説明

管路の補修方法

【課題】硬化性充填材の充填時の補修材の変形を確実に防止できる、管路の補修方法を提供すること。
【解決手段】まず、管路P内の止水装置10による止水位置から補修区間を通ってその下流側の位置まで、排水ホース11を設置する。そして、上流側に堰き止められた水を排水ホース11によって補修区間よりも下流側に流しつつ、排水ホース11を持ち上げながら補修区間内に筒状の金網1を設置する。次に、補修区間から排水ホース11を撤去してから、筒状の補修材をその内外面を反転させながら金網1の内側に設置し、補修材に含浸された硬化性樹脂液を硬化させることで、金網1と補修材とを一体化させる。その後、管路Pの内面と補修材との間に硬化性充填材を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の補修方法に関し、特に、管路内に筒状の補修材を挿入した後に、管路内面と補修材との間に硬化性充填材を充填して補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水道管等の既設管路を補修する方法として、従来から、管路内に筒状の補修材を挿入した後、管路の内面と筒状の補修材との隙間にモルタルやセメントミルク等の硬化性充填材を充填して硬化させることで、管路の内側に筒状の補強構造を構築する方法が知られている。
【0003】
ところで、上記補修方法に関して、管路と補修材との間にモルタル等の硬化性充填材を充填したときに、補修材が浮いて管路内での位置がずれる、あるいは、モルタル等の充填圧力によって補修材が変形するといった問題が知られており、従来から様々な対策がなされてきた。
【0004】
例えば、特許文献1においては、まず、管路内に筒状の金網(鉄条筒)を挿入してから、その内側に筒状の補修材(内挿管)を挿入し、その上で、管路内面と補修材との間にセメントミルクを充填している。このように、管路内面と補修材との間に金網を介在させることで、補修材の浮き上がり(偏心)を防止するととともに内外圧に対する強度を高めている。
【0005】
また、特許文献2においては、管路内に補修材(内挿管)を設置した後に、その下流側端部をサイフォン付き止水弁で塞ぎ、上流側端部から補修材内へ下水を導入して補修材内に満たし、その内面に水圧を作用させた状態で、補修材と管路内面の間にモルタル(硬化性充填材)を充填している。これにより、モルタルの充填時における補修材の浮きを防止するとともに、充填圧力による補修材の変形を抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−131879号公報
【特許文献2】特開2001−280081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の補修方法においては、筒状の金網(鉄条筒)とこの金網内に挿入された補修材とが一体化されておらず、金網は補修材の保形性向上にはほとんど寄与していない。そのため、硬化性充填材が補修材の外側に充填されたときにその充填圧力によって補修材が押し潰されるように変形してしまう虞がある。
【0008】
また、特許文献2のように、補修材内に上流側から下水を導入して満たす方法では、補修材に作用させる内水圧を大きくするにも限界があり、充填材の充填圧力よりも高くすることは困難である。そのため、硬化性充填材の充填圧力や管路径によっては補修材が変形してしまう虞がある。
【0009】
本発明の目的は、硬化性充填材の充填時の補修材の変形を確実に防止できる、管路の補修方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
第1の発明の管路の補修方法は、水が流れる管路において、所定の補修区間よりも上流側の位置に止水装置を設置して前記管路内の水を堰き止める止水工程と、前記止水装置の止水位置から前記補修区間を通ってその下流側の位置まで、排水ホースを設置するホース設置工程と、前記補修区間よりも上流側に堰き止められた水を前記排水ホースによって前記補修区間よりも下流側に流しつつ、前記排水ホースを前記管路の下部から離れるように持ち上げながら前記補修区間内に筒状の金網を設置する金網設置工程と、前記止水装置による止水状態を維持しつつ前記排水ホースを前記補修区間内から撤去した後、硬化性樹脂液が含浸された筒状の補修材を流体圧力によって内外面を反転させながら前記金網の内側に設置する補修材設置工程と、前記補修材の前記硬化性樹脂液を硬化させる硬化工程と、前記硬化性樹脂液の硬化後に、前記管路内面と前記補修材との間に硬化性充填材を充填する充填工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、管路の補修区間に筒状の金網を設置してから、その内側に筒状の補修材を設置し、補修材に含浸された硬化性樹脂液を硬化させることで、金網と補修材とが接着されて一体化し、補修材の保形性が向上する。そのため、管路内面と補修材との間に硬化性充填材を充填したときに、その充填圧力によって補修材が変形しにくい。
【0012】
