説明

継手の製造方法

【課題】継手の品質を損なうことなく簡単な仕方にて継手の歯部を製造することを可能にする方法を提供する。
【解決手段】軸方向に伸びる外歯部3及び相補的な内歯部5がそれぞれ設けられ、これにより両方の部品2、4がそれらの歯部3、5により、互いに対して軸方向に変位可能であるようにした主として雄型部品2及び雌型部品4から成る型式の継手1の製造方法において、部品4の一方の歯部5を円筒状に形成し且つ、ドリル又はカッターのような雌型の円筒状の形状体8を形成することのできるツールにて、雄型部品2の外歯部3の間に溝8を実現することから少なくとも成る、製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手の製造方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、軸方向に伸びる外歯部及び内歯部がそれぞれ設けられ、これにより両方の部品がそれらの歯部により、互いに対して軸方向に変位可能であるようにした主として雄型部品及び雌型部品から成る型式の継手の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
上述した型式の継手は、駆動部品及び被駆動部品という、2つの回転部品を連結するため使用される。
【0004】
上記継手に適用される歯部は、通常、製造が困難である。
【0005】
既知の継手の製造方法によれば、その目的のため特殊な設計とされ又は調節すべき内歯部及び外歯部の双方の歯部をフライス削り及び切削するため特殊な歯切り機械が使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この既知の方法の不利益な点は、勿論、特殊な歯切り機械の製造又は購入に伴う高コスト、及びかかる機械にて加工することのできる熟練者に高コストが掛かることである。
【0007】
本発明は、上述し及びその他の不利益な点の1つ又は幾つかを解消することを目的とし、これにより、継手の品質を損なうことなく簡単な仕方にて継手の歯部を製造することを可能にする方法を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明は、軸方向に伸びる外歯部及び相補的な内歯部がそれぞれ設けられ、これにより両方の部品がそれらの歯部により、互いに対して軸方向に変位可能であるようにした主として雄型部品及び雌型部品から成る型式の継手の製造方法であって、これにより、この方法は、雌型部品の内歯部を円筒状に形成し且つ、ドリル又はカッターのような雌型の円筒状の形状体を形成することのできるツールにて雄型部品の外歯部の間に相補的な溝を実現することから少なくとも成る上記製造方法に関するものである。
【0009】
本発明によるかかる方法の有利な点は、円筒状歯部を有する部品と相補的な歯部を部品上に実現するため、例えば、穿孔工程又はフライス削り工程のような簡単な工程が、歯部の間に溝を実現するのに十分であるから、特殊な歯切り機械は最早、不要な点である。
【0010】
勿論、このことは、継手を製造するコストに有益な効果を与える。
【0011】
本発明の1つの好ましい方法によれば、円筒状の溝は、互いに規則的な間隔に設けられ且つ、周縁上にて心合わせされ、円筒状歯部は、半円筒状又は実質的に半円筒状であることが更に好ましい。
【0012】
かかる継手を製造する本発明に従った簡単な方法は、互いに規則的な間隔にあり且つ、関連する部品において上述した周縁上で心合わせされた軸方向ボアを提供し且つ、次に、上記部品の材料を特定の直径まで円の軸線に対して同軸状に旋削することから成っている。
【0013】
本発明による1つの代替的な方法は、最初に、関連する部品を特定の直径まで軸線に対して同軸状に旋削し、次に、互いに規則的な間隔にて、且つ上述した周縁上で心合わせされた円筒状溝を、軸方向に対し横断状に半径方向(R)に沿ってフライス削り工程によって提供することから成っている。
【0014】
上述した方法の有益な点は、標準型の機械によって実行することができ、かつ、高度に熟練した技能者を必要としない簡単な穿孔及び旋削工程又は簡単な穿孔及びフライス削り工程を実行することにより、部品の1つの歯部が形成されることである。
【0015】
本発明の別の好ましい方法によれば、歯部の少なくとも1つの頭部が調節され、関連した歯部の高さが歯の遠方端に向けて歯部の中心を基点として軸方向に湾曲した経路(course)に沿って減少する。
【0016】
1つの代替例として又は追加的に、歯部の1つの幅が調節され、歯の幅が外側へ歯の中心を基点として減少し、このため、軸方向に沿って筒形の経路を有するようにすることができる。
【0017】
これらの方法の1つの利益な点は、曲線が、第一の部品を軸方向に沿って第二の部品内に配置するのに十分な遊びを提供するから、双方の部品の継手が容易に形成される点である。
【0018】
更に、連結された部品は、上述した曲線のため、正確に直線状にする必要はない。
【0019】
本発明は、軸方向に伸びる外歯部及び相補的な内歯部がそれぞれ設けられ、これにより両方の部品がそれらの歯部により、互いに対して軸方向に変位可能であるようにした主として雄型部品及び雌型部品から成る型式の継手であって、雌型部品の内歯部及び雄型部品の外歯部の間の溝が円筒状であることを特徴とする上記継手にも関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
