筒形電流ヒューズの製造方法
【課題】セラミックス筒体の貫通孔に斜めに弛み無く傷を付けないように可溶体ワイヤを張り、該ワイヤの両端部を前記筒体両端面に連続的に仮止め固定する、筒形電流ヒューズの製造方法を提供する。
【解決手段】貫通孔12を備えたセラミックス筒体11の貫通孔に連通する開口部にハンダ15を被着するハンダ形成工程と、セラミックス筒体の貫通孔に、可溶体であるワイヤ16を通すワイヤ通線工程と、セラミックス筒体に通線したワイヤの端部をチャック22,23で掴み、所定の張力を加えた状態でワイヤを貫通孔内に斜めに張るワイヤ張架工程と、ワイヤ16を、セラミックス筒体の開口部へハンダ15を介して固定し、切断するワイヤ接合工程と、を含み、ワイヤ接合工程は、ワイヤをセラミックス筒体の開口部に当接させ、ワイヤの当該当接部分を加熱して固定しながら切断する。
【解決手段】貫通孔12を備えたセラミックス筒体11の貫通孔に連通する開口部にハンダ15を被着するハンダ形成工程と、セラミックス筒体の貫通孔に、可溶体であるワイヤ16を通すワイヤ通線工程と、セラミックス筒体に通線したワイヤの端部をチャック22,23で掴み、所定の張力を加えた状態でワイヤを貫通孔内に斜めに張るワイヤ張架工程と、ワイヤ16を、セラミックス筒体の開口部へハンダ15を介して固定し、切断するワイヤ接合工程と、を含み、ワイヤ接合工程は、ワイヤをセラミックス筒体の開口部に当接させ、ワイヤの当該当接部分を加熱して固定しながら切断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の基板に表面実装して用いるのに好適な筒形電流ヒューズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板等へ表面実装が可能な小型電流ヒューズは、従来から様々な形式のものが提案されている。例えば、特許文献1には、内部に貫通孔を設けた筒形のセラミックスからなるケース本体に可溶体ワイヤを張架し、金属製のキャップを嵌着させた後で加熱しワイヤを固定する方法で製造する小型電流ヒューズが開示されている。
【0003】
しかしながら、このヒューズでは、可溶体ワイヤを張架するときにワイヤ端部を外に引き出して、キャップを嵌着し、加熱してワイヤを接続固定してからワイヤを切断する方式が採用されている。このため、セラミックス筒体にキャップ電極を嵌着する場合に、可溶体ワイヤとキャップの摩擦力で可溶体ワイヤに過大な張力(嵌着による張力)をかけてしまう場合がある。また、可溶体ワイヤに力を掛け過ぎないようワイヤを弛ませて張ると、キャップ電極嵌着時の摩擦でワイヤが移動する量が一定しないために、ワイヤの弛みがばらつくという問題がある。ワイヤが弛むとワイヤ長さが安定しないばかりか、ワイヤがセラミックス筒体の側面に付着することで溶断特性が安定しない不具合がある。さらに、セラミックスケースに可溶体ワイヤを収める溝を加工する必要があり、構造が複雑となるという問題がある。
【0004】
特許文献2には、ハンダ付けまたはスポット溶接等で、外側キャップ嵌合前にワイヤを仮固定する方法が開示されている(図1,図2)。しかし、ハンダ付けでのワイヤ仮固定は、ワイヤを曲げてワイヤの剛性で保持するだけであり、不安定である上、ワイヤ線は太く剛性のある材料に限定される。また、スポット溶接でワイヤを片側ずつ仮固定する方法(図5)は、ワイヤを溶接するために内側キャップを予め接着剤で接着することが必要であり、キャップが2重になるためにコストが掛かるうえに、ワイヤ張架、ワイヤ仮固定、ワイヤ切断が複雑で多段階となるために製造工程が簡便な方法とはいえない。また、内キャップの角でワイヤが傷つく恐れがあり、ワイヤに傷を付けないよう仮固定して弛み無く張る課題の解決方法については示唆していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−342623号公報
【特許文献2】特許第3146012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、セラミックス筒体の貫通孔に斜めに弛み無く傷を付けないように可溶体ワイヤを張り、該ワイヤの両端部を前記筒体両端面に仮止め固定して切断する工程を連続的に行う、筒形電流ヒューズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の筒形電流ヒューズの製造方法は、貫通孔を備えたセラミックス筒体の前記貫通孔に連通する開口部にハンダを被着するハンダ形成工程と、セラミックス筒体の貫通孔に、可溶体であるワイヤを通すワイヤ通線工程と、セラミックス筒体に通したワイヤの端部をチャックで掴み、所定の張力を加えた状態でワイヤを貫通孔内に斜めに張るワイヤ張架工程と、ワイヤを、セラミックス筒体の開口部へ前記ハンダを介して固定し、切断するワイヤ接合工程と、を含み、ワイヤ接合工程は、ワイヤをセラミックス筒体の開口部に当接させ、ワイヤの当該当接部分を加熱して固定しながら切断することを特徴とする。
【0008】
