説明

給湯システム

【課題】電動混合弁から送られてくる水道水、ソーラ水もしくは混合水の流量をバーナの燃焼状態において確実に安定させることができ、効率的に給湯することができる給湯システムを提供することにある。
【解決手段】流量センサ37には、消火流量と、この消火流量よりも少ない加圧ポンプ動作流量と、前記消火流量よりも多い前記バーナに着火可能な流量としての着火流量とが設定されている。制御装置33は、消火流量よりも少ない加圧ポンプ動作流量以上となったことを検出した場合にソーラ水11を加圧ポンプ20によって加圧する。このため、バーナ34を燃焼動作させたあとに加圧ポンプ20を駆動させてソーラ水11を加圧した場合と異なり、勢いよく加圧ポンプ20により送られてくるソーラ水11によって電動混合弁31からの混合水32の流量が不安定となることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の給湯システムとして例えば特許文献1のような構成のものが知られている。図1に示すように、給湯システム1は、大きくは太陽熱温水器10、加圧ポンプ20及び給湯器30により構成されている。加圧ポンプ20は太陽熱温水器10と給湯器30との間に配設されており、太陽熱温水器10と加圧ポンプ20、加圧ポンプ20と給湯器30はそれぞれ給水管21によって接続されている。
【0003】
太陽熱温水器10は、太陽熱によって内部の水を温めるものである。太陽熱温水器10内部で温められたソーラ水11は、給湯器30に接続されたカラン60(蛇口)又はリモートコントローラ(以下「リモコン70」という)の操作に基づいて加圧ポンプ20を介して給湯器30へと送られる。太陽熱温水器10は、通常家屋の屋根の上に設置されるため、その太陽熱温水器10から給水されるソーラ水11の水圧は、その太陽熱温水器10の設置高さによって決まる。しかしながら自然落下によるソーラ水11の水圧は、水道管50から給水される水道水51の水圧よりも低い。このため、それらソーラ水11と水道水51とを混合して使用する場合に、それらの圧力差を低減させるためにソーラ水11の給水圧を加圧ポンプ20によって高めるようにしている。
【0004】
給湯器30内には、電動混合弁31が配設されている。電動混合弁31は、前記ソーラ水11と水道水51との水量を調節して混合水32を生成するものであって、ソーラ水11が給水される給水管21と接続されるソーラ水接続口31aと、水道水51が給水される給水管52と接続される給水口31bと、混合水32が出湯される混合接続口31cとを備えている。電動混合弁31内には、ソーラ水11の流量と水道水51の流量の比率を変化させる図示しない弁を備えており、この弁は給湯器30内に配設された制御装置33によって制御される。制御装置33によって弁を動かしてソーラ水11の流量と水道水51の流量比率を変化させることで、予めリモコン70により設定された設定温度の混合水32に近づけることができる。詳述すると、制御装置33は、混合水32が前記設定温度よりも高い場合、水道水51の比率が高まるように電動混合弁31の弁を調節して、混合水32が前記設定温度よりも低い場合、ソーラ水11の流量比率が高まるように電動混合弁31の弁を調節する。
【0005】
給湯器30内には、電動混合弁31の混合接続口31cに接続された混合配管36が接続されている。混合配管36は、一端が前記混合接続口31cに接続されており、他端がカラン60に接続されている。混合配管36には、混合水32の温度を検出する温度センサとしての入水サーミスタ35,混合水32の流量を検出する流量センサ37,混合水32の温度を検出する出湯サーミスタ38が混合接続口31c側からカラン60に向かって順に配設されている。入水サーミスタ35と流量センサ37との間には混合水32を加熱するバーナ34が配設されている。即ち、バーナ34によって熱せられた混合水32は、混合配管36を通って給湯口であるカラン60から出湯される。また、バーナ34とカラン60との間には流量センサ37が配設されており、流量センサ37により、バーナ34による混合水32の燃焼が可能な最低の流量としての消火流量を検出可能となっている。なお、消火流量とは、バーナ34により消火流量未満の流量の混合水32を加熱した場合に、混合水32の流量が少な過ぎるために混合水32を過熱させてしまうため、バーナの燃焼を停止する(消火する)流量のことである。
【0006】