但し、特に管路の径が大きい場合には、補修区間内に金網を設置する作業にかなりの時間を要するため、その間、止水装置で管路の水を堰き止め続けることは難しい。そこで、本発明では、止水装置の止水位置から補修区間を通ってその下流側の位置まで排水ホースを設置し、この排水ホースによって上流側の水を下流側に流しつつ(水替え)、補修区間内に金網を設置する。これにより、施工に時間を要する金網設置工程を水の存在しないドライな環境下で安全に行うことができる。また、その際、排水ホースを持ち上げながら金網を設置することで、金網を管路の下部も含む全周にわたって配置することが可能である。
【0013】
また、補修材を補修区間内に設置した後に水替え用の排水ホースを抜くと、補修材に硬化性樹脂液の含浸むらが生じやすいが、本発明では、排水ホースを撤去してから補修材を設置するため上記の含浸むらは生じにくい。但しこの場合、事前に排水ホースを撤去するために、水替えをしながら補修材の設置を行うことはできず、止水装置によって水が完全に堰き止められた状態で行うことになるため、補修材設置工程はできるだけ短時間で終了することが好ましい。この点、本発明では、流体圧力によって内外面を反転させながら補修材を設置する工法(いわゆる反転工法)を採用していることから、長い補修区間であっても補修材を短時間で設置することができる。
【0014】
第2の発明の管路の補修方法は、前記第1の発明において、前記補修材には熱硬化性樹脂液が含浸され、前記硬化工程において補修材を加熱することにより前記熱硬化性樹脂液を硬化させることを特徴とするものである。
【0015】
補修材の硬化性樹脂液が熱硬化性である場合には、補修材設置後の硬化工程において、補修材を加熱することにより短時間で硬化させることで施工時間を短くでき、止水装置で水を堰き止めている間に硬化性樹脂液の硬化を完了することが可能となる。また、硬化時間が短くなるために、硬化に使用する設備を現場から速やかに撤去できる。
【0016】
第3の発明の管路の補修方法は、前記第1又は第2の発明において、前記充填工程において、前記補修区間の上流側の水を前記補修区間内に流しながら、前記管路内面と前記補修材との間に硬化性充填材を充填することを特徴とするものである。
【0017】
このように、管路内の水を補修区間内に流すことで補修材に水の荷重が作用するため、管路内面と補修材の間に充填材を充填したときに、補修材が浮き上がりにくくなる。特に、大きな浮力が作用する補修材の下部に水の荷重が作用することから浮き上がり防止に効果的である。さらに、水の荷重が作用する補修材の下部においては充填材の充填圧力による変形が生じにくくなる。
【0018】
第4の発明の管路の補修方法は、前記第1又は第2の発明において、前記充填工程において、前記補修区間の上流側端部に注水口を有する閉塞装置を設置するとともに、前記補修区間の下流側端部には排水口を有する閉塞装置を設置して、前記補修区間を閉塞し、前記止水装置と前記上流側の閉塞装置の間に注水ポンプを設置し、前記止水装置で堰き止められた水を前記注水ポンプによって前記上流側の閉塞装置の注水口から前記補修区間内に圧送することを特徴とするものである。
【0019】
これによれば、補修区間内に注入された水の重量によって充填材を充填したときの補修材の浮き上がりが防止されるとともに、補修材に高い水圧が作用するために補修材の変形も抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の補修方法に係る管路の縦断面図である。
【図2】金網設置工程における管路の縦断面図である。
【図3】支持台車を示す図であり、(a)は支持台車の側面図、(b)は支持台車が配された管路内を長さ方向から見た図である。
【図4】金網設置後の管路の拡大断面図である。
【図5】補修材設置工程における管路の縦断面図である。
【図6】補修材の斜視図である。
【図7】補修材設置後における管路の一部切欠断面図である。
【図8】補修材への樹脂含浸工程を示す図である。
【図9】補修材が挿入された状態における、管路のマンホールとの接続部分の拡大断面図である。
【図10】硬化性充填材の充填工程における管路の縦断面図である。
【図11】閉塞装置の斜視図である。
【図12】閉塞装置の分解斜視図であり、(a)は閉塞装置の上部、(b)は下部を示す。
【図13】閉塞装置の分割止水体の分解斜視図である。
【図14】変更形態に係る、管路の一部切欠断面図である。
【図15】別の変更形態に係る、閉塞装置の移動を規制する規制棒が設置された状態の、マンホールの縦断面図である。
【図16】図15に示される支持棒、及び、支持棒に取り付けられる規制棒の斜視図である。
【図17】さらに別の変更形態に係る、硬化性充填材の充填工程における管路の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、地中に埋設された既設の下水道管(以下、管路Pという。)の内面を補修する際に、本発明を適用した一例である。図1は、本実施形態の補修方法に係る管路Pの縦断面図である。本実施形態では、中に作業員が入って作業できる、管径が800〜2000mm程度の大径の下水道管を特に対象としている。
