説明

組織トポグラフィの知識によらないエネルギーの選択的な蓄積

組織トポグラフィを知っていても知っていなくても、動脈組織内に選択的に蓄積されるエネルギーを使用して、疾患部分および健全な部分を有する身体の管腔に隣接する身体組織領域を加熱する方法およびシステム。この方法は、加熱される身体組織領域に隣接する管腔内にカテーテル・ボディのエネルギー供給部分を位置させるステップと、第1の組織タイプの熱的性質に対応するパルス特性を決定するステップと、第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で第1の組織タイプから熱を引き出すことにより、身体組織領域内に第2の組織タイプを治療目的で処置するために、このパルス特性を有するパルス・エネルギーをエネルギー供給部分から適用するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法119条第(e)項の下で、全開示内容の参照により本明細書に完全に組み込まれる、2008年11月17日に出願された米国仮特許出願第61/115,344号の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、参照により全開示内容が本明細書に組み込まれる、2007年10月18日に出願された、「Inducing Desirable Temperature Effects on Body Tissue」と題される米国特許出願第11/975,474号、2007年10月18日に出願された、「System for Inducing Desirable Temperature Effects on Body Tissues」と題される米国特許出願第11/975,383号、2005年5月3日に出願された、「Imaging and Eccentric Atherosclerotic Material Laser remodeling and/or Ablation Catheter」と題される米国特許出願第11/122,263号、および、2008年9月22日に出願された、「Inducing Desirable Temperature Effects On Body Tissue Using Alternate Energy Sources」と題される米国仮特許出願第61/099,155号に関連する。
【0003】
連邦政府が資金提供した研究開発のもとで行われた発明に対する権利に関する記述
該当なし
(技術分野)
【0004】
本発明は、概して、身体組織を加熱するための医療デバイス、システム、および方法に関する。例示的な実施形態では、本発明は、組織トポグラフィを推測的に知っていても知っていなくても、所望のタイプの組織内、特に疾患組織内に選択的に蓄積されるエネルギーを用いて身体組織を加熱するためのカテーテル・ベースの治療法を実現する。
【背景技術】
【0005】
アテローム疾患によって狭くなってしまった動脈を開くのに、しばしば、バルーン血管形成術および別のカテーテルが使用される。バルーン拡張に伴う外傷は重大な損傷をもたらす可能性があることから、バルーン拡張の利益は時間が経過すると制限される場合がある。一般に、血管の有益な開いた状態を延長するのにステントが使用される。かなりの多くの事例で、ステント植込み術後に再狭窄、すなわち身体の管腔に再発性の狭窄が起こっている。
【0006】
より最近では、薬剤被覆ステント(Johnson and JohnsonのCypher(商標)ステント、Sirolimus(登録商標)を含む関連薬剤など)が、再狭窄率が著しく低下することを実証しており、別のステントが、代替の薬剤溶出ステントを進化させて、市販されている。加えて、手技的な血管形成術の成功率を改善することもできる全身性ドラッグ・デリバリー(経静脈的または経口的)に関する研究も開始されている。
【0007】
薬剤溶出ステントは、多くの患者のアテローム性動脈硬化症の治療にかなりの将来性をもたらすように見えるが、ステントが使用され得ないようなまたはステントが有意な不利益をもたらすような事例が多く残っている。一般に、ステント植込み術は身体内にインプラントを残す。このようなインプラントは、特にインプラントの除去が困難でありかつ侵襲的手術を必要とする場合に、機械的疲労および腐食などを含めた危険性をもたらす可能性がある。ステント植込み術は、びまん性動脈疾患を治療する場合、分岐部を治療する場合、押しつぶしを受けやすい身体領域を治療する場合、ならびに、ねじれ、伸張および短縮を受ける動脈を治療する場合に、さらなる欠点を有する場合がある。
【0008】
種々の改善された再狭窄治療または再狭窄防止治療モダリティも提案されており、これらには、脈管内放射、低温治療、および超音波エネルギーなどが含まれ、しばしばバルーン血管形成術および/またはステント植込み術と組み合わされる。これらの手法および別の手法は、血管形成術およびステント植込み術後の血流の事後低下(subsequent degradation)を軽減する種々の程度の将来性を示すが、血管形成術によって組織が最初に負った外傷には問題が残る。
【0009】
狭窄動脈を開くための、ステント植込み術およびバルーン血管形成術に対する代替案も複数提案されている。例えば、多様なアテローム切除デバイスおよびその技法が開示され、試みられている。血管形成術およびステント植込み術には欠点および制限があるにもかかわらず、アテローム切除術は、拡張ベース手法のような幅の広い用途および成功率を獲得していない。より最近では、拡張のさらなる別の欠点も明らかになっている。これらには、心筋梗塞および心臓発作を引き起こすことがある物質を断裂させて放出する可能性がある不安定プラークの存在が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に鑑みると、動脈組織内で血管拡張を誘発して身体の管腔をリモデリングするための方法およびシステムを提供することが有利であろう。さらに、極端な拡張による外傷に頼る必要がなく身体の管腔をリモデリングすることができる構造を提供しながら、多大なコストおよび複雑さを回避すること、および、ステント植込み術に適さない血管および他の身体の管腔を開くのを可能にすることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明の実施形態は、第1の組織タイプおよび第2の組織タイプの両方を含む領域である、身体の管腔に隣接する身体組織領域を加熱するための方法を提供する。この方法は、加熱される身体組織領域に隣接する管腔内にカテーテルのエネルギー供給部分を位置させるステップと、第1の組織タイプの熱的性質に対応するパルス特性を決定するステップと、第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で第1の組織タイプから熱を引き出すことにより、身体組織領域内の第2の組織タイプを治療目的で処置するために、このパルス特性を有するパルス・エネルギーをエネルギー供給部分から適用するステップとを含む。
