説明

給餌機

【課題】ペットに餌を与える際にも人とペットとの間で遊ぶこと。
【解決手段】給餌機100は、餌を保持する餌保持部3と、餌保持部に保持された餌を外部に放出する餌放出機構6と、餌放出機構を動作させる操作部4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬等のペットに餌を与える際に用いられる給餌機に関する。
【背景技術】
【0002】
犬等のペットに餌を与える場合、容器に餌を入れてペットの足下に置いてあげるのが一般的である。
また、人手を介することなく自動的かつ安定的に一定量の餌を繰り返し供給するため、給餌機が開発され、よく知られている。
給餌機の一例としては、収納部の下方に容器部を配置し、収納部から落下させた餌を容器部で受け、容器部に一定量の餌が載っているとき又はペットが容器部に足をのせた状態では容器部が下位置をとり、それ以外の状態では容器部が上位置をとるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−295936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のように、人が餌を与えるにしろ、給餌機により自動的に与えるにしろ、ペットに餌を与える行為については、人とペットとの間に何ら遊びの要素はなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ペットに餌を与える際にも人とペットとの間で遊ぶことができる給餌機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、給餌機において、
餌を保持する餌保持部と、
前記餌保持部に保持された餌を外部に放出する餌放出機構と、
前記餌放出機構を動作させる操作部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給餌機において、
前記餌保持部を支持する筐体を備え、
前記筐体は、片手で把持できるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の給餌機において、
前記筐体の表面には、手で把持する際に指の位置を案内するグリップが形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の給餌機において、
前記筐体には、ストラップを通して括りつけるためのストラップ孔が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記筐体には、前記筐体内外に連通し、洗浄時に内部の洗浄液を排出する排出孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の給餌機において、
前記排出孔は、前記筐体の底部に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の給餌機において、
前記排出孔は、前記筐体における前記餌保持部の設置位置の下方に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項2から7のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記操作部は、前記筐体を把持した手の指で操作可能となる位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項2から8のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記餌保持部は前記筐体に回転自在に支持され、
前記餌保持部は、複数の餌を保持するための複数の保持室を有し、
前記餌保持部の回転により各保持室の餌が前記餌放出機構により放出可能な位置に順次移動することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の給餌機において、
前記餌保持部は、前記筐体を垂直方向に立てた状態で把持した際に、餌が放出される上面が水平方向に沿って回転するように前記筐体に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項2から10のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記筐体に開閉自在に設けられ、前記筐体とで前記餌保持部の被覆と開放を行う蓋体と、
前記操作部の第1の操作により前記蓋体を開き、前記操作部の第2の操作により前記蓋体を閉じる蓋開閉機構と、を備え、
前記操作部の第1の操作により前記蓋開閉機構を動作させて前記蓋体を開けた状態で、前記操作部の第3の操作により前記餌放出機構を動作させることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の給餌機において、
前記蓋体を閉じた際に、前記蓋体を閉じる方向に付勢して前記操作部の操作によらずに前記蓋体が開くことを防止する開き防止部を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の給餌機において、
前記餌放出機構は、
前記餌保持部に保持されたいずれかの餌を押し出す押出部と、
前記押出部を餌に向けて付勢する押出付勢部と、
前記押出部に係合して前記押出部の餌に向かう動作を規制すると共に、前記操作部の第3の操作により前記押出部との係合を解除するストッパ部と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の給餌機において、
前記押出部は、餌に当接する複数の突部を有することを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項11から14のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記操作部の第1の操作により前記餌保持部を回転させて次に放出する餌を前記餌放出機構により放出可能な位置に移動させる餌送り機構を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の給餌機において、
