窓開閉検出装置
【課題】装置内蔵の磁気感知素子に対し分離配置されるマグネットの許容設置範囲を広くして充分な分解能の磁力レベルが得られるようにする。
【解決手段】装置を設置した窓に対し相対移動する他方の窓側に配置したマグネットに対し窓開閉検出装置に第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1と第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2を配置する。センサ選択部は、第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2で検出された磁力レベルを比較し、開閉監視に最も有効なホールセンサを選択する。窓開閉監視部は、選択したホールセンサで検出した磁力レベルと所定の判定閾値の比較により窓の開又は閉を判定して判定結果を無線送信させる。
【解決手段】装置を設置した窓に対し相対移動する他方の窓側に配置したマグネットに対し窓開閉検出装置に第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1と第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2を配置する。センサ選択部は、第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2で検出された磁力レベルを比較し、開閉監視に最も有効なホールセンサを選択する。窓開閉監視部は、選択したホールセンサで検出した磁力レベルと所定の判定閾値の比較により窓の開又は閉を判定して判定結果を無線送信させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の開閉状態をホールセンサなどの磁気感知素子を使用して検出する窓開閉検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象として窓の開閉を検出して警報させる窓開閉検出装置が知られている。このような窓開閉検出装置にあっては、窓ガラスに配置したマグネットの磁力を磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときに窓開閉と判断して警報させる。また窓に設けたクレセント錠の開閉レバーに配置したマグネットの磁力を別の磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときにクレセント錠の開放と判断して警報させる装置もある。
【0003】
従来の窓開閉装置に使用される磁気感知素子は主に磁力の強弱に応じて接点を機械的にオン、オフするリードスイッチを使用していたが、近年にあっては、ホール効果を利用して磁力を検出するホールセンサが使用されている。
【0004】
ホールセンサを磁気感知素子として使用する場合、検出対象とするマグネットに近いほど強い磁力がホールセンサを通過することで高いセンサ出力が得られる。ホールセンサで検出した磁気レベルに基づく窓の開閉検出は、窓を閉じた状態で検出される磁気レベルの最大値に対し、所定比率低い値を判定閾値として設定する。監視中に、検出している磁気レベルが低下して判定閾値以下になったら窓開と判定して警報させる。
【0005】
また窓の開放を判定した後に、磁気レベルが増加して判定閾値を超えた時、窓閉と判定して警報を復旧させるようにしている。
【0006】
窓開閉検出装置を現場で窓サッシに取り付ける場合、引き違い窓の内側の縦枠の横に窓開閉検出装置を両面テープやビス止めなどで固定し、窓縦枠に固定した窓開閉検出装置の側面に相対する外側の窓ガラスに短冊状のマグネットを位置合せして両面テープで貼り付ける。
【0007】
この位置合せは上下方向におけるマグネットのセンターが装置内蔵のホールセンサの位置となるようにすることが望ましいが、装置外部からはホールセンサの位置は分からないため、例えば装置上端にマグネット上端を合わせると正しい位置決めができるようにしている。この取り付け状態でマグネットと装置内蔵のホールセンサとの距離が略最短となり、最大磁力レベルまたはそれに近いレベルが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−281636号公報
【特許文献2】特開2001−14990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の窓開閉検出装置の現場における取り付け作業にあっては、窓縦枠に取り付けた窓開閉検出装置の例えば上端にマグネットの上端を合わせることで位置決めするようにしていたとしても、実際の現場作業においては、必ずしも正しい位置決めができず、マグネットとホールセンサの上下方向の位置関係が大きくばらつく。
【0010】
このような位置のばらつきは、マグネットからの距離の増加に対し磁力が距離の2乗に比例して低下する関係にあることから、位置ずれが大きいと窓閉鎖状態でホールセンサにより検出される磁力レベルが低くなって窓開閉に対する分解能が低下し、窓開閉に対する検出精度が低下する恐れがある。
【0011】
この問題を解決するためには現場における取り付け作業の位置決め精度を高めれば良いが、取り付け現場におれる窓の状況も様々であり、位置決め誤差の許容範囲が狭いために現場での取り付け作業に手間と時間がかかる問題がある。
また、採用するマグネットが複数種あり場合は、マグネットの寸法や磁力パターンが異なりため、採用するマグネットとホールセンサとの位置により検出精度が異なる。
【0012】
本発明は、装置内蔵の磁気感知素子に対し分離配置されるマグネットの許容設置範囲を広くして窓閉鎖状態で充分な分解能の磁力レベルが得られるようにした窓開閉検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は窓開閉検出装置に於いて、
監視対象に配置したマグネットによる磁力レベルを検出する複数の磁気感知素子と、
窓の閉鎖状態で複数の磁気感知素子で検出された磁力レベルを比較し、窓の状態監視において最も検出精度が高い磁力レベルが得られた磁気感知素子を選択する磁気感知素子選択部と、
選択された磁気感知素子で検出した磁力レベルと所定の判定閾値の比較により窓の開又は閉を判定する窓開閉監視部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで、本発明の窓開閉検出装置は、例えば2つの磁気感知素子を備え、窓縦枠に対する設置状態で2つの磁気感知素子を上下方向に所定距離を離して配置する。
【0015】
本発明の窓開閉検出装置は、更に、窓の閉鎖状態で登録操作を判別した際に、選択された磁気感知素子により磁力レベルを検出して登録し、登録した磁力レベルに基づいて判定閾値を求めて登録する登録処理部を設けたことを特徴とする。
磁気感知素子選択部で選択されなかった磁気感知素子は、通常窓開閉状態監視に使用しないマグネットが不正に近づいたことを監視するために使用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装置本体に縦方向に所定距離を離して例えば2つの磁気感知素子としてのホールセンサを配置し、窓閉鎖状態で2つのホールセンサで検出されるマグネットによる磁力レベルの内、窓の状態監視において最も検出精度が高い磁力レベルが得られたほうの磁力レベルとなるホールセンサを選択することで、分離配置されるマグネットの上下方向の取り付け位置にずれがあっても、最適なホールセンサが選択され、マグネットの位置ずれの影響を受けることなく、充分な分解能を持つ磁力レベルによる高精度の窓の開閉検出ができる。
【0017】
また、窓開閉検出装置に組み合わせて使用するマグネットが、使用している磁性材料の相違から高さ方向の寸法が相違していたとしても、異なる寸法のマグネットの配置に対し最も有効な監視ができるホールセンサが選択され、マグネットそのものの寸法の相違に対しても充分な分解能をもつ磁力レベルによって高精度の窓の開閉検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図
【図2】本発明による窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図
【図3】図1の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図
【図4】本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図
【図5】図4のAD変換ポートによる磁気レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図
【図6】本実施形態における2つの窓開閉検出用ホールセンサの検出信号から取得した磁力レベルの距離に対する関係を示したグラフ図
【図7】本実施形態におけるクレセント錠検出マグネットとホールセンサの関係を示した説明図
【図8】本実施形態における施錠検出用ホールセンサの距離に対する磁力レベルの関係を示したグラフ図
【図9】図4のプロセッサによる本実施形態の窓開閉検出処理を示したフローチャート
【図10】図9のステップS3における窓開閉登録処理の詳細を示したフローチャート
【図11】図9のステップS4におけるクレセント錠登録処理の詳細を示したフローチャート
【図12】図9のステップS7における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャート
【図13】図9のステップS8における施錠監視処理の詳細を示したフローチャート
【図14】サイズの異なる2種のマグネットを使用した場合の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図である。図1において、本発明の窓開閉検出装置10は監視対象とする引き違い窓の窓サッシ12a,12bの縦枠に両面テープ又はビスなどにより固定される。
【0020】
窓開閉検出装置10の上側には、窓サッシ12a,12bを閉じた状態で、相対する位置に窓開閉検出マグネット14を両面テープで貼り付けており、窓開閉検出マグネット14からの磁力を内蔵した磁気感知素子としてのホールセンサにより検出している。
【0021】
窓サッシ12a,12bを開くと、窓開閉検出マグネット14が窓開閉検出装置10から離れることで磁力が低下し、この磁力の低下をホールセンサで検出して窓開を示す検出信号を別途設置された監視盤に無線で送信して警報させる。
【0022】
また窓開閉検出装置10はその下端を窓サッシ12a,12bに設けているクレセント錠16に近接するように配置し、クレセント錠14の開閉レバー18に貼り付けたクレセント錠検出マグネット20の磁力を下端側に内蔵した別のホールセンサで検出している。
【0023】
クレセント錠16は開閉レバー18を図示の垂直方向に回した操作位置で窓サッシ12a,12bを施錠しており、このときクレセント錠検出マグネット20は窓開閉検出装置10に最も近接してホールセンサで検出する磁力が最大となり、施錠状態を検出している。
【0024】
開閉レバー18を下側に回してクレセント錠16を開錠すると、クレセント錠検出マグネット20が離れることで磁力が低下し、この磁力の低下をホールセンサで検出して解錠状態を示す検出信号を監視盤に無線送信して警報させる。
【0025】
図2は本発明による窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図である。図2において、本実施形態の窓開閉検出装置10は装置本体22とカバー部材24で構成され、カバー部材24は装置本体22に対し着脱自在であり、正面中央に表示窓57を設け、装置本体22の表示部(不図示)の表示状態が見えるようにしている。