【0012】
別の態様では、本発明の実施形態は、第1の組織タイプおよび第2の組織タイプの両方を含む領域である、身体の管腔に隣接する身体組織領域を加熱するためのカテーテル・システムを提供する。このシステムは、近位端および遠位端を有し且つそれら間に軸を持つ細長い可撓性のカテーテル・ボディと、遠位端に近位するエネルギー供給部分と、エネルギー供給部分に結合されるエネルギー源と、第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で第1の組織タイプから熱を引き出すことにより、身体組織領域内の第2の組織タイプを治療目的で処置するために、エネルギー源からエネルギー供給部分へ伝達されるパルス・エネルギーのパルス特性を制御するように構成される、エネルギー源に結合されるプロセッサとを含む。
【0013】
多くの実施形態では、パルス・エネルギーは、第1の組織タイプではなく第2の組織タイプを優先的に加熱し、この優先的な加熱は、第1の組織タイプの熱伝導より弱い熱伝導、第1の組織タイプの比熱容量より低い比熱容量、第1の組織タイプの生得の血液灌流より弱い生得の血液灌流、および/または、十分に灌流された領域と第1の組織タイプとの間の距離より大きい、十分に灌流された領域からの距離、という第2の組織タイプの特性の群のうちの1つまたは複数によって少なくとも部分的に誘発される。
【0014】
多くの実施形態では、この群の特性の大部分により、第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で第1の組織タイプから熱が引き出される。
【0015】
多くの実施形態では、パルス・エネルギーは、0.25ワット〜5ワットの平均率で身体組織領域に供給される。
【0016】
多くの実施形態では、パルス・エネルギーの各パルスは4ジュール〜45ジュールの間で身体組織領域に提供される。
【0017】
多くの実施形態では、身体組織領域に供給されるパルス・エネルギーの平均率は、第1の組織タイプによるエネルギー消失率の約0.1倍〜10.0倍の間である。
【0018】
多くの実施形態では、パルス間の時間により、第1の組織タイプが、パルス・エネルギーにより第1の組織タイプが熱損傷されるのを回避するように、十分な熱を消失することが可能となる。
【0019】
多くの実施形態では、エネルギーのパルス間の時間は0.1秒〜180秒の間である。
【0020】
多くの実施形態では、第1の組織タイプの熱時定数は、個別の体積の所与の組織が指数関数的減衰を受けながらその熱の63%を失うくらいの長さである。
【0021】
多くの実施形態では、パルス・エネルギーは、第1の組織タイプの少なくとも複数の時定数の持続時間にわたって身体組織領域へと供給され、第1の組織の熱時定数は第1の組織タイプの熱伝導率に比例する。
【0022】
多くの実施形態では、第2の組織タイプの熱伝導率は第1の組織タイプの熱伝導率の2倍である。
【0023】
多くの実施形態では、エネルギー源は無線周波(RF)エネルギー源を含む。
【0024】
多くの実施形態では、エネルギー供給部分は、身体の管腔に面する複数の電極面に係合される径方向に拡張可能な構造を有し、身体の管腔に面する複数の電極面により、第1の組織タイプおよび第2の組織タイプを含む複数の回路が完成され、パルス・エネルギーが複数の回路に供給される。
【0025】
多くの実施形態では、エネルギー源はレーザ・エネルギー源を含む。
【0026】
多くの実施形態では、エネルギー供給部分は径方向に方向付けられた少なくとも1つの窓を有し、この窓は、身体組織領域にパルス・レーザ・エネルギーを伝達するための、カテーテル・ボディの近位端と少なくとも1つの窓との間に延在する少なくとも1つの光学的伝達手段(optical conduit)に結合される。
【0027】
多くの実施形態では、エネルギー源は、パルス超音波エネルギーを身体組織領域に供給するように構成された超音波送信機を含む。
【0028】
多くの実施形態では、エネルギー源は、パルス・マイクロ波エネルギーを身体組織領域に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含むマイクロ波エネルギー源を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】動脈組織を加熱するためのカテーテル・システムの一実施形態を概略的に示す図である。
【図2】図1のカテーテル・システムで使用されるバルーンの一実施形態を示す図である。
【図3】熱またはエネルギーの一定のパルス率(pulsed rate)で健全な組織および疾患組織の両方を加熱するための、温度対時間の特性を示すグラフである。
【図4】熱またはエネルギーが異なる率で適用される、健全な組織および疾患組織の両方を有する組織に対する、別の温度対時間の特性を示すグラフである。
【図5】温度に対する熱の消失効果を示すグラフである。
【図6】脚部内の組織のバイポーラ治療に使用されるバルーン・カテーテル・システムの一実施形態を概略的に示す図である。
【図7】脚部内の組織のモノポーラ治療に使用されるバルーン・カテーテル・システムの一実施形態を概略的に示す図である。
【図8A−C】動脈組織を治療するためのバルーン・カテーテル・システムを使用するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
従来のバルーン血管形成術およびステントに対して、それに取って代わるまたはそれを改善する多くの療法が開発されてきた。背景技術に記載したデバイスの多くは、動脈内の組織を切断したり、切除したり、蒸発させたりする。例えば、レーザ・デバイスはプレークを蒸発させて、それを下方に押し流す。アテローム切除デバイスはプレークを削り取って、それを身体の外へ吸い出す。カッティング・バルーンは動脈壁を切開して、組織を損傷させる。
