説明

結束装置

【課題】藁束の排出時にドアに藁束の重みが作用した場合にも、二度打ちの発生を防止することが可能な結束装置を提供する。
【解決手段】結束装置1は、案内された排藁を集束するためのパッカー11及びドア16、集束した排藁を結束する結束部35、結束した藁束を放出するスイーパ31等を備えて構成される。ドア16と一体に固定されたドアアーム17には、突起部23が備えられており、該突起部23とブラケット24との間に亘ってドア補助用スプリング20が配置されている。これにより、ドア16が閉じ動作に入った際、ドア16がドア補助用スプリング20により充分な力で閉じる方向に付勢され、ドア16に藁束の力(重み)が作用してしまう場合でも、ドア16の正常な閉じ動作を行うことができ、1回転クラッチのスイッチを正常に作動させることができて、二度打ちを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンバイン等に用いられる結束装置に係り、詳しくは例えばコンバイン等から送出される排藁を往復動するパッカーによりドアに対して藁束として集束し、藁束の圧力に基づきドアを開放しつつ、結束紐により結束して外部に放出する結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンバイン等に用いられる結束装置においては、コンバイン等から順次送出されてくる排藁を集束するためのパッカーとドアとの間に集束空間が形成されており、パッカーにより排藁が該集束空間に集束され、集束された排藁の圧力がドアに作用した際にクラッチが作動し、該クラッチの作動に連動してニードルが作動して、該ニードルから供給される結束紐により集束された排藁を藁束として結束し、さらに、クラッチの作動に連動してドアが開放されると共にスイーパが作動されることで、藁束を該スイーパによって開放されたドアを介して機外に放出する構造となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平1−247010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような結束装置は、ドアに接続されたリンク機構を有しており、該リンク機構には、集束された排藁に基づいた所定の圧力がドアを介して作用した際に上記クラッチを接続させるドア圧を設定する役割となるクラッチスプリングが備えられている。これにより、該結束装置は、所定量の排藁が集束されるとクラッチが作動し、結束・放出を行う動作によって所定量の藁束を繰り返し放出するように構成されている。
【0005】
一方、近年、コンバイン等の穀稈の処理能力がアップし、これに伴い搬送される藁の量も増加するため、結束装置では、結束する藁束の大きさも大きくすることが望まれており、このため、ドアの配置を後方(藁束を放出する)側に位置を変更し、つまり上記集束空間を大きくすることが考えられる。このようにドアの配置を後方側に変更する場合、上述したような複雑な機構を備えた結束装置にあって、ニードルやスイーパ等の各部が連動したリンク機構の設計までを全て見直すといった設計変更はコストアップにつながる虞がある。従って、上記リンク機構にあっては、ドアと接続するアーム部分を延長し、ドアを回動支点に対して遠ざけるように配置することが考えられる。
【0006】
しかし、このようにドアを回動支点に対して遠ざけた場合、放出時の藁束の通過とドアを閉じるタイミングとが近づき、ドアに藁束が引っ掛りやすくなるという問題がある。このように閉じようとするドアに藁束の力が作用してドアが押されると、クラッチが再度接続されて、所定量の排藁が集束されないうちに結束・放出動作をしてしまう「二度打ち」が発生して、通常よりも小さい藁束が放出されてしまうことがあるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、ドアが閉じる方向に作用するスプリングを備えることで、ドアの正常な閉じ動作を可能とし、もって上記課題を解決した結束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図7参照)、往復動するパッカー(11)と、該パッカー(11)との間で藁束を集束するドア(16)と、該ドア(16)に作用する藁束の圧力により接続して該ドア(16)を開放し、1回転して該ドア(16)を閉じる1回転クラッチ(5)と、を備えてなる結束装置(1)において、