【0026】
装置本体22は、ボディケース36内に回路基板38を組み立てている。
【0027】
回路基板38の上部側にはセンサ基板45が起立され、ここに第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1と第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2を所定距離Lだけ離して配置している。また回路基板38の下端にはクレセント錠検出用ホール素子48が設置される。
【0028】
図3は図1の設置状態における窓開閉検出用のホールセンサ46とマグネット14の関係を示した説明図であり、図3(A)に平面を示し、図3(B)に横方向から見た状態を示している。
【0029】
図3(A)に示すように、本実施形態の窓開閉検出装置10は内側に位置する窓サッシ12aの縦枠に両面テープ又はビスにより取り付けられ、窓開閉検出装置10の右側面に相対して窓サッシ12bのガラス面に窓開閉検出マグネット14を両面テープで接着している。
【0030】
窓開閉検出装置10に内蔵した窓開閉検出用ホールセンサは、図3(B)に示すように、センサ基板45に第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1と第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2を所定距離Lだけ離して上下に配置している。
【0031】
第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2に対する窓サッシ12bのガラス面におけるマグネット14の取付許容範囲は、センサ中心線47を中心に上下にそれぞれ距離Lだけ離れた境界線49a,49bの間の範囲となる。
【0032】
図3(B)はマグネット14の上下方向の中心を上側に配置した第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1に位置決めした状態であり、マグネット14から見て第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1までの距離が、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2までの距離より短いため、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの検出信号による磁力レベルの方が大きくなり、このため図3(B)の場合には、磁力レベルの大きいセンサの方が、充分な分解能を持つ高精度の窓の開閉検出ができるとして、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1が窓開閉監視のために選択される。
【0033】
図3(C)はマグネット14の上下方向の中心を下側に配置した第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2に位置決めした状態であり、マグネット14から見て第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2までの距離が、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1までの距離より短いため、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2からの検出信号による磁力レベルの方が大きくなり、このため図3(C)の場合には、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2が窓開閉監視のために選択される。
【0034】
即ち、マグネット14の上下方向の中心がセンサ中心線47の上側の距離Lの範囲にあれば第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1が選択され、センサ中心線47の下側の距離Lの範囲にあれば第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1が選択される。
【0035】
なお、窓の構造によっては窓サッシ12bが内側となり、その縦枠に図3とは反対向きに窓開閉検出装置10が設置される場合もある。その場合は窓サッシ12aのガラス面に貼り付けた窓開閉検出マグネット14による磁力線は窓開閉検出用ホールセンサ46を左から右に通過して、図3(B)の場合とは逆方向となるため、窓開閉検出用ホールセンサ46からはマイナスとなる逆極性の磁力レベル検出信号が出力される。
【0036】
図4は本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図である。図4において、制御部として設けられたプロセッサ50はワンチップマイコンとして知られたコンピュータであり、1チップにCPU、ROM,RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどを備えており、本実施形態ではEEPROMなどの不揮発メモリ68を外付けしている。
【0037】
第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路52−1で増幅された後にAD変換ポート70−1に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ50に取り込まれる。
【0038】
同様に、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路52−2で増幅された後にAD変換ポート70−2に与えられ、デジタル変換した磁力レベルをプロセッサ50に取り込まれる。
【0039】
また、施錠検出用ホールセンサ48で検出したクレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20による磁力レベル検出信号も増幅回路54で増幅された後にAD変換ポート72に与えられ、デジタル変換した磁力レベルをプロセッサ50に取り込まれる。
【0040】
プロセッサ50に対しては、表示部56、登録スイッチ60及び無線送信部66が設けられている。
【0041】
表示部56は2色LEDを設けており、例えば窓開や解錠に応じて異なる色で点灯して状態を表示する。
【0042】
登録スイッチ60は本実施形態の窓開閉検出装置10の使用開始時に行う窓開閉登録モードとクレセント錠登録モードの設定に使用される。
無線送信部66は送信回路が設けられ、監視状態を監視盤に対して無線送信を行う。
【0043】
不揮発メモリ68には、窓開閉検出装置10を窓に設置した状態で行われる窓開閉登録処理の際に選択された第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1又は第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2から取得した磁力レベルVsi(但しi=1又は2)と、磁力レベルVsiに基づいて求めた窓開閉検出の第1窓判定閾値TH1と、悪戯などによる強い磁石を近づけたときの磁力を検出する第2窓判定閾値TH2が記憶されている。
【0044】
また不揮発メモリ68には、窓開閉登録処理に続いて行われるクレセント錠登録処理で施錠検出用ホールセンサ48から取得した磁力レベルVs3と、磁力レベルVs3に基づいて求めた錠開閉検出の錠判定閾値TH3が記憶されている。
【0045】
プロセッサ50にはCPUによるプログラムの実行により実現される機能として、センサ選択部74、窓開閉登録処理部76、施錠登録処理部78、窓開閉監視部80、施錠監視部82及び通信制御部84が設けられている。
【0046】
センサ選択部74は、登録スイッチ60の操作により窓開閉登録モードを設定したときに動作し、窓の閉鎖状態で第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2の検出信号から取得された磁力レベルVs1,Vs2を比較し、大きい方のレベルが得られたホールセンサを選択する。このホールセンサの選択は、具体的にはAD変換ポート70−1,70−2からの磁力レベルの取込みを選択する。
【0047】
窓開閉登録処理部76は、窓閉鎖状態でセンサ選択部74により選択されている例えばAD変換ポート70−1からの窓開閉検出マグネット14による磁力レベルVs1を所定周期で取得し、予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルを超えていた場合には、不揮発メモリ68に磁力レベルVs1として記憶する。
【0048】
なお、初期登録時に測定した第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2の検出信号から取得された磁力レベルVs1,Vs2共に不揮発メモリ68に初期登録してもよい。
【0049】
初期登録が済むと選択したホールセンサにより登録した磁力レベルVs1に対し所定の比率だけ低いレベルを窓開閉の第1窓判定閾値TH1として算出して不揮発メモリ68に登録する。つまり、窓が開かれてホールセンサの磁力検出レベル値が低下したことで窓開を判定する為の閾値TH1を登録する。更に、初期登録した磁力レベルVs1に対し通常ではあり得ない所定の比率だけ高いレベルを悪戯により近づけられた強い磁石の磁力を判定する第2窓判定閾値TH2として不揮発メモリ68に登録する。
【0050】
施錠登録処理部78は、登録スイッチ60の再操作でクレセント錠登録モードを設定した際に動作し、LED56が点滅している間、即ち登録スイッチ60を操作してから所定の登録有効期間の間にクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を近づけた状態とする。
【0051】
施錠登録処理部78は、クレセント錠登録モードの動作中、所定周期で施錠検出用ホールセンサ48から検出した磁力レベルを取得し、予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルを超えていた場合には、不揮発メモリ68に磁力レベルVs3として記憶する。
【0052】
登録処理部74は、初期登録した磁力レベルVs3に対し所定比率だけ低いレベルを算出して錠判定閾値TH3として不揮発メモリ68に登録する。つまり、クレセント錠が開かれてホールセンサの磁力検出レベル値が低下したことでクレセントの開錠を判定する為の閾値TH3を登録する。
【0053】
窓開閉監視部80はセンサ選択部74により選択されている例えばAD変換ポート70−1から取り込まれた第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの磁力レベルを不揮発メモリ68から読み出した第1窓判定閾値TH1と比較し、窓の開又は閉を判定し、判定結果を示す電文を無線送信部66から監視盤に送信して警報又は警報解除を行わせる。
【0054】
また、窓開閉監視部80は外部から強力な磁石を近づけることで磁力レベルが閾値TH1以下としないようにして窓を開けるよう悪戯による不正行為に対処するため、選択されているAD変換ポート70−1から取り込まれた第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの磁力レベルを不揮発メモリ68から読み出した第2窓判定閾値TH2と比較し、磁力レベルが第2窓判定閾値TH2を超えた時にも窓開と見做して警報を行う。
