説明

米保冷庫

【課題】蒸発器ユニットの構成部品どうしを正確に位置決めし、高度の気密性を備えた状態で簡単に組み立ることができる米保冷庫を提供する。
【解決手段】保冷庫本体1の上面に配置される冷却装置を、圧縮機12および凝縮機器11と、天井壁1aに埋設した隔壁ブロック3上に配置される蒸発器ユニット13とで構成する。蒸発器ユニット13は、基台ブロック25と、基台ブロック25を覆う箱ブロック26と、両ブロック25・26で上下に挟持固定される蒸発器27、蒸発器ファン28、および導風ケース29などを含む。隔壁ブロック3、基台ブロック25、箱ブロック26は、それぞれ発泡プラスチック材製の射出成形品で形成して、それぞれの接合面どうしを、位置決め構造と気密シール構造を兼ねる凹凸係合部73・74で接合する。箱ブロック26を締結構造68で天井壁1aに締結して凹凸係合部73・74を密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷庫本体の上面に、蒸発器と蒸発器ファンを含む蒸発器ユニットが配置してある米保冷庫に関する。この米保冷庫は、主として玄米や白米などの米を低温で保存して食味が低下するのを防止する。
【背景技術】
【0002】
この種の保冷庫の基本構造は例えば特許文献1に公知である。保冷庫は、一群の米パックを収容する保冷庫本体と、保冷庫本体の上面に配置される冷却装置とを備えており、冷却装置から送給される冷気で、保冷庫本体に収納した米パックを低温保存する。冷却装置は、保冷庫本体の上面に半ば埋設する状態で配置される断熱箱に組み込まれており、断熱箱の一側に蒸発器ユニットを配置し、他側に凝縮機器と圧縮機とを配置している。
【0003】
本発明では、保冷庫本体の上面に発泡プラスチック材で形成した断熱箱を配置し、その内部に蒸発器と蒸発器ファンとを収容して蒸発器ユニットとするが、この種の米保冷庫は特許文献2に公知である。そこでは、金属板製の取付台と、取付台に嵌め込み固定される発泡プラスチック材製のベースと、ベースに組み付けられる蒸発器および蒸発器ファンと、ベースの上面に被せ付けられる発泡プラスチック材製のドーム状のカバーとで蒸発器ユニットを構成している。蒸発器ユニットは、取付台を天井壁に形成した通気開口の外面に固定することにより保冷庫本体と一体化される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−302141号公報(段落番号0011、図4)
【特許文献2】特許第3647727号公報(段落番号0006、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の保冷庫においては、蒸発器および蒸発器ファンなどの機器をベースに組み付けたのち、カバーをベースに被せ付け、この状態のベースを取付台に嵌め込み装着することで蒸発器ユニットを完成でき、一連の組立に要する手間を軽減できる。しかし、各部材どうしを単に接合し、あるいは嵌め込み係合しているに過ぎないので、各部品ががたつきやすい。さらに、取付台と天井壁との間、あるいはベースとカバーとの間に小さな隙間が生じるのを避けられず、この隙間から冷気や外部空気が出入りするおそれがあり、蒸発器ユニットの気密性が低い点に問題がある。
【0006】
本発明の目的は、蒸発器ユニットをより少ない手間で組み立てられるにもかかわらず、隣接する構成部品どうしを正確に位置決めした状態で、しかも高度の気密性を備えた状態で組むことができ、したがって、冷気や外気の出入りを確実に防止して、米パックを効率よく低温保存できる米保冷庫を提供することにある。本発明の目的は、冷気や外気の出入りを確実に防止できる気密性に優れた蒸発器ユニットであるにもかかわらず、ユニット内部に配置された蒸発器や蒸発器ファンなどの保守作業を簡便に行える米保冷庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の米保冷庫は、保冷庫本体1の上面に配置した冷却装置を、天井壁1aの上面に配置される圧縮機12および凝縮機器11と、天井壁1aに設けた隔壁ブロック3の上面に配置される蒸発器ユニット13とで構成する。隔壁ブロック3には、庫内空間に連通する吸込口4と送給口5とが分離形成される。蒸発器ユニット13は、隔壁ブロック3の上面に接合される基台ブロック25と、基台ブロック25の外面全体を覆う状態で隔壁ブロック3の上面に接合される箱ブロック26と、基台ブロック25と箱ブロック26とで上下に挟持固定される蒸発器27、および蒸発器ファン28と、箱ブロック26の外面から基台ブロック25に装着固定される締結体30とを含む。隔壁ブロック3、基台ブロック25、箱ブロック26の三者は、それぞれ発泡プラスチック材製の成形品で形成する。隔壁ブロック3と基台ブロック25、および隔壁ブロック3と箱ブロック26の、それぞれの接合面に位置決め構造と気密シール構造を兼ねる凹凸係合部73・74を形成する。蒸発器ユニット13は、蒸発器ユニット13と天井壁1aとの間に設けた締結構造68で、天井壁1aに締結固定する。