何ら限定せずに、単に一例として、本発明の特徴を一層良く説明するため、本発明に従った継手を製造する幾つかの方法について、添付図面を参照しつつ、以下に説明する。
【0021】
図1ないし図6に示した継手1は、外歯部3を有する雄型部品2と、外歯部と共に作用する内歯部5を有する雌型部品4とから成っている。
【0022】
この外歯部3及び内歯部5は、軸方向AA´に伸びている。
【0023】
例えば、図3により詳細に示すように、雌型部品4の内歯部5の歯部6は、円筒状である。
【0024】
雄型部品2における外歯部3は、雌型部品4の内歯部5と相補的である。
【0025】
このことは、外歯部3の2つの連続的な歯部7の間毎に円筒状壁を有する溝8が画成され、この溝に雌型部品4の内歯部5の円筒状歯部6が嵌まることを意味する。
【0026】
図1ないし図6に従った継手1の製造方法は、次の通りである。
【0027】
円筒状歯部5を有する雌型部品4は、職人に既知の技術に従って形成することができる。
【0028】
本発明によれば、例えば、その連続的なステップを図7ないし図9によって示した方法に従って雄型部品2を得ることができる。
【0029】
図7及び図8に示した第一のステップにおいて、ボア穴10は、加工され又は加工されない何れかである材料9の片にて軸方向AA´に向けて周縁C上にて規則的な間隔で且つ、特定の深さに形成される。
【0030】
上述したボア穴10は、周縁C上にて心合わせされることが好ましい。
【0031】
図9に示した第二のステップにおいて、次に、片9の部品11は、軸線AA´と同軸状に旋削される。
【0032】
片9は、上述した円Cまで最大程度、旋削されることが好ましい。
【0033】
図2により詳細に示すように、このようにして、外歯部3は雄型部品2にて得られ、これにより、2つの連続的な歯部7の間毎に半円筒状又はほぼ半円筒状壁を有する溝8が配置される。
【0034】
当然、外歯部3及び内歯部5が相補的であるようにするため、円筒状の内歯部5をその内径Dが片9の旋削した部品12の外径D´に等しいか又はより大きい円筒状表面に設けなければならない。
【0035】
更に、円筒状溝8の直径Eは、可能な遊びを別にして、内歯部5の円筒状歯部6の直径E´に等しい。
【0036】
このことは、図5及び図6に示すように、雄型部品2を遊びが極めて小さく、又は全く零である状態にて、雌型部品4内に配置することを可能にする。
【0037】
外歯部3及び内歯部5は、等しい数の歯部6、7を有することが好ましい。
【0038】
本発明の方法に従って継手1を製造するときの選択可能なステップは、関連する歯部3又は5の高さH、H´が図1に示すように、軸方向AA´に沿って湾曲した経路が得られるように仕上げるべく、例えば、研磨により歯部6及び(又は)7の頭部13を調節するステップから成るものとすることができる。
【0039】
これと代替的に又は追加的に、歯部3及び(又は)5の一方の幅Bは、この幅Bが例えば、外歯部3に対して図4に示したように軸方向AA´に沿って筒形の経路を有するように調節することもできる。
【0040】
この仕上げのため、雄型部品2及び雌型部品4が互いの内部に容易に摺動することが可能になる一方、連結した部品2、4の間の製造許容公差内の整合誤り又は逸脱は容易に補償することができる。
【0041】
本発明に従った1つの代替的な方法は、図10に示した第一のステップにおいて、加工し又は加工しない材料9の片の何れかから部品11を直径D´まで軸線AA´と同軸状に旋削するステップから成っている。
【0042】
例えば、図11に示したように、旋削する間又は旋削した後、上述した湾曲した輪郭外形を提供することも可能である。
【0043】
第二のステップにおいて、図12及び図13にそれぞれ示した、湾曲した輪郭外形が提供されるかどうかに依存して、円筒状溝8は、互いから規則的な間隔にてフライス削りされ且つ、半径方向Rに沿ってフライス削り加工により軸方向AA´に沿って周縁C上にて心合わせされる。
【0044】
このように、同様の結果が得られる。
【0045】
本発明による上述した方法によれば、今日迄、採用されてきた技術よりも簡単な態様にて上述した型式の継手を得ることができ、また、このようにして、かかる継手の製造コストを削減することができることは明確である。
【0046】
上に掲げた実施例において、内歯部5は、円筒状であり、外歯部3は、主として、穿孔又はフライス削り工程を行い、その後に又はその前に旋削工程を行うことにより得られるが、外歯部3を円筒状に形成し、雄型部品2の円筒状歯部と相補的なボア穴10を雌型部品4に最初に提供し、その後、雌型部品4を旋削し、又は、逆に最初に旋削工程を実行し、その後、フライス削り工程を実行する代替的な方法を施すことにより、上述した方法と類似した方法によって内歯部5を製造することを排除するものではない。
【0047】
更に、歯部3、5は、上述した方法以外の方法にて仕上げることを排除するものではない。
【0048】
本発明は、一例として掲げ且つ、図面に関して説明した方法にのみ限定されるものではなく、本発明による方法は、多くのその他の方法にて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】断面図として見た、連結されていないときの本発明の方法に従って得られた継手の概略断面図である。
【図2】図1の矢印F2に従ったより拡大縮尺による図である。
【図3】図1の矢印F3に従ったより拡大縮尺による図である。