前記餌送り機構は、
前記餌保持部と係合可能な位置に進退自在とされた送り片を備え、
前記送り片は、前記操作部の第2の操作により前記餌保持部との係合を回避して移動し、その移動後に前記操作部の第1の操作により前記餌保持部と係合して前記餌保持部を回転させるように移動することを特徴とする。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項1から16のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記操作部を所定位置まで操作した際に音を発生させる音発生機構を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の給餌機において、
前記音発生機構は、
前記筐体に移動自在に設けられた打撃部と、
前記打撃部に打撃される被打撃部と、
前記打撃部を前記被打撃部に向けて付勢する打撃付勢部と、を備え、
前記操作部の第1の操作により、前記打撃部を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させ、前記第1の操作中又は第1の操作完了時に前記打撃部を解放することを特徴とする。
【0024】
請求項19に記載の発明は、請求項11から18のいずれか一項に記載の給餌機において、
前記餌保持部と前記蓋体との間に開閉自在に設けられ、前記餌放出機構により餌が放出される位置に餌を通過させる開口が形成された中蓋を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、餌を餌保持部に保持させた状態で操作部を操作すると、餌放出機構は餌を外部に放出する。
これにより、人が任意のタイミングで操作部を操作することで餌が給餌機から放出され、その餌にペットが飛びつくような状況を作り出すことができる。
よって、ペットに餌を与える際にも人とペットとの間で遊ぶことができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、筐体は片手で把持できるので、一方の手に給餌機を持ち、他方の手にペットに繋いだリード(紐、チェーン等)を持つことができ、餌を与える際にペットを放してしまうことがない。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、筐体にグリップが形成されているので、人が給餌機を把持しやすく、滑らせて落とすようなことを抑制できる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、筐体のストラップ孔にストラップを通してストラップを筐体に括りつけることにより、手首にストラップを通して給餌機の落下を防止することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、筐体を水等の洗浄液で洗浄した場合であっても、排出孔から容易に洗浄液を排出することができる。そのため、筐体内部の洗浄を容易に行うことができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、洗浄液は下方に流れるので、底部から排出させることで筐体内部に洗浄液が溜まるのを防止することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、給餌機のうち、餌が収納される餌保持部が最も汚れるため洗浄が必要となるが、餌保持部の設置位置の下方に排出孔を形成することで、餌保持部を洗浄した後の洗浄液の排出を容易に行うことができる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、操作部は筐体を把持した手の指で操作できるので、給餌機を持った状態で指だけを動かすことにより餌を放出することができる。
よって、片手で給餌機の把持から餌やりまでをこなすことができ、散歩等の際に給餌機が邪魔となることがない。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、餌保持部は複数の保持室を有するので、複数の餌を収納しておくことができ、一度餌を与えるたびに餌を給餌機に補充する必要がなく、手間を省くことができる。また、各保持室の餌が餌放出機構により放出可能な位置に順次移動するので、保持室に収納された餌を順次放出することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、人が自然に給餌機を把持した状態で餌が上方に放出されることになるので、餌の放出にあたって人が姿勢を変える必要がなく、楽に操作することができる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、操作部の第1の操作により蓋開閉機構を動作させて蓋体を開け、第1の操作終了後に蓋体を開けた状態で、操作部の第3の操作により餌放出機構を動作させることができる。
これにより、蓋体により餌が餌保持部から落下しないように覆うことができるとともに、餌を与えるときは、蓋体の開放及び餌の放出を操作部の操作のみで行うことができるので、操作を容易にすることができる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、開き防止部を備えることで、安易に蓋体が開くことを防止することができ、餌保持部からの餌の落下を防止することができる。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、押出部はストッパ部により餌に向かう動作が規制されているが、操作部の第3の操作により、ストッパ部と押出部との係合が外れるので、押出部は押出付勢部の付勢により餌に向かって移動する。そして、餌保持部の餌は押出部により餌保持部から押し出され、放出される。
これにより、操作部の第3の操作が行われたときだけ餌を放出することができるので、人が所望するタイミングで餌を放出することができる。
【0038】
請求項14に記載の発明によれば、複数の突部で餌を押し出すことで、餌が餌保持部に残りにくくなり、餌の放出不良を抑制できる。
【0039】