【0031】
切断したり、切除したり、蒸発させたりすることのないシステムおよびデバイスを提供することが有利であろう。3つの治療モダリティがこれらの欠点を回避しており、これらには、組織の冷却、ノンアブレイティブな形態の直接的な分子の変性、および、ノンアブレイティブな加熱が含まれる。冷却は、Boston ScientificのCryo−cathなどのデバイスを使用して実施されている。直接的な分子の変性は、例えばガンマ線を放射して達成され得る。本発明は、残りのモダリティであるノンアブレイティブな加熱を対象としている。
【0032】
本発明の一部の実施形態では、概して、組織トポグラフィを知っていても知っていなくても、動脈組織内に選択的に蓄積されるエネルギーを用いて、疾患部分を有する動脈組織を加熱するための、以下でより詳細に考察するデバイス、システム、および方法を提供する。本発明は、動脈の管腔を開いて血流を増加させるために、部分的に閉塞した動脈に沿った物質をリモデリングするのに特に有用である。本明細書で開示するデバイス、システム、および方法は、例えば、大腿動脈、膝窩動脈、冠状動脈および/または頚動脈といったような任意の動脈内で使用され得る。動脈組織を加熱するためのデバイスは、全開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、同時継続の米国特許出願第11/975,474号、第11/975,383号、第11/122,263号、および米国仮特許出願第61/099,155号に開示されている。
【0033】
本開示は脈管構造内でのこの技法の使用に焦点を当てるが、この技法は管腔の任意の閉鎖症にも有用である。本発明が使用され得るような別の解剖学的構造は、食道、口腔、鼻咽頭腔、耳管および鼓室、脳の静脈洞、動脈系、静脈系、心臓、喉頭、気管、気管支、胃、十二指腸、回腸、結腸、直腸、膀胱、尿管、射精管、精管、尿道、子宮体腔、膣管、ならびに子宮頸管である。
【0034】
このシステムの一部の実施形態は、動脈の拡張との組み合わせで穏やかに加熱することによって組織を治療することができる。血管壁の加熱は、バルーンを用いた拡張の前、その最中、および/またはその後で行われてよく、拡張圧力は、加熱を行わない標準的な血管形成術での拡張圧力と等しいかそれよりかなり低い。例えば、特定の病変の標準的な血管形成術による拡張が10気圧〜16気圧のバルーン膨張圧力で適切となることができる場合、本明細書で説明する穏やかな加熱と組み合わされる改善された拡張治療は10気圧〜16気圧で使用されてよく、または、6気圧以下、場合によって1気圧から2気圧程度の低さの圧力で実施され得る。動脈プラーク内が石灰化している場合、疾患動脈をリモデリングして開くことがより困難である場合があり、カルシウムを破壊して、管腔をリモデリングして開くために、カテーテルは、超音波エネルギーとの組み合わせで、標準的な血管形成術バルーンを使用することができる。
【0035】
血管の拡張の前、その最中、および/またはその後に加えられる穏やかな加熱エネルギーは、複雑さを軽減しながら、拡張効果を増大させることができる。一部の実施形態では、バルーン拡張を用いたこのような制御された加熱は、リコイルの減少を示し、インプラントの欠点なしでステントと同様の拡張の少なくとも一部の利益をもたらすことができる。穏やかに加熱することの利益は、外膜層の加熱を有害反応閾値(deleterious response threshold)未満に制限することにより高められ得る(および/または合併症が防止される)。多くのケースで、内膜および/または中膜のこのような加熱は、約10秒未満、しばしば3秒(または、さらには2秒)未満の加熱時間を使用して行われてよい。別のケースでは、非常に低い電力が長い継続時間にわたって使用されてもよい。
【0036】
身体組織の加熱は、通常はRFエネルギー、マイクロ波エネルギー、および/または超音波エネルギーなどの形態のエネルギーの適用を伴う。このエネルギーは身体組織の温度を制限するために制御される。一部の実施形態では、身体組織の温度範囲は、適用されるエネルギーおよび組織タイプに応じて、約50℃から約90℃までである。
【0037】
本明細書で説明する方法およびデバイスは血管の組織治療において選択的ではないが、デバイスは同心性のアテローム性動脈硬化症および偏心性のアテローム性動脈硬化症の両方の治療に使用され得る。アテローム性動脈硬化症は、50%を超える事例において、場合によって事例の75%程度の(または、それを超える)事例において血管の軸に対して偏心している可能性があることから、この非選択的な治療は特に有利である。
【0038】
本発明は、ステント植込み術との組み合わせで使用され得る一方で、ステント植込み術が実行可能な選択肢ではないような血管の開口径(open diameter)の増大に特に良好に適している。考えられる用途には、アテローム性動脈硬化症が一領域に局在しているのではなく動脈のかなりの長さに沿って広がっているような、びまん性疾患の治療が含まれる。本発明はまた、ステントが多数の脈管の急激な屈曲部内へと前進されたりまたはそれらの屈曲部内で拡張されたりする必要がないことから、急激に湾曲している蛇行性の血管の治療に対して有利な使用法を見出すことができる。さらに別の有利な用途には、(側部の分枝閉塞(side branch blockage)が問題となる場合がある)分岐部に沿った治療、ならびに、(破砕および/またはステントの破損故障が問題になる場合がある)脚部、足および腕などの末梢的な四肢での治療が含まれる。
【0039】
開示するシステムは、少なくとも、エネルギー源と、健全な組織などの第1の組織タイプおよび疾患組織などの第2の組織タイプの両方を有する領域である、身体の管腔に隣接する身体組織領域を加熱するように構成されたエネルギー供給部分を備えるカテーテルとを含む。カテーテルは、加熱に使用される電極が追加されることを除いて、動脈疾患の治療に現在一般に使用されているバルーン・カテーテルに類似していてよい。別の実施形態は、血管壁に超音波加熱を適用するための、バルーン上に配置される変換器、または、血管壁にマイクロ波加熱を適用するための、バルーン上に配置されるマイクロ波アンテナを使用することができる。エネルギー源は、長期の閉塞反応を誘発させるような程度の熱損傷を身体治療領域に負わせることなく身体治療領域内の組織を治療的に処置するために、エネルギー源からエネルギー供給部分へと伝達されるパルス・エネルギーのパルス特性を制御するためのプロセッサに結合され得る。
