説明

育苗ポット用トレイおよび育苗ポット梱包体

【課題】 側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットの一又は二以上を一の育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを円滑に挿嵌することができる育苗ポット用トレイおよび育苗ポット梱包体を提供すること。
【解決手段】
育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを育苗ポット2の内側に挿嵌する場合、育苗ポット2の内側に突出する凹部18と衝突する底部7と側部8との部分には、第1空隙部10と第2空隙部11とによって空隙部が形成されているので、凹部18に衝突することなく、育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とは円滑に育苗ポット2の内側に挿嵌される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットの一又は二以上を一の育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを円滑に挿嵌することができる育苗ポット用トレイおよび育苗ポット梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、草花や野菜等の苗を育苗するために、ポリエチレンやポリプロピレン等の軟質合成樹脂で構成された育苗ポットが知られている。この育苗ポットに関し、次の特許文献1には、育苗ポットの側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットが開示されている。
【0003】
この凹部を備えた育苗ポットによれば、苗の根が、この凹部の側面に沿って下方に導かれるので、苗の根が育苗ポット内で渦を巻いた状態になる所謂根巻現象を抑制して、健全な根の成長を促すことができる。
【0004】
一方で、複数個の育苗ポットを収納するためのケースとして育苗ポット用トレイも知られている。この育苗ポット用トレイは、平面視略矩形状に形成された枠体と、その枠体内に格子状に橋架され枠体内の領域を複数個の領域に区画する区画部材と、その区画部材により枠体内に形成される各領域を1つの収納口として、その各収納口と対向する位置に配置される底部と、その底部と収納口とを連設する側部とによって構成されている。
【0005】
この育苗ポット用トレイによれば、複数個の育苗ポットは、その各収納口毎に設けられた底部と側部とによって囲まれて形成される収納空間内の各々に収納されるので、複数個の育苗ポットを整理して管理することができる。
【0006】
ここで、この育苗ポット用トレイを利用して、多数の育苗ポットにおいて苗の栽培を行う栽培業者等においては、育苗ポットに培土や苗を植える苗植え作業を行う前に、取りあえず殻の育苗ポットを育苗ポット用トレイに収納し、その後で、苗植え作業をすることがある。
【0007】
この場合、苗植え作業をするまでの間、殻の育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイは積み重ねられた状態で保管される。即ち、一の育苗ポット用トレイに収納されている育苗ポットの内側に、別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌して、殻の育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイを積み重ねた状態にする。こうすることで、殻の育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイを省スペースで保管できるのである。
【特許文献1】特許第3556213号公報(図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した凹部を備えた殻の育苗ポットを一の育苗ポット用トレイに収納し、その一の育苗ポット用トレイに対して別の育苗ポット用トレイを積み重ねるべく、一の育苗ポット用トレイに収納されている育苗ポットの内側に、別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌しようとした場合には、別の育苗ポット用トレイの底部が、育苗ポットの内側に突出する凹部に衝突して、円滑に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを育苗ポットの内側に挿嵌することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットの一又は二以上を一の育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを円滑に挿嵌することができる育苗ポット用トレイおよび育苗ポット梱包体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために請求項1記載の育苗ポット用トレイは、平面視略矩形状に形成された枠体と、その枠体内に格子状に橋架され枠体内の領域を複数個の領域に区画する区画部材と、その区画部材により枠体内に形成される各領域を1つの収納口として、その各収納口と対向する位置に配置される底部と、その底部と収納口とを連設する側部とを備え、その各収納口毎に設けられた底部と側部とによって囲まれて形成される収納空間内に苗を育苗する育苗ポットを収納可能に構成されるものであって、前記育苗ポットは、底壁と、その底壁の縁部から上方に向かって立設する側壁と、その側壁の上縁部から所定間隔を空けた部分に他の側壁よりも内側へ凹んで形成された凹部とを備え、その育苗ポットの一又は二以上を一の前記育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の前記育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌する場合に、その底部と側部とが前記育苗ポットの凹部と衝突するのを防止するために、その底部から側部の立設方向に沿って空けられた空隙部を備えている。