請求項15に記載の発明によれば、餌を放出する前に餌を放出可能な位置に移動させることができる。
これにより、操作部の第1の操作だけで次に放出する餌のセットを行うことができるので、人がその都度餌をセットする必要がなくなり、手間を省くことができる。
【0040】
請求項16に記載の発明によれば、第2の操作により送り片を移動させ、第1の操作により餌保持部を回転させるように送り片を移動させることができるので、操作部の第1の操作でのみ餌を送ることができ、操作を容易にすることができる。
【0041】
請求項17に記載の発明によれば、第3の操作により餌を放出する前に行われる第1の操作により音を発生させることができるので、ペットに餌を与える前に音で知らせることができ、何度か餌やりを続けることでペットも条件反射で餌のタイミングを認識することができる。すなわち、ペットに餌を与える前に給餌機から音を出すことで、「パブロフの犬」の実験のような効果を得ることができる。
【0042】
請求項18に記載の発明によれば、操作部の第1の操作により、打撃部を打撃付勢部の付勢力に抗して移動させ、第1の操作中又は第1の操作完了時に打撃部を解放することで、打撃部と被打撃部が衝突し、音を発生させることができる。
【0043】
請求項19に記載の発明によれば、中蓋を備えることで、餌保持部の各保持室に餌を押さえつけておくことができる。また、開口が形成されているので、中蓋を動作させなくても餌の放出に支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】給餌機の正面側からの斜視図。
【図2】給餌機の背面側からの斜視図。
【図3】給餌機の筐体の底部からの斜視図。
【図4】給餌機の蓋開閉機構の動作を説明する図。
【図5】給餌機の餌放出機構の動作を説明する図。
【図6】給餌機の餌送り機構の動作を説明する図。
【図7】給餌機の音発生機構の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図1から図7を参照しながら、給餌機について説明する。なお、図4から図7においては、各部の状態を説明するために全ての構成要素を透視して描いているが、実際には、紙面に対して前後方向に重なっている。
<給餌機の全体構成>
図1から図7に示すように、給餌機100は、人が手で把持する筐体1と、筐体1に開閉自在に連結された蓋体2と、筐体1に設けられ、餌を保持する餌保持部3と、蓋体2の開閉や餌保持部3からの餌の放出等の各操作を行うための操作部4とを備えている。
なお、本実施形態においては、給餌機100は、筐体1と蓋体2が上下方向に並ぶように把持して使用するものである。給餌機100は、犬を模して形成されており、筐体1が犬の首から下顎、蓋体2が犬の上顎から頭部を模して形成されている。
【0046】
図1から図3に示すように、筐体1は、プラスチック等の樹脂で内部が中空状に形成されている。筐体1は、人が片手で把持できる大きさに形成されている。
図1に示すように、筐体1の表面には、把持する際に指の位置を案内するグリップ1aが形成されている。グリップ1aは、一般的な指の太さに合わせて凹むように形成されており、筐体1を把持した際に指との接触面積を増やすことで手と筐体1とを馴染ませて滑りを防止する。
図2に示すように、筐体1の背面側には、ストラップを通して筐体1に括りつけるためのストラップ孔1c,1dが形成されている。ストラップ孔1c,1dは、二つ並んで連通するように形成され、一方のストラップ孔1cから挿入したストラップを他方のストラップ孔1dから引き出すことができるように形成されている。
筐体1の背面側には、操作部4の一部を外部に出すために挿通され、操作部4の操作経路をなす溝部1fが形成されている。溝部1fは、筐体1の上下方向に沿って伸びるように直線状に形成されている。すなわち、操作部4は、溝部1fに沿って筐体1の上下方向に操作することができる。
図3に示すように、筐体1の底部には、筐体1の内面から外面に連通され、洗浄時に内部の洗浄液(一般的に水)を排出する排出孔1gが形成されている。
筐体1の正面側における餌保持部3の設置位置の下方(図示の犬模型の下顎近傍)には、筐体1の内面から外面に連通され、洗浄時に内部の洗浄液(一般的に水)を排出する排出孔1hが形成されている。
【0047】
図1から図4に示すように、蓋体2は、筐体1の上端に回転自在に取り付けられている。蓋体2は、筐体1の上端の開口を上方から被覆する位置と開口を開放する位置との間で回転することができる。これにより、蓋体2が開いた状態では犬が口を開けた状態を表現し、蓋体2が閉じた状態では犬が口を閉じた状態を表現することができる。
蓋体2は、操作部4の操作により蓋開閉機構5を動作させることで開閉することができる。
蓋体2は、犬の頭部を表現しており、表面に目や耳を模した部材が設けられている。
【0048】
図1,図4に示すように、餌保持部3は、ドラム状に形成されており、筐体1に設けられた軸部(図示略)に回転自在に支持されている。餌保持部3は、下端に餌を保持する底部が形成され、上端は餌を収納するために開口が形成されている。餌保持部3の底部には、餌放出機構6により餌を押し上げるための部材が通る孔が形成されている。餌保持部3は、複数の餌が収納できるように複数の保持室3aが形成されている。保持室3aは、軸部を外側から囲むように環状に並んで配置されている。
従って、餌保持部3の回転により、保持室3aも軸部を中心に回転することになる。
また、餌保持部3は、給餌機100を垂直方向に立てた状態で人が筐体1のグリップ1a把持した際に、餌が放出される上面が水平方向に沿って回転するように筐体1に設けられている。すなわち、給餌機100は、人が自然にグリップ1aを把持した際に、餌が上方に放出されるように構成されている。
【0049】
操作部4は、筐体1内に軸部41を介して回転自在に設けられており、一部が筐体1を貫通して外部に突出するように配置されている。操作部4のうち、筐体1から外部に突出した部分が人によって操作される箇所となる。
操作部4は、筐体1を把持した手の指(親指)で操作可能となる位置に配置されている。
【0050】
<給餌機の動作に関する構成>
