説明

粘性液状食品

【課題】本発明は、小麦粉ルウに依存せずに、小麦粉ルウを使用する場合と同様の粘性を有し、かつ、凝集物の発生がない粘性液状食品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、柑橘類の果実及びリンゴからなる群から選択される少なくとも1種の果実に由来する食物繊維と、増粘剤と、水とを含み、25℃における粘度が300〜4000mPa・sである、粘性液状食品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレーソース、シチューソースなどの粘性液状食品に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
カレーソース、シチューソースなどの粘性液状食品の粘性は、小麦粉と油脂とを加熱して調製される小麦粉ルウにより付与されることが通常である。小麦粉ルウを調味料、香辛料、具材、水等の他の食材と組み合わせることよりカレーソース、シチューソースなどが製造される。
【0003】
しかしながら、小麦粉ルウにより粘性が付与された粘性液状食品は、保存条件下において、澱粉の老化に伴う離水が発生しやすいという問題、高粘度化してしまい加熱しないとサラサラとした流動性が得られないという問題、食品中に配合される香り成分の香り立ち(トップノート)が弱いという問題がある。
【0004】
小麦粉ルウにより粘性が付与された粘性液状食品と同等の物性を有する食品を、小麦粉ルウを使用せずに製造する技術として、出願人は、特許文献1において、水和膨順した状態のコンニャク原料を含む水相と、該水相中に懸濁状態で分散した水不溶性食物繊維粒子とを含む粘性を有する流動状食品を提供している。特許文献1では、水不溶性食物繊維粒子としてセルロース等が開示されている。
【0005】
特許文献1の食品は、製造条件によっては、コンニャク原料(グルコマンナン)とセルロースとの相互作用により不溶性の凝集物が発生しやすく、この凝集物が発生すると食品全体が白濁する課題があることが明らかとなった。特許文献1の食品は、小麦粉ルウにより粘性が付与された粘性液状食品と比較して低温喫食時のトップノートが改善されているものの十分なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−104307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小麦粉ルウに依存せずに、小麦粉ルウを使用する場合と同様の粘性を有し、かつ、凝集物の発生がない粘性液状食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは果実由来の食物繊維を利用して、小麦粉ルウに相当する粘性を達成することを検討した。その研究において本発明者らは、当該食物繊維だけでは小麦粉ルウに相当する粘性を得ることが難しいこと、当該食物繊維と、キサンタンガムやタマリンドシードガムのような増粘剤とを併用した場合に前記粘性を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)柑橘類の果実及びリンゴからなる群から選択される少なくとも1種の果実に由来する食物繊維と、増粘剤と、水とを含み、25℃における粘度が300〜4000mPa・sである、粘性液状食品。
(2)油脂の含量が8質量%以下である、(1)記載の粘性液状食品。
(3)前記食物繊維の含量が0.25〜1.3質量%である、(1)又は(2)記載の粘性液状食品。
(4)前記増粘剤がキサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、澱粉および加工澱粉からなる群から選択される少なくとも1種である、(1)〜(3)のいずれかに記載の粘性液状食品。
(5)前記粘性液状食品が、カレーソース、シチューソース、ハヤシソース、デミグラスソース、ホワイトソース又はパスタソースである、(1)〜(4)のいずれかに記載の粘性液状食品。
