綱渡り玩具
【課題】猿などの動物、人形が蔦などの綱にぶら下りながら綱を手繰るようにして渡る動作を呈し、興趣が深い綱渡り玩具を提供する
【解決手段】玩具体1は、前後方向に回動可能な左右腕体26,27及び左右脚体32,33と、左右腕体26,27及び左右脚体32,33を左右交互に前後方向に回動する作動機構及び作動機構を駆動させる駆動機構とを有している。左右腕体26,27及び左右脚体32,33の係合部が棒状体45に係合して玩具体1がぶら下がった状態で作動機構が左右腕体26,27及び左右脚体32,33を前後方向に反復回動作動させ、玩具体1が棒状体45に沿って移動し、綱渡りの動作を呈する。
【解決手段】玩具体1は、前後方向に回動可能な左右腕体26,27及び左右脚体32,33と、左右腕体26,27及び左右脚体32,33を左右交互に前後方向に回動する作動機構及び作動機構を駆動させる駆動機構とを有している。左右腕体26,27及び左右脚体32,33の係合部が棒状体45に係合して玩具体1がぶら下がった状態で作動機構が左右腕体26,27及び左右脚体32,33を前後方向に反復回動作動させ、玩具体1が棒状体45に沿って移動し、綱渡りの動作を呈する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猿などの動物、人形が綱を手で手繰りながら渡る動作を呈する綱渡り玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の綱渡り動作を呈する玩具は、綱を転動するプーリの誘導回転で、このプーリに取り付けた人形、動物玩具体が綱渡り動作を呈する構造(特許文献1)、または、人形玩具体に交互に進退する左右脚体の下面に綱に係合する係合部を形成し、左右脚体の係合部を綱に係合し、左右脚体の交互の進退動作で綱渡り動作を呈する構造(特許文献2)が知られている。
【特許文献1】実開昭56−9495号公報
【特許文献2】実開昭55−30130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、従来の綱渡り玩具は、綱を渡る動作を呈する玩具体は、歩いて綱渡りする動作で、玩具体に左右にバランスウエートをそれぞれ取り付け、このバランスウエートにて左右のバランスをとって歩く動作で移動する構成で、動物玩具ではいかにも人為的であった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、猿などの動物、人形が蔦などの綱にぶら下りながら綱を手繰るようにして渡る動作を呈し、興趣が深い綱渡り玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の綱渡り玩具は、前後方向に回動可能な左右腕体及び左右脚体と、この左右腕体及び左右脚体を左右交互に前後方向に回動する作動機構及びこの作動機構を駆動させる駆動機構とを有する玩具体と、この玩具体の4つの左右腕体及び左右脚体の内、少なくとも3つの先端部が係脱自在に係合される棒状体とを備えている。
【0006】
また、前記左右腕体及び左右脚体にはそれぞれ先端部の互いに対向する内側に形成され前記棒状体に係合する係合部を形成する。
【0007】
さらに、この左右腕体及び左右脚体の内少なくとも3つの係合部が前記棒状体に係合して玩具体をぶら下げた状態で前記駆動機構により作動する作動機構がこの左右腕体及び左右脚体を前後方向に反復回動作動させ、玩具体を棒状体に沿って移動させる。
【0008】
そして、棒状体に玩具体の左右腕体及び左右脚体の少なくとも三つの係合部をそれぞれ棒状体に係合する。この状態で駆動機構を駆動すると、作動機構によって左右腕体及び左右脚体が左右交互に反復回動し、左右腕体及び左右脚体の回動で係合部が順次に綱などに模した棒状体に沿って移動され、動物、人形が手で綱を手繰るようにぶら下がりながら綱渡りする動作を呈する。
【0009】
また、本発明の綱渡り玩具の作動機構は、左右腕体及び左右脚体の回動方向を反転させる切換え機構を備えている。
【0010】
そして、切換え機構が切り換わり作動すると、左右腕体及び左右脚体の回動方向を反転され、動物、人形玩具体が前側に綱渡り動作するとともに、後退動作をする。
【0011】
さらに、玩具体の左右腕体及び左右脚体は、各先端部をこの左右腕体及び左右脚体が対向する内側に折り曲げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端面を接地面に形成し、この左右腕体及び左右脚体の先端部を係合部を棒状体に係合して玩具体をぶら下げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばした状態で先端接地面を接地させることにより直立可能としている。
【0012】
駆動機構の駆動により、前記左右腕体及び左右脚体の係合部を棒状体に係合してぶら下げた状態で玩具体を棒状体に沿って移動させるとともに、この左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばして先端部の接地面を接地させた状態で歩行動作を呈するものである。
【0013】
そして、棒状体に係合した左右腕体及び左右脚体の係合部を、棒状体から外し、左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばした状態でテーブル、床面などに、左右腕体及び左右脚体の接地面を載置し、駆動機構の駆動により、左右腕体及び左右脚体が左右交互に反復回動し、玩具体は歩行動作を呈する。
【0014】
また、玩具体の左右腕体及び左右脚体の各先端部を対向する内側に折り曲げることにより、それぞれ係合部が形成され、この各係合部を棒状体に係合させ、駆動機構を駆動すると、作動機構によって左右腕体及び左右脚体が左右交互に反復回動し、左右腕体及び左右脚体の回動で係合部が順次に綱などに模した棒状体に沿って移動され、動物、人形が手で綱を手繰るようにぶら下がりながら綱渡りする動作を呈する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の綱渡り玩具は、動物、人形が綱にぶら下がりながら手で綱を手繰るように綱渡りする動作を呈し、興趣が深い。
【0016】
また、作動機構の切換え機構の切り換えにより、左右腕体及び左右脚体の回動方向が反転され、玩具体は綱渡りを往復する動作を呈し、興趣が高められる。
【0017】
