練習用バットとその形成方法
【課題】 使用素材に重量のバラツキのある素材であっても、バットの長さ、太さ、重量等を設定通りの製作化を可能にした練習用バットとその形成方法を提供する点にある。
【解決手段】 少なくとも竹板材の複数を接合した集積材aから形成された練習用バットAであって、バット内部に刳り貫き空間Bが形成されている。
【解決手段】 少なくとも竹板材の複数を接合した集積材aから形成された練習用バットAであって、バット内部に刳り貫き空間Bが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹材等の小片の多数を接合して形成された集積材から形成された練習用バットとその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野球やソフトボールにおいては、竹材の集積材から形成された竹バットが、一般的に練習用のバットとして使用されている。
近年、国内産における竹の利用が少なくなることに伴って、竹材の管理栽培が減少して国内産の竹材の市場投入量が減少し、所望する竹材を入手するにもコスト面で高くなる傾向にある。
このような事情を受けて外国産で安価な竹材を練習用バットに用いて、価格の高騰化を抑制するようなことが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、国内産に比べてコストが安価な反面、国内産とは体積当たりの重量が異なり、また、産地や収穫時期などによっても、大きく体積当りの重量が異なる素材傾向がある。
そのため、バットの長さや太さを基準に練習用バットを製作した場合、産地等によって、重量にバラツキがでる問題がある。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用素材に重量のバラツキのある素材であっても、バットの長さ、太さ、重量等を設定通りに製作可能な練習用バットとその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1番目の練習用バットの特徴構成は、少なくとも竹材の複数を接合した集積材から形成された練習用バットであって、バット内部にバット重量調整用の刳り貫き空間が形成されている点にある。
【0006】
上記特徴構成によれば、練習用バットの長さや太さを基準にして総重量が設定された重量より重い場合には、その重い重量分となる体積分を刳り貫き空間として形成して、総重量を減らす調整が可能となる。
また、練習用バットの長さや太さを基準にして総重量が設定された重量より軽くなる場合には、使用素材よりも体積当りの重量が重たい充填材を、その少ない重量分を補う充填材の体積分を、刳り貫き空間の体積として刳り貫いて、この刳り貫き空間に充填材を収納して総重量を増やす調整が可能となる。ここで、充填材としては、一例として、竹材よりも体積当りの重量が重たい合板材、ゴム材、砂材、合成樹脂材等があげられる。
【0007】
従って、重量の異なる竹素材をバット素材に用いた場合において、バットの長さや太さを基準にすると重量にバラツキを生じる問題を解消して、使用素材に重量の異なる素材を用いても、バットの長さ、太さ、重量等を設定通りに製作することが可能となり、市場性にコスト面で安価等の有用な新たな練習用バットを市場に提供することができる。
また、このような構成の練習用バットにおいては、各人の打撃向上のために、バットの長さや太さが同じであるけれども、基準よりも重いバット、或は、基準よりも軽いバットを製作することも可能であり、その上下範囲内で使用者が要望するオリジナルな重量を有する練習用バットを製作することが可能であるので、練習性能の向上を図った練習用バットを形成することができる。
【0008】
本発明の第2番目の練習用バットの特徴構成は、前記刳り貫き空間が、バットの打撃部に対応する中心部に形成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、打撃部は、バットの先端に位置して外径が太い部分で耐衝撃性のある部分でもあるので、刳り貫き空間を形成しバットの総重量の調整を図りながら、バットの基本性能を確保することができる。
【0010】
従って、重量調整を図りながらも、バットの基本性能を損なうことなく、品質の高い練習用バットを形成することができる。
【0011】
本発明の第3番目の練習用バットの特徴構成は、前記刳り貫き空間が、バット軸芯方向の、複数箇所に分散形成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、総体積を刳り貫き箇所を複数に分割することによって、一連に連続した刳り貫き空間が形成された場合に比べて、分割形成された刳り貫き空間同士の間に刳り貫かれていない集積素材の中実部分が存在しているので、耐衝撃性等のバット性能の向上を図ることができる。
また、刳り貫き空間を分散することによって、バットの長手方向と直交する径方向の肉厚さを極力大きくすることができるので、よりバットの基本性能の向上化を図ることができる。
【0013】
従って、バットの基本性能を損なうことなくバットの重量調整された練習用バットを形成することができ、品質の保全を図ることができる。
【0014】
本発明の第4番目の練習用バットの特徴構成は、前記打撃部の外周面のうち打撃面から刳り貫き空間に至るまでの板厚が、打撃方向に直交する面から刳り貫き空間に至るまでの板厚よりも大に形成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、打撃部には肉厚さを厚くして耐衝撃性を高めることができる。
【0016】
従って、打撃による折れや損傷に対向することができるので、打撃品質の向上を図ることができる。
【0017】
本発明の第5番目の練習用バットの形成方法の特徴構成は、竹材の繊維方向に沿って一定長さに切り揃えられた断面矩形状の複数の竹素材を、繊維方向である長手方向と直交する方向に接合して集積板材を形成する板材形成工程と、集積板材の複数を接合して断面正方形状の集積角材を形成する角材形成工程と、集積角材の外周面を切削手段によってバットの外周面形状に切削することによりバット形状の素地バットを形成する切削工程と、素地バットに塗装や表示等の化粧処理を行う化粧工程とを有する練習用バットの形成方法において、
