説明

筐体カバー及び該筐体カバーを備えた記録装置

【課題】大型の成型機を用いることなく製造することが可能な筐体カバー及び該筐体カバーを備えた記録装置を提供する。
【解決手段】フロントカバー25は、上側部材30と下側部材40が面方向に沿って連結されることで筐体の開口部を覆蓋可能な形状に一体形成される。上側部材30と下側部材40は、連結される相手方の部材との対向部位に、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部34,44をそれぞれ備える。各連結部34,44は、上側部材30,下側部材40の表面及び裏面と斜めに交差する方向に延びるとともに各連結部34,44の嵌合方向に沿って対をなす斜面をそれぞれ有し、連結部34の有する斜面が相手方の連結部44の有する斜面と互いに対向した状態で嵌合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体カバー及び該筐体カバーを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録装置の一種であるプリンタには、A1判又はB1判程度の印刷用紙に対応可能な大型のプリンタがあった(例えば、特許文献1)。
この特許文献1に記載のプリンタは、内部に記録部を収容した筐体の前面に、開閉可能なフロントカバー(筐体カバー)が取り付けられていた。そして、印刷中に紙詰まり等が生じた場合には、フロントカバーを開けて詰まった紙を除去するなど、記録部のメンテナンスを行うことができるようになっていた。そして従来、こうしたフロントカバーはプラスチック等の合成樹脂材により一体成形されていた。
【特許文献1】特開2001−130097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、こうした大型の記録装置に取り付けられるフロントカバーは一般に大きな部材であり、このように大きな部材を一体成形するためには、大型の成型機が必要であった。こうした大型の成型機は非常に高価で容易には入手し難いため、製造上の制約が多い上に、製造コストが嵩んでしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、大型の成型機を用いることなく製造することが可能な筐体カバー及び該筐体カバーを備えた記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の筐体カバーは、複数の壁面形成部材が面方向に沿って連結されることで筐体の開口部を覆蓋可能な形状に一体形成される筐体カバーであって、前記複数の壁面形成部材のうち、互いに連結される壁面形成部材同士は、連結される相手方の壁面形成部材との対向部位に、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部をそれぞれ備え、該各連結部は、前記壁面形成部材の表面及び裏面と斜めに交差する方向に延びるとともに前記各連結部の嵌合方向に沿って対をなす少なくとも2つの斜面をそれぞれ有し、該斜面が前記相手方の壁面形成部材の連結部が有する前記斜面と互いに対向した状態で嵌合される。
【0006】
この発明によれば、複数の壁面形成部材が面方向に連結されることで筐体の開口部を覆蓋可能な形状に一体形成されるので、合成樹脂材による一体成形部品を小型化することが可能となる。したがって、大型の成型機を用いることなく筐体カバーを製造することが可能となる。そして、互いに連結される壁面形成部材同士は、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部をそれぞれ備えるので、櫛歯の並び方向における位置ずれを抑制することができる。また、櫛歯の並び方向における負荷がかかった場合にも、連結部は櫛歯状に複数配置されているので、厚みを増すことなく耐久性を向上させることができる。さらに、各連結部は壁面形成部材の表面及び裏面と斜めに交差する方向に延びるとともに連結部の嵌合方向に沿って対をなす少なくとも2つの斜面をそれぞれ有し、該斜面が相手方の壁面形成部材の連結部が有する斜面と互いに対向した状態で嵌合されるので、表裏方向における位置ずれを抑制することができる。
【0007】
本発明の筐体カバーにおいて、前記互いに連結される壁面形成部材同士のうち一方に設けられた前記連結部は、前記裏面側から前記表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面を有し、前記互いに連結される壁面形成部材同士のうち他方に設けられた前記連結部は、前記表面側から前記裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面を有する。
【0008】
この発明によれば、互いに連結される壁面形成部材同士のうち一方に設けられた連結部の裏面側から表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する斜面と、互いに連結される壁面形成部材同士のうち他方に設けられた連結部の表面側から裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する斜面とが対向した状態で各連結部が嵌合されるので、表裏方向における位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0009】
本発明の筐体カバーにおいて、前記連結部は、略平行をなす2つの前記斜面を有する。
この発明によれば、連結部の略平行をなす2つの斜面が互いに対向した状態で嵌合されるので、表裏方向における位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0010】
