説明

統合アンテナ

【課題】 ダイバーシティを構成する送受信用アンテナと受信用アンテナとの間で高いアイソレーションを有する統合アンテナを提供する。
【解決手段】電話用アンテナ110は、所定の周波数帯で送受信を行うTRx用アンテナ111と、受信のみを行うRx用アンテナ112とからなるダイバーシティ構成となっており、TRx用アンテナ111の近傍に無給電素子113が配置されている。無給電素子113をその接地点113bの近傍でL字状に屈曲させることで、接地点113bをRx用アンテナ112の給電点112aに近接させており、これによりTRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間で高いアイソレーションを実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される統合アンテナに関し、特にETC、VICS等のアンテナにさらに電話用アンテナを搭載して統合した車載用の統合アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、1枚の共用グランドの上にETC(Electronic Toll Collection System)、VICS(Vehicle Information and Communication System)、GPS(Global Positioning System)等に用いるそれぞれのアンテナを一体的に配置した統合アンテナが開発されている。例えば特許文献1では、VICS用アンテナとGPS用アンテナが1つの複合基板上に配置され、指向性の異なるETC用アンテナが別の基板上に配置されており、この2つの基板が1枚の共用グランドの中央付近に配置されている。なお、基板の各アンテナを搭載する面と反対側の面には、ほぼ全面に基板用グランドが形成されている。
【0003】
一方、近年は携帯電話などに用いる電話用アンテナも車両に搭載したいというニーズが高まっており、電話用アンテナの設置スペースの確保が困難なことから、従来の統合アンテナにさらに電話用アンテナも統合させることが強く望まれている。電話用アンテナでは、800MHz帯の周波数帯が用いられている。また、好適な受信特性を得るために、電話用アンテナをダイバーシティ構成とすることが望まれている。ダイバーシティ構成の電話用アンテナを備えた車載用統合アンテナとして、例えば特許文献2に記載のものが知られている。
【0004】
ダイバーシティ構成の電話用アンテナを備えた統合アンテナの一例を、図14に示す。同図に示す統合アンテナ900では、共通地板901の略中央にGPS用アンテナ902が配置されており、共通地板901がGPS用アンテナ902のグランドとして作用する。また、GPS用アンテナ902を挟んでその左右に電話用アンテナ903、904が配置されている。
【0005】
電話用アンテナ903及び904は、同じ周波数帯で動作するアンテナであり、これを用いてダイバーシティを構成することで、高い受信特性が得られるようにしている。ここで、電話用アンテナ903を送受信用のアンテナ(以下ではTRx用アンテナと称する。)とし、電話用アンテナ904を受信専用のアンテナ(Rx用アンテナと称する。)としている。
【0006】
電話用アンテナ903及び904として、図15に示すような逆F型アンテナを用いることができる。図15は、電話用アンテナ903、904を示す斜視図であり、GPS用アンテナ902の図示を省略している。電話用アンテナ903、904は、それぞれの給電点が給電ケーブル905、906に接続され、接地点が共に共通地板901に接続されている。また、電話用アンテナ903が好適な放射特性を有するように、無給電素子907が電話用アンテナ903に略平行に配設されている。無給電素子907は、接地点が共通地板901に接続され、給電点は有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−056773号公報
【特許文献2】特開2007−124016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、TRx用アンテナとRx用アンテナとを統合アンテナに組み込んでダイバーシティ構成とした場合には、TRx用アンテナからの送信波がRx用アンテナに漏れてしまうといった問題があった。すなわち、TRx用アンテナとRx用アンテナとの間で十分なアイソレーションを確保するのが困難といった問題があった。特に、TRx用アンテナに図15に示すような無給電素子が近接配置された場合には、TRx用アンテナとRx用アンテナとの間のアイソレーションが著しく低下するといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、ダイバーシティを構成するTRx用アンテナとRx用アンテナとの間で高いアイソレーションを有する統合アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の統合アンテナの第1の態様は、電話用アンテナを別のアンテナとともに共通地板上に配置して統合させた統合アンテナであって、前記電話用アンテナは、少なくとも放射部が前記共通地板の対向する2つの端辺に近接してそれぞれと平行に配設された第1のアンテナ及び第2のアンテナと、前記第1のアンテナに近接してこれと平行に配設された無給電素子と、を備えてダイバーシティに構成され、前記無給電素子の接地点側が前記第2のアンテナ側に折り曲げられて、前記無給電素子の接地点が、前記第1のアンテナの給電点と前記第2のアンテナの給電点との間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記電話用アンテナの送受信波の波長をλとするとき、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとが0.11λ以上0.14λ以下の距離を隔てて配設され、前記無給電素子の接地点が前記第2のアンテナの給電点から0.09λ以下の距離の位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第2のアンテナの