説明

筋力訓練機

【課題】
1台の筋力訓練機でレッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を行なえ、省スペースであり、安価であり、便利であり、効果的な訓練が行なえる筋力訓練機を提供すること。
【解決手段】
基枠(5)と、基枠(5)上で前後にスライド可能なスライド椅子(8)と、基枠(5)に軸支される操作アーム(2)と、基枠(5)に軸支され足を乗せる足乗部(3)と、操作アーム(2)の移動に又はスライド椅子(8)の移動に対して負荷を掛ける負荷装置(6)とからなり、上肢の訓練と下肢の訓練を1台で行なえることを特徴とする筋力訓練機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動者が、胸、肩、上肢、下肢等の各筋を増強するために用いる筋力訓練機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来装置は、グリップ、枠体、レバー、ウエイト吊支用枠体、ウエイト、カウンターアーム、アシストバー等の構成部材からなる筋力鍛錬装置が開示されている。
【0003】
前記従来装置では、グリップを押す時、足でアシストバーを蹴ることが出来るので、通例腕の力だけで持ち上げるウエイトの量よりも大きい量を扱え、より効果的な筋肉鍛錬が出来る。
【0004】
しかし、前記従来装置は、アシストバーは有ってもチェストプレスを行うだけの装置であり、1台の装置で、レッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を行なうことはできないものであった。又、シートがスライドするものでもない。
【特許文献1】特許2724132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、レッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を行なう場合、2台の機器を設置するので、占有面積が大きく、費用も嵩み、便利も良くないため、レッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を1台の機器で行なえる機器を提供することである。
又、椅子をスライドするものとし日常動作に近い効果的な訓練が行なえる機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、1台の筋力訓練機でレッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を行なえ、省スペースであり、安価であり、便利であり、効果的な訓練が行なえる筋力訓練機を提供することにある。
即ち、本発明は、基枠(5)と、椅子(4)と、基枠(5)に軸支される操作アーム(2)と、基枠(5)に軸支され足を乗せる足乗部(3)と、操作アーム(2)の移動に又は椅子(4)の移動に対して負荷を掛ける負荷装置(6)とからなり、前記椅子(4)を基枠(5)上で前後にスライド可能なスライド椅子(8)とし、上肢の訓練と下肢の訓練を1台で行なえることを特徴とする筋力訓練機である。
又、負荷装置(6)は複数個の錘(32)を有してなり、スライド椅子(8)の移動及び操作アーム(2)の移動を、負荷装置(6)に伝動する索体(17)が設けられ、手の操作で操作アーム(2)を前方へ移動させるとその移動に対して錘(32)の荷重が掛かり上肢訓練が行なえ、足の操作でスライド椅子(8)を後方へ移動させ下肢訓練が行なえるとその移動に対して錘(32)の荷重が掛かる。
更に、操作アーム(2)の上部に作用滑車(34)が設けられ、基枠(5)の所定上位置に上滑車(35)が設けられ、基枠(5)の所定下位置に下滑車(36)が設けられ、索体(17)の一方端は錘(32)に止着され、該索体(17)の他方端はスライド椅子(8)に止着され、該索体(17)の中間部は上滑車(35)、作用滑車(34)、下滑車(36)へと迂回状に掛け回される。
更に又、足乗部(3)は、逆台形に形成された逆台形足板(42)であり、該逆台形足板(42)の表面(29)には、当該表面(29)を複数域に区切る区画線(44)が描かれ、区画線(44)の内の複数の縦線(45)の間隔は上方に漸増に描かれており、足を縦線(45)に添わせて置けるようにする。
