説明

給電制御システム

【課題】時間帯に応じて建物の区域別に外部電源の電力の供給を制御することを目的とする。
【解決手段】系統電力に接続されると共に、居室A30及び居室B40に系統電力の電力を供給する分岐回路14、16が接続された分電盤12と、分岐回路14.16の各々に設けられると共に、各々に外部電源が接続され、分岐回路14、16及び分電盤12を介した系統電力と居室A30又は居室B40との導通と、外部電源と居室A30又は居室B40との導通とを切り替える回路切替スイッチ21、22が設けられている。HEMS50は、系統電力からの電力の供給が停止した場合に、所定の時刻において居室A30及び居室B40のどれに外部電源からの電力を供給するかを記した情報に基づいて、居室A30又は居室B40に外部電源からの電力を供給するように回路切替スイッチ21、22を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の給電制御システムにかかり、特に、停電発生時等のような非常時に建物内に電力を供給可能な建物の給電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、停電発生時等のような非常時に外部電源に切り替えて電力を確保する種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、停電発生等のような非常時又はタイムスケジュールに応じて、電力供給源を電力会社による系統電力から外部の非常用電源に切り替えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−50131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、外部電源の電力を建物の全ての区域に分配しており、系統電力に比して電力に限りがある外部電源の電力を必要とされる区域に優先的に供給するということが考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、停電等で系統電力から外部電源に切り替える際に、時間帯に応じて建物の区域別に外部電源の電力の供給を制御する給電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、第1の電力源に接続されると共に、複数の電力供給先の各々に前記第1の電力源の電力を供給するために前記複数の電力供給先毎に設けられた分岐回路が接続され、前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを検知可能な分電盤と、前記分岐回路の各々に設けられると共に、各々に第2の電力源が接続され、前記分岐回路及び前記分電盤を介した前記第1の電力源と電力供給先との導通と、前記第2の電力源と電力供給先との導通とを、前記複数の電力供給先毎に切り替える切替手段と、前記第1の電力源からの電力の供給が停止した場合に、所定の時刻において前記複数の電力供給先のどれに前記第2の電力源からの電力を供給するかを記した時刻別電力供給先切替情報を記憶した記憶手段と、前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを前記分電盤で検知した場合に、前記記憶手段に記憶されている時刻別電力供給先切替情報に基づいて、前記電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、第1の電力源は、電力会社からの系統電力であり、第2の電力源は、第1の電力源が停電等によって停止した場合に用いられる非常用の電源であって、太陽光発電装置、内燃機関で動作する発電装置、若しくは燃料電池を用いた発電装置、又はこれらの発電電力若しくは系統電力を蓄電する蓄電池等である。
【0009】
分電盤は、系統電力を電力供給先である建物内の居室等に分配する装置であって、電力供給先である居室等とは各々分岐回路で接続されている。
【0010】
切替手段は、電力供給先である居室等毎に設けられており、居室等の各々に、系統電力からの電力を供給するか、外部電源からの電力を供給するかを居室等毎に切り替えるスイッチである。
【0011】
記憶手段は、HEMS(Home Energy Management System)が有するメモリであって、停電した時刻によって、電力供給先である居室等のどれに外部電源の電力を供給するかを記した情報である外部電源給電スケジュールを記憶している。
【0012】
制御手段は、HEMSであって、外部電源給電スケジュールに基づいて前述のスイッチを制御する。これによって、停電等で系統電力から外部電源に切り替える際に、時間帯に応じて建物の区域別に外部電源の電力の供給を制御することができる。
【0013】