さらに、玩具体は綱渡り動作と歩行動作を呈し、一つの玩具にて二通りの楽しみ方ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の綱渡り玩具の一実施の形態を図面について説明する。
【0019】
図1ないし図3に示すとおり、玩具体1は、例えば、猿に模した形状に形成され、この玩具体1内には機枠2が設けられている。
【0020】
この機枠2には、図4及び図5に示すように、駆動機構としての電動機3が取り付けられ、この電動機3の出力軸4に出力歯車5が設けられている。この出力歯車5に作動機構6の入力歯車7が噛合され、この入力歯車7に減速歯車機構8が噛合されている。
【0021】
この減速歯車機構8の減速出力歯車9には、切換え機構10の切換え歯車11と切換え制御歯車12とが噛合されている。この切換え制御歯車12より切換え歯車11の歯数が少なく、例えば1歯数少なく形成され、この切換え歯車11と切換え制御歯車12との対向面には係合始端側を傾斜部とした切換え作動突部14,15が突設され、さらに、この切換え歯車11と切換え制御歯車12を軸支した支軸13には前進歯車16が軸支されている。この切換え制御歯車12は前記機枠2に軸支する支軸13に軸方向に摺動自在に支持され、そして、この支軸13は前記機枠2に軸方向に移動可能に支持され、この切換え歯車11は前進歯車16を介して支軸13に巻装したコイルスプリング17にて切換え制御歯車12側に付勢されている。
【0022】
前記機枠2には両端側にクランクアーム18,19を180°の位相角をもってそれぞれ反対方向に向けて折り曲げ形成したクランク軸20が回転自在に軸支されている。このクランク軸20は前記前進歯車16に噛合する最終出力歯車21が取り付けられている。
【0023】
また、前記機枠2には前記切換え歯車11に噛合する反転歯車22が前記機枠2に軸23にて軸支されている。この反転歯車22と一体の歯車24が最終出力歯車21に噛合されている。
【0024】
そして、前記切換え機構10のクランク軸20は、減速出力歯車9と切換え歯車11との噛合及び前進歯車16と最終出力歯車21との噛合で正回転され、減速出力歯車9と切換え歯車11との噛合、切換え歯車11と反転歯車22、反転歯車22と一体の歯車24と最終出力歯車21との噛合いで反転回転される。
【0025】
また、減速出力歯車9に噛合する切換え機構10の切換え歯車11と切換え制御歯車12とは、歯数の少ない切換え歯車11が速く回転するため、クランク軸20の正回転時に、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15が係合始端側の傾斜部から係合して切換え歯車11が押圧され、切換え歯車11を軸支した支軸13がスプリング17の付勢力に抗して摺動し、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15の端部が係合し、切換え作動突部14,15の端部が互いに係合されている間、切換え歯車11が反転歯車22に噛合っており、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いは解かれ、クランク軸20は反転回転に切り換えられて反転回転する。
【0026】
さらに、回転に伴ない、切換え歯車11が切換え制御歯車12より速く回転し、切換え歯車11と切換え制御歯車12との切換え作動突部14,15の係合が解かれると、スプリング17の付勢力で支軸13は復帰摺動し、切換え歯車11と反転歯車22との噛合いが解かれ、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いでクランク軸20は正回転される。
【0027】
なお、図4及び図5において、クランク軸20及び軸23は、歯車の噛合いを説明するために、位置を変位して図示している。
【0028】
次に、図2及び図3に示すように、前記機枠2の下部には前記電動機3の電源となる電池のケース25が取り付けられている。
【0029】
そして、玩具体1の両側において、クランク軸20のクランクアーム18,19には、左右腕体26,27が回動自在に取り付けられ、この左右腕体26,27にはクランクアーム18,19との軸着部より上方に略上下方向の長溝28,29を形成し、この長溝28,29に機枠2に軸支した支軸30の両端部が挿通されている。
【0030】
また、同様に玩具体1の両側において、前記電池ケース25の両側に突設した軸部31には左右脚体32,33が回動自在に取り付けられ、この左右脚体32,33にそれぞれ回動自在に後端部を取り付けた連動アーム34,35の前端部を左右腕体26,27にそれぞれ回動自在に連結する。
【0031】
さらに、前記左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各先端部36は、図2、図3、図6及び図7に示すように、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33が対向する内側に折り曲げ可能となっている。
【0032】
そして、図10に示すように、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の中間基部には軸孔53を中心とした放射状の凹凸面37が形成され、この放射状の凹凸面37に係脱する放射状の凹凸面38を各先端部36の上部の軸孔54を中心として形成し、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の中間基部に各先端部36をそれぞれ凹凸面37,38が接合する状態で軸孔53,54に挿通した支軸40とこの支軸40に螺合したナット55とにて回動可能に接合し、このナット55に先端部36の凹凸面38が中間基部の凹凸面37に圧接させるスプリング56を巻装する。
【0033】
この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各中間基部には先端部36の円形状の上端部を回動可能に嵌合保持する突部41が略環状に形成され、この突部41の切り欠き開口縁42,43にて先端部36の回動範囲が規制されている。なお、左右腕体26,27及び右脚体33は45°内側に向って回動可能になっており、左脚体32は72.5°内側に向って回動可能になっている。
【0034】