又、スライド椅子(8)は、脚(9)と、脚(9)に載設される座部(10)と、座部(10)の移動を固定可能なスライドロック(14)とからなり、基枠(5)には操作アーム(2)の回動を固定可能にするターンロック(22)が設けられ、上肢訓練は、座部(10)を固定し、操作アーム(2)を移動させて行ない、或いは、操作アーム(2)を固定し、座部(10)を移動させて行なうこともできる。
或いは、基枠(5)の上部に滑車(37)が設けられ、滑車(37)に掛け回される錘側索体48の一方側には錘32が繋がれ、他方側には動滑車46の回動軸47が繋がれ、動滑車46に掛け回される索体17の、一方側には作用アーム24が繋がれ、他方側にはスライド椅子8が繋がれ、作用アーム24が動くと索体17の一方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられ、又、スライド椅子8が動くと索体17の他方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、基枠5と、椅子4と、基枠5に軸支される操作アーム2と、基枠5に軸支され足を乗せる足乗部3と、操作アーム2の移動に又は椅子4の移動に又は足乗部3の移動に対して負荷を掛ける負荷装置6とからなり、前記椅子4は前後にスライド可能なスライド椅子8である。
上記構成によれば、スライド椅子8は前後にスライド可能であるから、日常動作に近い動きで下肢の効果的な筋力訓練ができ、好都合である。
又、上肢の訓練と下肢の訓練を1台で行なえ、省スペース化を図ることができ、利便性も良く、好都合である。
【0008】
本発明に係る負荷装置6は、複数個の錘32を有してなり、スライド椅子8の移動及び操作アーム2の移動を、負荷装置6に伝動する索体17が設けられ、手の操作で操作アーム2を前方へ移動させるとその移動に対して錘32の荷重が掛かり、足の操作でスライド椅子8を後方へ移動させるとその移動に対して錘32の荷重が掛かるから、1台の装置で、チェストプレスとスライド椅子8を後方へ移動させるレッグプレスの2種類の訓練が、錘32を負荷として行なえ、利便性が高く、好都合である。
【0009】
本発明は、操作アーム2の上部に作用滑車34が設けられ、基枠5の所定上位置に上滑車35が設けられ、基枠5の所定下位置に下滑車36が設けられ、索体17の一方端は錘32に止着され、該索体17の他方端はスライド椅子8に止着され、該索体17の中間部は上滑車35、作用滑車34、下滑車36へと迂回状に掛け回されるから、2種類の訓練を1個の負荷装置6で共用でき、利便性を向上でき、コストを低減でき、省スペースとなり、好都合である。又、操作アーム2を移動させるチェストプレスの時は、索体17が迂回状に掛け回わされ、錘32の負荷が増大して作用し、吊り上げられる錘32の数は減り、少ない錘32で大きな負荷を得ることが出来、又、移動する錘32の数が少ないゆえに騒音は減り、好都合である。
【0010】
本発明に係る足乗部3は、逆台形に形成された逆台形足板42であり、該逆台形足板42の表面29には、当該表面29を複数域に区切る区画線44が描かれ、区画線44の内の複数の縦線45の間隔は上方に漸増に描かれており、足を縦線45に添わせて置けるようにしたから、運動者が描かれた縦線45に添って、足の爪先側を踵側より少し広げて該足を逆台形足板42に置くことを理解し易く、更に、前述のように足を置いて訓練すると、膝を屈伸する下肢訓練動作をより自然な動作で行なうことができ、好都合である。
【0011】
本発明に係るスライド椅子8は、脚9と、脚9に載設される座部10と、座部10の移動を固定可能なスライドロック14とからなり、基枠5には操作アーム2の回動を固定可能なターンロック22が設けられ、上肢訓練は、座部10を固定し、操作アーム2を移動させて行ない、或いは、操作アーム2を固定し、座部10を移動させて行なうこともできるから、チェストプレスを、スライド椅子8を固定して操作アーム2を回動させて行なえ、或いは、操作アーム2を固定してスライド椅子8をスライドさせて行なうこともでき、これらのいずれかの動作を、運動者に合わせて選択して好適な訓練が行なえ、好都合である。
【0012】
