説明

耐水性ボード

【課題】
本発明は、表層は表面平滑性に優れ、中芯層は耐水性に優れた耐水性ボードを提供する
ものである。
【解決手段】
本発明は、表層、中芯層、表層の順で積層された耐水性ボードであって、表層は、木
を接着剤で結合した層であり、中芯層は、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成
樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂、繊維から選ばれた1種単独もしくは2種以上を組
み合わせたもの、とからなる混合物であり、この混合物中には木片が40〜80質量%で
あり、この混合物を接着剤で結合した層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築用としての床材、内装材、外装材の他、家具、家電製品、厨房設備などに広く用いられ、特に水廻りなどにも好適に使用できる二次加工性と耐水性に優れた耐水性ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保全の観点から、熱帯雨林の保護を目的とした森林伐採規制強化を背景に南洋材を使用した合板の需給バランスが極めてタイトな状況となり、将来的にも緩和の方向に無いことからその代替材の開発が喫緊の課題となっているが、既存のハードボード、MDF、インシュレーションボード、パーティクルボードやOSB(配向性ボード)などの木質ボードでは、特に耐水性と二次加工性(化粧シートなどの貼り合せ適性、切削加工性、仕上りなど)を兼ね備える合板に代替可能なものがなかった。
【0003】
また最近、木質ボードの耐水性向上を目的として、特許文献1のような耐水性ボードが提案されている。具体的には、木粉と熱硬化性樹脂粉とを接着剤で結合したものを表層とし、木片と熱硬化性樹脂粉とを接着剤で結合したものを中芯層とし、該中芯層の上下面に表層を積層させた3層構造からなる耐水性ボードについて記載されている。
【特許文献1】特開2002−254413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のボードの表層には熱硬化性樹脂粉が含有されているため、熱硬化性樹脂粉が表層の表面に突出し、表面平滑性が低下する問題があった。
【0005】
一方、特許文献1記載の3層構造からなる耐水性ボードの中芯層は、木片55〜80質量%と熱硬化性樹脂粉45〜20質量%とを接着剤で結合した層について記載がされている。そして、熱硬化性樹脂粉が20質量%未満になると、耐水性は熱硬化性樹脂粉を含まない従来の結合材添加木質ボードと変わらない。逆に、熱硬化性樹脂粉が45質量%を超えると、曲げ強度や耐水性は向上するものの熱硬化性樹脂粉と木片との比重の関係で容易に両者を均一に混合できず製造上の困難性が生ずることについて記載がされている。したがって、中芯層における熱硬化性樹脂粉は45〜20質量%とする必要があった。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の3層構造からなる耐水性ボードにおいて、表層から熱硬化性樹脂粉を除いた場合、中芯層における熱硬化性樹脂粉の割合が45〜20質量%では、所望の耐水性が得られない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、上記問題を解決する為になされたもので、表層は表面平滑性に優れ、中芯層は耐水性に優れた耐水性ボードを提供するものである。
【0008】
即ち、本発明の耐水性ボードは、請求項1に記載した通り、表層、中芯層、表層の順で積層された耐水性ボードであって、表層は、木紛を接着剤で結合した層であり、中芯層は、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、繊維から選ばれた1種単独もしくは2種以上を組み合わせたものと、からなる混合物であり、この混合物中には木片が40〜80質量%であり、この混合物を接着剤で結合した層であることを特徴とする耐水性ボードである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の耐水性ボードは、混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性樹脂粉とからなるものであり、前記熱可塑性合成樹脂粉と前記熱硬化性合成樹脂粉とからなる合成樹脂粉において、この合成樹脂粉が前記熱可塑性合成樹脂粉80〜10質量%と、前記熱硬化性合成樹脂粉20〜90質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐水性ボードである。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の耐水性ボードは、混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、高融点の熱可塑性合成樹脂紛とからなるものであり、前記熱可塑性合成樹脂粉と前記高融点の熱可塑性合成樹脂紛とからなる合成樹脂粉において、この合成樹脂粉が前記熱可塑性合成樹脂粉80〜10質量%と、前記高融点の熱可塑性合成樹脂紛20〜90質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐水性ボードである。