上記目的を達成するために請求項2に記載の発明は、第1の電力源に接続されると共に、複数の電力供給先の各々に前記第1の電力源の電力を供給するために前記複数の電力供給先毎に設けられた分岐回路が接続され、前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを検知可能な分電盤と、前記分岐回路の各々に設けられると共に、各々に第2の電力源が接続され、前記分岐回路及び前記分電盤を介した前記第1の電力源と電力供給先との導通と、前記第2の電力源と電力供給先との導通とを、前記複数の電力供給先毎に切り替える切替手段と、前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを前記分電盤で検知した場合に、前記第1の電力源からの電力の供給が停止した時間帯に応じて、前記複数の電力供給先の1つに前記第2の電力源からの電力を供給し、当該1つの電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給する時間帯以外で前記第1の電力源からの電力の供給が停止した場合は、前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第1の電力源からの電力の供給が停止した時間帯に応じて、複数の電力供給先の1つに第2の電力源からの電力を供給し、当該1つの電力供給先に第2の電力源からの電力を供給する時間帯以外で第1の電力源からの電力の供給が停止した場合は、複数の電力供給先に第2の電力源からの電力を供給するようにすることにより、停電時は時間帯に応じて、特定の電力供給先に優先的に第2の電力源の電力を供給することができる、
【0015】
なお、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段は、前記第1の電力源からの電力の供給が停止した時間帯が特定の時間帯であるときは、第1の電力供給先及び第2の電力供給先を含む前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給可能とし、前記特定の時間帯以外の時間帯では、前記第2の電力源からの電力は、前記第1の電力供給先にのみ供給可能とするように前記切替手段を制御してもよい。これによって、特定の時間帯において複数の電力供給先に第2の電力源からの電力を供給でき、その他の時間帯では、特定の電力供給先にのみ第2の電力源からの電力を供給できる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明のように、前記記憶手段は、前記第1の電力源からの電力の供給が停止する年月日時及び該停止した前記第1の電力源からの電力の供給が復旧する年月日時を記した計画停電情報をさらに記憶し、前記制御手段は、該計画停電情報に記された前記第1の電力源からの電力の供給が停止する年月日時に、前記時刻別電力供給先切替情報に基づいて、前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御してもよい。これによって、計画停電に対応した制御が可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、前記制御手段は、前記計画停電情報に記された前記第1の電力源からの電力の供給が停止する年月日時に前記複数の電力供給先の全てに前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御した後、前記第1の電力源からの電力が停止したことを前記分電盤で検知した場合は、前記時刻別電力供給先切替情報に基づいて前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御し、前記第1の電力源からの電力が停止したことを前記分電盤で検知しない場合は、前記複数の電力供給先の全てに前記第1の電力源からの電力を供給するようにしてもよい。これによって、実際に計画停電が実行されなかった場合は、外部電源ではなく系統電力の電力を使用することができるので、外部電源の電力を温存することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明のように、前記切替手段は、前記制御手段による制御のみならず、手動で操作可能であってもよい。これによって、制御手段の制御によらない、使用者の意思を優先した電力の供給が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、停電等で系統電力から外部電源に切り替える際に、時間帯に応じて建物の区域別に外部電源の電力の供給を制御する給電制御システムを提供することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る給電制御システムの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る給電制御システムに含まれるHEMSの概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る停電時の外部電源の供給先を示す外部電源給電スケジュールの一例である。
【図4】本発明の実施の形態に係る給電制御システムの停電時におけるHEMSの制御のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る給電制御システムの計画停電時におけるHEMSの制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る給電制御システム100の概略構成を示すブロック図である。なお、図1中の実線は電力線を示し、点線は情報線を示すものとする。
【0022】
建物10には、電力会社から供給される系統電力が接続される分電盤12が設けられており、系統電力からの電力が分電盤12を介して建物10内に供給されるようになっている。
【0023】
