説明

粒状化黒土製造方法及び粒状化黒土

【課題】 黒土を簡単に粒状化させることができ、さらには一度の製造工程で複数種の粒状化黒土を得ることができる方法と、その方法により粒状化された黒土を提供することを目的とする。
【解決手段】 粒状化黒土の製造方法において、黒土を第1篩にかける工程と、前記黒土を乾燥させる工程と、前記乾燥させた黒土に対し1〜2重量%のカーボンを添加し、混合撹拌する工程と、前記カーボンを添加した黒土に対し1〜5重量%の水溶性高分子を添加し、混合撹拌することにより黒土を粒状化させる工程と、前記粒状化黒土を乾燥させる工程と、前記乾燥工程を経た粒状化黒土を第2篩にかける工程と、前記第2篩にかけた粒状化黒土を第3篩にかける工程と、前記第3篩にかけた粒状化黒土を第4篩にかける工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植木鉢(以下、鉢という)用土壌、並びに融雪剤等として使用するための粒状化黒土の製造方法とその粒状化黒土に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉢は、密閉された空間なので、植物の維持に必要な空気及び新鮮な水を確保するため、底面に孔が開いている。この孔によって、鉢の上から散布された水のうち、余剰水は鉢の外に排出され、また、この穴は植物の根に必要な空気の通り道となる。通常、鉢植えを行うときは、鉢の一定の部分(鉢底から約3分の1の高さまでの部分)に、軽石もしくは赤玉(赤土の玉)を敷きならし、鉢の水捌けや通気性を確保した上で、その上に黒土等、有機成分を含む栄養価に富む土壌を使用して植物を植える。
【0003】
しかし、鉢植えの植物の植え替え時になると、鉢の中にある土壌、軽石あるいは赤玉をそれぞれ分けて処分する必要が出てくる。土壌のみであれば庭等に撒くなどして再利用することができるが、軽石や赤玉が混入している場合は、その除去が必要である。特に軽石の場合、植え替え時は軽石と土が混ざった状態となっているため、篩をかけたり手作業で軽石を選別したりするなど、除去に手間がかかる。しかも、この軽石は保存されることなくゴミとして廃棄される。赤玉の場合も赤土の粘土であるから庭に撒くことができず、再利用できないという問題点がある。
【0004】
上記の問題点を解決するためには、鉢内の水はけ及び使用後の土壌の処理負担を軽減するため、土壌自体を粒状化させる必要がある。特許文献1及び2には土壌の粒状化に関する従来技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−53962号公報
【特許文献2】特開2004−217693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、土壌の粒状化には複数の処理剤や化学物質が用いられており、簡単に生産が行えないという問題点がある。さらには、それらの処理剤や化学物質は、土壌に混入するために細かい計量を必要とするため、手間がかかる。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明は、黒土を簡単に粒状化させることができ、さらには一度の製造工程で複数種の粒状化黒土を得ることができる方法と、その方法により粒状化された黒土を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
粒状化黒土の製造方法において、
請求項1に係る粒状化黒土製造方法は、黒土を第1篩にかける工程と、前記黒土を乾燥させる工程と、前記乾燥させた黒土に対し1〜2重量%のカーボンを添加し、混合撹拌する工程と、前記カーボンを添加した黒土に対し1〜5重量%の水溶性高分子を添加し、混合撹拌することにより黒土を粒状化させる工程と、前記粒状化黒土を乾燥させる工程と、前記乾燥工程を経た粒状化黒土を第2篩にかける工程と、前記第2篩にかけた粒状化黒土を第3篩にかける工程と、前記第3篩にかけた粒状化黒土を第4篩にかける工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る粒状化黒土製造方法は、前記第1篩の目が5〜10mmであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る粒状化黒土製造方法は、前記第2篩の目が15〜30mmであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る粒状化黒土製造方法は、前記第3篩の目が5〜15mmであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る粒状化黒土製造方法は、前記第4篩の目が3〜6mmであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る粒状化黒土は、請求項4に記載の粒状化黒土製造方法により、篩に残留して得られる平均直径5〜30mmの粒状化黒土である。
【0013】
請求項7に係る粒状化黒土は、請求項5に記載の粒状化黒土製造方法により、篩に残留して得られる平均直径3〜15mmの粒状化黒土である。
【0014】
請求項8に記載の粒状化黒土は、請求項5に記載の粒状化黒土製造方法により、篩を通過して得られる平均直径6mm以下の粒状化黒土である。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、カーボン及び水溶性高分子を混入後、乾燥工程を経て粒子状となった粒状化黒土を所定の篩に通すことにより、平均直径がそれぞれ5〜30mm、3〜15mm、6mm以下の粒状化黒土を得ることができる。平均直径5〜30mm黒土は丸土、3〜15mm黒土は小粒丸土、6mm以下の黒土は融雪剤あるいは焼黒土としてそれぞれ利用することができ、それぞれに最適な用途に合わせて生産・販売することが可能である。このように、一度の製造工程で3種類の粒径の粒状化黒土を得ることが可能であるため、生産効率が向上することにより生産コストが低減し、商品価格を低くすることができる。