そして、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端面は略直角状に接地面44に形成され、この接地面44を形成した内側屈曲部にて、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33を棒状体45に係脱可能に係合する係合部46が形成され、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36を略直線状に伸ばした状態で先端接地面44を接地させることにより直立可能となっている。
【0035】
なお、図3に示すように、玩具体1には頭部47が軸48にて軸支され、この頭部47にリンク49の一端部を支軸51にて回動自在に軸支し、このリンク49の他端部を前記機枠2に設けた減速歯車機構8の減速出力歯車9に噛合う歯車を取り付けたクランク軸のクランクアーム50に回動自在に軸支する。また、この玩具体1に設けたフイゴ構造の笛体(図示しない。)は前記リンク49の昇降動作で軸48を中心として頭部47を上下回動したとき支軸51が笛体を吹奏動作させるようになっている。
【0036】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0037】
図2、図3、図6及び図7に示すように、玩具体1の左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36が直線状となっている状態から、玩具体1を反転させて玩具体1の左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各先端部36を図8及び図9に示すように、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の互いに対向する内側に折り曲げる。
【0038】
この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36を折り曲げるとき、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の中間基部と先端部36の上端部との接合面は軸孔を中心とした放射状の凹凸面37,38となっているため、先端部36は折り曲げられた状態をスプリング56の付勢力で確実に保持される。
【0039】
また、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各中間基部に形成し突部41の切り欠き開口縁43によって先端部36の折り曲げ角度が規制され、例えば、左右腕体26,27及び右脚体33は45°内側に向って折り曲げられた状態に規制され、左脚体32は72.5°内側に向って折り曲げられた状態に規制される。
【0040】
次に、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36を折り曲げた玩具体1を上下反転した状態で、左右腕体26,27及び左脚体32の先端部36に形成されている係合部46を棒状体45に係合し、図1に示すように、玩具体1をぶら下げる。このとき、右脚体33の先端部36の係合部46は棒状体45に係合されずに浮き上がった状態となっている。
【0041】
この状態で図示しないスイッチ操作で、駆動機構の電動機3を駆動すると、作動機構6が作動し、減速歯車機構8の減速出力歯車9が回転し、この減速出力歯車9に噛合う切換え歯車11と最終出力歯車21との噛合によってクランク軸20が正回転し、このクランク軸20のクランクアーム18,19に軸支した左右腕体26,27が前後方向に回動される。
【0042】
この左右腕体26,27は略上下方向の長溝28,29に機枠2に軸支した支軸30が挿通されているので、クランク軸20の回転で左右腕体26,27は長溝28,29と支軸30との係合案内されて上下方向に移動しながら前後方向に回動する。
【0043】
そして、このクランクアーム18,19は180°の位相角で形成されているため、クランクアーム18,19の内、水平位置から上側に向って回動するクランクアーム、例えば左側のクランクアーム18に軸支されている左腕体26が前側に向って棒状体45から浮き上がりながら回動し、クランクアーム18が水平位置から下方に向って回動する段階で係合部46が棒状体45に係合され、また,他方のクランクアーム、例えば右側のクランクアーム19は水平位置から下方に向って回動し、この段階ではこのクランクアーム19に軸支した右腕体27の係合部46が棒状体45に係合した状態に保持され、クランクアーム19が水平位置から上側に向って回動する段階で、係合部46が棒状体45から浮き上がって前側に向って回動する動作となる。
【0044】
この左右腕体26,27の左右交互の前後方向の反復回動により、この左右腕体26,27に連動アーム34,35にて連結された左右脚体32,33も連動されて前後方向の往復回動を反復し、左脚体32は係合部46が棒状体45に前側に順次に係脱される。なお、右脚体33は左腕体26と左脚体32とに干渉することがないように棒状体45に係合されないので、左腕体26と左脚体32は円滑に回動され、動物、人形が蔦などの綱を手繰りながらぶら下がって綱渡りをするような動作を呈する。
【0045】
この玩具体1の綱渡りの前進動作が継続される過程で、減速出力歯車9に噛合する切換え機構10の歯数の少ない切換え歯車11が切換え制御歯車12より速く回転し、クランク軸20の正回転時に、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15が係合始端側の傾斜部から係合して切換え歯車11が押圧され、切換え歯車11を軸支した支軸13がスプリング17の付勢力に抗して摺動し、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15の端部が係合し、切換え制御歯車12は支軸13の摺動方向と反対側の軸方向に摺動して減速出力歯車9に噛み合う位置に保持され、切換え作動突部14,15の端部が互いに係合されている間は、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いが解かれ、切換え歯車11が反転歯車22に噛合い、クランク軸20は反転回転に切り換えられて反転回転する。
【0046】
そして、クランクアーム18,19の内、一方のクランクアーム、例えば左側のクランクアーム18が水平位置から上方に向って回動するとき、このクランクアーム18に軸支されている腕体26が後側に向って棒状体45から浮き上がりながら回動し、クランクアーム18が水平位置から下方に向って回動する段階で係合部46が棒状体45に係合され、また、他方のクランクアーム、例えば右側のクランクアーム19は水平位置から下方に向って回動し、このクランクアーム19に軸支した右腕体27の係合部46が棒状体45に係合した状態に保持され、クランクアーム19が水平位置から上側に向って回動する段階で、係合部46が棒状体45から浮き上がって後側に向って回動する動作となる。
