説明

置換8’−ピリ(ミ)ジニル−ジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミド[1,2−a]ピリミジン−6−オン誘導体

本発明は、式(I)


(式中、Xは2つの水素原子,イオウ原子,酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し;Yは結合、カルボニル基、メチレン基(このメチレン基はC1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基、C1−2ペルハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1つまたは2つの基により場合によっては置換されている。)を表し;R1は2、3または4−ピリジン環または2、4または5−ピリミジン環を表し;この環はC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているものであり;R2はベンゼン環またはナフタレン環を表し;この環はC1−6アルキル基、メチレンジオキシ基、ハロゲン原子、C1−2ペルハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、とドロキシル基、C1−4アルコキシ基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−5モノアルキルアミノ基またはC2−10ジアルキルアミノ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;R3は水素原子、C1−5アルキル基またはハロゲン原子を表し;R4は水素原子、C1−4アルコキシカルボニル基、C3−6シクロアルキルカルボニル基,ベンゾイル基、C3−6アルキル基を表し、これらの基はハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−4アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換され;oおよびmは1から2を表し;nは0から3を表し;pは0から2を表し;およびqは0から2を表す。)により表されるジとドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩に関する。本発明は、また、前記誘導体またはこれらの塩を活性成分として含んでなり、異常なGSK:3β活性により引き起こされる神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の予防的および/または治療的な処置に使用される薬剤にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常なGSK3β活性により引き起こされる疾患の予防的および/または治療的な処置のための薬剤の活性成分として有用である化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
GSK3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β)は、代謝、分化および生存の制御において重要な役割を演じるプロリン指向性のセリン、トレオニンキナーゼである。これは、グリコーゲン合成酵素をリン酸化する、したがって阻害する能力のある酵素として最初に同定された。GSK3βは、エピトープにおいてタウタンパクをリン酸化し、アルツハイマー病およびいくつかのタウパチーにおいて過リン酸化されていることも見出されている酵素であるタウプロテインキナーゼ1(TPK1)と同一であるということが後で認識された。興味深いことに、GSK3βのプロテインキナーゼB(AKT)リン酸化は、このキナーゼ活性の喪失を生じ、この阻害は神経親和性因子の影響の一部を仲介し得るということが仮説化された。更に、細胞生存に関与するタンパクであるβ−カテニンのGSK3βによるリン酸化は、ユビキチン化依存的なプロテアゾーム経路による劣化を生じる。
【0003】
このように、GSK3β活性の阻害は神経栄養性活性を生じ得ると思われる。実際、あるモデルにおいてはGSK3βの不競合阻害剤のリチウムが神経突起形成を増進し、生存因子、例えばBc1−2の誘導と、プロアポトーシス因子、例えばP53およびBaxの発現の阻害により神経生存も増加させるという証拠が存在する。
【0004】
最近の研究は、β−アミロイドがGSK3β活性とタウタンパクリン酸化を増大させるということを実証した。更に、β−アミロイドのこの過リン酸化ならびに神経毒性効果は、塩化リチウムおよびGSK3βアンチセンスmRNAによリブロックされる。これらの観察は、GSK3βが異常なAPP(アミロイド前駆体タンパク)プロセシングとタウタンパク過リン酸化というアルツハイマー病における2つの主要な病理学的過程の間を結びつけ得るということを強く示唆する。
【0005】
タウ過リン酸化は神経細胞骨格の不安定化を生じるが、上記に挙げたように、このキナーゼの過度の活性はアポトーシスおよび抗アポトーシス因子の発現の調整により生存に影響を及ぼし得るために、異常なGSK3β活性の病理学的帰結は、多分、タウタンパクの病理学的リン酸化によるもののみでない。更に、β−アミロイドで誘発されたGSK3β活性の増大はこのリン酸化と、したがってエネルギ生成とアセチルコリン合成における中心的酵素のピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害を生じることが示された。
【0006】
要するに、これらの実験的観察は、GSK3βがこの神経病理学的帰結とアルツハイマー病、ならびに他の急性および慢性神経変性疾患に関連する認知障害および注意力欠如障害の処置において用途を見出し得るということを示す。これらは、限定ではないが、パーキンソン病、タウパチー(例えば、前頭側頭骨認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック(Pick)病、進行性核上麻痺)と血管性認知症を含む他の認知症;急性脳梗塞と他の外傷;脳血管障害(例えば、年齢に関係した黄斑疾患);脳髄外傷と脊髄外傷;末梢神経障害;網膜症と緑内障を含む。
【0007】
加えて、GSK3βは、他の疾患、例えば非インスリン依存性糖尿病(II型糖尿病などの)および肥満症;躁鬱病;統合失調症;脱毛症;癌、例えば乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、TまたはB−細胞白血病およびいくつかのウイルス誘発腫瘍の処置における応用を見出し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、異常なGSK3β活性により引き起こされる疾患、特に神経変性疾患の予防的および/または治療的な処置のための薬剤の活性成分として有用な化合物を提供することである。特に、本発明の目的は、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の予防および/または処置を可能とする薬剤の活性成分として有用な新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このように、本発明者らは、GSK3βに対する阻害活性を有する化合物を同定した。結果として、本発明者らは、式(I)により表される化合物が所望の活性を有し、前掲の疾患の予防的および/または治療的な処置のための薬剤の活性成分として有効であることを見出した。
【0010】
このように、本発明は、式(I)
【0011】
【化3】

により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物を提供する。
【0012】
式中、
Xは2つの水素原子、イオウ原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し;
Yは結合、カルボニル基、メチレン基(このメチレン基はC1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基、C1−2ペルハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1つまたは2つの基により場合によっては置換されている。)を表し;
R1は2、3または4−ピリジン環または2、4または5−ピリミジン環を表し;この環はC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているものであり;
R2はベンゼン環またはナフタレン環を表し;この環はC1−6アルキル基、メチレンジオキシ基、ハロゲン原子、C1−2ペルハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−5モノアルキルアミノ基またはC2−10ジアルキルアミノ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;
R3は水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し;
R4は水素原子、C1−4アルコキシカルボニル基、C3−6シクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、C1−6アルキル基を表し、これらの基はハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−4アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換され;
oおよびmは1から2を表し;
nは0から3を表し;
pは0から2を表し;および
qは0から2を表す。
【0013】
式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物は、X、Y、R1、R2、R3、o、n、pおよびqが上記に定義されている通りであり、およびR4が水素原子、C1−4アルコキシカルボニル基、C1−6アルキル基を表す(これらは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−4アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されている。)ものである。