本発明は、作用アーム24が動くと索体17の一方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられ、又、スライド椅子8が動くと索体17の他方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられるから、2種類の訓練を1個の負荷装置6で共用でき、利便性を向上でき、コストを低減でき、省スペースとなり、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1台の筋力訓練機でレッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を行なえ、省スペースであり、安価であり、便利であり、効果的な訓練が行なえるという目的を、基枠5と、椅子4と、基枠5に軸支される操作アーム2と、基枠5に軸支され足を乗せる足乗部3と、操作アーム2の移動に又は椅子4の移動に又は足乗部3の移動に対して負荷を掛ける負荷装置6とからなり、前記椅子4は前後にスライド可能なスライド椅子8であり、上肢の訓練と下肢の訓練を1台で行なえることを特徴とする筋力訓練機として、実現した。
【実施例1】
【0014】
図1、2、3、4に本発明の実施例1を示す。図1は筋力訓練機1の斜視図、図2は筋力訓練機1の底面図、図3は負荷選択レバー58を示す斜視図、図4は調節具15を示す斜視図である。
実施例1の筋力訓練機1を用いて、運動者は、腰掛けた姿勢で、操作アーム2を操作し、胸、肩、上肢の筋(=大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋)の訓練を行なう。更に、腰掛けた姿勢で、足乗部3に足を乗せ椅子4を操作し、臀部、下肢の筋(=大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングス、下腿三頭筋)の訓練を行なう。
【0015】
実施例1は、基枠5と、基枠5に設けられ運動者が腰掛ける椅子4と、椅子4の前方位置の基枠5に設けられ運動者が上肢に力を加えて動かす操作アーム2と、椅子4の前方位置の基枠5に設けられ運動者が膝関節を伸展する方向に力を加える足乗部3と、椅子4の横方位置の基枠5に設けられ操作アーム2及び足乗部3の移動に負荷を掛ける負荷装置6と、椅子4の横方位置の基枠5に設けられ操作アーム2に負荷装置6の負荷を伝達する負荷伝達機構7とからなる。
【0016】
基枠5は、前述した通り、椅子4と操作アーム2と足乗部3と負荷装置6と負荷伝達機構7とを支持するものである。基枠5の下部に形成される所定掛止位置41は、後記するフック40を掛止する位置である。
【0017】
実施例1の椅子4は、スライド椅子8である。スライド椅子8は、運動者が座るものであって、脚9と、脚9に載設される座部10と、背凭れ11と、レッグプレスの時、運動者が握るグリップ13と、座部10の摺動を固定するスライドロック14と、座部10の訓練開始位置を調節設定する調節具15とからなる。
背凭れ11には後傾角度を調節する角度調節器43が設けられる。グリップ13には回動を固定するグリップロック28が設けられる。
スライド椅子8が元位置に有る時は、フック40は所定掛止位置41に待機する。
【0018】
負荷選択レバー58は、基枠5に立設されたレバー支持具60及びレバー軸59でシーソー様に支持される。負荷選択レバー58の一方端には負荷選択ピン57が軸止され、他方端は握部61である。
所定掛止位置41には、負荷選択レバー58で手動操作される負荷選択ピン57が基枠5から下方向へ進退する。
【0019】
負荷選択レバー58を持ち上げると、前記負荷選択ピン57が基枠5から下方へ進出する。進出した負荷選択ピン57はフック40に嵌入する。フック40は負荷選択ピン57に掛止される。フック40が前記掛止状態下で、スライド椅子8を後方へスライドさせると索体17のみが椅子滑車53に引かれる。
又、負荷選択レバー58を押し下げると、前記負荷選択ピン57が基枠5へ退入する。退入した負荷選択ピン57はフック40から抜ける。フック40は、負荷選択ピン57から開放され椅子滑車53に掛止される。フック40が椅子滑車53に掛止された状態下で、スライド椅子8を後方へスライドさせると、フック40及び索体17が一緒に椅子滑車53に引かれる。
【0020】
スライドロック14は、座部10に設けられる進退可能な部材であり、該スライドロック14の進退により脚9に設けた所定穴(図示省略)に嵌入できるものである。
調節具15は、索体17に引かれて動く索体掛止具16と、座部10側のケーシング55との掛止位置を差込ピン52の操作で変更調節するものであり、差込ピン52の進退は調節ハンドル54で操作する。
【0021】
操作部23は、操作アーム2と、操作アーム軸21と、作用アーム24と、把手用パイプ18と、把手19とからなる。