ワイヤの固定は、ワイヤの一次側(先の)端面固定では、ワイヤに張架張力を印加しながらワイヤの端面への固定部を加熱チップが直接接触してハンダに固定してワイヤを破断する。ワイヤの二次側(後の)端面固定では、加熱チップ先端がワイヤに直接触れないよう加熱して、二次側端面で張架張力を印加しながらワイヤの端面固定部をハンダに固定して破断する。二次側端面でのワイヤ切断は、セラミックス筒体端面沿面から筒体の方向へ角度を持つ方向にワイヤに張力を印加しながらワイヤを破断させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】セラミックス筒体端面にハトメ状のハンダを形成し、可溶体ワイヤを斜めに弛みなく張架し切断した段階の断面図である。
【図2】セラミックス筒体の貫通孔縁部にハトメ状のハンダを形成した段階の断面図である。
【図3A】セラミックス筒体の貫通孔に、ワイヤガイドに覆われた可溶体ワイヤを挿入した段階の断面図である。
【図3B】可溶体ワイヤの一端をチャックで一時保持し、ワイヤガイドを引き抜く段階の断面図である。
【図4A】可溶体ワイヤをセラミックス筒体内部に通線し、ワイヤの両端をチャックで保持し、回転ジグの把持部でセラミックス筒体を保持した段階の断面図である。
【図4B】セラミックス筒体を回転ジグにより90度回転させて、ワイヤをセラミックス筒体内で斜めに張った段階の断面図である。
【図4C】セラミックス筒体の両端面にヒーターチップを押し当てて支持した段階の断面図である。
【図5A】一次側端面におけるワイヤをハンダに固定する段階の断面図である。
【図5B】一次側端面におけるワイヤをハンダに固定して切断する段階の断面図である。
【図6A】二次側端面におけるワイヤをハンダに固定する段階の断面図である。
【図6B】二次側端面におけるワイヤをハンダに固定して切断する段階の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図6Bを参照して説明する。なお、各図中、同一または相当する部材または要素には、同一の符号を付して説明する。
【0011】
図1は本発明の筒形電流ヒューズにおいて、ワイヤを筒体の端部に仮固定した状態を示す。このヒューズは内部に貫通孔12を備えたセラミックスの筒体11と、該筒体の両端に後の工程で嵌着される、電極キャップ18(破線にて示す)と、該筒体の内部貫通孔12に斜めに弛みなく張架した可溶体ワイヤ16と、を備えた筒形電流ヒューズである。筒体11の端面から貫通孔内周面に亘って形成されたハトメ状のハンダ15を備え、ワイヤ16をハンダ15の筒体の端面側に仮固定し、キャップ18を嵌着後、加熱してワイヤ16をキャップ18の内面にハンダで接続固定する。
【0012】
ワイヤ16の端部は筒体11の外周部まで及んでいない。すなわち、ワイヤ16の端部は筒体11の端面上に設けたハンダ15に固定され、その部分で切断されている。ワイヤ16の端部は、後のキャップ18の接続固定時に、貫通孔12の縁部を覆うハンダ15とキャップ18内に装填したハンダとが溶融し、一体となったハンダで貫通孔12の両端部が閉塞され、ワイヤ16の端部がキャップ18の内面に接続固定される。なお、貫通孔12の縁部を覆うハンダ15のみで、ワイヤ16の端部をキャップ18の内面に接続固定するようにしてもよい。
【0013】
図2乃至図6Bは本発明の一実施例の筒形電流ヒューズの製造方法を示す。まず、内部に貫通孔12を備えた外形が略角柱状のセラミックス筒体11を準備する。そして、筒体11を立てた状態で、筒体11の端面上に円板状のハンダ板を配置する。ハンダ板は鉛フリーで硬度のあるSn−Cu4〜15%のハンダを用いて形成することが好ましい。
【0014】
そして、ハンダ板上から貫通孔12にジグ(ポンチ)で打ち抜く。これにより、ハンダ板が変形し、図2に示すように、セラミックス筒体11の端面の貫通孔12の縁部(角部)にリング状のハンダ部分15aと、該ハンダ部分15aから貫通孔の内周面に延びたハンダ部分15bからなる、ハトメ状のハンダ15が形成される。ハトメ状のハンダ15では、筒体11の端面から内周面に亘って滑らかな曲面Rが形成される。図示のように、ハトメ状のハンダ15を筒体11の両端面に形成する。
【0015】
次に、図3Aに示すように、ワイヤ通線ステージにおいて、ハンダ15を形成したセラミックス筒体11内部に、ワイヤガイド21に覆われた可溶体ワイヤ16を挿入する。ワイヤ16が細いため、剛性を有するワイヤガイド21で支持することで、良好な作業性が得られる。そして、図3Bに示すように、ワイヤ一時保持チャック25でワイヤ16の先端部を掴んで保持した後で、ワイヤガイド21を引き抜いてワイヤ16をセラミックス筒体内部に通線する。そして、反対側をワイヤ一時保持チャック26で掴んで保持した後図示しない手段でワイヤを切断する。なお、ワイヤガイド21は内部にワイヤを通した状態で、図中左側の図示しない部分に移動する。
【0016】
次に、図4Aに示すように、ワイヤ16が通線され両側を一時保持されたセラミックス筒体11は張力を維持したままワイヤ張架ステージへ移され、ワイヤ16をワイヤ保持チャック22,23で保持する。セラミックス筒体11は回転ジグ24の把持部24a,24bで保持される。把持部24a,24bは円盤状の回転ジグ24に固定され、回転ジグ24は図中破線の円で示す方向に回転可能となっている。