【0011】
請求項2記載の育苗ポット用トレイは、請求項1記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記育苗ポットの凹部は、前記育苗ポットの底壁から側壁の立設方向に沿って所定幅の帯状に形成されており、前記側部は、その凹部の幅よりも広い間隔を空けて底部と収納口とを連設する少なくとも2本の帯状部材によって形成されており、前記底部は、その2本の帯状部材と連設する各連設部分の間がその底部の中心方向へ凹んで形成されており、前記空隙部は、その2本の帯状部材に挟まれて空けられた第1部分と、中心方向へ凹んだ底部によって囲まれると共に、その第1の部分と連続して空けられた第2部分とによって形成されている。
【0012】
請求項3記載の育苗ポット用トレイは、請求項2に記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記育苗ポットの側壁は、平面視略正方形の底壁から立設する四つの壁面により形成されており、前記育苗ポットの凹部は、その一つの壁面に又は二つ以上の壁面の各々に形成されており、前記収納口は、前記区画部材により平面視略正方形に形成されており、前記側部としての2本の帯状部材は、その収納口の各辺毎に配置されており、前記底部は、その収納口の各辺毎に配置されている2本の帯状部材と連設する各連設部分の間が底部の中心方向へ凹んで形成されている。尚、平面視略正方形の底壁とは角部を曲線状に結ぶ形状であったり、角部を直線状に結び8角形に形成された形状であっても良い。また、平面視略正方形に形成された収納口の形状についても同じである。
【0013】
請求項4記載の育苗ポット用トレイは、請求項3に記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記底部の前記2本の帯状部材と連設する各連設部分の間を底部の中心方向へ凹んで形成するために、前記底部は、前記収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成されている。
【0014】
請求項5記載の育苗ポット用トレイは、請求項4に記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記底部は、前記収納口の対角線方向において前記収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成されている。
【0015】
請求項6記載の育苗ポット用トレイは、請求項3から5のいずれかに記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記底部は、更に、前記収納口の二辺を連結する角部を挟んで隣合う2本の帯状部材の端部同士を帯状に連結して形成されている。
【0016】
請求項7記載の育苗ポット用トレイは、請求項4から6のいずれかに記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記底部を格子状に形成することで、その底部に形成される開口部と、その開口部に嵌め込まれ、前記区画部材または枠体の上面から前記底部とは反対方向に突出する凸部とを備えている。
【0017】
請求項8記載の育苗ポット用トレイは、請求項7に記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記底部の一部であって、前記開口部に橋架され、その開口部を分割する帯状の分割部材を備え、前記凸部は、その分割部材によって分割された開口部のいずれかに嵌め込まれる。
【0018】
請求項9記載の育苗ポット用トレイは、請求項7又は8に記載の育苗ポット用トレイにおいて、前記凸部は、前記区画部材の交差部分または前記区画部材と枠体との交差部分に配置されている。
【0019】
請求項10記載の育苗ポット梱包体は、第1の請求項1から9のいずれかに記載された育苗ポット用トレイと、その第1の請求項1から9のいずれかに記載された育苗ポット用トレイの各収納空間に単体で又は複数個を積層した状態で収納される前記育苗ポットと、その育苗ポットの内側に前記底部と側部とを挿嵌する第2の請求項1から9のいずれかに記載された育苗ポット用トレイとを備えている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の育苗ポット用トレイによれば、他の側壁よりも内側へ凹んで形成された凹部を備えた育苗ポットは、一の育苗ポット用トレイの各収納口毎に設けられた底部と側部とによって囲まれて形成される収納空間内に単体でまたは積層した状態で収納される。そして、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌する場合には、その底部から側部の立設方向に沿って空けられた空隙部によって、その底部と側部とは最上位の育苗ポットの内側に突出する凹部に衝突することなく挿嵌される。
【0021】
よって、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットの一又は二以上を一の育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを円滑に挿嵌することができる。従って、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた殻の育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイを積層することができ、省スペースで複数個の育苗ポット用トレイを保管することができるという効果がある。
【0022】