(6)前記粘性液状食品が、レトルト食品である、(5)記載の粘性液状食品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小麦粉ルウを実質的に使用しなくても、適度な粘性を有するカレーソースやシチューソースのような粘性液状食品が得られる。本発明の粘性液状食品では、食物繊維に由来する凝集物が発生しない。
【0011】
本発明の粘性液状食品は、特に温めずにそのまま喫食した場合や、冷やして喫食した場合でも、適度な粘性を有し、トップノートを強く感じることができる、フレッシュな香り立ちのよい食品である。
【0012】
また、本発明によれば、長期間(例えば3年以上)の保存が可能な粘性液状食品が得られる。
【0013】
さらに、本発明によれば、7大アレルゲン(卵、牛乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)等のアレルゲンを含まないアレルゲンフリーな粘性液状食品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の粘性液状食品の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.粘性液状食品
本発明の粘性液状食品は、25℃における粘度が300〜4000mPa・sである、粘性を有する液状食品である。本発明の粘性液状食品は、典型的には、小麦粉ルウ(小麦粉と油脂との混合物を焙煎したもの、或いは小麦粉を焙煎したもの)を水中において加熱することにより粘性が付与された粘性液状食品の代替物であって、小麦粉ルウの全部又は一部に代えて、後述する食物繊維と増粘剤との組合せにより粘性が付与された粘性液状食品である。
【0016】
本発明の粘性液状食品は、より具体的には、カレーソース、シチューソース、ハヤシソース、デミグラスソース、ホワイトソース、パスタソース等の形態で提供することができる。
【0017】
本発明の粘性液状食品の25℃における粘度は300〜4000mPa・sであり、より好ましくは500〜4000mPa・s、更に好ましくは500〜3000mPa・sである。「25℃における粘度」は、B型粘度計を用いて、測定試料温度:25℃、ローター:No.3又はNo.4、回転数:60rpm、測定時間:30秒の条件にて測定される粘度を指す。B型粘度計の例としては東機産業株式会社RB−80L型が挙げられる。前記粘度が300mPa・s未満である場合、肉、野菜などの素材や、米飯、麺などの食材との絡みが悪くなる。加えて、味が薄く感じられ、風味やコクが弱くなる。一方、前記粘度が4000mPa・sよりも高い粘性液状食品は、ボテボテとした物性を有し口当たりが悪い。加えて、トップノートが弱く風味がぼやけるため好ましくない。
【0018】
2.食物繊維
本発明に用いられる食物繊維は、柑橘類の果実及びリンゴからなる群から選択される少なくとも1種の果実に由来する。柑橘類の果実としてはレモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ等が挙げられる。食物繊維は、前記果実を搾汁して得られる残渣を用いることができる。より具体的には、例えば前記果実からペクチンを採取する際に生じる残渣を乾燥し、粉砕することにより得ることができる。こうして得られた食物繊維は、水溶性の食物繊維と水不溶性の食物繊維とを含み、増粘剤と組み合わされて所望の粘性を付与することができる。このような食物繊維は、食物繊維がもつ特有の香りがないため好ましい。また、本発明に用いられる食物繊維は、水溶性の食物繊維と水不溶性の食物繊維のうち、水不溶性の食物繊維を50〜90質量%含んでいるのが好ましい。このような食物繊維は市販されており、本発明に好適に用いられる食物繊維としては、例えば、レモン及び/又はライム、或いはリンゴ由来の食物繊維であるヘルバセルAQプラス(大日本住友製(株)製)が挙げられる。レモン及び/又はライム由来のヘルバセルAQプラスCFは食物繊維を85重量%以上含む。ヘルバセルAQプラスCFとして、ヘルバセルAQプラスCF-D及びヘルバセルAQプラスCF-D/100のどちらも使用することができる。
【0019】
柑橘類の果実及びリンゴからなる群から選択される少なくとも1種の果実に由来する食物繊維は、水に混合するなどして、コミトロールプロセッサ、高速撹拌器、ホモジナイザー等により均質化(ホモジナイズ)処理して摩砕し、増粘剤と組み合わせることにより、小麦粉ルウのような滑らかな粘性を粘性液状食品に付与することができる。