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の耐水性ボードは、混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、平均長さで5mm以下の繊維とからなり、前記熱可塑性合成樹脂粉と前記繊維とからなる組成物において、この組成物が前記熱可塑性合成樹脂粉95〜30質量%と、前記繊維5〜70質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐水性ボードである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の耐水性ボードは、表面平滑性に優れ、かつ耐水性に優れるものである。
【0013】
さらに、本発明の耐水性ボードを基板とした化粧板を製造する際の二次加工性(例えば、低圧メラミン含浸紙の貼り合せ、高圧メラミン化粧板やポリエステル化粧板の貼り合わせ、合成樹脂化粧シートや化粧紙の貼り合せなどの貼り合せ加工適性、切削加工性など)、現場施工性、価格などを総合して合板の代替が可能であり、その上、現在の木質ボードの製造設備や二次加工設備を何ら改造することなく、さらに貼り合せ用接着剤等の副資材も変更することなくそのまま使用して製造出来るものである。
【0014】
また、中芯層において熱可塑性合成樹脂粉が混入されているが故に、本発明の耐水性ボードの成形時の熱と圧力により該熱可塑性合成樹脂粉が軟化・変形、条件によっては溶融・流動し、熱硬化性合成樹脂粉、繊維、繊維粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉などの固形粉末と相俟って木片間の空隙を充填することにより、中芯層が緻密となり、切削加工面の仕上り状態が優れるものであると共に、木片や熱硬化性合成樹脂粉、繊維、繊維粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉などの接着剤としても機能し、当該ボードの特に強度や耐水性を中心とした物性向上に寄与するものである。例えば、床材のコア材として本発明の耐水性ボードを使用し、ボード端部を凸実や凹実形状に切削加工した場合、その加工面は滑らかなものであり、外観上優れるものである。さらに、中芯層が緻密であるが故に、加工した面における湿気や水が浸透し難いものである。
【0015】
また、本発明の耐水性ボードは、表層に合成樹脂粉が混入されていないが故に、ボード製造時において、合成樹脂粉が熱板やスチールベルトへ付着・堆積することがなく、長期間安定した製造が可能である。
【0016】
また、合成樹脂粉として、廃棄物より得た再生材を使用すること、或いは寿命を向かえた本発明の耐水性ボードを回収し、粉砕して再度耐水性ボード用材料として使用することが出来る。つまり、循環型の製造システムを提供することが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のボードは、表層、中芯層、表層の順で積層された耐水性ボードであって、表層は、木紛を接着剤で結合した層であり、中芯層は、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉、繊維から選ばれた1種単独もしくは2種以上を組み合わせたものと、からなる混合物であり、この混合物中には木片が40〜80質量%であり、この混合物を接着剤で結合した層である。
【0018】
本発明の表層は、木紛を接着剤で結合した層である。その結果、従来のように表層には、熱硬化性合成樹脂粉が含有されていないため、表面平滑性に優れる耐水性ボードを得ることが出来る。その上、ボード製造時において、熱硬化性合成樹脂粉が熱板やスチールベルトへ付着・堆積することがなく、長期間安定した製造が可能である。
【0019】
本発明の木粉とは、例えば太さ0.2mm未満、長さ5mm未満の大きさが主に成っている木材の微粉末であり、例えば広葉樹及び針葉樹の輸入材或いは国産のマツ、ツガ、スギ、ヒノキなどの木材を鋸の屑状に微細化した微粉末、或いは製材所や合板、各種木質ボードの製造工程や二次加工工程などで発生する切削屑や端材、建設現場で発生する前記木材の端材や合板、OSB、パーティクルボードなどの端材、或いは建築物のリフォームや解体で分別・回収された前記木材や合板、木質系のボードなどを鋸の屑状に微細化した微粉末を主体とするものである。
【0020】
本発明の表層や中芯層に用いられる接着剤とは、通常のパーティクルボード等の木質系ボードで使用される接着剤を使用することができ、例えば、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、レゾール系フェノール樹脂、ノボラック系フェノール樹脂、水性イソシアネ−ト(例えば水性MDIなど)、水ガラスなどを挙げることが出来、これら接着剤は、単独又は2種類以上混合したものを使用できる。また、木粉や木片100質量部に対して、該接着剤を固形分換算で2〜30質量部の割合で混合し、通常のパーティクルボード等の木質系ボードの製造設備を用いて、熱加圧成形することによって、表層や中芯層を形成することができる。
【0021】