【0014】
本発明のもう一つの側面によれば、式(I)により表されるピリミドン誘導体と、生理学的に許容され得るこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含んでなる薬剤が提供される。薬剤の好ましい実施態様として、異常なGSK3β活性により引き起こされる疾患の予防的および/または治療的な処置に使用される前掲の薬剤と、神経変性疾患および加えて他の疾患、例えば非インスリン依存性糖尿病(II型糖尿病などの)および肥満症;躁欝病;統合失調症;脱毛症;癌、例えば乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、TまたはB−細胞白血病およびいくつかのウイルス誘発腫瘍の予防的および/または治療的な処置に使用される前掲の薬剤が提供される。
【0015】
本発明の更なる好ましい実施態様として、この疾患が神経変性疾患であり、アルツハイマー病、パーキンソン病、タウパチー(例えば、前頭側頭骨認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック(Pick)病、進行性核上麻痺)と血管性認知症を含む他の認知症;急性脳梗塞と他の外傷;脳血管障害(例えば、年齢に関係した黄斑疾患);脳髄外傷と脊髄外傷;末梢神経障害;網膜症と緑内障からなる群から選択される前掲の薬剤と、1つまたはそれ以上の医薬添加物と一緒に上記の物質を活性成分として含有する医薬組成物の形態の前掲の薬剤が提供される。
【0016】
本発明は、式(I)のジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体およびこれらの塩およびこれらの溶媒和物、およびこれらの水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含んでなる、GSK3β活性の阻害剤を更に提供する。
【0017】
本発明の更なる側面によれば、異常なGSK3β活性により引き起こされる神経変性疾患の予防的および/または治療的な処置のための、式(I)のジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体およびこれらの生理学的に許容され得る塩、およびこれらの溶媒和物、およびこれらの水和物からなる群から選択される、予防的におよび/または治療的に有効な物質を患者に投与する段階を含む方法;および式(I)のジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体およびこれらの生理学的に許容され得る塩、およびこれらの溶媒和物、およびこれらの水和物からなる群から選択される物質を前掲の薬剤の調製のための使用、が提供される。
【0018】
この明細書で使用されるように、C1−6アルキル基は、1から6個の炭素原子、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、などを有する直鎖または分岐のアルキル基を表し;
3−6シクロアルキル基は、3から6個の炭素原子を有する環状アルキル基、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを表し;
1−4アルコキシ基は、1から4個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基を表し;
ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を表し;
1−2ペルハロゲン化アルキル基はすべての水素がハロゲンにより置換されたアルキル基、例えばCFまたはCを表し;
1−3ハロゲン化アルキル基は少なくとも1個の水素がハロゲン原子により置換されていないアルキル基を表し;
1−5モノアルキルアミノ基は1つのC1−6アルキル基により置換されたアミノ基、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基およびイソペンチルアミノ基を表し;
2−10ジアルキルアミノ基は2つのC1−5アルキル基により置換されたアミノ基、例えばジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基およびジイソプロピルアミノ基を表し;
脱離基Lは容易に開裂および置換可能である基を表し、このような基は例えばトシル、メシル、ブロミドなどであり得る。
【0019】
前掲の式(I)により表される化合物は塩を形成し得る。この塩の例は、酸性基が存在する場合には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムの塩;アンモニアおよびアミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、およびL−グルカミンの塩;または塩基性アミノ酸、例えばリジン、δ−ヒドロキシリジン、およびアルギニンとの塩を含む。酸性化合物の塩基付加塩は当分野で周知の標準的な方法により調製される。
【0020】
塩基性基が存在する場合には、例は、鉱酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リンとの塩;有機酸例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸クエン酸、安息香酸、マンデル酸、経皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、およびサリシル酸との塩;または酸性アミノ酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸との塩を含む。
【0021】
この塩基性化合物の酸付加塩は、限定ではないが、適切な酸を含有する水性アルコール溶液にこの遊離塩基を溶解し、この溶液を蒸発させることによりこの塩を単離すること、またはこの遊離塩基と酸を有機溶媒申で反応させ、塩を直接に分離させる、または第2の有機溶媒により沈澱させる、または溶液の沈澱により入手することを含む当分野で周知の標準的な方法により調製される。酸付加塩の製剤に使用可能な酸は、この遊離塩基と合体される揚合、医薬適合性の塩、すなわちアニオンが動物に対して比較的無害であり、この遊離塩基において固有なメリットのある性質がアニオンに帰され副作用により損なわれない塩を生産するものを好ましくは含む。この塩基性化合物の医薬適合性の塩が好ましいが、すべての酸付加塩は本発明の範囲内にある。
【0022】
前掲の式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体とこれらの塩に加えて、これらの溶媒和物と水和物も本発明の範囲内に入る。
【0023】
前掲の式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体は1つまたはそれ以上の不斉炭素原子を有し得る。このような不斉炭素原子の立体配置に関しては、これらは、独立して(R)および(S)立体配置のいずれかのものであり得、この誘導体は立体異性体、例えば光学異性体、またはジアステレオ異性体として存在し得る。純粋な形態のいかなる立体異性体も、立体異性体、ラセミ体などのいかなる混合物も本発明の範囲内に入る。
【0024】
本発明の好ましい化合物の例を下記の表1に示す。しかしながら、本発明の範囲はこれらの化合物により限定されない。
【0025】
式(I)により表される本発明の好ましい化合物は、
(1)R1がC1−2アルキル基、C1−2アルコキシ基またはハロゲン原子により置換され得る、3または4−ピリジン環、更に好ましくは4−ピリジン環、または4または5−ピリミジン環、更に好ましくは4−ピリミジン環を表し;および/または
(2)R2がベンゼン環またはナフタレン環を表し;この環がC1−3アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1−2アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;および/または
(3)R3が水素原子、C1−3アルキル基またはハロゲン原子;更に好ましくは水素原子を表し;および/または
(4)R4が水素原子、C1−4アルコキシカルボニル基、C3−6シクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、C1−3アルキル基を表し、これらの基がハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−4アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;
(5)Yがカルボニル基、C1−3アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基、C1−2ペルハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1つまたは2つの基により場合によっては置換されているメチレン基を表し;特にR1、R2、R3、R4およびYが上記に定義されている通りである化合物も含む。
【0026】
式(I)により表される本発明の更に好ましい化合物は、
(1)R1が非置換4−ピリジン環または4−ピリミジン環を表し;および/あるい

(2)R2がベンゼン環を表し;この環がC1−3アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1−2アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;および/または
(3)R3が水素原子を表し;および/または
(4)R4がハロゲン原子またはヒドロキシル基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているC1−4アルコキシカルボニル基、C3−6シクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、C1−3アルキル基を表し;および/または
(5)Xが2個の水素原子を表し;および/または