【0022】
(補修方法の概略)
図1に示すように、地中に埋設された下水道管の管路Pには2つのマンホールMが接続されており、本実施形態では、2つのマンホールMに挟まれた区間(以下、補修区間という。)の補修を行う。図1に示すように、本実施形態の補修方法では、まず、管路Pの上記補修区間よりも上流側の位置に止水装置10を設置して止水する。次に、補修区間内に筒状の金網1を設置する。さらに、金網1内に、筒状の補修材2をその内外面を反転させながら挿入し、補修材2に含浸されている硬化性樹脂液を硬化させる。その後、補修材2と管路Pの内面との間にモルタル等の硬化性充填材3を充填し、硬化性充填材3を硬化させる。これにより、管路Pの内側に、剛直な樹脂管となる補修材2と、金網1によって補強された硬化性充填材3の層を有する、強固な補強構造を構築する。この補修方法について、以下、順を追って詳細に説明する。
【0023】
(止水工程)
図1に示すように、管路Pの補修区間の上流側、具体的には、補修区間とマンホールMを挟んで上流側に位置する管路部分の、マンホールMとの接続口付近に止水装置10を設置する。尚、止水装置10の構造の詳細については説明を省略するが、止水装置10は、内部に弁機構を有する水替えパイプ(図示省略)を有し、この水替えパイプに排水ホース11を接続することで、上流側に堰き止められた水を排水ホース11によって補修区間の下流側に流すこと(水替え)が可能となっている(図2参照)。また、止水装置10は補修区間の上流側にのみ設けられてもよいが、下流側から補修区間に水が逆流してくることを防止するために、図1に示すように、補修区間の下流側の位置にも止水装置10が設けられてもよい。
【0024】
(金網設置工程)
図2は金網設置工程における管路Pの縦断面図である。上述した止水装置10によって補修区間の上流側で止水した後、下水の存在しないドライな環境の補修区間内に金網1を設置する。例えば、所定幅に切断したシート状の金網1をマンホールMから管路P内に搬入し、管路P内において作業員が金網1を丸めて両端部を接合して所定径の筒状に形成するという作業を繰り返すことによって、補修区間の全長にわたって金網1を設置する。あるいは、円弧状の複数枚の金網片を管路P内で周方向に連結することによって筒状の金網1に形成してもよい。尚、金網1を構成する線材同士がずれないように、交点を溶接等で止めておくことが好ましい。
【0025】
ここで、上に例示した作業内容からも分かるように、管路P内で作業員が手作業で金網1を設置するのはかなり時間の掛かる作業であり、補修区間が長くなるほど施工に要する時間も長くなる。従って、止水装置10で水を堰き止めておく間に金網1の設置を終えることは困難である。そこで、止水装置10で堰き止めた水Wを補修区間の下流側に流す、いわゆる、水替えを行いながら、金網1の設置作業を行う。
【0026】
より詳細には、図2に示すように、上流側の止水装置10の水替えパイプに排水ホース11を接続し、この排水ホース11を、止水装置10の止水位置から補修区間を通って下流側の止水装置10まで設置する(ホース設置工程)。尚、上流側の止水装置10に接続された排水ホース11を、マンホールMから地上を経由して補修区間の下流側まで通してもよいのだが、図2のように排水ホース11を補修区間内に通すことによって、水替え時の地上における占有面積を減らし、車両等の通行の邪魔になることをできるだけ抑えることができる。
【0027】
さらに、図2に示すように、補修区間内に、排水ホース11を管路Pの下部内面から離してその直下にも金網1を設置できるようにするために、排水ホース11を持ち上げて支持する支持台車12を搬入する。図3は、支持台車12を示す図であり、(a)は支持台車12の側面図、(b)は支持台車12が配された管路P内を長さ方向から見た図である。図3に示すように、支持台車12は、支持フレーム13と、この支持フレーム13の下端部に設けられた4つの車輪14と、支持フレーム13の上部に回転自在に支持された6つのローラ15とを有する。4つの車輪14は管路Pの下部内面を走行可能であり、支持台車12が管路P内をその長さ方向に容易に移動できるようになっている。また、自由回転する6つのローラ15の上に排水ホース11が載せられて支持される。さらに、支持フレーム13には、支持台車12の走行方向と平行な2枚の規制板16が6つのローラ15よりも上方に突出して設けられており、ローラ15に載せられた排水ホース11が2枚の規制板16の間に挟まれることで、排水ホース11が支持台車12から落下することが防止される。
【0028】
また、図2に示すように、支持台車12にはワイヤ53が連結されており、このワイヤ53が地上に設置された巻上げ機18で巻上げられることにより、支持台車12がワイヤ53で牽引されて図中右側から左側へ走行するようになっている。また、図2では、2つの支持台車12がワイヤ等の連結部材19によって連結され、2つの支持台車12が一体的に走行するようになっている。尚、2つの支持台車12にそれぞれワイヤ53を連結して個別に牽引し、2つの支持台車12を別々に走行させるようにしてもよい。さらには、支持台車12は1台であってもよい。