給餌機100は、操作部4の操作により複数の動作を行うための機構が備えられている。給餌機100は、蓋体2の開閉を行う蓋開閉機構5と、餌保持部3に保持された餌を外部に放出する餌放出機構6と、餌保持部3に保持された餌を餌放出機構6により放出可能な位置に送る餌送り機構7と、音を発生させる音発生機構8と、を備えている。
【0051】
(蓋開閉機構)
図4に示すように、蓋開閉機構5は、操作部4に連結された連結リンク51と、連結リンク51に連結されたヒンジ部材52と、筐体1の上端に設けられたバネ53と、バネ53の一端に取り付けられた突当部54と、を備えている。
連結リンク51は、一端に長孔51aが形成されており、操作部4に設けられたピン部材42を長孔51aに嵌め込むことで操作部4に連結されている。連結リンク51は、給餌機100の上下方向に延在するように配置され、その他端にはピンを介してヒンジ部材52が回転自在に連結されている。
【0052】
ヒンジ部材52は、筐体1に対して蓋体2を開閉自在に連結するものであり、筐体1の上端に設けられている。ヒンジ部材52は、一端が筐体1に回転自在に連結され、一端から少し他端よりの位置で連結リンク51に連結されている。ヒンジ部材52の他端は、蓋体2に挿入され、固定されている。これは、蓋体2がヒンジ部材52から外れるのを防止するためである。ヒンジ部材52の一端には、カム部52aが形成されている。カム部52aは、表面が円形状に形成され、その一部が切り欠かれて平面状の平面部52bが形成されている。
【0053】
バネ53は、筐体1の上端に設けられている。バネ53は、伸縮方向が給餌機100の上下方向に沿うように配置され、その上端には突当部54が設けられている。突当部54の上端は、カム部52aに当接している。すなわち、突当部54は、バネ53により常にカム部52aを押圧している。そして、蓋体2が閉じた状態において、カム部52aの平面部52bが突当部54の上方に位置し、平面部52bはバネ53の付勢力により突当部54で押圧される。これにより、蓋体2を閉じた際には、バネ53が蓋体2を閉じる方向に付勢し、平面部52bと突当部54が当接している間は、ヒンジ部材52が回転することができず、蓋体2を開くことができない状態となっている。
従って、ヒンジ部材52の平面部52bとバネ53と突当部54を備えることにより、操作部4の操作によらずに蓋体2が開くことを防止する「開き防止部」が構成される。
【0054】
また、筐体1の上端には、蓋体2と餌保持部3との間、すなわち、蓋体2よりも内側において中蓋2aがヒンジ部材21aにより開閉自在に設けられている。中蓋2aは、餌保持部3を上方から覆うものであり、餌放出機構6により餌を放出する経路には開口が形成されている。すなわち、餌を放出する際においても、中蓋2aは閉じたままでよい。
中蓋2aは、餌保持部3の上面を覆うような大きさに形成されており、餌保持部3の各保持室3aから餌がこぼれるのを防止することができる。
【0055】
(餌放出機構)
図5に示すように、餌放出機構6は、餌保持部3の保持室3aに収納された餌を押し出す押出部61と、押出部61を保持室3aの餌に向けて付勢する押出付勢部としてのバネ62と、押出部61に係合して押出部61の餌に向かう動作を規制すると共に、操作部4の第3の操作(引き下げ操作)により押出部61との係合を解除するストッパ部63と、を備えている。
【0056】
押出部61は、長手方向が給餌機100の上下方向に沿うように配置され、この上下方向に沿って移動できる。
押出部61は、上端となる位置に二つの突部61aを有している。突部61aは、餌保持部3の底部に形成された孔の下方に位置するように配置される。すなわち、押出部61がバネ62の付勢力により上方に移動した際に、突部61aが餌に下方から当接し、保持室3a内の餌を外部に放出する。
二つの突部61aは、それぞれ上方への突出量が異なるように形成されている。具体的には、餌を放出する方向の下流側に位置する突部の方が上流側に位置する突部よりも低くなるように形成されている。言い換えると、餌保持部3の回転中心に近い突部の方が遠い突部よりも低く形成されている。
【0057】
押出部61は、下端となる位置に棒状のガイド部61bを有している。ガイド部61bには、バネ62が通され、筐体1に形成された支持部1bに移動自在に挿通されている。ガイド部61bの上端には、押出部61を移動させるために操作部4が当接する当接部61cを有している。当接部61cは、ガイド部61bやバネ62の断面よりも大きな断面を有し、バネ62の上端は当接部61cの下面に当接し、バネ62の下端は支持部1bの上面に当接している。すなわち、押出部61の上下動により、バネ62が伸縮し、押出部61に付勢力を付与することができる。当接部61cの上面は、操作部4から離れるにつれて下方に傾斜するように形成されている。これは、押出部61と操作部4との滑りを軽減するためである。なお、当接部61cの上面には、操作部4に設けられたピン部材43が当接する。このピン部材43は、バネ62の付勢力に抗して押出部61を下方に下げる際に当接部61cの上面を押す部材であるとともに、餌を放出する際に押出部61をバネ62の付勢力により上方に押し出す際に押出部61の必要以上の上昇を規制するストッパとしての部材でもある。
【0058】
当接部61cには、外側に突出する爪部61dが設けられている。爪部61dは、ストッパ部63に係止され、押出部61がバネ62により付勢されて上方に移動するのを防止する。
ストッパ部63は、軸部63aにより筐体1に回転自在に設けられている。ストッパ部63は、棒状に形成され、長手方向が給餌機100の上下方向に沿うように配置されている。ストッパ部63は、長手方向のほぼ中央で軸部63aに取り付けられている。ストッパ部63の下端は、バネ64を介して筐体1に連結されている。ストッパ部63の下端には、爪部61dを係止する係止部63bが形成されている。係止部63bは、押出部61を下方に押し下げた際において爪部61dの直上に位置するようにバネ64により付勢されている。すなわち、バネ64は、ストッパ部63の係止部63bを爪部61dに向けて付勢している。
ストッパ部63の上端には、操作部4の第3の操作により操作部4に設けられた押付ピン44が当接する。そして、操作部4の第3の操作により押付ピン44は、バネ64の付勢力に抗してストッパ部63を軸部63aを中心に回転させ、爪部61dと係止部63bとの係合を解除する。