(6)Yがヒドロキシル基により場合によっては置換されているカルボニル基またはメチレン基を表し;および/または
(7)pが2を表し、およびqが0を表し;特にR1、R2、R3、X、Y、p、q、m、oおよびnが上記に定義されている通りである
化合物を含む。
【0027】
式(I)により表され、式中R1がピリジン環またはピリミジン環である本発明の特
に好ましい化合物は、表1
1.エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
2.エチル−6’−オキソ−1’−[2−オキソ−2−フェニルエチル]−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
3.1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
4.1−メチル−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
5.エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリミジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
6.エチル−6’−オキソ−1’−[2−オキソ−2−フェニルエチル]−8’−(ピリミジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
7.1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
8.1−(シクロヘキシルカルボニル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
9.1−(シクロヘキシルカルボニル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
10.1−(3−フルオロベンゾイル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
11.1−(3−フルオロベンゾイル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
12.1−(シクロブチルカルボニル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
13.1−(シクロブチルカルボニル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
14.1−(シクロプロピルカルボニル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
15.1−(シクロプロピルカルボニル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
16.1−メチル−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
の化合物;および表2
1.エチル1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−(ピリジン−4−イル)−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
2.エチル6−オキソ−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−(ピリジン−4−イル)−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
3.1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1’−メチル−8−(ピリジン−4−イル)−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
4.1’−メチル−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−(ピリジン−4−イル)−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
5.エチル1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−ピリミジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
6.エチル6−オキソ−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
7.1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
8.1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
9.1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
10.1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
11.1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
12.1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
13.1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
14.1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
15.1’−(シクロブチルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
16.1’−(シクロブチルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
17.1’−(シクロブチルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
18.1’−(シクロブチルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
19.1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
20.1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェネチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
21.1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
22.1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェネチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
の化合物を含む。
【0028】
更なる目的として、本発明は、前掲の式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン化合物を調製する方法にも関する。
【0029】
これらの化合物は、例えば下記に説明される方法にしたがって調製可能である。
【0030】
調製方法
前掲の式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン化合物はスキーム1に述べる方法にしたがって調製され得る。
【0031】
【化4】

【0032】
(上記のスキーム中で、R1、R2、R3、R4、X、Y、m、n、o、pおよびqの定義は式(I)の化合物に対して記述したものと同一である。)
【0033】
この方法に続いて、上記の式(III)により表され、R1、R3、R4、m、R、o、pおよびqが式(I)化合物に対して定義されている通りであるピリミジノン誘導体は、塩基、例えば水素化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムと、次にR2、X、Yおよびnが式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Lが脱離基、好ましくはブロミドまたはメシル基を表す式(II)の化合物と、溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドまたはクロロホルム中で0から130℃の範囲の好適な温度で通常の空気下で反応させて、前掲の式(I)の化合物を得る。
【0034】
別法としては、Yがカルボニル基を表す式(I)の化合物は、Yがヒドロキシル基により置換されたメチレン基を表す式(I)の化合物により当業者に周知の方法にしたがって調製され得る。
【0035】
式(II)の化合物は市販されているか、または当業者に周知の方法にしたがって合成され得る。
【0036】
式(III)の化合物はスキーム2で定義される方法にしたがって調製され得る。
【0037】
【化5】

【0038】
(上記のスキーム中で、R1、R3、R4、m、n、o、pおよびqの定義は既述したのと同一である。)
【0039】
この方法によれば、R1およびR3が式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Rがアルキル基、例えばメチルまたはエチルである式(IV)の3−ケトエステルを式(V)の化合物と反応させる。この反応は、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下でアルコール性溶媒、例えばメタノール、エタノール中で、または溶媒無しで25から140℃の範囲の好適な温度で通常の空気下で行われ得る。
【0040】
別法としては、R3が水素原子を表す式(III)の化合物をハロゲン化して、R3がハロゲン原子、例えば臭素原子または塩素原子である式(III)の化合物を入手し得る。この反応は、酸性媒体、例えば酢酸またはプロピオン酸中でプロモスクシンイミドまたはクロロスクシンイミド、または臭素の存在下で行われ得る。
【0041】
加えて、R3がフッ素原子を表す式(III)の化合物は、Tetrahedron Letters,Vol.30,No.45,pp6113−6116,1989に述べられている方法への類推により入手され得る。