操作アーム2の上部には、把手用パイプ18が摺動可能に外嵌され、把手用パイプ18に把手19が取着され、更に、把手用パイプ18を操作アーム2に固定する固定具20が取着される。前記把手19は把手用パイプ18の昇降移動によって高さを調節できる。
尚、把手19には、横向きに設けられた横把手19aと、縦向きに設けられた縦把手19bがある。
操作アーム2の下端は、基枠5に軸支された操作アーム軸21に取着される。
【0022】
作用アーム24と基枠5とにわたってターンロック22が設けられる。作用アーム24に進退する掛止ピン49を設け、基枠5に複数の受穴50を有する掛止枠51が設けられる。掛止ピン49を適宜選択した受穴50に差込み、作用アーム24をロックする。
操作アーム2を、移乗の邪魔にならない位置へ移動させた後、ターンロック22により固定できる。
チェストプレスの訓練をしない時、前記作用アーム24にターンロック22を掛け止めると、作用アーム24及び操作アーム2が回動不自在にロックされる。固定した操作アーム2は移乗用手摺りとして使用できる。
【0023】
足乗部3は、足板25と、足板25を軸支する足枠体26と、足枠体26と足板25とに亘って設けられ足板25の傾斜角度を調節する角度調節器27とからなる。
【0024】
前記足板25は、運動者に接近する程低位に傾斜した平板でなり、足板25の表面29の縁に踵を支持し足が足板25から脱落しないように縁部材30が設けられる。
【0025】
負荷装置6は、錘枠体31と、錘枠体31に収容され索体17に吊り上げられる複数の錘32とからなる。
錘枠体31に、錘32の上方移動を規制するロムストッパー33が位置調節可能に取り付けられ、該ロムストッパー33で運動者の運動に係る範囲を規制する。
調節ピン38は、錘32の差込穴39に差込み、索体17に吊り上げられる錘32の数を選択し負荷を調節するものである。
【0026】
負荷伝達機構7は、作用アーム24の上部に設けられる作用滑車34と、基枠5の所定上位置に設けられる上滑車35と、基枠5の所定下位置に設けられる下滑車36と、前記各滑車37、上滑車35、下滑車36に掛け回わされる索体17と、索体17の端に設けられるフック40とからなる。
【0027】
索体17の一方端は、錘32に止着され、該索体17の他方端は、スライド椅子8に止着され、該索体17の中間部は、上滑車35、作用滑車34、下滑車36へと順次掛け回される。
即ち、索体17の中間部は、上滑車35と下滑車36の間で、作用滑車34を迂回して掛け回される。(以下、この負荷伝達機構7を迂回方式という)
運動者は、上肢の操作で操作アーム2を前方へ移動させるとその移動に錘32の荷重が掛かり、又、足の操作でスライド椅子8を後方へ移動させるとその移動に錘32の荷重が掛かる構成である。
【0028】
上記の迂回方式に係る索体17の作用によって、操作アーム2の負荷とスライド椅子8の負荷とに1個の負荷装置6を共用できる。
【0029】
実施例1を使用する際には、先ず、ターンロック22の掛止操作で、操作アーム2を移乗の邪魔にならない位置に移動させた後、固定する。スライドロック22の掛止操作で、スライド椅子8を所定位置に固定する。
運動者は椅子4に腰掛け着席する。
前述の固定した操作アーム2は、体が不自由な運動者には移乗用手摺りとして使用できる。
【0030】
チェストプレスを行なう場合は、操作アーム2の把手19(=具体例では横把手19a)を手で掴む。
把手19の位置が不適切な場合は、固定具20を操作して把手用パイプ18の固定を解除し、適切な高さに調節した後固定具20を操作して固定する。
錘32の数を選択し、負荷を調節する。錘32は複数個積み重ねられてあり、引き上げられる錘32の数は、調節ピン38の差込穴39の位置を適宜選択して調節する。
【0031】
調節ピン38を下方の差込穴39に差込むと、錘32の数が増え、訓練の負荷は大きくなり、調節ピン38を上方の差込穴39に差込むと、錘32の数が減り、訓練の負荷は小さくなる。
【0032】
ターンロック22を解除し、操作アーム2を移動可能状態にする。
運動者は、胸、肩、上肢に力を入れ肘関節を伸展し操作アーム2を前方へ押し出し(=往動)訓練を開始する。
操作アーム2が前方へ動いた距離に関係して錘32が吊り上がり、錘32の重量が運動者へ負荷となって掛かる。
運動者への負荷は、錘32の重量と加速度に係る荷重との合計となる。
【0033】