制御装置33は、入水サーミスタ35及び出湯サーミスタ38の温度とリモコン70によって設定された設定温度とを比較して、電動混合弁31の弁の作動制御及びバーナ34の燃焼制御を行う。また、制御装置33は、消火流量以上で、且つ予め設定された流量以上の混合水32が流量センサ37によって検出されると加圧ポンプ20を駆動させ、消火流量以上で且つ予め設定された流量未満の混合水32が流量センサ37によって検出されると加圧ポンプ20の駆動を停止させる。このようにして、制御装置33は、混合水32が消火流量以上で且つ予め設定された流量以上のときにのみ加圧ポンプ20を駆動させて電動混合弁31内の給水圧を安定させるようにしている。
【0007】
リモコン70には、運転モードとして、第1〜第3の運転モードが設定されている。第1運転モードは、バーナ34を使用しないでソーラ水11と水道水51とを混合して予め設定した水温に調節するモードである。第2運転モードは、ソーラ水11と水道水51とを混合して、混合水が予め設定した水温よりも低い場合にバーナ34の燃焼により予め設定した水温に調節するモードである。第3のモードは、ソーラ水11を利用しないで水道水51のみをバーナ34の燃焼により予め設定した水温に調節するモードである。
【0008】
次に上記給湯システムの第2運転モードの動作について説明する。
リモコン70により、第2運転モードを選択すると、電動混合弁31はソーラ水全開側に切り換えられる。その状態でカラン60を開くとソーラ水11及び水道水51が電動混合弁31を介して混合配管36に導かれる。このとき、流量センサ37により検出される混合水32の流量が消火流量以上であって予め設定された流量未満であるとき、制御装置33は、加圧ポンプ20を駆動させてソーラ水11の給水圧を高める。また、流量センサ37により検出される混合水32の流量が消火流量以上であって予め設定された流量未満であるとき、制御装置33は加圧ポンプ20を駆動させない。その後、電動混合弁31からの混合水32の温度を入水サーミスタ35によって検出して、その混合水32の温度が前記リモコン70によって設定された設定温度よりも低い場合、制御装置33は電動混合弁31をソーラ水全開側のままでバーナ34を燃焼させて混合水32を加熱し、設定された設定温度になるよう燃焼を制御する。また、混合水32の温度が設定温度よりも高い場合、電動混合弁31を水道水側に駆動し、設定された設定温度になるよう弁を制御する。
【0009】
このようにして、上記給湯システム1は、混合水32が消火流量以上、且つ予め設定された流量以上の場合、加圧ポンプ20を駆動させることでソーラ水11を加圧して、水道水51の給水圧とソーラ水11の給水圧との差を出来るだけ低減させている。また、混合水32が消火流量以上、且つ予め設定された流量未満の場合、加圧ポンプ20の駆動を停止してソーラ水11と水道水51との給水圧の差を出来るだけ低減させている。
【特許文献1】特開2000−257955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記従来の給湯システム1においては、次のような問題があった。即ち、給湯システム1の利用に際して、利用者によりリモコン70によって温度が設定された後、カラン60を開くと、給水管21の屋外配管内に滞留していたソーラ水11は、給湯器30の稼働のために常に無駄に排出されていた。そして、この滞留水と太陽熱温水器10本体内とのソーラ水11との区分を考慮した混合時点での混合水32の温度を判断する必要があるため、給湯のための制御が複雑になるという問題があった。また、利用者には、カラン60の開放時において、即、設定温度の温水が得られることが望まれている。また、混合水32の流量が予め設定された前記消火流量を超えた場合に加圧ポンプ20の駆動制御を行っていた。このため、設定された設定温度よりも混合水32の水温が低く、バーナ34を燃焼させたあと、カラン60を絞って混合水32の流量が消火流量を超えて予め設定された流量未満になった場合、バーナ34の燃焼は継続するにもかかわらず、加圧ポンプ20の駆動が停止される。従って、この状態においては、加圧ポンプ20を使用しないために混合配管36に混合水32が一定の流量で送り込まれず、この状態でバーナ34による燃焼を行った場合には、混合水32の加熱を安定し行うことができない恐れがあった。加圧ポンプ20の駆動が停止された際に場合によっては、混合配管36の混合水32が大きく減少して消火流量以下となり、バーナ34が消火してしまう恐れがあった。