【0047】
この左右腕体26,27の左右交互の反復回動により、この左右腕体26,27に連動アーム34,35にて連結された左右脚体32,33も連動されて往復回動を反復し、左脚体32は係合部46が棒状体45に後側に順次に係脱される。なお、このときも、右脚体33は左腕体26と左脚体32とに干渉することがなく、左腕体26と左脚体32とは円滑に回動され、動物、人形が蔦などの綱を手繰りながらぶら下がって後退綱渡りをするような動作を呈する。
【0048】
さらに、この後退動作が継続される間に、切換え歯車11が切換え制御歯車12より速く回転し、切換え歯車11と切換え制御歯車12との切換え作動突部14,15の係合が解かれると、スプリング17の付勢力で支軸13は復帰摺動し、切換え歯車11と反転歯車22との噛合いが解かれ、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いでクランク軸20は正回転され、再び、前進綱渡り動作となる。
【0049】
また、棒状体45に係合した左右腕体26,27及び左脚体32の係合部46を、棒状体45から外し、図6及び図7に示すように、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部を直線状に伸ばした状態で、図2及び図3に示すように、テーブル、床面などに、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の接地面44を載置し、この状態で、駆動機構の電動機3を駆動すると、前述のように、クランク軸20の回転で、左右腕体26,27及び左右脚体32,33が左右交互に前後方向に反復回動し、玩具体1は前進歩行動作を呈する。
【0050】
そして、クランク軸20の回動によって前進歩行動作が行われている間に、前述のように、減速出力歯車9に噛合する切換え機構10が作動し、切換え歯車11と切換え制御歯車12との切換え作動突部14,15との係合により、クランク軸20は反転回転に切り換えられて反転回転し、左右腕体26,27及び左右脚体32,33が左右交互に反復回動し、玩具体1は後退歩行動作を呈する。
【0051】
なお、左右腕体26,27及び左右脚体32,33を左右交互に前後方向に反復回動し、玩具体1が前進歩行動作を呈する作動を確実にするために、図11に示すように、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部を外側に向けて略直線状に傾斜した状態、例えば、先端部36を外側に向けて22.5°傾斜させた状態で、玩具体1が転倒しないようにすることもできる。
【0052】
前記実施の形態では、綱渡り動作時に、右脚体33は棒状体45に係合部46が係合することなく、浮き上がった状態としたが、左脚体32が棒状体45から浮き上がった状態とするように、左脚体32より右脚体33の折り曲げ角度を大きくすることもできる。
【0053】
また、前記実施の形態では、綱渡り動作と歩行動作をする構成について説明したが、歩行動作をしない構成では、左右腕体26,27及び左右脚体32,33は折り曲げた状態に固定される構成とすることもできる。
【0054】
さらに、棒状体45は金属棒体、合成樹脂にて成型した棒体などのほか、紐状体でも緊張して張設することにより紐状物でも棒状体45として使用できる。
【0055】
なお、前記実施の形態では、駆動機構として電動機3を用いたが、ぜんまい発條を用いた構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態を示す綱渡り玩具の綱渡り状態の内部左側面図である。
【図2】同上右側面図である。
【図3】同上左側面図である。
【図4】同上作動機構の先進動作時の平面図である。
【図5】同上作動機構の後進動作時の平面図である。
【図6】同上左右腕体部の正面図である。
【図7】同上左右脚体部の正面図である。
【図8】同上左右腕体部の先端部を折り曲げた状態の正面図である。
【図9】同上左右脚体部の先端部を折り曲げた状態の正面図である。
【図10】同上腕体部の先端部を接合した部分の縦断面図である。
【図11】他の実施の形態を示す綱渡り玩具の左右腕体部の正面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 玩具体
3 駆動機構の電動機
6 作動機構
10 切換え機構
26,27 左右腕体
32,33 左右脚体
44 接地面
45 棒状体
46 係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、猿などの動物、人形が綱を手で手繰りながら渡る動作を呈する綱渡り玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の綱渡り動作を呈する玩具は、綱を転動するプーリの誘導回転で、このプーリに取り付けた人形、動物玩具体が綱渡り動作を呈する構造(特許文献1)、または、人形玩具体に交互に進退する左右脚体の下面に綱に係合する係合部を形成し、左右脚体の係合部を綱に係合し、左右脚体の交互の進退動作で綱渡り動作を呈する構造(特許文献2)が知られている。
【特許文献1】実開昭56−9495号公報
【特許文献2】実開昭55−30130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、従来の綱渡り玩具は、綱を渡る動作を呈する玩具体は、歩いて綱渡りする動作で、玩具体に左右にバランスウエートをそれぞれ取り付け、このバランスウエートにて左右のバランスをとって歩く動作で移動する構成で、動物玩具ではいかにも人為的であった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、猿などの動物、人形が蔦などの綱にぶら下りながら綱を手繰るようにして渡る動作を呈し、興趣が深い綱渡り玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の綱渡り玩具は、前後方向に回動可能な左右腕体及び左右脚体と、この左右腕体及び左右脚体を左右交互に前後方向に回動する作動機構及びこの作動機構を駆動させる駆動機構とを有する玩具体と、この玩具体の4つの左右腕体及び左右脚体の内、少なくとも3つの先端部が係脱自在に係合される棒状体とを備えている。