給電点及び接地点が前記第1のアンテナ側に折り曲げられて、前記第2のアンテナの給電点及び接地点が前記第1のアンテナの給電点に近接して配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記電話用アンテナの送受信波の波長をλとするとき、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとが0.11λ以上0.14λ以下の距離を隔てて配設され、前記無給電素子の接地点が前記第2のアンテナの給電点から0.06λ以下の距離の位置に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナの放射部と給電点と接地点とが、前記共通地板の端辺に沿って直線状に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナは送受信用アンテナであることを特徴とする。
【0016】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、逆F型アンテナであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ダイバーシティを構成するTRx用アンテナとRx用アンテナとの間で高いアイソレーションを有する統合アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る統合アンテナの平面図である。
【図2】第1実施形態に係る統合アンテナの斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る統合アンテナのVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図4】第1の比較例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図5】第2の比較例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図6】第3の比較例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態と第1〜第3の比較例のアイソレーションの比較図である。
【図8】第2の実施形態の統合アンテナの構成を示す斜視図である。
【図9】第2の実施形態の統合アンテナのVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図10】第3の実施形態の統合アンテナの構成を示す斜視図である。
【図11】第3の実施形態の統合アンテナのVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図12】第4実施形態の統合アンテナの構成を示す斜視図である。
【図13】第4の比較例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図14】従来のダイバーシティ構成の電話用アンテナを備えた統合アンテナの平面図及び側面図である。
【図15】逆Fアンテナを用いた電話用アンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態における統合アンテナについて、図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。本発明の統合アンテナは、ETC、VICS等のアンテナを搭載した車両用の統合アンテナに、さらに電話用アンテナを統合したものである。
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る統合アンテナを、図1、2を用いて説明する。図1は、第1の実施形態の統合アンテナ100の構成を示す平面図であり、図2は、統合アンテナ100の斜視図である。本実施形態の統合アンテナ100は、電話用アンテナ110を別のアンテナ101と統合して構成されたものである。図1では、別のアンテナ101の一例としてGPS用アンテナを搭載した実施形態例を示している。但し、図2では、GPS用アンテナ101の図示を省略している。本実施形態では、これに限定されず、例えばGPS用アンテナ101に隣接してさらにETC用アンテナを搭載したものでもよい。ETC用アンテナは、共通地板102に対し所定の角度だけ傾けて載置される。
【0021】
GPS用アンテナ101は、共通地板102の略中央に非接触に配置されており、共通地板102がGPS用アンテナ101の反射板として作用する。また、電話用アンテナ110は、所定の周波数帯で送受信を行うTRx用アンテナ111と、受信のみを行うRx用アンテナ112とからなるダイバーシティ構成となっており、両アンテナ111、112がGPS用アンテナ101を挟んで共通地板102の左右両端辺に平行に配置されている。TRx用アンテナ111の近傍には、無給電素子113が配置されており、無給電素子113の長手方向の少なくとも一部がTRx用アンテナ111と平行となっている。無給電素子113は、電話用アンテナ110の放射特性を改善するために設けられたものである。ここでは、無給電素子113をTRx用アンテナ111の近傍に配置しているが、これに限らずRx用アンテナ112の近傍に配置してもよい。
【0022】
以下では、TRx用アンテナ111の使用周波数帯を送受信用周波数帯F1とし、Rx用アンテナ112の使用周波数帯を受信用周波数帯F2とする。一例として、それぞれの周波数帯を、F1=824〜925MHz、F2=843〜875MHzとし、それぞれの周波数帯で好適に調整したときの特性を以下で説明する。
【0023】
TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112として、ここでは逆F型アンテナが用いられており、それぞれが共通地板102上の対向する2つの端辺に略平行に配置されている。TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のそれぞれの給電点111a、112aは、所定のケーブルに接続されて給電され、それぞれの接地点111b,112bは、共通地板102に接続されている。