本発明の中芯層は、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉、繊維から選ばれた1種単独もしくは2種以上を組み合わせたものと、からなる混合物であり、この混合物中には木片が40〜80質量%であり、この混合物を接着剤で結合した層である。その結果、中芯層における木片間の空隙に熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉、繊維とから少なくとも1種とが充填され、特に熱可塑性合成樹脂粉が混入されていることにより、前述した機構で木片間の空隙に密充填が可能となり、従来の木片と熱硬化性樹脂粉とを接着剤で結合した層よりも緻密な層とすることが出来る。そして、表層に熱硬化性樹脂粉が混入されていなくとも、この緻密な層からなる中芯層によって、3層構造からなるボードは、合板に近い耐水性を有するものである。その上、合板に近い剛性(曲げ強度)を得ることが出来、さらに、2次加工性(特に、切削加工性)においても優れるものである。そしてさらに、表層の厚さを薄くし中芯層の厚さを厚くすることにより、本発明の耐水性ボードの特徴がより一層発揮できるものである。
【0022】
本発明の中芯層は、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉、繊維から選ばれた1種単独もしくは2種以上を組み合わせたものと、からなる混合物であり、この混合物中には木片が40〜80質量%であり、木片が80質量%を超えると、木片間の空隙を充填する効果が得られず、緻密さがなくなり、その結果、切削加工時、主に木片や熱可塑性合成樹脂粉、熱硬化性合成樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉、繊維などが離脱し、切削加工面の仕上りが悪くなる。さらに、耐水性や剛性(曲げ強度)においても熱可塑性合成樹脂粉を含まない従来の木質系のボードと変わらなくなる。また、木片が40質量%未満であると、木片と熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、繊維から選ばれた少なくとも1種との比重の関係で均一な混合が難しく、製造が困難である。
【0023】
本発明の木片とは、例えば太さ0.2〜5mm、長さ2〜30mm程度の大きさが主に成っている木材の微小片であり、例えば広葉樹及び針葉樹の輸入材或いは国産のマツ、ツガ、スギ、ヒノキなどの木材の微小片、或いは製材所や合板、各種木質ボードの製造工程や二次加工工程などで発生する端材、建設現場で発生する前記木材の端材や合板、OSB、パーティクルボードなどの端材、或いは建築物のリフォームや解体で分別・回収された前記木材や木質板の微小片を主体とするものである。
【0024】
本発明の熱可塑性合成樹脂粉は、木片間の空隙に密充填が可能となり、従来の木片と熱硬化性樹脂粉とを接着剤で結合した層よりも緻密な層とすることが出来る。
【0025】
本発明の熱可塑性合成樹脂粉とは、本発明の耐水性ボードの成形条件で軟化・変形、条件によっては溶融・流動し木片の空隙を充填する特性を有する熱可塑性合成樹脂の粉状物を指す。例えば、本発明の耐水性ボードを製造するに際し、例えば、110〜180℃の範囲において加熱・加圧成形する場合、該条件で軟化・変形、条件によっては溶融・流動する合成樹脂粉が使用できる。但し、加熱・加圧成形時の温度と圧力は製造装置の種類や製造方法により適宜設定されるため、熱可塑性合成樹脂粉としては該設定温度・圧力下で軟化・変形、条件によっては溶融・流動するものが使用出来る。
【0026】
また、前記熱可塑性合成樹脂紛としては、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂などの粉状物が挙げられ、中でも、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂などの粉状物が好ましい。これらの熱可塑性合成樹脂粉は、例えば該合成樹脂の発泡又は非発泡フィルムやシートや成形物、壁紙や床材の製造工程、該合成樹脂の発泡又は非発泡フィルムやシートや成形物、壁紙や床材の印刷、裁断、貼り合せ、模様付け、切削などの二次加工工程などにて発生する仕損品や端材、切削クズなどの廃棄物、使用済みの容器・包装材・トレイ・レジ袋、魚箱、フロートなどの廃棄物、建設工事現場で発生する断熱材や内装部材、壁紙や床材などの端材や残材、建築物の解体に伴い発生する断熱材や内装部材、壁紙や床材などの廃材など、また使用済みの冷蔵庫や自動販売機から回収した断熱材や成形物やパッキンなどの廃棄物を回収したものが好ましく、前記の如き熱可塑性合成樹脂を例えば、粉砕機、磨砕機などの適当な方法で微粉砕したものである。
【0027】
前記熱可塑性合成樹脂粉の平均粒径は、5mm以下に粉砕したものが好ましい。微粉砕した熱可塑性合成樹脂粉の平均粒径が5mmを超える径であると、該熱可塑性合成樹脂粉の熱容量が大きいため本発明の耐水性ボードの加工時の熱量では充分溶融・流動せず木片の間隙を充填し難くなり、得られた耐水性ボードは表面平滑性に欠けたり、切削加工面の滑らかさがなくなり加工品の仕上がりを損なうなど商品価値が乏しくなるだけでなく、特に中芯層の剛性(曲げ強度)や耐水性が殆ど改善されない場合がある。
【0028】