【0016】
また、本発明による粒状化黒土は、その粒状の形状を一定期間(例えば鉢植えから鉢の植え替え時位までの約6ヶ月間等)保持できるので、鉢内の透水性・通気性を確保するための機能を発揮することができる。加えて、鉢植え植物の植え替え時に発生した古い土は、本発明による粒状化黒土であれば軽く砕くだけで通常の黒土として庭に還元することができるので、軽石の除去または廃棄物として捨てる手間を省くことができる。
【0017】
さらには、黒土の粒状化過程でカーボンを混入させることにより熱吸収効率が高まるため、融雪剤としても利用可能である。また、カーボンには土壌中の肥料成分の保持力を向上させる効果があるため、植物の生長や活性化を促進させる効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による粒状化黒土製造方法と粒状化黒土の利用例について説明する。
【0019】
先ず、自然の黒土を採取し、第1篩にかける。第1篩の目は5〜10mm、好適には7mm程度であり、この工程により黒土に含まれている草・小枝・石等の異物を除去する。
【0020】
次に、第1篩を通過した黒土を乾燥させる。この乾燥工程は、黒土を適当な含水比に調整するためのものであり、天日乾燥が好適である。
【0021】
第1篩を通過し乾燥工程を経た黒土に対し、1〜2重量%のカーボンを混入させる。カーボンを混入させることにより、本発明による粒状化黒土の太陽光吸収率を高め、また、肥料の保持効果を高めることができる。そのため、融雪剤として使用した場合、より高い融雪性を有し、同時に肥料保持効果や土壌改善効果を得ることができる。
【0022】
続いて、カーボンを混入させた黒土に対し1〜5重量%の水溶性高分子を添加する。この際に、適宜水を加えて適当な含水比に調整してもよい。水溶性高分子にはポリビニルアルコール(PVA)等を使用するのが好適である。水溶性高分子を添加した黒土を、公知の粒状化装置で適宜混合攪拌することにより、粒子状の黒土を得る。
【0023】
水溶性高分子を混入・撹拌された粒子状黒土を、天日乾燥もしくは回転炉等の公知の乾燥装置により乾燥させる。
【0024】
乾燥工程を経た粒状化黒土を、篩の目が15〜30mm、好適には25mmである第2篩にかける。このとき第2篩に残留した直径31mm以上の粒子状黒土は除外し、通過して得られた粒子状黒土を次段階で利用する。
【0025】
次に、第2篩を通過して得られた粒子状黒土を、篩の目が5〜15mm、好適には7mmである第3篩にかけ、この第3篩に残留した平均直径5〜30mmの粒状化黒土と、通過した粒子状黒土を得る。
【0026】
さらに、第3篩を通過して得られた粒状化黒土を、篩の目が3〜6mm、好適には5mmである第4篩にかけ、この第4篩に残留した平均直径3〜15mmの粒状化黒土と、通過した平均直径6mm以下の粒状化黒土を得る。
【0027】
前記各過程で得られた黒土はそれぞれ以下のように利用することが可能である。まず、第2篩に残留した平均直径31mm以上のサイズの黒土は、そのまま再度土として利用することができる。平均直径5〜30mmの粒状化黒土は園芸用土である丸土として商品化することができる。平均直径3〜15mmの粒状化黒土は小粒丸土として商品化することができる。平均直径6mm以下の粒状化黒土は冬期は融雪材として、春から初夏にかけては園芸用土である焼黒土として商品化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による粒状化黒土製造方法の概略的な流れを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状化黒土の製造方法において、
黒土を第1篩にかける工程と、
前記黒土を乾燥させる工程と、
前記乾燥させた黒土に対し1〜2重量%のカーボンを添加し、混合撹拌する工程と、
前記カーボンを添加した黒土に対し1〜5重量%の水溶性高分子を添加し、混合撹拌することにより黒土を粒状化させる工程と、
前記粒状化黒土を乾燥させる工程と、
前記乾燥工程を経た粒状化黒土を第2篩にかける工程と、
前記第2篩にかけた粒状化黒土を第3篩にかける工程と、
前記第3篩にかけた粒状化黒土を第4篩にかける工程とを含むことを特徴とする
粒状化黒土製造方法。
【請求項2】
前記第1篩の目が5〜10mmであることを特徴とする請求項1記載の粒状化黒土製造方法。
【請求項3】
前記第2篩の目が15〜30mmであることを特徴とする請求項1記載の粒状化黒土製造方法。
【請求項4】
前記第3篩の目が5〜15mmであることを特徴とする請求項1記載の粒状化黒土製造方法。
【請求項5】
前記第4篩の目が3〜6mmであることを特徴とする請求項1記載の粒状化黒土製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の粒状化黒土製造方法により、第3篩に残留して得られる平均直径5〜30mmの粒状化黒土。
【請求項7】
請求項5に記載の粒状化黒土製造方法により、第4篩に残留して得られる平均直径3〜15mmの粒状化黒土。
【請求項8】
請求項5に記載の粒状化黒土製造方法により、第4篩を通過して得られる平均直径6mm以下の粒状化黒土。

【図1】
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