【0008】
蒸発器27と、蒸発器27の一側に配置した蒸発器ファン28および導風ケース29と、蒸発器27の下面に配置した集水皿56とを、互いに締結して1個の機器ユニット52として構成する。箱ブロック26の内面には、機器ユニット52の上部を遊動不能に係合保持する上保持部46を形成する。基台ブロック25の上面に、機器ユニット52の下部を遊動不能に係合保持する下保持部40を形成する。以て、機器ユニット52および基台ブロック25を箱ブロック26に組み付けた状態において、機器ユニット52を上保持部46と下保持部40とで挟持固定する。
【0009】
隔壁ブロック3の吸込口4と送給口5とで挟まれる受壁33の上面に基台ブロック25を接合して、箱ブロック26と基台ブロック25との間に、吸込口4と送給口5とを連通するコ字形の循環通路66を形成する。循環通路66の上隅と基台ブロック25の上隅との間に、蒸発器ファン28を斜めに傾斜する状態で支持する。
【0010】
プラスチック成形品からなる集水皿56の底壁62に、蒸発器27の側枠51を支持する受座63と、ブラケット65とを一体形成する。蒸発器27と集水皿56とは、ブラケット65を側枠51に締結固定して一体化する。蒸発器27と蒸発器ファン28とは、両者27・28の間に設けた導風ケース29を介して一体に締結固定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、基台ブロック25および箱ブロック26と、両ブロック25・26で上下に挟持固定される、蒸発器27および蒸発器ファン28などで蒸発器ユニット13を構成し、隔壁ブロック3の上面に蒸発器ユニット13を接合したうえで、締結構造68により天井壁1aに締結固定するので、蒸発器ユニット13をより少ない手間で組み立てることができるのはもちろん、基台ブロック25と隔壁ブロック3、および箱ブロック26と隔壁ブロック3を、それぞれの接合面に設けた凹凸係合部73・74で正確に位置決めした状態の許に接合固定できる。
【0012】
さらに、蒸発器ユニット13を締結構造68で天井壁1aに締結固定することにより凹凸係合部73・74を密着させて、各ブロック3・25・26の接合部分に隙間が生じるのを解消するので、全体として蒸発器ユニット13の構成部品どうしを正確に位置決めした状態で、しかも高度の気密性を備えた状態で組むことができ、これにより、冷気や外気の出入りを確実に防止して、米パックPを効率よく低温保存できる米保冷庫が得られる。箱ブロック26と基台ブロック25とを、箱ブロック26の外面側から装着される締結体30で固定するので、締結構造68と締結体30とを箱ブロック26から分離したのち、箱ブロック26を取外すことにより、蒸発器27や蒸発器ファン28を露出させて、点検作業や部品交換などの保守作業を、簡便にしかも的確に行うことができる。
【0013】
蒸発器27、蒸発器ファン28、導風ケース29と、蒸発器27の下面に配置した集水皿56とを互いに締結して機器ユニット52を構成すると、反転した箱ブロック26に機器ユニット52と基台ブロック25とを組み付けるだけで、蒸発器ユニット13の組立を完了でき、たとえば機器ユニットの構成部材を個別に箱ブロックに組み付ける場合に比べて、蒸発器ユニット13の組立の手間を著しく削減できる。また、組立状態における機器ユニット52を、箱ブロック26の内面に設けた上保持部46と、基台ブロック25の上面に設けた下保持部40とで挟持固定すると、隔壁ブロック3、基台ブロック25、箱ブロック26と機器ユニット52を相対移動不能に一体化できるので、冷却装置の運転時に各部品ががたつくのを確実に防止でき、したがって蒸発器ユニット13による熱交換作用を常に適正な状態で行うことができる。
【0014】