【0011】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は電動混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の流量をバーナの燃焼状態において確実に安定させることができ、効率的に給湯することができる給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、太陽熱を利用して水を加熱する太陽熱温水器と、該太陽熱温水器によって加熱されたソーラ水を加圧する加圧ポンプと、該太陽熱温水器からのソーラ水と水道管からの水道水とを混合する混合弁と、該混合弁を介して送られてくるソーラ水、又はソーラ水と水道水との混合水を加熱するバーナを有する給湯器と、該混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の流量を検出する流量センサと、前記混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の水温を検出する温度センサと、該温度センサにより検出された水温と予め設定された水温とを比較して前記混合弁の作動、バーナの燃焼制御及び加圧ポンプの作動を行う制御装置とを備えた給湯システムにおいて、前記流量センサは、前記バーナの燃焼を停止する消火流量と、前記加圧ポンプを動作させる条件として前記消火流量よりも少なく設定された加圧ポンプ動作流量と、前記バーナの燃焼を開始する条件として前記消火流量よりも多く設定された着火流量とを検出可能であって、前記制御装置は、前記混合弁から送られてくる流量が前記加圧ポンプ動作流量以上となった場合、前記加圧ポンプに該加圧ポンプを動作させる駆動信号を出力して、その後、前記混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の流量が着火流量以上となった場合且つ前記ソーラ水又は混合水の水温が前記予め設定された水温より低い場合に前記バーナへの着火を行い予め設定された水温に制御するようにしたことを要旨とする。
【0013】
本発明の構成によれば、制御装置は、消火流量よりも少ない加圧ポンプ動作流量以上となった場合にソーラ水を加圧ポンプによって加圧する。このため、例えば、バーナを燃焼動作させたあとに加圧ポンプを駆動させてソーラ水を加圧した場合と異なり、勢いよく加圧ポンプにより送られてくるソーラ水によって混合弁からの混合水の流量が不安定となることがない。また、バーナの燃焼状態からカラン等を徐々に閉めてソーラ水又は混合水の流量を少なくするような場合、混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の流量が、バーナの燃焼を停止する消火流量よりも少なくなった場合に加圧ポンプの駆動が停止される。このため、混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の流量をバーナの燃焼状態において確実に安定させることができ、効率的に給湯させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給湯システムにおいて、前記制御装置は、前記混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の流量が前記加圧ポンプ動作流量以上となり前記加圧ポンプを駆動させたにもかかわらず、所定の時間が経過しても当該ソーラ水又は混合水の流量が前記着火流量以上とならない場合、前記加圧ポンプへの駆動信号を停止するようにしたことを要旨とする。
【0015】
本発明の構成によれば、混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水が着火流量以上とならない場合、バーナの燃焼に基づく加熱を安定的に行うことができないため、所定の時間が経過しても混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の流量が着火流量に達しない場合は、加圧ポンプの駆動を停止する。従って、加圧ポンプによる不要なソーラ水の加圧を抑制することができ、節電及び節水することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の給湯システムにおいて、前記制御装置は、前記混合弁から送られてくる流量が加圧ポンプ動作流量以上となった場合、前記加圧ポンプに駆動信号を出力するとともに前記混合弁の作動を行う混合弁駆動信号を混合弁に出力するようにしたことを要旨とする。
【0017】