分電盤12からは、分岐回路14及び16が、回路切替スイッチボックス20に接続されている。図1において、分電盤12から分岐回路14を経由した電力は居室A30に、分電盤12から分岐回路16を経由した電力は居室B40に、各々回路切替スイッチボックス20を介して供給される。
【0024】
居室A30にはコンセント32及び照明34が、居室B40にはコンセント42及び照明44が、各々設けられていて、系統電力又は外部電源からの電力が供給される。
【0025】
本発明の実施の形態において、外部電源は、系統電力が停電等によって停止した場合に用いられる非常用の電源であって、図示しない太陽光発電装置、内燃機関で動作する発電装置、若しくは燃料電池を用いた発電装置、又はこれらの発電電力若しくは系統電力を蓄電する蓄電池等である。
【0026】
また、ハイブリッド車及び電気自動車が搭載している蓄電池を外部電源とすることも可能である。
【0027】
回路切替スイッチボックス20は、居室A30に供給される電力を系統電力と外部電源とのいずれかに切り替える切替スイッチA21、及び居室B40に供給される電力を系統電力と外部電源とのいずれかに切り替える切替スイッチB22を有する。
【0028】
切替スイッチA21は、端子21a及び21bを有し、通常時は端子21aに切り替わっていて、系統電力からの電力を居室A30に供給し、停電時には端子21bに切り替わって、外部電源からの電力を居室A30に供給する。
【0029】
切替スイッチB22は、端子22a及び22bを有し、通常時は端子22aに切り替わっていて、系統電力からの電力を居室B40に供給し、停電時には端子22bに切り替わって、外部電源からの電力を居室B40に供給する。
【0030】
また、回路切替スイッチボックス20は、外部電源から供給される電力の電圧を測定する電圧計24、外部電源から供給される電力の電流を測定する電流計26、及び漏電又は短絡時に外部電源と切替スイッチA21及びB22との導通を遮断する漏電遮断器兼過電流遮断器28を有する。
【0031】
分電盤12及び回路切替スイッチボックス20には、建物内の給電管理及び制御を行うHEMS50が接続されている。HEMS50は、分電盤12において系統電力から供給される電力の電圧及び電流を監視することによって停電を検知し、停電を検知した場合は、外部電源からの電力を所定の区域に供給するように回路切替スイッチボックス20を制御する。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態に係る給電制御システム100に含まれるHEMS50の概略構成を示すブロック図である。
【0033】
HEMS50は、コンピュータを含んで構成されており、図2に示すように、CPU56、ROM58、RAM60、及び入出力ポート62を備えて、これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス64を介して互いに接続されている。
【0034】
入出力ポート62には、各種入出力機器として、表示部66、操作部68、及びメモリ70が接続されている。なお、表示部66及び操作部68は一体で構成され、操作部68は、表示部66に設けられたタッチパネルを適用するようにしてもよいし、タッチパネルの他に操作ボタンを備えるようにしてもよい。
【0035】
メモリ70には、建物内の電力供給に関する各種制御や表示部66に表示するための表示制御等を行うためのプログラム、分電盤12及び回路切替スイッチボックス20の制御を行うためのプログラム、並びにこれらのプログラムを実行するための各種情報等が記憶されており、メモリ70に記憶されたプログラムをRAM60等に展開してCPU56が実行することにより、建物内の電力供給に関する各種制御や表示制御等の制御を行うようになっている。
【0036】
さらに、入出力ポート62には、系統電力から分電盤12に供給される電力を監視するセンサが接続されている。なお、入出力ポート42には、インターネット等のネットワークを接続可能として、外部の機器(例えば、予め定めた情報センター等)と情報の授受を可能としてもよい。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態に係る停電時の外部電源の供給先を示す外部電源給電スケジュールの一例である。外部電源給電スケジュールは、HEMS50のメモリ70に記憶されている。また、外部電源給電スケジュールの内容は、表示部66に表示可能であり、操作部68からの操作によって、使用者が設定し、かつ適宜変更可能であるとする。
【0038】
図3に示した外部電源給電スケジュールの一例では、停電時において、時刻が6:00から19:59までの間は、図1の居室B40に外部電力を供給しない設定になっている。外部電源は、系統電力に比して使用できる電力には限界があるため、電力が供給される建物の区域を時間帯で制限している。
【0039】
なお、本発明の実施の形態では、図1及び図3において、電力の供給先を居室A及び居室Bとした。しかしながら、図1及び図3に示した構成は、本発明を理解しやすくするための簡素な例示であり、より多くの居室、さらには浴室、洗面所、台所、廊下、階段及び玄関等の区域に電力を供給する構成であってもよい。
【0040】