【0055】
なお、施錠及び解錠時の磁力レベルに基づき通常使用状態の磁力レベルの適正範囲を設定し、磁力レベルが適正範囲から上下に外れた場合には不正行為が発生したと判定するようにしても良い。つまり、適正使用範囲の上限値を施錠時の磁力レベルよりも所定比率分高い値に設定し、下限値を解錠時の零点レベルよりも所定比率小さい値に設定して、適正範囲内に磁力レベルがあるかを検出して不正行為を判定するようにしてもよい。これはクレセント錠の磁力レベルの測定や窓開閉検出の磁力レベルの測定のいずれにおいても適用できる。
【0056】
施錠監視部82は施錠検出用ホールセンサ48から得られた磁力レベルを施錠登録処理部78により設定した錠判定閾値TH3と比較し、錠判定閾値TH3以下となった場合にクレセント錠の開と判断して錠開を示す電文を無線送信部66から監視盤に送信して警報させる。また、施錠監視部80は、錠開を検出した後に、錠閉に戻った場合にも、その旨の電文を監視盤に無線送信する。
【0057】
通信制御部84は窓開閉監視部80及び施錠監視部82の判断に基づく電文を送信させる。
【0058】
図5は図4のAD変換ポート70−1による磁気レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図である。図5に示した第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1は磁力線の通過方向によりプラス極性の磁気レベル検出信号とマイナス極性の磁気レベル検出信号を出力する。
【0059】
第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの磁気レベル検出信号は増幅回路52−1で増幅され、増幅された磁力レベル検出信号(電圧信号)はAD変換される。
【0060】
このAD変換ポート70−1の変換特性は、縦軸に示すように、10進AD変換値として0〜256の値を持ち、入力するプラス極性の磁気レベル検出信号0〜+VmaxをAD変換値128〜256に変換し、入力するマイナス極性の磁気レベル検出信号0〜−VmaxをAD変換値128〜0に変換する。なお、AD変換ポート70−2,72も図5と同じ変換特性となる。
【0061】
図6(A)は本実施形態における装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dに対する第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。なお、実際のAD変換ポート70−1,70−2の変換特性は図5のようになるが、図6にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0062】
図6(A)の特性は例えば図3(B)の設置状態で、装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dをd=0〜24mmの範囲で変化させて測定した磁力レベルに対応したAD変換値を示しており、特性Aが第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1による磁力レベルであり、特性Bが第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2による磁力レベルである。
【0063】
このような特性について、例えば現場で設置した際の距離dがd=9mmであったとすると、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1による特性Aでは磁力レベルVs1であり、また第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2による特性Bでは磁力レベルVs2であり、この場合、図4のプロセッサ50に設けたセンサ選択部74は大きい磁力レベルVs1を取得した第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1を選択し、以後の磁力レベルはAD変換ポート70−1から取り込むようにする。
【0064】
図6(B)はセンサ選択部74により選択された第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1による特性Aを取り出しており、P点で得られた磁力レベルVs1を不揮発メモリ68に初期登録する。続いて、初期登録した磁力レベルVs1より所定比率αだけ低い値を第1窓判定閾値TH1を
TH1=Vs1−α・Vs1
として算出し、不揮発メモリ68に登録する。
【0065】
更に、初期登録した磁力レベルVs1を所定比率β増加して通常監視ではあり得ない値とした第2窓判定閾値TH2を
TH2=Vs1+β・Vs1
として算出し、外部から強力な磁石を近づける悪戯などの不正行為を窓開とみなす判定閾値として不揮発メモリ68に登録する。
【0066】
ここで図6(B)に示した磁力レベルVs1、第1窓判定閾値TH1,第2窓判定閾値TH2を図5のAD変換値に反映させると、磁力レベルがプラス極性の場合は、P点の磁力レベルVs1はVs1=Vs1+128、Q点の窓判定閾値TH1はTH1=128+TH1、R点の窓判定閾値TH2はTH2=128+TH2となる。
【0067】
また磁力レベルがマイナス極性の場合には、S点の磁力レベルVs1はVs1=128−Vs1、T点の窓判定閾値TH1はTH1=128−TH1、U点の窓判定閾値TH2はTH2=128−TH2となる。
【0068】
図7は、本実施形態におけるクレセント錠検出マグネット48と施錠検出用ホールセンサ48の関係を示した説明図である。図7において、窓開閉検出装置10における装置本体22のクレセント錠側の端部には施錠検出用ホールセンサ48が配置され、その前方(下方)にカバー部材24に収納した円錐状の集磁体26を配置している。
【0069】
クレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20は、開閉レバー18の施錠状態で図示のカバー部材24の外端面から距離hに位置し、この施錠位置での距離hが最小距離となる。クレセント錠検出マグネット20からの磁束は集磁体26の大径入射面に入った後、反対側の小径出射面に収束されて施錠検出用ホールセンサ48を通過する。
【0070】
このようなクレセント錠検出マグネット20による磁束は施錠検出用ホールセンサ48で磁力に応じた電圧信号として検出され、増幅回路54で増幅した後にAD変換ポート72により磁力レベル(AD変換値)として読み込まれる。
【0071】
図8は図7に示した装置端面からクレセント錠検出マグネット20までの距離hに対する施錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。
【0072】
なお、実際のAD変換ポート72の変換特性は図5と同じになるが、図8にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0073】
図4のプロセッサ50に設けた施錠登録処理部78は、例えばP点の磁力レベルVs3を取得したとすると、取得した磁力レベルVs3を不揮発メモリ68に初期登録する。
【0074】
続いて、初期登録した磁力レベルVs3から所定比率γ分低い値として施錠判定閾値TH3を
TH3=Vs2−γ・Vs2
として算出して不揮発メモリ68に登録する。
【0075】
図9は図4のプロセッサによる本実施形態の監視処理を示したフローチャートである。
【0076】
図9において、図3に示したような現場設置が済んだ状態で電源が投入されると、ステップS1で初期化処理と自己診断処理が実行され、異常が無ければステップS2に進み、不揮発メモリ68に記憶されているデータを読み込む。
【0077】
続いてステップS3に進み、カバー部材24を開いて登録スイッチ60をオン操作することによって窓開閉登録処理を実行し、磁力レベルVs1と窓判定閾値TH1,TH2を不揮発メモリ68に登録する。
【0078】
続いて、ステップS4に進み、登録スイッチ60を再度オン操作することによって施錠監視登録を実行し、磁力レベルVs3と錠判定閾値TH3を不揮発メモリ68に登録する。
【0079】
続いてステップS5で所定の監視周期への到達の有無を判定しており、監視周期への到達を判定するとステップS6に進んで電池44に対するローバッテリ監視処理を実行する。このとき電池電圧が規定電圧以下に低下していると、ローバッテリを示す電文を監視装置に無線送信して障害表示を行わせる。
【0080】
次にステップS7で窓開閉監視処理を実行し、窓開又は窓閉を判定すると、その内容を示す電文を監視装置に送信する。更にステップS18でクレセント錠の施錠監視処理を実行し、錠開又はその後の錠閉を判定すると、その内容を示す電文を監視装置に送信する。続いてステップS9で定期通報時間経過かを判別し、経過を判別した場合にはステップS10に進み、定期通報電文を監視装置に送信する定期通報処理を行う。
【0081】
図10は図9のステップS3における窓開閉登録処理の詳細を示したフローチャートである。図10において、まずステップS11で登録スイッチ60のオン操作を判別しており、磁力レベルの初期登録のため、窓を閉鎖した状態で図4に示したように窓開閉検出マグネット14を最小距離に設定し、登録スイッチ60を操作すると、登録スイッチオンが判別されてステップS12に進み、赤色LED56aを点滅し、ステップS13で窓開閉登録モードをスタートする。
【0082】
登録モードがスタートすると、ステップS14でAD変換ポート70−1,70−2から第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2による磁力レベルVs1,Vs2を取得し、ステップS15で高い方の磁力レベルを読み込むようにAD変換ポート70−1又は70−2を選択する。
【0083】
続いて、ステップS16で所定の登録可能期間を経過したか否か判別しており、登録可能期間が経過するまでの間、ステップS17に進んで、選択した磁力レベルを取得し、ステップS18で取得した磁力レベルを予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルである場合には、ステップS19に進み、不揮発メモリ68に磁力レベルVs1として記憶する。有効レベルの値であるかの判定とは、測定した磁力レベルに基づき、窓の開閉状態及び侵入者が不正にマグネットを近づけたこと判断できるかどうかであり、その後のステップで算出する窓判定閾値TH1、TH2共に図6のAD変換値の0付近に存在しない、及び128付近もしくは128以上の飽和値にならない閾値設定できる磁力レベルかどうかで判定する。
【0084】
続いてステップS20で初期登録した磁力レベルVs1から所定比率αだけ低い窓判定閾値TH1を算出して不揮発メモリ68に登録する。
【0085】
またステップS21で初期登録した磁力レベルVs1を所定比率βだけ高い外部から強い磁石を近づける悪戯による不正行為を判定するための窓判定閾値TH2を算出して不揮発メモリ68に登録する。
【0086】
不揮発メモリ68に磁力レベルVs1及び窓判定閾値TH1,TH2が登録されると、ステップS22で窓開閉監視部80による窓開閉の監視処理を開始させ、ステップS23で表示部56の緑色LED56bを点灯して登録完了を報知する。
【0087】