前記板材形成工程と角材形成工程との間に、集積板材を接合する前段階で、バット軸芯部に対応する集積板材の接合面に、刳り貫き手段によって設定重量よりも重い重量分に対応する体積分の竹素材を除去したバット重量調整用の刳り貫き空間を形成する重量調整工程が設けられている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、使用する竹素材の単位体積当りの重量から対応する体積の刳り貫き空間を形成することによって、バットの重さを軽く重量調整することができる。
【0019】
従って、単位当りの重量が設定重量よりも重たい領域の竹素材等がバットの使用素材として使用することができるので、例えば、国内産よりも外国産の安価な竹素材を利用対象にすること等のように、今まで活用することがなかった重量が重たい領域の竹素材をバット素材に使用することが可能となり、その結果として、多様な商品体系の構築やコストの削減化等を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を適用した練習用バットを図面に基づいて説明する。
【0021】
〔実施形態〕
野球(硬式、軟式)やソフトボールにおいては、モクセイ科(アオダモ、ヤチダモ、ホワイトアッシュ、トネリコ等)の木材種からなるバットや金属バットが試合用に使用される一方、練習用(打撃、素振り、ノック、バント等の練習用)バットとして、竹材を全部又は一部に用いたバットが使用されている。
【0022】
前記練習用バットAは、図1、図2に示すように、手持ち側である基端にグリップA1が形成され、このグリップA1から長手方向中央部に沿って、軸径が略同じに形成された握り部A2が形成され、この握り部A2から先端部に沿って、軸径が次第に径大となるように形成されたテーパー部A3を経て、軸径が最大径である打撃部A4が連続形成された木製バットや金属バットと同様形状のものである。
【0023】
この実施形態においては、バット素材に国内産よりも単位体積当りの重量が重い外国産の竹材(例えば、中国産等の竹材)を使用して、国内産と同じ長さと太さで重量も同じとなる練習用バットAとその形成方法について詳述する。ここで、外国産の竹材は、産地、収穫時期、伐採年齢等で重量品質の点で国内産に比べてバラツキがある。また、重量品質の安定した国内産よりも単位体積当りの重量が重い場合も軽い場合も同等の場合も存在する。
【0024】
この実施形態の練習用バットは、バット内部にバット重量調整用の刳り貫き空間が形成され、詳しくは、竹素材からなる多数の集積材を接合して形成され、打撃部A4に対応する中心部に、竹材の一部を除去したバット重量調整用空間である複数の刳り貫き空間Bが、バット軸芯X1方向の複数箇所に分散形成されている。
【0025】
練習用バットAは、例えば、図3に示すように、バットの長手方向と直交する方向に沿って3層の集積板材1A,1B,1Cが一体接合された構造になっており、そのうちの中間層の集積板材1B部分に刳(く)り貫(ぬ)きが形成され、両端層である集積板材1A,1Cに挟まれて刳り貫き空間Bが積層内に形成される。
【0026】
前記集積板材1A,1B,1Cは、長尺な竹素材を竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一連に一体接合して形成されている。
【0027】
前記刳り貫き空間Bは、図4に示すように、前記打撃部A4の外周面のうち、打撃面Aaから刳り貫き空間Bに至るまで板厚t1が、打撃方向に直交する面Abから刳り貫き空間Bに至るまでの板厚t2よりも大に形成されている。ここで、打撃に対応する面Aaは、集積板材1A,1B,1Cの積層方向Sと直交する面が対応して耐衝撃性に優れた接合構造になっている。
【0028】
また、通常は打撃方向に対応する外周面にはシンボルマーク等の表示がなされ打撃部の位置がわかるようになっている。
【0029】
次に、練習用バットAの形成方法を説明する。
まず、竹材の繊維方向に沿って一定長さに切り揃えられた断面矩形状の複数の竹素材aを、繊維方向である長手方向と直交する方向に接合して平板状の集積板材1A,1B,1Cを形成する(板材形成工程)。この工程によって、予めに複数の集積板材1A,1B,1Cが形成される。
【0030】
ここで、集積板材1A,1B,1Cは、例えば、一辺の長さが約5mm〜10mm程度で、他辺が約5mm〜20mm程度の方形断面形状を有し、長さが約920mm〜930mm程度の集積材である竹素材aの多数を隙間なく束ねた状態で接着剤3を介して、短辺が約10〜40mm程度で長辺が約70〜80mm程度の大きさのものを形成する。
【0031】
次に、3つの集積板材1A,1B,1Cを用意し、竹素材が接合する方向に合わせて、集積板材1A,1B,1Cを一纏めにした状態で断面形状が正方形となる接合(角材形成工程)が行われる前段階で、中心部分に対応する集積板材1Bの幅中央部分で且つバット形成段階で打撃部A4に対応する部分に、刳り貫き手段Cによって、設定重量よりも重い重量分に対応する体積分の刳り貫き空間Bを形成する(重量調整工程)。前記刳り貫き手段Cは、リーマやドリル等の刳り貫き機が用いられ、図1(イ)、図4(イ)に示すように、対象となった集積板材1Bに長孔状の刳り貫きbが貫通形成される。
【0032】
前記集積角材1Bに形成する刳り貫きbは、例えば、直径が約21mm程度で長さが約50〜150mm程度の長孔に形成されている。
【0033】
そして、3つの集積板材1A,1B,1Cを、接着剤3を介して一纏めに一体接合して、3層の集積板材1A,1B,1Cからなる断面略正方形状の集積角材2が形成される。
【0034】
そして、この集積角柱材2の外周面を長手方向に沿って、バットの形状に沿って倣い切削して素地バット4を形成し、素地バット4の表面に、表面塗装を全体に施すとともに、図示しないが、商品名やマーク等を適宜箇所に印刷や刻印等の化粧仕上げ5を施して練習用バットAが完成される。
【0035】
この完成された練習用バットAの刳り貫き空間Bは、図3に示すように、打撃部の外周面のうち打撃面Aaから刳り貫き空間Bに至る板厚t1の方が、打撃方向に直交する面Abから刳り貫き空間Bに至る板厚t2よりも大に形成されている。ここで、打撃面Aaは、集積板材1A,1B,1Cを構成する断面長方形状の竹素材aの耐衝撃性に優れた短辺側が対応する接合構造になっている。