本発明の筐体カバーにおいて、前記連結部は、前記裏面側から前記表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面が形成された先端部と、前記表面側から前記裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面が形成された基端部とを有する。
【0011】
この発明によれば、互いに連結される壁面形成部材同士のうち一方に設けられた連結部の先端部に形成された裏面側から表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する斜面と、互いに連結される壁面形成部材同士のうち他方に設けられた連結部の基端部に設けられた表面側から裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する斜面とが互いに対向した状態で両連結部が嵌合されるので、表裏方向における位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0012】
本発明の筐体カバーにおいて、前記連結部の前記先端部と前記基端部との間には、前記壁面形成部材の表裏方向に延びる溝が設けられている。
この発明によれば、連結部の先端部と基端部との間には、壁面形成部材の表裏方向に延びる溝が設けられているので、先端部と基端部との間に生じる成型誤差等を溝で吸収することで、各連結部を確実に嵌合させることができる。
【0013】
本発明の筐体カバーにおいて、前記互いに連結される壁面形成部材同士において、相手方の壁面形成部材との対向部位の裏面側には、連結部同士が連結された場合に略面一となる平面部がそれぞれ形成され、前記基端部は前記平面部から櫛歯状の配置となるように凸設されるとともに、前記先端部は前記基端部から前記嵌合方向に向けて突出するように延設され、前記各連結部は、前記櫛歯状に凸設された前記各基端部の谷間に位置する前記平面部に、相手方の壁面形成部材に設けられた前記連結部の前記各先端部が当接した状態で嵌合される。
【0014】
この発明によれば、基端部は裏面側に形成された平面部から凸設されるとともに、先端部は基端部から嵌合方向に向けて突出するように延設されているので、表面側に連結部を露出させることなく連結を行うことが可能となる。また、各連結部は、櫛歯状に凸設された各基端部の谷間に位置する平面部に、相手方の壁面形成部材に設けられた連結部の各先端部が当接した状態で嵌合されるので、互いに連結される壁面形成部材同士が、互いの裏面側が近接する方向に回動して連結が解除されることを抑制することができる。
【0015】
本発明の筐体カバーにおいて、前記先端部が当接する前記平面部には、少なくとも1つの位置決め突起が突設されているとともに、前記位置決め突起が突設された前記平面部に当接する前記先端部には、前記位置決め突起が嵌合可能な嵌合孔が形成されている。
【0016】
この発明によれば、先端部が当接する平面部に形成された位置決め突起と、位置決め突起が突設された平面部に当接する先端部に形成された嵌合孔とが嵌合されることにより、互いに連結される壁面形成部材同士の連結が不要に解除されることを抑制することができる。
【0017】
本発明の筐体カバーは、互いに連結された前記壁面形成部材同士の嵌合された前記各連結部を覆蓋する断面U字状部分を有する補強部材を備える。
この発明によれば、断面U字状部分を有する補強部材により、壁面形成部材同士の連結を強化することが可能となる。
【0018】
本発明の筐体カバーにおいて、前記互いに連結される壁面形成部材同士は、前記筐体の前側に設けられた前記開口部の上端側に回動可能に取り付けられる上側壁面形成部材と、該上側壁面形成部材の下側に連結される下側壁面形成部材とにより構成され、連結された前記両壁面形成部材は、前記下側壁面形成部材の下端側に設けられた開閉用把持部に重力方向上方に向かう力が作用された場合に回動し、該回動に伴って前記開口部を覆蓋可能な閉位置から前記開口部を開放可能な開位置に変位される。
【0019】
この発明によれば、上側壁面形成部材と下側壁面形成部材とが連結されることで、筐体の前側に設けられた開口部を覆蓋可能なフロントカバーとしての筐体カバーを構成することができるので、合成樹脂材による一体成形部品を小型化することが可能となる。また、連結された両壁面形成部材は、下側壁面形成部材の下端側に設けられた開閉用把持部に重力方向上方に向かう力が作用された場合に、上側壁面形成部材の上端側を回動中心として回動して、閉位置から開位置に変位される。すなわち、特に重力に逆らいつつフロントカバーを開ける場合には、嵌合された連結部に裏面側から表面側に向かう方向に負荷がかかることとなるが、各連結部の嵌合によって表裏方向における位置ずれを抑制することができるので、開閉時の負荷に耐えることができる。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、開口部を有する筐体と、該筐体の内部に収容可能な記録部と、前記開口部を覆蓋可能な上記筐体カバーとを備える。
この発明によれば、上記筐体カバーと同様の作用効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を記録装置の一種である大型プリンタに具体化した第1実施形態を図1〜図10を用いて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、各図中に矢印で示した方向を基準とする。
【0022】
図1及び図2に示すプリンタ11は、A1判又はB1判程度のサイズに対応可能な印刷を行うことができる大型のプリンタである。プリンタ11は印刷を実行する印刷部12(図3参照)を内部に収容する筐体13と、筐体13上部の背面寄りの位置に取り付けられた給紙部14と、筐体13下部の前面側に設けられた排紙部15とを備えている。なお、プリンタ11は、筐体13の下部に脚部(図示略)を取り付けて、筐体13の下方に排紙スペースを確保することもできる。
【0023】