【0024】
本実施形態の電話用アンテナ110では無給電素子113の接地点113bをRx用アンテナ112の給電点112aに近接させることで、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間で高いアイソレーションを実現させる構成としている。無給電素子113の接地点113bをRx用アンテナ112の給電点112aに近接させるために、無給電素子113をその接地点113bの近傍でL字状に屈曲させ、その先端に接地点113bを設けている。これにより、接地点113bは共通地板102の中央側に配置され、Rx用アンテナ112の給電点112aに近接して配置されることになる。接地点113bは、共通地板102に接続されている。
【0025】
電話用アンテナ110で送受信する電波の波長をλとするとき、電話用アンテナ110の寸法の一例を以下に説明する。TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を0.11λ〜0.14λとしたとき、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ112の給電点112aとの距離を、0.09λ以下とするのが好ましい。無給電素子113の接地点113bを、0.09λ以下の距離まで給電点112aに近接させることにより、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間で高いアイソレーションを実現させることが可能となる。
【0026】
以下では、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を0.13λとし、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ112の給電点112aとの距離を0.07λまで近接させたとき、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間で高いアイソレーション特性が得られることを説明する。電話用アンテナ110の特性を図3に示す。同図において、(a)、(b)はそれぞれTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性、(c)、(d)はそれぞれTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のゲイン特性、(e)はTRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーション特性(S21)、をそれぞれ示している。
【0027】
TRx用アンテナ111のVSWR特性は、図3(a)に示す送受信周波数帯F1において十分低くなるように調整されている。また、Rx用アンテナ112のVSWR特性も、図3(b)に示す受信周波数帯F2において十分低くなるように調整されている。同様にゲイン特性についても、TRx用アンテナ111のゲイン特性が送受信周波数帯F1において十分高くなるように調整され、Rx用アンテナ112のゲイン特性が受信周波数帯F2において十分高くなるように調整されている。このときのTRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーション特性は、図3(e)に示すように、送受信周波数帯F1及び受信周波数帯F2を含む広い周波数帯でS21が小さくなっており、高いアイソレーションが得られていることがわかる。
【0028】
次に、電話用アンテナ110との比較例として、無給電素子909が直線状に形成された図14、15に示した従来例の電話用アンテナ(以下では、第1の比較例とする)について、そのアイソレーション特性等を図4を用いて説明する。図4は、図3と同様に、(a)、(b)にVSWR特性を、(c)、(d)にゲイン特性、及び(e)にアイソレーション特性(S21)をそれぞれ示している。但し、TRx用アンテナ111と903、Rx用アンテナ112と904、及び共通地板201と907は、いずれも同じ形状で同じ寸法のものとしている。図14、15に示した統合アンテナ900では、統合アンテナ100に比べて、無給電素子907の接地点907bがRx用アンテナ904の給電点904aから離れた位置に配置されている。
【0029】
図3(e)と図4(e)との比較より、本実施形態では第1の比較例より高いアイソレーション特性(低いS21)が得られており、無給電素子113の接地点113bをRx用アンテナ112の給電点112aに近接させる方が高いアイソレーション特性が得られることがわかる。また、VSWR特性及びゲイン特性では、本実施形態と第1の比較例との間で大きな差が見られないことから、無給電素子113をL字状に屈曲させて接地点113bをRx用アンテナ112の給電点112aに近接させても、ゲイン特性等のアンテナ特性が劣化することはない。
【0030】
本実施形態では、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ112の給電点112aとの距離を0.07λまで近接させているが、別の第2の比較例として、この距離を0.09λを超えて例えば0.1λとした場合のアイソレーション特性について、図5を用いて以下に説明する。図5は、第2の比較例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。図5(a)、(b)に示すVSWR特性、及び同図(c)、(d)に示すゲイン特性は、いずれも図4に示した第1の比較例と同程度となっている。また、同図(e)に示すアイソレーション特性は、第1の比較例に比べて若干高くなっているものの、本実施形態に比べると低いことがわかる。
【0031】
上記の第2の比較例のアンテナ特性より、無給電素子113をL字形状に屈曲させてその接地点113bをRx用アンテナ112の給電点112aに近接させても、その距離が0.09λを超える場合には、アイソレーション特性を十分に高くすることができないことがわかる。本実施形態の統合アンテナ100では、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を0.11λ〜0.14λとしたとき、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ112の給電点112aとの距離を、0.09λ以下とするのがよい。
