説明

累積稼動時間管理装置

【課題】電子機器の累積稼動時間管理において、電子機器に累積稼動時間の管理を行う専用回路を組み込むこと無く、累積稼動時間管理が必要となる対象機器や部品ごとに管理可能となる累積稼動時間管理装置を提供する。
【解決手段】熱電変換素子と累積稼動時間管理ICが一体となった構造を有し、電子機器の稼動時に発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換させ、前記電気エネルギーにて累積稼動時間管理ICに給電し動作する自己発電機能を有し、稼動時間管理対象となる電子機器や部品に簡易的に取り付け可能である累積稼動時間管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の累積稼動時間管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器において、稼動中の事故を防止するために機器や使用部品の寿命を管理し、特定の稼動時間を経過した際に部品やパッケージ単位での修理、交換を行う必要がある。また、事故が発生した際の原因究明や解析を行う上で、事故発生までの累積稼動時間を把握することが重要である。そのため、電子機器の多くは累積稼動時間を管理記録する機能を備えている。
【0003】
従来の累積稼動時間管理機能の多くは、説明図4に示すカウンタ回路、不揮発性メモリ、制御用LSIなどで構成した専用回路を電子機器本体に組み込み、前記電子機器への電源供給に連動して累積稼動時間を計測する構成を取っており、前記電子機器の一部として運用されている。
【0004】
前記構成の累積稼動時間管理装置は、特開2003−187282号公報に開示されており、その構成は、累積稼動時間の管理対象とする電子機器において、前記電子機器の内部回路の動作時にのみ電源が供給され、前記内部回路の電源供給に連動して時間を計測するカウンタ回路と、前記カウンタ回路のカウント値を記録ずみ累積稼動時間に加算して記録するメモリと、前記メモリから累積稼動時間を読み出すと共に、読み出した累積稼動時間を管理装置へ出力するインターフェース回路とを備えた構成である。
【0005】
【特許文献1】特開2003−187282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の電子機器には付属する装置やカードなどが多数存在しており、前記電子機器本体としては累積稼動時間管理を行っているが、前記付属する装置やカード単位での累積稼動時間管理は行っていないことが多いため、前記付属する装置やカードが故障した際の累積稼動時間は、前記電子機器本体の累積稼動時間や顧客側の使用頻度から推測するため、故障解析に長時間かかるという問題がある。特開2003−187282号公報における従来の累積稼動時間管理装置の構成は、電子機器本体に累積稼動時間の管理を行う専用の回路や累積稼動時間管理に必要となる機能を有した高機能LSIを組み込み、前記電子機器の内部回路の給電状態を監視し計測することで、前記内部回路に給電されている時間を累積稼動時間として管理しているため、前記内部回路以外の給電系や前記した問題点の電子機器に付属する装置やカードごとに管理を行うためには、管理対象と同じ数だけの累積稼動時間管理装置が必要となり、部品点数が増大し前記電子機器のコストアップや部品実装面積が増大し実装設計が困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した問題を解決するために、累積稼動時間管理機能を電子機器に回路として組み込むのでは無く、簡易的に前記電子機器に取り付けることが可能で、前記電子機器の電源供給状態から累積稼動時間を計測する代わりに、前記電子機器が稼動する際の発熱状態に応じて動作するように、熱電変換素子を用いて熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、前記変換した電気エネルギーを利用して累積稼動時間管理装置を動作させる。本発明においては、前記電子機器の発熱時間を稼動時間として計測するため、個別の電源や累積稼動時間管理を行う専用回路を前記電子機器、または、付属の装置やカードごとに組み込む必要が無く、累積稼動時間の管理対象となる電子機器に簡易的に取り付けるだけで累積稼動時間の計測が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、熱電変換素子を用いた自己発電機能を備えており、外部からの給電を必要としないため消費電力を低減出来る。また、電子機器から発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換して再利用する環境へ配慮した装置である。
【0009】