【0040】
使用時、カテーテル・ボディのエネルギー供給部分は、加熱される身体組織領域に隣接する管腔内に配置される。パルス特性は第1の組織タイプの熱的性質に対応して決定され、パルス・エネルギーが、身体組織領域を治療的に処置するために、そのパルス特性を用いてエネルギー供給部分から適用される。
【0041】
図1は、動脈組織を加熱するためのカテーテル・システム10の一実施形態を示している。カテーテル・システム10は、近位端16および遠位端18を備えるカテーテル・ボディ14を有するバルーン・カテーテル12を含む。カテーテル・ボディ14は、可撓性であり、カテーテル軸15を画定しており、ガイドワイヤ管22および膨張管24など(図2を参照)の1つまたは複数の管を含んでいてよい。灌流、流体供給または撮像などの別の治療法または用途に対して所望される場合、さらに別の管が設けられてもよい。カテーテル12は、遠位端18に隣接する膨張可能バルーン20および近位端16に隣接するハウジング29を含む。ハウジング29は、ガイドワイヤ管22に連通する第1のコネクタ26および膨張管24に連通する第2のコネクタ28を含む。膨張管24はバルーン20と第2のコネクタ28との間に延在する。第1のコネクタ26および第2のコネクタ28の両方は、任意選択で、Luer−Loc(商標)コネクタなどの標準的なコネクタを有することができる。遠位先端部は、ガイドワイヤなどが通過するのを可能にするための一体の先端バルブを含むことができる。
【0042】
ハウジング29はまた、電気コネクタ38を収容する。コネクタ38は、各々が導体36を介して電極34に電気的に結合される複数の電気接続部を含む。これにより電極34が容易に付勢され得るようになり、電極は、しばしば、コントローラ40と、バイポーラまたはモノポーラRFエネルギー源、マイクロ波エネルギー源、超音波エネルギー源、または別の適切なエネルギー源などのエネルギー源42とによって付勢される。一実施形態では、電気コネクタ38は、コントローラ40を介してRF発生器に結合され、コントローラ40により、エネルギーを電極38に選択的に送ることが可能となる。モノポーラRFエネルギーが使用される場合、患者接地(patient ground)は、(例えば)外部電極またはカテーテル・ボディ14上の電極によって形成され得る。
【0043】
一部の実施形態では、コントローラ40は、治療を制御または記録するために、プロセッサを含んでいてよく、または、プロセッサに結合されてもよい。プロセッサは、通常、本明細書で説明される1つまたは複数の方法の一部またはすべてを実施するための機械読取可能プログラム命令またはコードを実行するための1つまたは複数のプログラム可能プロセッサ・ユニットをしばしば含む、コンピュータ・ハードウェアおよび/またはソフトウェアを有する。コードは、しばしば、メモリ(任意選択で、読取専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、または不揮発性メモリなど)および/または記録媒体(フロッピー・ディスク、ハード・ドライブ、CD、DVD、または不揮発性固体メモリ・カードなど)の有形媒体で具現化される。コードおよび/または関連するデータならびに信号は、ネットワーク接続(無線ネットワーク、イーサネット、インターネット、またはイントラネットなど)を介してプロセッサへとまたはプロセッサから伝達されてもよく、コードの一部またはすべてはまた、1つまたは複数のバスを介してカテーテル・システム10の構成要素間でさらにはプロセッサ内で伝達され得、適切な標準的なまたは独自の通信カード、コネクタ、およびケーブルなどが、しばしば、プロセッサ内に含まれる。プロセッサは、しばしば、単一プログラム、一連の別個のサブルーチン、または関連プログラムなどとして書き込まれてよいソフトウェア・コードを用いてプロセッサを少なくとも部分的にプログラムすることにより、本明細書で説明する計算および信号伝達ステップを実施するように構成される。プロセッサは、標準的なまたは独自のデジタルおよび/またはアナログ信号処理ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを有することができ、通常、患者の治療中に本明細書で説明する計算を実施するのに十分な処理能力を有し、プロセッサは、任意選択で、パーソナル・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、独自の処理ユニット、またはそれらの組み合わせを有する。最新のコンピュータ・システムに関連する標準的なまたは独自の入力デバイス(マウス、キーボード、タッチスクリーン、ジョイスティックなど)および出力デバイス(プリンタ、スピーカー、ディスプレイなど)がさらに含まれてよく、複数の処理ユニット(または、さらには別個のコンピュータ)を有するプロセッサが、多様な集中データ処理アーキテクチャまたは分散データ処理アーキテクチャで使用され得る。
【0044】
バルーン20は図2により詳細に示されている。バルーン20は、一般に、膨張管24に結合される近位部分30およびガイドワイヤ管22に結合される遠位部分32を含む。バルーン20は、流体またはガスによって膨張させられるときに径方向に拡張される。一部の実施形態では、流体またはガスは非伝導性であってよく、冷却され得る。一部の実施形態では、バルーン20は、動脈組織に接触するように加圧された低圧バルーンであってよい。別の実施形態では、バルーン20は、動脈組織を加熱することおよび動脈管腔を拡張することの両方のために高圧を可能にする血管形成術用バルーンである。バルーン20は、径方向に拡張された膨張構成から、特に使用後に除去されるための低プロファイル構成へとバルーンを再構成するのを促進するために、螺旋状の折り目を有するコンプライアンス・バルーンまたはノンコンプライアンス・バルーンを有することができる。
【0045】