一方、登録スイッチ60の操作により登録モードを設定している登録可能期間の間に、ステップS18で有効レベルを超える磁力レベル得られなかった場合には、ステップS16で登録可能期間を経過を判別したときにステップS24に進んで赤色LED56aを点滅から点灯に切り替えて初期登録の失敗を表示し、ステップS25で登録処理のエラー状態を登録すると共に、窓開閉監視処理部78による窓開閉の監視を解除する。
【0088】
図11は図9のステップS4におけるクレセント錠登録処理の詳細を示したフローチャートである。図11において、まずステップS31で登録スイッチ60のオン操作を判別しており、磁力レベルの初期登録のため、開閉レバー18を解錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を最大距離に設定し、カバー部材24を開いて登録スイッチ60を操作すると、登録スイッチオンが判別されてステップS32に進み、赤色LED56aを点滅し、ステップS33で登録モードをスタートする。
【0089】
続いて、ステップS34で所定の登録可能期間が経過したか否か判別しており、登録可能期間が経過するまでの間、ステップS35に進んで、磁力レベルVs3を取得し、ステップS36で有効に開閉状態を監視できる範囲の値か否か判別する。監視に有効な値であればステップ37に進み、取得した磁力レベルVs3として記憶し、ステップS38で正常の登録されたことを点灯表示する。
【0090】
続いてステップS39に進み、初期登録した磁力レベルVs3から所定比率γだけ低い錠判定閾値TH3を算出して不揮発メモリ68に登録し、ステップS40で施錠監視部82によるクレセント錠の施錠監視を開始させる。
【0091】
一方、登録スイッチ60の操作により登録モードを設定している登録可能期間の間に、カバー部材24を閉じてクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に戻す操作を行わなかった場合には、ステップS36で有効レベルを超える磁力レベル得られないために、ステップS34で登録可能期間を経過を判別したときにステップS41に進んで赤色LED56aを点滅から点灯に切り替えて初期登録の失敗を表示し、ステップS42で登録処理のエラー状態を登録すると共に、施錠監視処理部78によるクレセント錠の施錠監視を解除する。
【0092】
図12は図9のステップS7における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0093】
図12において、まずステップS51で選択されている例えば第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS52に進んで前回が窓開判定であることを判別すると、ステップS53に進んで窓判定閾値TH1と比較する。
【0094】
ステップS53で磁力レベルが窓判定閾値TH1以下であればステップS54に進んで窓開判定とし、この場合、窓閉の判定状態から窓開の判定状態となる異常検出状態への変化であることから、ステップS55で赤色LED56aを点灯し、異常検出状態への状態変化を報知する。
【0095】
続いてステップS56で窓開判定の電文を監視装置に向けて無線送信し、無線送信が終了するとステップS57で赤色LED56bを消灯する。
【0096】
一方、ステップS53で磁力レベルが窓判定閾値TH1を超えていた場合はステップS58で窓判定閾値TH2と比較し、窓判定閾値TH2以上の場合は、悪戯などにより強力な磁石を外から近づけたことによる磁力レベルの異常な増加と判断し、ステップS54に進んで窓開判定とし、ステップS55〜S57で赤色LED56aを窓開判定電文の無線送信が終了するまで点灯駆動する。
【0097】
また、ステップS52で前回が開判定であった場合には、ステップS59に進み、磁力レベルが窓判定閾値レベルTH1より大きく、窓判定閾値TH2より小さいときはステップS60に進んで窓閉判定を行う。
【0098】
続いてステップS61で施錠監視部82により現在クレセント錠の閉判定中か否か判別し、閉判定中であれば、窓閉で且つ錠閉となる正常監視状態に変化していることからステップS62に進んで緑色LED56aを選択する。一方、ステップS61で開判定中であれば、窓開で且つ錠閉となる異常検出状態にあることからステップS63に進んで赤色LED56bを選択する。
【0099】
そしてステップS64に進み、選択した赤色LED56a又は緑色LED56bを点灯してステップS65で窓閉の判定電文を無線送信し、送信が終了するとステップS66で点灯しているLEDを消灯する。
【0100】
図13は図9のステップS8におけるクレセント錠開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0101】
図13において、まずステップS71で施錠検出用ホールセンサ48により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS72に進んで前回が錠閉判定であることを判別すると、ステップS73に進んで錠判定閾値TH3と比較する。
【0102】
ステップS73で磁力レベルが錠判定閾値TH3以下であればステップS74に進んで錠開判定とし、この場合、錠閉の判定状態から錠開の判定状態となる異常検出状態への変化であることから、ステップS75で赤色LED56aを点灯し、異常検出状態への状態変化を報知する。
【0103】
続いてステップS76で錠開判定の電文を監視装置に向けて無線送信し、無線送信が終了するとステップS77で赤色LED56bを消灯する。
【0104】
ステップS72で前回が開判定であった場合には、ステップS78に進み、磁力レベルが錠判定閾値レベルTH3より大きいときはステップS79に進んで錠閉判定を行う。
【0105】
続いてステップS80で窓開閉監視部80により現在窓の閉判定中か否か判別し、閉判定中であれば、窓閉で且つ錠閉となる正常監視状態に変化していることからステップS81に進んで緑色LED56aを選択する。
【0106】
一方、ステップS80で窓開判定中であれば、窓開で且つ錠閉となる異常検出状態にあることからステップS82に進んで赤色LED56bを選択する。そしてステップS83に進み、選択した赤色LED56a又は緑色LED56bを点灯してステップS84で錠閉の判定電文を無線送信し、送信が終了するとステップS85で点灯しているLEDを消灯する。
【0107】
図14は、サイズの異なる2種のマグネットを使用した場合の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図である。
【0108】
図14(A)はサマリウムコバルト磁石14−1を使用した場合であり、また図14(B)はネジウム磁石14−2を使用した場合である。ネオジウム磁石14−1は最も強力な磁石であり、これに次ぐ磁石としてサマリウムコバルト磁石14−2が知られている。
【0109】
このため同じ磁力を発生するようにした場合、図14(A)のサマリウムコバルト磁石14−1の長さL1に対し、図14(B)のネジウム磁石14−2の長さはL2と短くなる。
【0110】
そこで図14(A)のように、窓開閉検出装置10に設けた例えば図2のカバー部材24のマーカ24aなどで決まる取付基準線90にサマリウムコバルト磁石14−1の上端を位置決めしたとき、上下方向の中心が第2窓開閉検出用ホールセンサ14−2に相対するようにする。この場合には、第2窓開閉検出用ホールセンサ14−2による磁力レベルの方が大きいため、AD変換ポート70−2による磁力レベルの読込みが選択される。
【0111】
一方、図14(B)のように、窓開閉検出装置10の取付基準線90にネジウム磁石14−2の上端を位置決めしたとき、上下方向の中心が第1窓開閉検出用ホールセンサ14−2に相対するようにする。この場合には、第1窓開閉検出用ホールセンサ14−1による磁力レベルの方が大きいため、AD変換ポート70−1による磁力レベルの読込みが選択される。
【0112】
このように本実施形態にあっては、磁性材料の相違によりサイズの異なる2種のマグネットの互換使用を可能とする。
【0113】
なお、上記の実施形態にあっては、窓開閉検出用ホールセンサを2つ上下方向に所定距離だけ離して配置した場合を例にとるものであったが、3つ以上のホールセンサを配置しても良い。
【0114】
また、上記の実施形態にあっては、ホールセンサのオフセットを含む磁力レベルを初期登録して判定閾値を求めているが、ホールセンサのオフセットを測定して不揮発メモリに記憶しておき、初期登録した磁力レベルから判定閾値を算出する際に、磁力レベルからオフセットを差し引いて磁力レベル変化量を正確に求め、この変化量から所定比率低い値を求め、この値にオフセットを加算して判定閾値としても良い。
【0115】
また、上記の実施形態においては、磁力レベルの高い方のホールセンサを選択して窓の開閉監視を行っているが、登録時に測定した高い方の磁力レベルが、監視するにあたって有効な範囲の磁力レベルを超える例えば極端に高い値の場合には、他方の磁力レベルの低い値のホールセンサを選択しても良い。この場合、低い方の磁力レベルが有効監視範囲内にあることを条件として選択するようにしても良い。測定した磁力レベルと各種閾値TH1、TH2が共に監視に有効な範囲のレベルである磁気検出素子を選択するようにしてもよい。
【0116】
また、上記の実施形態においては、登録モード時に選択しなかったホールセンサは監視に使用していないが、窓開閉状態監視に使用しても良い。たとえば、登録モード時に両方のホール素子の磁力レベルの初期値を登録しておき、窓開閉監視に選択したホールセンサの磁力レベルが適正範囲値を検出していても、選択しなかったホールセンサの磁力レベルが通常監視時の磁力レベルよりも大きく異なる値を示した場合には別のマグネットを近づけたりするなど不正行為の可能性があると判断して警報を出してようにしても良い。
【0117】
また選択しなかったホールセンサの磁力レベルの検出値が、選択したホールセンサの磁力レベルの検出値よりも高くなった場合も、不正行為の可能性があるとして警報を出力するようにしても良い。
【0118】
選択しなかったホールセンサを不正行為検知用のホールセンサに設定し、このホールセンサに対しても磁力レベルの初期検出値から所定比率を掛けた閾値を算出し、磁力レベルが閾値を越える値を示した場合には、不正侵入者がマグネットを近づけて侵入を試みていると判断して警報を出すようにしても良い。
【0119】
また、本発明はその目的と利点を損なうことの無い適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0120】
10:窓開閉検出装置
14:窓開閉検出マグネット
22:装置本体
46−1:第1窓開閉検出用ホールセンサ
46−2:第2窓開閉検出用ホールセンサ
48:施錠検出用ホールセンサ
60:登録スイッチ
74:センサ選択部
76:窓開閉登録処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の開閉状態をホールセンサなどの磁気感知素子を使用して検出する窓開閉検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象として窓の開閉を検出して警報させる窓開閉検出装置が知られている。このような窓開閉検出装置にあっては、窓ガラスに配置したマグネットの磁力を磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときに窓開閉と判断して警報させる。また窓に設けたクレセント錠の開閉レバーに配置したマグネットの磁力を別の磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときにクレセント錠の開放と判断して警報させる装置もある。