前記1回転クラッチ(5)が回転して前記ドア(16)を閉じる際に、該ドア(16)が閉じる方向に作用するスプリング(20)を備える、
ことを特徴とする結束装置(1)にある。
【0009】
請求項2に係る本発明は(例えば図1乃至図4参照)、前記スプリング(20)は、前記ドア(16)に作用する藁束の圧力により前記1回転クラッチ(5)を接続するまでは付勢力が作用せず、前記ドア(16)が閉じ方向に回転する際に付勢力が作用するように構成されてなる、
請求項1記載の結束装置(1)にある。
【0010】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明によると、1回転クラッチが回転してドアを閉じる際に、該ドアが閉じる方向に作用するスプリングを備えているので、ドアの配置を後方側に位置を変更し、閉じ動作に入ったドアに藁束の力(重み)が作用してしまう場合でも、該ドアを該スプリングにより充分な力で閉じる方向に付勢することができ、ドアの正常な閉じ動作を行うことができて、二度打ちを防止することができる。
【0012】
請求項2に係る本発明によると、上記スプリングは、ドアに作用する藁束の圧力により1回転クラッチを接続するまでは付勢力が作用せず、ドアが閉じ方向に回転する際に付勢力が作用するので、1回転クラッチが接続するまでの動作に影響せず、上記スプリングを配設したことによって生じるリンク機構(特にドア圧を設定するクラッチスプリング)の設計変更を不要とすることができるものでありながら、ドアが閉じる際にあっては、ドアの正常な閉じ動作を行うことができて、二度打ちを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に関する第1の実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。
【0014】
結束装置1は、図1及び図2に示すように、ノッタフレーム2を有しており、該ノッタフレーム2の内部には、排藁を案内する案内板3、案内された排藁を集束するためのパッカー11とドア16、集束した排藁を結束する結束部35、結束した藁束を放出するスイーパ31等を備えて構成される。また、X1−X2方向において該パッカー11とドア16との間で、かつ上下方向において該結束部35と案内板3との間に集束空間7が形成されている。さらに、案内板3の下方側には、ニードル15や該ニードル15、パッカー11及びドア16の駆動機構となる1回転クラッチ5(図4参照)が配置されて構成される。
【0015】
上記結束部35は、ホルダ36やビル37等を備え、上記ニードル15と共に、1回転クラッチ5の作動と連動して集束された藁束の結束を行うように構成されている。上記スイーパ31は、該結束部35により結束された藁束を機外に放出するように構成されている。そして、該結束部35及び該スイーパ31は、詳しくは後述する1回転クラッチ5の動作に連動して作動するように構成されている。
【0016】
上記パッカー11は、集束空間7のX1方向側に配置され、中央接続部12においてクランクアーム26と回転自在に接続し、該クランクアーム26は、ノッタフレーム2に対して回転自在に支持されたパッカー軸13に一体に接続されている。また、パッカー11は、下方接続部(図示せず)においても、アーム(図示せず)に回転自在に接続されており、該アームはノッタフレーム2に対して回転自在に支持されたニードルクランク軸71(図4参照)と接続されている。そして、パッカー11は、その先端部分が一点鎖線28のような軌跡を描く運動をするように構成されている。
【0017】
上記ドア16は、集束空間7のX2方向側に配置され、ドアアーム17に一体に接続されており、該ドアアーム17は、クラッチ軸27に回転自在に支持され、ドア16とは反対側の端部には、突起部23が備えられている。なお、ドア16は、藁束を集束する集束空間7を広く確保するため、垂直な位置から角度αだけ傾けて配置されている。また、該突起部23と該ドア16の略々下方位置でノッタフレーム2に対して固定されたブラケット24との間に亘ってドア補助用スプリング(スプリング)20が配置されており、ドア16が開放する方向に回動すると、ドアアーム17がクラッチ軸27との接続部分を支点に回動し、突起部23がドア補助用スプリング20をX1方向側に引張るように構成されている。
