説明

耕耘ロータ

【課題】異なる種類の耕耘爪が装着された耕耘ロータの耕耘爪を交換する際に、耕耘爪の付け間違いを防止可能な耕耘ロータを提供する。
【解決手段】耕耘ロータ10は、回転自在に支持される回転軸11と、回転軸11の軸方向に所定間隔を有した装着位置に回転軸の周方向に所定間隔を有して取り付けられた複数の耕耘爪15とを備える。回転軸11の装着位置にはフランジが設けられ、フランジには、耕耘爪の先端側が回転軸11の軸方向右側に湾曲する耕耘爪右17及び軸方向左側へ湾曲する耕耘爪左18が周方向に交互に取り付けられている。フランジに取り付けられた耕耘爪右17及び耕耘爪左18は、互いに異なる色彩が付けられ、軸方向に隣接する同一種類の複数の耕耘爪右17又は耕耘爪左18は、軸方向一方側から他方側に向かって螺旋状に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在に支持される回転軸の軸方向に所定間隔を有した装着位置に、回転軸の周方向に複数の耕耘爪が所定間隔を有して取り付けられた耕耘ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
このような耕耘ロータは、例えば、特許文献1に記載されているように、圃場を耕耘する耕耘作業機に設けられている。耕耘作業機は、走行機体からの動力を受けて耕耘ロータの回転軸(文献では、耕耘軸)を回転させて、回転軸に取り付けられた複数の耕耘爪によって圃場を耕耘する。
【0003】
この耕耘ロータは、回転軸の軸方向に所定距離を有し、且つ回転軸の周方向に所定間隔を有して取り付けられた複数の耕耘爪を有している。耕耘爪は、先端側が回転軸の軸方向右側に湾曲する耕耘爪右と、軸方向左側へ湾曲する耕耘爪左の2種類あり、これらの種類の異なる耕耘爪が回転軸周方向に交互に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−213386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来の耕耘ロータは、種類の異なる耕耘爪右及び耕耘爪左を回転軸に装着して構成されているが、これらの耕耘爪は同じ色(例えば、黒色)に着色されている。また回転軸には種類の異なる2種類の耕耘爪が装着されている。このため、耕耘爪の交換時に取り外した耕耘爪と異なる種類の耕耘爪を回転軸に誤って装着した場合、回転軸に装着された耕耘爪はみな同じ色であり、また回転軸には種類の異なる耕耘爪が装着されているので、誤った耕耘爪が装着されたことに気づき難い。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、異なる種類の耕耘爪が装着された耕耘ロータの耕耘爪を交換する際に、耕耘爪の付け間違いを防止可能な耕耘ロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の耕耘ロータは、回転自在に支持される回転軸と、該回転軸の軸方向に所定間隔を有した装着位置に回転軸の周方向に所定間隔を有して取り付けられた複数の耕耘爪とを備える耕耘ロータであって、装着位置には、耕耘爪の先端側が回転軸の軸方向右側に湾曲する耕耘爪右及び軸方向左側へ湾曲する耕耘爪左が取り付けられ、装着位置に取り付けられた耕耘爪右及び耕耘爪左は、互いに異なる色彩が付けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
また、本発明に係わる回転軸の軸方向に隣接する同一種類の複数の耕耘爪右又は耕耘爪左は、軸方向一方側から他方側に向かって螺旋状に配置され、耕耘爪右及び耕耘爪左に付された色彩によって、同一種類の耕耘爪右又は耕耘爪左が螺旋状に配列されていることを視認可能であることを特徴とする(請求項2)。
【0009】
また、本発明に係わる回転軸の装着位置には、該回転軸に取り付けられたフランジ(実施の形態におけるフランジ13)が設けられ、フランジに耕耘爪右及び耕耘爪左が回転軸の周方向に所定間隔を有して取り付けられていることを特徴とする(請求項3)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記特徴を有することで、異なる種類の耕耘爪が装着された耕耘ロータの耕耘爪を交換する際に、耕耘爪の付け間違いを防止可能な耕耘ロータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる耕耘ロータを備える耕耘作業機のエプロンが持ち上げ支持された状態の耕耘作業機の背面構造図を示す。
【図2】本発明に係わる耕耘ロータを備える耕耘作業機の側面図を示す。
【図3】耕耘ロータの後面視における部分拡大図を示す。
【図4】本発明の他の実施の形態に係わる耕耘ロータの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる耕耘ロータの最良の形態を図1から図4に基づいて説明する。先ず、耕耘ロータが設けられた耕耘作業機について概説する。耕耘作業機1は、図2(側面図)に示すように、走行機体の後部に装着されて走行機体の走行とともに進行して耕耘作業を行うものであり、機体2の幅方向に延びる本体フレーム3の両側に配設された伝動ケース4及びサポートフレーム5(図1参照)の下側間に耕耘ロータ10が回転自在に取り付けられている。
【0013】
耕耘ロータ10の後方には前端部が回動自在に支持されて後部側が斜め後方へ延びて圃場を整地するエプロン40が設けられている。
【0014】
本体フレーム3の幅方向の中央部にはギヤボックス6が設けられ、このギヤボックス6には前側に延びる入力軸6aが備えられている。入力軸6aは、走行機体のPTO軸から伝動軸を介して動力が伝達されるようになっている。入力軸6aに伝達された動力は本体フレーム3に内蔵された動力伝達機構(図示せず)及び伝動ケース4内の動力伝達機構(図示せず)を介して伝達されて、耕耘ロータ10を所定方向(ダウンカット)に回転させる。