給紙部14には、ロール紙カバー16が開閉可能に取り付けられているとともに、ロール紙カバー16の内側には、ロール紙P(図3参照)をスピンドル17(図3参照)に取り付けた状態でセットすることができるようになっている。また、給紙部14においてロール紙カバー16の前側には、単票紙S(図3に点線で示す)をセットするための手差部18が設けられている。
【0024】
筐体13において長手方向(左右方向)の両端には、下寄りの位置にインクを収容したインクカートリッジ(図示略)を装着可能なカートリッジホルダ19,20が設けられているとともに、筐体13の上面において右寄りの位置には、操作パネル21が設けられている。
【0025】
図3に示すように、印刷部12には、筐体13の長手方向となる主走査方向(図2において紙面と直交する方向)に往復移動可能に構成されたキャリッジ22と、キャリッジ22に支持された記録ヘッド23とが設けられている。また、単票紙S用の手差部18の下方には、ロール紙P(又は単票紙S)を記録ヘッド23側へ案内するための紙案内部24が設けられている。そして、図示しない紙送り機構によってロール紙P(又は単票紙S)が紙案内部24に案内されつつ、記録ヘッド23側に搬送されるようになっている。
【0026】
また、ロール紙P(又は単票紙S)をセットした状態で操作パネル21を介して印刷指示がなされると、インクカートリッジに収容されたインクがインク供給路(図示略)を通じて記録ヘッド23に供給される。そして、記録ヘッド23が主走査方向に移動しながらロール紙P(又は単票紙S)に対してインクを噴射する印刷動作と、ロール紙P(又は単票紙S)を記録ヘッド23側に搬送する給紙動作とを交互に行うことで、ロール紙P(又は単票紙S)に対して印刷が施されるようになっている。
【0027】
筐体13の前側に設けられた開口部13a(図2参照)は、印刷が行われる時は図1に示すように筐体カバーとしてのフロントカバー25によって覆蓋されている。そして、印刷中に紙詰まり等が生じた場合には、図2に示すようにフロントカバー25を開けて詰まった紙の除去等のメンテナンスを行うことができるようになっている。
【0028】
次に、プリンタ11のフロントカバー25の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、フロントカバー25は、開口部13aの上端側に回動可能に取り付けられる上側壁面形成部材としての上側部材30と、上側部材30の下側に連結される下側壁面形成部材としての下側部材40とによって構成されている。
【0029】
図4に示すように、上側部材30及び下側部材40は、開口部13aへの取付時に表面31a,41a(図1及び図2参照)が前面側に露出する壁面を構成する表板部31,41と、フロントカバー25の上下両端及び左右両端に設けられた外周部30a,40aと、裏面31b,41bから突設された左右方向及び上下方向に延びるリブ32,42とが合成樹脂材によりそれぞれ一体成形されている。また、上側部材30の上端側には、3カ所に取付部33が設けられているとともに、下側部材40の下端側には、左右2カ所に開閉用把持部43が設けられている。
【0030】
本実施形態のフロントカバー25は、従来、合成樹脂材によって一体成形されていた壁面状の部材を上側部材30の表板部31と下側部材40の表板部41とに分割した態様となっている。そして、上側部材30と下側部材40が面方向(上下方向)に沿って連結されることで、筐体13の開口部13aを覆蓋可能な形状に一体形成されるようになっている。なお、本実施形態においては意匠上の要請から上側部材30は下側部材40よりも上下方向における長さが長くなっているが、連結方向における分割比や分割数は、任意に設定することができる。
【0031】
フロントカバー25は、上側部材30に設けられた取付部33に固定されるヒンジ(図示略)を介して筐体13の開口部13aの上端側に回動可能に取り付けられている。したがって、下側部材40の下端側に設けられた開閉用把持部43に重力方向上方に向かう力が作用された場合にフロントカバー25は回動し、該回動に伴って開口部13aを覆蓋可能な閉位置(図1参照)から開口部13aを開放可能な開位置(図2参照)に変位されるようになっている。ちなみに、図2においてフロントカバー25は半開き状態となっているので、さらに上方にフロントカバー25を回動させることも可能である。
【0032】
互いに連結される壁面形成部材同士である上側部材30と下側部材40は、連結される相手方の部材との対向部位に、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部34,44をそれぞれ備えている。具体的には、上側部材30の表板部31の裏面31b側において、長手方向(左右方向)に延びるように設けられた下端側のリブ32より下側に形成された平面部31cには、左右方向に並ぶ複数(実施形態では15個)の連結部34(34a,34b,34c)が櫛歯状に配置されている。一方、下側部材40の表板部41の裏面41b側において、長手方向(左右方向)に延びるように設けられたリブ42より上側に形成された平面部41cには、左右方向に並ぶ複数(実施形態では16個)の連結部44(44a,44b,44c)が櫛歯状に配置されている。なお、上側部材30の平面部31cと下側部材40の平面部41cは、連結部34,44が連結された場合には、略面一となるようになっている。
【0033】
次に、連結部34,44の詳細な構成について説明する。
図5に示すように、連結部34,44はそれぞれ平面部31c,41cから櫛歯状の配置となるように凸設された矩形環状部分を有する基端部35,45と、溝形成部36,46と、略有底箱状の先端部37,47とから構成されている。なお、溝形成部36,46及び先端部37,47は、基端部35,45から互いの嵌合方向(上下方向)に向けて突出するように延設される態様となっている。そして、各連結部34,44は、櫛歯状に凸設された各基端部35,45の谷間に位置する平面部31c,41cに、それぞれ相手方の各先端部47,37が当接した状態で嵌合されるようになっている。すなわち、隣接する連結部34同士、また連結部44同士は、その間に相手方となる連結部44,34が嵌合可能な隙間を有して櫛歯状に配置されている。