【0059】
(餌送り機構)
図6に示すように、餌送り機構7は、餌保持部3の底部の下面に形成された複数の突起71と、これらの突起71に係合する位置と係合しない位置との間で進退可能な送り片72と、を備えている。
【0060】
各突起71は、餌保持部3の各保持室3aに対応して形成されている。すなわち、各突起71は、保持室3aと同様に、回転中心を外側から囲むように形成されている。
送り片72は、いずれかの突起71の下方に配置されるように筐体1に設けられている。送り片72は、給餌機100の横断方向に平行に移動可能に筐体1に設けられている。送り片72は、餌保持部3の径方向に対して平行になる方向に延在する部材であり、その一端には、操作部4に設けられた係合ピン45に係合する溝部72aが形成されている。溝部72aは、二つの壁部72c,72d間に形成される隙間である。一方の壁部72cは、U字状に折り返すように屈曲形成され、操作部4が回転することによる係合ピン45の斜め方向への移動を許容して動作不良を防止することができる。
【0061】
係合ピン45は溝部72aに係合しているため、操作部4の軸部41を中心とした回転により係合ピン45も移動し、係合ピン45の移動により送り片72を移動させることができる。すなわち、操作部4の回転運動は、係合ピン45と溝部72aにより送り片72の直線往復運動に変換される。
送り片72の他端には、突起71に係合可能な係合片73が軸部72bを介して回転自在に連結されている。係合片73の先端と送り片72とは、バネ74により連結されており、係合片73は、バネ74の付勢力により上方の餌保持部3に向けて付勢されている。ここで、係合片73は、餌保持部3の径方向に平行な一方向(図6のF方向)に移動した際には、いずれかの突起71に接触して送り片72側に押さえつけられ、突起71の下方を通過する。一方、係合片73は、一方向と逆の方向(図6のB方向)に移動した際には、いずれかの突起71の側面に接触して、送り片72及び係合片73と共に突起71を移動させる。この動作により、餌保持部3を回転させることができる。
【0062】
(音発生機構)
図7に示すように、音発生機構8は、筐体1に軸部81を介して回転自在に設けられた打撃部としてのハンマー82と、ハンマー82に打撃される被打撃部としての打撃板83と、ハンマー82を打撃板83に向けて付勢する打撃付勢部としてのバネ84と、を備えている。
ハンマー82は、樹脂等により形成され、ある程度の弾性変形が可能となっている。ハンマー82は、一端が軸部81に連結されており、他端で打撃板83を打撃するように突起82aが形成されている。ハンマー82は、長手方向中央でバネ84の一端に連結され、バネ84の他端は筐体1に連結されている。ハンマー82は、何も外力を付加しない状態で突起82aが打撃板83に当接した状態となっている。
【0063】
ハンマー82は、突起82aが打撃板83と当接している位置においては操作部4の一部に係合しており、操作部4の回転によりハンマー82はバネ84の付勢力に抗して回転することができる。そして、操作部4が所定位置まで回転すると、操作部4とハンマー82の係合が外れ、ハンマー82はバネ84の付勢力により打撃板83に向けて移動する。このときのハンマー82と打撃板83の衝突により音を発生させることができる。
打撃板83は、筐体1に固定され、ハンマー82の突起82aの回転経路上に配置されている。打撃板83は、筐体1等と同じ樹脂等で形成されているが、発生する音を大きくするために金属板等で形成しても良い。
【0064】
<給餌機の動作>
次に、給餌機100の動作について説明する。
図4から図7の(a)は、餌を外部に放出した直後の状態を示した図である。
図4(a)に示すように、餌を外部に放出したため、蓋体2は開放された状態であり、図5(a)に示すように、押出部61の突部61aは、餌保持部3の底部に形成された孔を通って上方に突出している。また、図6(a)に示すように、送り片72の係合片73は突起71に係合した状態であり、図7(a)に示すように、操作部4とハンマー82の係合は解除され、ハンマー82の突起82aが打撃板83に当接した状態となっている。
この状態において、人は、中蓋2aを開けて餌を餌保持部3の保持室3aに収納し、中蓋2aを閉じる。
【0065】
(餌の放出準備)
図4から図7の(a)に示す状態から、餌の放出準備を行う際には、ユーザが操作部4の第2の操作を行う、すなわち、操作部4を上方に移動させる操作を行うと、操作部4は軸部41を中心にL方向(各図における反時計回り方向)に回転し、ピン部材42も軸部41を中心にL方向に回転する。
【0066】
このとき、蓋開閉機構5においては、図4(a)に示すように、ピン部材42のL方向への回転により、連結リンク51は下方に引き下げられる。連結リンク51が下方に引き下げられることにより、ヒンジ部材52と連結リンク51との連結部が下方に引き下げられ、ヒンジ部材52は、筐体1への連結部を中心にL方向に回転する。ヒンジ部材52のL方向への回転により、ヒンジ部材52が固定された蓋体2もヒンジ部材52とともにL方向に回転し、蓋体2は筐体1の上端に向けて移動する。これにより、図4(b)に示すように、蓋体2を閉じることができる。
ここで、蓋体2を閉じた際、ヒンジ部材52のカム部52aにおける平面部52bが突当部54の上方に位置することになり、突当部54は、バネ53の付勢力により平面部52bを押圧する。平面部52bが押圧されると、蓋体2は閉まる方向に付勢されるので、蓋体2はバネ53の付勢力により操作部4の操作によらずに開くことがなくなる。
【0067】
また、餌放出機構6においては、図5(a)に示すように、押出部61の当接部61cに当接しているピン部材43がL方向に移動することにより、ピン部材43が当接部61cを押し、押出部61はバネ62の付勢力に抗して押し下げられる。押出部61が押し下げられると、爪部61dがストッパ部材63の係止部63bの下方に入り込み、押出部61はバネ62の付勢力により上方に移動しようとする。しかし、爪部61dの移動が係止部63bにより規制されるため、図5(b)に示すように、押出部61は、その位置で保持される。
【0068】