【0042】
式(IV)の化合物は市販されているか、または当業者に周知の方法にしたがって合成され得る。
【0043】
例えば、R1がC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているピジジン環またはピジミジン環を表す式(IV)の化合物は、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基またはハロゲンにより場合によっては置換されているイソニコチン酸またはピリミジンカルボン酸と対応するマロン酸モノエステルとを反応させることにより調製可能である。この反応は、カップリング剤、例えば1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾールの存在下で溶媒、例えばテトラヒドロフラン中20から70℃の範囲の温度など、当業者に周知の方法を用いて実施可能である。
【0044】
式(V)の化合物は、当業者に周知の方法にしたがって合成され得る。
【0045】
例えば、mおよびoが2を表し、pが2を表し、およびqが0を表す場合、式(V)の化合物は、スキーム3に定義され、およびR4が式(I)に対して定義されている通りの化合物(VI)から出発する方法にしたがって調製され得る。使用され得る条件を化学実験例に示す。
【0046】
【化6】

【0047】
(上記のスキームにおいては、Pgはアミノ保護基を、およびLは脱離基を表す。)
【0048】
式(VI)の化合物はJ.Med.Chem.1991,34、90−97に述べられている方法にしたがって合成され得る。
【0049】
式(VII)の化合物はSynthetic Communication 28(4),701−712(1998)に述べられている方法にしたがって合成され得る。
【0050】
更なる目的として、本発明は式(I)の化合物の中間体としての式(III)の化合物にも関する。
【0051】
上記の反応においては、官能基の保護または脱保護は時に必要であり得る。好適な保護基Pgは官能基のタイプに依って選択可能であり、文献に述べられている方法が適用され得る。保護基と、保護および脱保護の方法の例は、例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」 Greeneら,2nd Ed.(John Wiley & Sons,Inc.,NewYork)で示されている。
【0052】
本発明の化合物はGSK3βに対する阻害活性を有する。従って、本発明の化合物は、異常なGSK3β活性により引き起こされる疾患、特に神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の予防的および/または治療的な処置を可能とさせる薬剤の調製のための活性成分として有用である。加えて、本発明の化合物は、また、神経変性疾患、パーキンソン病、タウパチー(例えば、前頭側頭骨認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック(Pick)病、進行性核上麻痺)と血管性認知症を含む他の認知症;急性脳梗塞と他の外傷;脳血管障害(例えば、年齢に関係した黄斑疾患);脳髄外傷と脊髄外傷;末梢神経障害;網膜症と緑内障;他の疾患、例えば非インスリン依存性糖尿病(II型糖尿病などの)および肥満症;躁欝病;統合失調症;脱毛症;癌、例えば乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、TまたはB−細胞白血病およびいくつかのウイルス誘発腫瘍の予防的および/または治療的な処置を可能とさせる薬剤の調製のための活性成分としても有用である。
【0053】
本発明は、必要とする哺乳動物に有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなるGSK3βの異常な活性により引き起こされる神経変性疾患および前掲の疾患を処置する方法に更に関する。
【0054】
本発明の薬剤の活性成分として、前掲の式(I)により表される化合物およびこれらの薬理学的に許容され得る塩、およびこれらの溶媒和物およびこれらの水和物からなる群から選択される物質が使用され得る。この物質は本発明の薬剤として投与され得るが、前掲の物質を活性成分として、1つまたはそれ以上の医薬添加物を含んでなる医薬組成物の形でこの薬剤を投与することが望ましい。本発明の薬剤の活性成分として、2つ以上の前掲の物質が組み合わせで使用され得る。上記の医薬組成物は上記に挙げた疾患の処置のためにもう一つの薬剤の活性成分により補完され得る。医薬組成物のタイプは特に限定されず、この組成物は経口または非経口投与用のいかなる製剤としても提供され得る。例えば、この医薬組成物は、経口投与用の医薬組成物、例えば顆粒、微細顆粒、粉末、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ、乳化液、懸濁液、溶液などの形で、または非経口投与用の医薬組成物、例えば静脈内、筋肉内、または皮下投与用の注射、点滴、経皮的製剤、経粘膜的製剤、点鼻薬、吸入剤、座薬などの形で製剤され得る。注射または点滴は、粉末状製剤として、例えば凍結乾燥された製剤の形で製剤され、使用直前に適切な水性媒体、例えば生理食塩水に溶解することにより使用され得る。徐放性製剤、例えばポリマーにより被覆されたものは、脳内に直接に投与され得る。
【0055】
この医薬組成物の調製に使用される医薬添加物のタイプ、活性成分に対する医薬添加物の含量比、およびこの医薬組成物の調製方法は、当分野の専門家により適切に選択され得る。無機または有機物質、または固体または液体物質が医薬添加物として使用され得る。一般に、この医薬添加物は、活性成分の重量基準で1重量%から90重量%の範囲の比で組み込まれ得る。
【0056】
固体医薬組成物の調製に使用される賦型剤の例は、例えば、ラクトース、スクロース、でんぷん、タルク、セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウムなどを含む。経口投与用の液体組成物の製剤には、慣用の不活性希釈剤、例えば水または植物油が使用され得る。この不活性希釈剤に加えて、この液体組成物は、補助剤、例えば加湿剤、懸濁助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、および保存剤を含有し得る。この液体組成物は、吸収性材料、例えばゼラチンからできたカプセル中に充填され得る。非経口投与用の組成物、例えば注射、座薬などの製剤に使用される溶媒または懸濁液媒体の例はく水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、エチルオレエート、レシチンなどを含む。座薬に使用されるベース材料の例は、例えば、カカオバター、乳化カカオバター、ラウリル酸脂質、witepsolを含む。
【0057】
本発明の薬剤の投与の用量および頻度は特に限定されず、状態、例えば予防的および/または治療的な処置の目的、疾患のタイプ、患者の体重または年齢、疾患の重篤度などに依って、適切に選択され得る。一般に、成人に対する経口投与の日量は、0.01から1,000mg(活性成分の重量)であり、この用量は、一日に1回または、分割された部分として一日に数回、または数日に1回投与され得る。この薬剤を注射として使用する場合には、投与は、成人に対して0.001から100mg(活性成分の重量)の日量で連続的または完結的に好ましくは行われる。
【0058】
(化学的実施例)
【実施例1】
【0059】
(表1の化合物No1)
エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート(1:1)(ヒドロクロリド)
【0060】
1.1:4−シアノメチレン−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル
500m1の無水テトラヒドロフラン中の12.85g(321.28ミリモル)の水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)の懸濁液に0℃で56.91g(321.28ミリモル)のジエチル−(シアノメチル)−ホスホネートを10分間にわたって添加した。この反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に230m1の無水テトラヒドロフラン中の44.05g(292.07ミリモル)の4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルを30分にわたって滴加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。
【0061】
この混合物を1lのジエチルエーテルに溶解し、塩化アンモニウムの飽和水溶液、塩化ナトリウムの飽和水溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。この粗生成物を石油エーテルにより摩砕し、濾過して、51.63gの純粋生成物を黄色固体として得た。
Mp:95−96℃。
【0062】
1.2:4−アミノ−4−シアノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル
301mlのアンモニア水溶液(29%)と50mlのメタノール中の51.38g(264.53モル)の4−シアノメチレン−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの溶液を封管中110℃で48時間加熱した。反応混合物を濃縮し、この残渣を比率100/0から96/4のジクロロメタン/メタノールの混合物により溶離するシリカゲルによりクロマトグラフにかけて、40gの生成物を白色固体として得た。
Mp:68−69℃。
【0063】
1.3:4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−シアノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル
200m1のテトラヒドロフラン中の35.44g(167.79ミリモル)の4−アミノ−4−シアノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの溶液に4.3mlの水、23.58ml(167.79ミリモル)のトリエチルアミンおよび50mlのテトラヒドロフラン中の36.61g(167.79ミリモル)のジ−tert−ブチルジカーボネートを添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。
【0064】
この混合物をジクロロメタンに溶解し、塩化アンモニウムの飽和水溶液、塩化ナトリウム飽和水溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。この粗生成物をペンタンにより摩砕し、濾過して、46.49gの純粋生成物を白色固体として得た。
Mp:133−135℃。
【0065】
1.4:4−(2−アミノ−エチル)−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル
107mlのメタノール中の5g(16.06ミリモル)の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−シアノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの溶液に4.71gのラネーニッケル触媒を添加した。この懸濁液を55psiの圧力下室温で3時間水素化した。
【0066】
この触媒を濾過により除去し、溶媒を圧力下で蒸発させた。比率100/0/0から70/30/3ジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液(29%)の混合物により溶離するシリカゲル上でのクロマトグラフィにより精製することによって、オイルの形態の化合物(2.86g)を得た。
【0067】
1.5:4−アミノ−4−(2−アミノ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルヒドロクロリド(2:1)
19mlのイソプロパノール中の3.01g(9.56ミリモル)の4−(2−アミノ−エチル)−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの溶液にイソプロパノール中の8mlの塩酸(5.6N)溶液を添加し、得られた溶液を室温で3時間撹拌した。
【0068】
この混合物を冷却し、ジエチルエーテルを添加した。得られた沈澱を濾過した。この生成物を乾燥して、2.49gの純粋な化合物を白色固体として得た。
Mp:119−121℃。
【0069】
1.6:2−アミノ−1,3,9−トリアザ−スピロ[5.5]ウンデセ−2−エン−9−カルボン酸エチルエステルヒドロブロミド(1:1)
108m1のメタノール中の15.65g(54.33ミリモル)の4−アミノ−4−(2−アミノ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルヒドロクロリド(2:1)の溶液に21.73ml(114.09ミリモル)のメタノール中のナトリウムメトキシド溶液(5.55N)を添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した。この沈澱を濾過し、濾液を蒸発させた。この粗生成物を108mlの水に溶解し、5.75g(54.33ミリモル)の臭化シアンを小分けして添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、乾燥まで蒸発させ、エタノールに溶解し、乾燥まで蒸発させて、17.56gの純粋な化合物を褐色固体として得た。
【0070】
1.7:エチル6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
28mlのエタノール中の3g(15.57ミリモル)のエチル3−(ピリジン−4−イル)−3−オキソプロピオネート、5g(15.57ミリモル)の2−アミノ−1,3,9−トリアザ−スピロ[5.5]ウンデセ−2−エン−9−カルボン酸エチルエステルヒドロブロミド(1:1)および4.52g(32.70ミリモル)の炭酸カリウムの混合物を還流温度で12時間加熱した。
【0071】
この冷却された溶液を蒸発させて、溶媒を除去した。この混合物をジクロロメタンに溶解し、塩化アンモニウムの飽和水溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。この残渣を水により処理し、この沈澱を濾過し、この粗生成物をジエチルエーテルにより摩砕し、濾過して、2.94gの純粋な生成物を白色固体として得た。
Mp:209−210℃。
【0072】
1.8:エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート(1:1)(ヒドロクロリド)
13mlの無水ジメチルホルムアミド中の0.6g(1.62ミリモル)のエチル6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレートの溶液に0.085g(2.11ミリモル)の水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液)を添加した。この混合物を50℃で1時間撹拌した。次に、0.25g(2.11ミリモル)の(S)−フェニルオキシランを添加し、この混合物を110℃で12時間撹拌した。
【0073】
0.25g(2.11ミリモル)の(S)−フェニルオキシランを添加し、この混合物を110℃で6時間撹拌した。水を添加し、この混合物をジクロロメタンにより抽出した。この抽出物を塩化ナトリウムの飽和水溶液により洗浄し、乾燥し、蒸発させて、粗生成物を得た。比率100/0から90/10のエチルジクロロメタン/メタノールの混合物により溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製することによって、化合物を遊離塩基の形で得た。この塩基をこのヒドロクロリド塩に変換して、0.144gの純粋な生成物を得た。
Mp:169−170℃,[a]D=−13.7゜(c=0.99,ジメチルスホキシド)。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):8.95(br d,2H)8.35(d,2H)7.12−7.42(m,5H);6.66(s,1H);5.02(m,1H);4.00(q,2H)3.52−3.95(m,6H)2.78−3.11(m,2H)1.952.4(m,4H)1.65−1.90(rn,2H);71.15(t,3H)。
【実施例2】
【0074】
(表1の化合物No.2)
エチル−6’−オキソ−1’−[2−オキソ−2−フェニルエチル]−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート(1:1)(ヒドロクロリド)
0.138g(0.28ミリモル)のエチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレートを2.82mlの無水ジクロロメタンに溶解し、0.049g(0.42ミリモル)のN−メチルモルホリンN−オキシド、0.001g(0.0083ミリモル)の過ルテン酸テトラ−n−プロピルアンモニウムおよび1gの粉末化されたモレキュラーシーブ(4A)と混合した。この混合物を窒素下20℃で12時間撹拌した。0.049g(0.42ミリモル)のN−メチルモルホリンN−オキシド,0.001g(0.0014ミリモル)の過ルテン酸テトラ−n−プロピルアンモニウムおよび1gの粉末化されたモレキュラーシーブ(4A)を添加し、この混合物を窒素下20℃で3時間撹拌した。
【0075】
比率100/0から95/5のエチルジクロロメタン/メタノールの混合物により溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィによりこの粗生成物を精製することによって、この化合物を遊離塩基の形で得、これをヒドロクロリド塩に変換して、0.045gの純粋な生成物を得た。
Mp:227−229℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):8.46(br d,2H)8.05(d,2H)7.51−782(m,5H)6.63(s,1H)5.22(s,2H)3.85−4.08(m,6H)2.89−3.25(m,2H)2.21−2.37(m,2H);1.95(td,2H);1.66(d,2H),1.15(t,3H)。
【実施例3】
【0076】
(表1の化合物No.3)
1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン(2:1)(ヒドロクロリド)
【0077】
3.1:1−メチル−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
3.25mlのテトラヒドロフランに0℃で溶解された0.6g(1.62ミリモル)のエチル6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート溶液に0.185g(4.87ミリモル)の水素化リチウムアルミニウムを添加した。得られる混合物を窒素雰囲気下室温で3時間撹拌した。
【0078】
この反応混合物を過剰の硫酸ナトリウムの飽和水溶液により処理した。更なる固体硫酸ナトリウムを添加し、この有機相を濾過して、塩を除去した。溶媒を蒸発させ、比率100/0から70/30のジクロロメタン/メタノールの混合物により溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製することによって、化合物を黄色固体(0.328g)の形で得た。
Mp:232−234℃。
【0079】
3.2:1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン(2:1)(ヒドロクロリド)
段階1.9で述べた方法との類似で、1−メチル−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オンを用いてこの生成物を得た。
Mp:271−272℃,[α]=−10.2゜(c=0.829,CHOH).