【0036】
前記集積角材2をバットAの形状にするための倣い切削は、図示しないが、例えば、全長に亘って配設された多数の切削刃体による切削によって切削加工することができる公知のバット用旋盤機で実施される。
【0037】
このような構成にすることによって、国内産の竹材を使用した練習用バットAの長さや太さを基準にして、外国産の竹材を使用してそのまま製作した場合、総重量が基準となる重量より重い場合には、使用素材の重量に対応させて、その重い重量分となる素材の体積分を、刳り貫き空間の体積として刳り貫いて、総重量を減らす調整が可能となり、基準と同じ総重量の練習用バットAを形成することができる。
【0038】
従って、竹素材の産地等が異なり素材重量が国内産と異なる場合であっても、国内産と同じ重さの練習用バットを品質上でバラツキなく形成することができる。
【0039】
〔変形例〕
図5〜図12は、本発明を適用した変形例の練習用バットを示し、同様な部分には上記実施形態と同符号を附してその説明は省略する。
【0040】
これらの変形例の練習用バットAの集積板材1A〜1Jは、長尺な竹素材を竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一連に一体接合して形成されているがその接合構造が異なっている。
【0041】
図5、図6に示す練習用バットAにおける集積板材1A,1B,1Cは、方形状(図面においては長方形状)の小断面を有する竹素材aを、竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一列に一体接合した薄厚さ材の複数を行方向に一体接合して形成されている。
【0042】
この練習用バットAは、上記実施形態と同様に集積板材1A,1B,1Cの積層方向Sに対応する面が打撃面Aaに構成されている。さらに詳述すれば、配列状態に多数を一体接合してある竹素材aの短辺側に対応する面が打撃面Aaに構成されている。このことは、長辺側に対応する面を打撃面Aaにした場合に比べて、竹素材aの打撃方向の厚さが大きく素材形状的に対衝撃性が優れているためである。
【0043】
このような構造の練習用バットAによれば、例えば、今まで廃材となっていた小断面の竹素材等をバット素材として活用することが可能となり、資源の有効活用化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0044】
図7、図8に示す練習用バットAは、5層の集積板材1D,1E,1F,1G,1Hからなり、断面長方形状の竹素材aを、竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一列に一体接合した複数の板厚さが分厚い集積板材1D,1F,1Hと、断面長方形状の竹素材を長辺方向に沿って一列に一体接合した薄板材の複数を行方向に一体接合した2枚の板厚さが薄い集積板材1E,1Gとを用意し、積層配置した分厚い集積板材1D,1F,1Hの行方向の積層間に薄い集積板材1E,1Gを介在する状態で一体接合して形成されている。ここで、重量調整用の刳り貫きbは、主にバット軸芯X1に対応する分厚い集積板材1Fに形成されるが、大きな刳り貫き空間Bの形成が必要な場合は、分厚い集積板材1Fを挟む状態で積層される薄い集積板材1E,1Gの少なくとも何れか一方に刳り貫きbを形成することが可能な構成になっている。
【0045】
この練習用バットAにおいても、集積板材1D,1E,1F,1G,1Hの積層方向Sと直交する面が打撃面Aaに構成されている。
【0046】
この変形例の練習用バットAは、バット軸芯に対応する第1の集積板材1Fと、これを挟んで積層する第2の集積板材1E,1Gを対象に重量調整用の刳り貫きbの形成を実施するので、加工性がよい。
【0047】
図9、図10に示す練習用バットは、3層の集積板材1A,1B,1Cからなり、断面長方形状で長尺の竹素材aを、長辺方向に多数を一列に一体接合した2つの集積板材1A,1Cの積層間に、断面長方形状で長尺の竹素材aを長辺方向に沿って一列に一体接合した断面方形状の角部材の複数を行方向に、竹素材aの積層方向が異なる配置状態に一体接合した集積板材1Cを介装する積層状態で一体接合して形成される。
【0048】
この変形例の練習用バットAは、積層板材の積層方向Sと直交する面が、打撃面Aaに形成されている。
【0049】
このような構造の練習用バットにおいて、バット軸芯X1に対応する部分を除いた部分は、3層の集積板材1A,1B,1Cの積層構造は断面長方形状の竹素材aの積層方向の向きが異なる積層状態を形成しながら、バット軸芯部分における3層の集積板材1A,1B,1Cの積層構造は、断面長方形状の竹素材aの積層方向の向きが揃う積層状態となり、構造的に強い積層構造を形成することができ、この積層状態を条件に刳り貫き空間Bが形成されているので、例え刳り貫き空間Bが大きい場合であっても、バット性能の向上を図りながらバット重量を調整することが可能となり、品質の高い練習用バットAを形成することができる。
【0050】
図11、図12に示す練習用バットAは、バット軸芯X1に対応する芯部分の断面正方形状の中心角柱部材1Jの周面に沿って、断面長方形状の周部角柱部材1Kを一体接合して形成されている。
【0051】
前記中心角柱部材1Jは、断面長方形状の複数の竹素材aを長辺方向に一列に一体接合した、断面が正方形状の4つの小角柱部材Jaを、竹素材aの配列方向が異なる配置状態となる断面が正方形状に一体接合して形成されている。
【0052】
前記周部角柱部材1Kは、断面長方形状の多数の竹素材aを長辺方向に一列に一体接合して形成されている。
【0053】
この変形例の練習用バットAは、周方向の何れの面も打撃面Aa(図面においては、厚い板厚さt1に対応する側の面を打撃面としている)に採用することができる積層構造になっており、刳り貫き空間Bにおいても、中心角柱部材1Jの中心部に形成されるので、バット性能の向上を図りながらバット重量を調整することが可能となり、品質の高い練習用バットAを形成することができる。
【0054】
図11、図12の変形例において、予めに4つの小角柱部材Jaを一体接合された中心角柱部材1Jに刳り貫きbを形成して、この中心角柱部材Jaに周部角柱部材1Kを一体接合して刳り貫き空間Bを形成するものであってもよい。