請求項2記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項1に記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、育苗ポットの内側に底部と側部とを挿嵌した場合、育苗ポットの凹部は、2本の帯状部材に挟まれて空けられた第1部分と、中心方向へ凹んだ底部によって囲まれると共に、その第1の部分と連続して空けられた第2部分とによって形成されている空隙部に囲まれた状態になるので、育苗ポットの内側に底部と側部とを挿嵌した場合の育苗ポットのがたつきを抑制することができる。従って、安定した状態で殻の育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイを積層することができるという効果がある。
【0023】
請求項3記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項2に記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、育苗ポットの凹部は、四つの壁面のうち一つの壁面に又は二つ以上の壁面の各々に形成されているのに対して、空隙部は育苗ポットの壁面に対面する側部の各々の面に形成されるので、一の育苗ポット用トレイに収納されている育苗ポットの凹部がいかなる位置にあったとしても、その育苗ポットの内部に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを円滑に挿嵌することができるという効果がある。
【0024】
換言すれば、一の育苗ポット用トレイに育苗ポットを収納する場合に、各育苗ポットの凹部の位置が一定の位置に揃うように収納する必要がなく、育苗ポットを収納する行程をスムーズに行うことができるという効果がある。
【0025】
請求項4記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項3に記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、底部は、収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成されているので、底部を一枚の板状に形成する場合に比べて、育苗ポット用トレイ自体の重量を軽量化することができるという効果がある。
【0026】
請求項5記載の育苗ポット用トレイは、請求項4に記載の育苗ポット用トレイにおいて、底部は、収納口の対角線方向において収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成されているので、底部を収納口の各辺が延びる方向において収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成する場合に比べて、育苗ポットの底壁を支持する面積は増加し、安定した状態で育苗ポットを収納することができるという効果がある。
【0027】
請求項6記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項3から5のいずれかに記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、底部は、更に、収納口の二辺を連結する角部を挟んで隣合う2本の帯状部材の端部同士を帯状に連結して形成されているので、このように端部同士を帯状に連結しない場合に比べて、底部の強度を増加させることができる。よって、たとえ育苗ポットに培土が充填されて育苗ポットの重量が増したとしても、その培土が充填された育苗ポットを確実に支持することができる。また、育苗ポット用トレイ自体の強度も増加し、育苗ポット用トレイが地面に置かれている状態で、育苗ポット用トレイの枠体や区画部材の上に人が乗ったとしても、育苗ポット用トレイ自体が押しつぶされるのを防止することができるという効果がある。
【0028】
請求項7記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項4から6のいずれかに記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、培土が充填された育苗ポットを収納した複数個の育苗ポットを積層する場合、上に積み重ねる一の育苗ポット用トレイの底部に形成されている開口部を、下の別の育苗ポット用トレイにおける画部材または枠体の上面から底部とは反対方向に突出する凸部に嵌め込むように積層する。よって、培土が充填された育苗ポットを収納した複数個の育苗ポットを連結した状態で積層することができ、何らかの衝撃によって積層した複数個の育苗ポット用トレイが簡単に転倒するのを抑制することができるという効果がある。
【0029】
請求項8記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項7に記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、凸部は、分割部材によって分割された開口部のいずれかに嵌め込まれるので、凸部を嵌め込むことができる開口部を1つに限定する場合に比べて、容易に凸部を開口部に嵌め込むことができるという効果がある。
【0030】
請求項9記載の育苗ポット用トレイによれば、請求項7又は8に記載の育苗ポット用トレイの奏する効果に加え、凸部は、区画部材の交差部分または区画部材と枠体との交差部分に配置されているので、凸部が配置されている位置を感覚的に掴みやすく、容易に培土が充填された育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイを積層することができるという効果がある。
【0031】
請求項10記載の育苗ポット梱包体によれば、他の側壁よりも内側へ凹んで形成された凹部を備えた育苗ポットは、一の育苗ポット用トレイの各収納口毎に設けられた底部と側部とによって囲まれて形成される収納空間内に単体でまたは積層した状態で収納される。そして、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌する場合には、その底部から側部の立設方向に沿って空けられた空隙部によって、その底部と側部とは最上位の育苗ポットの内側に突出する凹部に衝突することなく挿嵌される。