RMN H(DMSO−d:200MHz)
δ(ppm)10.75(br s,1H);8.91(d,2H);8.31(d,2H);7.20−7.59(m,5H);6.71(s,1H);5.12(m,1H);3.58−4.50(m,4H);3.00−3.45(m,4H);2.85(m,1H);2.75(s,3H);2.08−2.44(m,3H);1.89(br d,1H);1.45(br d,1H)。
【実施例4】
【0080】
(表1の化合物No.5)
エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリミジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
【0081】
4.1:エチル6’−オキソ−8’−(ピリミジンイル−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
実施例1(段階1.7)で述べた方法との類似で、3−オキソ−3−ピリミジン−4−イル−プロピオン酸メチルエステルを用いてこの生成物を得た。
Mp:231−233℃。
【0082】
4.2:エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリミジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
段階1.8で述べた方法との類似で、エチル6’−オキソ−8’−(ピジミジンイル−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド〔1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレートを用いてこの生成物を得た。
Mp:118−120℃,[α]=−13.2℃(c=1.028,CHOH)。
RMN H(DMSO−d;200MHz)δ(ppm):9.21(s,1H);8.98(d,1H);8.10(d,1H)7.15−7.43(m,5H);6.70(s,1H);5.48(d,1H);5.05(m,1H);4.04(q,2H);3.52−4.10(m,5H);2.92(br q,2H);1.90−2.39(m,3H);1.63−1.90(m,3H);1.15(t,3H)。
【実施例5】
【0083】
(表1の化合物No.7)
1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
【0084】
5.1:1−メチル−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
実施例3(段階3.1)で述べた方法との類似で、3−オキソ−3−ピリミジン−4−イル−プロピオン酸メチルエステルを用いてこの生成物を得た。
Mp:194−196℃。
【0085】
5.2:1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
段階1.8で述べた方法との類似で、1−メチル−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オンを用いてこの生成物を得た。
Mp:180−182℃。
RMNH(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.35(s,1H);9.05(d,1H);8.17(d,1H);7.25−7.45(m,5H);6.75(s,1H);5.57(d,1H)5.10(m,1H);3.67−4.05(m,4H);2.67(br dd,2H);2.22(s,3H);1.82−2.35(m,5H);1.67(br d,1H);1.20(m,1H)。
【実施例6】
【0086】
(表2の化合物No.1)
エチル1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−ピリジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート(1:1)(ヒドロクロリド)
【0087】
6.1:3−シアノメチレン−ピロリジン−1−カルボン酸エチルエステル
実施例1(段階1.1)で述べた方法との類似で、Visconti,Mら、Helvetica Chimica Acta 1967,50(5)1289−93にしたがって調製された3−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸エチルエステルを用いてこの生成物を得た。
【0088】
6.2:エチル3−アミノ−3−(シアノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート
実施例1(段階1.2)で述べた方法との類以で、3−シアノメチレン−ピロリジン−1−カルボン酸エチルエステルを用いてこの生成物を得た。
【0089】
6.3:エチル−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(シアノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート
実施例1(段階1.3)で述べた方法との類似で、エチル3−アミノ−3−(シアノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いてこの生成物を得た。
【0090】
6.4:エチル3−(2−アミノエチル)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシレート
実施例1(段階1.4)で述べた方法との類似で、エチル3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(シアノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いてこの生成物を得た。
【0091】
6.5:エチル3−アミノ−3−(2−アミノエチル)ピロリジン−1−カルボキシレートヒドロクロリド(2:1)
実施例1(段階1.5)で述べた方法との類似で、エチル3−(2−アミノエチル)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシレートを用いてこの生成物を得た。
【0092】
6.6:エチル7−アミノ−2,6,8−トリアザスピロ[4.5]デセ−6−エン−2−カルボキシレートヒドロブロミド(1:1)
実施例1(段階1.6)で述べた方法との類似で、エチル3−アミノ−3−(2−アミノエチル)ピロリジン−1−カルボキシレートヒドロクロリド(2:1)を用いてこの生成物を得た。
【0093】
6.7:エチル6−オキソ−8−ピリジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−11’−カルボキシレート
実施例1(段階1.7)で述べた方法との類似で、3−オキソ−3−ピリジン−4−イル−プロピオン酸エチルエステルとエチル7−アミノ−2,6,8−トリアザスピロ[4.5]デセ−6−エン−2−カルボキシレートヒドロブロミド(1:1)を用いてこの生成物を得た。
Mp:171−172℃。
【0094】
6.8:エチル1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−ピリジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート(1:1)(ヒドロクロリド)
実施例1(段階1.8)で述べた方法との類似で、エチル6−オキソ−8−ピリジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミジド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレートを用いてこの生成物を得た。
Mp:194−195℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):8.87(m,2H);8.26(m,2H);7.14−7.46(m,5H);6.65(br s,1H);5.19(br s,1H)2.88−4.36(m,10H);1.71−2.28(m,4H);1.13(t,3H)
【実施例7】
【0095】
(表2の化合物No.2)
エチル−6−オキソ−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−(ピリジン−4−イル)−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート(1:1)(ヒドロクロリド)
実施例2で述べた方法との類似で、エチル−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−ピリジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレートを用いてこの生成物を得た。
Mp:190−191℃。
RMN H:(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):8.51(d,2H)8.05(d,2H);7.79(d,2H);7.69(d,1H);7.57(t,2H);6.59(s,1H);5.25(dd,2H);3.82−4.18(m,2H);3.98(q,2H);3.22−3.56(m,4H);1.85−2.46(m,4H);1.12(t,3H)。
【実施例8】
【0096】
(表2の化合物No.7)
1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4一ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
【0097】
8.1:8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
1.0g(2.81ミリモル)のエチル−6−オキソ−8−ピリミジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレートを25mlの臭化水素酸溶液(酢酸中33%)に溶解し、得られた溶液を100℃で12時間撹拌した。
【0098】