【0017】
この時セラミックス筒体11とワイヤ16は平行に配置されており、お互いに接触しない位置関係にある。またワイヤ保持チャック22,23は図中の矢印方向にスライド可能となるような可動軸を持って配置されており、必要な範囲内で自由に移動ができる。また、ワイヤ保持チャック22,23はバネ等の弾性部材により外側方向へ張架張力Fを持たせてあるため、セラミック筒体に通した可溶体ワイヤ16はまっすぐに張られている。これで、セラミックス筒体11の内部にワイヤ16の通線が完了する。なお、張架張力Fはワイヤ16をまっすぐに張ることができる最小限の力で充分である。
【0018】
次に、図4Bに示すように、ワイヤ16の両端部をワイヤ保持チャック22,23で挟んだまま、セラミックス筒体11を回転ジグ24により90度(上面から見て反時計回り)回転させて、ワイヤ16をセラミックス筒体11内で斜めに張る。この時、ワイヤ16は両端を張架張力Fで引かれているためセラミックス筒体11内に弛み無く張られる。ワイヤ保持チャック22,23はワイヤ16が張架張力Fで引かれるのに合わせて移動し、ワイヤに張架張力F以上の力が掛かるのを防ぐ。また、セラミックス筒体11の内縁部にはハトメ状のハンダ15が形成されているのでセラミックス筒体内縁部と可溶体ワイヤ16が直接擦れないために傷を付けることがない。
【0019】
次に、図4Cに示すように、セラミックス筒体11の一次側(図中の下側)端面にヒーターチップ17を、二次側(図中の上側)端面にヒーターチップ27を押し当てて固定する。この時、1番目にワイヤ固定する一次側端面ではヒーターチップ17を筒体11の端面全体にかかるように押し当て、2番目にワイヤ固定する二次側端面ではヒーターチップ27をワイヤ16の固定部分16aにかからないように偏心して押し当てる。
【0020】
図5Aおよび図5Bは一次側端面におけるワイヤのハンダへの固定と切断の状態を示す。ヒーターチップ17に通電することで、一次側端面のワイヤ固定部分16aを加熱すると、ワイヤ固定部分が軟化すると共にハンダ15が溶融する。そして、ワイヤ保持チャック22,23はワイヤに張架張力Fが掛かるように自由に動く可動軸と、ワイヤを引きちぎるために張架張力F以上に大きな力Faの掛かる可動軸の両方を持つ。ここで、大きな力Faを加えることで、ワイヤが破断し、ヒーターチップ17の通電を停止することで、ハンダ15が固化し、ワイヤ16の端部が一次側端面のハンダ15に固定される。すなわち、ワイヤの一次側の接合は、ワイヤの両側のチャック22,23で張力を印加しながら、ヒーターチップ17の先端がワイヤに直接触れ、ワイヤの一次側をセラミックス筒体の開口部にハンダ15を介して固定するとともに、ワイヤの一次側チャック23から大きな力Faを加えることでワイヤが破断することで行われる。
【0021】
図6Aおよび図6Bは二次側端面におけるワイヤのハンダへの固定と切断の状態を示す。一次側ワイヤ端部の固定が終了し、溶融したハンダが硬化するのを待って、二次側ヒーターチップ27に通電して、ワイヤ保持チャック22を角度Aで筒体側方向に引き、ワイヤ固定部分16aをハンダ15に固定し、その先端で切断する。すなわち、ワイヤの二次側の接合は、ヒーターチップ27の先端がワイヤ16に直接触れないようにハンダ15を加熱し、且つ、ワイヤの二次側チャック22で張力を印加しながら、ワイヤの二次側をセラミックス筒体の他の開口部にハンダ15を介して固定するとともに、ワイヤの二次側チャック22から大きな力Faを加えることでワイヤが破断することで行われる。
【0022】
ヒーターチップ27はセラミックス筒体11の円筒中心よりやや偏心して配置されている。ヒーターチップ27の通電の熱でハンダが溶融した場合でも、ヒーターチップ27はワイヤを押さえ付けない。そのため、通電加熱でハンダが溶融した時にワイヤがハンダに食い込むと同時に張架張力Fで外側に引かれ張架張力Fを維持したままセラミックス筒体内部に斜めに弛みなく張架される。なお、ハンダ15はヒーターチップ27で押さえる力を加えなくても、溶融した時の表面張力でセラミックス筒体内側縁部に集まる。そして、仮にワイヤの斜め張架の際に傷が生じたとしても溶融して固化したハンダに埋め込まれる。
【0023】
二次側でワイヤを破断(引張り切断)する時に、ワイヤ16はセラミックス筒体端面沿面よりも筒体側方向へ角度Aを持って破断張力Faで引っ張られる。この角度Aは、特に好ましくは40度〜50度である。これにより、ワイヤ16をハトメ状のハンダ15部分または、セラミックス筒体11の外周端面で適切に引きちぎることができる。二次側では、張力Fの可動軸方向と張力Faの可動軸方向が45度傾けて設定されているため、セラミックス筒体11を回転ジグ24を用いて回転させた時に、セラミックス筒体11の端面とチャック22との間で付与された角度Aを維持したまま張力Faを印加することができる。
【0024】