微粉砕した熱可塑性合成樹脂の嵩比重は0.005〜0.6g/ccのものが好ましい。尚、前記合成樹脂の発泡又は非発泡フィルムやシートや成形物及びそれらを二次加工した製品は、通常、別の材料と複合した構造と成っている場合もあり、そのような場合は本発明の熱可塑性合成樹脂粉はこれらの別の材料を含めたものとして扱うことが出来る。
【0029】
本発明の中芯層において、混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性樹脂粉とからなるものであり、前記熱可塑性合成樹脂粉と前記熱硬化性合成樹脂粉とからなる合成樹脂粉において、この合成樹脂粉が前記熱可塑性合成樹脂粉80〜10質量%と、前記熱硬化性合成樹脂粉20〜90質量%とからなるものが好ましい。また、熱可塑性合成樹脂粉が80質量%を超えると、切削加工の際、切削機の刃との摩擦熱により熱可塑性合成樹脂粉が溶融し、切削機の刃に付着堆積し易く、熱可塑性合成樹脂粉の溶融量が多い場合には、切削加工面において糸引きを起こし、加工面の仕上がりを悪くする虞がある。逆に、熱可塑性合成樹脂粉が10質量%未満であると、中芯層における緻密さが不十分となり、耐水性や強度が低下する虞がある。さらに、切削加工の際に木片や合成樹脂粉、繊維が離脱し、仕上がりが悪くなり易い。
【0030】
本発明の熱硬化性樹脂粉は、耐水性を向上させることは勿論のこと、剛性(特に、曲げ強度)を向上させることが出来るものであり、例えばエポキシ樹脂粉、メラミン樹脂粉、ポリアミド樹脂粉、尿素樹脂粉、ポリカルボジアミド樹脂粉、ポリウレタン樹脂粉(軟質、硬質)、ポリイソシアヌレート樹脂粉、フェノール樹脂粉、不飽和ポリエステル樹脂粉などの粉状物が挙げられ、中でも、メラミン樹脂粉、フェノール樹脂粉、ポリウレタン樹脂粉、ポリイソシアヌレート樹脂粉、尿素樹脂粉、架橋ポリオレフィン樹脂粉、各種合成ゴム加硫物などの粉が好ましい。これらの熱硬化性樹脂粉は、例えばポリカルボジアミドフォーム、ポリアミドフォーム、尿素フォーム、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、エポキシフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、各種合成ゴム発泡体、メラミン化粧板、ポリエステル化粧板などで、各製品の製造工程にて発生する仕損品や端材などの廃棄物、建築分野の断熱材や化粧板として使用されているもの、また使用済みの冷蔵庫や自動販売機から回収した断熱材、建設工事現場で発生する断熱パネルの端材や残材、建築物の解体に伴い発生する断熱パネルや化粧板などの廃材などを回収したものが好ましく、前記の如き熱硬性合成樹脂を例えば、粉砕機、磨砕機などの適当な方法で微粉砕したものである。
【0031】
前記熱硬化性樹脂粉の平均粒径は、5mm以下に微粉砕したものが好ましい。微粉砕した熱硬化性樹脂粉の平均粒径が5mmを超える径であると、木片の間隙を充填し難くなり、得られた耐水性ボードは表面平滑性に欠ける、或いは切削加工面の滑らかさがなくなり加工品の仕上がりを損なうなど商品価値が乏しくなるだけでなく、中芯層の剛性(曲げ強度)や耐水性が殆ど改善されない場合がある。
【0032】
微粉砕した熱硬化性合成樹脂粉の嵩比重は0.03〜0.6g/ccのものが好ましい。尚、前記断熱材は通常、紙や不織布などを主体とした面材が貼り合わされた構造と成っている場合があり、その様な場合は本発明の熱硬化性樹脂粉はこれらの面材を含めたものとして扱うことが出来る。その他、複合材として必要に応じて副次的に使用されている材料も同様に扱うことが出来るものである。
【0033】
本発明の中芯層において、混合物が木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、高融点の熱可塑性合成樹脂粉とから成るものであり、前記熱可塑性合成樹脂粉と高融点の前記熱可塑性合成樹脂粉とからなる合成樹脂粉において、この合成樹脂粉が前記熱可塑性合成樹脂粉80〜10質量%と、前記高融点の熱可塑性合成樹脂粉20〜90質量%とからなるものが好ましい。また、熱可塑性合成樹脂粉が80質量%を超えると、切削加工の際、切削機の刃との摩擦熱により該熱可塑性合成樹脂が溶融し、切削機の刃に付着堆積し易く、ひどい場合は変形や糸引きを起こし、加工面の仕上がりを悪くする恐れがある。逆に、熱可塑性合成樹脂粉が10質量%未満であると、中芯層における緻密さが不十分となり耐水性を悪くするばかりか切削加工の際に木片や合成樹脂が離脱し仕上がりが悪くなり易い。
【0034】
本発明の高融点の熱可塑性合成樹脂粉とは、本発明の耐水性ボードの成形条件で溶融しない融点を持った熱可塑性合成樹脂粉をいう。例えば、本発明の耐水性ボードを製造するに際し、110〜180℃の範囲において加熱・加圧成形する場合、該条件で軟化・変形或いは溶融・流動することのない合成樹脂粉が使用できる。但し、加熱・加圧成形時の温度と圧力は製造装置の種類や製造方法により適宜設定されるため、高融点の熱可塑性合成樹脂粉としては該設定温度・圧力下で軟化・変形或いは溶融・流動することのないものが使用出来る。
【0035】