【0034】
基端部35,45、溝形成部36,46、先端部37,47は、前後方向(表裏方向)の幅はいずれも同じであるが、左右方向の幅は溝形成部36,46が基端部35,45及び先端部37,47よりも狭くなっている。これにより、溝形成部36,46は、上下方向に連なる基端部35,45と先端部37,47との間に、表裏方向に延びる溝36a,46aを形成している。
【0035】
連結部34,44は、先端部37,47の左右の側面に、裏面側から表面側に向かう方向(前方向)に先細となるテーパ面を構成するように嵌合方向(上下方向)に沿って対をなす2つの斜面37a,47aをそれぞれ有する。また、基端部35,45の左右の側面には、裏面側から表面側に向かう方向(後方向)に先細となるテーパ面を構成するように嵌合方向(上下方向)に沿って対をなす斜面38a,48aを形成する斜面形成リブ38,48が左右両側面に各3つずつ設けられている。なお、斜面37a,38aはいずれも上側部材30の表面31a及び裏面31bと斜めに交差する方向に延びているとともに、斜面47a,48aはいずれも下側部材40の表面41a及び裏面31bと斜めに交差する方向に延びている。そして、上側部材30と下側部材40が連結される際には、連結部34の有する斜面37a,38aが相手方となる下側部材40の連結部44が有する斜面48a,47aと前後方向(表裏方向)において、互いに対向した状態でそれぞれ嵌合されるようになっている。
【0036】
図4に示すように、上側部材30に設けられた15個の連結部34のうち、左右方向における中央に位置する連結部34cは、その両側に並ぶ連結部34a,34bよりも左右方向の幅が狭くなっている。また、連結部34bには、基端部35及び先端部37にネジ孔39aが形成されたネジ孔形成リブ39が設けられている。連結部34bは、左右方向における両端に設けられるとともに、この両端の連結部34bの内側となる位置に配置された連結部34aを間に1つずつ挟むような態様で、左右の端部寄りとなる位置に合計6つ設けられている。
【0037】
一方、下側部材40に設けられた16個の連結部44のうち、左右両端に位置する連結部44cは、その内側に並ぶ連結部44a,44bよりも左右方向の幅が狭くなっている。また、連結部44bには、基端部45及び先端部47にネジ孔49aが形成されたネジ孔形成リブ49が設けられている。連結部44bは、左右両端に設けられた連結部44cの内側となる位置に、連結部44aを間に1つずつ挟むような態様で、左右の端部寄りとなる位置に合計6つ設けられている。なお、連結部34aと連結部44a、連結部34bと連結部44bは、それぞれ同形状となっている。また、左右方向の幅が異なる連結部34c,44cは、櫛歯状に配置された連結部34,44の配置(数、幅等)を調整するために設けられたものなので、必要がなければ省略することもできる。
【0038】
図4及び図5に示すように、下側部材40の左右両端に位置する各連結部44cの先端部47において外側の側壁には挿通孔51が形成されている。また、上側部材30の左右の側壁にあたる外周部30aの下端寄りの位置には挿通孔52が、下側部材40の左右の側壁にあたる外周部40aの上端寄りの位置には挿通孔53が、それぞれ基端部35,45と対応する位置に設けられている。
【0039】
さらに、上側部材30において左右方向の中央に位置する連結部34cの先端部37の底面37b(図5参照)と、下側部材40において左右両端に位置する連結部44aの先端部47の底面47b(図5参照)には、嵌合孔54が形成されている。一方、上側部材30と下側部材40とが連結された場合に先端部37,47が当接する平面部31c,41cにおいて、各嵌合孔54と対応する位置には、嵌合孔54と嵌合可能な平面視十字形をなす位置決め突起としての十字リブ55がそれぞれ突設されている。
【0040】
図4及び図6に示すように、フロントカバー25には、連結された上側部材30と下側部材40の嵌合された連結部34,44を覆蓋するように、断面U字状部分を有する金属板からなる補強部材としての補強板金60が左右2カ所に取り付けられるようになっている。なお、図4は補強板金60を取り付ける前の状態を示し、図6は連結部34,44を補強板金60で覆蓋した状態を示す。
【0041】
図4に示すように、補強板金60の平面部61には、連結部34b,44bのネジ孔39a,49aと対応する挿通孔61aが合計12個設けられている。また、右側の補強板金60の右端及び左側の補強板金60の左端に設けられたネジ止め部62には、挿通孔52,53と対応するネジ孔62aが各2つ設けられている。さらに、両補強板金60の上下両端に設けられた係止部63には、縁部63aが設けられている。
【0042】
図6に示すように、上側部材30と下側部材40が連結されることにより、左右方向に並んだ連結部34,44と、上側部材30において左右方向に延びる下端側のリブ32との間には、隙間50aが形成される態様となる。同時に、左右方向に並んだ連結部34,44と、下側部材40において左右方向に延びるリブ42との間には、隙間50bが形成される態様となる。
【0043】
そして、連結された上側部材30と下側部材40の連結部34,44に補強板金60が取り付けられる際には、上側の係止部63が隙間50aに、下側の係止部63が隙間50bに、ネジ止め部62が連結部44cの開口にそれぞれ挿通されるようになっている。そして、挿通孔51,52に挿通されたネジ(図示略)及び挿通孔53に挿通されたネジ(図示略)を補強板金60のネジ孔62aにネジ止めするとともに、挿通孔61aに挿通されたネジ(図示略)を連結部34b,44bのネジ孔39a,49aにネジ止めすることで、補強板金60の固定が行われるようになっている。