【0003】
従来の窓開閉装置に使用される磁気感知素子は主に磁力の強弱に応じて接点を機械的にオン、オフするリードスイッチを使用していたが、近年にあっては、ホール効果を利用して磁力を検出するホールセンサが使用されている。
【0004】
ホールセンサを磁気感知素子として使用する場合、検出対象とするマグネットに近いほど強い磁力がホールセンサを通過することで高いセンサ出力が得られる。ホールセンサで検出した磁気レベルに基づく窓の開閉検出は、窓を閉じた状態で検出される磁気レベルの最大値に対し、所定比率低い値を判定閾値として設定する。監視中に、検出している磁気レベルが低下して判定閾値以下になったら窓開と判定して警報させる。
【0005】
また窓の開放を判定した後に、磁気レベルが増加して判定閾値を超えた時、窓閉と判定して警報を復旧させるようにしている。
【0006】
窓開閉検出装置を現場で窓サッシに取り付ける場合、引き違い窓の内側の縦枠の横に窓開閉検出装置を両面テープやビス止めなどで固定し、窓縦枠に固定した窓開閉検出装置の側面に相対する外側の窓ガラスに短冊状のマグネットを位置合せして両面テープで貼り付ける。
【0007】
この位置合せは上下方向におけるマグネットのセンターが装置内蔵のホールセンサの位置となるようにすることが望ましいが、装置外部からはホールセンサの位置は分からないため、例えば装置上端にマグネット上端を合わせると正しい位置決めができるようにしている。この取り付け状態でマグネットと装置内蔵のホールセンサとの距離が略最短となり、最大磁力レベルまたはそれに近いレベルが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−281636号公報
【特許文献2】特開2001−14990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の窓開閉検出装置の現場における取り付け作業にあっては、窓縦枠に取り付けた窓開閉検出装置の例えば上端にマグネットの上端を合わせることで位置決めするようにしていたとしても、実際の現場作業においては、必ずしも正しい位置決めができず、マグネットとホールセンサの上下方向の位置関係が大きくばらつく。
【0010】
このような位置のばらつきは、マグネットからの距離の増加に対し磁力が距離の2乗に比例して低下する関係にあることから、位置ずれが大きいと窓閉鎖状態でホールセンサにより検出される磁力レベルが低くなって窓開閉に対する分解能が低下し、窓開閉に対する検出精度が低下する恐れがある。
【0011】
この問題を解決するためには現場における取り付け作業の位置決め精度を高めれば良いが、取り付け現場におれる窓の状況も様々であり、位置決め誤差の許容範囲が狭いために現場での取り付け作業に手間と時間がかかる問題がある。
また、採用するマグネットが複数種あり場合は、マグネットの寸法や磁力パターンが異なりため、採用するマグネットとホールセンサとの位置により検出精度が異なる。
【0012】
本発明は、装置内蔵の磁気感知素子に対し分離配置されるマグネットの許容設置範囲を広くして窓閉鎖状態で充分な分解能の磁力レベルが得られるようにした窓開閉検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は窓開閉検出装置に於いて、
監視対象に配置したマグネットによる磁力レベルを検出する複数の磁気感知素子と、
窓の閉鎖状態で複数の磁気感知素子で検出された磁力レベルを比較し、窓の状態監視において最も検出精度が高い磁力レベルが得られた磁気感知素子を選択する磁気感知素子選択部と、
選択された磁気感知素子で検出した磁力レベルと所定の判定閾値の比較により窓の開又は閉を判定する窓開閉監視部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで、本発明の窓開閉検出装置は、例えば2つの磁気感知素子を備え、窓縦枠に対する設置状態で2つの磁気感知素子を上下方向に所定距離を離して配置する。
【0015】
本発明の窓開閉検出装置は、更に、窓の閉鎖状態で登録操作を判別した際に、選択された磁気感知素子により磁力レベルを検出して登録し、登録した磁力レベルに基づいて判定閾値を求めて登録する登録処理部を設けたことを特徴とする。
磁気感知素子選択部で選択されなかった磁気感知素子は、通常窓開閉状態監視に使用しないマグネットが不正に近づいたことを監視するために使用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装置本体に縦方向に所定距離を離して例えば2つの磁気感知素子としてのホールセンサを配置し、窓閉鎖状態で2つのホールセンサで検出されるマグネットによる磁力レベルの内、窓の状態監視において最も検出精度が高い磁力レベルが得られたほうの磁力レベルとなるホールセンサを選択することで、分離配置されるマグネットの上下方向の取り付け位置にずれがあっても、最適なホールセンサが選択され、マグネットの位置ずれの影響を受けることなく、充分な分解能を持つ磁力レベルによる高精度の窓の開閉検出ができる。
【0017】
また、窓開閉検出装置に組み合わせて使用するマグネットが、使用している磁性材料の相違から高さ方向の寸法が相違していたとしても、異なる寸法のマグネットの配置に対し最も有効な監視ができるホールセンサが選択され、マグネットそのものの寸法の相違に対しても充分な分解能をもつ磁力レベルによって高精度の窓の開閉検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図
【図2】本発明による窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図
【図3】図1の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図
【図4】本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図
【図5】図4のAD変換ポートによる磁気レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図
【図6】本実施形態における2つの窓開閉検出用ホールセンサの検出信号から取得した磁力レベルの距離に対する関係を示したグラフ図
【図7】本実施形態におけるクレセント錠検出マグネットとホールセンサの関係を示した説明図
【図8】本実施形態における施錠検出用ホールセンサの距離に対する磁力レベルの関係を示したグラフ図
【図9】図4のプロセッサによる本実施形態の窓開閉検出処理を示したフローチャート
【図10】図9のステップS3における窓開閉登録処理の詳細を示したフローチャート
【図11】図9のステップS4におけるクレセント錠登録処理の詳細を示したフローチャート
【図12】図9のステップS7における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャート
【図13】図9のステップS8における施錠監視処理の詳細を示したフローチャート
【図14】サイズの異なる2種のマグネットを使用した場合の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図である。図1において、本発明の窓開閉検出装置10は監視対象とする引き違い窓の窓サッシ12a,12bの縦枠に両面テープ又はビスなどにより固定される。
【0020】
窓開閉検出装置10の上側には、窓サッシ12a,12bを閉じた状態で、相対する位置に窓開閉検出マグネット14を両面テープで貼り付けており、窓開閉検出マグネット14からの磁力を内蔵した磁気感知素子としてのホールセンサにより検出している。
【0021】
窓サッシ12a,12bを開くと、窓開閉検出マグネット14が窓開閉検出装置10から離れることで磁力が低下し、この磁力の低下をホールセンサで検出して窓開を示す検出信号を別途設置された監視盤に無線で送信して警報させる。
【0022】
また窓開閉検出装置10はその下端を窓サッシ12a,12bに設けているクレセント錠16に近接するように配置し、クレセント錠14の開閉レバー18に貼り付けたクレセント錠検出マグネット20の磁力を下端側に内蔵した別のホールセンサで検出している。
【0023】
クレセント錠16は開閉レバー18を図示の垂直方向に回した操作位置で窓サッシ12a,12bを施錠しており、このときクレセント錠検出マグネット20は窓開閉検出装置10に最も近接してホールセンサで検出する磁力が最大となり、施錠状態を検出している。
【0024】
開閉レバー18を下側に回してクレセント錠16を開錠すると、クレセント錠検出マグネット20が離れることで磁力が低下し、この磁力の低下をホールセンサで検出して解錠状態を示す検出信号を監視盤に無線送信して警報させる。
【0025】
図2は本発明による窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図である。図2において、本実施形態の窓開閉検出装置10は装置本体22とカバー部材24で構成され、カバー部材24は装置本体22に対し着脱自在であり、正面中央に表示窓57を設け、装置本体22の表示部(不図示)の表示状態が見えるようにしている。
【0026】
装置本体22は、ボディケース36内に回路基板38を組み立てている。
【0027】
回路基板38の上部側にはセンサ基板45が起立され、ここに第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1と第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2を所定距離Lだけ離して配置している。また回路基板38の下端にはクレセント錠検出用ホール素子48が設置される。
【0028】
図3は図1の設置状態における窓開閉検出用のホールセンサ46とマグネット14の関係を示した説明図であり、図3(A)に平面を示し、図3(B)に横方向から見た状態を示している。
【0029】
図3(A)に示すように、本実施形態の窓開閉検出装置10は内側に位置する窓サッシ12aの縦枠に両面テープ又はビスにより取り付けられ、窓開閉検出装置10の右側面に相対して窓サッシ12bのガラス面に窓開閉検出マグネット14を両面テープで接着している。
【0030】
窓開閉検出装置10に内蔵した窓開閉検出用ホールセンサは、図3(B)に示すように、センサ基板45に第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1と第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2を所定距離Lだけ離して上下に配置している。
【0031】
第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2に対する窓サッシ12bのガラス面におけるマグネット14の取付許容範囲は、センサ中心線47を中心に上下にそれぞれ距離Lだけ離れた境界線49a,49bの間の範囲となる。
【0032】
図3(B)はマグネット14の上下方向の中心を上側に配置した第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1に位置決めした状態であり、マグネット14から見て第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1までの距離が、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2までの距離より短いため、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの検出信号による磁力レベルの方が大きくなり、このため図3(B)の場合には、磁力レベルの大きいセンサの方が、充分な分解能を持つ高精度の窓の開閉検出ができるとして、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1が窓開閉監視のために選択される。