この混合物を冷却し、ジエチルエーテルを添加した。得られる沈澱を濾過した。この生成物を濃水酸化ナトリウム水溶液(30%)に溶解し、得られた溶液を比率100/0/0から70/30/3のジクロロメタン/メタノール/濃アンモニア水溶液の混合物により抽出した。この抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥し、蒸発させて、粗生成物を得た。この粗生成物をジエチルエーテル中で摩砕して、0.64g(86%)の黄色固体を得た。
Mp:226−228℃。
【0099】
8.2:1’−(3−フルオロベンゾイル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
5mlのテトラヒドロフランに室温で溶解された0.3g(1.055ミリモル)の8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オンの溶液に0.18ml(1.27ミリモル)のトリエチルアミンと0.152ml(1.27ミリモル)の3−フルオロ−ベンゾイルクロリドを添加した。得られる混合物を窒素雰囲気下室温で2時間撹拌した。この反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液に添加し、比率100/0から80/20のジクロロメタン/メタノールの混合物により抽出し、蒸発させた。比率100/0から70/30のジクロロメタン/メタノールの混合物により溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィによりこの残渣を精製することによって、0.310g(72%)の純粋な生成物を灰色固体として得た。Mp:296−298℃。
【0100】
8.3:1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
実施例1(段階1.8)で述べた方法との類似で、1’−(3−フルオロベンゾイル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン〕−6(1H)−オンを用いてこの生成物を得た。
Mp:180−182℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.28(s,1H);9.01(t,1H);8.11−8.21(m,1H);7.02−7.63(m,9H);6.72(s,1H);5.53(AB,1H);5.04−5.31(m,1H);3.12−4.11(m,8H);1.65−2.33(m,4H)。
【実施例9】
【0101】
(表2の化合物No.8)
1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
実施例2で述べた方法との類似で、1’一(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オンを用いてこの生成物を得た。Mp:267−268℃。
RMN H(DMSO−d:200MHz)
δ(ppm)9.15(s,1H);8.42(d,1H);8.09(t,2H);7.74(t,1H);7.61(t,2H);7.20−7.53(m,5H);6.60−6.75(m,1H);5.13−5.40(m,2H);3.87−4.25(m,2H):3.37−3.87(m,4H);1.84−2.52(m,4H)。
【0102】
本発明を示す前掲の式(I)の化合物に対する化学構造および物理的データのリストを表1に示す。これら化合物は実施例の方法にしたがって調製した。
【0103】
この表中で、Phはフェニル基を表し、Etはエチル基を表し;欄「Y」中の(S)、(R)または(Rac)はこの炭素原子の立体構造を示し:
(rac)はラセミ混合物を意味し、
(R)は絶対R立体配置を意味し、
(S)は絶対S立体配置を意味する。
【0104】
表1中で、R1は非置換ピリミジン−4−イル基または非置換ピリジン−4−イル基であり、p、oおよびmは2を表し、qは0を表す。
【0105】
【化7】

【0106】
【表1】


【0107】
表2中で、R1は非置換ピリジン−4−イル基または非置換ピリミジン−4−イル基であり、p、mは2を表し、oは1を表し、およびqは0を表す。
【0108】
【化8】

【0109】
【表2】



【0110】
試験例:GSK3βに対する本発明の薬剤の阻害活性
2つの異なるプロトコルを使用することができる。
【0111】
第1のプロトコルにおいて、7.5μMの予備リン酸化されたGS1ペプチドと10μM ATP(300,000cpmの33P−ATPを含有する)を25mMTris−HCl、pH7.5、0.6mM DTT、61nM MgCl、0.6mM EGTA、0.05mg/ml BSA緩衝液中でGSK3βの存在下室温で1時間保温静置した(全反応容積:100マイクロリットル)。
【0112】
第2のプロトコルにおいて、4.1μMの予備リン酸化されたGS1ペプチドと42μM ATP(260,000cpmの33P−ATPを含有する)を80mM Mes−NaOH、pH6.5、1mM酢酸Mg、0.5mM EGTA、5mM 2−メルカプトエタノール、0.02%Tween20、10%グリセロール緩衝液中でGSK3βの存在下室温で2時間保温静置した。阻害剤をDMSO中で可溶化した(反応媒体中の最終溶媒濃度、1%)。
【0113】
25gポリリン酸(85%P205)、126ml 85%HPO、HOで500mlとした100マイクロリットルの溶液によりこの反応を停止させ、次に使用前に1:100まで希釈した。次に、この反応混合物のアリコートをWhatman P81カチオン交換フィルターに移し、上述の溶液によりすすぎ洗いした。組み込まれた33P放射活性を液体シンチレーションスペクトル法により求めた。
【0114】
このリン酸化されたGS−1ペプチドはNH2−YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQS(P)EDEE−COOHの配列を有するものであった(Woodgett,J.R.(1989)Analytical Biochemistry 180,237−241)。
【0115】
本発明の化合物のGSK3β阻害活性はIC50で表され、表1と表2中の化合物のIC50の範囲の実例として、1ナノモルと1マイクロモルの濃度の間にある。
【0116】
例えば、表1の化合物No.4は0.007μMのIC50を示し、表2の化合物No.4は0.006μMのIC50を示す。
【0117】
(製剤例)
(1)錠剤
下記の成分を通常の方法により混合し、慣用の装置を使用することにより圧縮した。
実施例1の化合物 30mg
クリスタリンセルロース 60mg
コーンスターチ 100mg
ラクトース 200mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
【0118】
(2)軟カプセル剤
下記の成分を通常の方法により混合し、軟カプセル剤に充填した。
実施例1の化合物 30mg
オリーブオイル 300mg
レシチン 20mg
【0119】
(3)非経口製剤
下記の成分を通常の方法により混合して、1mlアンプル中に入れられた注射液を調製した。
実施例1の化合物 3mg
塩化ナトリウム 4mg
注射用蒸留水 1ml
【0120】
本発明の化合物はGSK3β阻害活性を有し、GSK3βの異常な活性により引き起こされる疾患、特に神経変性疾患の予防的および/または治療的な処置のための薬剤の活性成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
Xは2つの水素原子、イオウ原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し;
Yは結合、カルボニル基、メチレン基(このメチレン基はC1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基、C1−2ペルハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1つまたは2つの基により場合によっては置換されている。)を表し;
R1は2、3または4−ピリジン環または2、4または5−ピリミジン環を表し;この環はC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているものであり;
R2はベンゼン環またはナフタレン環を表し;この環はC1−6アルキル基、メチレンジオキシ基、ハロゲン原子、C1−2ペルハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−5モノアルキルアミノ基またはC2−10ジアルキルアミノ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;
R3は水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し;
R4は水素原子、C1−4アルコキシカルボニル基、C3−6シクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、C1−6アルキル基を表し、これらの基はハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−4アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換され;
oおよびmは1から2を表し;
nは0から3を表し;
pは0から2を表し;および
qは0から2を表す。)
により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物。
【請求項2】
R4が水素原子、C1−4アルコキシカルボニル基、C1−6アルキル基を表す(これらは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−4アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されている。)ジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物。
【請求項3】
