説明

経過時間分類装置、経過時間分類システム、及び経過時間分類方法

【課題】作業時間など経過した時間を所定の項目に分類する経過時間分類装置であって、ユーザーが容易に使用できると共に、経過時間の記録をもれなくかつ正確に行なうことのできる経過時間分類装置等を提供する。
【解決手段】経過時間分類装置が、所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記筐体の向きを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業時間など経過した時間を所定の項目に分類する経過時間分類装置等に関し、特に、ユーザーが容易に使用できると共に、経過時間の記録をもれなくかつ正確に行なうことのできる経過時間分類装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会社等においては、勤怠管理、業務改善などの目的から従業員が行った作業について作業項目毎に分類して作業時間を記録することが行われる。
【0003】
かかる作業時間の分類、記録は、一般的には、作業の終了後に、作業者が紙の帳票等に記入する、あるいは、コンピューターに入力する、という方法で行なわれる。そして、所定の期間で記録された作業時間を集計し、目的に応じた利用を行う。
【0004】
また、下記特許文献1では、作業者の学習時間を短縮して作業の効率化を図る等の目的で、音声を用いた音声作業指示装置について提案されている。
また、下記特許文献2では、作業時間の計測作業を容易にすることを目的とした、携帯通信端末を用いた計測データ処理装置等について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−123482号公報
【特許文献2】特開2003−345978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した作業者による事後の記入又は入力での経過時間の管理方法では、時間が不正確になりがちであり、記録することが忘れられてしまう虞もあり、さらに、当該行為は作業者にとって煩わしいものであった。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の方法では、音声を用いるので音声を発せられない環境においては用いることができない。
【0008】
また、上記引用文献2に記載の方法では、携帯通信端末という電子機器を用いるので、作業者の操作がそれほど容易であるとは言えない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、作業時間など経過した時間を所定の項目に分類する経過時間分類装置であって、ユーザーが容易に使用できると共に、経過時間の記録をもれなくかつ正確に行なうことのできる経過時間分類装置、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、経過時間分類装置が、所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記筐体の向きを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する制御手段とを有する、ことである。
【0011】
更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記筐体の面に対応付けられる項目が、対応する前記面に目視可能に表示される、ことを特徴とする。
【0012】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記筐体は、正多面体あるいは正多角柱の形状である、ことを特徴とする。
【0013】
更にまた、上記の発明において、その好ましい態様は、更に、前記筐体に設けられ、前記経過時間分類装置の作動状態についてユーザーに報知するための報知手段を有する、ことを特徴とする。
【0014】
更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記制御手段は、前記筐体内にあり、有線又は無線で外部機器と通信を行う、ことを特徴とする。
【0015】
また、上記の発明において、一つの態様は、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果が安定していない状態の間の時間を、前記筐体の面に対応付けられていない別の項目の時間として計測する、ことを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、経過時間分類システムが、所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記筐体の向きを検出する検出手段と、前記筐体内に設けられ、前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する制御手段とを備える経過時間分類装置と、前記経過時間分類装置と通信して、前記制御手段が計測した時間のデータを受信し、当該データの集計処理を行うデータ処理装置と、を有する、ことである。