【0033】
図3(C)はマグネット14の上下方向の中心を下側に配置した第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2に位置決めした状態であり、マグネット14から見て第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2までの距離が、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1までの距離より短いため、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2からの検出信号による磁力レベルの方が大きくなり、このため図3(C)の場合には、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2が窓開閉監視のために選択される。
【0034】
即ち、マグネット14の上下方向の中心がセンサ中心線47の上側の距離Lの範囲にあれば第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1が選択され、センサ中心線47の下側の距離Lの範囲にあれば第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1が選択される。
【0035】
なお、窓の構造によっては窓サッシ12bが内側となり、その縦枠に図3とは反対向きに窓開閉検出装置10が設置される場合もある。その場合は窓サッシ12aのガラス面に貼り付けた窓開閉検出マグネット14による磁力線は窓開閉検出用ホールセンサ46を左から右に通過して、図3(B)の場合とは逆方向となるため、窓開閉検出用ホールセンサ46からはマイナスとなる逆極性の磁力レベル検出信号が出力される。
【0036】
図4は本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図である。図4において、制御部として設けられたプロセッサ50はワンチップマイコンとして知られたコンピュータであり、1チップにCPU、ROM,RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどを備えており、本実施形態ではEEPROMなどの不揮発メモリ68を外付けしている。
【0037】
第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路52−1で増幅された後にAD変換ポート70−1に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ50に取り込まれる。
【0038】
同様に、第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路52−2で増幅された後にAD変換ポート70−2に与えられ、デジタル変換した磁力レベルをプロセッサ50に取り込まれる。
【0039】
また、施錠検出用ホールセンサ48で検出したクレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20による磁力レベル検出信号も増幅回路54で増幅された後にAD変換ポート72に与えられ、デジタル変換した磁力レベルをプロセッサ50に取り込まれる。
【0040】
プロセッサ50に対しては、表示部56、登録スイッチ60及び無線送信部66が設けられている。
【0041】
表示部56は2色LEDを設けており、例えば窓開や解錠に応じて異なる色で点灯して状態を表示する。
【0042】
登録スイッチ60は本実施形態の窓開閉検出装置10の使用開始時に行う窓開閉登録モードとクレセント錠登録モードの設定に使用される。
無線送信部66は送信回路が設けられ、監視状態を監視盤に対して無線送信を行う。
【0043】
不揮発メモリ68には、窓開閉検出装置10を窓に設置した状態で行われる窓開閉登録処理の際に選択された第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1又は第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2から取得した磁力レベルVsi(但しi=1又は2)と、磁力レベルVsiに基づいて求めた窓開閉検出の第1窓判定閾値TH1と、悪戯などによる強い磁石を近づけたときの磁力を検出する第2窓判定閾値TH2が記憶されている。
【0044】
また不揮発メモリ68には、窓開閉登録処理に続いて行われるクレセント錠登録処理で施錠検出用ホールセンサ48から取得した磁力レベルVs3と、磁力レベルVs3に基づいて求めた錠開閉検出の錠判定閾値TH3が記憶されている。
【0045】
プロセッサ50にはCPUによるプログラムの実行により実現される機能として、センサ選択部74、窓開閉登録処理部76、施錠登録処理部78、窓開閉監視部80、施錠監視部82及び通信制御部84が設けられている。
【0046】
センサ選択部74は、登録スイッチ60の操作により窓開閉登録モードを設定したときに動作し、窓の閉鎖状態で第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2の検出信号から取得された磁力レベルVs1,Vs2を比較し、大きい方のレベルが得られたホールセンサを選択する。このホールセンサの選択は、具体的にはAD変換ポート70−1,70−2からの磁力レベルの取込みを選択する。
【0047】
窓開閉登録処理部76は、窓閉鎖状態でセンサ選択部74により選択されている例えばAD変換ポート70−1からの窓開閉検出マグネット14による磁力レベルVs1を所定周期で取得し、予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルを超えていた場合には、不揮発メモリ68に磁力レベルVs1として記憶する。
【0048】
なお、初期登録時に測定した第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2の検出信号から取得された磁力レベルVs1,Vs2共に不揮発メモリ68に初期登録してもよい。
【0049】
初期登録が済むと選択したホールセンサにより登録した磁力レベルVs1に対し所定の比率だけ低いレベルを窓開閉の第1窓判定閾値TH1として算出して不揮発メモリ68に登録する。つまり、窓が開かれてホールセンサの磁力検出レベル値が低下したことで窓開を判定する為の閾値TH1を登録する。更に、初期登録した磁力レベルVs1に対し通常ではあり得ない所定の比率だけ高いレベルを悪戯により近づけられた強い磁石の磁力を判定する第2窓判定閾値TH2として不揮発メモリ68に登録する。
【0050】
施錠登録処理部78は、登録スイッチ60の再操作でクレセント錠登録モードを設定した際に動作し、LED56が点滅している間、即ち登録スイッチ60を操作してから所定の登録有効期間の間にクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を近づけた状態とする。
【0051】
施錠登録処理部78は、クレセント錠登録モードの動作中、所定周期で施錠検出用ホールセンサ48から検出した磁力レベルを取得し、予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルを超えていた場合には、不揮発メモリ68に磁力レベルVs3として記憶する。
【0052】
登録処理部74は、初期登録した磁力レベルVs3に対し所定比率だけ低いレベルを算出して錠判定閾値TH3として不揮発メモリ68に登録する。つまり、クレセント錠が開かれてホールセンサの磁力検出レベル値が低下したことでクレセントの開錠を判定する為の閾値TH3を登録する。
【0053】
窓開閉監視部80はセンサ選択部74により選択されている例えばAD変換ポート70−1から取り込まれた第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの磁力レベルを不揮発メモリ68から読み出した第1窓判定閾値TH1と比較し、窓の開又は閉を判定し、判定結果を示す電文を無線送信部66から監視盤に送信して警報又は警報解除を行わせる。
【0054】
また、窓開閉監視部80は外部から強力な磁石を近づけることで磁力レベルが閾値TH1以下としないようにして窓を開けるよう悪戯による不正行為に対処するため、選択されているAD変換ポート70−1から取り込まれた第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの磁力レベルを不揮発メモリ68から読み出した第2窓判定閾値TH2と比較し、磁力レベルが第2窓判定閾値TH2を超えた時にも窓開と見做して警報を行う。
【0055】
なお、施錠及び解錠時の磁力レベルに基づき通常使用状態の磁力レベルの適正範囲を設定し、磁力レベルが適正範囲から上下に外れた場合には不正行為が発生したと判定するようにしても良い。つまり、適正使用範囲の上限値を施錠時の磁力レベルよりも所定比率分高い値に設定し、下限値を解錠時の零点レベルよりも所定比率小さい値に設定して、適正範囲内に磁力レベルがあるかを検出して不正行為を判定するようにしてもよい。これはクレセント錠の磁力レベルの測定や窓開閉検出の磁力レベルの測定のいずれにおいても適用できる。
【0056】
施錠監視部82は施錠検出用ホールセンサ48から得られた磁力レベルを施錠登録処理部78により設定した錠判定閾値TH3と比較し、錠判定閾値TH3以下となった場合にクレセント錠の開と判断して錠開を示す電文を無線送信部66から監視盤に送信して警報させる。また、施錠監視部80は、錠開を検出した後に、錠閉に戻った場合にも、その旨の電文を監視盤に無線送信する。
【0057】
通信制御部84は窓開閉監視部80及び施錠監視部82の判断に基づく電文を送信させる。
【0058】
図5は図4のAD変換ポート70−1による磁気レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図である。図5に示した第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1は磁力線の通過方向によりプラス極性の磁気レベル検出信号とマイナス極性の磁気レベル検出信号を出力する。
【0059】
第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1からの磁気レベル検出信号は増幅回路52−1で増幅され、増幅された磁力レベル検出信号(電圧信号)はAD変換される。
【0060】
このAD変換ポート70−1の変換特性は、縦軸に示すように、10進AD変換値として0〜256の値を持ち、入力するプラス極性の磁気レベル検出信号0〜+VmaxをAD変換値128〜256に変換し、入力するマイナス極性の磁気レベル検出信号0〜−VmaxをAD変換値128〜0に変換する。なお、AD変換ポート70−2,72も図5と同じ変換特性となる。
【0061】
図6(A)は本実施形態における装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dに対する第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。なお、実際のAD変換ポート70−1,70−2の変換特性は図5のようになるが、図6にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0062】