また、餌送り機構7においては、図6(a)に示すように、操作部4の係合ピン45が軸部41を中心にL方向に回転することにより、壁部72cは係合ピン45に押され、送り片72は、F方向に移動する。このとき、送り片72の係合片73が突起71に当接し、係合片73はバネ74の付勢力に抗して送り片72に向けて押さえつけられる。そして、第2の操作終了時には、係合片73は餌保持部3の突起71との係合を回避し、係合片73は突起71の下方を通過し、通過後は突起71による押さえつけが解放されるため、バネ74の付勢力により上方に移動する。これにより、図6(b)に示すように、係合片73は、下方を通過した突起71の側面に位置する。
【0069】
また、音発生機構8においては、図7(a)に示すように、操作部4が軸部41を中心にL方向に回転すると、操作部4の一部がハンマー82を乗り越えて係合し、図7(b)に示すように、操作部4の一部はハンマー82と打撃板83との間に位置する。
【0070】
(餌の放出のスタンバイ)
図4〜図7の(b)に示す状態から、餌の放出のスタンバイを行う際には、ユーザが操作部4の第1の操作を行う、すなわち、操作部4を下方に移動させる操作を行うと、操作部4は軸部41を中心にR方向(各図における時計回り方向)に回転し、ピン部材42も軸部41を中心にR方向に回転する。
【0071】
このとき、蓋開閉機構5においては、図4(c)に示すように、ピン部材42のR方向への回転により、連結リンク51は上方に引き上げられる。連結リンク51が上方に引き上げられることにより、ヒンジ部材52と連結リンク51との連結部が上方に引き下げられ、ヒンジ部材52は、筐体1への連結部を中心にR方向に回転する。ヒンジ部材52のR方向への回転により、ヒンジ部材52が固定された蓋体2もヒンジ部材52とともにR方向に回転し、蓋体2は筐体1の上端から離れるように移動する。このような動作により、図4(c)に示すように、蓋体2を開くことができる。
【0072】
また、餌放出機構6においては、図5(c)に示すように、押出部61の当接部61cに当接しているピン部材43がR方向に移動することにより、ピン部材43は当接部61cから離れて当接部61cの上方に位置する。これにより、押出部61は、爪部61dがストッパ部材63の係止部63bに係止されているだけの状態となる。また、操作部4の押付ピン44は、ストッパ部材63における軸部63aを挟んだ係止部63bの反対側の端部近傍に当接した状態となる。
【0073】
また、餌送り機構7においては、図6(c)に示すように、操作部4の係合ピン45が軸部41を中心にR方向に回転することにより、壁部72dは係合ピン45に押され、送り片72は、B方向に移動する。このとき、送り片72の係合片73が突起71に当接し、突起71もB方向に移動する力が作用する。そのため、突起71が形成されている餌保持部3は回転し、第1の操作終了時には、図6(c)に示すように、これから放出される餌が餌放出機構により放出可能な位置に移動する。言い換えると、餌保持部3が回転することにより、これから放出される餌が収納された保持室3aが押出部61の直上に移動する。
【0074】
また、音発生機構8においては、図7(c)に示すように、操作部4が軸部41を中心にR方向に回転すると、操作部4がハンマー82をバネ84の付勢力に抗して打撃板83から引き離す。そして、操作部4の第1の操作完了時には、図7(c)に示すように、ハンマー82が辛うじて操作部4に保持された状態となっている。
【0075】
(餌放出)
図4から図7の(c)に示す状態から、餌を放出する際には、ユーザが操作部4の第3の操作を行う、すなわち、第1の操作に連続して操作部4を下方に移動させる操作を行うと、操作部4は軸部41を中心にR方向(各図における時計回り方向)に回転し、ピン部材42も軸部41を中心にR方向に回転する。
このとき、蓋開閉機構5においては、図4(d)に示すように、ピン部材42のR方向への回転により、図4(c)と同様に、蓋体2をさらに開くことができる。蓋体2の開く限界は、蓋体2が筐体1の上端に当接して回転が規制される、外部に露出した操作部4が筐体1に当接して回転が規制されることにより定まる。
【0076】
また、餌放出機構6においては、ピン部材42のR方向への回転により、図5(d)に示すように、押付ピン44がストッパ部材63を押し、ストッパ部材63はバネ64の付勢力に抗して軸部63aを中心にL方向に回転する。これにより、ストッパ部材63の係止部63bは押出部61の爪部61dから離れるように移動し、爪部61dと係止部63bとの係合が解除される。爪部61dと係止部63bとの係合が解除されると、押出部61はバネ62の付勢力に抗して押出部61を押さえつけるものがなくなり、図5(d)に示すように、バネ62の付勢力により上方に移動する。押出部61が上方に移動すると、押出部61の上端の複数の突部61aがその直上の保持室3aに収納されている餌を下から突き上げ、餌を給餌機100の外部に放出する。このとき、突部61aには高低差があるため、餌は突部61aの低い方向に傾き、給餌機100の斜め前方に放出される。
また、餌送り機構7においては、操作部4の係合ピン45が軸部41を中心にR方向に回転することにより、図6(d)に示すように、壁部72dは係合ピン45に押され、送り片72は、B方向に移動する。このとき、送り片72の係合片73が突起71に当接しているため、突起71もB方向に移動する力が作用する。そのため、突起71が形成されている餌保持部3も係合ピン45の移動量に応じて回転する。
また、音発生機構8においては、操作部4が軸部41を中心にR方向に回転することにより、図7(d)に示すように、操作部4の回転開始とほぼ同時に操作部4とハンマー82との係合が解除され、ハンマー82が解放される。これにより、ハンマー82はバネ84の付勢力により勢いよく打撃板83に移動し、ハンマー82の突起82aは打撃板83に衝突し、衝突音が発生する。なお、衝突音は、操作部4の操作開始直後に発生するので、餌の放出タイミングよりも前に衝突音を発生させる仕組みとなっている。
【0077】
<作用効果>
以上のように、給餌機100によれば、餌を餌保持部3に保持させた状態で操作部4を操作すると、餌放出機構6は餌を外部に放出する。