【0044】
次に、上側部材30と下側部材40の連結作業について、図7〜図9に基づいて説明する。上側部材30と下側部材40を連結する際には、まず図7に点線で示すように、上側部材30の表面31aにおける下端と下側部材40の表面41aにおける上端を当接させるように、上側部材30と下側部材40を斜めに交差させる。このとき、図8に示すように、連結部34,44は左右方向に交互に並んだ状態で交差した状態となって、櫛歯状に凸設された各基端部35,45の谷間に位置する平面部31c,41cの後方に、相手方の各先端部47,37が配置された態様となっている。
【0045】
そして、この状態から図7に実線で示す位置まで、下側部材40の下端側を図7における反時計回り方向に回動させると、図9に示すように、櫛歯状に凸設された各基端部35,45の谷間に位置する平面部31c,41cに、相手方の各先端部47,37が当接する。このとき、十字リブ55が突設された平面部31c,41cに嵌合孔54が形成された先端部37,47が当接されると、十字リブ55が嵌合孔54に嵌合されて、上側部材30と下側部材40が連結される。
【0046】
なお、十字リブ55がなければ、上側部材30と下側部材40は上下方向にスライド移動させることで連結することが可能であるが、十字リブ55を設けることで、上側部材30と下側部材40の連結が上下方向において解除されることを防止するようにしている。
【0047】
また、上側部材30と下側部材40を連結した後に補強板金60を取り付け、隙間50a,50bに縁部63aが設けられた係止部63を挿通させることで、上側部材30と下側部材40の連結が上下方向において解除されることを防止している。さらに、補強板金60のネジ止め部62を連結部44cの開口に挿通させてネジ止めすることで、上側部材30と下側部材40とが左右方向に位置ずれすることを抑制している。
【0048】
さらに、補強板金60は、下側部材40の下端側が図7において時計回りとなる方向に回動して上側部材30との連結が解除されることを防止する役割も担っている。一方、図7における反時計回りとなる方向に対しては、連結部34,44の先端部37,47が平面部41c,31cに当接することで、下側部材40の下端側が回動して上側部材30との連結が解除されることを防止している。
【0049】
本実施形態のフロントカバー25は、下側部材40の下端側に設けられた開閉用把持部43に下側から手を掛けて持ち上げると開くようになっているので、図7において時計回りとなる方向に対して負荷がかかりやすい構造となっている。そのため、裏側に補強板金60を取り付けることで、櫛歯状に配置された連結部34,44が表側に露出することを防止しつつ、上側部材30と下側部材40の連結を強化するようにしている。
【0050】
次に、上側部材30と下側部材40が連結された場合の連結部34,44の嵌合状態について図10(a)〜(d)に基づいて説明する。なお、図10(a)〜(d)はいずれも連結部34,44の嵌合状態を説明するための模式図で、連結部34,44において溝形成部36,46や隙間50a,50b、ネジ孔39a,49a等の図示を省略して、基端部35,45及び先端部37,47をブロック状に表現しているとともに、下側部材40に網掛けを施して図示している。そして、図10(a)は嵌合された連結部34,44を後側(裏面31b,41b側)から見た裏面図、図10(b)は連結されていない上側部材30の連結部34付近を下側から見た底面図である。なお、図10(b)では上側部材30の連結部34のみを図示しているが、下側部材40の連結部44も同様の構成を備えている。また、図10(c)は図10(a)におけるX−X断面図、図10(c)は図10(a)におけるY−Y断面図であるが、下側部材40の網掛け表示を強調するために、いずれもブロック状に表現して断面線の図示を省略している。
【0051】
図10(a)に示すように、上側部材30と下側部材40が連結されると、連結部34の有する斜面37a,38aが、相手方となる下側部材40の連結部44が有する斜面48a,47aと前後方向(表裏方向)において、互いに対向した状態となる。
【0052】
すなわち、図10(b)に示すように、斜面38a,48aと斜面37a,47aは、上端側が同一線上に位置しているとともに、それぞれ傾斜方向の異なるテーパ面となるように前側に向かって延びて、斜面38a,48aはそれぞれ後側に向けて先細となるテーパ面を構成し、斜面37a,47aはそれぞれ前側に向けて先細となるテーパ面を構成している。
【0053】
ちなみに、ここで図示を省略している表裏方向に延びる溝36a,46aは、先端部37,47の斜面37a,47aと基端部35,45の斜面38a,48aとの間に生じる成型誤差等を吸収するために設けられている。したがって、斜面37a,47aと斜面38a,48aとの間にバリが生じて、相手方となる基端部35,45の斜面形成リブ38,48が嵌りにくくなることが抑制されるようになっている。
【0054】
そして、図10(c)に示すように、嵌合された連結部34,44の、基端部35と先端部47が左右方向に櫛歯状に並んだ上側部分においては、上側部材30の平面部31cに連結部44の先端部47が当接して、基端部35の斜面38aと先端部47の斜面47aが対向するようになっている。また、図10(d)に示すように、先端部37と基端部45が左右方向に櫛歯状に並んだ下側部分においては、下側部材40の平面部41cに連結部34の先端部37が当接して、基端部45の斜面48aと先端部37の斜面37aが対向するようになっている。
【0055】
このように傾斜方向の異なる2種のテーパ面が互いに対向し合うことにより、上側部材30と下側部材40が表裏方向において位置ずれすることを抑制するようになっている。なお、図10(c)及び図10(d)においては、互いに対向する斜面をわかりやすく示すために連結部34と連結部44との間に隙間があるような表現となっているが、実際には連結部34と連結部44が互いに当接するように嵌合された状態となっている。
