説明

精穀装置

【課題】精穀室に残留する穀粒を簡単な構成で除去する。
【解決手段】竪型研削摩擦精穀装置10では、強制供給筒34内の米粒が研削精穀室52の下端に供給される。これにより、研削精穀室52において、米粒が、回転される研削精穀ロール44の砥粒によって研削精穀されると共に、研削精穀ロール44の回転力によって螺旋突条42Bに沿って上昇されて、研削精穀室52の上端から送出される。ここで、米粒が研削精穀室52の下端に供給されなくなった際に、一旦研削精穀ロール44の回転が停止されることで、米粒が研削精穀室52の底面に溜まる。その後、再度研削精穀ロール44が回転されることで、研削精穀室52の米粒が塊状になり螺旋突条42Bに沿って上昇されて、研削精穀室52の上端から送出される。これにより、研削精穀室52に残留する米粒を簡単な構成で除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精穀筒と精穀ロールとの間の精穀室に供給された穀粒を精穀する精穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精穀装置としては、除糠筒の内部に研削式精米ロールが設けられて、除糠筒と研削式精米ロールとの間に研削精米室が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この精穀装置では、除糠筒の内面に多条螺旋が設けられており、研削式精米ロールが回転されることで、研削精米室の穀粒が上昇されつつ研削精米される。
【0004】
ところで、研削精米室に穀粒が供給されなくなると、研削精米室に穀粒が残留する。このため、研削精米室の下部に圧縮空気を吹き付けることで、研削精米室に残留する穀粒を研削精米室から上側へ排出して除去している。
【0005】
しかしながら、この精穀装置では、研削精米室に残留する穀粒を研削精米室から除去するために、研削精米室の下部に圧縮空気を吹き付ける必要がある。このため、構成が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−305292公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、精穀室に残留する穀粒を簡単な構成で精穀室から除去できる精穀装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の精穀装置は、筒状にされた精穀筒と、前記精穀筒の内部に配置されて前記精穀筒との間に精穀室を形成し、回転されることで前記精穀室に供給された穀粒が精穀される精穀ロールと、前記精穀筒の内面に設けられると共に、前記精穀ロールの回転方向へ向かうに従い上方へ傾斜され、前記精穀ロールが回転されることで前記精穀室に供給された穀粒が上昇される傾斜部と、前記精穀室に穀粒が供給されない際に一旦前記精穀ロールの回転を停止させて再度前記精穀ロールを回転させる停止回転手段と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の精穀装置は、請求項1に記載の精穀装置において、穀粒の精穀が終了する際に前記停止回転手段が一旦前記精穀ロールの回転を停止させて再度前記精穀ロールを回転させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の精穀装置では、筒状にされた精穀筒の内部に精穀ロールが配置されており、精穀筒と精穀ロールとの間に精穀室が形成されている。さらに、精穀筒の内面に設けられた傾斜部が、精穀ロールの回転方向へ向かうに従い上方へ傾斜されており、精穀ロールが回転されることで、精穀室に供給された穀粒が上昇されつつ精穀される。
【0011】
ここで、精穀室に穀粒が供給されない際に、停止回転手段が、一旦精穀ロールの回転を停止させて、再度精穀ロールを回転させる。
【0012】
このため、精穀室に穀粒が供給されない際に、精穀室に穀粒が残留する場合でも、一旦精穀ロールの回転が停止されることで、当該穀粒が、下降して精穀室の下部に溜まる。その後、再度精穀ロールが回転されることで、精穀ロールの回転風によって、穀粒が、塊状になり、精穀筒の内面に押し付けられつつ、傾斜部によって上昇されて、精穀筒から上側へ排出される。これにより、精穀室に残留する穀粒を簡単な構成で除去できる。
【0013】