【0032】
さらに別の比較例として、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を、0.11λ〜0.14λの範囲で最も大きい0.14λとしたときの第3の比較例について、以下に説明する。TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーションを高くするためには、両者の距離を大きくするのが好ましいが、統合アンテナをできるだけ小型化したいといったニーズがあるため、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を十分に大きくすることはできない。そこで、第3の比較例として、無給電素子を第1の比較例と同様にL字状に折り曲げないで直線状とし、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を、第1の比較例より0.02λ大きい0.14λとしたときのアンテナ特性を図6に示す。
【0033】
図6(a)、(b)に示すVSWR特性、及び図6(c)、(d)に示すゲイン特性は、いずれも図4に示した第1の比較例と同程度となっている。また、図6(e)に示すアイソレーション特性も第1の比較例と同程度であり、本実施形態に比べると低いことがわかる。これより、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を、0.13λから0.14λに大きくしても、アイソレーション特性を十分に高めるのは困難であることがわかる。TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の距離を若干大きくするよりも、本実施形態のように、無給電素子113の接地点113をRx用アンテナ112の給電点112aに近接させる方が、Rx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーションを高くすることができる。
【0034】
TRx用アンテナとRx用アンテナとの間のアイソレーション特性について、第1の実施形態におけるアイソレーション特性の最低値(S21の最高値)を、第1〜第3の比較例における最低値と比較した結果を図7に示す。図7は、横軸を無給電素子の接地点とRx用アンテナの給電点との間の距離とし、縦軸をアイソレーション(S21の符号を逆としたもの)としたときの各ケースのアイソレーション最低値をプロットしたものである。符号10は、第1の実施形態におけるアイソレーションの大きさを示し、符号11〜13は、それぞれ第1〜第3の比較例におけるアイソレーションの大きさを示している。同図より、第1の実施形態におけるRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーション10が、第1〜第3の比較例に比べて十分高いことがわかる。
【0035】
本発明の第2の実施形態に係る統合アンテナを、図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態の統合アンテナ200の構成を示す斜視図である。なお、ここでは、別のアンテナの一例であるGPS用アンテナ101の図示を省略している。本実施形態の統合アンテナ200では、無給電素子113をL字状に屈曲させるのに加えて、電話用アンテナ210のRx用アンテナ212もL字状に屈曲させることにより、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ212の給電点212aとをさらに近接させている。TRx用アンテナ111とRx用アンテナ212との間の距離が0.11λ〜0.14λのとき、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ212の給電点212aとの距離を0.06λ以下とするのがよい。
【0036】
上記のように、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ212の給電点212aとを、第1の実施形態よりさらに近接させたときのアイソレーション特性を、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。ここでは、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ212の給電点212aとの距離を0.04λとしている。図9(e)に示す本実施形態のアイソレーション特性を図3(e)に示した第1の実施形態のアイソレーション特性と比較すると、第1の実施形態より本実施形態の方がさらに高いアイソレーション特性が得られることがわかる。
【0037】
無給電素子の接地点とRx用アンテナの給電点との距離をさらに小さくした本発明の第3の実施形態に係る統合アンテナを、図10を用いて説明する。図10は、第3の実施形態の統合アンテナ300の構成を示す斜視図である。ここでも、別のアンテナの一例であるGPS用アンテナ101の図示を省略している。本実施形態では、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ312の給電点312aとの距離をさらに小さくするために、接地点312bに接続される部分でRx用アンテナ312をさらに90度折り曲げることで、給電点312aを無給電素子113の接地点113bに近接させている。図10に示す実施形態例では、Rx用アンテナ312を接地点312bに接続される部分で折り曲げることで、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ312の給電点312aとの距離を0.03λにしている。
【0038】
