があるときは、加熱下(120℃以上の温度)で触媒と接触させてメタンを分解する方法がある。このようにガスを他の処理(窒素酸化物の除去以外の処理)のために加熱する場合には、処理対象ガスを転化剤と接触させる前に冷却して50〜120℃の温度範囲となるようにコントロールする必要があるが、転化剤と接触する際の相対湿度が20%以下であれば本願発明の範囲に含まれるものである。処理装置としては、例えば図4に示すような装置を用いることができる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【0022】
[実施例1〜5]
(転化剤及び除去剤の調製)
市販の合成ゼオライト(細孔径10Å相当)に、過マンガン酸カリウム水溶液を添加した後、約80℃の温度で乾燥して表1に示すような数種類(過マンガン酸カリウムの重量含有率が、各々5%、10%、20%)の転化剤を調製した。また、市販のホプカライト(直径1.5mm、長さ3〜10mmの押し出し成型品)に、水酸化カリウム水溶液を添加した後、約60℃の温度で乾燥して表2に示すような数種類(酸化マンガンと酸化銅の含有比率が、各々重量比で1:1、1:0.5、0.5:1)の除去剤を調製した。また、市販のアルカリ活性炭を用意した。
【0023】
(転化試験)
予熱ヒータとステンレス製の処理筒(内径28.4mm、長さ400mm、ヒータ内蔵)からなる処理装置を製作し、前記のように調製した転化剤80gを処理筒に充填した。次に、30ppmの一酸化窒素含む、温度20℃、相対湿度70%の空気を14.7L/minの流量で処理筒に導入して、一酸化窒素を二酸化窒素に転化する試験を行なった。(試験時間の短縮のため、窒素酸化物の濃度を高く設定した。)この間、空気と転化剤との接触温度が、各々70℃(相対湿度5.2%)、60℃(相対湿度8.2%)、50℃(相対湿度13.3%)となるようにヒータの温度を調節した。また、処理装置の出口ガスをサンプリングして、NOx計(NO、NOを別々に検知可能、検知下限:0.2ppb)により、転化剤が破過し一酸化窒素が検出されるまでの時間を測定し、転化剤の処理能力及び転化率を求めた。その結果を表1に示す。
【0024】
[実施例6、7]
実施例1の転化剤の調製において、合成ゼオライトの替わりにアルミナ(粒子状)及びシリカ(粒子状)を用いたほかは実施例1と同様にして転化剤(過マンガン酸カリウムの重量含有率は10%)を調製した。次に、この転化剤を用いたほかは実施例1と同様にして転化試験を行なった。その結果を表1に示す。
【0025】
[実施例8〜10]
上流側に吸着筒(内径28.4mm、長さ400mm)と下流側にステンレス製の処理筒(内径28.4mm、長さ400mm)を有する処理装置を製作した。充分な量の市販の合成ゼオライトを吸着筒に充填し、転化剤80gを処理筒に充填した。次に、30ppmの一酸化窒素含む、温度20℃、相対湿度70%の空気を14.7L/minの流量で処理筒に導入して、一酸化窒素を二酸化窒素に転化する試験を行なった。この間、処理装置の出口ガスをサンプリングして、NOx計(NO、NOを別々に検知可能、検知下限:0.2ppb)により、転化剤が破過し一酸化窒素が検出されるまでの時間を測定し、転化剤の処理能力及び転化率を求めた。その結果を表1に示す。
【0026】
[実施例11〜13]
予熱ヒータとステンレス製の処理筒(内径28.4mm、長さ400mm、ヒータ内蔵)からなる図1に示すような処理装置を製作し、充分な量の実施例1と同じ転化剤と、酸化マンガンと酸化銅からなる除去剤80gを処理筒に充填した。次に、30ppmの一酸化窒素及び30ppmの二酸化窒素含む、温度20℃、相対湿度70%の空気を14.7L/minの流量で処理筒に導入して、これらの窒素酸化物を除去する試験を行なった。この間、空気と転化剤との接触温度が、70℃(相対湿度5.2%)となるようにヒータの温度を調節した。また、処理装置の出口ガスをサンプリングして、NOx計(NO、NOを別々に検知可能、検知下限:0.2ppb)により、除去剤が破過し二酸化窒素が検出されるまでの時間を測定し、除去剤の処理能力を求めた。その結果を表2に示す。
【0027】
[実施例14〜16]
吸着筒(内径28.4mm、長さ400mm)とステンレス製の処理筒(内径28.4mm、長さ400mm、ヒータ内蔵)からなる図2に示すような処理装置を製作した。充分な量の市販の合成ゼオライトを吸着筒に充填し、充分な量の実施例1と同じ転化剤と除去剤80gを処理筒に充填した。次に、30ppmの一酸化窒素及び30ppmの二酸化窒素含む、温度20℃、相対湿度70%の空気を14.7L/minの流量で処理筒に導入して、これらの窒素酸化物を除去する試験を行なった。この間、処理装置の出口ガスをサンプリングして、NOx計(NO、NOを別々に検知可能、検知下限:0.2ppb)により、除去剤が破過し二酸化窒素が検出されるまでの時間を測定し、除去剤の処理能力を求めた。その結果を表2に示す。
【0028】
[実施例17]
実施例11の除去試験において、酸化マンガンと酸化銅からなる除去剤の替わりにアルカリ活性炭からなる除去剤を用いたほかは実施例11と同様にして除去試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0029】