【0032】
よって、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットの一又は二以上を一の育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイの底部と側部とを円滑に挿嵌することができる。従って、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた殻の育苗ポットを収納した複数個の育苗ポット用トレイを積層することができ、コンパクトで、取り扱いが便利な形態で複数個の育苗ポットを梱包することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の育苗ポット用トレイ1の全体的な構成について説明する。図1(a)は育苗ポット用トレイ1の平面図であり、図1(b)は育苗ポット用トレイ1の側面図である。
【0034】
育苗ポット用トレイ1は、特に、側壁の一部が内側に凹む凹部を備えた育苗ポットの一又は二以上を一の育苗ポット用トレイ1に収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを円滑に挿嵌することができるように構成したものである。
【0035】
育苗ポット用トレイ1は、合成樹脂(例えばポリプロピレン、ポリエチレン等)製で、平面視略矩形状の枠体3と、その枠体3の内部に縦方向と横方向とに橋架された区画部材4と、その区画部材4によって形成される略正方形状の各領域を収納口5として、その各収納口5から下方に連設されている収納部6とを備えている。
【0036】
枠体3は、育苗ポット用トレイ1全体の平面的な大きさを規定するものであり、本実施例では、幅aが略483mm、奥行きbが略324mmの略矩形状に形成され、4つの各角部は曲線状に形成されている。
【0037】
区画部材4は、枠体3の内部領域を複数個の略正方形の領域に区画する部材であり、本実施例では、枠体3の縦方向に5本、横方向に3本の略10mmの幅を有する帯状部材が等間隔で枠体3の内部に橋架されている。
【0038】
この区画部材4により枠体6の内部領域は、4行6列に配置された24個の領域に区画され、この各領域を収納口5として、その収納口5の下方に収納部6が連設されている。
【0039】
収納口5は、その1辺cを略77mmとする略正方形に形成されており、その各辺を接続する角部は曲線状に形成されている。育苗ポットは、この収納口5から収納部6に収納されることになる。
【0040】
収納部6は、育苗ポットを収納する空間を形成する部分であり、各収納口5と対向する位置に配置される底部7と、その底部7と収納口5とを連設する側部8とによって構成されている。尚、この収納部6(育苗ポット用トレイ1)の高さdは略73mmで形成されている。
【0041】
収納部6は、この底部7と側部8とによって、育苗ポットを内包できる程度の大きさの収納空間が形成され、この収納空間に収納口5から育苗ポットが収納されることになる。尚、この収納部6の具体的な構成については図2を参照してより詳細に説明する。
【0042】
また、区画部材4の交差部分の上面や区画部材4と枠体3との交差部分の上面には、底部7と反対方向に突出する凸部9が突設されている。より具体的には、縦方向に延びる5本の区画部材4のうち、図面左側から第1、第3、第5番目の各区画部材4の交差部分と、その第1、第3、第5番目の各区画部材4と枠体3との交差部分とに配置されている。
【0043】
凸部9は、培土の入った育苗ポットを収納した状態の複数個の育苗ポット用トレイ1を安定した状態で積層するために用いられるものである。培土の入った育苗ポットを収納した状態の複数個の育苗ポット用トレイ1を積層する場合には、上層の育苗ポット用トレイ1の底部7に形成される開口部を、下層の育苗ポット用トレイ1の凸部9に嵌め込むように積層する。
【0044】
次に、図2を参照して、上述した収納部6の具体的な構成について説明する。図2(a)は収納部6の拡大平面図であり、図2(b)は収納部6の拡大側面図である。上述した通りに収納部6は底部7と側部8とによって構成されている。
【0045】
側部8は、収納口5と底部7とを収納口5から底部7に向けて先つぼまり状に連設する8本の帯状部材によって格子状に形成されている。具体的には、8本の帯状部材は、収納口5の各辺から2本ずつ所定間隔eを開けて底部7まで延びている。尚、各帯状部材間の間隔eは略26mm、各帯状部材の幅は略6.5mmで構成されている。
【0046】
よって、収納部6の各面には、この側部8としての2本の帯状部材に挟まれて形成される帯状に延びる第1空隙部10が形成されることになる。
【0047】
底部7は、収納口5の対角線方向において収納空間を挟んで対向する位置に配置される側部8としての2本の帯状部材の端部同士を第1の帯状部材7aによって連結して格子状に形成されている。
【0048】
よって、底部7は、収納口5の各辺から所定間隔eを開けて底部7まで延びる側部8としての2本の帯状部材と連設する各連設部分の間が、その底部7の中心方向へ凹んで形成され、この中心方向へ凹んだ底部7によって囲まれると共に、その第1空隙部10と連続して空けられた第2空隙部11が形成されることになる。
【0049】
即ち、収納部6には、第1空隙部10と第2空隙部11とから一体的に構成され、底部7から側部8の立設方向に沿って空けられた空隙部が形成されることになる。
【0050】
この第1空隙部10と第2空隙部11とからなる空隙部が形成されているため、この底部7と側部8とからなる収納部6を、後述する凹部を備えた育苗ポットの内側に挿嵌したとしても、底部7と側部8とが育苗ポットの内側に突出する凹部に衝突することなく、円滑に、底部7と側部8とを育苗ポットの内側に挿嵌することができる。