本発明の実施の形態に係る給電制御システムのHEMS50は、分電盤12において、系統電力の電圧及び電流がゼロになった場合に停電と判断して、図3の外部電源給電スケジュールに基づく給電制御を行う。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態に係る給電制御システムの停電時におけるHEMSの制御のフローチャートである。
【0042】
図4のステップ400で、HEMS50は、分電盤12において、系統電力の電圧及び電流がゼロになったか否かを判定し、系統電力の電圧及び電流がゼロになったと判定した場合は、ステップ402で外部電源給電スケジュールの時刻と現在時刻との照合を開始する。
【0043】
系統電力の電圧及び電流がゼロになっていない場合は、ステップ404において、居室A及びBの切替スイッチ21及び22は、系統電力側の端子21a及び22aに各々切り替わった状態とし、手順をステップ400に戻す。
【0044】
ステップ406では、現在時刻で、居室Aに外部電源からの電力を供給してよいか否かを外部電源給電スケジュールに基づいて判定し、居室Aに外部電源からの電力を供給してよい場合は、ステップ408で、居室Aの切替スイッチ21を外部電源側の端子21bに切り替える。
【0045】
また、居室Aに外部電源からの電力を供給しない場合は、ステップ410において、居室Aの切替スイッチ21は系統電力側の端子21aに切り替わった状態とする。
【0046】
ステップ412では、現在時刻で、居室Bに外部電源からの電力を供給してよいか否かを外部電源給電スケジュールに基づいて判定し、居室Bに外部電源からの電力を供給してよい場合は、ステップ414で、居室Bの切替スイッチ22を外部電源側の端子22bに切り替える。
【0047】
また、居室Bに外部電源からの電力を供給しない場合は、ステップ416において、居室Bの切替スイッチ22は系統電力側の端子22aに切り替わった状態とする。
【0048】
以上、ステップ414又は416までの処理を実行した後、手順はステップ400に戻り、ステップ400において、系統電力の電圧及び電流がゼロか否かを再び判定する。
【0049】
HEMS50は、ステップ400で、系統電力の電圧及び電流がゼロではなく所定の値を示すようになった場合に系統電力が復旧したと判定し、系統電力が復旧したと判定された場合は、ステップ404において居室A及びBの切替スイッチ21及び22が、系統電力側の端子21a及び22aに各々切り替えられる。
【0050】
なお、図4では、図1及び図3の場合と同じく、居室A及び居室Bを系統電力の他に外部電源の電力が供給される区域とした。
【0051】
しかしながら、居室A及び居室B以外の区域、例えば、台所及び浴室等にも系統電力の他に外部電源の電力が供給可能なように、図1の回路切替スイッチボックス20内に、居室A及び居室B以外の区域用の切替スイッチが設けられている場合は、居室A及び居室B以外の区域の区域においても、停電時に当該区域に外部電源からの電力を供給するか否かの制御が可能である。
【0052】
この場合は、図3に示した外部電源給電スケジュールに、居室A及び居室B以外の項目を設け、当該区域の項目に外部電源からの電力が供給される時間帯を記載することで、居室A及び居室B以外の区域においても、停電時の時間帯に応じて外部電源の電力を供給するか否かの制御を行うことができる。
【0053】
図3に示した外部電源給電スケジュールに居室A及び居室B以外の区域を記載した場合、HEMS50は、図4のステップ414及び416以降の手順で、居室A及び居室B以外の区域において、現在時刻で外部電源をからの電力を供給してよいか否かを外部電源給電スケジュールに基づいて判定する。当該区域に外部電源からの電力を供給してよい場合は、次の手順で当該区域の切替スイッチを外部電源側の端子に切り替える。
【0054】
居室A及び居室B以外の区域が2以上存在する場合は、外部電源給電スケジュールの記載に基づいて、当該2以上の区域の各々について、順次、現在時刻で外部電源の電力を供給してよいかを否かを判定し、当該2以上の区域の各々についての切替スイッチが制御される。
【0055】
また、本発明の実施の形態に係る給電制御システムは、停電する年月日時が予定されている、いわゆる計画停電にも対応している。
【0056】
使用者は計画停電の年月日時を知らされた場合、HEMS50の操作部68から、計画停電が開始される年月日時と当該計画停電が終了する年月日時とを計画停電の年月日時として入力する。入力された計画停電の年月日時は、HEMS50のメモリ70に記憶されるので、HEMS50は、現在の時刻がメモリ70に記憶された計画停電の年月日時であるか否かを判定することにより、計画停電に対応した給電制御を行う。
【0057】
図5は、本発明の実施の形態に係る給電制御システムの計画停電時におけるHEMSの制御のフローチャートである。
【0058】
図5のステップ500では、メモリ70に記憶されている計画停電の年月日時を参照し、現在時刻が計画停電の時刻か否かを判定する。
【0059】
現在時刻が計画停電の年月日時に該当する場合は、ステップ502で、居室A及びBの切替スイッチ21及び22を、外部電力側の端子21b及び22bに各々切り替える。計画停電の時刻になると、系統電力からの電力の供給が停止するおそれがあるので、ステップ502で、ひとまず電力の供給元を外部電源に切り替えることで、電力の使用を継続できるようにしている。
【0060】