請求項2に記載の精穀装置では、穀粒の精穀が終了する際に、停止回転手段が、一旦精穀ロールの回転を停止させて、再度精穀ロールを回転させる。このため、穀粒の精穀が終了する際に、精穀室に穀粒が残留する場合でも、当該穀粒を精穀室から除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置を示す正面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置の主要部を示す正面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置の研削精穀筒を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置10が正面断面図にて示されている。
【0016】
図1に示す如く、本実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置10は、直方体形箱状のケース12を備えており、ケース12内には、上から順に、上仕切枠14、下仕切枠16及び横仕切台18が架設されている。
【0017】
ケース12内には、中空円軸状の縦回転主軸20が立設されている。縦回転主軸20は、縦固定筒22に回転自在に軸支されており、縦固定筒22は、横仕切台18に固定されている。縦回転主軸20の下端は、横仕切台18より下側に突出しており、縦回転主軸20の下端には、下受動プーリ24が固定されている。下受動プーリ24は、ベルト(図示省略)を介して、主モータ(図示省略)に連結されている。
【0018】
縦回転主軸20下部の周壁には、吹込穴20Aが複数形成されており、縦回転主軸20下部の周面と縦固定筒22の内周面との間には、吹込室26が形成されている。縦固定筒22には、吹込室26に対応して、吹込筒28が取り付けられており、吹込筒28は、送風ブロワ(図示省略)に連結されている。縦回転主軸20の軸方向略中央部の周壁には、噴風口20Bが複数形成されており、送風ブロワによって送風されて、吹込筒28内及び吹込室26を介して吹込穴20Aから縦回転主軸20内(中空部分)に吹き込まれた空気が、噴風口20Bから噴出される。
【0019】
図2に詳細に示す如く、縦回転主軸20の上部は、ケース12より上側に突出しており、ケース12の上側には、縦回転主軸20の周囲において、精穀装置としての竪型上昇式の筒状の研削精穀部30が設けられている。
【0020】
研削精穀部30には、供給部としての強制供給部32が接続されている。強制供給部32には、有底円筒状の強制供給筒34が設けられており、強制供給筒34内には、供給スクリュー36が設けられている。供給スクリュー36には、下端近傍より上側において、螺旋板状の螺旋翼36Aが設けられると共に、下端近傍において、羽根車状の押込羽根36Bが設けられている。供給スクリュー36の下端は、強制供給筒34の底壁より下側に突出しており、供給スクリュー36の下端には、受動プーリ38が固定されている。受動プーリ38は、ベルト(図示省略)を介して、供給モータ(図示省略)に連結されており、穀粒としての米粒(原料である玄米)が強制供給筒34内に上側から供給されると共に、供給スクリュー36が回転された際には、米粒が供給スクリュー36の回転によって強制供給筒34内を搬送されて研削精穀部30に供給される。
【0021】
強制供給筒34には、検出手段としての米粒センサ40が固定されており、米粒センサ40は、強制供給筒34内の米粒を検出(感知)する。
【0022】
研削精穀部30には、図3に詳細に示す精穀筒としての円筒状の研削精穀筒42(除糠筒)が設けられており、研削精穀筒42の上端は閉じられると共に、研削精穀筒42の下端はケース12の上壁に固定されている。研削精穀筒42の周壁には、除糠孔としての多数の研削除糠孔42Aが形成されており、研削精穀筒42の内周面には、多条の螺旋突条42B(傾斜部)が設けられている。多条の螺旋突条42Bは、それぞれ研削精穀筒42の内周面から突出されると共に、研削精穀筒42の周方向に等間隔に配置されており、螺旋突条42Bは、研削精穀筒42の上縁から下縁に亘って、下記研削精穀ロール44の回転方向へ向かうに従い上方へ向かう方向へ螺旋状に傾斜されている。
【0023】
研削精穀筒42内には、精穀ロールとしての円筒状の研削精穀ロール44が設けられており、研削精穀ロール44の外周面には、研削部としての硬質粒状の砥粒(砥石)が多数設けられている。研削精穀ロール44の内周部は、円筒状の回転筒46の上部外周に固定されており、回転筒46は、内周面において、下記送穀筒62にベアリング48を介して回転可能に支持されている。回転筒46の上面は、径方向内側へ向かうに従い下側へ向かう方向へ傾斜されており、回転筒46の下部は、ケース12内に挿入されている。回転筒46の下端外周には、上受動プーリ50が固定されており、上受動プーリ50は、ベルト(図示省略)を介して、副モータ(図示省略)に連結されている。また、研削精穀筒42と研削精穀ロール44との間には、精穀室としての研削精穀室52が形成されている。
【0024】