【図4】図1の矢印F4に従ったより拡大縮尺による図である。
【図5】連結されたときの図1に示した継手の断面図である。
【図6】図5の線VI−VIに従った断面図である。
【図7】本発明による好ましい方法に従って継手を製造する異なる工程を示す図である。
【図8】本発明による好ましい方法に従って継手を製造する異なる別の工程を示す図である。
【図9】本発明による好ましい方法に従って継手を製造する異なる更に別の工程を示す図である。
【図10】代替的な方法を示す図である。
【図11】別の代替的な方法を示す図である。
【図12】更に別の代替的な方法を示す図である。
【図13】更に別の代替的な方法を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 継手
2 雄型部品
3 外歯部
4 雌型部品
5 内歯部/円筒状歯部
6 歯部
7 連続的な歯部
8 円筒状溝
9 片
10 ボア穴
11 片9の部品
12 片9の旋削した部品
13 歯部6及び7の頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に伸びる外歯部(3)及び相補的な内歯部(5)がそれぞれ設けられ、これにより両方の部品(2、4)がそれらの歯部(3、5)により、互いに対して軸方向に変位可能であるようにした主として雄型部品(2)及び雌型部品(4)から成る型式の継手(1)の製造方法において、部品(4)の一方の歯部(5)を円筒状に形成し且つ、ドリル又はカッターのような雌型の円筒状の形状体(8)を形成することのできるツールにて、雄型部品(2)の外歯部(3)の間に溝(8)を実現することから少なくとも成ることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、円筒状溝(8)は、関連する部品の周縁(C)上にて規則的な間隔で設けられることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、円筒状溝(8)は、前記周縁(C)上にて心合わせされることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つの項に記載の方法において、円筒状歯部(5)は、半円筒状又は実質的に半円筒状であることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項2又は3の何れかに記載の方法において、互いに規則的な間隔にあり且つ、前記周縁(C)上に心合わせされた軸方向ボア穴(10)を提供し且つ、次に、或る直径(D´)まで円(C)の軸線(AA´)に対して同軸状に前記部品(2)の材料(11)を旋削することから成ることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項2又は3の何れかに記載の方法において、最初に、関連する部品(2)を或る直径(D´)まで軸線(AA´)に対して同軸状に旋削し、次に、互いに規則的な間隔にて、且つ上述した周縁(C)上に心合わせされた軸方向円筒状溝(8)を、フライス削り工程によって提供することから成ることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の方法において、材料(11)は、前記円(C)まで最大限旋削されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つの項に記載の方法において、円筒状歯部(5)が、その直径(D)が旋削した部品(12)の直径(D´)に等しい円筒状表面上に設けられることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つの項に記載の方法において、前記円筒状溝(8)には、円筒状歯部(6)の直径(E´)に等しい直径(E)が設けられることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1つの項に記載の方法において、雄型部品(2)の外歯部(3)は、雌型部品(4)の内歯部(5)と同数の歯を有するように実現されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1つの項に記載の方法において、関連する歯部(3、5)の高さ(H、H´)が歯部(6、7)の中心を基点として歯部(6、7)の遠方端に向けて軸方向(AA´)に減少するように歯部(3、5)の少なくとも1つの頭部(13)が調節されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項4ないし9の何れか1つの項に記載の方法において、歯部(6、7)の幅(B)が歯部(6、7)の中心を基点として外側に向けて減少するように歯部(3、5)の1つの幅(B)が調節されることを特徴とする、方法。
【請求項13】
軸方向に伸びる外歯部(3)及び相補的な内歯部(5)がそれぞれ設けられ、これにより両方の部品(2、4)がそれらの歯部(3、5)により、互いに対して軸方向に変位可能であるようにした主として雄型部品(2)及び雌型部品(4)から成る継手において、雌型部品(4)の内歯部及び雄型部品(2)の外歯部の間の溝(8)が円筒状であることを特徴とする、継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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