【0051】
また、底部7は、収納口5の各角部を挟んで隣合う側部8としての2本の帯状部材の端部同士を第2の帯状部材7bによって連結されている。換言すれば、格子状に組まれた第1の帯状部材7aの隣合う端部同士を第2の帯状部材7bによって連結して形成されている。
【0052】
このように、底部7を形成することで、単に、底部7を、第1の帯状部材7aによって格子状に形成する場合に比べて、収納部6の強度を向上させることができ、ひいては、育苗ポット用トレイ1自体の強度を向上させることができる。
【0053】
このため、培土が充填されて殻の場合よりも重量が増した育苗ポットを収納空間内に収納したとしても、その育苗ポットを確実に支持することができる。また、育苗ポット用トレイ1が地面に置かれている状態で、育苗ポット用トレイ1の枠体3や区画部材4の上に人が乗ったとしても、育苗ポット用トレイ1自体が押しつぶされるのを防止することができる。
【0054】
更に、底部7は、第1の帯状部材7aによって格子状に形成することで底部7の略中央部に形成される略正方形の開口部12を略二等分するように、その開口部12の対角線方向において橋架された第3の帯状部材7cを備えている。
【0055】
培土の入った育苗ポットを収納した状態の複数個の育苗ポット用トレイ1を積層する場合には、この第3の帯状部材7cによって分割して形成される開口部12に、凸部9を嵌め込むように積層する。
【0056】
次に、図3を参照して、上述した育苗ポット用トレイ1の収納部6に収納される育苗ポット2の構成について説明する。図3(a)は育苗ポット2の平面図であり、図3(b)は図3(a)のIIIb−IIIb線における育苗ポット2の断面図である。
【0057】
育苗ポット2は、底壁15と、その底壁15の縁部から上方に向かって広がって立設する側壁16と、その側壁16の上縁部により形成される開口面17とを備えている。
【0058】
底壁15は一辺fが略60mmの略正方形であって、その角部が曲線状に形成されている。側壁16は底壁15の各辺から立設する4つの壁面で形成され、その高さgは略80mmで形成されている。開口面17は1辺hが略80mmの略正方形であって、その角部が曲線状に形成されている。
【0059】
また、育苗ポット2は、側壁16の上縁部から所定間隔を空けた部分に他の側壁16よりも内側へ凹んで形成された凹部18を備えている。凹部18は、側壁16を構成する4つの壁面の略中央部に各々配置され、他の側壁16よりも内側に略4mm突出し、底壁15から側壁16の立設方向に沿って略24mmの幅の帯状に形成されている。
【0060】
この凹部18は、所謂根巻きの発生を防止するためのものである。育苗ポット2で育苗されている苗は、育苗ポット2の略中央部に植えられる。苗の根は、育苗ポット2の中央部から側壁16に向かって延び、更に、側壁16に当たる位置まで延びると、側壁16の周方向に沿って延びてゆき、所謂根巻き状態になる。苗の根が根巻き状態になると、培土中の水分が不均一になったり、根に供給される酸素流通が阻害されたり、根の健全な育成が阻害される。
【0061】
一方、この育苗ポット2によれば、側壁16の周方向に沿って延びる苗の根は、凹部18の側面に当たり、その凹部18の側面に沿って底壁15側に延びていくので、苗の根が根巻き状態になるのを防止して、根の健全な育成を促進させることができる。
【0062】
尚、凹部18は、側壁16を構成する4つの壁面の略中央部に各々配置されている。即ち、凹部18は側壁16の全周を略等分するように配置されているので、苗の根を略均等に底壁15側に導くことができる。
【0063】
また、凹部18の開口面17を臨む部分には、一直線状に開口するスリット孔19が形成されおり、このスリット孔19に苗の名称、栽培方法、成長後の様子を表す図形や写真等の苗に関する情報が表示された板状の表示板(図示せず)が取付けられるようになっている。
【0064】
表示板は、実際に苗を販売する場合に取り付けられる事が多い。即ち、この場合には、既に育苗ポット2に培土が充填され、スリット孔19は培土によって覆われ、スリット孔19の位置を外部から確認することが困難である。
【0065】
一方、この育苗ポット2によれば、スリット孔19は、凹部18の上面に形成されているので、スリット孔19が培土に覆われてスリット孔19の位置を外部から確認することができなくなっていたとしても、凹部18を目印とすれば、簡単に外部からスリット孔19の位置を確認することができる。
【0066】
即ち、この凹部18は、所謂根巻現象の発生を防止する機能の他にも、スリット孔19の位置を示す目印としての機能をも有している。
【0067】
尚、このスリット孔19は、凹部18の開口面17を臨む部分において、側壁16の内面側に出来るだけ隣接させて配置することが望ましい。この位置にスリット孔19を配置することにより、スリット孔19に表示板を差込む場合には、側壁16の内面に沿って表示板を差込めば、表示板をスリット孔19に到達させ易くすることができる。
【0068】
育苗ポット2には、更に、底壁15の角部において、側壁16から底壁15に亘って断面視略L字型に開口する開口部20が形成されている。
【0069】
開口部20は、水を外部に排出したり、凹部18の側面に沿って底壁15側に延びる苗の根を外部に導いたりするためのものである。凹部18の側面に沿って底壁15側に延びた苗の根は、この開口部20から外部に導かれるので、底壁15側に延びた根が、底壁15において上述したような根巻き状態になるのを防止することができる。
【0070】
次に、図4を参照して、上述した育苗ポット用トレイ1の第1の使用方法について説明する。図4は、育苗ポット用トレイ1の第1の使用方法について説明するための図である。
【0071】
育苗ポット用トレイ1は、各収納部6に育苗ポット2を収納して、複数の育苗ポット2を整理して管理する使用方法の他に、図4に示す育苗ポット梱包体100の一部として使用される。
【0072】