研削精穀筒42の外周は、外郭筒54によって被覆されており、外郭筒54は、研削精穀筒42の研削除糠孔42A形成部分の外周全体を閉塞している。研削精穀筒42と外郭筒54との間には、除糠室としての研削除糠室56が形成されており、研削除糠室56は、連通管58内を介して、下記糠排出管80内に連通されている。
【0025】
研削精穀筒42の下端には、強制供給部32の強制供給筒34が連結されており、強制供給部32から研削精穀部30に供給される米粒は、研削精穀室52の下端に供給される。研削精穀室52の下端に米粒が供給されると共に、回転筒46と一体に研削精穀ロール44が回転された際には、研削精穀室52において、研削精穀ロール44の砥粒によって米粒が研削されて研削精穀されると共に、研削精穀ロール44の回転力によって米粒が螺旋突条42Bに沿って上昇される。これにより、研削精穀が終了した米粒が、研削精穀室52の上端から送出される。また、研削精穀室52内の空気が、研削精穀筒42の研削除糠孔42A、研削除糠室56、連通管58内及び糠排出管80内を介して下記吸引ブロアによって吸引されることで、研削精穀室52において米粒が研削精穀されて米粒から除去された糠粉が、研削精穀筒42の研削除糠孔42A、研削除糠室56、連通管58内及び糠排出管80内を介して、排出される。
【0026】
研削精穀部30の内側には、送穀部60が設けられている。
【0027】
送穀部60には、円筒状の送穀筒62が設けられており、送穀筒62は、上仕切枠14上に固定されると共に、ケース12から上側に突出されている。送穀筒62内には、送穀ロール64が設けられており、送穀ロール64は、縦回転主軸20に固定されて、縦回転主軸20と一体に回転可能にされている。また、送穀ロール64の外周面には、螺旋突条である送穀螺旋64Aが1条設けられている。
【0028】
送穀筒62と送穀ロール64との間には、送穀室66が形成されており、送穀室66には、研削精穀室52の上端から送出された米粒が上側から流入される。送穀室66に上側から米粒が流入されると共に、送穀ロール64が回転された際には、米粒が、送穀室66において送穀螺旋64Aによって下側へ搬送されて、送穀室66から下側へ送り出される。
【0029】
図1に示す如く、送穀部60の下側には、摩擦精穀部68が設けられている。
【0030】
摩擦精穀部68には、例えば略6角形(変形12角形)筒状の摩擦精穀筒70(除糠筒)が設けられており、摩擦精穀筒70は、上仕切枠14と下仕切枠16との間に配置されている。また、摩擦精穀筒70の周壁には、多数の摩擦除糠孔70Aが形成されている。
【0031】
摩擦精穀筒70内には、摩擦精穀ロール72が設けられており、摩擦精穀ロール72は、送穀ロール64の下方において縦回転主軸20に固定されて、縦回転主軸20と一体に回転可能にされている。摩擦精穀ロール72の外周面には、長尺矩形柱状の平行突条72Aが複数条(本実施の形態では3条)設けられており、複数条の平行突条72Aは、それぞれ摩擦精穀ロール72の軸方向に平行に延伸されると共に、摩擦精穀ロール72の周方向に等間隔で配置されている。
【0032】
摩擦精穀筒70と摩擦精穀ロール72との間には、摩擦精穀室74が形成されており、摩擦精穀室74には、送穀室66から下側へ送り出された米粒が、上側から供給される。また、摩擦精穀室74の米粒には、回転される送穀ロール64の送穀螺旋64Aによる下側への搬送力が作用する。
【0033】
摩擦精穀ロール72の周壁には、平行突条72Aの摩擦精穀ロール72回転方向とは反対側において、円状の噴風孔72Bが複数形成されており、縦回転主軸20の噴風口20Bから噴出された空気が摩擦精穀ロール72内を介して噴風孔72Bから摩擦精穀室74へ噴出される。
【0034】
摩擦精穀筒70の全周には、筒状の吸引筒76が設けられている。吸引筒76は、上仕切枠14及び下仕切枠16と共に摩擦精穀筒70の外周全体を閉塞しており、摩擦精穀筒70と吸引筒76との間には、摩擦除糠室78が形成されている。吸引筒76には、糠排出管80が接続されており、摩擦除糠室78は、糠排出管80内を介して、吸引ブロワ(図示省略)に連結されている。
【0035】
摩擦精穀室74に上側から米粒が供給されると共に、摩擦精穀ロール72が回転された際には、摩擦精穀室74において、摩擦精穀ロール72の平行突条72Aによって米粒が攪拌されて摩擦精穀される。また、摩擦精穀ロール72の噴風孔72Bから摩擦精穀室74へ噴出された空気が、摩擦精穀筒70の摩擦除糠孔70A、摩擦除糠室78及び糠排出管80内を介して、吸引ブロワによって吸引されることで、摩擦精穀室74において米粒が摩擦精穀されて米粒から除去された糠粉が、摩擦精穀筒70の摩擦除糠孔70A、摩擦除糠室78及び糠排出管80内を介して、排出される。