これにより、人が任意のタイミングで操作部4を操作することで餌が給餌機100から放出され、その餌にペットが飛びつくような状況を作り出すことができる。
よって、ペットに餌を与える際にも人とペットとの間で遊ぶことができる。
また、筐体1は片手で把持できるので、一方の手に給餌機100を持ち、他方の手にペットに繋いだリード(紐、チェーン等)を持つことができ、餌を与える際にペットを放してしまうことがない。
また、筐体1にグリップ1aが形成されているので、人が給餌機100を把持しやすく、滑らせて落とすようなことを抑制できる。
【0078】
また、筐体1のストラップ孔1c,1dにストラップを通してストラップを筐体1に括りつけることにより、手首にストラップを通して給餌機100の落下を防止することができる。
また、筐体100を水等の洗浄液で洗浄した場合であっても、排出孔1g,1hから容易に洗浄液を排出することができる。そのため、筐体1内部の洗浄、水切りを容易に行うことができ、餌の腐敗等からくる雑菌の発生を防止しやすくなる。
ここで、排出孔1gを形成することにより、洗浄液は下方に流れるので、洗浄液を底部から排出させることで筐体1内部に洗浄液が溜まるのを防止することができる。
また、給餌機100のうち、餌が収納される餌保持部3が最も汚れるため洗浄が必要となるが、餌保持部3の設置位置の下方に排出孔1hを形成することで、餌保持部3を洗浄した後の洗浄液の排出を容易に行うことができる。
【0079】
また、操作部4は筐体1を把持した手の指で操作できるので、給餌機100を持った状態で指だけを動かすことにより餌を放出することができる。
よって、片手で給餌機100の把持から餌やりまでをこなすことができ、散歩等の際に給餌機100が邪魔となることがない。
また、人は、最初に餌を給餌機100に収納してしまえば、ペットに餌を与えるたびに餌を取り出すことにより手を汚すことがない。
また、人が給餌機100を垂直に立てて把持した状態で餌保持部3の上面(餌放出面)が水平方向に沿うようになり、餌保持部3は、この水平方向に上面が沿うように回転する。これにより、人が自然に給餌機を把持した状態で餌が上方に放出されることになるので、餌の放出にあたって人が姿勢を変える必要がなく、楽に操作することができる。
【0080】
また、餌保持部3は複数の保持室3aを有するので、複数の餌を収納しておくことができ、一度餌を与えるたびに餌を給餌機100に補充する必要がなく、手間を省くことができる。また、各保持室3aの餌が餌放出機構6により放出可能な位置に順次移動するので、保持室3aに収納された餌を順次放出することができる。操作部4の操作を連続して行うことにより、餌を連続で放出することもできる。
また、操作部4の第1の操作により蓋開閉機構5を動作させて蓋体2を開け、第1の操作終了後に蓋体2を開けた状態で、操作部4の第3の操作により餌放出機構6を動作させることができる。
これにより、蓋体2により餌が餌保持部3から落下しないように覆うことができるとともに、餌を与えるときは、蓋体2の開放及び餌の放出を操作部4の操作のみで行うことができるので、操作を容易にすることができる。
また、ヒンジ部材52の平面部52bをバネ53で押圧することにより、安易に蓋体2が開くことを防止することができ、餌保持部3からの餌の落下を防止することができる。
また、中蓋2aを備えることで、餌保持部3の各保持室3aに餌を押さえつけておくことができる。また、開口が形成されているので、中蓋2aを動作させなくても餌の放出に支障をきたすことがない。
【0081】
また、押出部61はストッパ部63により餌に向かう動作が規制されているが、操作部4の第3の操作により、ストッパ部63と押出部61との係合が外れるので、押出部61はバネ62の付勢により餌に向かって移動する。そして、餌保持部3の餌は押出部61により餌保持部3から押し出され、放出される。
これにより、操作部4の第3の操作が行われたときだけ餌を放出することができるので、人が所望するタイミングで餌を放出することができる。
また、複数の突部61aで餌を押し出すことで、餌が餌保持部3に残りにくくなり、餌の放出不良を抑制できる。
【0082】
また、餌送り機構7を備えることにより、餌を放出する前に餌を放出可能な位置に移動させることができる。
これにより、操作部4の第1の操作だけで次に放出する餌のセットを行うことができるので、人がその都度餌をセットする必要がなくなり、手間を省くことができる。
ここで、餌送り機構7は、操作部4の第2の操作により送り片72を移動させ、操作部4の第1の操作により餌保持部3を回転させるように送り片72を移動させることができるので、操作部4の第1の操作でのみ餌を送ることができ、操作を容易にすることができる。
【0083】
また、音発生機構8を備えることにより、操作部4の第3の操作により餌を放出する直前に音を発生させることができるので、ペットに餌を与える前に音で知らせることができ、何度か餌やりを続けることでペットも条件反射で餌のタイミングを認識することができる。これにより、「パブロフの犬」の実験のように、ペットの習性を生かして訓練や芸を教えることが容易となる。
ここで、音発生機構8は、ハンマー82をバネ84の付勢力に抗して移動させ、操作部4の第3の操作開始直後にハンマー82を解放することで、ハンマー82と打撃板83が衝突し、音を発生させることができる。
【0084】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の本質的部分を変更しない範囲内で自由に設計変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、給餌機を上下方向に立たせて把持し、餌を筐体の上端から放出するように構成したが、給餌機を水平方向に沿って把持し、餌を水平方向に放出するような構成としても良い。
また、筐体にグリップを形成したが、表面に手との摩擦力を増やすような処理が施されていてもよい。
また、上記実施形態においては、音発生機構による衝突音の発生タイミングは、第3の操作直後(図7(d)のタイミング)としているが、このタイミングに限らず、餌を放出する前であればいつ音を発生させてもよい。このタイミングは、自由に変更することができる。例えば、操作部を所定の位置まで操作した場合に音を発生させてもよい。また、音を発生させるだけでペットと遊ぶことも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 筐体