本発明の構成によれば、制御装置は、流量センサが混合弁から送られてくる流量が加圧ポンプ動作流量以上となったことを検出すると、加圧ポンプへ駆動信号を出力するとともに混合弁に混合弁駆動信号を出力する。このため、混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の水温を温度センサで検出して混合弁の調整をしたにもかかわらず、あとから加圧ポンプにより送られてくる勢いのよいソーラ水によって水温が急激に変化することが抑制される。従って、混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の流量が一定となった状態で温度センサにより水温が検出され、その水温に基づいて効率良くバーナによりソーラ水又は混合水が温められる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電動混合弁から送られてくるソーラ水又は混合水の流量をバーナの燃焼状態において確実に安定させることができ、効率的に給湯することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を給湯システム1に具体化した実施形態を図1〜図3に従って説明する。なお、本実施形態の給湯システム1は、制御装置33による加圧ポンプ20の制御方法の点で上記従来の給湯システム1と異なる。このため、上記従来の給湯システム1と同一の部材構成については同一の符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0020】
流量センサ37は、バーナ34における燃焼状態を停止する最低の流量としての前記消火流量と、この消火流量よりも少ない流量に設定された加圧ポンプ動作流量と、前記消火流量よりも多い流量に設定されたバーナ34における燃焼状態を開始する流量としての着火流量とを検出する。本実施形態において、消火流量は毎分1.8リットルに設定されており、加圧ポンプ動作流量は毎分1.5リットルに設定されており、着火流量は毎分3.0リットルに設定されている。
【0021】
本実施形態における制御装置33は、流量センサ37によって検出されるソーラ水11もしくは混合水32の流量が加圧ポンプ動作流量未満から加圧ポンプ動作流量以上になった場合、加圧ポンプ20に対して加圧ポンプ20を駆動させるための駆動信号を出力する。また、制御装置33は、加圧ポンプ20へ駆動信号を出力するとともに入水サーミスタ35及び出湯サーミスタ38が検出する水温に基づいて電動混合弁31の弁の動作を行う混合弁駆動信号を出力して水道水51とソーラ水11との流量の調整を行う。制御装置33は、流量センサ37によって検出されるソーラ水11又は混合水32の流量が着火流量未満から着火流量以上になった場合、且つ入水サーミスタ35によって検出されるソーラ水11又は混合水32の水温がリモコン70の設定温度(本実施形態においては「40℃」)よりも低い場合にバーナ34への着火を行い、水温を40℃に近づける。制御装置33は、流量センサ37によって検出されるソーラ水11もしくは混合水32の流量が加圧ポンプ動作流量未満から加圧ポンプ動作流量以上となったにもかかわらず、所定の時間が経過してもソーラ水11もしくは混合水32の流量が着火流量以上にならない場合、加圧ポンプ20への駆動信号を停止する。
【0022】
なお、本実施形態おける制御装置33の運転モードとして、第1〜第3の運転モードが設定されている。第1の運転モードは、バーナ34を使用しないでソーラ水11と水道水51とを混合して予め設定した水温に調節するモードである。第2の運転モードは、ソーラ水11と水道水51とを混合して、混合水32が予め設定した水温よりも低い場合にバーナ34の燃焼により予め設定した水温に調節するモードである。第3のモードは、ソーラ水11を利用しないで水道水51のみをバーナ34の燃焼により予め設定した水温に調節するモードである。即ち、第1及び第2の運転モードは、太陽熱温水器10により温められたソーラ水11を利用するモードであって、第3の運転モードは、ソーラ水11を利用しないモードである。各運転モードは、リモコン70により手動で任意選択できるようになっている。
【0023】
(実施形態の作用)
次に、上記実施形態における給湯システム1の動作について図2及び図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、運転モードは、ソーラ水11を利用する第2の運転モードに設定されている。
【0024】
(カラン60を閉じた状態からカラン60を開き給湯を開始した場合)
カラン60を開き給湯を開始すると、図2に示すように、まずステップS1において、制御装置33は、流量センサ37が加圧ポンプ動作流量以上の流量を検出したか否かを判断する。流量センサ37によって検出された流量が加圧ポンプ動作流量未満の場合、ここでの処理を一旦終了する。一方、流量センサ37によって検出された流量が加圧ポンプ動作流量未満から加圧ポンプ動作流量以上となった場合、制御装置33は加圧ポンプ20へ駆動信号を出力するとともに電動混合弁31へ混合弁駆動信号を出力する(ステップS2)。
【0025】