また、前記高融点の熱可塑性樹脂粉ととしては、例えば、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、硬質乃至半硬質塩化ビニル樹脂組成物、アクリル樹脂、エチレン−アクリル共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂などの粉が好ましい。これらの高融点の熱可塑性合成樹脂粉は、例えば該合成樹脂の発泡又は非発泡フィルムやシートや成形物の製造工程或いは該フィルムやシートの印刷工程、該フィルムやシートや成形物の二次加工工程などにて発生する仕損品や端材、切削クズなどの廃棄物、使用済みの容器(例えば、ペットボトルの印刷ラベル)・包装材・トレイ・レジ袋などの廃棄物、建設現場で発生するパイプ、波板、樋などの端材や残材、建築物の解体に伴ない発生するパイプ、波板、樋などの廃棄物、また使用済みの冷蔵庫や自動販売機から回収した高融点の熱可塑性合成樹脂成形物などを回収したものが好ましく、前記の如き高融点の熱可塑性合成樹脂製のフィルムやシート、パイプ、波板、樋、その他の成形品などを例えば、粉砕機、磨砕機などの適当な方法で微粉砕したものである。
【0036】
前記高融点の熱可塑性合成樹脂粉の平均粒径は、5mm以下に粉砕したものが好ましい。微粉砕した高融点の熱可塑性合成樹脂チップの平均粒径が5mmを超える径であると、木チップの間隙を充填し難くなり、得られた複合成形板は表面平滑性に欠けたり、切削加工面の滑らかさがなくなり加工品の仕上がりを損なうなど商品価値が乏しくなるだけでなく、特に中芯層機械的強度や耐水性が殆ど改善されない場合がある。
【0037】
微粉砕した高融点の熱可塑性合成樹脂の嵩比重は0.03〜0.6g/ccのものが好ましい。尚、前記の様な使用済み製品から回収したものには、前記の如き高融点の熱可塑性合成樹脂と一緒に熱可塑性合成樹脂が含まれる事があり、その場合はその中の熱可塑性合成樹脂の量を分析などの手段で確認し、その濃度が所定の濃度の範囲であればそのまま本発明の熱可塑性合成樹脂粉や高融点の熱可塑性合成樹脂粉として使用できるものである。また、熱可塑性合成樹脂の濃度が所定の濃度範囲に達しない場合、或いは所定の濃度範囲を超える場合は、夫々に所定の濃度範囲となる様に前記の熱可塑性合成樹脂より、使用済み製品から回収したものに含まれる熱可塑性合成樹脂と同じか又は相溶性の良い熱可塑性合成樹脂を選び追加し、所定の濃度範囲を超える場合は前記高融点の熱可塑性合成樹脂より適宜選択追加する事が出来る。また複合材として合成樹脂以外の本耐水性ボードの成形条件で溶融しないものと複合されている場合は、本発明の高融点の熱可塑性合成樹脂粉はそれらを含めたものとして扱うことができる。
【0038】
また、本発明の熱可塑性合成樹脂粉としては、前記熱可塑性合成樹脂と、前記熱硬化性合成樹脂、前記高融点の熱可塑性合成樹脂、後述する繊維の少なくとも1種以上とを、例えば高速回転翼型・減容・混合・造粒設備、例えばスーパーアドオンミキサー(カワタ製)、ヘンシェルミキサーなどを使用し、熱可塑性合成樹脂中に熱硬化性合成樹脂や、高融点の熱可塑性合成樹脂や、繊維などが、微細粒状やチップ状、或いは繊維状でほぼ均一に分散した造粒物を造粒し、冷却後に粉砕機などにより平均粒径5mm以下に粉砕したものを使用してもよい。そして、この造粒粉と木片とを所定量混合して本発明の中芯層を形成することが出来る。また、この造粒粉に、熱可塑性合成樹脂粉や、熱硬化性合成樹脂粉、繊維、高融点の熱可塑性合成樹脂粉の少なくとも1種以上など加え、木片と共に混合して使用しても何ら差し支えないものである。
【0039】
また、前記熱可塑性合成樹脂からなる造粒粉の平均粒径が5mmを超える径であると、熱可塑性合成樹脂粉の熱容量が大きいが故に本発明の耐水性ボードの加工時の熱量では充分溶融・流動せず木片の間隙を充填し難くなり、得られた耐水性ボードは表面平滑性に欠けたり、切削加工面の滑らかさがなくなり加工品の仕上がりを損なうなど商品価値が乏しくなるだけでなく、特に中芯層の剛性(曲げ強度)や耐水性が殆ど改善されない場合がある。
【0040】
本発明の中芯層において、混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、平均長さで5mm以下の繊維とからなり、熱可塑性合成樹脂粉と繊維とからなる組成物において、この組成物が前記熱可塑性合成樹脂粉95〜30質量%と、前記繊維5〜70質量%とからなるものが好ましい。また、熱可塑性合成樹脂粉が95質量%を超えると、熱可塑性が強くなり切削加工の際に刃との摩擦熱により熱可塑性合成樹脂粉が溶融し刃に付着堆積し、長期間の安定した製造が難しく、酷い場合は変形や糸引きを起こし加工面の仕上がりを悪くしたりするなどの問題がある。逆に、熱可塑性合成樹脂粉が30質量%未満であると、熱可塑性が弱まり成形されたボードの強度が弱くなるばかりか切削加工の際に木片や熱可塑性合成樹脂粉、繊維等が離脱し、仕上がりが悪くなり易い。
【0041】
本発明の繊維としては、有機繊維や無機繊維を、平均長さで5mm以下にしたものが好ましく、該繊維が中芯層中に混入されていることにより、耐水性を向上させることは勿論のこと、剛性(特に、曲げ強度)を向上させることができる。
【0042】