【0006】
また、前記左右腕体及び左右脚体にはそれぞれ先端部の互いに対向する内側に形成され前記棒状体に係合する係合部を形成する。
【0007】
さらに、この左右腕体及び左右脚体の内少なくとも3つの係合部が前記棒状体に係合して玩具体をぶら下げた状態で前記駆動機構により作動する作動機構がこの左右腕体及び左右脚体を前後方向に反復回動作動させ、玩具体を棒状体に沿って移動させる。
【0008】
そして、棒状体に玩具体の左右腕体及び左右脚体の少なくとも三つの係合部をそれぞれ棒状体に係合する。この状態で駆動機構を駆動すると、作動機構によって左右腕体及び左右脚体が左右交互に反復回動し、左右腕体及び左右脚体の回動で係合部が順次に綱などに模した棒状体に沿って移動され、動物、人形が手で綱を手繰るようにぶら下がりながら綱渡りする動作を呈する。
【0009】
また、本発明の綱渡り玩具の作動機構は、左右腕体及び左右脚体の回動方向を反転させる切換え機構を備えている。
【0010】
そして、切換え機構が切り換わり作動すると、左右腕体及び左右脚体の回動方向を反転され、動物、人形玩具体が前側に綱渡り動作するとともに、後退動作をする。
【0011】
さらに、玩具体の左右腕体及び左右脚体は、各先端部をこの左右腕体及び左右脚体が対向する内側に折り曲げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端面を接地面に形成し、この左右腕体及び左右脚体の先端部を係合部を棒状体に係合して玩具体をぶら下げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばした状態で先端接地面を接地させることにより直立可能としている。
【0012】
駆動機構の駆動により、前記左右腕体及び左右脚体の係合部を棒状体に係合してぶら下げた状態で玩具体を棒状体に沿って移動させるとともに、この左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばして先端部の接地面を接地させた状態で歩行動作を呈するものである。
【0013】
そして、棒状体に係合した左右腕体及び左右脚体の係合部を、棒状体から外し、左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばした状態でテーブル、床面などに、左右腕体及び左右脚体の接地面を載置し、駆動機構の駆動により、左右腕体及び左右脚体が左右交互に反復回動し、玩具体は歩行動作を呈する。
【0014】
また、玩具体の左右腕体及び左右脚体の各先端部を対向する内側に折り曲げることにより、それぞれ係合部が形成され、この各係合部を棒状体に係合させ、駆動機構を駆動すると、作動機構によって左右腕体及び左右脚体が左右交互に反復回動し、左右腕体及び左右脚体の回動で係合部が順次に綱などに模した棒状体に沿って移動され、動物、人形が手で綱を手繰るようにぶら下がりながら綱渡りする動作を呈する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の綱渡り玩具は、動物、人形が綱にぶら下がりながら手で綱を手繰るように綱渡りする動作を呈し、興趣が深い。
【0016】
また、作動機構の切換え機構の切り換えにより、左右腕体及び左右脚体の回動方向が反転され、玩具体は綱渡りを往復する動作を呈し、興趣が高められる。
【0017】
さらに、玩具体は綱渡り動作と歩行動作を呈し、一つの玩具にて二通りの楽しみ方ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の綱渡り玩具の一実施の形態を図面について説明する。
【0019】
図1ないし図3に示すとおり、玩具体1は、例えば、猿に模した形状に形成され、この玩具体1内には機枠2が設けられている。
【0020】
この機枠2には、図4及び図5に示すように、駆動機構としての電動機3が取り付けられ、この電動機3の出力軸4に出力歯車5が設けられている。この出力歯車5に作動機構6の入力歯車7が噛合され、この入力歯車7に減速歯車機構8が噛合されている。
【0021】
この減速歯車機構8の減速出力歯車9には、切換え機構10の切換え歯車11と切換え制御歯車12とが噛合されている。この切換え制御歯車12より切換え歯車11の歯数が少なく、例えば1歯数少なく形成され、この切換え歯車11と切換え制御歯車12との対向面には係合始端側を傾斜部とした切換え作動突部14,15が突設され、さらに、この切換え歯車11と切換え制御歯車12を軸支した支軸13には前進歯車16が軸支されている。この切換え制御歯車12は前記機枠2に軸支する支軸13に軸方向に摺動自在に支持され、そして、この支軸13は前記機枠2に軸方向に移動可能に支持され、この切換え歯車11は前進歯車16を介して支軸13に巻装したコイルスプリング17にて切換え制御歯車12側に付勢されている。
【0022】
前記機枠2には両端側にクランクアーム18,19を180°の位相角をもってそれぞれ反対方向に向けて折り曲げ形成したクランク軸20が回転自在に軸支されている。このクランク軸20は前記前進歯車16に噛合する最終出力歯車21が取り付けられている。
【0023】
また、前記機枠2には前記切換え歯車11に噛合する反転歯車22が前記機枠2に軸23にて軸支されている。この反転歯車22と一体の歯車24が最終出力歯車21に噛合されている。
【0024】
そして、前記切換え機構10のクランク軸20は、減速出力歯車9と切換え歯車11との噛合及び前進歯車16と最終出力歯車21との噛合で正回転され、減速出力歯車9と切換え歯車11との噛合、切換え歯車11と反転歯車22、反転歯車22と一体の歯車24と最終出力歯車21との噛合いで反転回転される。
【0025】
また、減速出力歯車9に噛合する切換え機構10の切換え歯車11と切換え制御歯車12とは、歯数の少ない切換え歯車11が速く回転するため、クランク軸20の正回転時に、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15が係合始端側の傾斜部から係合して切換え歯車11が押圧され、切換え歯車11を軸支した支軸13がスプリング17の付勢力に抗して摺動し、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15の端部が係合し、切換え作動突部14,15の端部が互いに係合されている間、切換え歯車11が反転歯車22に噛合っており、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いは解かれ、クランク軸20は反転回転に切り換えられて反転回転する。