次に、ステップS3で示すように、制御装置33は、流量センサ37が加圧ポンプ動作流量以上の流量を検出して所定時間以内に着火流量以上の流量を検出したか否かを判断する。流量センサ37が加圧ポンプ動作流量未満から加圧ポンプ動作流量の流量以上となったにもかかわらず所定時間以内に着火流量以上の流量とならなかった場合、ここでの処理を一旦終了する。一方、流量センサ37が加圧ポンプ動作流量未満から加圧ポンプ動作流量以上の流量となって所定時間以内に着火流量以上の流量となった場合、次の処理(ステップS4)に移行する。
【0026】
次に、ステップS4で示すように、制御装置33は、入水サーミスタ35で検出された水温が設定温度(40℃)以上か否かを判断する。制御装置33は、入水サーミスタ35で検出された水温が設定温度(40℃)以上の場合、電動混合弁31に水道水51の流量比率を上げるための混合弁駆動信号を出力する。すると、混合水32の温度が下がり、次の処理(ステップS7)へと移行する。一方、制御装置33は、入水サーミスタ35で検出された水温が設定温度(40℃)未満の場合、バーナ34を着火させる(ステップS6)。すると、混合水32の水温が上がり、次の処理(ステップS7)へと移行する。
【0027】
次に、ステップS7で示すように、制御装置33は、出湯サーミスタ38で検出された水温が40℃か否かを判断する。即ち、リモコン70にて予め設定した水温か否かを判断する。制御装置33は、出湯サーミスタ38で検出された水温が40℃の場合、加圧ポンプ20の作動、電動混合弁31の作動及びバーナ34の燃焼動作を継続維持する。一方、制御装置33は、出湯サーミスタ38で検出された水温が40℃以外の場合、ステップS4の処理へと移行して、再び混合水32の水温の調整を行う。
【0028】
(カラン60を開いて給湯している状態からカラン60を閉じて給湯量を絞った場合もしくは給湯を停止した場合)
制御装置33が加圧ポンプ20の作動、電動混合弁31の作動及びバーナ34の燃焼動作を継続している状態において、カラン60を閉じて給湯量を絞った場合もしくは給湯を停止した場合、図3に示すように、まずステップS11において、制御装置33は、流量センサ37によって消火流量以下の流量を検出したか否かを判断する。流量センサ37が消火流量を超えた流量を検出している場合には、制御装置33は、加圧ポンプ20の作動、電動混合弁31の作動及びバーナ34の燃焼動作を継続する。一方、流量センサ37が消火流量以下の流量を検出した場合、バーナ34の燃焼を停止する(ステップS12)。
【0029】
次に、ステップS13において、制御装置33は、流量センサ37が加圧ポンプ作動流量未満の流量を検出したか否かを判断する。流量センサ37が消火流量未満で加圧ポンプ作動流量以上の流量を検出した場合、バーナ34の燃焼が行われない状態でカラン60からの給湯が行われる。一方、流量センサ37が加圧ポンプ作動流量未満の流量を検出した場合、加圧ポンプ20への駆動信号の出力が停止されるとともに電動混合弁31への混合弁駆動信号の出力も停止される。すると、カラン60からは加圧ポンプ作動流量未満の流量のソーラ水11又は混合水32が給湯される(ステップS14)。そして、ここでの処理を終了する。
【0030】
(実施形態の効果)
従って、上記実施形態の給湯システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0031】
(1)制御装置33は、消火流量よりも少ない加圧ポンプ動作流量以上となったことを検出した場合にソーラ水11を加圧ポンプ20によって加圧する。このため、例えば、バーナ34を燃焼動作させたあとに加圧ポンプ20を駆動させてソーラ水11を加圧した場合と異なり、勢いよく加圧ポンプ20により送られてくるソーラ水11よって電動混合弁31からのソーラ水11又は混合水32の流量が不安定となることがない。また、バーナ34の燃焼状態からカラン60を徐々に閉めてソーラ水11又は混合水32の流量を少なくするような場合、電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32の流量が、バーナ34の燃焼を停止する消火流量よりも少ない加圧ポンプ動作流量未満になった場合に加圧ポンプ20の駆動が停止される。このため、電動混合弁31から送られてくるソーラ水11、水道水51又は混合水32の流量をバーナ34の燃焼状態において確実に安定させることができ、効率的に給湯させることができる。
【0032】
(2)電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32が着火流量以上とならない場合、前記バーナ34の燃焼に基づく加熱を安定的に行うことができない。このため、所定の時間が経過しても電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32の流量が着火流量以上とならない場合は、加圧ポンプ20の駆動を停止する。従って、加圧ポンプ20による不要なソーラ水11の加圧を抑制することができ、節電及び節水することができる。