作用滑車34が前方へ移動すると、作用滑車34と上滑車35及び下滑車36に張られる索体17が引かれ、索体17は作用滑車34の移動距離の2倍の距離だけ移動することとなる。
作用アーム24が前方へ動いた距離の2倍の距離だけ錘32が吊り上がる。
【0034】
次に、運動者は力を抜き、上肢を元に戻す(=復動)。この時、錘32は下降し元位置へ戻る。前述の往復動作を所定回数行ない、大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋等の筋力増強訓練を行なう。
【0035】
チェストプレスに係る他の動作として、操作アーム2を固定し、肘関節を伸展させながら、スライド椅子8を後方へ移動させて行なってもよい。当該他の動作では、錘32は、スライド椅子8が移動した距離だけ吊り上げられ、スライド椅子8の移動の負荷となる。
【0036】
次に、レッグプレスを行なう場合を述べる。運動者はスライド椅子8に腰掛ける。腰掛けた後、足乗部3に足を乗せる。
角度調節器27で足板25の傾斜角度を調節・固定し、調節具15でスライド椅子8の位置を調節し固定する。
【0037】
次に運動者は、グリップ13を握り、膝関節を伸展するよう力を入れ、スライド椅子8を後方へ摺動させると、その摺動に対して錘32の荷重が掛かる(=往動)。
【0038】
フック40を椅子滑車53に止めていた場合は、スライド椅子8が後方へ摺動した距離に比例して錘32が吊り上がり、錘32の重量が運動者へ負荷となって掛かる。
フック40を椅子滑車53の近傍の基枠5の所定掛止位置41に掛止していた場合は、スライド椅子8が後方へ摺動した距離の2倍だけ錘32が吊り上がり、増加した加速度に係る荷重が錘32の重量に付加して運動者へ付与される。
【0039】
次に、下肢の力を抜き、足を戻す(=復動)。この時、錘32は下降し元位置へ戻る。前述の往復動作を所定回数行ない、大腿四頭筋その他の筋の筋力増強を行なう。
【0040】
訓練を終了する時は、運動者が上肢又は下肢の力を緩めて、操作アーム2及びスライド椅子8を初期位置に戻す。ターンロック22の掛止操作で操作アーム2を移乗の邪魔にならない位置に移動させ、スライド椅子8を基枠5にロックし、該スライド椅子8から降り、訓練を終了する。
【実施例2】
【0041】
図5に示す実施例2は、実施例1に係る足板25を、逆台形足板42に代えたものである。
実施例2に係る足乗部3は、逆台形に形成された逆台形足板42を足枠体26で支持して構成されたものであり、該逆台形足板42の表面29には、当該表面29を複数域に区切る区画線44が描かれる。
区画線44に係る複数の縦線45は、互いの間隔が上方に漸増に描かれている。
又、区画線44及び縦線45には番号(=目盛)56が明示される。
介助者は、運動者に対して、逆台形足板42に足を置く位置を、縦線45を用いて指導する。
縦線45は、運動者に逆台形足板42に足を置く位置と角度を示唆するものであり、運動者は、指示された縦線45に添わせて足を置くことにより、自然な下肢訓練動作が行なえる。
【実施例3】
【0042】
図6、7、8に示す実施例3は、実施例1の負荷伝達機構7に係る迂回方式を、動滑車46を用いた負荷伝達機構7(以下、動滑車方式という)に代えたものである。
実施例3は、基枠5の上部に滑車37が設けられる。該滑車37に錘側索体48が掛け回される。該錘側索体48の一方側には錘32が繋がれ、他方側には動滑車46の回動軸47が繋がれる。
動滑車46に掛けられる索体17の、一方側には作用アーム24が繋がれ、他方側にはスライド椅子8が繋がれる。
【0043】
作用アーム24が動くと、索体17の一方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられ、操作アーム2の動きに対して負荷が掛かる。
又、スライド椅子8が動くと、索体17の他方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられ、スライド椅子8の動きに対して負荷が掛かる。
図6中、62はフック40を基枠5側へ付け替える場合に掛止する止め具である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