R1が非置換4−ピリジニル基または非置換4−ピリミジニル基を表す、請求項1または2に記載のジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物。
【請求項4】
・R2がベンゼン環を表し;この環はC1−3アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1−2アルコキシ基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されているものであり;および
・R3が水素原子を表し;および
・R4がC1−4アルコキシカルボニル基、C3−6シクロアルキルカルボニル基,ベンゾイル基またはC1−3アルキル基を表し(これらは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基から選択される1から4個の置換基により場合によっては置換されている。);
・Xが2つの水素原子を表し;および
・Yがカルボニル基、またはヒドロキシル基により場合によっては置換されているメチレン基を表し;および
・pが2を表し;およびqが0を表す
請求項3に記載のジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物。
【請求項5】
・エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
・エチル−6’−オキソ−1’−[2−オキソ−2−フェニルエチル]−8’−(ピリジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
・1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−メチル−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−(ピリジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・エチル−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6’−オキソ−8’−(ピリミジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
・エチル−6’−オキソ−1’−[2−オキソ−2−フェニルエチル]−8’−(ピリミジン−4−イル)−1’,3’,4’,6’−テトラヒドロ−1H−スピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−1−カルボキシレート
・1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1−メチル−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(シクロヘキシルカルボニル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(シクロヘキシルカルボニル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(3−フルオロベンゾイル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(3−フルオロベンゾイル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(シクロブチルカルボニル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(シクロブチルカルボニル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(シクロプロピルカルボニル)−1’−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−(シクロプロピルカルボニル)−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−ピリジン−4−イル−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・1−メチル−1’−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8’−(ピリミジン−4−イル)−3’,4’−ジヒドロスピロ[ピぺリジン−4,2’−ピリミド[1,2−a]ピリミジン]−6’(1’H)−オン
・エチル1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−(ピリジン−4−イル)−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
・エチル6−オキソ−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−(ピリジン−4−イル)−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
・1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−1’−メチル−8−(ピリジン−4−イル)−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−メチル−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−(ピリジン−4−イル)−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・エチル1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−6−オキソ−8−ピリミジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
・エチル6−オキソ−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−1,3,4,6−テトラヒドロ−1’H−スピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−1’−カルボキシレート
・1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(3−フルオロベンゾイル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロプロピルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロブチルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロブチルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロブチルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロブチルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェネチル)−8−ピリジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
・1’−(シクロヘキシルカルボニル)−1−(2−オキソ−2−フェネチル)−8−ピリミジン−4−イル−3,4−ジヒドロスピロ[ピリミド[1,2−a]ピリミジン−2,3’−ピロリジン]−6(1H)−オン
からなる群から選択されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物。
【請求項6】
式(III)
【化2】

(式中、R1,R3,R4,m,o,qおよびpは請求項1に記載の式(I)の化合物について定義されている通りである。)
の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含んでなる薬剤。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)により表されるジヒドロスピロ−[シクロアルキルアミン]−ピリミドン誘導体またはこれらの塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれらの水和物からなる群から選択されるGSK3β阻害剤。
【請求項9】
異常なGSK3β活性により引き起こされる疾患の予防的および/または治療的な処置のための薬剤を調製するための、請求項1から4に記載の化合物の使用。
【請求項10】
神経変性疾患の予防的および/または治療的な処置のための薬剤を調製するための、請求項1から4に記載の化合物の使用。
【請求項11】
前記変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病、タウパチー、血管性認知症;急性脳梗塞、外傷;脳血管障害、脳髄外傷、脊髄外傷;末梢神経障害;網膜症と緑内障からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物の使用。
【請求項12】
非インスリン依存性糖尿病;肥満症;躁鬱病;統合失調症;脱毛症;癌の予防的および/または治療的な処置のための薬剤を調製するための、請求項1から4に記載の化合物の使用。
【請求項13】
癌が乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、TまたはB−細胞白血病およびいくつかのウイルス誘発腫瘍である、請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2007−514707(P2007−514707A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544393(P2006−544393)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014846
【国際公開番号】WO2005/058908
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【出願人】(000006725)三菱ウェルファーマ株式会社 (92)
【Fターム(参考)】