電極34はバルーン20の表面上に取り付けられ、関連する導体36が電極から近位側に延在する。電極34は、多くの異なるパターンまたはアレイでバルーン20上に配置され得る。このシステムは、エネルギーのモノポーラでの適用またはバイポーラでの適用で使用され得る。モノポーラ・エネルギーを供給する場合、接地電極パッドなどの接地電極がカテーテル軸上または患者の皮膚上のいずれかで使用される。バイポーラ・エネルギーを供給する場合、隣接する複数の電極が軸方向にオフセットされ、それにより、バイポーラ・エネルギーを隣接する円周上(軸方向にオフセットされる)の電極間で伝えることが可能となる。別の実施形態では、電極はバルーンの周りのバンド内に配置されてよく、それにより、隣接する遠位側の電極と近位側の電極との間でバイポーラ・エネルギーを伝えることが可能となる。一部の実施形態では、電極34はバルーン20の内部に位置され得る。電極34は、多くの異なるパターンまたはアレイでバルーン20上に配置され得る。上で言及したように、別の実施形態は、バルーン20の表面上に取り付けられる超音波変換器またはマイクロ波アンテナを含むことができる。
【0046】
本明細書に開示する実施形態は、組織トポグラフィを知っていても知っていなくても、動脈組織内にエネルギーを選択的に蓄積するという構想を中心に展開される。これは、健全な組織と疾患組織との間の組織特性の違いを利用することによって達成される。特性の異なる組織を優先的に加熱することは、異なる組織の位置およびタイプを知らなくても達成され得る。第1の組織タイプが第2の組織タイプより良好な熱伝導率(k)を有する場合、第1の組織タイプは熱をより迅速に外側へと伝導させる。第2の組織タイプが第1の組織タイプより低い比熱容量(cp)を有する場合、その温度は、等しい質量(組織密度が比較的同等である場合は、体積)に等しい量のエネルギーが適用される場合に、より大幅に上昇する。第1の組織タイプが密度の高い脈管構造を有する場合、すなわち、十分に灌流された領域に確実により緊密に近接する場合、第1の組織タイプは第2の組織タイプより迅速に熱を外側へ伝導させる。
【0047】
本発明は、1つまたは複数の以下の性質を有するタイプの組織を優先的に加熱することを可能にする:
・比較的不十分な(低い)熱伝導率、
・低い比熱容量、
・弱い生得の血液灌流、および/または
・十分に灌流された領域からの距離が比較的大きい。
【0048】
疾患組織の場合、上記の性質のすべてが当てはまる。疾患組織は、一般に、脂質の脂肪様疾患組織および/または繊維質のコラーゲン様組織から構成される。これらの両方の組織は、健全な血管組織より、特に中膜より低い比熱容量および低い熱伝導率を有する。また、健全な血管組織は、より多くの微小血管構造を有し、十分に灌流された組織により緊密に近接しており、したがって、健全な組織は、交通渋滞のような熱流束の「バッキング・アップ」がない状態で、より効率的に熱を外側へと流し込むことができる。
【0049】
組織特性のこのような差異を利用する際に重要なことは以下のようなことである:熱が、関連する組織の熱時定数に釣り合う率で組織内に適用されるまたは組織内に発生し、場合によっては、パルス幅変調(PWM)手法が使用される。各パルス間において、組織のタイプにかかわらず、等しい量のエネルギーが供給されるまたは発生する。組織トポグラフィは未知であってもよく、したがって、同じ「治療」がいかなる場所にも適用される。しかし、疾患組織では、熱容量が低いことから、温度特性はいかなる場所でも高くなる。疾患組織はまた、熱伝導率が低くしたがって熱時定数が大きいことから、熱をより長く保持する。したがって、健全な組織はより緩やかに加熱され、また、より迅速に冷却され、このことは、この特定の用途においてまさに所望されることである。目標は、健全な組織を加熱せずに疾患組織を加熱することである。したがって、パルス間の時間量は、健全な組織が冷却されて、健全な組織が熱損傷するような特定の量を超えることがないくらいの十分な熱を消失することが可能となるように、調整され得る。
【0050】
図3は、一定のパルス率の熱またはエネルギーで健全な組織110および疾患組織120の両方を加熱する場合の、温度対時間の特性を示している。疾患組織の温度は健全な組織より迅速に上昇して緩やかに冷却されることから、健全な組織よりも大幅に熱を蓄積して治療されることになる。
【0051】
図4は、健全な組織および疾患組織の両方を有する組織に対する別の温度対時間の特性を示しており、ここでは、熱またはエネルギーは異なる率で適用される。この図は、組織の温度をより迅速に上げるために、(治療の開始時において)最初により迅速に熱を適用するまたは発生させることが可能であることを示している。これは、電力を変調することにより、または、可変パルス幅を用いたPWMにより実施され得る。この目的は、組織をより迅速に加熱して、それにより、パルス間において健全な組織が熱を消失することを可能にし、それにより、特定の温度に到達するのに(さらに、場合によっては浸透するのに)必要となる全治療時間が縮小されることである。
【0052】
時定数:
t=RC=(l/n・k)(mcp)、
ここで、健全な組織 t≒7s、そして、疾患組織 t≒14s
【0053】
熱容量:
中膜 Cp≒3.9
外膜 Cp≒3.1
脂肪 Cp≒2.4
【0054】
熱伝導率:
中膜 k≒.59
外膜 k≒.49
脂肪 k≒.20
【0055】
上記の「時定数」は熱時定数である。これは、およそ、個別の体積の所与の組織が指数関数的減衰を受けながらその熱(したがって、温度)の63%を失うくらいの長さである。熱時定数は熱伝導率に正比例する。したがって、脂肪性の疾患組織と健全な中膜組織との熱伝導率の比はおよそ2:1であることから、それらの時定数の比も2:1となる。
【0056】
健全な中膜組織の熱時定数は、32mm3の治療体積、0.5W/m/Kの熱伝導率、32mm2の熱フロント断面積(thermal front cross−sectional area)、および3.6J/g/Kの比熱容量に基づいて、7秒であると推定された。この場合、例えば、35秒、70秒などの少なくとも複数の時定数の持続時間にわたって適切な治療量のエネルギーが供給されることが望まれる。
【0057】
図5は、温度対時間に対する熱の消失効果を示している。熱消失は指数関数的減衰に従って起こることから、冷却率は時間に対して非線形的に変化する。したがって、期間は、電力およびデューティ・サイクルとの組み合わせで適切に選択される必要がある。電力および熱容量により、熱消失を度外視して、加熱の間の温度の上昇率が決定される。電力、デューティ・サイクル、熱容量および連続する熱消失率との組み合わせにより、平均の温度変化率が決定される。疾患組織210および健全な組織220はともに、熱の消失を伴わずに、熱の消失を伴う疾患組織215および健全な組織225より高い平均温度を有する。
【0058】