隔壁ブロック3の上面に基台ブロック25を接合して、箱ブロック26と基台ブロック25との間にコ字形の循環通路66を形成し、循環通路66の上隅と基台ブロック25の上隅との間に蒸発器ファン28を斜めに傾斜する状態で支持する蒸発器ユニット13によれば、蒸発器ファン28を空間の無駄を省いた状態で箱ブロック26内に配置できるので、例えば蒸発器ファンを縦、あるいは横向きに配置する場合に比べて、蒸発器ユニット13の外形寸法を小さくして、その分だけ米保冷庫の設置スペースを小さくすることができる。
【0015】
プラスチック成形品からなる集水皿56の底壁62に受座63とブラケット65を一体形成し、蒸発器27の側枠51を受座63で支持したうえで、側枠51とブラケット65とを締結固定し、さらに、蒸発器ファン28と蒸発器27とを導風ケース29を介して締結固定する蒸発器ユニット13によれば、集水皿56、蒸発器27、蒸発器ファン28、導風ケース29の四者からなる機器ユニット52をより堅牢に構成できる。さらに、蒸発器27や蒸発器ファン28の重量を集水皿56で分散支持できるので、蒸発器27などの重量が側枠51の下部に集中して、発泡プラスチック材で形成した基台ブロック25が傷付くのを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施例) 図1ないし図7は本発明に係る米保冷庫の実施例を示す。図2において米保冷庫は、一群の米パックPを収容する保冷庫本体1と、保冷庫本体1の天井壁1aの外面に配置される冷却装置と、保冷庫本体1の前面開口を揺動開閉するドア2とで構成する。保冷庫本体1は前面が開口する縦長直方体状の箱体からなり、箱周壁の全てが中空の鋼板パネルの内部に発泡断熱材を注入して形成してある。
【0017】
庫内の天井壁1aの一側には隔壁ブロック3が埋設固定されて、その左右に吸込口4と送給口5とが分離開口してある。庫内の底壁には冷気の循環を許すパレット6が載置してあり、その上面に一群の米パックPが庫内周壁と隙間をあけた状態で積み上げてある。この場合の米パックPは、紙袋に30kgの玄米を詰めた包装体からなる。
【0018】
図1において冷却装置は、保冷庫本体1の上面右半部に配置される凝縮機器11および圧縮機12と、隔壁ブロック3の上面に配置される蒸発器ユニット13と、これらの機器を収容する角箱状のカバー14と、蒸発器ユニット13で生じる結露水や除霜水を排出し蒸発させるドレン構造などで構成する。
【0019】
凝縮機器11は、凝縮器ファン16、および凝縮器17からなり、これら両者16・17と圧縮機12とが、ケース前部からケース後部へ向かって記載順に配置してある。凝縮器ファン16と対向するカバー14の前壁には、一群の吸風口が開口され、圧縮機12に臨むカバー14の後面は開放してある。図2において符号19はカバー14の前壁に配置した操作パネルであり、そこには電源スイッチ、運転モードスイッチ、温度調節器、および温度表示器などが組み込んである。
【0020】
凝縮器17はワイヤー型の凝縮器からなり、保冷庫本体1の天井壁1aに固定した前後一対のベース枠20で支持してある。凝縮器ファン16は、天井壁1aに立設固定したブラケットに装着されて凝縮器17の前面中央部分と正対しており、吸風口から吸い込んだ外部空気を凝縮器17へ向かって送給する。圧縮機12は、凝縮器17の後ろ側に隣接配置されて、天井壁1aの上面に固定したベース枠で防振具を介して支持してある。
【0021】
図3において蒸発器ユニット13は、隔壁ブロック3の上面に接合される基台ブロック25と、基台ブロック25の外面全体を覆う状態で隔壁ブロック3の上面に接合される箱ブロック26と、基台ブロック25と箱ブロック26とで上下に挟持固定される蒸発器27、蒸発器ファン28、および導風ケース29と、基台ブロック25と箱ブロック26とを固定する締結体30(図5参照)などで構成する。締結体30は、全長が長いプラスチック製の釘状体からなる。
【0022】
隔壁ブロック3、基台ブロック25、箱ブロック26の三者は、それぞれ成形された発泡スチロールからなる。図4に示すように隔壁ブロック3は、左右辺部が長い長方形の板状ブロックからなり、その板面の左右に吸込口4と送給口5が上下貫通状に開口され、両開口4・5の間に基台ブロック25を支持するための受壁33が形成してある。隔壁ブロック3の上面周縁に沿って、先の開口4・5と受壁33を囲む係合段部(係合凹部)34が凹み形成してある。受壁33の上面にも同様の係合凹部35が逆台形状に凹み形成してある。
【0023】