図6(A)の特性は例えば図3(B)の設置状態で、装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dをd=0〜24mmの範囲で変化させて測定した磁力レベルに対応したAD変換値を示しており、特性Aが第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1による磁力レベルであり、特性Bが第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2による磁力レベルである。
【0063】
このような特性について、例えば現場で設置した際の距離dがd=9mmであったとすると、第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1による特性Aでは磁力レベルVs1であり、また第2窓開閉検出用ホールセンサ46−2による特性Bでは磁力レベルVs2であり、この場合、図4のプロセッサ50に設けたセンサ選択部74は大きい磁力レベルVs1を取得した第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1を選択し、以後の磁力レベルはAD変換ポート70−1から取り込むようにする。
【0064】
図6(B)はセンサ選択部74により選択された第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1による特性Aを取り出しており、P点で得られた磁力レベルVs1を不揮発メモリ68に初期登録する。続いて、初期登録した磁力レベルVs1より所定比率αだけ低い値を第1窓判定閾値TH1を
TH1=Vs1−α・Vs1
として算出し、不揮発メモリ68に登録する。
【0065】
更に、初期登録した磁力レベルVs1を所定比率β増加して通常監視ではあり得ない値とした第2窓判定閾値TH2を
TH2=Vs1+β・Vs1
として算出し、外部から強力な磁石を近づける悪戯などの不正行為を窓開とみなす判定閾値として不揮発メモリ68に登録する。
【0066】
ここで図6(B)に示した磁力レベルVs1、第1窓判定閾値TH1,第2窓判定閾値TH2を図5のAD変換値に反映させると、磁力レベルがプラス極性の場合は、P点の磁力レベルVs1はVs1=Vs1+128、Q点の窓判定閾値TH1はTH1=128+TH1、R点の窓判定閾値TH2はTH2=128+TH2となる。
【0067】
また磁力レベルがマイナス極性の場合には、S点の磁力レベルVs1はVs1=128−Vs1、T点の窓判定閾値TH1はTH1=128−TH1、U点の窓判定閾値TH2はTH2=128−TH2となる。
【0068】
図7は、本実施形態におけるクレセント錠検出マグネット48と施錠検出用ホールセンサ48の関係を示した説明図である。図7において、窓開閉検出装置10における装置本体22のクレセント錠側の端部には施錠検出用ホールセンサ48が配置され、その前方(下方)にカバー部材24に収納した円錐状の集磁体26を配置している。
【0069】
クレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20は、開閉レバー18の施錠状態で図示のカバー部材24の外端面から距離hに位置し、この施錠位置での距離hが最小距離となる。クレセント錠検出マグネット20からの磁束は集磁体26の大径入射面に入った後、反対側の小径出射面に収束されて施錠検出用ホールセンサ48を通過する。
【0070】
このようなクレセント錠検出マグネット20による磁束は施錠検出用ホールセンサ48で磁力に応じた電圧信号として検出され、増幅回路54で増幅した後にAD変換ポート72により磁力レベル(AD変換値)として読み込まれる。
【0071】
図8は図7に示した装置端面からクレセント錠検出マグネット20までの距離hに対する施錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。
【0072】
なお、実際のAD変換ポート72の変換特性は図5と同じになるが、図8にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0073】
図4のプロセッサ50に設けた施錠登録処理部78は、例えばP点の磁力レベルVs3を取得したとすると、取得した磁力レベルVs3を不揮発メモリ68に初期登録する。
【0074】
続いて、初期登録した磁力レベルVs3から所定比率γ分低い値として施錠判定閾値TH3を
TH3=Vs2−γ・Vs2
として算出して不揮発メモリ68に登録する。
【0075】
図9は図4のプロセッサによる本実施形態の監視処理を示したフローチャートである。
【0076】
図9において、図3に示したような現場設置が済んだ状態で電源が投入されると、ステップS1で初期化処理と自己診断処理が実行され、異常が無ければステップS2に進み、不揮発メモリ68に記憶されているデータを読み込む。
【0077】
続いてステップS3に進み、カバー部材24を開いて登録スイッチ60をオン操作することによって窓開閉登録処理を実行し、磁力レベルVs1と窓判定閾値TH1,TH2を不揮発メモリ68に登録する。
【0078】
続いて、ステップS4に進み、登録スイッチ60を再度オン操作することによって施錠監視登録を実行し、磁力レベルVs3と錠判定閾値TH3を不揮発メモリ68に登録する。
【0079】
続いてステップS5で所定の監視周期への到達の有無を判定しており、監視周期への到達を判定するとステップS6に進んで電池44に対するローバッテリ監視処理を実行する。このとき電池電圧が規定電圧以下に低下していると、ローバッテリを示す電文を監視装置に無線送信して障害表示を行わせる。
【0080】
次にステップS7で窓開閉監視処理を実行し、窓開又は窓閉を判定すると、その内容を示す電文を監視装置に送信する。更にステップS18でクレセント錠の施錠監視処理を実行し、錠開又はその後の錠閉を判定すると、その内容を示す電文を監視装置に送信する。続いてステップS9で定期通報時間経過かを判別し、経過を判別した場合にはステップS10に進み、定期通報電文を監視装置に送信する定期通報処理を行う。
【0081】
図10は図9のステップS3における窓開閉登録処理の詳細を示したフローチャートである。図10において、まずステップS11で登録スイッチ60のオン操作を判別しており、磁力レベルの初期登録のため、窓を閉鎖した状態で図4に示したように窓開閉検出マグネット14を最小距離に設定し、登録スイッチ60を操作すると、登録スイッチオンが判別されてステップS12に進み、赤色LED56aを点滅し、ステップS13で窓開閉登録モードをスタートする。
【0082】
登録モードがスタートすると、ステップS14でAD変換ポート70−1,70−2から第1及び第2窓開閉検出用ホールセンサ46−1,46−2による磁力レベルVs1,Vs2を取得し、ステップS15で高い方の磁力レベルを読み込むようにAD変換ポート70−1又は70−2を選択する。
【0083】
続いて、ステップS16で所定の登録可能期間を経過したか否か判別しており、登録可能期間が経過するまでの間、ステップS17に進んで、選択した磁力レベルを取得し、ステップS18で取得した磁力レベルを予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルである場合には、ステップS19に進み、不揮発メモリ68に磁力レベルVs1として記憶する。有効レベルの値であるかの判定とは、測定した磁力レベルに基づき、窓の開閉状態及び侵入者が不正にマグネットを近づけたこと判断できるかどうかであり、その後のステップで算出する窓判定閾値TH1、TH2共に図6のAD変換値の0付近に存在しない、及び128付近もしくは128以上の飽和値にならない閾値設定できる磁力レベルかどうかで判定する。
【0084】
続いてステップS20で初期登録した磁力レベルVs1から所定比率αだけ低い窓判定閾値TH1を算出して不揮発メモリ68に登録する。
【0085】
またステップS21で初期登録した磁力レベルVs1を所定比率βだけ高い外部から強い磁石を近づける悪戯による不正行為を判定するための窓判定閾値TH2を算出して不揮発メモリ68に登録する。
【0086】
不揮発メモリ68に磁力レベルVs1及び窓判定閾値TH1,TH2が登録されると、ステップS22で窓開閉監視部80による窓開閉の監視処理を開始させ、ステップS23で表示部56の緑色LED56bを点灯して登録完了を報知する。
【0087】
一方、登録スイッチ60の操作により登録モードを設定している登録可能期間の間に、ステップS18で有効レベルを超える磁力レベル得られなかった場合には、ステップS16で登録可能期間を経過を判別したときにステップS24に進んで赤色LED56aを点滅から点灯に切り替えて初期登録の失敗を表示し、ステップS25で登録処理のエラー状態を登録すると共に、窓開閉監視処理部78による窓開閉の監視を解除する。
【0088】
図11は図9のステップS4におけるクレセント錠登録処理の詳細を示したフローチャートである。図11において、まずステップS31で登録スイッチ60のオン操作を判別しており、磁力レベルの初期登録のため、開閉レバー18を解錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を最大距離に設定し、カバー部材24を開いて登録スイッチ60を操作すると、登録スイッチオンが判別されてステップS32に進み、赤色LED56aを点滅し、ステップS33で登録モードをスタートする。
【0089】
続いて、ステップS34で所定の登録可能期間が経過したか否か判別しており、登録可能期間が経過するまでの間、ステップS35に進んで、磁力レベルVs3を取得し、ステップS36で有効に開閉状態を監視できる範囲の値か否か判別する。監視に有効な値であればステップ37に進み、取得した磁力レベルVs3として記憶し、ステップS38で正常の登録されたことを点灯表示する。
【0090】
続いてステップS39に進み、初期登録した磁力レベルVs3から所定比率γだけ低い錠判定閾値TH3を算出して不揮発メモリ68に登録し、ステップS40で施錠監視部82によるクレセント錠の施錠監視を開始させる。
【0091】
一方、登録スイッチ60の操作により登録モードを設定している登録可能期間の間に、カバー部材24を閉じてクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に戻す操作を行わなかった場合には、ステップS36で有効レベルを超える磁力レベル得られないために、ステップS34で登録可能期間を経過を判別したときにステップS41に進んで赤色LED56aを点滅から点灯に切り替えて初期登録の失敗を表示し、ステップS42で登録処理のエラー状態を登録すると共に、施錠監視処理部78によるクレセント錠の施錠監視を解除する。
【0092】
図12は図9のステップS7における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0093】
図12において、まずステップS51で選択されている例えば第1窓開閉検出用ホールセンサ46−1により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS52に進んで前回が窓開判定であることを判別すると、ステップS53に進んで窓判定閾値TH1と比較する。
【0094】