【0029】
このように、2つの支持台車12によって排水ホース11の一部分を持ち上げながら金網1の設置を行うことで、管路Pの全周にわたって金網1の設置を行うことが可能になる。支持台車12によって排水ホース11が持ち上げられた位置において管路Pの全周にわたっての金網1の設置が完了すると、図2に示すように、巻上げ機18でワイヤ53を巻き上げることによって、2つの支持台車12を管路Pの長さ方向(図中左方)に牽引して、次に金網1を設置する位置まで走行させる。尚、排水ホース11が、支持台車12の6つのローラ15に載せられているため、支持台車12が管路Pの長さ方向に走行する際の、支持台車12の間の排水ホース11に対する抵抗が軽減されている。そのため、排水ホース11に対して支持台車12を管路Pの長さ方向にスムーズに移動させて、持ち上げる位置を簡単にずらすことができる。その後、支持台車12が新しく移動した位置において金網1の設置を行う。これを繰り返して補修区間の全長にわたって筒状の金網1を設置する。
【0030】
図4は、金網設置後の管路Pの拡大断面図である。この図4に示すように、金網1には、径方向外側へそれぞれ突出する複数の突起17が周方向に適当間隔を空けて設けられている(尚、複数の突起17は、補修材2の設置後における、管路Pの一部切欠斜視図である図7にも明らかに示されている)。これら複数の突起17が管路Pの内面にそれぞれ当たってスペーサーの役割を果たすことで、金網1が、管路Pと軸心が一致した状態で管路P内の中央位置に保持される(センタリング)。尚、突起17の形状や材質は特に問わないが、突起17によって管路Pの内面が傷つくことがないように、合成樹脂やゴム等の低剛性(低硬度)の材料で突起17を形成することが好ましい。
【0031】
(補修材設置工程)
図5は補修材設置工程における管路Pの縦断面図、図6は補修材2の斜視図、図7は、補修材設置後の管路Pの一部切欠断面図である。図6に示すように、補修材2は、ポリエステル繊維などの経糸及び緯糸によって織成された筒状織物であるジャケット20と、このジャケット20の外側に重ねて設けられた、低密度ポリエチレンなどの合成樹脂材料からなる筒状の樹脂層21とを有する。さらに、この補修材2のジャケット20には、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などの硬化性樹脂液が含浸されている。尚、補修材2としては、上記の他、不織布を用いたものであってもよい。例えば、不織布の表面が樹脂層で被覆されて筒状に丸められたものや、筒状織物のジャケット20に不織布が重ねられたものであってもよい。この場合には不織布に硬化性樹脂液が含浸される。
【0032】
図8は、補修材2への樹脂含浸の工程を示す図である。樹脂含浸前においては、上述した補修材2はリール23に巻回されている。そして、リール23から補修材2をその外側の端部から引き出すともに、この端部から内部に硬化性樹脂液24を注入し、樹脂液24が注入された部分をローラーコンベヤ25によって搬送する。さらに、補修材2をローラーコンベヤ25の搬送方向下流側に位置する1対のニップローラ26で絞って、樹脂液24の含浸量を調整した後、圧力容器27内に収容されたリール(図示省略)に巻回して収納する。
【0033】
図5に示すように、上述した補修材2の設置前に、止水装置10の水替えパイプ(図示省略)を閉止し、止水装置10の止水状態を維持しつつ、止水装置10から排水ホース11を取り外して補修区間から撤去し、水替えを終了する。その上で、地上に設置した反転機28により、図5、図7に示すように、補修材2を、その内外面を反転させながら金網1の内側に挿入させ、内圧によって径を膨張させて貼り付ける(反転工法)。より詳細には、図5に示すように、補修材2に加圧エア等の流体圧力を作用させ、補修区間内において先端の反転部分2aを管路Pの長さ方向に進行させていくことで、補修材2の内外面を反転させる。この反転工法を採用することによって、補修区間において補修材2を金網1内にスムーズ且つ短時間で挿入することができる。尚、補修材2は、筒状の金網1の径よりもやや小さい径のものを使用する。そして、補修材2の反転設置後には、補修材2の外面(図6のジャケット20)が金網1に密着し、補修材2と金網1とが一体化する。
【0034】
尚、排水ホース11を補修区間内に残したまま、補修材2を設置(反転挿入)することも可能ではあるが、補修材2を設置した後に排水ホース11を抜くと、補修材2に硬化性樹脂液の含浸むらが生じやすい。そこで、本実施形態では排水ホース11を補修区間内から撤去した後に補修材2を設置する。但し、このように、補修材2の設置前に排水ホース11を撤去することで、補修材の設置時に水替えは行われず、止水装置10によって水が完全に堰き止められた状態で作業することになる。しかし、反転工法を採用することによって長い補修区間であっても補修材2を短時間で設置できることから、水替えを行うことなしに、止水装置10で水を堰き止めている間に補修材2の設置を行うことが可能である。