【0056】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)上側部材30と下側部材40が面方向(上下方向)に連結されることで筐体13の開口部13aを覆蓋可能な形状に一体形成されるので、合成樹脂材による一体成形部品を小型化することが可能となる。したがって、大型の成型機を用いることなくフロントカバー25を製造することが可能となる。
【0057】
(2)連結される壁面形成部材同士である上側部材30と下側部材40は、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部34,44をそれぞれ備えるので、櫛歯の並び方向(左右方向)における位置ずれを抑制することができる。また、櫛歯の並び方向(左右方向)における負荷がかかった場合にも、連結部34,44は櫛歯状に複数配置されているので、厚みを増すことなく耐久性を向上させることができる。
【0058】
(3)各連結部34,44は表板部31,41の表面31a,41a及び裏面31b,41bと斜めに交差する方向に延びるとともに連結部34,44の嵌合方向(上下方向)に沿って対をなす斜面37a,38a、斜面47a,48aをそれぞれ有し、連結部34の斜面37a,38aが相手方となる連結部44が有する斜面48a,47aと表裏方向において互いに対向した状態で嵌合されるので、表裏方向における位置ずれを抑制することができる。
【0059】
(4)連結部34,44の先端部37,47に形成された裏面側から表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する斜面37a,47aと、互いに連結される他方の基端部45,35に設けられた表面側から裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する斜面48a,38aとが互いに対向した状態で両連結部34,44が嵌合されるので、表裏方向における位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0060】
(5)連結部34,44の先端部37,47と基端部35,45との間には、表裏方向に延びる溝36a,46aが設けられているので、先端部37,47と基端部35,45との間に生じる成型誤差等を溝36a,46aで吸収することで、連結部34と連結部44を確実に嵌合させることができる。
【0061】
(6)基端部35,45は裏面31b,41b側に形成された平面部31c,41cから凸設されるとともに先端部37,47は基端部35,45から嵌合方向に向けて突出するように延設されているので、表面側に連結部34,44を露出させることなく連結を行うことが可能となる。また、各連結部34,44は、櫛歯状に凸設された各基端部35,45の谷間に位置する平面部31c,41cに、相手方の連結部44,34の各先端部47,37が当接した状態で嵌合されるので、互いに連結される上側部材30と下側部材40とが、互いの裏面31b,41b側が近接する方向に回動して連結が解除されることを抑制することができる。
【0062】
(7)先端部37,47が当接する平面部41c,31cに形成された十字リブ55と、十字リブ55が突設された平面部41c,31cに当接する先端部37,47に形成された嵌合孔54とが嵌合されることにより、上側部材30と下側部材40の連結が不要に解除されることを抑制することができる。
【0063】
(8)断面U字状部分を有する補強板金60により、上側部材30と下側部材40の連結を強化することが可能となる。
(9)上側部材30と下側部材40とが連結されることで、筐体13の前側に設けられた開口部13aを覆蓋可能なフロントカバー25を構成することができるので、合成樹脂材による一体成形部品を小型化することが可能となる。また、連結された上側部材30と下側部材40は、下側部材40の下端側に設けられた開閉用把持部43に重力方向上方に向かう力が作用された場合に、上側部材30の上端側を回動中心として回動して、閉位置から開位置に変位される。すなわち、特に重力に逆らいつつフロントカバー25を開ける場合には、嵌合された連結部34,44に裏面側から表面側に向かう方向に負荷がかかることとなるが、各連結部34,44の嵌合によって表裏方向における位置ずれを抑制することができるので、開閉時の負荷に耐えることができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明を同じく記録装置の一種である大型プリンタに具体化した第2実施形態を図11に基づいて説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態におけるフロントカバーを一部変更するものであるため、以下では特に第1実施形態との相違点について説明する。
【0065】
なお、図11(a)〜(d)はいずれも本実施形態の上側部材30に設けられた連結部74と下側部材40に設けられた連結部84の嵌合状態を説明するための模式図で、図10(a)〜(d)と同様に、詳細な構成の図示を省略して、基端部75,85及び先端部77,87をブロック状に表現しているとともに、下側部材40に網掛けを施して図示している。下側部材40に網掛けを施して図示している。そして、図11(a)は嵌合された連結部74,84を後側から見た裏面図、図11(b)は連結されていない上側部材30の連結部74付近を下側から見た底面図である。なお、図11(b)では上側部材30の連結部74のみを図示しているが、下側部材40の連結部84も同様の構成を備えている。また、図11(c)は図11(a)におけるX−X断面図、図11(c)は図11(a)におけるY−Y断面図であるが、下側部材40の網掛け表示を強調するために、いずれもブロック状に表現して断面線の図示を省略している。