【0026】
さらに、回転に伴ない、切換え歯車11が切換え制御歯車12より速く回転し、切換え歯車11と切換え制御歯車12との切換え作動突部14,15の係合が解かれると、スプリング17の付勢力で支軸13は復帰摺動し、切換え歯車11と反転歯車22との噛合いが解かれ、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いでクランク軸20は正回転される。
【0027】
なお、図4及び図5において、クランク軸20及び軸23は、歯車の噛合いを説明するために、位置を変位して図示している。
【0028】
次に、図2及び図3に示すように、前記機枠2の下部には前記電動機3の電源となる電池のケース25が取り付けられている。
【0029】
そして、玩具体1の両側において、クランク軸20のクランクアーム18,19には、左右腕体26,27が回動自在に取り付けられ、この左右腕体26,27にはクランクアーム18,19との軸着部より上方に略上下方向の長溝28,29を形成し、この長溝28,29に機枠2に軸支した支軸30の両端部が挿通されている。
【0030】
また、同様に玩具体1の両側において、前記電池ケース25の両側に突設した軸部31には左右脚体32,33が回動自在に取り付けられ、この左右脚体32,33にそれぞれ回動自在に後端部を取り付けた連動アーム34,35の前端部を左右腕体26,27にそれぞれ回動自在に連結する。
【0031】
さらに、前記左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各先端部36は、図2、図3、図6及び図7に示すように、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33が対向する内側に折り曲げ可能となっている。
【0032】
そして、図10に示すように、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の中間基部には軸孔53を中心とした放射状の凹凸面37が形成され、この放射状の凹凸面37に係脱する放射状の凹凸面38を各先端部36の上部の軸孔54を中心として形成し、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の中間基部に各先端部36をそれぞれ凹凸面37,38が接合する状態で軸孔53,54に挿通した支軸40とこの支軸40に螺合したナット55とにて回動可能に接合し、このナット55に先端部36の凹凸面38が中間基部の凹凸面37に圧接させるスプリング56を巻装する。
【0033】
この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各中間基部には先端部36の円形状の上端部を回動可能に嵌合保持する突部41が略環状に形成され、この突部41の切り欠き開口縁42,43にて先端部36の回動範囲が規制されている。なお、左右腕体26,27及び右脚体33は45°内側に向って回動可能になっており、左脚体32は72.5°内側に向って回動可能になっている。
【0034】
そして、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端面は略直角状に接地面44に形成され、この接地面44を形成した内側屈曲部にて、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33を棒状体45に係脱可能に係合する係合部46が形成され、この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36を略直線状に伸ばした状態で先端接地面44を接地させることにより直立可能となっている。
【0035】
なお、図3に示すように、玩具体1には頭部47が軸48にて軸支され、この頭部47にリンク49の一端部を支軸51にて回動自在に軸支し、このリンク49の他端部を前記機枠2に設けた減速歯車機構8の減速出力歯車9に噛合う歯車を取り付けたクランク軸のクランクアーム50に回動自在に軸支する。また、この玩具体1に設けたフイゴ構造の笛体(図示しない。)は前記リンク49の昇降動作で軸48を中心として頭部47を上下回動したとき支軸51が笛体を吹奏動作させるようになっている。
【0036】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0037】
図2、図3、図6及び図7に示すように、玩具体1の左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36が直線状となっている状態から、玩具体1を反転させて玩具体1の左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各先端部36を図8及び図9に示すように、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の互いに対向する内側に折り曲げる。
【0038】
この左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36を折り曲げるとき、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の中間基部と先端部36の上端部との接合面は軸孔を中心とした放射状の凹凸面37,38となっているため、先端部36は折り曲げられた状態をスプリング56の付勢力で確実に保持される。
【0039】
また、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の各中間基部に形成し突部41の切り欠き開口縁43によって先端部36の折り曲げ角度が規制され、例えば、左右腕体26,27及び右脚体33は45°内側に向って折り曲げられた状態に規制され、左脚体32は72.5°内側に向って折り曲げられた状態に規制される。
【0040】
次に、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部36を折り曲げた玩具体1を上下反転した状態で、左右腕体26,27及び左脚体32の先端部36に形成されている係合部46を棒状体45に係合し、図1に示すように、玩具体1をぶら下げる。このとき、右脚体33の先端部36の係合部46は棒状体45に係合されずに浮き上がった状態となっている。