育苗ポット梱包体100は、育苗ポット2の製造業者から育苗ポット2を使用して苗を栽培する栽培業者に複数個の育苗ポット2を納品する場合や、栽培業者において育苗ポット2に実際に培土を充填したり苗を植え付けたりする前に複数個の育苗ポット2を保管する場合に使用される。
【0073】
育苗ポット梱包体100は、上述した殻の育苗ポット2を各収納部6に収納した複数個の育苗ポット用トレイ1を積層して構成されている。この育苗ポット梱包体100によれば、コンパクトに複数個の育苗ポット2を梱包することができると共に、複数個の育苗ポット2を整然と、且つ、省スペースで保管することができる。
【0074】
育苗ポット梱包体100は、まず、最下層に位置する育苗ポット用トレイ1の各収納部6に育苗ポット2を収納し、次に、その最下層の育苗ポット用トレイ1に収納された各育苗ポット2の内側に次の育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とからなる収納部6を挿嵌する。そして、その積層した育苗ポット用トレイ1の各収納部6に育苗ポット2を収納し、その育苗ポット用トレイ1に収納された各育苗ポット2の内側に次の育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とからなる収納部6を挿嵌する。育苗ポット梱包体100は、この操作を所定回数だけ繰り返すことによって形成される。
【0075】
尚、予め各育苗ポット用トレイ1の収納部6に育苗ポット2を収納し、その育苗ポット2が収納された複数個の育苗ポット用トレイ1を積層して育苗ポット梱包体100を形成するようにしても良い。
【0076】
次に、図5を参照して、育苗ポット用トレイ1の収納部6に育苗ポット2を収納する場合について具体的に説明する。図5(a)は育苗ポット用トレイ1の収納部6に育苗ポット2を収納した状態を示す透明斜視図である。図5(b)は図5(a)の矢印A方向における平面図である。
【0077】
育苗ポット2を育苗ポット用トレイ1の収納部6に収納する場合には、育苗ポット2の各壁面が収納口5の各辺と対向するように収納される。この場合、育苗ポット2の各壁面には同じ様に凹部18が形成されているので、その凹部18の位置を気にすることなく、収納することができる。
【0078】
また、育苗ポット2を収納部6に収納した状態では、育苗ポット2の側壁16の角部は、収納口5の各角部を挟んで隣合う2本の帯状部材の間に挟まれるように収納される。よって、収納部6内において育苗ポット2が、ガタつくのを抑制することができる。
【0079】
また、(b)に示すように、育苗ポット2の底壁15の略中央部は、格子状に組まれた第1の帯状部材7aによって支持され、更に、底壁15の各角部は、格子状に組まれた第1の帯状部材7aの隣合う端部同士を連結する第2の帯状部材7bによって支持されているので、たとえ殻の育苗ポット2に培土を充填して、育苗ポット2の重量が増したとしても確実に育苗ポット2を支持することができる。
【0080】
次に、図6を参照して、育苗ポット2の内側に育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを挿嵌する場合について具体的に説明する。図6(a)は育苗ポット2の内側に育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを挿嵌した状態を示す透明斜視図である。図6(b)は図6(a)の矢印B方向における平面図である。
【0081】
育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを育苗ポット2の内側に挿嵌してゆき、底部7が育苗ポット2の内側に突出する凹部18の位置に達したとしても、凹部18と底部7とが衝突する部分は、第2空隙部11が形成されており底部7が形成されていないので、底部7が凹部18と衝突するのを回避することができる。
【0082】
そして、更に、底部7と側部8とを育苗ポット2の内側に挿嵌し続けたとしても、凹部18と側部8とが衝突する部分は、第2の空隙部11と連続して帯状に延びる第1空隙部10が形成されており側部8が形成されていないので、側部8が凹部18と衝突するのを回避することができる。よって、凹部18に衝突することなく、底部7と側部8とを円滑に育苗ポット2の内側に挿嵌することができる。
【0083】
また、底部7と側部8とを育苗ポット2の内側に挿嵌すると、凹部18は、第1の空隙部10と第2の空隙部11とに囲まれた状態になるので、育苗ポット2の内側に底部7と側部8とを挿嵌した場合の育苗ポット2のガタつきを抑制することができる。従って、安定した状態で殻の育苗ポット2を収納した複数個の育苗ポット用トレイ1を積層することができる。
【0084】
次に、図7を参照して上述した育苗ポット用トレイ1の第2の使用方法について説明する。図7は、育苗ポット用トレイ1の第2の使用方法について説明するための図である。
【0085】
上述した育苗ポット用トレイ1の第1の使用方法としては、育苗ポット用トレイ1を育苗ポット梱包体100の一部として使用する場合について説明したが、この育苗ポット用トレイ1の第2の使用方法としては、育苗ポット用トレイ1を育苗ポット梱包体200の一部として使用する場合について説明する。
【0086】
育苗ポット梱包体200は、育苗ポット梱包体100と同様に、育苗ポット2の製造業者から育苗ポット2を使用して苗を栽培する栽培業者に複数個の育苗ポット2を納品する場合や、栽培業者において育苗ポットに実際に培土や苗を植え付ける前に複数個の育苗ポットを保管する場合に使用される。
【0087】
第1の使用方法における育苗ポット梱包体100は、2つの育苗ポット用トレイ1の各収納部6の間に単体の育苗ポット2を挟んで構成されているのに対して、この第2の使用方法における育苗ポット梱包体200は、2つの育苗ポット用トレイ1の各収納部6の間に複数個の育苗ポット2を積層して構成される育苗ポット積層体2aを挟んで構成したものである。
【0088】