【0055】
〔別実施形態〕
1) 上記実施形態においては、集積板材1A,1B,1Cのうちの中間層をなす集積板材1Bに刳り貫きbを形成して、これらの接合状態の集積角材2に刳り貫き空間Bを形成するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、接合状態で断面略正方形状の集積角材が形成される一対の集積板材を用いて、少なくとも何れか一方の集積板材の合わせ面側に刳り貫きbを形成して、両者が接合された集積角材の状態で内部に刳り貫き空間Bが形成されるものであってもよい。
【0056】
2) 上記実施形態においては、国内産の竹材を使用した練習用バットAの長さや太さを基準にして、外国産の竹材を用いてそのまま製作した場合、総重量が基準となる重量より重い場合には、その重い重量分となる素材の体積分を、刳り貫き空間の体積として刳り貫いて、総重量を減らす調整が可能となり、基準の総重量の練習用バットを形成することができるものとその形成方法について説明したが、本発明はこれに限らない。
すなわち、
a.練習用バットAの長さや太さを基準にして、その総重量が設定された重量より軽い場合には、同体積で比較して重量が重たい充填材である竹素材を、その少ない重量分を刳り貫き空間に収納して、総重量を増やす調整を実施するものに本発明を適用してもよい。ここで、充填材としては、重さが異なる同素材の集積材を使用してもよいが、例えば、木材、樹脂材、金属材、紙材、ゴム材、ゲル材等、竹材以外の素材を、単独、或は、複合して使用してもよい。
【0057】
b.また、練習用バットAの長さや太さを基準にして、その総重量を使用者の好み等に応じて複数又は多数の段階に分かれた数値を設定した練習用バットの形成に上記のバット重量調整方法を用いて形成してもよい。
【0058】
3)上記実施形態においては、刳り貫き空間Bを打撃部A4に対応して形成するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、打撃部A4と握り部A2との間のバットの中央部分、或は、握り部A2に刳り貫き空間Bを形成するものであってもよい。
【0059】
4) 上記実施形態における練習用バットAの形成素材が外国産の竹材を使用するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、国内産の竹材を混合するものであっても、木製素材を混合するものであってもよく、使用形態としては、バットの部位によって異なる素材を使用するものであっても、或は、握り部A2からグリップA1部分には木材を使用し、残りの部分に竹材を使用する等のように、部分によって異なる素材を使用する練習用バットに本発明を適用するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を適用した実施形態の練習用バットとその形成方法を示す簡略側断面図(イ)3つの集積板材を示す簡略側断面図(ロ)集積板材を接合して形成された集積角材を示す簡略側断面図(ハ)集積角材を切削して形成された成形バットを示す簡略側断面図
【図2】(イ)練習用バットを示す簡略側断面図(ロ)練習用バットを示す簡略側面図
【図3】練習用バットを示す側正断面図
【図4】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図5】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図6】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図7】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図8】(イ)接合前の複数の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図9】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図10】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図11】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図12】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【符号の説明】
【0061】
A 練習用バット
A4 打撃部
a 角柱竹材(集積材)
b 刳り貫き
B 刳り貫き空間
C 刳り貫き手段
X1 バット軸芯
t1 板厚
t2 板厚
1A 集積板材
1B 集積板材
1C 集積板材
1D〜1K 集積板材
2 集積角材
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹材等の小片の多数を接合して形成された集積材から形成された練習用バットとその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野球やソフトボールにおいては、竹材の集積材から形成された竹バットが、一般的に練習用のバットとして使用されている。
近年、国内産における竹の利用が少なくなることに伴って、竹材の管理栽培が減少して国内産の竹材の市場投入量が減少し、所望する竹材を入手するにもコスト面で高くなる傾向にある。
このような事情を受けて外国産で安価な竹材を練習用バットに用いて、価格の高騰化を抑制するようなことが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、国内産に比べてコストが安価な反面、国内産とは体積当たりの重量が異なり、また、産地や収穫時期などによっても、大きく体積当りの重量が異なる素材傾向がある。
そのため、バットの長さや太さを基準に練習用バットを製作した場合、産地等によって、重量にバラツキがでる問題がある。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用素材に重量のバラツキのある素材であっても、バットの長さ、太さ、重量等を設定通りに製作可能な練習用バットとその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1番目の練習用バットの特徴構成は、少なくとも竹材の複数を接合した集積材から形成された練習用バットであって、バット内部にバット重量調整用の刳り貫き空間が形成されている点にある。