【0035】
図9は、補修材2が挿入された状態における、管路PのマンホールMとの接続部分の拡大断面図である。補修材2の端部2bは縫製されて反転しないようになっており、この端部2bが管路PとマンホールMとの接続口に達したときに補修材2の反転挿入が完了する。補修材2の挿入が完了したら、補修材2に含浸されている硬化性樹脂液を硬化させる。熱硬化性の硬化性樹脂液の場合には、補修材2内に加熱エア等の加熱流体を供給して補修材2を内側から加熱する。これにより、補修材2中の硬化性樹脂液を短時間で硬化させることで施工時間が短くでき、止水装置10で水を堰き止めている間に完了することが可能となる。また、硬化時間が短くなるために、反転機28等の設備を地上から速やかに撤去できる。尚、常温硬化性の硬化性樹脂液を使用してもよいが、この場合には、硬化が完了するまで補修材2の形状を維持しておくために補修材2内に内圧を作用させておく必要があり、それまで反転機28を地上から撤去できないという点で、熱硬化性樹脂液を使用する場合と比べて不利である。
【0036】
このように、補修材2に含浸されている硬化性樹脂液を硬化させることで、筒状の補修材2が強度の高い剛直な管となる。さらに、硬化性樹脂液の硬化によって補修材2と金網1とが接着されることになり、両者の一体性が高まり、補修材2の保形性が高まる。
【0037】
尚、上述した硬化性樹脂液の含浸工程(図8参照)において、ニップローラ26の絞り量を調整する(絞りを少し緩める)ことによって、補修材2にやや多めの量(ジャケット20に含浸される量を超える量)の硬化性樹脂液を含ませることが好ましい。これにより、補修材2の表面にも硬化性樹脂液が存在する状態となり、補修材2と金網1とを確実に接着することができる。
【0038】
(硬化性充填材の充填工程)
次に、管路Pの内面と補修材2の外面との隙間にモルタル等の硬化性充填材3を充填する。図10は、硬化性充填材3の充填工程における管路Pの縦断面図である。まず、この充填工程の前に、反転挿入された補修材2の、補修区間からマンホールM内へ突出する端部を切断する。また、補修材2の両端には、管路P内面との間に充填される硬化性充填材3の漏れだしを防止するための環状の封止板29A,29Bを取り付ける。ここで、一方(図10の右側)の封止板29Aには充填孔が形成されており、この充填孔はホース22を介して地上に設置された充填ポンプ(図示省略)と接続されている。そして、充填ポンプで圧送した硬化性充填材3をホース22を介して管路Pの内面と補修材2との間(金網1が設置されている空間)に充填する。また、図示しないが、封止板29A,29Bの一部には不織布等からなる通気部が形成され、硬化性充填材3の充填時にエアを排出できるように構成されていることが好ましい。
【0039】
さらに、本実施形態では、硬化性充填材3の充填時における、補修材2の浮き上がりや変形を防止するために、補修区間内に管路P内の下水Wを導入した上で上記充填工程を行う。詳細には、図10に示すように、まず、補修区間の上流側端部(上流側マンホールMとの接続部)に注水口31を有する閉塞装置30Aを設置するとともに、補修区間の下流側端部(下流側マンホールMとの接続部)には排水口32を有する閉塞装置30Bを設置し、これら2つの閉塞装置30A,30Bによって補修区間内を閉塞する。また、補修区間の下流側に設置されていた止水装置10(図5参照)は撤去しておく。また、補修区間の上流側の止水装置10と閉塞装置30Aの間に注水ポンプ33を設置し、止水装置10の水替えパイプと注水ポンプ33、及び、注水ポンプ33と閉塞装置30Aの注水口31の間をそれぞれホース34,35で接続する。一方、下流側の閉塞装置30Bの排水口32には、閉止弁37が付いたパイプ36を取り付けておく。
【0040】
そして、閉止弁37によって下流側の閉塞装置30Bの排水口32をわずかに開いた状態で、止水装置10で堰き止められた水Wを注水ポンプ33によって上流側の閉塞装置30Aの注水口31から補修区間内に圧送し、補修区間内の空気を排出しつつ水Wで満たす。これにより、補修区間に設置された補修材2に水Wの荷重が作用するとともに、補修材2の内面に高い水圧が作用する。その後、閉止弁37により排水口32をさらに開き、排水口32から水を排出させて補修区間内の水圧を調整しながら、硬化性充填材3の充填を行う。これにより、充填材3を充填したときの補修材2の浮き上がりが防止され、また、補修材2の変形も抑制される。
【0041】
硬化性充填材3を充填した後は、補修材2内に水Wを満たして水圧を作用させた状態で一定時間放置することにより硬化性充填材3を硬化させる。これにより、管路Pの内側に、硬化性樹脂液が硬化した剛直な補修材2と、この補修材2と管路Pの内面との隙間の、金網1で補強された硬化性充填材3の層とを有する、強固な補強構造が構築される。尚、放置中(充填材3の硬化中)に、止水装置10で堰き止められている水量が多くなってきたときには、下流側の閉塞装置30Bの閉止弁37を開放して排水口32から補修区間内の水を抜きつつ、注水ポンプ33で補修区間に水Wを圧送することで、止水装置10の上流側の水かさを減らすようにすればよい。あるいは、下流側の閉塞装置30Bの閉止弁37は常時開放したままで、注水ポンプ33から補修区間内へ連続的に水を圧送することで、補修区間の上流側から補修区間を通って下流側へ水Wを流しつづけるようにしてもよい。