図5について留意すべき重要な点は、平均の電力(単位時間当たりの平均エネルギー)が、熱消失率が比較において有意となるくらいに、十分に低くなる必要があることである。言い換えると、特定の形状の健全な脈管組織が毎秒2ジュール(2ワット)の率で効率的にエネルギーを消失することができると仮定した場合、その効果を有意なものにするためには、平均のエネルギー適用率もこの程度の大きさである必要がある。
【0059】
このことは、組織の熱的性質の有意な差を有利に活用できるように、関連する熱時定数に釣り合う平均率でエネルギーを適用する本発明において、重要な点である。
【0060】
図6は、システム10を用いた組織のバイポーラ治療を概略的に示している。電極対34Aおよび34Bを有するバルーン20は、脂肪性の疾患/壊死性コア48、繊維性疾患/繊維性キャップ44、健全な組織45を有する動脈の管腔内に位置される。治療は、電極対34Aと34Bとの間のパルス・エネルギーにより、健全な組織45および脂肪性疾患/壊死性コア48、繊維性疾患/繊維性キャップ44に対して行われる。電極対はバルーン上にある任意の電極対であってよく、例えば、一部の実施形態では、電極対は、34Aおよび34C、または、34Aおよび34D、あるいは34A〜34Dの任意の組み合わせであってよい。この構成により、電極対の間の動脈組織(「リモデリング・ゾーン」)にエネルギーまたは熱(「組織リモデリング・エネルギー」)を供給するための、組織を通るエネルギー経路50が形成される。電極対の異なる組み合わせを使用することで、オーバーラップする対を使用することによりリモデリング・ゾーン間のギャップを軽減または排除することができる。バイポーラ・エネルギーと共に電極対を使用することにより、モノポーラ手法での可能性のある一部の問題を回避することができる。疾患動脈組織48は健全な動脈組織45より高い電気抵抗を有する。バイポーラ・システムにおいて電極対34A、34Bを使用することにより、エネルギー経路50が、電極対の間の、健全な組織、疾患組織、または健全な組織と疾患組織との両方の組み合わせを通過することになる。任意の数の電極対が異なるパターンまたはアレイで使用され得る。
【0061】
図7は、システム10を用いた組織のバイポーラ治療を概略的に示している。電極対34Aおよび34Bを有するバルーン20が、脂肪性疾患/壊死性コア48、繊維性疾患/繊維性キャップ44、健全な組織45を有する動脈の管腔内に位置され、1つまたは複数の電気接地(図示せず)が患者の皮膚上などに位置されて使用される。動脈の管腔の円周の周りに配置された複数のモノポーラ電極34に電力が印加されると、エネルギー54が動脈壁を介して径方向外側に伝えられ、疾患動脈組織および健全な動脈組織の両方を治療する。
【0062】
パルス・エネルギーによって組織を治療するためのカテーテル・システム10の使用法は、図8A〜8Cを参照することにより理解され得る。図8Aに見られるように、治療部位へのアクセスには、しばしば、疾患組織48の標的領域のところにある血管58内においてガイドワイヤ56を前進させることが必要となる。バルーン20の位置決定は、X線不透過性マーカによってまたはX線不透過性構造のバルーン20(または、バルーン20上またはその近傍に配置される相当するX線不透過性マーカ)によって、および/あるいは、X線不透過性電極34の使用によって、促進され得る。ガイドワイヤ56は蛍光透視鏡による(または、別の)撮像のもとで配置され得る。
【0063】
カテーテル12はガイドワイヤ56上を遠位側へと前進され、アテローム硬化性物質48に隣接するように配置される。バルーン20が血管の管腔内を径方向に拡張され、それにより、電極34、すなわち電極34Aおよび34Bが径方向において動脈組織に係合される。疾患組織48はカテーテル12を中心に偏心して分布される場合があることから、電極34は、疾患組織48、健全な組織60、またはその両方の組織の組み合わせに係合されてよい。
【0064】
上で考察したように、電極34はバルーン20の周りの円周上に配置される。パルス・エネルギーが、電極34、または隣接する電極対34Aおよび34Bに伝えられ、疾患組織48および健全な組織60の両方を治療する。コントローラ40は、約0.25ワットから5ワットの平均電力で電極を0.1秒から180秒で(すなわち、4から45ジュールで)付勢するためにパルス・エネルギーを提供することができる。電力および持続時間は、重大な損傷を引き起こす程度未満、特に血管内の組織を切除させる程度未満となるように較正される。
【0065】
次に図8Cを参照すると、上で説明したように、バルーン20は、加熱することと動脈の管腔と開くこととを組み合わせた血管形成術用バルーンであってよく、それにより、例えば、(キャップの肥厚化を誘発して、プラークが破裂しにくくするために)キャップ構造を適度に加熱するためにおよび/または(脂質に富むプールをリモデリングさせる、変性させる、溶解させる、萎縮させる、および/または、再配分させるために)不安定プラークの脂質に富むプールを加熱するために、熱が疾患組織48に優先的に供給され、同時に、健全な組織60が損傷することなく熱を消失する。
【0066】
一部の実施形態では、バルーン20は繰り返し収縮されてよく、バルーン20を再配置するためにカテーテル12を軸方向に移動させることが採用され、次いで、疾患組織に沿った複数の治療位置のそれぞれのところにおいてバルーン20が拡張される。
【0067】
本明細書に記載されるカテーテル・デバイス、システム、および方法の実施形態は、本明細書では脈管構造を参照して概して説明されるが、上で考察したように、異なる組織特性を有する組織タイプを有する、人の解剖学的組織の別の脈管の管腔での用途も見出すことができる。中にカテーテルが配置される解剖学的構造は、例えば、食道、口腔、鼻咽頭腔、耳管および鼓室、脳の静脈洞、喉頭、気管、気管支、胃、十二指腸、回腸、結腸、直腸、膀胱、尿管、射精管、精管、尿道、子宮体腔、膣管、ならびに、子宮頸管、さらには、動脈系、静脈系、および/または心臓であってよい。
【0068】
例示の実施形態を、例として理解しやすいように明確に、ある程度詳細に説明してきたが、種々の修正、適応および変更が使用され得ることを当業者であれば理解するであろう。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲のみによって限定されるべきである。
【符号の説明】
【0069】