ステップS53で磁力レベルが窓判定閾値TH1以下であればステップS54に進んで窓開判定とし、この場合、窓閉の判定状態から窓開の判定状態となる異常検出状態への変化であることから、ステップS55で赤色LED56aを点灯し、異常検出状態への状態変化を報知する。
【0095】
続いてステップS56で窓開判定の電文を監視装置に向けて無線送信し、無線送信が終了するとステップS57で赤色LED56bを消灯する。
【0096】
一方、ステップS53で磁力レベルが窓判定閾値TH1を超えていた場合はステップS58で窓判定閾値TH2と比較し、窓判定閾値TH2以上の場合は、悪戯などにより強力な磁石を外から近づけたことによる磁力レベルの異常な増加と判断し、ステップS54に進んで窓開判定とし、ステップS55〜S57で赤色LED56aを窓開判定電文の無線送信が終了するまで点灯駆動する。
【0097】
また、ステップS52で前回が開判定であった場合には、ステップS59に進み、磁力レベルが窓判定閾値レベルTH1より大きく、窓判定閾値TH2より小さいときはステップS60に進んで窓閉判定を行う。
【0098】
続いてステップS61で施錠監視部82により現在クレセント錠の閉判定中か否か判別し、閉判定中であれば、窓閉で且つ錠閉となる正常監視状態に変化していることからステップS62に進んで緑色LED56aを選択する。一方、ステップS61で開判定中であれば、窓開で且つ錠閉となる異常検出状態にあることからステップS63に進んで赤色LED56bを選択する。
【0099】
そしてステップS64に進み、選択した赤色LED56a又は緑色LED56bを点灯してステップS65で窓閉の判定電文を無線送信し、送信が終了するとステップS66で点灯しているLEDを消灯する。
【0100】
図13は図9のステップS8におけるクレセント錠開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0101】
図13において、まずステップS71で施錠検出用ホールセンサ48により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS72に進んで前回が錠閉判定であることを判別すると、ステップS73に進んで錠判定閾値TH3と比較する。
【0102】
ステップS73で磁力レベルが錠判定閾値TH3以下であればステップS74に進んで錠開判定とし、この場合、錠閉の判定状態から錠開の判定状態となる異常検出状態への変化であることから、ステップS75で赤色LED56aを点灯し、異常検出状態への状態変化を報知する。
【0103】
続いてステップS76で錠開判定の電文を監視装置に向けて無線送信し、無線送信が終了するとステップS77で赤色LED56bを消灯する。
【0104】
ステップS72で前回が開判定であった場合には、ステップS78に進み、磁力レベルが錠判定閾値レベルTH3より大きいときはステップS79に進んで錠閉判定を行う。
【0105】
続いてステップS80で窓開閉監視部80により現在窓の閉判定中か否か判別し、閉判定中であれば、窓閉で且つ錠閉となる正常監視状態に変化していることからステップS81に進んで緑色LED56aを選択する。
【0106】
一方、ステップS80で窓開判定中であれば、窓開で且つ錠閉となる異常検出状態にあることからステップS82に進んで赤色LED56bを選択する。そしてステップS83に進み、選択した赤色LED56a又は緑色LED56bを点灯してステップS84で錠閉の判定電文を無線送信し、送信が終了するとステップS85で点灯しているLEDを消灯する。
【0107】
図14は、サイズの異なる2種のマグネットを使用した場合の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図である。
【0108】
図14(A)はサマリウムコバルト磁石14−1を使用した場合であり、また図14(B)はネジウム磁石14−2を使用した場合である。ネオジウム磁石14−1は最も強力な磁石であり、これに次ぐ磁石としてサマリウムコバルト磁石14−2が知られている。
【0109】
このため同じ磁力を発生するようにした場合、図14(A)のサマリウムコバルト磁石14−1の長さL1に対し、図14(B)のネジウム磁石14−2の長さはL2と短くなる。
【0110】
そこで図14(A)のように、窓開閉検出装置10に設けた例えば図2のカバー部材24のマーカ24aなどで決まる取付基準線90にサマリウムコバルト磁石14−1の上端を位置決めしたとき、上下方向の中心が第2窓開閉検出用ホールセンサ14−2に相対するようにする。この場合には、第2窓開閉検出用ホールセンサ14−2による磁力レベルの方が大きいため、AD変換ポート70−2による磁力レベルの読込みが選択される。
【0111】
一方、図14(B)のように、窓開閉検出装置10の取付基準線90にネジウム磁石14−2の上端を位置決めしたとき、上下方向の中心が第1窓開閉検出用ホールセンサ14−2に相対するようにする。この場合には、第1窓開閉検出用ホールセンサ14−1による磁力レベルの方が大きいため、AD変換ポート70−1による磁力レベルの読込みが選択される。
【0112】
このように本実施形態にあっては、磁性材料の相違によりサイズの異なる2種のマグネットの互換使用を可能とする。
【0113】
なお、上記の実施形態にあっては、窓開閉検出用ホールセンサを2つ上下方向に所定距離だけ離して配置した場合を例にとるものであったが、3つ以上のホールセンサを配置しても良い。
【0114】
また、上記の実施形態にあっては、ホールセンサのオフセットを含む磁力レベルを初期登録して判定閾値を求めているが、ホールセンサのオフセットを測定して不揮発メモリに記憶しておき、初期登録した磁力レベルから判定閾値を算出する際に、磁力レベルからオフセットを差し引いて磁力レベル変化量を正確に求め、この変化量から所定比率低い値を求め、この値にオフセットを加算して判定閾値としても良い。
【0115】
また、上記の実施形態においては、磁力レベルの高い方のホールセンサを選択して窓の開閉監視を行っているが、登録時に測定した高い方の磁力レベルが、監視するにあたって有効な範囲の磁力レベルを超える例えば極端に高い値の場合には、他方の磁力レベルの低い値のホールセンサを選択しても良い。この場合、低い方の磁力レベルが有効監視範囲内にあることを条件として選択するようにしても良い。測定した磁力レベルと各種閾値TH1、TH2が共に監視に有効な範囲のレベルである磁気検出素子を選択するようにしてもよい。
【0116】
また、上記の実施形態においては、登録モード時に選択しなかったホールセンサは監視に使用していないが、窓開閉状態監視に使用しても良い。たとえば、登録モード時に両方のホール素子の磁力レベルの初期値を登録しておき、窓開閉監視に選択したホールセンサの磁力レベルが適正範囲値を検出していても、選択しなかったホールセンサの磁力レベルが通常監視時の磁力レベルよりも大きく異なる値を示した場合には別のマグネットを近づけたりするなど不正行為の可能性があると判断して警報を出してようにしても良い。
【0117】
また選択しなかったホールセンサの磁力レベルの検出値が、選択したホールセンサの磁力レベルの検出値よりも高くなった場合も、不正行為の可能性があるとして警報を出力するようにしても良い。
【0118】
選択しなかったホールセンサを不正行為検知用のホールセンサに設定し、このホールセンサに対しても磁力レベルの初期検出値から所定比率を掛けた閾値を算出し、磁力レベルが閾値を越える値を示した場合には、不正侵入者がマグネットを近づけて侵入を試みていると判断して警報を出すようにしても良い。
【0119】
また、本発明はその目的と利点を損なうことの無い適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0120】
10:窓開閉検出装置
14:窓開閉検出マグネット
22:装置本体
46−1:第1窓開閉検出用ホールセンサ
46−2:第2窓開閉検出用ホールセンサ
48:施錠検出用ホールセンサ
60:登録スイッチ
74:センサ選択部
76:窓開閉登録処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に配置したマグネットによる磁力レベルを検出する複数の磁気感知素子と、
窓の閉鎖状態で前記複数の磁気感知素子で検出された磁力レベルを比較し、窓の状態監視において最も検出精度が高い磁力レベルが得られた磁気感知素子を選択する磁気感知素子選択部と、
前記選択された磁気感知素子で検出した磁力レベルと所定の判定閾値の比較により窓の開又は閉を判定する窓開閉監視部と、
を備えたことを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の窓開閉検出装置に於いて、2つの磁気感知素子を備え、窓縦枠に対する設置状態で前記2つの磁気感知素子を上下方向に所定距離を離して配置したことを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の窓開閉検出装置に於いて、更に、窓の閉鎖状態で登録操作を判別した際に、前記選択された磁気感知素子により磁力レベルを検出して登録し、登録した磁力レベルに基づいて前記判定閾値を求めて登録する登録処理部を設けたことを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の窓開閉検出装置に於いて、前記磁気感知素子選択部で選択されなかった磁気感知素子は、通常窓開閉状態監視に使用しないマグネットが不正に近づいたことを監視することを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項1】
監視対象に配置したマグネットによる磁力レベルを検出する複数の磁気感知素子と、
窓の閉鎖状態で前記複数の磁気感知素子で検出された磁力レベルを比較し、窓の状態監視において最も検出精度が高い磁力レベルが得られた磁気感知素子を選択する磁気感知素子選択部と、
前記選択された磁気感知素子で検出した磁力レベルと所定の判定閾値の比較により窓の開又は閉を判定する窓開閉監視部と、
を備えたことを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の窓開閉検出装置に於いて、2つの磁気感知素子を備え、窓縦枠に対する設置状態で前記2つの磁気感知素子を上下方向に所定距離を離して配置したことを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の窓開閉検出装置に於いて、更に、窓の閉鎖状態で登録操作を判別した際に、前記選択された磁気感知素子により磁力レベルを検出して登録し、登録した磁力レベルに基づいて前記判定閾値を求めて登録する登録処理部を設けたことを特徴とする窓開閉検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の窓開閉検出装置に於いて、前記磁気感知素子選択部で選択されなかった磁気感知素子は、通常窓開閉状態監視に使用しないマグネットが不正に近づいたことを監視することを特徴とする窓開閉検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−250576(P2010−250576A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99638(P2009−99638)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】
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