この育苗ポット梱包体200によれば、上述した育苗ポット梱包体100よりも数多くの育苗ポット2をコンパクトに梱包することができると共に、育苗ポット梱包体100よりも数多くの育苗ポット2を整然と、且つ、省スペースで保管することができる。
【0089】
育苗ポット梱包体200は、まず、最下層に位置する育苗ポット用トレイ1の各収納部6に複数個の育苗ポット2を積層し、次に、その最上位の育苗ポット2の内側に次の育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを挿嵌する。
【0090】
そして、その積層した育苗ポット用トレイ1の各収納部6に複数個の育苗ポット2を積層し、その最上位の育苗ポット2の内側に次の育苗ポット用トレイ1の底部7と側部8とを挿嵌する。育苗ポット梱包体200は、この操作を所定回数だけ繰り返すことによって形成される。
【0091】
尚、育苗ポット用トレイ1の各収納部6に育苗ポット2を積層して収納する場合には、単体の育苗ポット2を一つずつ収納していくようにしても良いし、予め複数個の育苗ポット2を積層した育苗ポット積層体2aを直接に収納するようにしても良い。
【0092】
次に、図8を参照して上述した育苗ポット用トレイ1の第3の使用方法について説明する。図8は、育苗ポット用トレイ1の第3の使用方法について説明するための図である。尚、この第3の使用方法においては、実際には、育苗ポット用トレイ1の各収納部6に培土が充填された育苗ポット2が収納されているが、図面の理解を容易にするため、培土が充填された育苗ポット2の図示は省略してある。
【0093】
苗を栽培する栽培業者は、育苗ポット用トレイ1の各収納部6に育苗ポット2を収納した状態で育苗ポット2に培土を充填して苗を栽培する。そして、その培土が充填された育苗ポットを収納した状態の複数個の育苗ポット用トレイ1を苗の販売業者に輸送する。
【0094】
この複数個の育苗ポット用トレイ1を輸送する場合には、トラック等の荷台に複数個の育苗ポット用トレイ1を積み重ねて輸送することが多いが、この場合、単に、複数個の育苗ポット用トレイ1を積み重ねただけでは、輸送時の衝撃により、積み重ねた複数個の育苗ポット用トレイ1が転倒する恐れがある。
【0095】
一方、この育苗ポット用トレイ1によれば、一の育苗ポット用トレイ1に対して別の育苗ポット用トレイ1を積み重ねる場合、別の育苗ポット用トレイ1の底部7に開口する開口部12のうち第3の帯状部材7cによって分けられたいずれかの開口部12を、一の育苗ポット用トレイ1の枠体3と区画部材4との上面から突出する凸部9に嵌め込むように積み重ねられる。
【0096】
よって、積み重ねられる複数個の育苗ポット用トレイ1を凸部9とその凸部9が嵌め込まれる開口部12とによって連結することができ、輸送時における衝撃によって積み重ねた複数個の育苗ポット用トレイ1が転倒するのを防止することができる。
【0097】
また、凸部9は、第3の帯状部材7cによって分割された開口部12のいずれかに嵌め込まれるので、凸部9を嵌め込むことができる開口部を1つに限定する場合に比べて、容易に凸部9を開口部12に嵌め込むことができる。更に、凸部9は、区画部材4の交差部分と、区画部材4と枠体3との交差部分に配置されているので、凸部9が配置されている位置を感覚的に掴みやすく、容易に培土が充填された育苗ポット2を収納した複数個の育苗ポット用トレイを積み重ねることができる。
【0098】
以上実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0099】
例えば、底部7を育苗ポット2の内側に挿嵌した場合に、底部7と凹部18とが衝突するのを防止することができれば、底部7の形状は上述した形状に限定されるものではなく、第1の帯状部材7aに代えて、収納口5の互いに向かい合う辺の方向において収納空間を挟んで対向する位置に配置される側部8としての2本の帯状部材の端部同士を帯状部材によって連結して格子状に形成するようにしても良い。
【0100】
また、第1の帯状部材7aに代えて、収納口5の対角線方向において収納空間を挟んで対向する第2の帯状部材7b同士を1本以上の帯状部材によって連結するように形成しても良い。また、第1の帯状部材7aを特に形成することなく、第2の帯状部材7bだけで底部7を形成するようにしても良い。更に、底部7を一枚の板状部材によって構成し、その一枚の板状部材のうち第2空隙部11に相当する部分だけを切り欠くようにしても良い。このように底部7を形成したとしても第2空隙部11に相当する部分を形成することができるので、底部7と凹部18とが衝突するのを防止することができる。
【0101】
また、側部8を育苗ポット2の内側に挿嵌した場合に、側部8と凹部18とが衝突するのを防止できれば、側部8の形状は上述した形状に限定されるものではない。例えば、収納口5の各辺から底部まで延びる3本以上の帯状部材によって側部8を形成するようにしても良い。また、収納口5の角部と底部とを連結する1本の帯状部材だけで側部8を形成するようにしても良い。更に、側部8を一枚の板状部材によって構成し、その一枚の板状部材のうち第1空隙部10に相当する部分だけを切り欠くようにしても良い。このようんび側部8を形成したとしても第1空隙部10に相当する部分を形成することができるので、側部8と凹部18とが衝突するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】(a)は育苗ポット用トレイの平面図であり、(b)は育苗ポット用トレイの側面図である。
【図2】(a)は収納部の拡大平面図であり、(b)は収納部の拡大側面図である。
【図3】(a)は育苗ポットの平面図であり、(b)は図2(a)のIIIa−IIIa線における育苗ポットの断面図である。
【図4】育苗ポット用トレイ1の第1の使用方法について説明するための図である。
【図5】(a)は育苗ポット用トレイの収納部に育苗ポットを収納した状態を示す透明斜視図である。(b)は、図5(a)の矢印A方向における平面図である。