【0018】
なお、該ドア補助用スプリング20のX1方向側の端部は、孔部21が形成されており、上記突起部23が該孔部21に係合している。そして、ドア16が閉じた状態ではドア補助用スプリング20も縮みきった状態であり、図1に示すように、ドア16が角度βだけ回動する範囲、つまり後述する1回転クラッチ5が作動し始めるまでの範囲では、突起部23は孔部21の内部を摺動するだけで、ドア補助用スプリング20に力は作用しない。
【0019】
次に、1回転クラッチ5について説明する。
【0020】
1回転クラッチ5は、図4(a)に示すように、リンク機構8やクラッチカム70等を備えており、上記ドア16への作用により接続され、排藁の結束・放出を行う各部に駆動を伝達するように構成されている。
【0021】
クラッチギヤ75は、パッカー軸13に一体に固定されたギヤ(図示せず)により回転駆動力を受けて常時回転するように配置されており、ノッタフレーム2に対して回転自在に支持されている。また、該クラッチギヤ75の外縁部近傍には、図中紙面奥側に突出するように、一体に形成されたクラッチギヤ突起76を備えている。なお、クラッチギヤ75は、図4(a)において、後述するクラッチカム70の紙面手前側に配置されているので、一部図示としている。
【0022】
ニードルクランク軸71は、該クラッチギヤ75と回転自在に係合され、クラッチカム70と一体に回転するよう固定されている。また、ニードルクランク軸71は、図示を省略するが図中紙面奥側でスプロケットと一体に回転するように固定され、このスプロケットに巻き掛けられたチェーンやその他の部材を用いて結束部35に動力を伝え、藁束の結束や放出をさせるように構成されている。
【0023】
上記クラッチカム70は、大径の円板の一部である大径部と小径の円板の一部である小径部とを有する円板状に形成されており、一体に固定されたニードルクランク軸71を回転中心として回転可能に配置されている。また、クラッチカム70の回転中心部分近傍にはボス部70aが一体に形成されており、該ボス部70aの一部にクラッチ爪72をピン74によって回動可能に配置している。
【0024】
該クラッチ爪72は、突起部72aが設けられており、上記クラッチギヤ75のクラッチギヤ突起76と係脱自在となっている。また、クラッチ爪72と上記ボス部70aとの間には、スプリング73が配置されており、該スプリング73は、クラッチ爪72をピン74に対して時計回り方向に回動するように付勢し、該クラッチ爪72とクラッチギヤ突起76とが噛合うように作用している。
【0025】
クラッチ軸27は、クラッチカム70の上方部分で上記ニードルクランク軸71と平行に配置され、ノッタフレーム2に対して回転自在に支持されている。該クラッチ軸27には、ボス部27aが一体に形成されており、該ボス部27aには、ピン86によって可動腕80が回動自在に接続されている。また、該クラッチ軸27には、ドア16に接続されたアーム16aが固定されており、これによりドア16はクラッチ軸27を支点として回動自在に構成されている。
【0026】
該可動腕80は、上方部分では上述のようにボス部27aと接続しており、下方部分ではタイミングローラ78が回転自在に接続されている。また、該タイミングローラ78は、可動腕80の他にも連接稈83の端部と回転自在に接続されており、クラッチカム70の外周部分に接するように配置されている。
【0027】
該連接稈83は、上記のように一端部で可動腕80と接続され、他端部でクラッチスプリング軸84の上端部84aに接続されている。該クラッチスプリング軸84は、クラッチスプリング81と、下方部分ではスプリングホルダ87にそれぞれ挿通され、下端部にナットが取付けられており、該クラッチスプリング81が上端部84aとスプリングホルダ87との間で圧縮された状態に配置されている。また、クラッチスプリング81は、ドア圧(詳しくは後述するリンク機構8に、集束された排藁に基づいた所定の圧力がドア16を介して作用した際に1回転クラッチ5を接続させる圧力)を設定する役割をなしている。
【0028】
