説明

箱材および物品

【課題】製造時における粉塵の発生の低減に寄与しつつ高い接着強度を提供しうる箱材を提供する。
【解決手段】箱材100は、互いに接着される第1接着部50と第2接着部52とを有する。第1接着部50および第2接着部52は、複数のスリットを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤を使って箱形状に成形される箱材、および、該箱材で被包装物を包装してなる物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料の容器は、箱材によって包装されて出荷、運搬等されうる。ビール容器は、所定本数単位でマルチパックとして包装された上でカートンに収容される場合もある。現在のところ、ビール容器は、典型的には、6本単位でマルチパックとして包装され、4つのマルチパックが1つのカートンに収容されている。
【0003】
容器の包装において、板状態の箱材は、罫線(折り曲げるための線)で折り曲げられながら接着部と接着部とがホットメルトと呼ばれる接着剤で接着されることによって箱形状に成形される。
【0004】
接着剤による接着の強度が不足していると、運搬中に箱材が展開して、被包装物が落下したり、ばらばらになったりする可能性がある。したがって、容器の包装においては、箱材の接着部と接着部との間にある程度の接着強度が要求される。接着強度は、接着部の面積を広くしてより多くの接着剤を使用することによっても高めることができるが、これは箱材の製造コストの増加をもたらす。
【0005】
特許文献1には、樹脂コーティング面若しくはラミネート面に粗面化された研削面を貼着補強部として形成することが記載されている。
【特許文献1】特開平10−24927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された方法では、研削面を形成するために研削手段で樹脂コーティング面若しくはラミネート面を研削する必要があり、この研削の際に多量の粉塵が発生し、製造装置内に飛散したり、作業環境を悪化させたりしうる。また、研削には相応の作業時間を要するので、特許文献1に記載された方法では、スループットが低下しうる。
【0007】
本発明は、例えば、製造時における粉塵の発生の低減に寄与しつつ高い接着強度を提供しうる箱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る箱材は、接着剤を使って箱形状に成形される箱材であって、接着剤で接着されるべき接着部に複数のスリットを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記複数のスリットは、メッシュ状に形成されうる。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記複数のスリットは、切り込みでありうる。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、前記複数のスリットは、接着剤が浸透するために十分な幅を有しうる。
【0012】
本発明に係る物品は、上記の箱材によって被包装物を包装してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、製造時における粉塵の発生の低減に寄与しつつ高い接着強度を提供しうる箱材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の好適な実施形態の箱材の展開状態を示す図である。図2は、図1に示す箱材で被包装物を包装してなる物品を示す斜視図である。箱材100には、被収容物として、例えばビール等の飲料が充填された容器が収容されうる。ここで、ビール等が充填された容器は、独立した状態で箱材100によって包装されてもよいし、所定本数単位でマルチパックとして一次包装された上で箱材100によって2次包装されてもよい。
【0016】
箱状態における箱材100は、一対の広面部11、12と、一対の狭面部21、22とで6面のうちの4面が構成される。残りの2面のうちの1つの面は、フラップ31、33で構成され、残りの2面のうち他方の面は、フラップ32、34で構成されうる。
【0017】
展開状態(板状態)の箱材100は、広面部11に狭面部22が繋がるように連結部41に広面部11に固定し、更に、フラップ35、37がフラップ31、33の内側に配置され、フラップ36、38がフラップ32、34の内側に配置されるようにフラップ31〜38を直角に折り曲げて外側のフラップを内側のフラップに固定することによって箱状態にされる。
【0018】
このような箱材100の成形において、ホットメルトと呼ばれる接着剤が使用されうる。接着剤は、典型的にはノズルから噴射されて第1接着部50に塗布される。なお、第1接着部50の位置は、任意に決定されうる。第1接着部50には、箱材100が箱形状に成形される段階で、対応する第2接着部52が押し付けられる。これによって、第1接着部50と第2接着部52とが接着剤で接着される。
【0019】
箱材100は、接着剤で接着されるべき接着部、即ち、第1接着部50および第2接着部52に複数のスリットを有する。図3は、第1接着部50および第2接着部52に設けられた複数のスリット60を模式的に示す図である。図4は、第1接着部50と第2接着部52とを接着剤70で接着した様子を模式的に示す断面図である。図4に模式的に示すように、接着部としての第1接着部50と第2接着部52に複数のスリット60を設けることにより、接着剤70が複数のスリット60の中に浸透するので、第1接着部50と第2接着部52との接着強度を向上させることができる。
【0020】
複数のスリット60は、図3に例示的に示すように、例えば、メッシュ状に形成されうる。複数のスリット60は、カッターによって切り込みとして形成されうる。ここで、箱材の製造装置には、好ましくは、形成すべきスリット60の本数と同数とカッターが設けられうる。スリットをメッシュ状に形成する場合には、第1方向に沿った複数のスリットを形成する第1カッターセットと、第1方向に垂直な第2方向に沿った複数のスリットを形成する第2カッターセットとが製造装置に備えられうる。スリットによって接着強度を向上させる方法によれば、箱材材料を研磨する特許文献1に開示されたような方法に比べて、粉塵の発生が著しく抑えられる。よって、製造装置内或いは作業環境を清浄に維持することができる。
【0021】
複数のスリット60は、接着剤70が浸透するために十分な幅、例えば、0.05〜0.5mmの幅を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適な実施形態の箱材の展開状態を示す図である。
【図2】図1に示す箱材で被包装物を包装してなる物品を示す斜視図である。
【図3】接着部に設けられた複数のスリットを模式的に示す図である。
【図4】接着部同士を接着剤で接着した様子を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
50 第1接着部
52 第2接着部
60 スリット
70 接着剤
100 箱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を使って箱形状に成形される箱材であって、接着剤で接着されるべき接着部に複数のスリットを有することを特徴とする箱材。
【請求項2】
前記複数のスリットは、メッシュ状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の箱材。
【請求項3】
前記複数のスリットは、切り込みである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱材。
【請求項4】
前記複数のスリットは、接着剤が浸透するために十分な幅を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の箱材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の箱材によって被包装物を包装してなることを特徴とする物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−57066(P2009−57066A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224584(P2007−224584)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】