【0017】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記経過時間分類装置の筐体は、各面に、前記制御手段によって制御され、表示内容が可変である表示手段を備え、前記表示手段は、当該表示手段が備えられる前記面に対応付けられる項目を、前記データ処理装置から送信される情報に基づいて表示する、ことを特徴とする。
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、前記筐体内に設けられる検出手段と、前記検出手段の検出結果を受け取る制御手段とを有する装置における経過時間分類方法が、前記検出手段が、前記筐体の向きを検出する検出工程と、前記制御手段が、前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する計測工程とを有する、ことである。
【0019】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した経過時間分類装置の一つの実施形態例に係る外観図である。
【図2】筐体1の各面に記載される作業項目の一例を示した図である。
【図3】本経過時間分類装置10及び経過時間分類システム100の本実施の形態例に係る構成図である。
【図4】経過時間分類装置10の制御部3が行う処理の手順を例示したフローチャートである。
【図5】各作業項目のカウンターの値を例示した図である。
【図6】筐体1が多角柱である場合を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0022】
図1は、本発明を適用した経過時間分類装置の一つの実施形態例に係る外観図である。図1に示す経過時間分類装置10が本実施の形態例に係る装置であり、サイコロ状の形態をした筐体1の各面に1つの作業項目が記載され、当該筐体1内に設けられた向き検出器2及び制御部3(ここでは図示せず)により、その時点で上を向いている面が認識されて、その状態でいる経過時間を当該面に記載されている作業項目の経過時間として記録する、ことにより、作業者が直感的に用いることができ、正確且つ漏れのない経過時間の記録及び分類を実現しようとするものである。
【0023】
本経過時間分類装置10は、図1に示すように、正六面体の形状をした筐体1と、後述する当該筐体1に内蔵された検出器2、制御部3、及びインターフェース4と、筐体1の各面に設けられたランプ5と、通信ケーブル6を備える。
【0024】
当該経過時間分類装置10は、作業者1人に対して1つ与えられ、例えば、机上に置かれて使用される。上述のとおり、筐体1の各面には一つの作業項目、例えば「設計中」、が記載される。従って、本実施形態例では、6つの作業項目が記載されている。この作業項目は、使用する作業者の作業内容に即したものとなっており、作業者の担当業務によって記載される内容が異なる。
【0025】
図2は、筐体1の各面に記載される作業項目の一例を示した図である。図2に示す例は、(a)がソフトウェアの設計者用のものであり、(b)がその管理者(例えば、課長)用のものである。従って、ソフトウェア設計者用の経過時間分類装置10には、筐体1の各面に(a)に示す6つの作業項目が一つずつ示され、同様に、管理者用の経過時間分類装置10には、筐体1の各面に(b)に示す6つの作業項目が一つずつ示される。
【0026】
なお、当該作業項目の筐体1各面への記載については、筐体1自身に恒久的にプリントされてもよいし、書き換え可能に記載されてもよい。また、各面に、紙などの薄いものを挿入する透明の袋状の挿入部を設け、当該挿入部に上記各作業項目を記載した紙などを挿入するようにしてもよい。
【0027】
また、筐体1に内蔵される、検出器2及び制御部3では、上述のように経過時間の分類及び記録を行うが、その具体的内容については後述する。作業者は、上述のとおり、上を向いている面に記載された作業項目として経過時間が計測されるので、作業内容を変更する際に、相応しい項目が上に来るように当該経過時間分類装置10の向きを変えて机上に置き、作業を開始する。
【0028】
筐体1には、また、各面にランプ5が設けられる。当該ランプ5は、本経過時間分類装置10の作動状態をユーザー(作業者)に報知するためのものである。具体的には、まず、上を向いている面のランプ5が点燈し、図1に示す例では、上を向いている「設計中」の面においてランプ5を点燈し、当該経過時間分類装置10が作動中であり、その面に記載された作業項目について作業時間が計測されている、ことをユーザーに知らせる。また、長時間にわたって同じ面が上を向いている場合には、ランプ5を点滅させ、経過時間分類装置10の使用(向きを変えること)を忘れていないかをユーザーに喚起する。なお、当該ランプ5を、必ずしも全ての面に備える必要はなく、例えば、所定の3面に備えるようにすることができる。また、面内の設置位置も図1に例示した位置としなくてもよい。
【0029】