【0042】
次に、閉塞装置30の構造について一例を挙げて詳細に説明する。図11は、閉塞装置30の斜視図である。また、図12は閉塞装置30の分解斜視図であり、(a)は閉塞装置30の上部、(b)は下部を示す。尚、以下の閉塞装置30の説明においては、図11の手前側を前方(正面)と定義し、「前」「後」という表現を適宜用いて説明する。また、以下に説明する閉塞装置30は開口部を有するものであって、補修区間の上流側に設置された場合には開口部を前記注水口31として使用し、補修区間の下流側に設置された場合には開口部を前記排水口32として使用することができる。即ち、補修区間の上流側と下流側に同一構造の閉塞装置30をそれぞれ使用することができる。
【0043】
図10〜図12に示すように、閉塞装置30は、環状の装置本体40と、この装置本体40の前端面に取り付けられた複数の分割止水体41と、装置本体40の外周面に設けられた環状チューブ42等を有する。尚、図11、図12には、図10に示される、閉塞装置30の環状チューブ42の図示は省略されている。
【0044】
装置本体40は、複数(例えば6つ)の円弧形のセグメント43に分割されており、周方向に隣接するセグメント43同士がボルトで連結された環状の構造を有する。また、セグメント43の前端面にはゴム等からなる保護部材44が接着剤で固定されており、この保護部材44がセグメント43の外周よりも径方向に突出することで、装置本体40が管路Pの内面に接触したときに管路P内面が傷つくことが防止される。尚、セグメント43は、個々の大きさが、マンホールMの上部開口を通過できるような大きさとなるように設計されている。
【0045】
装置本体40の前端面には、複数の扇状の分割止水体41がそれぞれ取り付けられている。図13は、分割止水体41の分解斜視図である。図13に示すように、各分割止水体41は、ターポリン等の柔軟な材料で形成された扇形の止水膜45と、この止水膜45を前後に挟む2つの扇状部材46とを有する。各扇状部材46は、放射状に延びる4本の棒状部46aを有し、これら4本の棒状部46aの内端部同士、外端部同士が連結されることによって扇状に形成されている。また、複数の分割止水体41(41A,41B)のうち、図11の下側に位置する2つの分割止水体41Bにおいては、止水膜45に、前記注水口31又は前記排水口32となる穴45a(開口)が形成され、また、扇状部材46には前記穴45aの周囲を押さえるリング48が形成されている。図12(b)に示すように、リング48には、パイプ36やホース34(図10参照)を接続するための接続金具51が固定される。
【0046】
また、図13に示すように、この分割止水体41の一方(後側)の扇状部材46には扇枠状のパッキン47が重ねられる。そして、扇状部材46、止水膜45、扇状部材46、パッキン47を順に重ねてから、ボルトにより一体化することで、1つの分割止水体41(41A,41B)が構成される。また、複数の分割止水体41は周方向に並べられた状態で、環状の装置本体40(複数のセグメント43)の前端面にパッキン47を介して取り付けられることで、装置本体40の内側を塞ぐようになっている。尚、図12(b)では、複数の分割止水体41のうち、止水膜45に穴45a(開口)を有する分割止水体41Bが2つ存在する例が示されているが、開口の数(穴45aを有する分割止水体41Bの数)は適宜変更可能である。尚、分割止水体41も、セグメント41と同様に、マンホールMの上部開口を通過できるような大きさに設計されている。
【0047】
図12に示すように、複数の扇形の分割止水体41の各々は、その外周部がセグメント43にボルトで固定されるとともに、内周部は装置本体40の内側中心部に配された円板49にボルトで固定されている。また、円板49の外周部にはセグメント43と同数の凹部49aが周方向に等間隔空けて形成されるとともに、複数のセグメント43の前端面の周方向中央部にもそれぞれ凹部43aが形成されている。そして、円板49の複数の凹部49aと、複数のセグメント43にそれぞれ形成された複数の凹部43aとの間に、複数の細長い連結板50がそれぞれ架け渡されている。つまり、複数の連結板50によって、複数のセグメント43と、その内側に配された円板49とが連結されている。また、各連結板50の幅方向両端部にはそれぞれ段付き部(図示省略)が形成されており、1つの連結板50の周方向両側に配置された2つの分割止水体41が、連結板50の2つの段付き部に重ねられた状態でセグメント43及び円板49に固定される。即ち、複数の連結板50は、水圧を受ける分割止水体41を裏側から支えるとともに、周方向に隣接する2つの分割止水体41の間をシールする役割も果たしている。
【0048】