上記のように、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ312の給電点312aとをさらに近接させたときのアイソレーション特性を、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。図11(e)に示す本実施形態のアイソレーション特性を図9(e)に示した第2の実施形態のアイソレーション特性と比較すると、本実施形態の方が第2の実施形態よりさらに高いアイソレーション特性が得られていることがわかる。
【0039】
上記のいずれの実施形態においても、TRx用アンテナ111を直線状とし、共通地板102の左端辺に平行に配置していたが、第4の比較例として、TRx用アンテナ111もL字状に屈曲させた統合アンテナの一例を図12に示す。同図では、第3の実施形態の統合アンテナ300に対し、TRx用アンテナ911をL字状に屈曲させることで、TRx用アンテナ911の給電点911a、無給電素子113の接地点113b、及びRx用アンテナ312の給電点312aを相互に近接させている。
【0040】
図12において、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ312の給電点312aとの距離は、第3の実施形態の場合と同じ0.03λにしている。このように構成された第4の比較例におけるVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を図13に示す。図13(e)より、TRx用アンテナ911もL字状に屈曲させて給電点911aをRx用アンテナ312の給電点312aに近接させると、アイソレーション特性は却って低下してしまう。これより、無給電素子113の接地点113bとRx用アンテナ312の給電点312aのみを近接させ、TRx用アンテナは直線状に配置したTRx用アンテナ111を用いるのがよい。
【0041】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る統合アンテナの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における統合アンテナの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
100、300、400、500、600、700、900 統合アンテナ
101、902 GPS用アンテナ
102、201、602、802、901 地板
602a 電流遮断部
110、310、510、903、904 電話用アンテナ
111 TRx用アンテナ
111a、112a、312a 給電点
111b,112b、113b、312b、513b 接地点
112、312 Rx用アンテナ
113、513、909 無給電素子
120、320、520 電話用基板
121、122、322、521 アンテナ素子形成部
123 基板主部
424、724 地板
425 分離スリット




【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話用アンテナを別のアンテナとともに共通地板上に配置して統合させた統合アンテナであって、
前記電話用アンテナは、
少なくとも放射部が前記共通地板の対向する2つの端辺に近接してそれぞれと平行に配設された第1のアンテナ及び第2のアンテナと、
前記第1のアンテナに近接してこれと平行に配設された無給電素子と、を備えてダイバーシティに構成され、
前記無給電素子の接地点側が前記第2のアンテナ側に折り曲げられて、前記無給電素子の接地点が、前記第1のアンテナの給電点と前記第2のアンテナの給電点との間に配置されている
ことを特徴とする統合アンテナ。
【請求項2】
前記電話用アンテナの送受信波の波長をλとするとき、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとが0.11λ以上0.14λ以下の距離を隔てて配設され、前記無給電素子の接地点が前記第2のアンテナの給電点から0.09λ以下の距離の位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の統合アンテナ。
【請求項3】
前記第2のアンテナの給電点及び接地点が前記第1のアンテナ側に折り曲げられて、前記第2のアンテナの給電点及び接地点が前記第1のアンテナの給電点に近接して配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の統合アンテナ。
【請求項4】
前記電話用アンテナの送受信波の波長をλとするとき、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとが0.11λ以上0.14λ以下の距離を隔てて配設され、前記無給電素子の接地点が前記第2のアンテナの給電点から0.06λ以下の距離の位置に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の統合アンテナ。
【請求項5】
前記第1のアンテナの放射部と給電点と接地点とが、前記共通地板の端辺に沿って直線状に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の統合アンテナ。
【請求項6】
前記第1のアンテナは送受信用アンテナである
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の統合アンテナ。
【請求項7】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、逆F型アンテナである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の統合アンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−66713(P2011−66713A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216092(P2009−216092)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】