【0036】
摩擦精穀ロール72の下側には、開閉弁82が設けられており、開閉弁82には、縦回転主軸20が回転自在に挿通されている。開閉弁82は、縦回転主軸20に沿って上下方向へ移動可能にされており、開閉弁82は、摩擦精穀室74の下端を開閉可能にされている。
【0037】
開閉弁82は、支持アーム84の一端に相対回動可能かつ相対スライド可能に支持されており、支持アーム84の長手方向中間部は、下記支持台92に回転可能に支持されている。支持アーム84の他端には、引張コイルバネ86を介して調節モータ88に連結されており、引張コイルバネ86の付勢力が支持アーム84を介して開閉弁82に付与されることで、開閉弁82が摩擦精穀室74の下端を閉鎖している。また、調節モータ88が駆動されることで、引張コイルバネ86が支持アーム84を介して開閉弁82に付与する付勢力が調整される。
【0038】
これにより、摩擦精穀室74の米粒に、摩擦精穀のための抵抗(摩擦精穀圧力)が開閉弁82によって付与される。さらに、摩擦精穀室74の米粒が開閉弁82を下側へ押圧して、開閉弁82が下側へ移動されることで、摩擦精穀室74の米粒の開閉弁82への押圧力に応じた開度で摩擦精穀室74の下端が開放される。このため、摩擦精穀が終了した米粒(白米)が、摩擦精穀室74の下端から落下する。
【0039】
縦回転主軸20には、開閉弁82の下側において、漏斗状の排出盤90が固定されており、排出盤90は、縦回転主軸20と一体に回転可能にされている。排出盤90は、有底円筒状の支持台92内に配置されており、支持台92内には、縦回転主軸20が回転自在に挿通されている。支持台92の上端は、下仕切枠16の下側に固定されており、支持台92の下端は、上記縦固定筒22と一体に形成されている。支持台92は、摩擦精穀室74下端の下側に配置されており、摩擦精穀室74の下端から落下する米粒は、支持台92内の排出盤90上に落下する。支持台92の側壁には、排出樋94が接続されており、排出盤90上に落下した米粒は、回転される排出盤90によって、排出樋94からケース12外に排出される。
【0040】
上記主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアは、停止回転手段としての制御装置96に電気的に接続されており、制御装置96の制御により、主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアを駆動及び停止可能にされている。制御装置96には、操作部98が接続されており、操作部98において、竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の運転操作及び停止操作、竪型研削摩擦精穀装置10のメンテナンス等のモード選択操作等が可能にされている。
【0041】
竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の運転操作がなされた際には、制御装置96の制御により、主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアが駆動される。竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の停止操作がなされた際、及び、竪型研削摩擦精穀装置10のメンテナンスモード選択操作がなされた際には、制御装置96の制御により、タイマー計測に基づき所定時間(例えば1分)後に、主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアが停止される。
【0042】
制御装置96には、米粒センサ40が電気的に接続されており、米粒センサ40が強制供給筒34内の米粒を検出しなくなった際(研削精穀部30に米粒が供給されなくなった際)には、制御装置96の制御により、タイマー計測に基づき所定時間(例えば1分)後に、主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアが停止される。
【0043】
竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の停止操作がなされた際、竪型研削摩擦精穀装置10のメンテナンスモード選択操作がなされた際、及び、米粒センサ40が強制供給筒34内の米粒を検出しなくなった際、すなわち、所定時間後に副モータが停止される際には、制御装置96の制御により、タイマー計測に基づき特定時間(所定時間より僅かに長い時間)後に、副モータが規定時間駆動される。これにより、副モータが停止された直後に、副モータが規定時間駆動される。
【0044】