【0006】
上記特徴構成によれば、練習用バットの長さや太さを基準にして総重量が設定された重量より重い場合には、その重い重量分となる体積分を刳り貫き空間として形成して、総重量を減らす調整が可能となる。
また、練習用バットの長さや太さを基準にして総重量が設定された重量より軽くなる場合には、使用素材よりも体積当りの重量が重たい充填材を、その少ない重量分を補う充填材の体積分を、刳り貫き空間の体積として刳り貫いて、この刳り貫き空間に充填材を収納して総重量を増やす調整が可能となる。ここで、充填材としては、一例として、竹材よりも体積当りの重量が重たい合板材、ゴム材、砂材、合成樹脂材等があげられる。
【0007】
従って、重量の異なる竹素材をバット素材に用いた場合において、バットの長さや太さを基準にすると重量にバラツキを生じる問題を解消して、使用素材に重量の異なる素材を用いても、バットの長さ、太さ、重量等を設定通りに製作することが可能となり、市場性にコスト面で安価等の有用な新たな練習用バットを市場に提供することができる。
また、このような構成の練習用バットにおいては、各人の打撃向上のために、バットの長さや太さが同じであるけれども、基準よりも重いバット、或は、基準よりも軽いバットを製作することも可能であり、その上下範囲内で使用者が要望するオリジナルな重量を有する練習用バットを製作することが可能であるので、練習性能の向上を図った練習用バットを形成することができる。
【0008】
本発明の第2番目の練習用バットの特徴構成は、前記刳り貫き空間が、バットの打撃部に対応する中心部に形成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、打撃部は、バットの先端に位置して外径が太い部分で耐衝撃性のある部分でもあるので、刳り貫き空間を形成しバットの総重量の調整を図りながら、バットの基本性能を確保することができる。
【0010】
従って、重量調整を図りながらも、バットの基本性能を損なうことなく、品質の高い練習用バットを形成することができる。
【0011】
本発明の第3番目の練習用バットの特徴構成は、前記刳り貫き空間が、バット軸芯方向の、複数箇所に分散形成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、総体積を刳り貫き箇所を複数に分割することによって、一連に連続した刳り貫き空間が形成された場合に比べて、分割形成された刳り貫き空間同士の間に刳り貫かれていない集積素材の中実部分が存在しているので、耐衝撃性等のバット性能の向上を図ることができる。
また、刳り貫き空間を分散することによって、バットの長手方向と直交する径方向の肉厚さを極力大きくすることができるので、よりバットの基本性能の向上化を図ることができる。
【0013】
従って、バットの基本性能を損なうことなくバットの重量調整された練習用バットを形成することができ、品質の保全を図ることができる。
【0014】
本発明の第4番目の練習用バットの特徴構成は、前記打撃部の外周面のうち打撃面から刳り貫き空間に至るまでの板厚が、打撃方向に直交する面から刳り貫き空間に至るまでの板厚よりも大に形成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、打撃部には肉厚さを厚くして耐衝撃性を高めることができる。
【0016】
従って、打撃による折れや損傷に対向することができるので、打撃品質の向上を図ることができる。
【0017】
本発明の第5番目の練習用バットの形成方法の特徴構成は、竹材の繊維方向に沿って一定長さに切り揃えられた断面矩形状の複数の竹素材を、繊維方向である長手方向と直交する方向に接合して集積板材を形成する板材形成工程と、集積板材の複数を接合して断面正方形状の集積角材を形成する角材形成工程と、集積角材の外周面を切削手段によってバットの外周面形状に切削することによりバット形状の素地バットを形成する切削工程と、素地バットに塗装や表示等の化粧処理を行う化粧工程とを有する練習用バットの形成方法において、
前記板材形成工程と角材形成工程との間に、集積板材を接合する前段階で、バット軸芯部に対応する集積板材の接合面に、刳り貫き手段によって設定重量よりも重い重量分に対応する体積分の竹素材を除去したバット重量調整用の刳り貫き空間を形成する重量調整工程が設けられている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、使用する竹素材の単位体積当りの重量から対応する体積の刳り貫き空間を形成することによって、バットの重さを軽く重量調整することができる。
【0019】
従って、単位当りの重量が設定重量よりも重たい領域の竹素材等がバットの使用素材として使用することができるので、例えば、国内産よりも外国産の安価な竹素材を利用対象にすること等のように、今まで活用することがなかった重量が重たい領域の竹素材をバット素材に使用することが可能となり、その結果として、多様な商品体系の構築やコストの削減化等を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を適用した練習用バットを図面に基づいて説明する。
【0021】
〔実施形態〕
野球(硬式、軟式)やソフトボールにおいては、モクセイ科(アオダモ、ヤチダモ、ホワイトアッシュ、トネリコ等)の木材種からなるバットや金属バットが試合用に使用される一方、練習用(打撃、素振り、ノック、バント等の練習用)バットとして、竹材を全部又は一部に用いたバットが使用されている。
【0022】
前記練習用バットAは、図1、図2に示すように、手持ち側である基端にグリップA1が形成され、このグリップA1から長手方向中央部に沿って、軸径が略同じに形成された握り部A2が形成され、この握り部A2から先端部に沿って、軸径が次第に径大となるように形成されたテーパー部A3を経て、軸径が最大径である打撃部A4が連続形成された木製バットや金属バットと同様形状のものである。
【0023】