一次側固定時のワイヤ破断は、ヒーターチップ17により直接押さえられた個所においてワイヤ16が切断するため、ワイヤ16の引っ張り方向に左右されるものではないが、セラミックス筒体の端面の沿面に対して二次側と同様に角度をつけて引っ張ることで、より確実にセラミックス筒体の端面において破断させることができる。また、一次側では、張力Fの可動軸方向と張力Faの可動軸方向は同じである。それにより、角度Aを付与した状態で張力Faを印加しワイヤ保持チャック22を引くと、角度Aが小さくなる方向に変化するが、角度Aの変化は小さく、前記の理由で問題は無い。これにより機構をより量産に適したものとすることができるメリットがある。なお、ワイヤ16の切断の方法としては、上述の張力Faにより切断する方法(破断)の他、刃物等の切断器具を用いた切断がある。
【0025】
次に、ワイヤ16が内部に張架されたセラミックス筒体11の両端には、ハンダを予め装着した金属製キャップ18が嵌着される(図1参照)。この時、ワイヤ端部がセラミックス筒体の外周部分に出ない構造であるため、キャップ嵌着時にはワイヤに嵌着による張力が掛からない。そして、嵌着したキャップの外側から短時間加熱することにより、ワイヤを固定したハトメ状のハンダとキャップ内に装着したハンダとが溶融し、一体化してワイヤとキャップが接続固定される。これにて、本発明の電流ヒューズが完成する。
【0026】
これにより、従来はワイヤを筒体の外周面に引き出し、外周面に設けた溝等に収容していたが、そのような複雑な構造が不要となる。また、セラミックス筒体端面のハンダに固定し、ハンダで貫通孔を閉塞するので、内部に有機物が一切存在しない。従って、ワイヤに張力を与えた状態で、斜めに弛みなく張ることができると共に、従来の筒体外周面に設けた溝等が不要となり、構造を簡素化すると共に、有機物を内部に含まない筒形電流ヒューズが得られる。
【0027】
上記製造工程は生産自動化を前提としたものである。まず、ハトメ状のハンダ15の形成はセラミックス筒体11の端面にハンダ円板を配置し、ジグ(ポンチ)で抜くので、自動化が容易である。次に、セラミックス筒体に可溶体ワイヤを通すワイヤ通線工程は、ワイヤガイド21に覆われた可溶体ワイヤ16をセラミックス筒体内部に挿入し、ワイヤガイド21のみを引き抜き、ワイヤ両端をチャック25,26で一時保持することで行える。次に、ワイヤをセラミックス筒体内に斜めに張るワイヤ張架工程は、回転ジグ24の把持部24a,24bでセラミックス筒体11を保持し、回転ジグ24を90度回転させることで一動作で行える。
【0028】
そして、ワイヤをセラミックス筒体の端部へ固定し切断するワイヤ接合工程は、ワイヤ16に張架張力Fを印加しつつヒーターチップで加熱することで、ワイヤが張力を維持しつつハンダ溶融により弛みなく張った状態で筒体端面のハンダに固定でき、張力Faを印加することで破断によりワイヤを筒体端面で切断できる。従って、上記製造工程によれば、上記ヒューズを高い生産性で量産できる。
【0029】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、表面実装に好適な筒形電流ヒューズの製造に利用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の基板に表面実装して用いるのに好適な筒形電流ヒューズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板等へ表面実装が可能な小型電流ヒューズは、従来から様々な形式のものが提案されている。例えば、特許文献1には、内部に貫通孔を設けた筒形のセラミックスからなるケース本体に可溶体ワイヤを張架し、金属製のキャップを嵌着させた後で加熱しワイヤを固定する方法で製造する小型電流ヒューズが開示されている。
【0003】
しかしながら、このヒューズでは、可溶体ワイヤを張架するときにワイヤ端部を外に引き出して、キャップを嵌着し、加熱してワイヤを接続固定してからワイヤを切断する方式が採用されている。このため、セラミックス筒体にキャップ電極を嵌着する場合に、可溶体ワイヤとキャップの摩擦力で可溶体ワイヤに過大な張力(嵌着による張力)をかけてしまう場合がある。また、可溶体ワイヤに力を掛け過ぎないようワイヤを弛ませて張ると、キャップ電極嵌着時の摩擦でワイヤが移動する量が一定しないために、ワイヤの弛みがばらつくという問題がある。ワイヤが弛むとワイヤ長さが安定しないばかりか、ワイヤがセラミックス筒体の側面に付着することで溶断特性が安定しない不具合がある。さらに、セラミックスケースに可溶体ワイヤを収める溝を加工する必要があり、構造が複雑となるという問題がある。
【0004】
特許文献2には、ハンダ付けまたはスポット溶接等で、外側キャップ嵌合前にワイヤを仮固定する方法が開示されている(図1,図2)。しかし、ハンダ付けでのワイヤ仮固定は、ワイヤを曲げてワイヤの剛性で保持するだけであり、不安定である上、ワイヤ線は太く剛性のある材料に限定される。また、スポット溶接でワイヤを片側ずつ仮固定する方法(図5)は、ワイヤを溶接するために内側キャップを予め接着剤で接着することが必要であり、キャップが2重になるためにコストが掛かるうえに、ワイヤ張架、ワイヤ仮固定、ワイヤ切断が複雑で多段階となるために製造工程が簡便な方法とはいえない。また、内キャップの角でワイヤが傷つく恐れがあり、ワイヤに傷を付けないよう仮固定して弛み無く張る課題の解決方法については示唆していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−342623号公報