【図6】(a)は育苗ポットの内側に育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌した状態を示す透明斜視図である。(b)は図6(a)の矢印B方向における平面図である。
【図7】育苗ポット用トレイの第2の使用方法について説明するための図である。
【図8】育苗ポット用トレイ1の第3の使用方法について説明するための図である。
【符号の説明】
【0103】
1 育苗ポット用トレイ
2 育苗ポット
3 枠体
4 区画部材
5 収納口
6 収納部(底部、側部)
7 底部
7a 第1の帯状部材(底部の一部)
7b 第2の帯状部材(底部の一部)
7c 第3の帯状部材(底部の一部、分割部材)
8 側部
9 凸部
10 第1空隙部(空隙部の第1部分)
11 第2空隙部(空隙部の第2部分)
12 開口部
15 底壁
16 側壁
18 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状に形成された枠体と、その枠体内に格子状に橋架され枠体内の領域を複数個の領域に区画する区画部材と、その区画部材により枠体内に形成される各領域を1つの収納口として、その各収納口と対向する位置に配置される底部と、その底部と収納口とを連設する側部とを備え、その各収納口毎に設けられた底部と側部とによって囲まれて形成される収納空間内に苗を育苗する育苗ポットを収納可能に構成した育苗ポット用トレイにおいて、
前記育苗ポットは、底壁と、その底壁の縁部から上方に向かって立設する側壁と、その側壁の上縁部から所定間隔を空けた部分に他の側壁よりも内側へ凹んで形成された凹部とを備え、
その育苗ポットの一又は二以上を一の前記育苗ポット用トレイに収納した状態で、その最上位の育苗ポットの内側に別の前記育苗ポット用トレイの底部と側部とを挿嵌する場合に、その底部と側部とが前記育苗ポットの凹部と衝突するのを防止するために、その底部から側部の立設方向に沿って空けられた空隙部を備えていることを特徴とする育苗ポット用トレイ。
【請求項2】
前記育苗ポットの凹部は、前記育苗ポットの底壁から側壁の立設方向に沿って所定幅の帯状に形成されており、
前記側部は、その凹部の幅よりも広い間隔を空けて底部と収納口とを連設する少なくとも2本の帯状部材によって形成されており、
前記底部は、その2本の帯状部材と連設する各連設部分の間がその底部の中心方向へ凹んで形成されており、
前記空隙部は、その2本の帯状部材に挟まれて空けられた第1部分と、中心方向へ凹んだ底部によって囲まれると共に、その第1の部分と連続して空けられた第2部分とによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項3】
前記育苗ポットの側壁は、平面視略正方形の底壁から立設する四つの壁面によりに形成されており、
前記育苗ポットの凹部は、その一つの壁面に又は二つ以上の壁面の各々に形成されており、
前記収納口は、前記区画部材により平面視略正方形に形成されており、
前記側部としての2本の帯状部材は、その収納口の各辺毎に配置されており、
前記底部は、その収納口の各辺毎に配置されている2本の帯状部材と連設する各連設部分の間が底部の中心方向へ凹んで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項4】
前記底部の前記2本の帯状部材と連設する各連設部分の間を底部の中心方向へ凹んで形成するために、
前記底部は、前記収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項5】
前記底部は、前記収納口の対角線方向において前記収納空間を挟んで対向する位置に配置される2本の帯状部材の端部同士を連結して格子状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項6】
前記底部は、更に、前記収納口の二辺を連結する角部を挟んで隣合う2本の帯状部材の端部同士を帯状に連結して形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項7】
前記底部を格子状に形成することで、その底部に形成される開口部と、
その開口部に嵌め込まれ、前記区画部材または枠体の上面から前記底部とは反対方向に突出する凸部とを備えていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項8】
前記底部の一部であって、前記開口部に橋架され、その開口部を分割する帯状の分割部材を備え、
前記凸部は、その分割部材によって分割された開口部のいずれかに嵌め込まれることを特徴とする請求項7に記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項9】
前記凸部は、前記区画部材の交差部分または前記区画部材と枠体との交差部分に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の育苗ポット用トレイ。
【請求項10】
第1の請求項1から9のいずれかに記載された育苗ポット用トレイと、
その第1の請求項1から9のいずれかに記載された育苗ポット用トレイの各収納空間に単体で又は複数個を積層した状態で収納される前記育苗ポットと、
その育苗ポットの内側に前記底部と側部とを挿嵌する第2の請求項1から9のいずれかに記載された育苗ポット用トレイとを備えていることを特徴とする育苗ポット梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−87308(P2006−87308A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273255(P2004−273255)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(390017260)日本ポリ鉢販売株式会社 (12)
【Fターム(参考)】