現在時刻が計画停電の年月日時でない場合は、ステップ504で、HEMS50は、分電盤12において、系統電力の電圧及び電流がゼロになったか否かを判定し、系統電力の電圧及び電流がゼロになっていない場合は、ステップ506において、居室A及びBの切替スイッチ21及び22を、系統電力側の端子21a及び22aに各々切り替わった状態とし、手順をステップ500に戻す。
【0061】
ステップ502で、居室A及びBの切替スイッチ21及び22を、外部電力側の端子21b及び22bに各々切り替えた場合は、ステップ508で、HEMS50は、分電盤12において、系統電力の電圧及び電流がゼロになったか否かを判定する。
【0062】
ステップ508で系統電力の電圧及び電流がゼロになったと判定した場合は、ステップ510で外部電源給電スケジュールの時刻と現在時刻との照合を開始する。
【0063】
なお、前述のステップ504において、系統電力の電圧及び電流がゼロになったと判定した場合も、手順はステップ510に移行し、外部電源給電スケジュールの時刻と現在時刻との照合を開始する。
【0064】
また、ステップ508で系統電力の電圧及び電流がゼロになっていない場合は、ステップ506において、居室A及びBの切替スイッチ21及び22を、系統電力側の端子21a及び22aに各々切り替わった状態とし、手順をステップ500に戻す。
【0065】
ステップ512では、現在時刻で、居室Aに外部電源からの電力を供給してよいか否かを外部電源給電スケジュールに基づいて判定し、居室Aに外部電源からの電力を供給してよい場合は、ステップ514で、居室Aの切替スイッチ21を外部電源側の端子21bに切り替える。
【0066】
また、居室Aに外部電源からの電力を供給しない場合は、ステップ516において、居室Aの切替スイッチ21は系統電力側の端子21aに切り替わった状態とする。
【0067】
ステップ518では、現在時刻で、居室Bに外部電源からの電力を供給してよいか否かを外部電源給電スケジュールに基づいて判定し、居室Bに外部電源からの電力を供給してよい場合は、ステップ520で、居室Bの切替スイッチ22を外部電源側の端子22bに切り替える。
【0068】
また、居室Bに外部電源からの電力を供給しない場合は、ステップ522において、居室Bの切替スイッチ22は系統電力側の端子22aに切り替わった状態とする。
【0069】
以上、ステップ520又は522までの処理を実行した後、手順はステップ500に戻り、ステップ500において、現在時刻が計画停電の時刻か否かを再び判定する。
【0070】
HEMS50は、ステップ500で、現在時刻が計画停電の時刻でない場合は、ステップ504において、系統電力からの電力供給が復旧したか否かを判定する。
【0071】
ステップ504において、系統電力からの電力供給が復旧したと判定した場合は、ステップ506で、居室A及びBの切替スイッチ21及び22を、系統電力側の端子21a及び22aに各々切り替え、居室A及びBに系統電力からの電力が供給されるようにする。
【0072】
なお、図5では、図1、図3及び図4の場合と同じく、居室A及び居室Bで停電時に外部電源の電力が供給されるか否かを判定したが、上述のように、居室A及び居室B以外の区域においても外部電源の電力が供給されるか否かを外部電源給電スケジュールに基づいて判定するようにしてもよい。
【0073】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る給電制御システムは、停電により系統電力からの電力供給が途絶えたことを検知すると共に、停電時に外部電源からの電力を供給してよい区域を時間別に定めた外部電源給電スケジュールに基づいて、外部電源からの電力の供給を制御している。
【0074】
かかる制御により、本発明の実施の形態に係る給電制御システムは、系統電力に比して電力が限られている外部電源の電力を、必要とされる区域に供給することができる。
【0075】
また、本発明の実施の形態に係る給電制御システムは、計画停電が予定されている年月日時になった場合、いったんは、建物の全区域に外部電源からの電力が供給されるようにして、全区域で電力の継続的な使用を担保している。
【0076】
いったん全区域で電力の継続的な使用を担保した後は、系統電力の電力供給が停止しているか否かを判定し、系統電力の電力供給が停止している場合に、上記の外部電源給電スケジュールに基づいて、外部電源からの電力の供給を制御している。
【0077】
かかる制御により、実際に計画停電が実行されなかった場合は、外部電源ではなく系統電力の電力を使用することができるので、外部電源の電力を温存することができる。
【0078】
また、本発明の実施の形態では、計画停電の時間が経過した場合にも、系統電力の電力供給が停止しているか否かを判定し、系統電力の電力が復旧したと判定した上で外部電源に替えて系統電力が建物の各区域に供給されるようにしている。
【0079】
このように、系統電力の電力が復旧したと判定した上で外部電源から系統電力に切り替えることにより、作業の遅れ等によって、計画停電が予定の時刻に終了していなかった場合でも建物の所定区域への電力の供給が滞らないという効果を奏する。
【符号の説明】
【0080】
10 建物
12 分電盤
14、16 分岐回路
20 回路切替スイッチボックス
21、22 切替スイッチ
21a、21b、22a、22b 端子
24 電圧計