【特許文献2】特許第3146012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、セラミックス筒体の貫通孔に斜めに弛み無く傷を付けないように可溶体ワイヤを張り、該ワイヤの両端部を前記筒体両端面に仮止め固定して切断する工程を連続的に行う、筒形電流ヒューズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の筒形電流ヒューズの製造方法は、貫通孔を備えたセラミックス筒体の前記貫通孔に連通する開口部にハンダを被着するハンダ形成工程と、セラミックス筒体の貫通孔に、可溶体であるワイヤを通すワイヤ通線工程と、セラミックス筒体に通したワイヤの端部をチャックで掴み、所定の張力を加えた状態でワイヤを貫通孔内に斜めに張るワイヤ張架工程と、ワイヤを、セラミックス筒体の開口部へ前記ハンダを介して固定し、切断するワイヤ接合工程と、を含み、ワイヤ接合工程は、ワイヤをセラミックス筒体の開口部に当接させ、ワイヤの当該当接部分を加熱して固定しながら切断することを特徴とする。
【0008】
ワイヤの固定は、ワイヤの一次側(先の)端面固定では、ワイヤに張架張力を印加しながらワイヤの端面への固定部を加熱チップが直接接触してハンダに固定してワイヤを破断する。ワイヤの二次側(後の)端面固定では、加熱チップ先端がワイヤに直接触れないよう加熱して、二次側端面で張架張力を印加しながらワイヤの端面固定部をハンダに固定して破断する。二次側端面でのワイヤ切断は、セラミックス筒体端面沿面から筒体の方向へ角度を持つ方向にワイヤに張力を印加しながらワイヤを破断させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】セラミックス筒体端面にハトメ状のハンダを形成し、可溶体ワイヤを斜めに弛みなく張架し切断した段階の断面図である。
【図2】セラミックス筒体の貫通孔縁部にハトメ状のハンダを形成した段階の断面図である。
【図3A】セラミックス筒体の貫通孔に、ワイヤガイドに覆われた可溶体ワイヤを挿入した段階の断面図である。
【図3B】可溶体ワイヤの一端をチャックで一時保持し、ワイヤガイドを引き抜く段階の断面図である。
【図4A】可溶体ワイヤをセラミックス筒体内部に通線し、ワイヤの両端をチャックで保持し、回転ジグの把持部でセラミックス筒体を保持した段階の断面図である。
【図4B】セラミックス筒体を回転ジグにより90度回転させて、ワイヤをセラミックス筒体内で斜めに張った段階の断面図である。
【図4C】セラミックス筒体の両端面にヒーターチップを押し当てて支持した段階の断面図である。
【図5A】一次側端面におけるワイヤをハンダに固定する段階の断面図である。
【図5B】一次側端面におけるワイヤをハンダに固定して切断する段階の断面図である。
【図6A】二次側端面におけるワイヤをハンダに固定する段階の断面図である。
【図6B】二次側端面におけるワイヤをハンダに固定して切断する段階の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図6Bを参照して説明する。なお、各図中、同一または相当する部材または要素には、同一の符号を付して説明する。
【0011】
図1は本発明の筒形電流ヒューズにおいて、ワイヤを筒体の端部に仮固定した状態を示す。このヒューズは内部に貫通孔12を備えたセラミックスの筒体11と、該筒体の両端に後の工程で嵌着される、電極キャップ18(破線にて示す)と、該筒体の内部貫通孔12に斜めに弛みなく張架した可溶体ワイヤ16と、を備えた筒形電流ヒューズである。筒体11の端面から貫通孔内周面に亘って形成されたハトメ状のハンダ15を備え、ワイヤ16をハンダ15の筒体の端面側に仮固定し、キャップ18を嵌着後、加熱してワイヤ16をキャップ18の内面にハンダで接続固定する。
【0012】
ワイヤ16の端部は筒体11の外周部まで及んでいない。すなわち、ワイヤ16の端部は筒体11の端面上に設けたハンダ15に固定され、その部分で切断されている。ワイヤ16の端部は、後のキャップ18の接続固定時に、貫通孔12の縁部を覆うハンダ15とキャップ18内に装填したハンダとが溶融し、一体となったハンダで貫通孔12の両端部が閉塞され、ワイヤ16の端部がキャップ18の内面に接続固定される。なお、貫通孔12の縁部を覆うハンダ15のみで、ワイヤ16の端部をキャップ18の内面に接続固定するようにしてもよい。
【0013】
図2乃至図6Bは本発明の一実施例の筒形電流ヒューズの製造方法を示す。まず、内部に貫通孔12を備えた外形が略角柱状のセラミックス筒体11を準備する。そして、筒体11を立てた状態で、筒体11の端面上に円板状のハンダ板を配置する。ハンダ板は鉛フリーで硬度のあるSn−Cu4〜15%のハンダを用いて形成することが好ましい。