10 カテーテル・システム; 12 バルーン・カテーテル;
14 カテーテル・ボディ; 15 カテーテル軸; 16 近位端;
18 遠位端; 20 膨張可能バルーン; 22 ガイドワイヤ管;
24 膨張管; 26、28 コネクタ; 29 ハウジング; 34 電極;
36 導体; 38 電気コネクタ; 40 コントローラ; 42 エネルギー源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組織タイプおよび第2の組織タイプの両方を含む領域である、身体の管腔に隣接する身体組織領域を加熱するための方法であって、
加熱される前記身体組織領域に隣接する前記管腔内にカテーテルのエネルギー供給部分を位置させるステップと、
前記第1の組織タイプの熱的性質に対応するパルス特性を決定するステップと、
前記第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、前記第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で前記第1の組織タイプから熱を引き出すことにより、前記身体組織領域内に前記第2の組織タイプを治療目的で処置するために、前記パルス特性を有するパルス・エネルギーを前記エネルギー供給部分から適用するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記パルス・エネルギーが前記第1の組織タイプではなく前記第2の組織タイプを優先的に加熱し、前記優先的な加熱が、前記第1の組織タイプの熱伝導より弱い熱伝導、前記第1の組織タイプの比熱容量より低い比熱容量、前記第1の組織タイプの生得の血液灌流より弱い生得の血液灌流、および/または、十分に灌流された領域と前記第1の組織タイプとの間の距離より大きい、十分に灌流された領域からの距離、という前記第2の組織タイプの特性の群のうちの1つまたは複数によって少なくとも部分的に誘発される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性の群の大部分により、前記第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、前記第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で前記第1の組織タイプから熱が引き出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パルス・エネルギーが0.25ワットから5ワットの平均率で前記身体組織領域に供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス・エネルギーの各パルスが4ジュールから45ジュールの間で前記身体組織領域に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記身体組織領域に供給されるパルス・エネルギーの平均率が、前記第1の組織タイプによるエネルギー消失率の約0.1倍と10.0倍の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
パルス間の時間により、前記第1の組織タイプが、前記パルス・エネルギーにより前記第1の組織タイプが熱損傷されるのを回避するように、十分な熱を消失することが可能となる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エネルギーのパルス間の前記時間が0.1秒と180秒の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の組織タイプの熱時定数が、個別の体積の所与の組織が指数関数的減衰を受けながらその熱の63%を失うくらいの長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス・エネルギーが、第1の組織タイプの少なくとも複数の時定数の持続時間にわたって前記身体組織領域へと供給され、前記第1の組織の前記熱時定数が前記第1の組織タイプの熱伝導率に比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱時定数が前記第1の組織タイプの熱伝導率に比例する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の組織タイプの前記熱伝導率が前記第1の組織タイプの前記熱伝導率の2倍である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
エネルギー源が無線周波(RF)エネルギー源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記エネルギー供給部分が、前記身体の管腔に面する複数の電極面に係合される径方向に拡張可能な構造を有し、前記身体の管腔に面する前記複数の電極面により、前記第1の組織タイプおよび前記第2の組織タイプを含む複数の回路が完成され、パルス・エネルギーが前記複数の回路に供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エネルギー源がレーザ・エネルギー源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記エネルギー供給部分が径方向に方向付けられた少なくとも1つの窓を有し、前記窓が、前記身体組織領域にパルス・レーザ・エネルギーを伝達するための、カテーテル・ボディの近位端と前記少なくとも1つの窓との間に延在する少なくとも1つの光学経路に結合される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エネルギー源が、パルス超音波エネルギーを前記身体組織領域に供給するように構成された超音波送信機を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー源が、パルス・マイクロ波エネルギーを前記身体組織領域に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含むマイクロ波エネルギー源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第1の組織タイプおよび第2の組織タイプの両方を含む領域である、身体の管腔に隣接する身体組織領域を加熱するためのカテーテル・システムであって、