前記有機繊維としては、パルプ、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロピレン繊維、コットン、レーヨンその他の有機繊維の少なくとも1種以上から成るものが挙げられ、中でも、パルプ、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維などが好ましい。また、前記無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、各種金属繊維、その他の無機繊維の少なくとも1種以上から成るものが挙げられる。更に、前記有機繊維と無機繊維は単独或いは複数を混合して使用することも出来る。前記有機繊維及び無機繊維は各繊維や繊維質シートの製造工程や該繊維や繊維質シートの二次加工工程、該繊維や繊維質シートを使用した複合製品の製造工程などで発生する仕損品や端材などの廃棄物、該複合製品の現場施工端材や残材、使用済みの該複合製品を回収・分別したものが好ましく、これらを例えば破砕や粉砕、磨砕など適当な方法にて、繊維長さで5mm以下にしたものが好ましい。繊維長が5mmを超えると、繊維同士が絡み合い均一分散が難しくなると共に木片間の空隙への充填率が低下し所定の性能を得る事が難しくなる。尚、前記繊維質シートは通常、各種シート状複合材の基材やパネル状複合材の面材、その他様々な複合材に使用されており、複合材から繊維質シートを分別回収出来ない場合が殆どであり、そのような場合は付着する他の素材を含めたものとして扱うことが出来る。また、繊維粉は、異なる繊維粉同士を混合して使用することも出来る。
【0043】
また、本発明の繊維としては、前記有機繊維や前記無機繊維から成る織布、不織布、編布等の繊維質シート及び/又は熱可塑性合成樹脂組成物との複合シートを、例えば高速回転翼型・減容・混合・造粒設備、例えばスーパーアドオンミキサー(カワタ製)、ヘンシェルミキサーなどにより造粒物を造粒し、冷却後に粉砕機などにより平均粒度5mm以下に微粉砕した繊維紛も使用出来る。このような繊維紛の平均粒度が5mmを超えると、木片の空隙への充填率が低下し所定の性能や仕上がりを得る事が難しくなる。
【0044】
また、本発明の耐水性ボードの製造方法は、従来の木質ボードの製造ラインを使用することが出来、例えばダブルベルト方式の連続プレスの場合は下方のスチールベルト上に各層の材料を供給・堆積し、この堆積物を上下のスチールベルト間で挟んだ状態で加熱・加圧成形することで、また、平板の多段プレスの場合は金属製支持板上に各層の材料を供給・堆積し、この堆積物を当該装置の上下板間で加熱・加圧成形することなどで製造することが出来る。尚、目的とする形状に予備圧縮してから加熱・加圧成形すれば、一層安定した品質の耐水性ボードを製造でき、また好ましくは各層毎に予備圧縮した材料を重ねてプレス板やスチールベルトで加熱・加圧成形しても良い。また、各層毎に作製した耐水性ボードを、例えば接着剤を用いて接着させたり、熱融着させ貼り合せてもよい。
【0045】
尚、本発明の耐水性ボードに於いて、従来の木質ボードに使用される防腐剤、防黴剤、防火剤、撥水剤、寸法安定剤などを使用することは何ら問題ない。
【実施例】
【0046】
本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
この実施例では、次のものを用いた。
【0048】
木粉としては、建築時に発生した木質廃材を微細化した微粉末(含水率が5%で、見かけ比重が0.22g/cc)のものを使用した。
【0049】
木片としては、建築時に発生した木質廃材で、太さ2乃至4mm・長さ5乃至10mm程度の大きさの微小片(含水率が3%で、見かけ比重が0.22g/cc)のものを使用した。
【0050】
熱可塑性合成樹脂粉としては、押出成形により低発泡(2倍発泡)のスチロール板を粉砕したもの(見かけ比重が0.3g/cc、平均粒径1mm)を使用した。尚、この熱可塑性合成樹脂粉は、後述する成形条件において溶融するものであった。
【0051】
高融点の熱可塑性合成樹脂粉としては、ポリエチレンテレフタレート製のペットボトルの印刷ラベルを粉砕したもの(見かけ比重が0.4g/cc、平均粒径1.5mm)を使用した。尚、この高融点の熱可塑性合成樹脂粉は、後述する成形条件において溶融するものではなかった。
【0052】
熱硬化性樹脂粉としては、硬質ウレタンフォームボードの製造工程で発生した紙面材を有する硬質ポリウレタンフォームの廃材(尚、この廃材中には、紙面材が20%含まれている)をターボミル(ターボミル工業社製)で平均粒径1mmに粉砕し、見かけ比重が0.10g/ccのものを使用した。
【0053】
繊維としては、平均長さで5mm以下のポリエステル繊維を使用した。
【0054】
接着剤Aとしては、ユリアーメラミン樹脂(スイソボンド701、日本化成社製)を使用した。
【0055】
接着剤Bとしては、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート(ウッドキュア300、日本ポリウレタン工業社製)を使用した。
【0056】
また、各実施例および各比較例で用いる構成材料とその配合量は表1に示すように、表層用材料ついて、木粉100質量部に対して接着剤Aを18質量部混合したものを使用した。中芯層用材料については、1)木片と、2)熱可塑性合成樹脂粉と、3)熱硬化性樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂粉、繊維から選ばれた少なくとも1種との合計量を100質量部とし、この合計量に対して接着剤Bを8質量部混合したものを使用した。
【0057】
常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)は、JIS A 5908に準拠して測定した。
【0058】