図10に示される環状チューブ42は、例えば、ゴムチューブなどの、エアの注入によって膨張するものであり、環状の装置本体40の外周面に設けられた状態で膨張することによって、装置本体40の外周面と補修材2の内面との間の隙間を塞ぐ。
【0049】
上記の閉塞装置30を管路P内に設置する方法について説明する。まず、マンホールM内に環状チューブ42を搬入し、この環状チューブ42をマンホールMから補修材2の内側に入れる。次に、環状チューブ42の内側において複数のセグメント43を搬入して周方向に連結し、環状の装置本体40を組み立てるとともに、この装置本体40の端面に複数の分割止水体41を取り付ける。そして、装置本体40の外側の環状チューブ42内にエアを供給して膨張させ、装置本体40と補修材2の内面との間の隙間を塞ぎつつ装置本体40を管路Pに対して固定する。
【0050】
以上説明した本実施形態の管路Pの補修方法においては、補修区間内に設置された筒状の補修材2がこれに含浸された硬化性樹脂液が硬化することによって、剛直で保形性の高い管となっている上、さらに、その外側の筒状の金網1と接着されて一体化している。そのため、補修材2の保形性が向上し、補修材2と管路Pの内面との間に充填される硬化性充填材3の充填圧力によって補修材2が変形することが防止される。尚、金網1を構成する線材が細いものであるほど、樹脂が線材を包み込み、金網1と補修材2の接着が良くなる。
【0051】
また、金網設置工程において、止水装置10の止水位置から補修区間を通ってその下流側の位置まで排水ホース11を設置し、この排水ホース11によって上流側の水を下流側に流しつつ(水替え)、補修区間内に金網1を設置することで、施工に時間を要する金網設置工程を水の存在しないドライな環境下で安全に行うことができる。また、その際に、排水ホース11を持ち上げながら金網1を設置することで、金網1を管路Pの下部も含む全周にわたって配置することが可能となる。
【0052】
また、図5の補修材設置工程において、補修区間から排水ホース11を撤去してから補修材2を設置するために、補修材2に樹脂の含浸むらが生じにくい。尚、これによって、補修材設置工程では水替えは行われないことになり、止水装置10によって水が完全に堰き止められた状態で作業することになるため、できるだけ短時間で行うことが好ましい。この点、本実施形態では、反転工法を採用していることから、長い補修区間であっても補修材2を短時間で設置することが可能である。
【0053】
また、筒状の金網1は、径方向外側に突出してスペーサーとして機能する複数の突起17によって管路Pの中央位置に保持されており(センタリング)、硬化性充填材3の充填時に金網1及び補修材2が浮き上がることが防止される。また、金網1が管路P内でセンタリングされていることで、金網1に密着して一体化された補修材2と管路Pの内面との隙間、即ち、硬化性充填材3の充填厚みが周方向に均一とすることで、硬化性充填材3の層の強度が高くなる。尚、複数の突起17の高さは全て等しくする必要はなく互いに異ならせてもよい。例えば、上下、あるいは、左右で突起17の高さを変えることで、硬化性充填材3の充填厚みを意図的に異ならせることも可能である。
【0054】
さらに、本実施形態では、図10に示すように、硬化性充填材3の充填を行う際に、2つの閉塞装置30A,30Bによって補修区間を閉塞した上で、止水装置10で堰き止められた水を注水ポンプ33で補修区間内に圧送している。従って、補修区間内に満たされた水の重量によって充填材を充填したときの補修材2の浮き上がりが防止されるとともに、補修材2内に高い水圧が作用するために補修材2の変形も抑制される。さらに、硬化性充填材3の充填時における補修材2の浮き上がり、及び、補修材2の変形が生じにくくなることから、金網1に設けられてスペーサーとして機能する、前述の突起17の数を減らすことも可能である。
【0055】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0056】
1]前記実施形態では1枚の金網1を管路P内に設置していたが、必要とされる強度に応じて、複数枚の金網1を重ねて設置してもよい。また、図14に示すように、金網1に加えて、鋼棒等からなる筒状の補強枠52を金網1の外側に設置して、さらなる強度向上を図るようにしてもよい。
【0057】
2]閉塞装置30で閉塞された補修区間内に注水ポンプ33で水を圧送したときに、補修区間内の高い水圧によって閉塞装置30がマンホールM側へ移動することがないように、閉塞装置30のマンホールM側への移動を規制する部材を設けてもよい。以下にその一例を挙げる。
【0058】
図15は、閉塞装置30の移動を規制する規制棒63が設置された状態の、マンホールMの縦断面図である。まず、マンホールMの内壁面の、管路Pとの接続口60を左右に挟む位置において、H鋼からなる、鉛直方向に延びる固定部材61を2本、それぞれアンカーで固定する。次に、マンホールMの内壁面の、接続口60を上下に挟む位置において、鋼製の2本の支持棒62を、接続口60の左右2本の固定部材61にわたって水平に架け渡し固定する。
【0059】