近位端および遠位端を有し且つそれら間に軸を持つ細長い可撓性のカテーテル・ボディと、
前記遠位端に近位するエネルギー供給部分と、
前記エネルギー供給部分に結合されるエネルギー源と、
前記エネルギー源に結合されるプロセッサであって、前記第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、前記第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で前記第1の組織タイプから熱を引き出すことにより、前記身体組織領域内の前記第2の組織タイプを治療目的で処置するために、前記エネルギー源から前記エネルギー供給部分へ伝達されるパルス・エネルギーのパルス特性を制御するように構成される、プロセッサと
を有する、カテーテル・システム。
【請求項20】
前記パルス・エネルギーが前記第1の組織タイプではなく前記第2の組織タイプを優先的に加熱し、前記優先的な加熱が、前記第1の組織タイプの熱伝導より弱い熱伝導、前記第1の組織タイプの比熱容量より低い比熱容量、前記第1の組織タイプの生得の血液灌流より弱い生得の血液灌流、および/または、十分に灌流された領域と前記第1の組織タイプとの間の距離より大きい、十分に灌流された領域からの距離、という前記第2の組織タイプの特性の群のうちの1つまたは複数によって少なくとも部分的に誘発される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記特性の群の大部分により、前記第2の組織タイプ内に熱を構築しながら、前記第1の組織タイプを有意に熱損傷させるのを回避するような率で前記第1の組織タイプから熱が引き出される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記パルス・エネルギーが0.25ワットから5ワットの平均率で前記身体組織領域に供給される、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記パルス・エネルギーの各パルスが04ジュールと45ジュールの間で前記身体組織領域に提供される、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記身体組織領域に供給されるパルス・エネルギーの平均率が、前記第1の組織タイプによるエネルギー消失率の約0.1倍と10.0倍の間である、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
パルス間の時間により、前記第1の組織タイプが、前記パルス・エネルギーにより前記第1の組織タイプが熱損傷されるのを回避するように、十分な熱を消失することが可能となる、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
パルス・エネルギーのパルス間の前記時間が0.1秒と180秒の間である、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の組織タイプの熱時定数が、個別の体積の所与の組織が指数関数的減衰を受けながらその熱の63%を失うくらいの長さである、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記パルス・エネルギーが、第1の組織タイプの少なくとも複数の時定数の持続時間にわたって前記身体組織領域へと供給され、前記第1の組織の前記熱時定数が前記第1の組織タイプの熱伝導率に比例する、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記第2の組織タイプの熱伝導率が前記第1の組織タイプの熱伝導率の2倍である、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記エネルギー源が無線周波(RF)エネルギー源を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
前記エネルギー供給部分が、前記身体の管腔に面する複数の電極面に係合される径方向に拡張可能な構造を有し、前記身体の管腔に面する前記複数の電極面により、前記第1の組織タイプおよび前記第2の組織タイプを含む複数の回路が完成され、パルス・エネルギーが前記複数の回路に供給される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記エネルギー源がレーザ・エネルギー源を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項33】
前記エネルギー供給部分が径方向に方向付けられた少なくとも1つの窓を有し、前記窓が、前記身体組織領域にパルス・レーザ・エネルギーを伝達するための、前記カテーテル・ボディの近位端と前記少なくとも1つの窓との間に延在する少なくとも1つの光学経路に結合される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記エネルギー源が、パルス超音波エネルギーを前記身体組織領域に供給するように構成された超音波送信機を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記エネルギー源が、パルス・マイクロ波エネルギーを前記身体組織領域に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含むマイクロ波エネルギー源を含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2012−509101(P2012−509101A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536440(P2011−536440)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/064027
【国際公開番号】WO2010/056745
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.イーサネット
【出願人】(506085228)ミノウ・メディカル・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】