説明

索道における支柱の可動式点検台

【課題】索道の支柱に具えた点検台における除雪作業の労力を軽減し、よって作業の安全性を向上する。
【解決手段】索道線路中の支柱に設けられる点検台において、点検台の床面がほぼ鉛直方向に直立した起立状態と、床面が水平となる横倒状態とに回動するように構成する。そして、通常時は点検台を起立状態とすることで床面に積雪するが防止され、点検時や保守時等の作業時には、横倒状態にして使用することで点検台の除雪作業の労力を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、索道線路中に立設されて索条を支承するための支柱に具えて、点検時や保守時に足場となる点検台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
索道は、2箇所ないし複数の停留場間に索条を架け渡し、該索条に搬器を懸垂して人員や貨物等を輸送する設備であり、広く一般に利用されている。索道においては、前記索条を支承するために線路中に支柱を立設し、この支柱の上部に具えた索受け装置により索条を支承し、停留場及び支柱間において索条を高架するようにしている。
【0003】
図5及び図6は、一般によく知られているスキーリフトに代表される、循環式索道に用いられる支柱を示した正面図及び平面図である。図において、支柱本体11は地中に打設したコンクリート基礎上にアンカーボルトにより固定されて立設されており、この支柱本体11の上部には、長尺状の支柱アーム12が索道線路の横断方向に延びて固着されている。図においては略して示しているが、この支柱アーム12の両端部には、複数の受索輪13を回転可能に組み合わせた索受け装置が取り付けられており、この索受け装置ないし受索輪13により索条14を索道線路に沿って移動可能に支承している。
【0004】
前記支柱アーム12には、両端部の索輪13の配列に沿った付近と、支柱本体11上部の中央部から両端部に至る間の位置に、複数の点検台16が固設されており、支柱本体11に具えた梯子15を登ってきた係員が、この点検台16上で索受け装置や索条の点検、保守を行えるようにしている。このように設置される索道における支柱の点検台について、従来の技術を示すものとして特許文献1がある。
【特許文献1】実公平7−2349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に示したような支柱の点検台は、床面が水平になるように支柱アームに固設されたものであったため、冬季に降雪があった場合にはここに積雪し易く、点検や保守等を行う場合には、まず点検台上の除雪を行なわなければならず、このような作業は繁雑かつ多少なりとも危険が伴うものであった。本願発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、索道の支柱に具えた点検台における除雪作業の労力を軽減するとともに、作業の安全性を向上することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題に対応して本願発明は、索道線路中の支柱に設けられる点検台であって、該点検台は床面がほぼ鉛直方向に直立した起立状態と、床面が水平となる横倒状態とに回動するようになしたことを特徴する構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本願発明はこのように構成したことにより、通常時は点検台の床面がほぼ鉛直方向に直立した起立状態としておくことで、降雪があっても点検台の床面に積雪することがなく、点検時や保守時に点検台を水平位置に回動させることにより積雪のない足場が形成され除雪を行う必要がない。したがって、支柱上での危険な除雪作業を行うこともなく、速やかに作業に取りかかることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本願発明の一実施例を図を用いて説明する。図3及び図4はそれぞれ索道の支柱の正面図及び平面図である。図3において支柱本体21は、索道線路の地中に打設されたコンクリート基礎20上に鉛直方向に延びて立設されている。この支柱本体21の上部には、図4に示すように索道線路に対し横断方向に延びて支柱アーム22が固着されている。この支柱アーム22の両端部には、複数の受索輪23を回転可能に配置して組み合わせた索受け装置が取り付けられ、索条24を索道線路の傾斜に沿って移動可能に支持している。
【0009】
前記支柱アーム22の両端部からやや内側の位置には、前記受索輪23の傾斜にほぼ沿うように点検台アーム27が延びて固設されており、この点検台アーム27の外側方向に点検台26が回動可能に取り付けられている。また、支柱本体21の下部から上部にわたって梯子25が固設されており、この梯子25の上端部から前記点検台アーム27に至る間に点検台28が回動可能に設けられている。
【0010】
つぎに、前記点検台26の取付部の詳細を、図1及び図2を用いて説明する。点検台26は、床部材31と腕部材32とからなっている。床部材31はL形鋼を矩形に枠組み形成して内面にエキスパンドメタルを張りつめて床面としたものであり、また、腕部材32は丸鋼管の一端部付近に長手方向に対して直角方向に孔を穿孔し、この孔に平行となるように上部にL形鋼を2箇所溶着したものであって、この部分に前記床部材31を載せて固着するようにしている。
【0011】
一方、点検台アームには、取り付けブラケット33が形成されている。この取り付けブラケット33は、前記腕部材32よりも大きな直径の丸鋼管を用いており、一端部を点検台アーム27に貫通して溶着固定し、他端部を点検台26方向に延出している。そしてこのブラケット33の延出した部分の上面は、前記腕部材32の直径よりもやや大きめの幅で切り欠かれており、さらに、点検台アーム27寄りの位置で水平方向に孔が穿孔されている。
【0012】
このような構成において、点検台26の腕部材32は取り付けブラケット33の切り欠き部に挿入され、腕部材32の孔と取り付けブラケット33の孔にピン34を挿通して連結し、このようにして点検台26は回動可能に取り付けられている。ここで、点検台26が横倒状態のときに点検台26の床面が水平状態になるように、ブラケット33の内面にストッパー35が固着されている。また、点検台26の床面がほぼ鉛直となる起立状態のときには、垂直状態からやや点検台アーム27の方向に回動した位置で、床部材31と点検台アーム27が当接するようにしており、このようにすることにより、点検台26は自重によって起立状態を保持できるようにしている。なお、図1においては、実線で示した状態が横倒状態であり、破線で示した状態が起立状態である。
【0013】
以上、点検台26についての一実施例を掲げて説明をおこなったが、点検台28についても同様に起立状態と横倒状態とに回動するように構成することが可能である。そして、このように回動可能に構成した支柱の点検台26、28は、通常時には起立状態にしておくことにより、降雪があっても床部材31に積雪することがなく、点検や保守の作業時に点検台26、28を横倒状態に倒すことで積雪のない足場を形成することができ、除雪の作業が不要であるためただちに安全に作業に取りかかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】点検台の側面図
【図2】点検台の平面図
【図3】索道の支柱を示す正面図
【図4】索道の支柱を示す平面図
【図5】従来例の索道の支柱を示す正面図
【図6】従来例の索道の支柱を示す平面図
【符号の説明】
【0015】
11 支柱本体
12 支柱アーム
13 受索輪
14 索条
15 梯子
16 点検台
20 コンクリート基礎
21 支柱本体
22 支柱アーム
23 受索輪
24 索条
25 梯子
26 点検台
27 点検台アーム
28 点検台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
索道線路中の支柱に設けられる点検台であって、該点検台は床面がほぼ鉛直方向に直立した起立状態と、床面が水平となる横倒状態とに回動するようになしたことを特徴とする索道における支柱の可動式点検台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−272996(P2006−272996A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90861(P2005−90861)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000228523)日本ケーブル株式会社 (96)
【Fターム(参考)】