固定爪77は、一端部をクラッチスプリング軸84の上端部84aに回動自在に支持され、中央部分をクラッチ軸27に回動自在に支持されており、他端部分が爪状に形成され、上記クラッチ爪72と係合可能に構成されている。
【0029】
バックストッパ82は、クラッチカム70の大径部分の端面に係合し、該クラッチカム70の反時計回り方向への回転を規制している。該バックストッパ82は、中央部分でノッタフレーム2に対して回転自在に支持され、端部ではノッタフレーム2に対して固定された部分との間に張設されたスプリング85が配置されている。これにより、バックストッパ82は、該スプリング85の付勢力によって、クラッチカム70の大径部分の端面に押付けられるように構成されている。
【0030】
なお、上記クラッチ軸27、ボス部27a、ピン86、可動腕80、タイミングローラ78、連接稈83、クラッチスプリング81、クラッチスプリング軸84、上端部84a及び固定爪77によってリンク機構8が構成され、該リンク機構8は、1回転クラッチ5を接続させるスイッチの役割をなしている。
【0031】
次に、1回転クラッチ5の作用を含む結束装置1の作用を説明する。
【0032】
駆動源からの動力が伝達されるパッカー軸13は、図1に示すように、パッカー11を駆動し、該パッカー11の運動により集束空間7に藁束が集束される。この集束された藁束は、ドア16に対してX2方向への圧力を作用させる。ドア16は、図4(b)に示すように、圧力が作用することでクラッチ軸27を支点に角度βだけ回動し(図1参照)、ピン86の位置が下方向へと移動する。該ピン86の位置が下方向へ移動すると、これに接続されている可動腕80も下方向へ移動し、これに伴ってタイミングローラ78は、クラッチカム70の大径部分の外周に沿って略々下方向に移動する。
【0033】
該タイミングローラ78と連接稈83とは、同軸で支持されており、該連接稈83の他端部が接続されているクラッチスプリング軸84の上端部84aも、このタイミングローラ78の移動に伴ってクラッチスプリング81を圧縮させて移動する。このクラッチスプリング軸84の上端部84aの移動によって固定爪77は、クラッチ軸27を支点に時計回り方向に回動し、該固定爪77の爪状に形成された端部とクラッチ爪72との係合が外れる。
【0034】
該クラッチ爪72は、固定爪77との係合が外れると、スプリング73の作用によりピン74を支点として時計回りに回動し、クラッチ爪72の突起部72aがクラッチカム70に対して外周側に移動するので、時計回り方向に回転してくるクラッチギヤ突起76と係合する。これにより、クラッチカム70は、クラッチギヤ75と一体に時計回り方向に回転を始め、1回転クラッチ5が接続された状態となる。なお、1回転クラッチ5は、上記上端部84aを移動させる際のクラッチスプリング81の付勢力によって、1回転クラッチ5接続させるためのドア圧を設定している。
【0035】
一方、クラッチカム70が回転を始めると、同時に上記ニードルクランク軸71は、該クラッチカム70と一体に回転し、ニードル15を作動させると共に上述したようにスプロケットやチェーンを介して結束部35に動力を伝え、ホルダ36やビル37を作動させ、これらが収納空間7において収束された藁束の結束を行う。
【0036】
クラッチカム70がさらに回転すると、図4(c)に示すように、タイミングローラ78は、クラッチカム70の小径部分に落ち込み、可動腕80もこれに伴って下方側へ移動し、クラッチ軸27のボス部27aが該クラッチ軸27を支点に反時計回り方向に回動してドア16が開き始める。さらに、図1に示すように、ドアアーム17に設けられた突起部23は孔部21と係合し、ドア補助用スプリング20を引張り始める。
【0037】
そして、図3に示すように、集束空間7では、上記ニードルクランク軸71の回転に連動して作動するスイーパ31により、結束された藁束を、該集束空間7のX2方向側にドア16の開放により生じた開口部より機外に放出する。また、藁束の結束、ドア16の開放及び藁束の排出の動作を行う間において、パッカー11は、案内板3の位置よりも下方側に位置するようにタイミングが調整されており、該パッカー11の動作がこれら集束空間7での動作を妨げることを防止している。
【0038】