この実施形態においては、バット素材に国内産よりも単位体積当りの重量が重い外国産の竹材(例えば、中国産等の竹材)を使用して、国内産と同じ長さと太さで重量も同じとなる練習用バットAとその形成方法について詳述する。ここで、外国産の竹材は、産地、収穫時期、伐採年齢等で重量品質の点で国内産に比べてバラツキがある。また、重量品質の安定した国内産よりも単位体積当りの重量が重い場合も軽い場合も同等の場合も存在する。
【0024】
この実施形態の練習用バットは、バット内部にバット重量調整用の刳り貫き空間が形成され、詳しくは、竹素材からなる多数の集積材を接合して形成され、打撃部A4に対応する中心部に、竹材の一部を除去したバット重量調整用空間である複数の刳り貫き空間Bが、バット軸芯X1方向の複数箇所に分散形成されている。
【0025】
練習用バットAは、例えば、図3に示すように、バットの長手方向と直交する方向に沿って3層の集積板材1A,1B,1Cが一体接合された構造になっており、そのうちの中間層の集積板材1B部分に刳(く)り貫(ぬ)きが形成され、両端層である集積板材1A,1Cに挟まれて刳り貫き空間Bが積層内に形成される。
【0026】
前記集積板材1A,1B,1Cは、長尺な竹素材を竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一連に一体接合して形成されている。
【0027】
前記刳り貫き空間Bは、図4に示すように、前記打撃部A4の外周面のうち、打撃面Aaから刳り貫き空間Bに至るまで板厚t1が、打撃方向に直交する面Abから刳り貫き空間Bに至るまでの板厚t2よりも大に形成されている。ここで、打撃に対応する面Aaは、集積板材1A,1B,1Cの積層方向Sと直交する面が対応して耐衝撃性に優れた接合構造になっている。
【0028】
また、通常は打撃方向に対応する外周面にはシンボルマーク等の表示がなされ打撃部の位置がわかるようになっている。
【0029】
次に、練習用バットAの形成方法を説明する。
まず、竹材の繊維方向に沿って一定長さに切り揃えられた断面矩形状の複数の竹素材aを、繊維方向である長手方向と直交する方向に接合して平板状の集積板材1A,1B,1Cを形成する(板材形成工程)。この工程によって、予めに複数の集積板材1A,1B,1Cが形成される。
【0030】
ここで、集積板材1A,1B,1Cは、例えば、一辺の長さが約5mm〜10mm程度で、他辺が約5mm〜20mm程度の方形断面形状を有し、長さが約920mm〜930mm程度の集積材である竹素材aの多数を隙間なく束ねた状態で接着剤3を介して、短辺が約10〜40mm程度で長辺が約70〜80mm程度の大きさのものを形成する。
【0031】
次に、3つの集積板材1A,1B,1Cを用意し、竹素材が接合する方向に合わせて、集積板材1A,1B,1Cを一纏めにした状態で断面形状が正方形となる接合(角材形成工程)が行われる前段階で、中心部分に対応する集積板材1Bの幅中央部分で且つバット形成段階で打撃部A4に対応する部分に、刳り貫き手段Cによって、設定重量よりも重い重量分に対応する体積分の刳り貫き空間Bを形成する(重量調整工程)。前記刳り貫き手段Cは、リーマやドリル等の刳り貫き機が用いられ、図1(イ)、図4(イ)に示すように、対象となった集積板材1Bに長孔状の刳り貫きbが貫通形成される。
【0032】
前記集積角材1Bに形成する刳り貫きbは、例えば、直径が約21mm程度で長さが約50〜150mm程度の長孔に形成されている。
【0033】
そして、3つの集積板材1A,1B,1Cを、接着剤3を介して一纏めに一体接合して、3層の集積板材1A,1B,1Cからなる断面略正方形状の集積角材2が形成される。
【0034】
そして、この集積角柱材2の外周面を長手方向に沿って、バットの形状に沿って倣い切削して素地バット4を形成し、素地バット4の表面に、表面塗装を全体に施すとともに、図示しないが、商品名やマーク等を適宜箇所に印刷や刻印等の化粧仕上げ5を施して練習用バットAが完成される。
【0035】
この完成された練習用バットAの刳り貫き空間Bは、図3に示すように、打撃部の外周面のうち打撃面Aaから刳り貫き空間Bに至る板厚t1の方が、打撃方向に直交する面Abから刳り貫き空間Bに至る板厚t2よりも大に形成されている。ここで、打撃面Aaは、集積板材1A,1B,1Cを構成する断面長方形状の竹素材aの耐衝撃性に優れた短辺側が対応する接合構造になっている。
【0036】
前記集積角材2をバットAの形状にするための倣い切削は、図示しないが、例えば、全長に亘って配設された多数の切削刃体による切削によって切削加工することができる公知のバット用旋盤機で実施される。
【0037】
このような構成にすることによって、国内産の竹材を使用した練習用バットAの長さや太さを基準にして、外国産の竹材を使用してそのまま製作した場合、総重量が基準となる重量より重い場合には、使用素材の重量に対応させて、その重い重量分となる素材の体積分を、刳り貫き空間の体積として刳り貫いて、総重量を減らす調整が可能となり、基準と同じ総重量の練習用バットAを形成することができる。
【0038】
従って、竹素材の産地等が異なり素材重量が国内産と異なる場合であっても、国内産と同じ重さの練習用バットを品質上でバラツキなく形成することができる。
【0039】
〔変形例〕
図5〜図12は、本発明を適用した変形例の練習用バットを示し、同様な部分には上記実施形態と同符号を附してその説明は省略する。
【0040】
これらの変形例の練習用バットAの集積板材1A〜1Jは、長尺な竹素材を竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一連に一体接合して形成されているがその接合構造が異なっている。
【0041】
図5、図6に示す練習用バットAにおける集積板材1A,1B,1Cは、方形状(図面においては長方形状)の小断面を有する竹素材aを、竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一列に一体接合した薄厚さ材の複数を行方向に一体接合して形成されている。
【0042】
この練習用バットAは、上記実施形態と同様に集積板材1A,1B,1Cの積層方向Sに対応する面が打撃面Aaに構成されている。さらに詳述すれば、配列状態に多数を一体接合してある竹素材aの短辺側に対応する面が打撃面Aaに構成されている。このことは、長辺側に対応する面を打撃面Aaにした場合に比べて、竹素材aの打撃方向の厚さが大きく素材形状的に対衝撃性が優れているためである。