基枠5と、基枠5上で前後にスライド可能なスライド椅子8と、基枠5に軸支される操作アーム2と、基枠5に軸支され足を乗せる足乗部3と、操作アーム2の移動に又はスライド椅子8の移動に対して負荷を掛ける負荷装置6とからなることによって、1台の筋力訓練機1でレッグプレスとチェストプレスの2種類の訓練を行なえ、省スペースであり、安価であり、便利であり、効果的な訓練が行なえるものに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の底面図である。
【図3】本発明の実施例1の負荷選択レバーを示す部分図である。
【図4】本発明の実施例1の座部を透視して、調節具を示す部分図である。
【図5】本発明の実施例2の足乗部を示す部分図である。
【図6】本発明の実施例3の斜視図である。
【図7】本発明の実施例3の正面図である。
【図8】本発明の実施例3の右側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 筋力訓練機
2 操作アーム
3 足乗部
4 椅子
5 枠体
6 負荷装置
8 スライド椅子
9 脚
10 座部
14 スライドロック
17 索体
22 ターンロック
29 表面
32 錘
34 作用滑車
35 上滑車
36 下滑車
42 逆台形足板
44 区画線
45 縦線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基枠(5)と、基枠(5)上で前後にスライド可能なスライド椅子(8)と、基枠(5)に軸支される操作アーム(2)と、基枠(5)に軸支され足を乗せる足乗部(3)と、操作アーム(2)の移動に又はスライド椅子(8)の移動に対して負荷を掛ける負荷装置(6)とからなり、
上肢の訓練と下肢の訓練を1台で行なえることを特徴とする筋力訓練機。
【請求項2】
負荷装置(6)は複数個の錘(32)を有してなり、スライド椅子(8)の移動及び操作アーム(2)の移動を、負荷装置(6)に伝動する索体(17)が設けられ、
手の操作で操作アーム(2)を前方へ移動させるとその移動に対して錘(32)の荷重が掛かり上肢訓練が行なえ、
足の操作でスライド椅子(8)を後方へ移動させるとその移動に対して錘(32)の荷重が掛かり下肢訓練が行なえることを特徴とする請求項1記載の筋力訓練機。
【請求項3】
操作アーム(2)の上部に作用滑車(34)が設けられ、基枠(5)の所定上位置に上滑車(35)が設けられ、基枠(5)の所定下位置に下滑車(36)が設けられ、
索体(17)の一方端は錘(32)に止着され、該索体(17)の他方端はスライド椅子(8)に止着され、該索体(17)の中間部は上滑車(35)、作用滑車(34)、下滑車(36)へと迂回状に掛け回されることを特徴とする請求項1又は2記載の筋力訓練機。
【請求項4】
足乗部(3)は、逆台形に形成された逆台形足板(42)であり、
該逆台形足板(42)の表面(29)には、当該表面(29)を複数域に区切る区画線(44)が描かれ、区画線(44)の内の複数の縦線(45)の間隔は上方に漸増に描かれており、足を縦線(45)に添わせて置けるようにしたことを特徴とする筋力訓練機。
【請求項5】
スライド椅子(8)は、脚(9)と、脚(9)に載設される座部(10)と、座部(10)の移動を固定可能なスライドロック(14)とからなり、
基枠(5)には操作アーム(2)の回動を固定可能にするターンロック(22)が設けられ、
上肢訓練は、座部(10)を固定し、操作アーム(2)を移動させて行ない、
或いは、操作アーム(2)を固定し、座部(10)を移動させて行なうこともできることを特徴とする請求項2記載の筋力訓練機。
【請求項6】
基枠(5)の上部に滑車(37)が設けられ、滑車(37)に掛け回される錘側索体48の一方側には錘32が繋がれ、他方側には動滑車46の回動軸47が繋がれ、動滑車46に掛け回される索体17の、一方側には作用アーム24が繋がれ、他方側にはスライド椅子8が繋がれ、
作用アーム24が動くと索体17の一方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられ、又、スライド椅子8が動くと索体17の他方側、動滑車46、錘側索体48等を介して錘32が吊り上げられることを特徴とする請求項2記載の筋力訓練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−244578(P2007−244578A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70944(P2006−70944)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)