電子機器や電子機器に付属する装置、カードなどにも容易に取り付け、取り外しが可能であり、電子機器に累積稼動時間を管理する専用回路や部品として組み込むコストを低減出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図をもとに説明する。図1は本発明の構成を示すブロック図である。稼動時間管理対象となる電子機器1に使用されている部品などの発熱体2があり、発熱体2の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子3と、熱電変換素子3から給電され動作する累積稼動時間管理IC4を一体として累積稼動時間管理装置5を構成する。稼動時間管理IC4は熱電変換素子3からの給電時にカウント動作し稼動時間を計測するカウンタ回路6と、カウンタ回路6が計測した稼動時間を定期的に加算し保存する不揮発性メモリ7と、保存した累積稼動時間データを外部受信機9に出力する送信機8とを有す。さらに図2は本発明の構造を示す斜視図であり、土台となる絶縁体10上に累積稼動時間管理IC4を配置し、累積稼動時間管理IC4の外周に熱電変換素子3を配置し、熱電変換素子3で変換した電力を取り出すための電極11と累積稼動時間管理IC4とをボンディングワイヤ12にて接続した構造を有す。前記構造の累積稼動時間管理装置5に累積稼動時間管理IC4や熱電変換素子3を保護する絶縁体と同等の面積のカバーを取り付け、小型薄型のカード形状とする(図示せず)。次に図3は電子機器1への取り付け例を示す図であり、前記カード形状の累積稼動時間管理装置5を電子機器1に取り付ける一例を示す。図3においては、稼動時間管理対象となる電子機器1のパッケージの一部を示しており、プリント配線基板15上に発熱体2となるLSI14が搭載されており、LSI14の上面に本発明の累積稼動時間管理装置5を接着剤13などで固着する。LSI14から発生する熱エネルギーを累積稼動時間管理装置5の熱電変換素子3にて熱電変換し稼動時間管理装置5を動作させる。LSI14の動作停止時には発熱しない、すなわち累積稼動時間管理装置5への給電も停止するため、LSI14動作時のみに稼動時間を計測する。
【0011】
本実施例において、累積稼動時間管理装置5をLSI14の上面に取り付ける構造を紹介したが、累積稼動時間の管理対象とする電子機器で使用される部品であれば、累積稼動時間管理装置5を直接取り付けることで累積稼動時間の管理が可能である。また、累積稼動時間管理装置5にネジ穴を設け、累積稼動時間管理装置5を直接パッケージのプリント配線基板15にネジで固定しても良い(いずれも図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の構成を示すブロック図。
【図2】実施例1の構造を示す斜視図。
【図3】実施例1の取り付け例を示す図。
【図4】従来の累積稼動時間管理構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0013】
1…電子機器、2…発熱体、3…熱電変換素子、4…累積稼動時間管理IC、5…累積稼動時間管理装置、6…カウンタ回路、7…不揮発性メモリ、8…送信機、9…外部受信機、10…絶縁体、11…電極、12…ボンディングワイヤ、13…接着剤、14…LSI、15…プリント配線基板、16…電源、17…内部回路、18…制御用LSI、19…I/F回路、20…管理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の累積稼動時間管理において、前記電子機器が発する熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子と、前記電子機器の累積稼動時間を計測するカウンタ回路と、前記カウンタ回路で計測した累積稼動時間データを保存するメモリで構成する累積稼動時間管理装置。
【請求項2】
熱電変換素子を用いた自己発電機能を有す累積稼動時間管理装置。
【請求項3】
請求項1の累積稼動時間管理装置において熱電変換素子を用いて、電子機器の稼動時に発する熱を電気エネルギーに変換して動作し、前記電子機器の休止時には動作しない、すなわち、前記電子機器の発熱時間を累積稼動時間として計測し記録する累積稼動時間管理装置。
【請求項4】
請求項1における累積稼動時間管理装置に累積稼動時間データ送信用の送信機を内蔵し、外部受信機に計測した累積稼動時間データを送信して、前記累積稼動時間データを外部出力することを特徴とする累積稼動時間管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−175817(P2009−175817A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11054(P2008−11054)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】