【0043】
このような構造の練習用バットAによれば、例えば、今まで廃材となっていた小断面の竹素材等をバット素材として活用することが可能となり、資源の有効活用化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0044】
図7、図8に示す練習用バットAは、5層の集積板材1D,1E,1F,1G,1Hからなり、断面長方形状の竹素材aを、竹繊維方向と直交する方向に沿って多数を一列に一体接合した複数の板厚さが分厚い集積板材1D,1F,1Hと、断面長方形状の竹素材を長辺方向に沿って一列に一体接合した薄板材の複数を行方向に一体接合した2枚の板厚さが薄い集積板材1E,1Gとを用意し、積層配置した分厚い集積板材1D,1F,1Hの行方向の積層間に薄い集積板材1E,1Gを介在する状態で一体接合して形成されている。ここで、重量調整用の刳り貫きbは、主にバット軸芯X1に対応する分厚い集積板材1Fに形成されるが、大きな刳り貫き空間Bの形成が必要な場合は、分厚い集積板材1Fを挟む状態で積層される薄い集積板材1E,1Gの少なくとも何れか一方に刳り貫きbを形成することが可能な構成になっている。
【0045】
この練習用バットAにおいても、集積板材1D,1E,1F,1G,1Hの積層方向Sと直交する面が打撃面Aaに構成されている。
【0046】
この変形例の練習用バットAは、バット軸芯に対応する第1の集積板材1Fと、これを挟んで積層する第2の集積板材1E,1Gを対象に重量調整用の刳り貫きbの形成を実施するので、加工性がよい。
【0047】
図9、図10に示す練習用バットは、3層の集積板材1A,1B,1Cからなり、断面長方形状で長尺の竹素材aを、長辺方向に多数を一列に一体接合した2つの集積板材1A,1Cの積層間に、断面長方形状で長尺の竹素材aを長辺方向に沿って一列に一体接合した断面方形状の角部材の複数を行方向に、竹素材aの積層方向が異なる配置状態に一体接合した集積板材1Cを介装する積層状態で一体接合して形成される。
【0048】
この変形例の練習用バットAは、積層板材の積層方向Sと直交する面が、打撃面Aaに形成されている。
【0049】
このような構造の練習用バットにおいて、バット軸芯X1に対応する部分を除いた部分は、3層の集積板材1A,1B,1Cの積層構造は断面長方形状の竹素材aの積層方向の向きが異なる積層状態を形成しながら、バット軸芯部分における3層の集積板材1A,1B,1Cの積層構造は、断面長方形状の竹素材aの積層方向の向きが揃う積層状態となり、構造的に強い積層構造を形成することができ、この積層状態を条件に刳り貫き空間Bが形成されているので、例え刳り貫き空間Bが大きい場合であっても、バット性能の向上を図りながらバット重量を調整することが可能となり、品質の高い練習用バットAを形成することができる。
【0050】
図11、図12に示す練習用バットAは、バット軸芯X1に対応する芯部分の断面正方形状の中心角柱部材1Jの周面に沿って、断面長方形状の周部角柱部材1Kを一体接合して形成されている。
【0051】
前記中心角柱部材1Jは、断面長方形状の複数の竹素材aを長辺方向に一列に一体接合した、断面が正方形状の4つの小角柱部材Jaを、竹素材aの配列方向が異なる配置状態となる断面が正方形状に一体接合して形成されている。
【0052】
前記周部角柱部材1Kは、断面長方形状の多数の竹素材aを長辺方向に一列に一体接合して形成されている。
【0053】
この変形例の練習用バットAは、周方向の何れの面も打撃面Aa(図面においては、厚い板厚さt1に対応する側の面を打撃面としている)に採用することができる積層構造になっており、刳り貫き空間Bにおいても、中心角柱部材1Jの中心部に形成されるので、バット性能の向上を図りながらバット重量を調整することが可能となり、品質の高い練習用バットAを形成することができる。
【0054】
図11、図12の変形例において、予めに4つの小角柱部材Jaを一体接合された中心角柱部材1Jに刳り貫きbを形成して、この中心角柱部材Jaに周部角柱部材1Kを一体接合して刳り貫き空間Bを形成するものであってもよい。
【0055】
〔別実施形態〕
1) 上記実施形態においては、集積板材1A,1B,1Cのうちの中間層をなす集積板材1Bに刳り貫きbを形成して、これらの接合状態の集積角材2に刳り貫き空間Bを形成するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、接合状態で断面略正方形状の集積角材が形成される一対の集積板材を用いて、少なくとも何れか一方の集積板材の合わせ面側に刳り貫きbを形成して、両者が接合された集積角材の状態で内部に刳り貫き空間Bが形成されるものであってもよい。
【0056】
2) 上記実施形態においては、国内産の竹材を使用した練習用バットAの長さや太さを基準にして、外国産の竹材を用いてそのまま製作した場合、総重量が基準となる重量より重い場合には、その重い重量分となる素材の体積分を、刳り貫き空間の体積として刳り貫いて、総重量を減らす調整が可能となり、基準の総重量の練習用バットを形成することができるものとその形成方法について説明したが、本発明はこれに限らない。
すなわち、
a.練習用バットAの長さや太さを基準にして、その総重量が設定された重量より軽い場合には、同体積で比較して重量が重たい充填材である竹素材を、その少ない重量分を刳り貫き空間に収納して、総重量を増やす調整を実施するものに本発明を適用してもよい。ここで、充填材としては、重さが異なる同素材の集積材を使用してもよいが、例えば、木材、樹脂材、金属材、紙材、ゴム材、ゲル材等、竹材以外の素材を、単独、或は、複合して使用してもよい。
【0057】
b.また、練習用バットAの長さや太さを基準にして、その総重量を使用者の好み等に応じて複数又は多数の段階に分かれた数値を設定した練習用バットの形成に上記のバット重量調整方法を用いて形成してもよい。
【0058】
3)上記実施形態においては、刳り貫き空間Bを打撃部A4に対応して形成するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、打撃部A4と握り部A2との間のバットの中央部分、或は、握り部A2に刳り貫き空間Bを形成するものであってもよい。
【0059】