【0066】
図11(a)及び図11(b)に示すように、互いに連結される壁面形成部材同士である上側部材30と下側部材40は、連結される相手方の部材との対向部位に、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部74,84をそれぞれ備えている。
【0067】
連結部74は、基端部75に嵌合方向(上下方向)に沿って略平行をなす斜面75a,75bを有するとともに、先端部77に嵌合方向(上下方向)に沿って略平行をなす斜面77a,77bを有している。また、連結部84は、基端部85に嵌合方向(上下方向)に沿って略平行をなす斜面85a,85bを有するとともに、先端部87に嵌合方向(上下方向)に沿って略平行をなす斜面87a,87bを有している。なお、斜面75a,75b,77a,77b,85a,85b,87a,87b,は、表面31a及び裏面31bと斜めに交差する方向に延びている。
【0068】
なお、本実施形態において上側部材30及び下側部材40は嵌合孔54及び十字リブ55は備えておらず、上側部材30の下端側から下側部材40を上方向にスライド移動させることで、上側部材30と下側部材40の連結作業が行われるようになっている。
【0069】
そして、上側部材30と下側部材40とが連結された場合には、図11(c)に示すように、基端部75と先端部87が左右方向に櫛歯状に並んだ上側部分においては、基端部75の斜面75a,75bと先端部87の斜面87b,87aがそれぞれ表裏方向において互いに対向した状態で嵌合されるようになっている。また、図11(d)に示すように、先端部77と基端部85が左右方向に櫛歯状に並んだ下側部分においては、先端部77の斜面77a,77bと基端部85の斜面85b,85aがそれぞれ対向するようになっている。これにより、上側部材30と下側部材40がそれぞれ表裏方向において互いに対向した状態で嵌合されるようになっている。
【0070】
これにより、上側部材30と下側部材40が表裏方向において位置ずれすることを抑制するようになっている。なお、図11(c)及び図11(d)においては、互いに対向する斜面をわかりやすく示すために連結部74と連結部84との間に隙間があるような表現となっているが、実際には連結部74と連結部84が互いに当接するように嵌合された状態となっている。
【0071】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(10)連結部74,84の略平行をなす斜面75a,75b,77a,77bと斜面87b,87a,85b,85aがそれぞれ互いに対向した状態で嵌合されるので、表裏方向における位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0072】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・斜面38a,48aは、基端部35,45の左右両側面に斜面形成リブ38,48を3カ所ずつ設けることによって形成しているが、先端部37,47の斜面37a,47aのように、基端部35,45の左右両側面全体で構成するようにしてもよい。
【0073】
・連結部34,44は、溝36a,46a(溝形成部36,46)を備えない構成としてもよい。
・連結部34,44の先端部37,47が当接する平面部41c,31cを備えない構成としてもよい。
【0074】
・連結部34,44を表面31a,41aから凸設するようにしてもよい。
・十字リブ55を備えない構成としてもよいし、1カ所又は2カ所以上の任意の位置に十字リブ55を備えるようにしてもよい。また、平面視十字形でない突起とすることもできる。
【0075】
・補強板金60は金属板以外の樹脂材料等で構成してもよいし、断面U字状部分を有さない板形状の部材を取り付けるようにしてもよい。また、取り付け箇所も2カ所に限らず、左右方向の幅の小さいものを3つ以上取り付けるようにしてもよいし、連結部34,44全体を覆う幅のものを1つだけ取り付けるようにしてもよい。
【0076】
・フロントカバー25は、表面又は裏面が平面状でなくてもよい。すなわち、連結部34,44が互いに嵌合可能であれば、他の部分は意匠上の要請に応じて凹凸形状を備えることが可能である。
【0077】
・フロントカバー25は、横開きとなるようにしてもよいし、下端側を回動中心として上端側が開閉するようにしてもよい。
・フロントカバー25は、上下3つ以上の壁面構成部材を連結するようにしてもよいし、左右方向に2つ以上の壁面構成部材を連結するようにしてもよい。また、連結される各壁面構成部材の面積比(連結方向における長さ比)についても、任意に設定することが可能である。
【0078】
・筐体13の上側や下側、後側や左右側面側の開口部を覆蓋可能なカバーとして筐体カバーを採用することもできるし、開閉されない筐体カバーとすることもできる。
・プリンタ11の対応可能な用紙サイズはA1判又はB1判に限られるものではない。
【0079】
・上記実施形態では、記録装置の記録部をインクジェット式プリンタとして具体化したが、ペンを使ってベクトルデータを記録するプロッタや電子写真式のプリンタとして具体化してもよいし、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態における大型プリンタを示す斜視図。
【図2】図1においてフロントカバーが半開きとなった状態を示す斜視図。
【図3】給紙部及び記録部を説明するための概略断面図。
【図4】フロントカバーを裏面側から見た分解斜視図。
【図5】図4の一部拡大図。
【図6】フロントカバーを裏面側から見た斜視図。
【図7】フロントカバーの連結作業を説明するための側面図。
【図8】フロントカバーの連結作業を説明するための斜視図。
【図9】連結された上側部材と下側部材を裏面側から見た斜視図。