【0014】
そして、ハンダ板上から貫通孔12にジグ(ポンチ)で打ち抜く。これにより、ハンダ板が変形し、図2に示すように、セラミックス筒体11の端面の貫通孔12の縁部(角部)にリング状のハンダ部分15aと、該ハンダ部分15aから貫通孔の内周面に延びたハンダ部分15bからなる、ハトメ状のハンダ15が形成される。ハトメ状のハンダ15では、筒体11の端面から内周面に亘って滑らかな曲面Rが形成される。図示のように、ハトメ状のハンダ15を筒体11の両端面に形成する。
【0015】
次に、図3Aに示すように、ワイヤ通線ステージにおいて、ハンダ15を形成したセラミックス筒体11内部に、ワイヤガイド21に覆われた可溶体ワイヤ16を挿入する。ワイヤ16が細いため、剛性を有するワイヤガイド21で支持することで、良好な作業性が得られる。そして、図3Bに示すように、ワイヤ一時保持チャック25でワイヤ16の先端部を掴んで保持した後で、ワイヤガイド21を引き抜いてワイヤ16をセラミックス筒体内部に通線する。そして、反対側をワイヤ一時保持チャック26で掴んで保持した後図示しない手段でワイヤを切断する。なお、ワイヤガイド21は内部にワイヤを通した状態で、図中左側の図示しない部分に移動する。
【0016】
次に、図4Aに示すように、ワイヤ16が通線され両側を一時保持されたセラミックス筒体11は張力を維持したままワイヤ張架ステージへ移され、ワイヤ16をワイヤ保持チャック22,23で保持する。セラミックス筒体11は回転ジグ24の把持部24a,24bで保持される。把持部24a,24bは円盤状の回転ジグ24に固定され、回転ジグ24は図中破線の円で示す方向に回転可能となっている。
【0017】
この時セラミックス筒体11とワイヤ16は平行に配置されており、お互いに接触しない位置関係にある。またワイヤ保持チャック22,23は図中の矢印方向にスライド可能となるような可動軸を持って配置されており、必要な範囲内で自由に移動ができる。また、ワイヤ保持チャック22,23はバネ等の弾性部材により外側方向へ張架張力Fを持たせてあるため、セラミック筒体に通した可溶体ワイヤ16はまっすぐに張られている。これで、セラミックス筒体11の内部にワイヤ16の通線が完了する。なお、張架張力Fはワイヤ16をまっすぐに張ることができる最小限の力で充分である。
【0018】
次に、図4Bに示すように、ワイヤ16の両端部をワイヤ保持チャック22,23で挟んだまま、セラミックス筒体11を回転ジグ24により90度(上面から見て反時計回り)回転させて、ワイヤ16をセラミックス筒体11内で斜めに張る。この時、ワイヤ16は両端を張架張力Fで引かれているためセラミックス筒体11内に弛み無く張られる。ワイヤ保持チャック22,23はワイヤ16が張架張力Fで引かれるのに合わせて移動し、ワイヤに張架張力F以上の力が掛かるのを防ぐ。また、セラミックス筒体11の内縁部にはハトメ状のハンダ15が形成されているのでセラミックス筒体内縁部と可溶体ワイヤ16が直接擦れないために傷を付けることがない。
【0019】
次に、図4Cに示すように、セラミックス筒体11の一次側(図中の下側)端面にヒーターチップ17を、二次側(図中の上側)端面にヒーターチップ27を押し当てて固定する。この時、1番目にワイヤ固定する一次側端面ではヒーターチップ17を筒体11の端面全体にかかるように押し当て、2番目にワイヤ固定する二次側端面ではヒーターチップ27をワイヤ16の固定部分16aにかからないように偏心して押し当てる。
【0020】
図5Aおよび図5Bは一次側端面におけるワイヤのハンダへの固定と切断の状態を示す。ヒーターチップ17に通電することで、一次側端面のワイヤ固定部分16aを加熱すると、ワイヤ固定部分が軟化すると共にハンダ15が溶融する。そして、ワイヤ保持チャック22,23はワイヤに張架張力Fが掛かるように自由に動く可動軸と、ワイヤを引きちぎるために張架張力F以上に大きな力Faの掛かる可動軸の両方を持つ。ここで、大きな力Faを加えることで、ワイヤが破断し、ヒーターチップ17の通電を停止することで、ハンダ15が固化し、ワイヤ16の端部が一次側端面のハンダ15に固定される。すなわち、ワイヤの一次側の接合は、ワイヤの両側のチャック22,23で張力を印加しながら、ヒーターチップ17の先端がワイヤに直接触れ、ワイヤの一次側をセラミックス筒体の開口部にハンダ15を介して固定するとともに、ワイヤの一次側チャック23から大きな力Faを加えることでワイヤが破断することで行われる。
【0021】
図6Aおよび図6Bは二次側端面におけるワイヤのハンダへの固定と切断の状態を示す。一次側ワイヤ端部の固定が終了し、溶融したハンダが硬化するのを待って、二次側ヒーターチップ27に通電して、ワイヤ保持チャック22を角度Aで筒体側方向に引き、ワイヤ固定部分16aをハンダ15に固定し、その先端で切断する。すなわち、ワイヤの二次側の接合は、ヒーターチップ27の先端がワイヤ16に直接触れないようにハンダ15を加熱し、且つ、ワイヤの二次側チャック22で張力を印加しながら、ワイヤの二次側をセラミックス筒体の他の開口部にハンダ15を介して固定するとともに、ワイヤの二次側チャック22から大きな力Faを加えることでワイヤが破断することで行われる。