また、経過時間分類装置10には、通信ケーブル6が備えられ、筐体1内のインターフェース4と後述するデータ処理用コンピューター7とが接続される。当該通信ケーブル6は、制御部3が実行する経過時間の計測結果をデータ処理用コンピューター7に出力する際などに用いられる。なお、通信ケーブル6は、常にデータ処理用コンピューター7と接続されている必要はなく、上記出力の際にユーザーが接続するようにしてもよい。また、データ処理用コンピューター7と経過時間分類装置10との通信を無線で行うようにしてもよい。
【0030】
図3は、本経過時間分類装置10及び経過時間分類システム100の本実施の形態例に係る構成図である。なお、経過時間分類システム100とは、経過時間分類装置10とデータ処理用コンピューター7を含むシステムである。
【0031】
前述のとおり、筐体1内には、向き検出器2、制御部3、及びインターフェース4が備えられる。向き検出器2は、筐体1(すなわち、経過時間分類装置10)の置かれている向きを所定タイミングで検出し、検出結果を制御部3に出力する部分である。具体的には、当該向き検出器2として、一般に使用される3軸加速度センサーを用いることができる。この場合、3軸加速度センサーは所定の時間間隔で重力の向きを3次元のデータ(x、y、z成分を持ったデータ)として出力する。また、3軸加速度センサーのほかに、傾斜センサー、ジャイロセンサー等を向き検出器2として用いてもよい。さらに、向き検出器2として、筐体1の各面に、接触したことを感知するスイッチを設け、当該スイッチによって下を向いている面を検出するようにしてもよい。
【0032】
次に、制御部3は、向き検出器2から出力される上記向きのデータに基づいて、経過時間を筐体1の各面に記載される作業項目毎に分類して記録する部分である。具体的には、前述のとおり、経過時間を、その時に上を向いている面に記載されている作業項目の経過時間として計測して所定期間記憶し、所定のタイミングで当該記憶したデータをデータ処理用コンピューター7に出力する。かかる処理の具体的手順は、後述する。
【0033】
なお、制御部3は、いわゆるマイコンで構成することができ、図3に示すように、CPU31、ROM32、RAM33等が備えられる。上述した処理は、主に、ROM32に格納されたプログラムに従ったCPU31の動作で実行される。また、上記計測結果のデータはRAM33等に記憶される。
【0034】
また、当該制御部3は、前述したランプ5の点燈も制御する。
【0035】
インターフェース4は、制御部3とデータ処理用コンピューター7とを繋ぐ部分であり、通信様式の変換機能を有する。例えば、制御部3側がシリアル通信で、データ処理用コンピューター7側の通信ケーブル6での通信がUSB通信である場合には、両者の変換器として構成することができる。なお、制御部3とデータ処理用コンピューター7との間の通信は他の方式としても構わない。
【0036】
データ処理用コンピューター7は、制御部3から出力される経過時間の計測データを受信して、そのデータに必要なデータ処理を施す部分である。具体的には、例えば、受信したデータを蓄積しておいて、1日分のデータを集計することにより、1日分の作業項目毎の作業時間を求め、その集計データを他のアプリケーションに引き渡す処理、などを実行する。なお、当該データ処理用コンピューター7は、パーソナルコンピューターやサーバーシステムで構成することができる。従って、上記処理は、主に、プログラムに従った制御装置(CPU)の動作で実行される。また、上述の受信データ、集計データはコンピューターが備える記憶装置(HDDなど)に記憶される。
【0037】
次に、以上説明をしたような構成を有する本経過時間分類装置10における処理内容を具体的に説明する。図4は、経過時間分類装置10の制御部3が行う処理の手順を例示したフローチャートである。
【0038】
まず、経過時間分類装置10の電源がオンにされると(ステップS1)、制御部3では、各作業項目別に設けた経過時間のカウンターをリセットする(ステップS2)。ここで、作業項目別のカウンターとは、前述した筐体1の各面に記載された(対応付けられた)6つの作業項目の各項目に対して設けられた、経過時間の累計値をカウントする6つのカウンターのことであり、例えば、RAM33の所定領域に設けられる。そして、リセットされた後の初期値は、0(例えば、秒)であり、後述するデータ処理用コンピューター7への出力処理が行なわれるまで、時間経過と共に適切なカウンターの値がカウントアップされる。
【0039】
図5は、当該カウンターの値を例示した図である。前述のとおり、ここでは、筐体1が6面を有し、図2に例示したような6つの作業項目があるので、それらの一つずつにカウンターが設けられる。図5の1−6の番号は、図2における番号と対応している。従って、ここに示す例では、図2の(a)に示す作業項目の場合、「レビュー中」の経過時間として7200(秒)が、また、「休憩中」の経過時間として3600(秒)が記録されていることになる。
【0040】
次に、制御部3は、向き検出器2から出力される、前述した向きを示す検出値を取得する(ステップS3)。そして、制御部3は、当該取得した検出結果に基づいて、この時点で上を向いている筐体1の面を特定する(ステップS4)。向き検出器2の筐体1内での取り付け方向が決まっているので、向き検出器2の検出結果と検出時に上を向いている面との対応関係は、すなわち、検出結果と作業項目の対応関係は、予め定めておくことができ、その対応関係をROM32等に記憶しておくことができる。上記面の特定は、この対応関係を基に行われる。