図5に示すように、隔壁ブロック3は天井壁1aと同じ厚みに形成してあり、天井壁1aに埋設した状態で固定される。詳しくは、保冷庫本体1の内箱を構成する鋼板38aの上面に隔壁ブロック3を組み付けたのち、外箱を構成する鋼板38bを組み付け、両鋼板38a・38bの間に発泡ウレタンを充填することにより、隔壁ブロック3を天井壁1aの上面と面一になる状態で埋設固定する。このように、予め成形しておいた隔壁ブロック3を天井壁1aに埋設して、吸込口4と送給口5を形成すると、吸込口4、送給口5、係合段部34、および係合凹部35などの形状精度、および位置精度を向上できる。
【0024】
基台ブロック25は、受壁33と同じ幅の前後に長い長方形の板状ブロックからなり、ブロック上面に集水皿56を挟持するための下保持部40を凹み形成し、ブロック下面に先の係合凹部35に嵌まり込む係合凸部41を逆台形状に膨出形成してなる。下保持部40の内底面は、集水皿56の底壁の傾斜形状に合致して傾斜させてある。
【0025】
箱ブロック26は、下向きに開口する直方体状の箱体からなり、その内面前後に規制壁43を膨出形成し、前後の規制壁43の間に送給口5と連通する送給通路44を形成してなる(図7参照)。箱ブロック26の下面周縁には、先に説明した係合段部34と係合する係合凸部45が形成してある。規制壁43と同壁43に対向する内側壁とで、蒸発器27と蒸発器ファン28を嵌め込むための上保持部46が形成される。箱ブロック26の開口縁には冷媒管、排水パイプ58、および給電コード用の3個の逃げ溝47が切り欠き形成してある。
【0026】
蒸発器27は、繰り返し反転屈曲される冷媒管と、一群のフィン、および冷媒管を支持する前後一対の側枠51などで構成してあり、後述するように側枠51に集水皿56が締結固定してある。図7に示すように蒸発器ファン28は、ファンモーター28aとファンケース28bとを一体に備えたユニット部品からなる。ファンケース28bを導風ケース29に締結固定し、導風ケース29を蒸発器27に締結固定することにより、図3に示すように蒸発器27、蒸発器ファン28、導風ケース29、および集水皿56が、1個の機器ユニット52として一体化される。
【0027】
導風ケース29は、前後壁と上壁、および前後壁の外側面を斜めに塞ぐ側壁とを一体に備えたプレス成形品からなり、図3に示すように前後のケース壁が、蒸発器27の側枠51にビス54で締結され、傾斜する側壁の前後中央に設けた開口にファンケース28bが締結固定してある(図7参照)。導風ケース29の上壁の側端には、上保持部46の内隅部分に接当する逆L字状の安定枠53が一体に形成してある。導風ケース29に組み付けた状態の蒸発器ファン28は、図1に示すように、循環通路66の上隅と基台ブロック25の上隅とを結ぶ傾斜面に沿って斜めに傾斜する状態で支持され、その吸込面が吸込口4に連続する吸込通路50の側に面している。
【0028】
図1においてドレン構造は、蒸発器27の下面側に配置される集水皿56と、凝縮機器11および圧縮機12の下面側に配置される蒸発皿57と、集水皿56と蒸発皿57とを連通する排水パイプ58と、排水パイプ58の中途部に設けられるトラップ59とで構成する。
【0029】
集水皿56は、前後に長い角皿状のプラスチック成形品からなり、その底壁62を排水パイプ58の側へ向かって下り傾斜させ、前後中央の傾斜下端の外面に、排水パイプ58を接続するための出口管が一体に設けてある。トラップ59は、逃げ溝47から箱外へ導出される排水パイプ58の中途部を、他のパイプ部分より低くなるようにバンド60で天井壁1aに締結して形成してあり、冷気および外気の出入りを遮断しながら結露水や除霜水を排水するために設けられている。
【0030】
図6に示すように集水皿56の底壁62は、それぞれ出口管へ向かって下り傾斜する3個の三角形状の壁面で構成されており、底壁の前後に蒸発器27の側枠51を支持する一対ずつの受座63と、側枠51の側端を受け止める位置決め突起64と、ブラケット65とが一体に形成してある。図5に示すように、側枠51の下端が受座63の溝に嵌まりこみ、側枠51の側端が位置決め突起64に接当する状態で、ブラケット65と側枠51と導風ケース29の前後壁の下側部分とをビス54で締結することにより、集水皿56を導風ケース29と共に蒸発器27と一体化することができる。
【0031】
蒸発皿57の全体は凝縮器ファン16の通風領域に臨ませてあり、さらに蒸発皿57の後半部分は、凝縮器17を通過した温排風の通風領域内に臨む状態で配置してある。これにより、皿内の排水と凝縮器ファン16から送給される冷却空気との接触機会を増加して、皿内に排出された排水の蒸発を促進することができるうえ、熱交換後の温排風によって排水の蒸発作用をさらに促進して、単位時間あたりの蒸発量を増加できる。