4) 上記実施形態における練習用バットAの形成素材が外国産の竹材を使用するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、国内産の竹材を混合するものであっても、木製素材を混合するものであってもよく、使用形態としては、バットの部位によって異なる素材を使用するものであっても、或は、握り部A2からグリップA1部分には木材を使用し、残りの部分に竹材を使用する等のように、部分によって異なる素材を使用する練習用バットに本発明を適用するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を適用した実施形態の練習用バットとその形成方法を示す簡略側断面図(イ)3つの集積板材を示す簡略側断面図(ロ)集積板材を接合して形成された集積角材を示す簡略側断面図(ハ)集積角材を切削して形成された成形バットを示す簡略側断面図
【図2】(イ)練習用バットを示す簡略側断面図(ロ)練習用バットを示す簡略側面図
【図3】練習用バットを示す側正断面図
【図4】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図5】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図6】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図7】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図8】(イ)接合前の複数の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図9】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図10】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【図11】変形例の練習用バットを示す側正断面図
【図12】(イ)接合前の集積板材を示す簡略正断面図(ロ)集積角材を示す簡略正断面図
【符号の説明】
【0061】
A 練習用バット
A4 打撃部
a 角柱竹材(集積材)
b 刳り貫き
B 刳り貫き空間
C 刳り貫き手段
X1 バット軸芯
t1 板厚
t2 板厚
1A 集積板材
1B 集積板材
1C 集積板材
1D〜1K 集積板材
2 集積角材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも竹材の複数を接合した集積材から形成された練習用バットであって、バット内部にバット重量調整用の刳り貫き空間が形成されている練習用バット。
【請求項2】
前記刳り貫き空間が、バットの打撃部に対応する中心部に形成されている請求項1記載の練習用バット。
【請求項3】
前記刳り貫き空間が、バット軸芯方向の、複数箇所に分散形成されている請求項1又は2記載の練習用バット。
【請求項4】
前記打撃部の外周面のうち打撃面から刳り貫き空間に至るまでの板厚が、打撃方向に直交する面から刳り貫き空間に至るまでの板厚よりも大に形成されている請求項1、2又は3記載の練習用バット。
【請求項5】
竹材の繊維方向に沿って一定長さに切り揃えられた断面矩形状の複数の竹素材を、繊維方向である長手方向と直交する方向に接合して集積板材を形成する板材形成工程と、集積板材の複数を接合して断面正方形状の集積角材を形成する角材形成工程と、集積角材の外周面を切削手段によってバットの外周面形状に切削することによりバット形状の素地バットを形成する切削工程と、素地バットに塗装や表示等の化粧処理を行う化粧工程とを有する練習用バットの形成方法であって、
前記板材形成工程と角材形成工程との間に、集積板材を接合する前段階で、バット軸芯部に対応する集積板材の接合面に、刳り貫き手段によって設定重量よりも重い重量分に対応する体積分の竹素材を除去したバット重量調整用の刳り貫き空間を形成する重量調整工程が設けられている練習用バットの形成方法。
【請求項1】
少なくとも竹材の複数を接合した集積材から形成された練習用バットであって、バット内部にバット重量調整用の刳り貫き空間が形成されている練習用バット。
【請求項2】
前記刳り貫き空間が、バットの打撃部に対応する中心部に形成されている請求項1記載の練習用バット。
【請求項3】
前記刳り貫き空間が、バット軸芯方向の、複数箇所に分散形成されている請求項1又は2記載の練習用バット。
【請求項4】
前記打撃部の外周面のうち打撃面から刳り貫き空間に至るまでの板厚が、打撃方向に直交する面から刳り貫き空間に至るまでの板厚よりも大に形成されている請求項1、2又は3記載の練習用バット。
【請求項5】
竹材の繊維方向に沿って一定長さに切り揃えられた断面矩形状の複数の竹素材を、繊維方向である長手方向と直交する方向に接合して集積板材を形成する板材形成工程と、集積板材の複数を接合して断面正方形状の集積角材を形成する角材形成工程と、集積角材の外周面を切削手段によってバットの外周面形状に切削することによりバット形状の素地バットを形成する切削工程と、素地バットに塗装や表示等の化粧処理を行う化粧工程とを有する練習用バットの形成方法であって、
前記板材形成工程と角材形成工程との間に、集積板材を接合する前段階で、バット軸芯部に対応する集積板材の接合面に、刳り貫き手段によって設定重量よりも重い重量分に対応する体積分の竹素材を除去したバット重量調整用の刳り貫き空間を形成する重量調整工程が設けられている練習用バットの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−29560(P2007−29560A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219492(P2005−219492)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000108258)ゼット株式会社 (36)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000108258)ゼット株式会社 (36)
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