[実施例18]
実施例14の除去試験において、酸化マンガンと酸化銅からなる除去剤の替わりにアルカリ活性炭からなる除去剤を用いたほかは実施例14と同様にして除去試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0030】
[実施例19]
実施例11の除去試験において、転化剤と除去剤を混合して用いた(図3の処理装置に対応する)ほかは実施例11と同様にして除去試験を行なった。その結果、除去剤の処理能力は10.5L/Lであった。
【0031】
[実施例20]
実施例14の除去試験において、転化剤と除去剤を混合して用いたほかは実施例14と同様にして除去試験を行なった。その結果、除去剤の処理能力は15.3L/Lであった。
【0032】
[実施例21]
実施例1の転化試験において、温度20℃、相対湿度70%の一酸化窒素を含む空気を150℃に加熱した後、70℃まで冷却して転化剤と接触させたほかは実施例1と同様にして転化試験を行なった。その結果、転化剤の処理能力は14.3L/L、転化率は99.9%以上であった。
【0033】
[実施例22]
実施例11の除去試験において、温度20℃、相対湿度70%の窒素酸化物を含む空気を150℃に加熱した後、70℃まで冷却して転化剤と接触させたほかは実施例11と同様にして除去試験を行なった。その結果、除去剤の処理能力は11.2L/Lであった。
【0034】
[比較例1]
実施例1の転化試験において、空気と転化剤との接触温度が40℃(相対湿度22%)となるようにヒータの温度を調節したほかは実施例1と同様にして転化試験を行なった。その結果を表4に示す。
【0035】
[比較例2]
実施例1の転化試験において、空気を加熱しなかった(相対湿度70%)ほかは実施例1と同様にして転化試験を行なった。その結果を表4に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
以上のように、本発明の窒素酸化物を含むガスの処理方法は、転化剤による一酸化窒素から二酸化窒素への転化反応速度が向上し、優れた除去能力及び除去率で効率よく処理対象ガスから窒素酸化物を除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実施するための処理装置の例を示す構成図
【図2】本発明を実施するための図1以外の処理装置の例を示す構成図
【図3】本発明を実施するための図1、図2以外の処理装置の例を示す構成図
【図4】本発明を実施するための図1〜図3以外の処理装置の例を示す構成図
【図5】日本の各地における相対湿度(月別平均)を示すグラフ
【符号の説明】
【0042】
1 ヒータ
2 水分吸着剤
3 転化剤
4 除去剤
5 転化剤と除去剤の混合剤
6 熱交換器
7 冷却器
8 一酸化窒素及び二酸化窒素を含むガスの導入口
9 処理されたガスの排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化窒素及び二酸化窒素を含むガスを、相対湿度が20%以下となるように処理した後、無機質担体に過マンガン酸カリウムを担持させた転化剤と接触させて、該ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に転化し、さらに二酸化窒素除去剤と接触させて、該ガスから二酸化窒素を除去することを特徴とする窒素酸化物を含むガスの処理方法。
【請求項2】
一酸化窒素及び二酸化窒素を含むガスが空気である請求項1に記載のガスの処理方法。
【請求項3】
ガスの相対湿度を20%以下となるように行なう処理が、ガスを加熱する処理である請求項1に記載のガスの処理方法。
【請求項4】
ガスの相対湿度を20%以下となるように行なう処理が、ガスを水分吸着剤と接触させる処理である請求項1に記載のガスの処理方法。
【請求項5】
ガスの相対湿度を20%以下となるように行なう処理が、ガスを他の処理のために加熱した後、50〜120℃の温度まで冷却する処理である請求項1に記載のガスの処理方法。
【請求項6】
無機質担体が、ゼオライト、アルミナ、またはシリカである請求項1に記載のガスの処理方法。
【請求項7】
二酸化窒素除去剤が、酸化マンガンを含む金属酸化物にアルカリ金属化合物の水酸化物またはアルカリ土類金属化合物の水酸化物を担持させた除去剤、またはアルカリ活性炭である請求項1に記載のガスの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−30199(P2012−30199A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174116(P2010−174116)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000229601)日本パイオニクス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】