【0032】
蒸発器ユニット13の組立は、以下の要領で行う。まず開口面が上になる状態で箱ブロック26を反転し、予め一体化しておいた機器ユニット52を上保持部46に嵌め込み装着する。この状態では、蒸発器27の側枠51と導風ケース29の安定枠53とが、上保持部46の左右の上隅部分に接当するので、機器ユニット52を箱ブロック26に対して左右遊動、および前後遊動不能に組むことができる。次に、基台ブロック25の下保持部40を集水皿56に被せ付けて、基台ブロック25を箱ブロック26内に収める。このとき、箱ブロック26内の正規位置に機器ユニット52が収容されていれば、基台ブロック25を箱ブロック26内に収めた状態において、両ブロック25・26の周縁面が同一高さになるので、その状態を確認することによって機器ユニット52が適正に組み付けられていることを知ることができる。最後に、釘状の締結体30を箱ブロック26の前後側面から基台ブロック25に打ち込んで、基台ブロック25を分離不能に固定する。
【0033】
得られた、蒸発器ユニット13の全体を反転したうえで隔壁ブロック3の上面に載置し、蒸発器ユニット13を前後一対の締結構造68で天井壁1aに締結することにより、蒸発器ユニット13を保冷庫本体1に固定できる。この状態では、箱ブロック26と基台ブロック25との間に、吸込口4と送給口5とを連通するコ字形の循環通路66が形成されており、循環通路66の中途部に機器ユニット52が配置されて、吸込通路50と送給通路44とを区分している。
【0034】
締結構造68は、箱ブロック26に沿ってコ字上に折り曲げられる押え金具69と、押え金具69の両端に設けた締結座を天井壁1aに締結するビス(ねじ)70とで構成する。このように、箱ブロック26を押え金具69で押さえ保持することにより、箱ブロック26と隔壁ブロック3とを隙間のない状態で密着接合でき、同時に基台ブロック25と隔壁ブロック3とを隙間のない状態で密着接合することができる。
【0035】
上記のように、蒸発器ユニット13を隔壁ブロック3に組み付けた状態においては、箱ブロック26と隔壁ブロック3、および基台ブロック25と隔壁ブロック3とが、それぞれ位置決め構造と気密シール構造を兼ねる凹凸係合部73・74を介して相対移動不能に接合される。詳しくは、箱ブロック26と隔壁ブロック3とは、係合凸部45と係合段部34とからなる凹凸係合部73を介して接合されており、基台ブロック25と隔壁ブロック3とは、係合凸部41と係合凹部35とからなる凹凸係合部74を介して接合されている。基台ブロック25の下保持部40に嵌まり込んでいる集水皿56は、基台ブロック25の補強部材として機能する。
【0036】
使用状態において、庫内の空気は吸込口4と吸込通路50を介して吸い込まれ、蒸発器ファン28で加圧された庫内空気が蒸発器27を通過する間に冷却されて、送給通路44と送給口5を介して庫内空間へと吹き出し送給される。これにより、保冷庫本体1の内部は、5〜15℃の温度範囲内で任意の設定温度に維持されて、米パックP内の玄米を低温状態に保持し、玄米に含まれる脂肪酸の酸化を防止できる。
【0037】
上記の実施例以外に、隔壁ブロック3は天井壁1aに埋設する以外に、その上面側に張出し形成したフランジ壁が天井壁1aの上面で受け止められるように構成することができる。蒸発器ファン28を蒸発器27の側枠51で支持する場合には、導風ケース29を省略することができる。受座63は上面が開口する溝構造とする必要はなく、側枠51の下端部構造の違いに応じて凹部や、横溝などで形成することができる。
【0038】
凹凸係合部73・74は、係合段部34、および係合凹部35を、箱ブロック26、および基台ブロック25側に形成し、係合凸部41・45を隔壁ブロック3側に形成して構成することができる。締結体30は釘状に形成する以外に、例えば基台ブロック25にインサート固定した雌ねじ体と、箱ブロック26を介して雌ねじ体にねじ込まれるボルトとで構成することができる。締結構造68は、箱ブロック26を天井壁1aに締結できる構造であれば、実施例で説明した構造である必要はない。米保冷庫は米以外の穀類や野菜等の保冷庫として使用することができ、その場合には、加湿機能を付加して庫内の湿度を所定状態に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】冷却装置の概略構造を示す縦断正面図である。