【0041】
また、制御部3は、当該特定した面に設けられる前記ランプ5を点燈する。当該点燈により、ユーザーは、経過時間分類装置10が作動し、今、上を向いている面に記載された作業項目として経過時間が計測されていることを認識する。
【0042】
次に、制御部3は、データ処理用コンピューター7への出力タイミングではないこと(ステップS5のNo)及び電源がオフにされていないこと(ステップS6のNo)を確認した場合には、所定の時間後(例えば、10秒後)に向き検出器2から出力される検出値を取得する(ステップS7)。より正確には、前回の検出値の取得、ここでは、上記ステップS3から所定時間後に今回の取得がなされる。
【0043】
制御部3は、今回取得した検出値と、すなわち、筐体1の置かれている向きと、前回の検出値を比較し、変化がなければ(ステップS8のNo)、この時点で上を向いている面(に記載の作業項目)の前述したカウンターにおいて上記所定時間分のカウントアップを行う(ステップS9)。具体的には、例えば、「レビュー中」のカウンターの値が0から10にカウントアップされる。なお、この時点で上を向いている面とは、ステップS4において直前に特定した面のことである。
【0044】
その後、処理はステップS5に戻り、出力タイミングではなく(ステップS5のNo)、電源がオフにされていなければ(ステップS6のNo)、ユーザーが経過時間分類装置10の向きを変える(ステップS8のYes)まで、上述したステップS7−S9が繰り返し実行される。すなわち、同じ作業項目のカウンターの値が、順次、上記向き取得の時間間隔分(例えば、10秒)ずつカウントアップされていく。これにより、上を向いている面に記載された作業項目の、今回の継続される作業時間が計測されていくことになる。
【0045】
その後、ユーザーが作業内容を変更し、これから開始する作業項目が上に来るように、当該経過時間分類装置10の置く向きを変えた場合には、前述したステップS8の比較において、向きの検出値が前回の値と変化するので(ステップS8のYes)、処理がステップS4に移行し、制御部3は、再度、前述した面の特定処理及びランプ5の点燈処理を実行する。
【0046】
その後、同様に、出力タイミングではなく(ステップS5のNo)、電源がオフにされていなければ(ステップS6のNo)、再度、ユーザーが経過時間分類装置10の向きを変える(ステップS8のYes)まで、当該特定された面の作業項目について経過時間が計測されることになる。
【0047】
かかる処理が繰り返される中で、出力タイミングになれば(ステップS5のYes)、制御部3は、データ処理用コンピューター7への出力処理を実行する(ステップS10)。ここで、出力タイミングには、各種のタイミングを採用することが可能である。例えば、所定時間(例えば、1時間)が経過したこと、ユーザーが経過時間分類装置10の向きを変えたこと、接続されていなかった前記通信ケーブル6が経過時間分類装置10とデータ処理用コンピューター7との間で接続されたこと、ユーザーがデータ処理用コンピューター7から指示をしたこと、などを上記出力タイミングとすることができる。
【0048】
そして、出力処理では、制御部3はその時点の全カウンターの値を、すなわち、全作業項目のそれぞれの計測時間を前述したインターフェース4を介してデータ処理用コンピューター7に送信する。なお、ここでは、作業項目とその計測された経過時間が対応付けられて送信されるが、経過時間分類装置10の向き変更により作業項目が変更された回数、同じ作業項目について連続して計測された時間等の情報も記憶しておき、これらの情報もデータ処理用コンピューター7に送信するようにしてもよい。
【0049】
かかる出力処理の後、処理はステップS2に戻り、前述のとおり、各カウンターがリセットされて、同様の処理が繰り返される。すなわち、各カウンター値が0に戻り、再度、経過時間の計測が開始される。
【0050】
そして、ユーザーにより当該経過時間分類装置10の電源がオフにされた場合には(ステップS6のYes)、制御部3は、上述したステップS10と同様の出力処理を実行して(ステップS11)、今回の作動期間の処理を終了する。なお、電源のオン/オフは経過時間分類装置10に備えられる電源スイッチ(図示せず)用いて、又は、データ処理用コンピューター7から行なうようにすることができる。かかる出力処理(S11)を行うことによって今回の作動中の全ての計測データをデータ処理用コンピューター7に渡すことができる。なお、この出力処理(S11)を行わない場合には、制御部3に不揮発性のメモリを設け、その時点の全カウンター値をここに記憶し、次回の作動時に直ぐに出力処理を行うか、あるいは、不揮発性のメモリに記憶された値を初期値として計測を開始するようにすることもできる。
【0051】