【0015】
耕耘ロータ10は、図1(背面構造図)に示すように、伝動ケース4とサポートフレーム5との下側間に軸支された回転軸11と、回転軸11の軸方向に所定間隔を有した複数の装着位置に設けられた板状のフランジ13と、フランジ13に回転軸周方向に所定の間隔を有して配設されて放射方向に延びる耕耘爪15とを有してなる。
【0016】
耕耘爪15は、フランジ13に取り付けられる取付基部15a(図2参照)の先端部から延びる縦刃部15bから横刃部15cにかけて図2に示す耕耘爪15の回転方向と逆向きに湾曲するとともに、横刃部15cが略一定の曲率半径で機体幅方向一方側に湾曲して湾曲側にすくい面を形成している。
【0017】
耕耘爪15は、横刃部15cが機体幅方向右側に湾曲する耕耘爪右17と、横刃部15cが機体幅方向左側に湾曲する耕耘爪左18の2種類ある。この2種類の耕耘爪右17及び耕耘爪左18がフランジ13に回転軸11の周方向に所定の間隔を有して交互に取り付けられている。本実施例では、耕耘爪右17が2本、耕耘爪左18が2本の合計4本の耕耘爪がフランジ13に取り付けられている。耕耘爪右17及び耕耘爪左18は、この取付基部15aをフランジ13にボルト,ナット等の締結手段20を介して着脱可能に取り付けられている。
【0018】
耕耘爪右17及び耕耘爪左18の表面は、互いに異なる色彩が付されている。色彩は、人が耕耘爪右17及び耕耘爪左18をひと目で認識できるものであればいかなる色でもよい。例えば、耕耘爪右17を赤色、耕耘爪左18を黒色にしてもよい。
【0019】
また、回転軸11の軸方向に隣接する同一種類の耕耘爪右17は、軸方向一方側から他方側に向かって螺旋状に配置されている。本実施例では、軸方向に隣接する耕耘爪右17は、回転軸11の左側から右側に向かって右ねじが回転しながら進むときに形成される螺旋状に配設されている。
【0020】
一方、回転軸11の軸方向に隣接する同一種類の耕耘爪左18は、耕耘爪右17と同様に、軸方向一方側から他方側に向かうに従って螺旋状に配置されている。本実施例では、軸方向に隣接する耕耘爪左18は、回転軸11の左側から右側に向かって右ねじが回転しながら進むときに形成される螺旋状に配設されている。このように耕耘爪右17及び耕耘爪左18を回転軸11の軸方向に螺旋状に配設することで、耕耘時の抵抗を小さくすることができるとともに、凹凸の少ない均一な圃場表面を得ることができる。
【0021】
前述したように、同一種類の耕耘爪は同じ色彩が付されている。このため、回転軸11の軸方向に螺旋状に配設された耕耘爪右17又は耕耘爪左18は、ひと目でいずれの耕耘爪であるかを認識することができるとともに、螺旋状に配設されていることを容易に確認することができる。
【0022】
従って、耕耘爪の交換時に、交換される耕耘爪を種類の異なる耕耘爪に誤って交換した場合、交換後の耕耘爪の色が交換前の耕耘爪の色と違うので、耕耘爪の螺旋配列の途中で別の色が存在することになる。このため、耕耘爪の付け間違いを容易に確認することができ、耕耘爪右17と耕耘爪左18の付け間違いを防止することができる。
【0023】
また、図3に示すように、回転軸11の軸方向に隣接するフランジ13に装着され、横刃部15cが互いの耕耘爪の方向を向く耕耘爪右17及び耕耘爪左18は、これらの耕耘爪の刃先が背面視においてオーバーラップするように配設されている。このため、圃場に存在する草やわら等が回転軸11に巻き付く事態を抑えることができる。
【0024】
なお、前述した実施形態では、回転軸11にフランジ13を設けた場合を示したが、図4に示すように、フランジ13の代わりに耕耘爪15の取付基部15aを挿着可能なホルダ14を、回転軸11の軸方向に所定距離を有し、且つ回転軸11の周方向に所定間隔を有して複数設けてもよい。このように、回転軸11にホルダ14を設けることで、回転軸11にフランジ13を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
10 耕耘ロータ
11 回転軸
13 フランジ
15 耕耘爪
17 耕耘爪右
18 耕耘爪左

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持される回転軸と、該回転軸の軸方向に所定間隔を有した複数の装着位置に前記回転軸の周方向に所定間隔を有して取り付けられた複数の耕耘爪とを備える耕耘ロータであって、
前記装着位置には、耕耘爪の先端側が回転軸の軸方向右側に湾曲する耕耘爪右及び軸方向左側へ湾曲する耕耘爪左が取り付けられ、
前記装着位置に取り付けられた前記耕耘爪右及び前記耕耘爪左は、互いに異なる色彩が付けられている
ことを特徴とする耕耘ロータ。
【請求項2】
前記回転軸の軸方向に隣接する同一種類の複数の耕耘爪右又は耕耘爪左は、軸方向一方側から他方側に向かって螺旋状に配置され、
前記耕耘爪右及び前記耕耘爪左に付された色彩によって、同一種類の耕耘爪右又は耕耘爪左が螺旋状に配列されていることを視認可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の耕耘ロータ。
【請求項3】
前記回転軸の前記装着位置には、該回転軸に取り付けられたフランジが設けられ、
前記フランジに前記耕耘爪右及び前記耕耘爪左が前記回転軸の周方向に所定間隔を有して取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の耕耘ロータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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