【0041】
この状態で図示しないスイッチ操作で、駆動機構の電動機3を駆動すると、作動機構6が作動し、減速歯車機構8の減速出力歯車9が回転し、この減速出力歯車9に噛合う切換え歯車11と最終出力歯車21との噛合によってクランク軸20が正回転し、このクランク軸20のクランクアーム18,19に軸支した左右腕体26,27が前後方向に回動される。
【0042】
この左右腕体26,27は略上下方向の長溝28,29に機枠2に軸支した支軸30が挿通されているので、クランク軸20の回転で左右腕体26,27は長溝28,29と支軸30との係合案内されて上下方向に移動しながら前後方向に回動する。
【0043】
そして、このクランクアーム18,19は180°の位相角で形成されているため、クランクアーム18,19の内、水平位置から上側に向って回動するクランクアーム、例えば左側のクランクアーム18に軸支されている左腕体26が前側に向って棒状体45から浮き上がりながら回動し、クランクアーム18が水平位置から下方に向って回動する段階で係合部46が棒状体45に係合され、また,他方のクランクアーム、例えば右側のクランクアーム19は水平位置から下方に向って回動し、この段階ではこのクランクアーム19に軸支した右腕体27の係合部46が棒状体45に係合した状態に保持され、クランクアーム19が水平位置から上側に向って回動する段階で、係合部46が棒状体45から浮き上がって前側に向って回動する動作となる。
【0044】
この左右腕体26,27の左右交互の前後方向の反復回動により、この左右腕体26,27に連動アーム34,35にて連結された左右脚体32,33も連動されて前後方向の往復回動を反復し、左脚体32は係合部46が棒状体45に前側に順次に係脱される。なお、右脚体33は左腕体26と左脚体32とに干渉することがないように棒状体45に係合されないので、左腕体26と左脚体32は円滑に回動され、動物、人形が蔦などの綱を手繰りながらぶら下がって綱渡りをするような動作を呈する。
【0045】
この玩具体1の綱渡りの前進動作が継続される過程で、減速出力歯車9に噛合する切換え機構10の歯数の少ない切換え歯車11が切換え制御歯車12より速く回転し、クランク軸20の正回転時に、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15が係合始端側の傾斜部から係合して切換え歯車11が押圧され、切換え歯車11を軸支した支軸13がスプリング17の付勢力に抗して摺動し、この両歯車11,12の切換え作動突部14,15の端部が係合し、切換え制御歯車12は支軸13の摺動方向と反対側の軸方向に摺動して減速出力歯車9に噛み合う位置に保持され、切換え作動突部14,15の端部が互いに係合されている間は、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いが解かれ、切換え歯車11が反転歯車22に噛合い、クランク軸20は反転回転に切り換えられて反転回転する。
【0046】
そして、クランクアーム18,19の内、一方のクランクアーム、例えば左側のクランクアーム18が水平位置から上方に向って回動するとき、このクランクアーム18に軸支されている腕体26が後側に向って棒状体45から浮き上がりながら回動し、クランクアーム18が水平位置から下方に向って回動する段階で係合部46が棒状体45に係合され、また、他方のクランクアーム、例えば右側のクランクアーム19は水平位置から下方に向って回動し、このクランクアーム19に軸支した右腕体27の係合部46が棒状体45に係合した状態に保持され、クランクアーム19が水平位置から上側に向って回動する段階で、係合部46が棒状体45から浮き上がって後側に向って回動する動作となる。
【0047】
この左右腕体26,27の左右交互の反復回動により、この左右腕体26,27に連動アーム34,35にて連結された左右脚体32,33も連動されて往復回動を反復し、左脚体32は係合部46が棒状体45に後側に順次に係脱される。なお、このときも、右脚体33は左腕体26と左脚体32とに干渉することがなく、左腕体26と左脚体32とは円滑に回動され、動物、人形が蔦などの綱を手繰りながらぶら下がって後退綱渡りをするような動作を呈する。
【0048】
さらに、この後退動作が継続される間に、切換え歯車11が切換え制御歯車12より速く回転し、切換え歯車11と切換え制御歯車12との切換え作動突部14,15の係合が解かれると、スプリング17の付勢力で支軸13は復帰摺動し、切換え歯車11と反転歯車22との噛合いが解かれ、前進歯車16と最終出力歯車21との噛合いでクランク軸20は正回転され、再び、前進綱渡り動作となる。
【0049】
また、棒状体45に係合した左右腕体26,27及び左脚体32の係合部46を、棒状体45から外し、図6及び図7に示すように、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部を直線状に伸ばした状態で、図2及び図3に示すように、テーブル、床面などに、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の接地面44を載置し、この状態で、駆動機構の電動機3を駆動すると、前述のように、クランク軸20の回転で、左右腕体26,27及び左右脚体32,33が左右交互に前後方向に反復回動し、玩具体1は前進歩行動作を呈する。
【0050】
そして、クランク軸20の回動によって前進歩行動作が行われている間に、前述のように、減速出力歯車9に噛合する切換え機構10が作動し、切換え歯車11と切換え制御歯車12との切換え作動突部14,15との係合により、クランク軸20は反転回転に切り換えられて反転回転し、左右腕体26,27及び左右脚体32,33が左右交互に反復回動し、玩具体1は後退歩行動作を呈する。
【0051】
なお、左右腕体26,27及び左右脚体32,33を左右交互に前後方向に反復回動し、玩具体1が前進歩行動作を呈する作動を確実にするために、図11に示すように、左右腕体26,27及び左右脚体32,33の先端部を外側に向けて略直線状に傾斜した状態、例えば、先端部36を外側に向けて22.5°傾斜させた状態で、玩具体1が転倒しないようにすることもできる。
【0052】