26 電流計
28 漏電遮断器兼過電流遮断器
30 居室A
32 コンセント
34 照明
40 居室B
42 コンセント
44 照明
50 HEMS
56 CPU
58 ROM
60 RAM
62 入出力ポート
64 バス
66 表示部
68 操作部
70 メモリ
100 給電制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電力源に接続されると共に、複数の電力供給先の各々に前記第1の電力源の電力を供給するために前記複数の電力供給先毎に設けられた分岐回路が接続され、前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを検知可能な分電盤と、
前記分岐回路の各々に設けられると共に、各々に第2の電力源が接続され、前記分岐回路及び前記分電盤を介した前記第1の電力源と電力供給先との導通と、前記第2の電力源と電力供給先との導通とを、前記複数の電力供給先毎に切り替える切替手段と、
前記第1の電力源からの電力の供給が停止した場合に、所定の時刻において前記複数の電力供給先のどれに前記第2の電力源からの電力を供給するかを記した時刻別電力供給先切替情報を記憶した記憶手段と、
前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを前記分電盤で検知した場合に、前記記憶手段に記憶されている時刻別電力供給先切替情報に基づいて、前記電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御する制御手段と、
を備えた電力供給システム。
【請求項2】
第1の電力源に接続されると共に、複数の電力供給先の各々に前記第1の電力源の電力を供給するために前記複数の電力供給先毎に設けられた分岐回路が接続され、前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを検知可能な分電盤と、
前記分岐回路の各々に設けられると共に、各々に第2の電力源が接続され、前記分岐回路及び前記分電盤を介した前記第1の電力源と電力供給先との導通と、前記第2の電力源と電力供給先との導通とを、前記複数の電力供給先毎に切り替える切替手段と、
前記第1の電力源からの電力の供給が停止したことを前記分電盤で検知した場合に、前記第1の電力源からの電力の供給が停止した時間帯に応じて、前記複数の電力供給先の1つに前記第2の電力源からの電力を供給し、当該1つの電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給する時間帯以外で前記第1の電力源からの電力の供給が停止した場合は、前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御する制御手段と、
を備えた電力供給システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の電力源からの電力の供給が停止した時間帯が特定の時間帯であるときは、第1の電力供給先及び第2の電力供給先を含む前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給可能とし、前記特定の時間帯以外の時間帯では、前記第2の電力源からの電力は、前記第1の電力供給先にのみ供給可能とするように前記切替手段を制御する請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記第1の電力源からの電力の供給が停止する年月日時及び該停止した前記第1の電力源からの電力の供給が復旧する年月日時を記した計画停電情報をさらに記憶し、
前記制御手段は、該計画停電情報に記された前記第1の電力源からの電力の供給が停止する年月日時に、前記時刻別電力供給先切替情報に基づいて、前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記計画停電情報に記された前記第1の電力源からの電力の供給が停止する年月日時に前記複数の電力供給先の全てに前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御した後、
前記第1の電力源からの電力が停止したことを前記分電盤で検知した場合は、前記時刻別電力供給先切替情報に基づいて前記複数の電力供給先に前記第2の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御し、
前記第1の電力源からの電力が停止したことを前記分電盤で検知しない場合は、前記複数の電力供給先の全てに前記第1の電力源からの電力を供給するように前記切替手段を制御する請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記切替手段は、前記制御手段による制御のみならず、手動でも操作可能な請求項1〜5の何れか1項に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−99205(P2013−99205A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242478(P2011−242478)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】