【図10】第1実施形態における連結部の嵌合状態を説明するための模式図で、(a)は嵌合された連結部を後側から見た裏面図、(b)は連結されていない上側部材の連結部付近を下側から見た底面図、(c)は(a)におけるX−X断面図、(d)は(a)におけるY−Y断面図。
【図11】第2実施形態における連結部の嵌合状態を説明するための模式図で、(a)は嵌合された連結部を後側から見た裏面図、(b)は連結されていない上側部材の連結部付近を下側から見た底面図、(c)は(a)におけるX−X断面図、(d)は(a)におけるY−Y断面図。
【符号の説明】
【0081】
11…記録装置としてのプリンタ、12…記録部、13…筐体、13a…開口部、25…筐体カバーとしてのフロントカバー、30…上側壁面形成部材(壁面形成部材)としての上側部材、40…下側壁面形成部材(壁面形成部材)としての下側部材、31a,41a…表面、31b,41b…裏面、31c,41c…平面部、34,34a,34b,34c,44,44a,44b,44c,74,84…連結部、35,45,75,85…基端部、36a,46a…溝、37,47,77,87…先端部、37a,38a,47a,48a,75a,75b,77a,77b,85a,85b,87a,87b…斜面、43…開閉用把持部、54…嵌合孔、55…位置決め突起としての十字リブ、60…補強部材としての補強板金。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁面形成部材が面方向に沿って連結されることで筐体の開口部を覆蓋可能な形状に一体形成される筐体カバーであって、
前記複数の壁面形成部材のうち、互いに連結される壁面形成部材同士は、連結される相手方の壁面形成部材との対向部位に、互いに嵌合可能な態様で櫛歯状に配置された連結部をそれぞれ備え、
該各連結部は、前記壁面形成部材の表面及び裏面と斜めに交差する方向に延びるとともに前記各連結部の嵌合方向に沿って対をなす少なくとも2つの斜面をそれぞれ有し、該斜面が前記相手方の壁面形成部材の連結部が有する前記斜面と互いに対向した状態で嵌合されることを特徴とする筐体カバー。
【請求項2】
前記互いに連結される壁面形成部材同士のうち一方に設けられた前記連結部は、前記裏面側から前記表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面を有し、
前記互いに連結される壁面形成部材同士のうち他方に設けられた前記連結部は、前記表面側から前記裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の筐体カバー。
【請求項3】
前記連結部は、略平行をなす2つの前記斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の筐体カバー。
【請求項4】
前記連結部は、前記裏面側から前記表面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面が形成された先端部と、前記表面側から前記裏面側に向かう方向に先細となるテーパ面を構成する前記斜面が形成された基端部とを有することを特徴とする請求項2に記載の筐体カバー。
【請求項5】
前記連結部の前記先端部と前記基端部との間には、前記壁面形成部材の表裏方向に延びる溝が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の筐体カバー。
【請求項6】
前記互いに連結される壁面形成部材同士において、相手方の壁面形成部材との対向部位の裏面側には、連結部同士が連結された場合に略面一となる平面部がそれぞれ形成され、
前記基端部は前記平面部から櫛歯状の配置となるように凸設されるとともに、前記先端部は前記基端部から前記嵌合方向に向けて突出するように延設され、
前記各連結部は、前記櫛歯状に凸設された前記各基端部の谷間に位置する前記平面部に、相手方の壁面形成部材に設けられた前記連結部の前記各先端部が当接した状態で嵌合されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の筐体カバー。
【請求項7】
前記先端部が当接する前記平面部には、少なくとも1つの位置決め突起が突設されているとともに、
前記位置決め突起が突設された前記平面部に当接する前記先端部には、前記位置決め突起が嵌合可能な嵌合孔が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の筐体カバー。
【請求項8】
前記互いに連結される壁面形成部材同士の嵌合された前記各連結部を覆蓋する断面U字状部分を有する補強部材を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の筐体カバー。
【請求項9】
前記互いに連結される壁面形成部材同士は、前記筐体の前側に設けられた前記開口部の上端側に回動可能に取り付けられる上側壁面形成部材と、該上側壁面形成部材の下側に連結される下側壁面形成部材とにより構成され、
連結された前記両壁面形成部材は、前記下側壁面形成部材の下端側に設けられた開閉用把持部に重力方向上方に向かう力が作用された場合に回動し、
該回動に伴って前記開口部を覆蓋可能な閉位置から前記開口部を開放可能な開位置に変位されることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の筐体カバー。
【請求項10】
開口部を有する筐体と、該筐体の内部に収容可能な記録部と、前記開口部を覆蓋可能な請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の筐体カバーとを備えることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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