【0020】
3.増粘剤
本発明に用いられる増粘剤は食品として利用可能な増粘剤であれば特に限定されないが、好ましくは、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、澱粉および加工澱粉からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0021】
4.他の材料
本発明の粘性液状食品は、所定の食物繊維、増粘剤及び水以外に、必要に応じて他の成分を適宜配合することができる。他の成分としては野菜類、畜肉類、魚介肉類、香辛料、調味料、油脂類、食品添加物等が挙げられる。
【0022】
5.組成
本発明の粘性液状食品は前記食物繊維と増粘剤とを水中に、25℃における粘度が300〜4000mPa・sとなるように組み合わせて含有する。両者を組み合わせることにより、小麦粉ルウにより付与される粘性及び食感に近い、好ましい粘性及び食感が付与される。なお、前記食物繊維と増粘剤を組み合わせずに前記食物繊維だけで粘性を付与しようとした場合には、粘性液状食品を喫食したときの前半は小麦粉ルウにより付与される粘性に似たボディ感のある粘性は感じられるが、後半の食感がすっきりし過ぎてしまい小麦粉ルウにより付与される粘性及び食感と同等とは言えない。また、前記食物繊維を用いずに増粘剤で粘性を付与しようとした場合には、喫食したときの前半に小麦粉ルウを使用した場合のようなボディ感のある粘性が得られず、また、後半の粘性もねっとりした食感が強くなりすぎる。これらに対して、両者を組み合わせた場合には、前記食物繊維の粘性を主体としながら、更にその粘性を増粘剤で補うことにより、小麦粉ルウにより付与される粘性及び食感に近い、好ましい粘性及び食感が付与される。
【0023】
本発明の粘性液状食品は、該食品の湿質量全量に対して、前記食物繊維(乾燥物換算)を0.25〜1.3質量%含有することが好ましい。増粘剤は、25℃における粘度が所定の範囲となるように、食物繊維の量に応じて適宜配合量を決定すればよい。好ましくは、該食品の湿質量全量に対して、増粘剤(乾燥物換算)を0.02〜2質量%含有する。
【0024】
本発明の粘性液状食品は、前記食物繊維及び増粘剤のほかに、上述のような他の材料を必要に応じて含み、残部として水を含む。本発明の粘性液状食品中の油脂の含有量は、該食品の湿質量全量に対して、0〜8質量%であることが好ましい。8質量%を超える油脂含有量は、粘性液状食品が通常有する油脂含有量ではない。
【0025】
本発明の粘性液状食品は、湿質量100gあたりの熱量が40kcal以下である低カロリー食品として調製することも可能である。健康増進法において、湿質量100gあたりの熱量が40kcal以下の食品には熱量が低い旨を表示することができる旨定められている。
【0026】
一般に、小麦粉ルウは約600kcal/100gのカロリーを有し、カレーソース(小麦粉ルウ+香辛料+調味料+水)は約50kcal/100g以上のカロリーを有する。これに対して、本発明ではカレーソース、シチューソース等のソースを、湿質量100gあたり40kcal以下とすることが可能となる。以上の製品の形態によれば、糖尿病疾患の患者用などの病院食として、低カロリーで高品質の製品を提供することも可能となる。
【0027】
6.製造方法
本発明の粘性液状食品の製造方法は特に限定されない。
好ましい製造方法の一例を図1に示す。はじめに前記食物繊維と水との混合物を、コミトロールプロセッサ、高速撹拌器、ホモジナイザー等により均質化(ホモジナイズ)処理する(S1)。この処理により前記食物繊維による粘度が発現する。このとき、食物繊維と水との配合比は特に限定されないが、食物繊維1質量部に対して、水20〜100質量部とすることが好ましい。
【0028】
次に、S1で得られた均質化物と、増粘剤、水の残部、他の材料とを組合せ、粘性液状食品(P1)を調製する(S2)。予め均質化処理を行うことは必須ではなく、はじめに食物繊維、増粘剤、水、他の材料を混合し、調製工程(S2)の前、中、後の任意の時点で混合物に対して均質化処理を施してもよい。調製工程(S2)は、必要に応じて、組み合された材料を加熱処理(加熱調理)する工程を含むことができる。加熱処理の条件は特に限定されず、目的とする食品に応じて適宜決定することができる。典型的な加熱処理の条件は、85〜95℃の温度に5〜20分間保持する条件であるがこれには限定されない。