また、制御部3は、作動中に、筐体1の同じ面が連続して上を向いている時間を計測し、その時間が所定の長時間を超える場合には、前述したランプ5の点燈を点滅に変えるようにする。もし、ユーザーが経過時間分類装置10の向きを変えることを忘れていた場合には、この点滅によってそのことに気づくことができる。ただし、作用項目が「帰宅」である面など、対応付けられた作業項目が長時間にわたることが通常である面についてはこの点滅を行わない。
【0052】
また、前記出力処理によって送信されたデータは、データ処理用コンピューター7で受信され、ここで、前述したように、作業時間の集計処理などを行う。集計後のデータは、必要に応じ、勤怠管理用のアプリケーションに渡されたり、業務改善用のデータとして利用される。
【0053】
次に、上述した本実施の形態例の変形例について説明する。まず、経過時間分類装置10の筐体1の形状について、上記形態例では6面体であったが、作業項目の数などに応じ、これとは面の数の異なる多面体としてもよい。例えば、作業を4つの項目に分類したい場合には、4面体とすることができる。また、正多面体を採用することにより、どの面も均等となり、ユーザーの向きを変える(回転する)操作がしやすく、わかりやすいというメリットが得られる。
【0054】
また、形状を多角柱にしてもよい。図6は、筐体1が多角柱である場合を例示した図である。図6の(a)は、筐体1が正六角柱である場合を示している。この場合、Aで示す6つの側面には、6つの実際の作業項目を対応付け(記載し)、Bで示す底面と上面には、例えば、「休憩中」と「帰宅」を対応付けるといったことができる。このように、多角柱とした場合、面が2種類に分類されるため、経過時間を分類する項目をまず2つに大別する場合に便利である。また、正多角柱にすることにより、上記正多面体の場合と同様のメリットを得られる。
【0055】
また、図6の(b)は、正六角柱の筐体1が所定の台に取り付けられる変形例を示しており、筐体1が正六角柱の中心線(図中のE)を軸として回転可能に設けられる。図示していないが当該中心線に軸棒が設けられ、その両端が架台Dにおいて回転自在に設置されるように構成される。従って、この例では、筐体1がじかに机上等に置かれずに空中に浮いた状態となる。ユーザーは、筐体1を上記軸棒のまわりに回転させて上向きの面を変更する。なお、この場合には、Cで示す六角柱の側面にのみ作業項目が記載される。
【0056】
これら筐体1の形状に係る変形例においては、その他の点は上述した実施の形態例と同様である。
【0057】
また、筐体1の面の数よりも作業項目の数の方が少ない場合には、作業項目のない面を作らずに、「帰宅」などの項目で全ての面に作業項目を対応付けることが好ましい。これにより、同じ項目が複数面に記載されることになるが、経過時間の計測においてもれをなくすことができる。
【0058】
さらに、別の変形例として、筐体1の面と対応付けないもう一つの項目「移動中」を追加することができる。経過時間分類装置10がデータ処理用コンピューター7と切り離すことが可能で可搬性のある態様である場合に、前述した向き検出器2の出力が安定しない状態においては、その状態での経過時間を、制御部3はこの「移動中」の時間として計測するようにする。例えば、上記実施の形態例における6面体の形状でこの項目を追加した場合には、7つの作業項目に経過時間が分類されることになる。上記向き検出器2の出力が安定しない状態は、前述した向きの取得の度に前回の値と変化していることが続けば、この7つ目の作業項目に特定し、前回の値と変わらない状態になるまでこの項目の経過時間として上記カウントアップを行う。当該変形例は、移動の多いユーザーに適している。
【0059】
また、別の変形例として、経過時間分類装置10の制御部3が行っていた面の特定及び時間の計測を、データ処理用コンピューター7側で行わせるようにしてもよい。この場合、向き検出器2の出力が制御部3で蓄積され、所定のタイミングでそのままデータ処理用コンピューター7へ送信される。
【0060】
さらに、別の変形例として、筐体1の各面に表示内容を変更可能な液晶ディスプレイ等の表示手段を設けてここに作業項目を表示してもよい。この場合、表示される内容は制御部3によって制御されるが、表示内容を変更可能であるため、同じ装置を作業項目の異なる別のユーザーに使用することができ、また、個人用としても作業項目が変更になった場合に対応可能である。また、各面に表示する作業項目は、ユーザーと作業項目を対応付けるテーブルをデータ処理用コンピューター7側に用意しておき、当該コンピューターにおいて、ユーザーの識別情報を入力することにより上記テーブルの対応する作業項目の情報が経過時間分類装置10へ送信され、その情報に基づいて制御部3が表示する、ようにすることができる。また、当該表示手段には、その面が上になっている状態での経過時間を合わせて表示するようにしてもよい。
【0061】