制御装置96には、調節モータ88が電気的に接続されており、操作部98において調節操作がなされた際には、制御装置96の制御により、調節モータ88が駆動されることで、引張コイルバネ86が支持アーム84を介して開閉弁82に付与する付勢力(摩擦精穀圧力)が調整される。
【0045】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0046】
竪型研削摩擦精穀装置10では、操作部98において精穀処理の運転操作がなされた際に、制御装置96の制御により、主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアが駆動される。このため、主モータがベルト及び下受動プーリ24を介して縦回転主軸20を回転させて、送穀ロール64、摩擦精穀ロール72及び排出盤90が回転される。さらに、供給モータがベルト及び受動プーリ38を介して供給スクリュー36を回転させると共に、副モータがベルト、上受動プーリ50及び回転筒46を介して研削精穀ロール44を回転させる。これにより、竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の運転が開始される。
【0047】
強制供給筒34内に米粒が供給されると、米粒が供給スクリュー36の回転によって強制供給筒34内を搬送されて研削精穀室52の下端に供給される。これにより、研削精穀室52において、回転される研削精穀ロール44の砥粒によって米粒が研削されて研削精穀されると共に、研削精穀ロール44の回転力によって米粒が螺旋突条42Bに沿って上昇されることで、研削精穀が終了した米粒が、研削精穀室52の上端から送出される。
【0048】
また、研削精穀室52内の空気が、研削精穀筒42の研削除糠孔42A、研削除糠室56、連通管58内及び糠排出管80内を介して吸引ブロワによって吸引される。これにより、研削精穀室52において米粒が研削精穀されて米粒から除去された糠粉が、研削精穀筒42の研削除糠孔42A、研削除糠室56、連通管58内及び糠排出管80内を介して、排出される。
【0049】
研削精穀室52の上端から送出された米粒は、送穀室66に上側から流入される。これにより、米粒が、送穀室66において回転される送穀ロール64の送穀螺旋64Aによって下側へ搬送されて、送穀室66から下側へ送り出される。
【0050】
送穀室66から下側へ送り出された米粒は、摩擦精穀室74に上側から供給される。これにより、摩擦精穀室74において、回転される摩擦精穀ロール72の平行突条72Aによって米粒が攪拌されて摩擦精穀される。
【0051】
また、送風ブロワによって送風されて吹込筒28内、吹込室26、縦回転主軸20の吹込穴20A、縦回転主軸20内、縦回転主軸20の噴風口20B及び摩擦精穀ロール72内を介して摩擦精穀ロール72の噴風孔72Bから摩擦精穀室74へ噴出された空気が、摩擦精穀筒70の摩擦除糠孔70A、摩擦除糠室78及び糠排出管80内を介して吸引ブロワによって吸引される。これにより、摩擦精穀室74において米粒が摩擦精穀されて米粒から除去された糠粉が、摩擦精穀筒70の摩擦除糠孔70A、摩擦除糠室78及び糠排出管80内を介して、排出される。
【0052】
なお、操作部98において調節操作がなされることで、制御装置96の制御により、調節モータ88が駆動される。これにより、引張コイルバネ86が支持アーム84を介して開閉弁82に付与する付勢力が調整されて、摩擦精穀室74において米粒が摩擦精穀される際の圧力が調整される。
【0053】
摩擦精穀室74の米粒は、開閉弁82を下側へ押圧して下側へ移動させることで、摩擦精穀室74の米粒の開閉弁82への押圧力に応じた開度で摩擦精穀室74の下端が開放される。これにより、摩擦精穀が終了した米粒が、摩擦精穀室74の下端から支持台92内の排出盤90上に落下して、回転される排出盤90によって排出樋94からケース12外に排出される。
【0054】
竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の停止操作がなされた際(竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理を終了する際)、竪型研削摩擦精穀装置10のメンテナンスモード選択操作がなされた際、及び、米粒センサ40が強制供給筒34内の米粒を検出しなくなった際には、制御装置96の制御により、タイマー計測に基づき所定時間後に、主モータ、供給モータ、副モータ、送風ブロア及び吸引ブロアが停止される。これにより、縦回転主軸20、送穀ロール64、摩擦精穀ロール72、排出盤90、供給スクリュー36、回転筒46及び研削精穀ロール44の回転が停止されて、竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の運転が停止される。