また、切削加工性については、450mm×450mm角で12mm厚のボードを得た後、切削実加工機により、ボードの端面を実加工し、その結果を以下の評価基準で判断した。
【0059】
評価基準
◎:実部において欠けた部分(欠損部)が全くなかった。
○:実部において欠けた部分が1〜2個あったが、実用上問題ない。
△:実部において欠けた部分が3個以上あった。
×:実部においてボロボロと欠けた、或いは、切削時の摩擦熱により切削機の刃に樹脂が付着した。
【0060】
[実施例1]
第1層および第3層用の表層用材料a’である木粉100質量部と接着剤Aであるユレアーメラミン樹脂18質量部とを小型タンブラーに投入し、混合させて得た。
【0061】
第2層用の中芯層用材料aである木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂粉16質量部と、熱硬化性樹脂紛19質量部と、接着剤Bである水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを小型タンブラーに投入し、混合させて得た。
【0062】
これら表層用材料a’と中芯層用材料aとを用いて3層構造の木質ボードとするため、第1層:第2層:第3層の質量割合が、20:60:20となるように、コール板上に表層用材料a’と中芯層用材料aと表層用材料a’とを順次堆積(撒布)した後に予備圧縮し、生成したマットの両端に12mmのディスタンスバー(スペーサ)を置き、さらにマ
ット上にコール板載せて165℃に加熱したプレス機で5分間熱加圧し、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。
【0063】
この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0064】
その結果を表2に示す。
【0065】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が24N/mm,厚さ膨張率が5.5%であった。さらに、切削加工性は、◎であった。
【0066】
[実施例2]
第2層用の中芯層用材料bとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛16質量部と、高融点の熱可塑性合成樹脂紛19質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0067】
その結果を表2に示す。
【0068】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が24N/mm,厚さ膨張率が6%であった。さらに、切削加工性は、◎であった。
【0069】
[実施例3]
第2層用の中芯層用材料cとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛16質量部と、繊維19質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0070】
その結果を表2に示す。
【0071】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が24N/mm,厚さ膨張率が7%であった。さらに、切削加工性は、◎であった。
【0072】
[実施例4]
第2層用の中芯層用材料dとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛28質量部と、熱硬化性合成樹脂紛7質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0073】
その結果を表2に示す。
【0074】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が27N/mm,厚さ膨張率が3.8%であった。さらに、切削加工性は、◎であった。
【0075】
[実施例5]
第2層用の中芯層用材料eとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛4質量部と、熱硬化性合成樹脂紛31質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0076】
その結果を表2に示す。
【0077】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が24N/mm,厚さ膨張率が6.5%であった。さらに、切削加工性は、◎であった。
【0078】
[実施例6]
第2層用の中芯層用材料fとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛29質量部と、熱硬化性合成樹脂紛6質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0079】
その結果を表2に示す。
【0080】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が27N/mm,厚さ膨張率が4.3%であった。さらに、切削加工性は、○であった。
【0081】
[実施例7]