【0022】
ヒーターチップ27はセラミックス筒体11の円筒中心よりやや偏心して配置されている。ヒーターチップ27の通電の熱でハンダが溶融した場合でも、ヒーターチップ27はワイヤを押さえ付けない。そのため、通電加熱でハンダが溶融した時にワイヤがハンダに食い込むと同時に張架張力Fで外側に引かれ張架張力Fを維持したままセラミックス筒体内部に斜めに弛みなく張架される。なお、ハンダ15はヒーターチップ27で押さえる力を加えなくても、溶融した時の表面張力でセラミックス筒体内側縁部に集まる。そして、仮にワイヤの斜め張架の際に傷が生じたとしても溶融して固化したハンダに埋め込まれる。
【0023】
二次側でワイヤを破断(引張り切断)する時に、ワイヤ16はセラミックス筒体端面沿面よりも筒体側方向へ角度Aを持って破断張力Faで引っ張られる。この角度Aは、特に好ましくは40度〜50度である。これにより、ワイヤ16をハトメ状のハンダ15部分または、セラミックス筒体11の外周端面で適切に引きちぎることができる。二次側では、張力Fの可動軸方向と張力Faの可動軸方向が45度傾けて設定されているため、セラミックス筒体11を回転ジグ24を用いて回転させた時に、セラミックス筒体11の端面とチャック22との間で付与された角度Aを維持したまま張力Faを印加することができる。
【0024】
一次側固定時のワイヤ破断は、ヒーターチップ17により直接押さえられた個所においてワイヤ16が切断するため、ワイヤ16の引っ張り方向に左右されるものではないが、セラミックス筒体の端面の沿面に対して二次側と同様に角度をつけて引っ張ることで、より確実にセラミックス筒体の端面において破断させることができる。また、一次側では、張力Fの可動軸方向と張力Faの可動軸方向は同じである。それにより、角度Aを付与した状態で張力Faを印加しワイヤ保持チャック22を引くと、角度Aが小さくなる方向に変化するが、角度Aの変化は小さく、前記の理由で問題は無い。これにより機構をより量産に適したものとすることができるメリットがある。なお、ワイヤ16の切断の方法としては、上述の張力Faにより切断する方法(破断)の他、刃物等の切断器具を用いた切断がある。
【0025】
次に、ワイヤ16が内部に張架されたセラミックス筒体11の両端には、ハンダを予め装着した金属製キャップ18が嵌着される(図1参照)。この時、ワイヤ端部がセラミックス筒体の外周部分に出ない構造であるため、キャップ嵌着時にはワイヤに嵌着による張力が掛からない。そして、嵌着したキャップの外側から短時間加熱することにより、ワイヤを固定したハトメ状のハンダとキャップ内に装着したハンダとが溶融し、一体化してワイヤとキャップが接続固定される。これにて、本発明の電流ヒューズが完成する。
【0026】
これにより、従来はワイヤを筒体の外周面に引き出し、外周面に設けた溝等に収容していたが、そのような複雑な構造が不要となる。また、セラミックス筒体端面のハンダに固定し、ハンダで貫通孔を閉塞するので、内部に有機物が一切存在しない。従って、ワイヤに張力を与えた状態で、斜めに弛みなく張ることができると共に、従来の筒体外周面に設けた溝等が不要となり、構造を簡素化すると共に、有機物を内部に含まない筒形電流ヒューズが得られる。
【0027】
上記製造工程は生産自動化を前提としたものである。まず、ハトメ状のハンダ15の形成はセラミックス筒体11の端面にハンダ円板を配置し、ジグ(ポンチ)で抜くので、自動化が容易である。次に、セラミックス筒体に可溶体ワイヤを通すワイヤ通線工程は、ワイヤガイド21に覆われた可溶体ワイヤ16をセラミックス筒体内部に挿入し、ワイヤガイド21のみを引き抜き、ワイヤ両端をチャック25,26で一時保持することで行える。次に、ワイヤをセラミックス筒体内に斜めに張るワイヤ張架工程は、回転ジグ24の把持部24a,24bでセラミックス筒体11を保持し、回転ジグ24を90度回転させることで一動作で行える。
【0028】
そして、ワイヤをセラミックス筒体の端部へ固定し切断するワイヤ接合工程は、ワイヤ16に張架張力Fを印加しつつヒーターチップで加熱することで、ワイヤが張力を維持しつつハンダ溶融により弛みなく張った状態で筒体端面のハンダに固定でき、張力Faを印加することで破断によりワイヤを筒体端面で切断できる。従って、上記製造工程によれば、上記ヒューズを高い生産性で量産できる。
【0029】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、表面実装に好適な筒形電流ヒューズの製造に利用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を備えたセラミックス筒体の前記貫通孔に連通する開口部にハンダを被着するハンダ形成工程と、
セラミックス筒体の貫通孔に、可溶体であるワイヤを通すワイヤ通線工程と、
セラミックス筒体に通したワイヤの端部をチャックで掴み、所定の張力を加えた状態でワイヤを貫通孔内に斜めに張るワイヤ張架工程と、