藁束の放出が終了し、クラッチカム70がさらに回転すると、図4(d)に示すように、タイミングローラ78は、クラッチカム70の小径部分の外周部から大径部分の外周部へと乗り上げるように移動する。すると、タイミングローラ78は、可動腕80と共にピン86を上方向へと移動させ、ドア16はクラッチ軸27を支点として時計回り方向に移動するので該ドア16は閉じ始める。そして、タイミングローラ78がクラッチカム70の大径部分に完全に乗り上げると、ドア16は、閉じられ、図4(a)に示すように、初めの位置に戻り、1回転クラッチ5の接続が開放される。
【0039】
また、クラッチ爪72は、固定爪77の端部と係合し、スプリング73の負勢力に反して、ピン74を支点として反時計回り方向に回動させられる。これにより、クラッチギヤ75は、クラッチ爪72の突起部72aとクラッチギヤ突起76との係合がはずれるため、再び空転状態となり、クラッチカム70は回転が停止する。さらに、クラッチカム70は、回転が停止する直前において、バックストッパ82の端部が該クラッチカム70の大径部分の端面に係合され、反時計回り方向に回転することが防止される。
【0040】
ところで、上記藁束の排出動作を行う際に、スイーパ31により排出される藁束が、上記X2方向側開口部を通過中に、何かに引っ掛かるなどしてスムーズに排出されないような場合において、閉じ始めたドア16に藁束の重量が作用してしまうと、図4(e)に示すように、クラッチカム70の形状に従って動作するタイミングローラ78は、上方向に移動しようとする動きを妨げられる。このとき、該タイミングローラ78は、左方向への力が作用し、連接稈83にも左方向への力が伝達され、クラッチスプリング軸84の上端部84aにも作用する。
【0041】
ここで、該上端部84aに作用する力によって、クラッチスプリング81が圧縮されると、固定爪77は、時計回り方向へと回動し、回転してきたクラッチ爪72は、該固定爪77と係合できずに通過してしまう。固定爪77と係合できずに通過したクラッチ爪72は、2回転目に入り、結束装置1は、上述した動作を繰り返し、ほとんど集束されていない藁束を結束し、放出する「二度打ち」が発生してしまう。
【0042】
しかし、図1及び図3に示すように、上述したドア補助用スプリング20は、ドア16に藁束の重量が作用するような場合でも、該ドア補助用スプリング20を配設したことによって生じるリンク機構8の設計変更を不要とするものでありながら、該ドア16を閉じる方向に付勢力が作用しているため、タイミングローラ78がクラッチカム70に従った動作をすることを妨げず、クラッチスプリング81を圧縮させることなく、1回転クラッチ5が正常に作動することができる。
【0043】
以上のように本発明の実施の形態に係る結束装置1によると、1回転クラッチ5が回転してドア16を閉じる際に、該ドア16が閉じる方向に作用するドア補助用スプリング20を備えているので、ドア16の配置を後方側に位置を変更し、閉じ動作に入ったドア16に藁束の力(重み)が作用してしまう場合でも、該ドア16をドア補助用スプリング20により充分な力で閉じる方向に付勢することができ、ドア16が正常な閉じ動作を行うことができて、二度打ちを防止することができる。
【0044】
また、上記ドア補助用スプリング20は、ドア16に作用する藁束の圧力により1回転クラッチ5を接続するまでは付勢力が作用せず、ドア16が閉じ方向に回転する際に付勢力が作用するので、1回転クラッチ5が接続をするまでの動作に影響せず、上記ドア補助用スプリング20を配設したことによって生じるリンク機構(特にドア圧を設定するクラッチスプリング81)8の設計変更を不要とすることができるものでありながら、ドア16が閉じる際にあっては、ドア16の正常な閉じ動作を行うことができて、二度打ちを防止することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を図5乃至図7に沿って説明する。なお、本第2の実施の形態においては、一部の変更を除き、第1の実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