【0029】
粘性液状食品(P1)はそれ自体が本発明により提供される最終製品であるが、更に、レトルト殺菌処理されたレトルト食品(P2)として提供されてもよい。この場合、加熱調理された粘性液状食品(P1)を、レトルト殺菌処理に対して耐性を有する容器(レトルトパウチ等)に密封充填し(S3)、レトルト殺菌処理を行う(S4)。消費者は当該レトルト食品(P2)を加熱して喫食してもよいし、あるいは加熱することなくそのまま喫食することもできる。また、当該レトルト食品(P2)は冷やして喫食することもできる。さらに、当該レトルト食品(P2)は長期間の保存が可能であり、長期間保存した後も風味及び外観に優れた粘性液状食品を提供することができる。
【0030】
また、粘性液状食品(P1)は、レトルト食品(P2)として提供される以外にも、チルド殺菌処理されたチルド食品、冷凍処理された冷凍食品、無菌環境下で容器に密封充填された無菌充填食品等として提供されてもよい。
【0031】
7.アレルゲンフリー食品
本発明の粘性液状食品は、7大アレルゲン(卵、牛乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)等のアレルゲンを含まないアレルゲンフリー食品として調製することができ、また、アレルゲンフリーのレトルト食品(缶詰を含む)、チルド食品、冷凍食品、無菌充填食品等として調製することができる。特に、レトルト食品や無菌充填食品は上記の通り、加熱して喫食してもよいし、あるいは加熱することなくそのまま喫食することができ、また、長期間の保存も可能であることから、食べ物によるアレルギーの有無に関わらず、誰でも食べやすい非常食、災害食等として備蓄するための食品として利用することができる。
【実施例】
【0032】
(配合)
表1に示す原料配合比及び下記の手順に従い、各実施例、比較例、参考例のカレーソース(粘性液状食品)を調製した。なお、各実施例、比較例、参考例の中で「部」とは質量部を示す。
【0033】
また、実施例1〜5のカレーソースはいずれも、7大アレルゲン(卵、牛乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)を含まない7大アレルゲンフリーのものとして調製した。
【0034】
(材料の説明)
ヘルバセル:ヘルバセルAQプラスCF(大日本住友製薬(株)製)、レモン・ライム由来の食物繊維
ファリネックスLCF:松谷化学工業(株)製、加工澱粉
セオラス:セオラスFD−101(旭化成ケミカルズ(株)製)、木材パルプ由来の微細水不溶性食物繊維粒子
レオレックスRS:レオレックスRS(清水化学(株)製)、微粒子コンニャクイモ抽出物
【0035】
(作成方法)
(1)ヘルバセルの調製(実施例1〜4、比較例1,3のみ)
ヘルバセルAQプラスCF 0.8部と水30部を、ダマが無くなるまで混合した。混合物を、コミトロールプロセッサ(アーシェル社のコミトロール1700型を使用)にて磨砕した。磨砕条件:マイクロヘッドブレード212枚、9000rpm。
【0036】
(2)セオラス、レオレックスの調製(比較例1のみ)
(a)レオレックスRS 0.5部と水50部をTKホモミキサーで混合した水和物
(b)セオラスFD−101 1.8部と水18部をTKホモミキサーで1分間混合し均質化したもの
(a)と(b)を混合槽((株)カジワラ製レオニーダー)で混合した。
【0037】
(3)小麦粉ルー調製方法(参考例のみ)
小麦粉5部に対し、パーム油4部を予め混合した。混合物を、焦げないように適宜撹拌しながら、120℃まで加熱し、参考例に用いる小麦粉ルーを調製した。
【0038】
(4)粘性液状食品の調製方法(全試料共通)
全ての仕掛、原料、水(仕掛品に水が含まれる場合は水の残量)を混合し、焦げないように適宜撹拌しながら、90℃まで加熱した。
【0039】
加熱後の各組成物200gをレトルトパウチ(126×170mm)に充填した後、熱溶融シールを行い、密封した。