【0033】
(3)制御装置33は、流量センサ37が加圧ポンプ動作流量以上となったことを検出すると、加圧ポンプ20へ駆動信号を出力するとともに電動混合弁31に混合弁駆動信号を出力する。このため、電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32の水温を入水サーミスタ35で検出して電動混合弁31の調整をしたにもかかわらず、あとから加圧ポンプ20により送られてくる勢いのよいソーラ水11によって水温が急激に変化することが抑制される。従って、電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32の流量が一定となった状態で入水サーミスタ35により水温が検出され、その水温に基づいて効率良くバーナ34によりソーラ水11又は混合水32を温めることができる。
【0034】
(4)着火流量の設定値(毎分3.0リットル)が、加圧ポンプ動作流量の設定値(毎分1.5リットル)に対して2倍に設定されている。このため、電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32の流量が加圧ポンプ動作流量に達した際に加圧ポンプ20が駆動するため、前記電動混合弁31から送られてくるソーラ水11又は混合水32の流量が着火流量に達するまでの間に確実に安定させた後にバーナ34を着火させることができる。これにより変動のない安定した給湯温度及び給湯量に混合水32を制御することができる。
【0035】
(5)制御装置33は、加圧ポンプ20へ駆動信号を出力し、ソーラ水11を加圧ポンプ20によって加圧した際に、併せて電動混合弁31に混合弁駆動信号を出力し、電動混合弁31を駆動するようにした。そして、ソーラ水11又は混合水32の水温を入水サーミスタ35で検出して、バーナ34の着火もしくは電動混合弁31の弁を制御して設定温度となるよう給湯温度を調節するようにした。このため、電動混合弁31を駆動させてから設定温度となるまでの時間が短縮される。従って、給湯開始時において、立ち上がり速度を向上させることができるので、太陽熱温水器10と給湯器30を接続する給水管21の屋外配管内に滞留しているソーラ水11を、有効に温水として利用することができる。
【0036】
(他の実施形態)
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、着火流量を毎分3.0リットルに設定して、消火流量を毎分1.8リットルに設定して、加圧ポンプ動作流量を毎分1.5リットルに設定したが、これら流量に限定しない。着火流量>消火流量>加圧ポンプ動作流量の関係であれば、上記(1)〜(3)の効果を得ることができる。
【0037】
・上記実施形態では、流量センサ37が消火流量未満の流量を検出した場合にバーナ34の燃焼を停止するようにして、流量センサ37が加圧ポンプ動作流量未満の流量を検出した場合に加圧ポンプ20及び電動混合弁31の作動を停止するようにしたが、次のように変更してもよい。例えば、流量センサ37が消火流量未満の流量を検出した場合にバーナ34の燃焼の停止、加圧ポンプ20及び電動混合弁31の作動を停止するようにしてもよい。即ち、着火流量=消火流量>加圧ポンプ動作流量の関係となるようにしてもよい。このような構成にした場合、制御装置33の処理動作を簡素化することができる。
【0038】
・上記実施形態では、流量センサ37を電動混合弁31とカラン60との間に配設したが、他の場所に流量センサ37を配設してもよい。例えば、図1に破線で示すように、流量センサ37を加圧ポンプ20内に配設してもよいし、加圧ポンプ20と電動混合弁31との間に配設してもよい。このような構成にした場合、加圧ポンプ20内、又は加圧ポンプ20と電動混合弁31との間に配設された流量センサ37により予め設定された流量が検出されることで加圧ポンプ20の駆動制御が行われる。従って、制御装置33から駆動信号を出力する必要がなくなり、制御装置33を介さなくても加圧ポンプ20の制御を行うことができる。
【0039】
・上記実施形態では、給湯器30の内部に備えた流量センサ37に基づいて加圧ポンプ20の制御及び電動混合弁31の駆動を行ったが、流量センサ37を複数個設けて加圧ポンプ20の制御及び電動混合弁31の駆動を行ってもよい。例えば、電動混合弁31とカラン60との間に配設した流量センサ37とは別の流量センサ37を加圧ポンプ20内、又は加圧ポンプ20と電動混合弁31との間に配設してもよい。このような構成にした場合、流量センサ37のいずれか一方の流量検知の早い方に基づいて加圧ポンプ20を制御及び電動混合弁31の駆動を行うことができるため、安定的にソーラ水11又は混合水32を供給ことができる。よって、変動のない安定した給湯温度及び給湯量に混合水32の制御をすることができる。