前記実施の形態では、綱渡り動作時に、右脚体33は棒状体45に係合部46が係合することなく、浮き上がった状態としたが、左脚体32が棒状体45から浮き上がった状態とするように、左脚体32より右脚体33の折り曲げ角度を大きくすることもできる。
【0053】
また、前記実施の形態では、綱渡り動作と歩行動作をする構成について説明したが、歩行動作をしない構成では、左右腕体26,27及び左右脚体32,33は折り曲げた状態に固定される構成とすることもできる。
【0054】
さらに、棒状体45は金属棒体、合成樹脂にて成型した棒体などのほか、紐状体でも緊張して張設することにより紐状物でも棒状体45として使用できる。
【0055】
なお、前記実施の形態では、駆動機構として電動機3を用いたが、ぜんまい発條を用いた構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態を示す綱渡り玩具の綱渡り状態の内部左側面図である。
【図2】同上右側面図である。
【図3】同上左側面図である。
【図4】同上作動機構の先進動作時の平面図である。
【図5】同上作動機構の後進動作時の平面図である。
【図6】同上左右腕体部の正面図である。
【図7】同上左右脚体部の正面図である。
【図8】同上左右腕体部の先端部を折り曲げた状態の正面図である。
【図9】同上左右脚体部の先端部を折り曲げた状態の正面図である。
【図10】同上腕体部の先端部を接合した部分の縦断面図である。
【図11】他の実施の形態を示す綱渡り玩具の左右腕体部の正面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 玩具体
3 駆動機構の電動機
6 作動機構
10 切換え機構
26,27 左右腕体
32,33 左右脚体
44 接地面
45 棒状体
46 係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に回動可能な左右腕体及び左右脚体と、この左右腕体及び左右脚体を左右交互に前後方向に回動させる作動機構及びこの作動機構を駆動する駆動機構とを有する玩具体と、この玩具体の4つの左右腕体及び左右脚体の内、少なくとも3つの先端部が係脱自在に係合される棒状体とを備え、
前記左右腕体及び左右脚体にはそれぞれ先端部の互いに対向する内側に形成され前記棒状体に係合する係合部を形成し、
この左右腕体及び左右脚体の内少なくとも3つの係合部が前記棒状体に係合して玩具体をぶら下げた状態で前記駆動機構により作動する作動機構がこの左右腕体及び左右脚体を前後方向に反復回動作動させ、
玩具体を棒状体に沿って移動させることを特徴とする綱渡り玩具。
【請求項2】
作動機構は、左右腕体及び左右脚体の回動方向を反転させる切換え機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の綱渡り玩具。
【請求項3】
玩具体の左右腕体及び左右脚体は、この左右腕体及び左右脚体の各先端部をこの左右腕体及び左右脚体が対向する内側に折り曲げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端面を接地面に形成し、
この左右腕体及び左右脚体の先端部を折り曲げて係合部を棒状体に係合して玩具体をぶら下げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばした状態で先端接地面を接地させることにより直立可能とし、
駆動機構の駆動により、前記左右腕体及び左右脚体の係合部を棒状体に係合してぶら下げた状態で玩具体を棒状体に沿って移動させるとともに、この左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばして先端部の接地面を接地させた状態で歩行動作を呈することを特徴とする請求項1または2記載の綱渡り玩具。
【請求項1】
前後方向に回動可能な左右腕体及び左右脚体と、この左右腕体及び左右脚体を左右交互に前後方向に回動させる作動機構及びこの作動機構を駆動する駆動機構とを有する玩具体と、この玩具体の4つの左右腕体及び左右脚体の内、少なくとも3つの先端部が係脱自在に係合される棒状体とを備え、
前記左右腕体及び左右脚体にはそれぞれ先端部の互いに対向する内側に形成され前記棒状体に係合する係合部を形成し、
この左右腕体及び左右脚体の内少なくとも3つの係合部が前記棒状体に係合して玩具体をぶら下げた状態で前記駆動機構により作動する作動機構がこの左右腕体及び左右脚体を前後方向に反復回動作動させ、
玩具体を棒状体に沿って移動させることを特徴とする綱渡り玩具。
【請求項2】
作動機構は、左右腕体及び左右脚体の回動方向を反転させる切換え機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の綱渡り玩具。
【請求項3】
玩具体の左右腕体及び左右脚体は、この左右腕体及び左右脚体の各先端部をこの左右腕体及び左右脚体が対向する内側に折り曲げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端面を接地面に形成し、
この左右腕体及び左右脚体の先端部を折り曲げて係合部を棒状体に係合して玩具体をぶら下げ可能とするとともにこの左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばした状態で先端接地面を接地させることにより直立可能とし、
駆動機構の駆動により、前記左右腕体及び左右脚体の係合部を棒状体に係合してぶら下げた状態で玩具体を棒状体に沿って移動させるとともに、この左右腕体及び左右脚体の先端部を略直線状に伸ばして先端部の接地面を接地させた状態で歩行動作を呈することを特徴とする請求項1または2記載の綱渡り玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−167118(P2006−167118A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363281(P2004−363281)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000102108)イワヤ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000102108)イワヤ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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