そして、上下2本の支持棒62に鋼製の複数本の規制棒63を取り付ける。図16は、支持棒62、及び、支持棒62に取り付けられる規制棒63の斜視図である。図16に示すように、各支持棒62の、接続口60が形成されたマンホールMの内壁面に面する部分には、間隔を空けて複数の切り込み62aが形成されている。そして、2本の支持棒62の複数の切り込み62aに複数本(図では3本)の規制棒63をそれぞれ挿入することにより、マンホールMの内壁面に、管路Pとの接続口60を跨ぐように複数本の規制棒63が固定されることになる。尚、図11、図12に示される閉塞装置30が用いられる場合には、複数の分割止水体41に作用する水圧を受け止める、円板49の裏面に当接する位置に、規制棒63が設けられることが好ましい。
【0060】
これにより、閉塞装置30に、補修区間内の高い水圧が作用しても、複数の規制棒63が閉塞装置30に当接することから閉塞装置30のマンホールMへの移動が規制される。また、このように、閉塞装置30の移動を規制する部材(規制棒63)を設けることで、単体では水圧によって移動する虞のある、構造が簡単で且つ軽量の閉塞装置を採用することが可能となり、搬入や組立が容易となる。
【0061】
3]図17に示すように、硬化性充填材3の充填工程において、上流側の止水装置10も撤去し、補修区間の上流側からの水Wを、補修区間(補修材2)内に流すようにしてもよい。あるいは、止水装置10は撤去せずに、止水装置10で堰き止められている水Wを水替えパイプから下流側の補修区間内に流しながら、充填工程を行ってもよい。このように、管路P内の水Wを補修区間内に流すことで補修材2に水の荷重が作用するため、管路Pの内面と補修材2の間に充填材3を充填したときに、補修材2が浮き上がりにくくなる。特に、大きな浮力が作用する補修材2の下部に水Wの荷重が作用することから浮き上がり防止に効果的である。また、水Wの荷重が作用する補修材2の下部においては、硬化性充填材3の充填圧力による変形が生じにくくなる。
【0062】
4]補修区間内での金網1の設置時に、水替え用の排水ホース11を持ち上げる方法としては、前述した、管路P内を走行する支持台車12(図2参照)を用いる方法には限られない。例えば、排水ホース11を、管路P内に通したワイヤ等で吊り下げながら金網1を設置してもよい。
【0063】
5]以上説明した実施形態及びその変更形態は、本発明を下水道管の補修に適用した例であるが、上水道管や農業用水管など、他の既設管路の補修に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 金網
2 補修材
3 硬化性充填材
10 止水装置
11 排水ホース
30 閉塞装置
31 注水口
32 排水口
33 注水ポンプ
P 管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる管路において、所定の補修区間よりも上流側の位置に止水装置を設置して前記管路内の水を堰き止める止水工程と、
前記止水装置の止水位置から前記補修区間を通ってその下流側の位置まで、排水ホースを設置するホース設置工程と、
前記補修区間よりも上流側に堰き止められた水を前記排水ホースによって前記補修区間よりも下流側に流しつつ、前記排水ホースを前記管路の下部から離れるように持ち上げながら前記補修区間内に筒状の金網を設置する金網設置工程と、
前記止水装置による止水状態を維持しつつ前記排水ホースを前記補修区間内から撤去した後、硬化性樹脂液が含浸された筒状の補修材を流体圧力によって内外面を反転させながら前記金網の内側に設置する補修材設置工程と、
前記補修材の前記硬化性樹脂液を硬化させる硬化工程と、
前記硬化性樹脂液の硬化後に、前記管路内面と前記補修材との間に硬化性充填材を充填する充填工程とを備えたことを特徴とする管路の補修方法。
【請求項2】
前記補修材には熱硬化性樹脂液が含浸され、前記硬化工程において補修材を加熱することにより前記熱硬化性樹脂液を硬化させることを特徴とする請求項1に記載の管路の補修方法。
【請求項3】
前記充填工程において、前記補修区間の上流側の水を前記補修区間内に流しながら、前記管路内面と前記補修材との間に硬化性充填材を充填することを特徴とする請求項1又は2に記載の管路の補修方法。
【請求項4】
前記充填工程において、前記補修区間の上流側端部に注水口を有する閉塞装置を設置するとともに、前記補修区間の下流側端部には排水口を有する閉塞装置を設置して、前記補修区間を閉塞し、
前記止水装置と前記上流側の閉塞装置の間に注水ポンプを設置し、前記止水装置で堰き止められた水を前記注水ポンプによって前記上流側の閉塞装置の注水口から前記補修区間内に圧送することを特徴とする請求項1又は2に記載の管路の補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−184811(P2012−184811A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48824(P2011−48824)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)