ワイヤを、セラミックス筒体の開口部へ前記ハンダを介して固定し、切断するワイヤ接合工程と、を含み、
ワイヤ接合工程は、ワイヤをセラミックス筒体の開口部に当接させ、ワイヤの当該当接部分を加熱して固定しながら切断することを特徴とする筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項2】
ワイヤ接合工程は、ワイヤの一次側の接合と、ワイヤの二次側の接合とを含み、
ワイヤの一次側の接合は、ワイヤの両側のチャックで張力を印加しながら、ヒーターチップ先端がワイヤに直接触れ、ワイヤの一次側をセラミックス筒体の開口部にハンダを介して固定するとともに、ワイヤの一次側チャックから張力より大きな力を加えることでワイヤが破断し、
ワイヤの二次側の接合は、ヒーターチップ先端がワイヤに直接触れないようにハンダを加熱し、且つ、ワイヤの二次側チャックで張力を印加しながら、ワイヤの二次側をセラミックス筒体の他の開口部にハンダを介して固定するとともに、ワイヤの二次側チャックから張力より大きな力を加えることでワイヤが破断すること、を特徴とする請求項1に記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項3】
ワイヤ接合工程におけるワイヤ切断は、セラミックス筒体の端面沿面から筒体の方向へ角度を持つ方向にワイヤに張力を印加しながら破断させることを特徴とする請求項1または2に記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項4】
前記ワイヤ通線工程は、ワイヤガイドに覆われたワイヤを挿入し、ワイヤ先端部を保持し、次いでワイヤガイドを引き抜き、ワイヤのもう一方の端部を保持してからワイヤを切断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項5】
前記ワイヤ張架工程は、セラミックス筒体を回動させることでワイヤを斜めに張ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項1】
貫通孔を備えたセラミックス筒体の前記貫通孔に連通する開口部にハンダを被着するハンダ形成工程と、
セラミックス筒体の貫通孔に、可溶体であるワイヤを通すワイヤ通線工程と、
セラミックス筒体に通したワイヤの端部をチャックで掴み、所定の張力を加えた状態でワイヤを貫通孔内に斜めに張るワイヤ張架工程と、
ワイヤを、セラミックス筒体の開口部へ前記ハンダを介して固定し、切断するワイヤ接合工程と、を含み、
ワイヤ接合工程は、ワイヤをセラミックス筒体の開口部に当接させ、ワイヤの当該当接部分を加熱して固定しながら切断することを特徴とする筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項2】
ワイヤ接合工程は、ワイヤの一次側の接合と、ワイヤの二次側の接合とを含み、
ワイヤの一次側の接合は、ワイヤの両側のチャックで張力を印加しながら、ヒーターチップ先端がワイヤに直接触れ、ワイヤの一次側をセラミックス筒体の開口部にハンダを介して固定するとともに、ワイヤの一次側チャックから張力より大きな力を加えることでワイヤが破断し、
ワイヤの二次側の接合は、ヒーターチップ先端がワイヤに直接触れないようにハンダを加熱し、且つ、ワイヤの二次側チャックで張力を印加しながら、ワイヤの二次側をセラミックス筒体の他の開口部にハンダを介して固定するとともに、ワイヤの二次側チャックから張力より大きな力を加えることでワイヤが破断すること、を特徴とする請求項1に記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項3】
ワイヤ接合工程におけるワイヤ切断は、セラミックス筒体の端面沿面から筒体の方向へ角度を持つ方向にワイヤに張力を印加しながら破断させることを特徴とする請求項1または2に記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項4】
前記ワイヤ通線工程は、ワイヤガイドに覆われたワイヤを挿入し、ワイヤ先端部を保持し、次いでワイヤガイドを引き抜き、ワイヤのもう一方の端部を保持してからワイヤを切断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【請求項5】
前記ワイヤ張架工程は、セラミックス筒体を回動させることでワイヤを斜めに張ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の筒形電流ヒューズの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【公開番号】特開2012−252846(P2012−252846A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123869(P2011−123869)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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