【0055】
また、竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の停止操作がなされた際、竪型研削摩擦精穀装置10のメンテナンスモード選択操作がなされた際、及び、米粒センサ40が強制供給筒34内の米粒を検出しなくなった際、すなわち、所定時間後に副モータが停止される際には、制御装置96の制御により、タイマー計測に基づき特定時間(所定時間より僅かに長い時間)後に、副モータが規定時間駆動される。これにより、一旦副モータが停止されて研削精穀ロール44の回転が停止された直後に、再度規定時間副モータが駆動されて研削精穀ロール44が回転される。
【0056】
ところで、米粒が強制供給筒34内から研削精穀室52の下端に供給されなくなった際には、研削精穀室52の米粒に、研削精穀室52の下端に供給される米粒による押圧力が作用しなくなる。このため、特に研削精穀室52の米粒が少なくなると、研削精穀ロール44の回転が継続されても、研削精穀室52の米粒は、研削精穀ロール44の回転風によって、研削精穀ロール44の周りを宙に浮いた状態で回転し続けて上昇されず、長時間経過しても研削精穀室52の上端から送出されない。これにより、研削精穀室52に米粒が残留する。
【0057】
ここで、竪型研削摩擦精穀装置10の精穀処理の停止操作がなされた際、竪型研削摩擦精穀装置10のメンテナンスモード選択操作がなされた際、及び、米粒センサ40が強制供給筒34内の米粒を検出しなくなった際から所定時間後には、少なくとも供給モータが停止されて米粒が強制供給筒34内から研削精穀室52の下端に供給されなくなり、上述の如く、一旦研削精穀ロール44の回転が停止された直後に、再度規定時間研削精穀ロール44が回転される。
【0058】
このように、米粒が強制供給筒34内から研削精穀室52の下端に供給されなくなった際に、一旦研削精穀ロール44の回転が停止されることで、研削精穀ロール44の回転風がなくなり、米粒が研削精穀室52の底面に落下して溜まる。このため、その直後、再度規定時間研削精穀ロール44が回転されることで、研削精穀室52の米粒が少なくても、研削精穀ロール44の回転風(研削精穀ロール44の遠心方向へ働く旋回風)によって、研削精穀室52の米粒が、塊状になり研削精穀筒42の内周面に押し付けられつつ螺旋突条42Bに沿って一気に上昇されて、研削精穀室52の上端から送出される。これにより、従来の圧縮空気を使用しなくても研削精穀室52に残留する米粒を除去でき、研削精穀室52に残留する米粒を簡単な構成で効率良く除去できる。
【0059】
また、上述の如く一旦研削精穀ロール44の回転が停止された直後に再度規定時間研削精穀ロール44が回転される際に、研削精穀室52の下端に少量の圧縮空気(流体)を吹き付けることで、研削精穀室52に残留する米粒を確実に除去できる。このため、省エネルギー化を図ることができる。
【0060】
[第2の実施の形態]
図4には、本発明の第2の実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置100が正面断面図にて示されている。
【0061】
本実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置100は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0062】
図4に示す如く、本実施の形態に係る竪型研削摩擦精穀装置100では、ケース12の上仕切枠14より上側の部分が設けられていない。
【0063】
ケース12内の縦回転主軸20は、横仕切台18に回転自在に軸支されており、横仕切台18には、上記第1の実施の形態における縦固定筒22が固定されていない。
【0064】
縦回転主軸20には、上記第1の実施の形態における吹込穴20Aが形成されておらず、縦回転主軸20の周囲には、上記第1の実施の形態における吹込室26が形成されていない。縦回転主軸20の下端は、吹込筒28に回転自在に連結されており、送風ブロワによって送風されて、吹込筒28内を介して縦回転主軸20内(中空部分)に下端から吹き込まれた空気が、縦回転主軸20の噴風口20Bから噴出される。
【0065】
ケース12の上側かつ側方には、研削精穀部30及び強制供給部32が設けられている。研削精穀部30には、上記第1の実施の形態における回転筒46及びベアリング48が設けられていない。
【0066】
研削精穀ロール44は、円柱状にされており、研削精穀ロール44の中心軸には、回転軸102が一体に固定されている。回転軸102は、研削精穀ロール44から下側へ突出しており、回転軸102の下端には、上受動プーリ50が固定されている。