【図2】米保冷庫のドアを開放した状態の正面図である。
【図3】蒸発器ユニットの分解正面図である。
【図4】隔壁ブロック、基台ブロック、および箱ブロックの分解斜視図である。
【図5】図1におけるA−A線断面図である。
【図6】集水皿の平面図である。
【図7】図1におけるB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 保冷庫本体
1a 天井壁
3 隔壁ブロック
4 吸込口
5 送給口
11 凝縮機器
12 圧縮機
13 蒸発器ユニット
25 基台ブロック
26 箱ブロック
27 蒸発器
28 蒸発器ファン
29 導風ケース
30 締結体
56 集水皿
68 締結構造
73 凹凸係合部
74 凹凸係合部
P 米パック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷庫本体(1)の上面に配置した冷却装置が、天井壁(1a)の上面に配置される圧縮機(12)および凝縮機器(11)と、天井壁(1a)に設けた隔壁ブロック(3)の上面に配置される蒸発器ユニット(13)とで構成されており、
隔壁ブロック(3)には、庫内空間に連通する吸込口(4)と送給口(5)とが分離形成されており、
蒸発器ユニット(13)は、隔壁ブロック(3)の上面に接合される基台ブロック(25)と、基台ブロック(25)の外面全体を覆う状態で隔壁ブロック(3)の上面に接合される箱ブロック(26)と、基台ブロック(25)と箱ブロック(26)とで上下に挟持固定される蒸発器(27)、および蒸発器ファン(28)と、箱ブロック(26)の外面から基台ブロック(25)に装着固定される締結体(30)とを含み、
隔壁ブロック(3)、基台ブロック(25)、箱ブロック(26)の三者は、それぞれ発泡プラスチック材製の成形品で形成されており、
隔壁ブロック(3)と基台ブロック(25)、および隔壁ブロック(3)と箱ブロック(26)の、それぞれの接合面に位置決め構造と気密シール構造を兼ねる凹凸係合部(73・74)が形成されており、
蒸発器ユニット(13)が、蒸発器ユニット(13)と天井壁(1a)との間に設けた締結構造(68)で、天井壁(1a)に締結固定してある米保冷庫。
【請求項2】
蒸発器(27)と、蒸発器(27)の一側に配置した蒸発器ファン(28)および導風ケース(29)と、蒸発器(27)の下面に配置した集水皿(56)とが、互いに締結されて1個の機器ユニット(52)として構成されており、
箱ブロック(26)の内面には、機器ユニット(52)の上部を遊動不能に係合保持する上保持部(46)が形成されており、
基台ブロック(25)の上面には、機器ユニット(52)の下部を遊動不能に係合保持する下保持部(40)が形成されており、
機器ユニット(52)および基台ブロック(25)を箱ブロック(26)に組み付けた状態において、機器ユニット(52)が上保持部(46)と下保持部(40)とで挟持固定してある請求項1記載の米保冷庫。
【請求項3】
隔壁ブロック(3)の吸込口(4)と送給口(5)とで挟まれる受壁(33)の上面に基台ブロック(25)を接合して、箱ブロック(26)と基台ブロック(25)との間に、吸込口(4)と送給口(5)とを連通するコ字形の循環通路(66)が形成されており、
循環通路(66)の上隅と基台ブロック(25)の上隅との間に、蒸発器ファン(28)が斜めに傾斜する状態で支持してある請求項2記載の米保冷庫。
【請求項4】
プラスチック成形品からなる集水皿(56)の底壁(62)に、蒸発器(27)の側枠(51)を支持する受座(63)と、ブラケット(65)とが一体形成されており、
蒸発器(27)と集水皿(56)とが、ブラケット(65)を側枠(51)に締結固定して一体化されており、
蒸発器(27)と蒸発器ファン(28)とが、両者(27・28)の間に設けた導風ケース(29)を介して一体に締結固定してある請求項2または3記載の米保冷庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−292319(P2007−292319A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117055(P2006−117055)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000239585)福島工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】