レトルト殺菌機にて、120℃,4分相当以上の熱がかかるよう、加熱殺菌を行った。
レトルト殺菌後、各サンプルを室温で保存した。
【0040】
(5)粘度測定
サンプルを25℃に調整した後、B型粘度計(東機産業 RB−80L型)にて粘度を測定した。
測定条件:ローターNo.3、回転数60rpm、測定時間30秒
【0041】
(評価)
各実施例、比較例、参考例の評価結果を表2に示す。なお、表2中、「ルウ様粘性」「トップノート」は沸騰水で5分間温めてから喫食した評価結果である。また、「澱粉の老化による離水・ダマ」は5℃で1ヶ月間保存した後の外観の評価結果である。
【0042】
さらに、レトルト殺菌した実施例、比較例、参考例の各サンプルを5℃で12ヶ月間保存した後、前記と同様の評価項目「トップノート」「ルウ様粘性」「繊維の凝集」「澱粉の老化による離水・ダマ」について、同様の評価基準で評価した。これらの評価結果についても、表2に示す各実施例、比較例、参考例の評価結果と同様であった。
【0043】
相対的な評価項目の評価基準は次の通り。
トップノート(最初の段階で香ってくる、第一印象のフレッシュな香り):
○:口に含んだ直後に、香辛料等の素材の香りが強く感じられる。
△:口に含んだ直後に、香辛料等の素材の香りがやや強く感じられる。
×:口に含んだ直後の、香辛料等の素材の香りが弱い、又は感じられない。
ルウ様粘性:
○:小麦粉ルウを使用する場合と同様の食感の好ましい粘性である。
△:小麦粉ルウを使用する場合と同様の食感であるが、ややボディ感が弱く、あっさりしている。
×:小麦粉ルウを使用する場合と粘性が異なり、食感が好ましくない。
繊維の凝集:
○:凝集の無い滑らかなソースである。
×:白色の微細な凝集物が見られ、白濁している。
澱粉の老化による離水・ダマ:
○:離水やダマのない滑らかなソースである。
×:離水またはダマが見られ、ソースの滑らかさを失っている。
【0044】
また、実施例1〜5のカレーソースは、温めずにそのまま喫食した場合、冷やして喫食した場合も、適度な粘性を有し、トップノートを強く感じることができた。さらに、レトルト殺菌し5℃で12ヶ月間保存した後の実施例1〜5のカレーソースも、温めずにそのまま喫食した場合、冷やして喫食した場合のいずれにおいても、適度な粘性を有し、トップノートを強く感じることができた。
【0045】
実施例6
レトルト殺菌処理せずに粘性液状食品の調製後に冷凍処理すること以外は、実施例1と同様にして、冷凍カレーソースを製造した。
【0046】
この冷凍カレーソースを10℃で12時間保持して解凍したところ、澱粉の老化による離水やダマは見られず、滑らかな物性であった。また、この冷凍カレーソースを温水(95℃)で20分間温めて解凍して喫食したところ、このカレーソースも適度な粘性を有し、トップノートを強く感じることができ、しかも凝集物の発生も認められなかった。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘類の果実及びリンゴからなる群から選択される少なくとも1種の果実に由来する食物繊維と、増粘剤と、水とを含み、25℃における粘度が300〜4000mPa・sである、粘性液状食品。
【請求項2】
油脂の含量が8質量%以下である、請求項1記載の粘性液状食品。
【請求項3】
前記食物繊維の含量が0.25〜1.3質量%である、請求項1又は2記載の粘性液状食品。
【請求項4】
前記増粘剤がキサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、澱粉および加工澱粉からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項記載の粘性液状食品。
【請求項5】
前記粘性液状食品が、カレーソース、シチューソース、ハヤシソース、デミグラスソース、ホワイトソース又はパスタソースである、請求項1〜4のいずれか1項記載の粘性液状食品。
【請求項6】
前記粘性液状食品が、レトルト食品である、請求項5記載の粘性液状食品。

【図1】
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