本第2の実施の形態に係る結束装置1は、第1の実施の形態に比して、ドア16を閉じ方向に付勢するスプリングの形状と、該スプリングの一端をパッカー11と接続されたリンク機構の一端に接続するように変更したものである。図5乃至図7に示すように、パッカー11は、中央接続部12においてクランクアーム26と回転自在に接続され、下方接続部51では、アッパーアーム53と回転自在に接続されている。また、該アッパーアーム53は、ミドルアーム54と接続し、該ミドルアーム54は、端部をノッタフレーム2に対して固定されたロアアーム55と接続されている。
【0047】
さらに、該ロアアーム55のノッタフレーム2に対して固定された端部とは逆側の端部に接続部55aを有し、該接続部55aには、ドア16を閉じ方向に付勢するスプリング60の一端部が接続されている。そして、該スプリング60の他端部が、ドアアーム17の端部に接続されている。
【0048】
以上の構成により、ドア16が閉じ動作を行っている際には、図6に示すように、パッカー11は、上述のように案内板3の位置よりも下方側に位置するようにタイミングが調整されており、この状態では、上記各アーム53,54,55の作用により、スプリング60の長さを長くするようにしている。これにより、ドア16が閉じ動作を行っている際に、スプリング60は、該ドア16の閉じる方向に付勢力を作用させるものでありながら、パッカー11による排藁の集束を行う際には、スプリング60の長さが短くなり、該スプリング60がドア16の1回転クラッチ5が接続されるための圧力に与える影響を少なくすることができる。
【0049】
なお、本第2の実施の形態においては、この他の構成、作用、及び効果は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0050】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、ドア16が閉じる方向に作用するドア補助用スプリング20,60を、ドアアーム17と(スプリング60はロアアーム55を介して)ノッタフレーム2との間に配置するように説明したが、ドア16を閉じる際に、該ドア16が閉じる方向に作用するスプリングが配置されていれば良く、例えば、クラッチスプリング軸84の上端部84aに、上述したクラッチスプリング81を圧縮させる虞がある方向とは逆方向に作用するスプリングを配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施の形態に係る結束装置を示す側面図。
【図2】第1の実施の形態に係る結束装置を示す後面図。
【図3】図1のドアが開放した状態を示す側面図。
【図4】1回転クラッチの動作を示す説明図で、(a)はドアに圧力が作用していない状態を示す図、(b)はドアに圧力が作用した状態を示す図、(c)はドアが開き始める状態を示す図、(d)はドアが閉じ始める状態を示す図、(e)は「二度打ち」の状態を示す図。
【図5】第2の実施の形態に係る結束装置を示す側面図。
【図6】図5のドアが開放した状態を示す側面図。
【図7】第2の実施の形態に係る結束装置を示す要部後面図。
【符号の説明】
【0052】
1 結束装置
5 1回転クラッチ
11 パッカー
16 ドア
20 スプリング(ドア補助用スプリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動するパッカーと、該パッカーとの間で藁束を集束するドアと、該ドアに作用する藁束の圧力により接続して該ドアを開放し、1回転して該ドアを閉じる1回転クラッチと、を備えてなる結束装置において、
前記1回転クラッチが回転して前記ドアを閉じる際に、該ドアが閉じる方向に作用するスプリングを備える、
ことを特徴とする結束装置。
【請求項2】
前記スプリングは、前記ドアに作用する藁束の圧力により前記1回転クラッチを接続するまでは付勢力が作用せず、前記ドアが閉じ方向に回転する際に付勢力が作用するように構成されてなる、
請求項1記載の結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−54567(P2008−54567A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234671(P2006−234671)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】