【0067】
研削除糠室56は、連通管58を介して、摩擦除糠室78に連通されており、研削精穀室52内の空気が、研削精穀筒42の研削除糠孔42A、研削除糠室56、連通管58内、摩擦除糠室78及び糠排出管80内を介して吸引ブロアによって吸引されることで、研削精穀室52において米粒が研削精穀されて米粒から除去された糠粉が、研削精穀筒42の研削除糠孔42A、研削除糠室56、連通管58内、摩擦除糠室78及び糠排出管80内を介して、排出される。
【0068】
研削精穀部30は、送穀部60の側方に設けられており、研削精穀室52の上端は、接続管104内を介して、送穀室66の上端に連通されている。これにより、研削精穀室52の上端から送出された米粒が、研削精穀室52の外側へ接続管104内を介して排出されて、送穀室66に上側から流入される。
【0069】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0070】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、竪型研削摩擦精穀装置10、100の精穀処理の停止操作がなされた際、竪型研削摩擦精穀装置10、100のメンテナンスモード選択操作がなされた際、及び、米粒センサ40が強制供給筒34内の米粒を検出しなくなった際には、制御装置96の制御により、タイマー計測に基づき、所定時間後に副モータが停止されて研削精穀ロール44の回転が停止された直後に、規定時間副モータが駆動されて研削精穀ロール44が回転される構成とした。しかしながら、副モータの駆動や研削精穀ロール44の回転を感知する感知手段(例えば、研削精穀ロール44の回転量を感知する回転計、副モータへの供給電流を感知する電流計、研削精穀ロール44の回転を映像により感知するカメラ等)を制御装置96に電気的に接続した構成としてもよい。この場合、副モータが停止されて研削精穀ロール44の回転が停止されたことを感知手段が感知した後(直後)に、制御装置96の制御により、規定時間副モータが駆動されて研削精穀ロール44が回転される。
【0071】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、供給モータと副モータとを設けた構成としたが、供給モータと副モータとを共通のモータとした構成としてもよい。
【0072】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、竪型研削摩擦精穀装置10、100において研削精穀部30と摩擦精穀部68とを一体にした構成としたが、研削精穀部30単独の装置や摩擦精穀部68単独の装置とした構成としてもよい。
【0073】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、米粒が上昇されつつ精穀される研削精穀部30に本発明を適用した構成としたが、米粒が上昇されつつ精穀される摩擦精穀部に本発明を適用した構成や米粒が上昇されて搬送される搬送部に本発明を適用した構成としてもよい。
【0074】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、米粒を搬送しつつ精米する構成としたが、米粒以外の穀粒(麦粒等)を搬送しつつ精穀する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
30 研削精穀部(精穀装置)
42 研削精穀筒(精穀筒)
42B 螺旋突条(傾斜部)
44 研削精穀ロール(精穀ロール)
52 研削精穀室(精穀室)
96 制御装置(停止回転手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状にされた精穀筒と、
前記精穀筒の内部に配置されて前記精穀筒との間に精穀室を形成し、回転されることで前記精穀室に供給された穀粒が精穀される精穀ロールと、
前記精穀筒の内面に設けられると共に、前記精穀ロールの回転方向へ向かうに従い上方へ傾斜され、前記精穀ロールが回転されることで前記精穀室に供給された穀粒が上昇される傾斜部と、
前記精穀室に穀粒が供給されない際に一旦前記精穀ロールの回転を停止させて再度前記精穀ロールを回転させる停止回転手段と、
を備えた精穀装置。
【請求項2】
穀粒の精穀が終了する際に前記停止回転手段が一旦前記精穀ロールの回転を停止させて再度前記精穀ロールを回転させる請求項1記載の精穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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