1a グリップ
1c,1d ストラップ孔
1g,1h 排出孔
2 蓋体
2a 中蓋
3 餌保持部
3a 保持室
4 操作部
5 蓋開閉機構
6 餌放出機構
7 餌送り機構
8 音発生機構
52b 平面部(開き防止部)
53 バネ(開き防止部)
54 突当部(開き防止部)
61 押出部
61a 突部
62 バネ(押出付勢部)
63 ストッパ部
72 送り片
82 ハンマー(打撃部)
83 打撃板(被打撃部)
84 バネ(打撃付勢部)
100 給餌機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌を保持する餌保持部と、
前記餌保持部に保持された餌を外部に放出する餌放出機構と、
前記餌放出機構を動作させる操作部と、
を備えることを特徴とする給餌機。
【請求項2】
前記餌保持部を支持する筐体を備え、
前記筐体は、片手で把持できるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給餌機。
【請求項3】
前記筐体の表面には、手で把持する際に指の位置を案内するグリップが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の給餌機。
【請求項4】
前記筐体には、ストラップを通して括りつけるためのストラップ孔が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の給餌機。
【請求項5】
前記筐体には、前記筐体内外に連通し、洗浄時に内部の洗浄液を排出する排出孔が形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の給餌機。
【請求項6】
前記排出孔は、前記筐体の底部に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の給餌機。
【請求項7】
前記排出孔は、前記筐体における前記餌保持部の設置位置の下方に形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の給餌機。
【請求項8】
前記操作部は、前記筐体を把持した手の指で操作可能となる位置に設けられていることを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の給餌機。
【請求項9】
前記餌保持部は前記筐体に回転自在に支持され、
前記餌保持部は、複数の餌を保持するための複数の保持室を有し、
前記餌保持部の回転により各保持室の餌が前記餌放出機構により放出可能な位置に順次移動することを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の給餌機。
【請求項10】
前記餌保持部は、前記筐体を垂直方向に立てた状態で把持した際に、餌が放出される上面が水平方向に沿って回転するように前記筐体に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の給餌機。
【請求項11】
前記筐体に開閉自在に設けられ、前記筐体とで前記餌保持部の被覆と開放を行う蓋体と、
前記操作部の第1の操作により前記蓋体を開き、前記操作部の第2の操作により前記蓋体を閉じる蓋開閉機構と、を備え、
前記操作部の第1の操作により前記蓋開閉機構を動作させて前記蓋体を開けた状態で、前記操作部の第3の操作により前記餌放出機構を動作させることを特徴とする請求項2から10のいずれか一項に記載の給餌機。
【請求項12】
前記蓋体を閉じた際に、前記蓋体を閉じる方向に付勢して前記操作部の操作によらずに前記蓋体が開くことを防止する開き防止部を備えることを特徴とする請求項11に記載の給餌機。
【請求項13】
前記餌放出機構は、
前記餌保持部に保持されたいずれかの餌を押し出す押出部と、
前記押出部を餌に向けて付勢する押出付勢部と、
前記押出部に係合して前記押出部の餌に向かう動作を規制すると共に、前記操作部の第3の操作により前記押出部との係合を解除するストッパ部と、
を備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の給餌機。
【請求項14】
前記押出部は、餌に当接する複数の突部を有することを特徴とする請求項13に記載の給餌機。
【請求項15】
前記操作部の第1の操作により前記餌保持部を回転させて次に放出する餌を前記餌放出機構により放出可能な位置に移動させる餌送り機構を備えることを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の給餌機。
【請求項16】
前記餌送り機構は、
前記餌保持部と係合可能な位置に進退自在とされた送り片を備え、
前記送り片は、前記操作部の第2の操作により前記餌保持部との係合を回避して移動し、その移動後に前記操作部の第1の操作により前記餌保持部と係合して前記餌保持部を回転させるように移動することを特徴とする請求項15に記載の給餌機。
【請求項17】
前記操作部を所定位置まで操作した際に音を発生させる音発生機構を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の給餌機。
【請求項18】
前記音発生機構は、
前記筐体に移動自在に設けられた打撃部と、
前記打撃部に打撃される被打撃部と、
前記打撃部を前記被打撃部に向けて付勢する打撃付勢部と、を備え、
前記操作部の第1の操作により、前記打撃部を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させ、前記第1の操作中又は第1の操作完了時に前記打撃部を解放することを特徴とする請求項17に記載の給餌機。
【請求項19】
前記餌保持部と前記蓋体との間に開閉自在に設けられ、前記餌放出機構により餌が放出される位置に餌を通過させる開口が形成された中蓋を備えることを特徴とする請求項11から18のいずれか一項に記載の給餌機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate