説明

組立式靴

【課題】
本発明は、靴製造業者によって予め所定のサイズごとに可撓性材料を以て靴底部材を作り、その靴底部材に見合う靴底敷、ならびに上記靴底部材と靴底敷に見合う甲皮をそれぞれ各別に作られた構成部材として製造し、必要に応じて選んで、必要な数の靴を簡単に商品として販売することができるように組立て作ることができる靴組立靴に関するものである。
【解決手段】
所望のサイズで所望の形状から成り、固定部材差し込み穴を側面に穿設して成る靴底部材毎に、上記靴底部材に釣り合いのとれた状態で組み合わせることができる所望のデザインから成り固定部材差し込み穴を側面に穿設して成る甲皮部材と上記靴底部材と上記甲皮部材とを固着する固定材を予めパーツ部材として所望の数量を用意し、必要に応じて前記パーツの中から所望のパーツを選んで、靴として組み立てることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴製造業者によって予め所定のサイズごとに可撓性材料を以て靴底部材を作り、その靴底部材に見合う靴底敷、ならびに上記靴底部材と靴底敷に見合う甲皮をそれぞれ各別に作られた構成部材として製造し、この構成部材を問屋或いは小売店でそれぞれ所望数だけ用意するようにし、問屋或いは小売店では前記した構成部材を必要に応じて選んで、必要な数の靴を簡単に商品として販売することができるように組立て作ることができる靴組立靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴は、特開平10−137005号公報、特開2004−174051号公報、特開2001−292806号公報に記載されているように靴製造業者によって所定のサイズ、形状毎に甲皮を所定のデザインとした幾通りもの靴が大量に生産される。この中から問屋に所望の靴が所望量だけ選ばれて問屋に引き取られる。問屋を通して所望の靴が所望量だけ小売店に選ばれて小売店に仕入れられる。
問屋が引き取った靴、或いは小売店が問屋から仕入れた靴は、まずこれを在庫し、その在庫の中から前記した幾つかの靴を選び出して店頭に陳列し、販売すると言う経路を辿るものである。
従って、上記した靴は靴製造業者から問屋を通って小売店に流通する過程では勿論、上記した靴製造業者から上記した靴を仕入れた問屋、小売店が在庫するにもそれなりの広さの場所を必要とすると言う不都合を伴うことになっていた。
それだけでなく、問屋、小売店では販売し切れなかった売れ残りの靴の処分にも大変な労力、費用を要すると言う不都合が生じることになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−137005号公報
【特許文献2】特開2004−174051号公報
【特許文献3】特開2001−292806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
靴製造業者は前記したようにある種のデザイン毎にそれぞれのサイズの靴を所定の数量に大量生産する。
この中から、前記の靴を問屋の注文に応じて問屋が所望した量だけそれぞれの問屋に送られ、問屋から小売店の注文に応じてそれぞれ靴が小売店に仕入れて送られる。
この流通過程でそれぞれの問屋或いは小売店に仕入れられて送られた靴が完売されるとは限らず、それぞれの問屋、小売店には当然ある種のデザイン、或いはサイズの靴の売れ残りを生ずることがある。
従って、この流通過程で、それぞれの問屋、或いは小売店は、仕入れたそれなりの数の在庫を抱えたり、或いはそれなりの数の売れ残りを処分しなければならないと言う不都合を負担することになる。その不都合の負担は仕入れた靴、その在庫や売れ残りの靴を処分するまでの保存にはそれなりの広さの保管場所を必要とするだけでなく、売れ残りの靴の処分には大変な損失となって現れてくる。
【0005】
本発明は上記不都合を解消するため、靴製造業者側で靴を構成するための靴構成部材である各サイズのそれぞれの形状の靴底部材、前記した靴底部材に取り付ける靴底敷、前記した靴底敷を取り付けた靴底部材に取り付ける甲皮をそれぞれ各別の靴構成部材として製造して用意し、問屋においても小売店においても、前記した各別の靴構成部材を所望数量だけ仕入れて在庫するようにし、或るサイズに或るデザインを施した甲皮の靴の販売状況によって、在庫した前記部材の中から所望のサイズの靴底部材を取り出し、これに所望のデザインの靴底敷、甲皮を取り付けるだけで所望の形状の靴とすることができるようにすることによって、各種サイズの靴底部材に各種形状の靴底敷、甲皮を取り付けた靴を組み立てることができるようになり、特定のサイズ、特定のデザインの靴の需要に応ずることができ、これまでのような在庫管理を行うことを省略できる。その結果、在庫並びに処分の調整を容易にすることができるようにするものである。
【0006】
本発明は、問屋、小売店が上記した不都合を負担する割合を最小限度におさえ、各種サイズの靴底部材、各種デザインの甲皮、それぞれのサイズの靴底部材、上記甲皮と上記靴底部材とを固定する固定具をそれぞれ各別に生産し、必要に応じて上記部品を組立て靴を作れるようにしたことで、生産業者だけでなく、問屋、小売店の不都合をなくそうとするものである。
【0007】
従って、問屋側でも小売店側でも仕入れ調整、それに伴う在庫調整、売れ残りの処分調整が容易に行える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る組立式靴は、靴底部材、靴底敷、甲皮の靴構成部材をそれぞれ各別にパーツ材として作る。
即ち、靴底部材は所望のサイズ、形状毎に後端部を所望の高さとした踵部とし、該踵部から裏側を段差を設けて中間部を土踏まず部とし、先端部を爪先部として形成し、表面を前記各部にわたって平滑な靴底面として所望の厚みの側面を形成し、該側面には所望の間隔を隔ててビス差込孔を穿設して成る靴底部材(ソール)として構成する。前記靴底部材の表面に貼着する靴底敷は、底面に貼着剤をコーティングするかラミネートして貼着層を設けた前記靴底部材の表面と同形のものとして構成する。前記靴底部材の表面側に取り付ける甲皮は、両側縁を靴底部材の側面に穿設したビス差込孔と合致するビス差込孔を穿設して成る所望のデザイン形状のものとして構成する。上記したパーツを以て靴を組み立てる手順は、前記した靴底部材の表面に靴底敷を貼着し、前記した甲皮(アッパー材)を以て該甲皮(アッパー材)のビス差込孔と前記靴底部材の側面に穿設したビス差込孔を合致して位置し、該両ビス差込孔にビスを挿着して、該靴底部材に甲皮(アッパー材)を固定して所望の靴を組み立てる。この靴は、所望の形状に形成した甲皮(アッパー材)を着脱自在となるようにすることもできる。
靴底部材は男性の成人用、小児用のものとして成形することもあり、女性の成人用、小児用のものとして成形することもある。また、女性用のものとして成形するものには、ハイヒール型、中ヒール型、ローヒール型に成形するものであることは勿論である。
甲皮は足の甲を細幅のベルト、或いは太幅のベルトとして被うベルト型のものとする型式のものもあれば、足の甲部分、或いは足の甲部分から爪先部分にかけて被う被覆型のものとして作られるもの等様々な型式のものがあることは勿論である。
上記甲皮には様々な模様や色彩を施したものとして作られることがあることは勿論である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、前記した所望のサイズで所望の形状に形成した靴底部材、前記した靴底部材に組み合わせる所望の靴底敷、前記した靴底部材に組み合わせる所望の大きさで所望の甲皮部材、並びに上記した靴底部材、上記した靴底敷、上記した甲皮部材、上記したビスを所望の数量だけ靴製造業者で製造し、或いは用意し、問屋、小売店では上記した各部材を所望数量だけ仕入れ、在庫することにより、上記部材の仕入れ、在庫調整が容易にでき、その在庫部材の中から在庫部材を選んで特定のサイズで特定の形状の靴底部材に特定の靴底敷、特定の甲皮を組み合わせた靴を組立て、その靴の売れ行きによって、仕入れた部材の中から前記した靴を組立補充することができる。従って、問屋、小売店側では在庫調整が容易になり、前記した業者では前記不都合を解消できる。それだけでなく需用者側では上記部材を選んで購入することができ、需用者側では需用者好みの靴を簡単に組み立てて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の組立式靴を構成する靴構成部材である靴底部材、靴底敷、甲皮の斜視図と、上記部材の組み合わせ手順を示す説明図
【図2】図1に示す靴底部材の表面に、図1に示す靴底敷を貼着し、図1に示す甲皮を組み合わせて組み立てた本発明に係る組立式靴の斜視図
【図3】図1に示す靴底部材の表面に、図1に示す靴底敷を貼着し、図1に示す甲皮を組み合わせて組み立てた本発明に係る組立靴の斜視図
【図4】靴底敷を貼着した靴底部材の側面に取付部材であるビスをねじ込んで甲皮を取り付けた状態の一部断面図
【図5】靴底敷を貼着した靴底部材の側面に取付部材であるビスをねじ込んだ状態の一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の靴底部材1aは図1Aに図示するように、後端を所望の高さとした踵部から裏側を段差を設けて中間部を土踏まず部1bとし、先端を爪先部1cとし、表側を後端の踵部1aから先端の爪先部1bにわたって平滑面1dとし、前記した土部まず部1bから爪先部までを所望の厚みの側面を持ち、その側面1eに鋲差込穴1fを穿設した所望サイズの所望形状で、それぞれの大きさとして構成する。
そのそれぞれの大きさとして形成した図1Aに図示する構成の靴底部材毎の平滑面にマッチする大きさで、所望のデザインを施し所望の形状とし裏側に貼着剤をコーティング或いはラミネートして形成した貼着層(図示せず)を形成した図1Bに図示する靴底敷2を構成する。また、図1C、図1Dに図示するように鋲挿通孔3a、4aを穿設した甲皮3、4を靴構成部材として構成する。その甲皮3、4は、足の甲部を図1Cに図示するように襷掛状に被覆する形状のもの、或いは図1Dに図示するように包被状に被覆する形状のものがある。図1C、図1Dに例示した形状は一例であって、これ以外にもいろいろなデザイン、形状のものが考えられることは勿論である。
【0012】
上記各部材を以て靴を組み立てるのには、上記したそれぞれの大きさに形成した靴底部材の中から、特定のサイズ、形状に形成した靴底部材1aを選定する。
その靴底部材1aの表側に該靴底部材にマッチする靴底敷2を貼靴底敷裏に形成された貼着層を以て着する。その選定した靴底部材1aのサイズ、形状にマッチする甲皮3、4を選択し、該甲皮3、4の鋲挿通孔3a、4aを前記靴底部材1aの側面1eに穿設した鋲差込穴1fに合致させて位置し、鋲、例えばビスから成る固定部材を以て、甲皮の鋲挿通孔から靴底部材の側面に穿設した鋲差込穴に図5に示すようにねじ込むことによって甲皮3、4を靴底部材1aに固定し、靴を組み立てる。
【0013】
これによって、特定のサイズ、形状に形成された靴底部材毎の靴を組み立てることができる。
【0014】
また、靴底部材1aの側面1eに、穿設した鋲差込穴1fに前記機能を発揮させる必要がないときは、該穴に頭を着色したり、或いは特殊形状とした鋲、例えばビスをねじ込むことによってその鋲、ビスの玉によって装飾機能を発揮する役割を果たさせることができる。
【符号の説明】
【0015】
1 靴底部材
1a 土踏まず部
1b 爪先部
1c 平滑面
1d 靴底部材の側面
1e 鋲差込穴
2 靴底敷
3 足の甲部分を襷掛状に被覆する甲皮
4 足の甲部分を包被状に被覆する甲皮
5 鋲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のサイズで所望の形状から成り、固定部材差し込み穴を側面に穿設して成る靴底部材毎に、上記靴底部材の表側形状マッチする貼着層を形成した所望の靴底敷と上記靴底部材に釣り合いのとれた状態で組み合わせることができる所望のデザインから成り固定部材差し込み穴を側面に穿設して成る甲皮部材と上記靴底部材と上記甲皮部材とを固着する固定材を予めパーツ部材として所望の数量を用意し、必要に応じて前記パーツの中から所望のパーツを選んで、靴として組み立てるようにしたことを特徴とする組立用靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−115500(P2012−115500A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268106(P2010−268106)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(510316626)株式会社ニューヨー (1)
【Fターム(参考)】