また、長時間面の変更がない場合の警告として上記実施の形態例ではランプ5の点滅を用いたが、その旨の音声を出す、データ処理用コンピューター7においてその旨のメッセージを表示する、等の方法を取ってもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態例及びその変形例における経過時間分類装置は、筐体に作業項目が記載(表示)されており机上等に置かれているので、ユーザーが直ぐにそれを認識でき、直感的に使用することができる。また、面の向きを変えるだけで作業項目が切り換えられ、今選択されている項目が直ぐに目視できるので、使用されないこと及び誤った項目を選択してしまうことを防ぐことができる。さらに、空の面がないようにすることにより、常にいずれかの項目が選択され、計測のもれをなくすことができる。また、長時間面の変更がない場合には警告が発せられるので、この点でも計測のもれをなくすことができる。
【0063】
このようなことから、経過時間を分類して計測することに関して、従来よりもユーザーフレンドリーな装置が提供され、使用率及び計測データの精度の向上が望めるため、当該装置で取得されたデータの利用先においても、より適確な分析や管理を行うことが可能となる。
【0064】
なお、本実施の形態例では、経過時間を作業項目に分類する場合であったが、本発明は、経過時間を所定の指標における各項目に分類する際に用いることができ、例えば、共通の装置を複数人で使用する場合に、当該装置の使用時間を使用した人毎に分類するような場合にも使用できる。かかる場合には、当該装置を使用する際に、そのユーザーは自分の名前が記載された面を上にした後に使用を開始するようにする。
【0065】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【符号の説明】
【0066】
1 筐体、 2 向き検出器(検出手段)、 3 制御部(制御手段)、 4 インターフェース、 5 ランプ(報知手段)、 6 通信ケーブル、 7 データ処理用コンピューター(データ処理装置)、 10、経過時間分類装置、 31 CPU、 32 ROM、 33 RAM、 100 経過時間分類システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記筐体の向きを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する制御手段とを有する
ことを特徴とする経過時間分類装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記筐体の面に対応付けられる項目が、対応する前記面に目視可能に表示される
ことを特徴とする経過時間分類装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、
前記筐体は、正多面体あるいは正多角柱の形状である
ことを特徴とする経過時間分類装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、更に、
前記筐体に設けられ、前記経過時間分類装置の作動状態についてユーザーに報知するための報知手段を有する
ことを特徴とする経過時間分類装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、
前記制御手段は、前記筐体内にあり、有線又は無線で外部機器と通信を行う
ことを特徴とする経過時間分類装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果が安定していない状態の間の時間を、前記筐体の面に対応付けられていない別の項目の時間として計測する
ことを特徴とする経過時間分類装置。
【請求項7】
所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記筐体の向きを検出する検出手段と、
前記筐体内に設けられ、前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する制御手段と
を備える経過時間分類装置と、
前記経過時間分類装置と通信して、前記制御手段が計測した時間のデータを受信し、当該データの集計処理を行うデータ処理装置と、を有する
ことを特徴とする経過時間分類システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記経過時間分類装置の筐体は、各面に、前記制御手段によって制御され、表示内容が可変である表示手段を備え、
前記表示手段は、当該表示手段が備えられる前記面に対応付けられる項目を、前記データ処理装置から送信される情報に基づいて表示する
ことを特徴とする経過時間分類システム。
【請求項9】
所定の項目が対応付けられた面を複数有する筐体と、前記筐体内に設けられる検出手段と、前記検出手段の検出結果を受け取る制御手段とを有する装置における経過時間分類方法であって、
前記検出手段が、前記筐体の向きを検出する検出工程と、
前記制御手段が、前記検出手段の検出結果に基づいて、所定方向を向いている前記筐体の面を特定し、当該特定した面に対応付けられている前記項目について、前記特定した面が前記所定方向を向いている間の時間を計測する計測工程とを有する
ことを特徴とする経過時間分類方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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