第2層用の中芯層用材料gとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛3質量部と、熱硬化性合成樹脂紛32質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0082】
その結果を表2に示す。
【0083】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が24N/mm,厚さ膨張率が4.5%であった。さらに、切削加工性は、○であった。
【0084】
[比較例1]
第2層用の中芯層用材料hとして、木片35質量部と、熱可塑性合成樹脂紛35質量部と、熱硬化性合成樹脂紛30質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0085】
その結果を表2に示す。
【0086】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が27N/mm,厚さ膨張率が3%であった。さらに、切削加工性は、実部においてボロボロと欠けたため×であった。
【0087】
[比較例2]
第2層用の中芯層用材料iとして、木片85質量部と、熱可塑性合成樹脂紛7質量部と、熱硬化性合成樹脂紛8質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0088】
その結果を表2に示す。
【0089】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が22N/mm,厚さ膨張率が12%と大きく耐水性が劣っていた。さらに、切削加工性は、○であったが仕上がり状態は切削面の滑らかさを欠くものであった。
【0090】
[比較例3]
第2層用の中芯層用材料jとして、木片65質量部と、熱可塑性合成樹脂紛35質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0091】
その結果を表2に示す。
【0092】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が30N/mm,厚さ膨張率が2.5%であった。さらに、切削加工性は、切削時の摩擦熱により切削機の刃に樹脂が付着したため×であった。
【0093】
[比較例4]
第2層用の中芯層用材料kとして、木片65質量部と、熱硬化性合成樹脂紛35質量部と、水乳化型ジフェニールメタンジイソシアネート樹脂8質量部とを用いた以外は、実施例1と同様とし、450mm×450mm角で12mm厚、密度が850kg/mの木質ボードを得た。この得られた木質ボードを用い、常態曲げ強度(N/mm)および厚さ膨張率(%)、切削加工性の試験を行った。
【0094】
その結果を表2に示す。
【0095】
同表から明らかなように、常態曲げ強度が24N/mm,厚さ膨張率が10%と大きく耐水性が劣るものであった。さらに、切削加工性は、○であったが仕上がり状態はやや切削面の滑らかさを欠くものであった。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層、中芯層、表層の順で積層された耐水性ボードであって、
表層は、木紛を接着剤で結合した層であり、
中芯層は、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性合成樹脂粉、高融点の熱可塑性合成樹脂紛、繊維から選ばれた1種単独もしくは2種以上を組み合わせたものと、からなる混合物であり、この混合物中には木片が40〜80質量%であり、この混合物を接着剤で結合した層であることを特徴とする耐水性ボード。
【請求項2】
混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、熱硬化性樹脂粉とからなるものであり、
前記熱可塑性合成樹脂粉と前記熱硬化性合成樹脂粉とからなる合成樹脂粉において、この合成樹脂粉が前記熱可塑性合成樹脂粉80〜10質量%と、前記熱硬化性合成樹脂粉20〜90質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐水性ボード。
【請求項3】
混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、高融点の熱可塑性合成樹脂粉とからなるものであり、
前記熱可塑性合成樹脂粉と前記高融点の熱可塑性合成樹脂粉とからなる合成樹脂粉において、この合成樹脂粉が前記熱可塑性合成樹脂粉80〜10質量%と、前記高融点の熱可塑性合成樹脂粉20〜90質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐水性ボード。
【請求項4】
混合物が、木片と、熱可塑性合成樹脂粉と、平均長さで5mm以下の繊維とからなり、
前記熱可塑性合成樹脂粉と前記繊維とからなる組成物において、この組成物が前記熱可塑性合成樹脂粉95〜30質量%と、前記繊維5〜70質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐水性ボード。

【公開番号】特開2009−67008(P2009−67008A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240310(P2007−240310)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】