【0040】
・上記実施形態では、加圧ポンプ20を個別に給湯器30外部に設けたが、給湯器30内部に設けてもよい。このようにしても、上記の効果を得ることができる。
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0041】
・請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の給湯システムにおいて、前記着火流量が前記加圧ポンプ動作流量に対してOLE_LINK12倍OLE_LINK1になるように設定したことを特徴とする給湯システム。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態の給湯システムを示す概略図。
【図2】本実施形態の加圧ポンプを作動させる制御装置の動作を示すフローチャート。
【図3】本実施形態の加圧ポンプを停止させる制御装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
1…給湯システム、10…太陽熱温水器、11…ソーラ水、20…加圧ポンプ、30…給湯器、31…電動混合弁、32…混合水、33…制御装置、34…バーナ、35…入水サーミスタ(温度センサ)、37…流量センサ、38…出湯サーミスタ(温度センサ)、50…水道管、51…水道水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱を利用して水を加熱する太陽熱温水器と、該太陽熱温水器によって加熱されたソーラ水を加圧する加圧ポンプと、該太陽熱温水器からのソーラ水と水道管からの水道水とを混合する混合弁と、該混合弁を介して送られてくるソーラ水、又はソーラ水と水道水との混合水を加熱するバーナを有する給湯器と、該混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の流量を検出する流量センサと、前記混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の水温を検出する温度センサと、該温度センサにより検出された水温と予め設定された水温とを比較して前記混合弁の作動、バーナの燃焼制御及び加圧ポンプの作動を行う制御装置とを備えた給湯システムにおいて、
前記流量センサは、前記バーナの燃焼を停止する消火流量と、前記加圧ポンプを動作させる条件として前記消火流量よりも少なく設定された加圧ポンプ動作流量と、前記バーナの燃焼を開始する条件として前記消火流量よりも多く設定された着火流量とを検出可能であって、前記制御装置は、前記混合弁から送られてくる流量が前記加圧ポンプ動作流量以上となった場合、前記加圧ポンプに該加圧ポンプを動作させる駆動信号を出力して、その後、前記混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の流量が着火流量以上となった場合且つ前記ソーラ水又は混合水の水温が前記予め設定された水温より低い場合に前記バーナへの着火を行い予め設定された水温に制御するようにしたことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
前記制御装置は、前記混合弁から送られてくる前記ソーラ水又は混合水の流量が前記加圧ポンプ動作流量以上となり前記加圧ポンプを駆動させたにもかかわらず、所定の時間が経過しても当該ソーラ水又は混合水の流量が前記着火流量以上とならない場合、前記加圧ポンプへの駆動信号を停止するようにしたことを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給湯システムにおいて、
前記制御装置は、前記混合弁から送られてくる流量が加圧ポンプ動作流量以上となった場合、前記加圧ポンプに駆動信号を出力するとともに前記混合弁の作動を行う混合弁駆動信号を混合弁に出力するようにしたことを特徴とする給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−120790(P2007−120790A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310098(P2005−310098)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
【Fターム(参考)】