説明

背骨矯正具

【課題】背骨の1つ1つの椎骨の位置ずれを矯正することができる背骨矯正具を提供する。
【解決手段】背骨矯正具1は、頂辺部4と2つの傾斜面5,5とからなる断面山形の差込み部2と、当該差込み部2を支持する支持部3とを有している。背骨の椎骨と椎骨との間に差し込んで背骨の椎骨と椎骨との間を伸ばす。この背骨矯正具は、略三角柱形状を呈しており、全体が整形に適した硬度のゴムで一体成形されている。軽くてコンパクトで持ち運びに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背骨を矯正する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
背骨(脊椎)は、一般に32〜34個の椎骨が連結してできており、その内部には脊髄が通っている。前記椎骨は、姿勢の悪癖等によって正常な位置からずれることがあり、この椎骨のずれによって、前記脊髄を含む中枢神経系の正常な作用が妨げられ、人体に様々な異常が生じることがある。
従来から、この背骨のずれを矯正するための器具が種々提案されており、その一例として、図5(a)に示すように、挿入口13を設けた保持枠14の外面にくさび形状の弾性体15を固着した1組の補助具12と、図6に示す人体の骨盤に巻き付ける締付具16とで構成される腰椎矯正具11を挙げることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−8955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の腰椎矯正具11は、図5(b)に示すように、前記1組の補助具12に左右の指を通し、弾性体15が手の甲部に位置するように配置して、図6に示すように、人体と人体の背面にある締付具16の間隙に、補助具12の弾性体15の摩擦面17が人体の背面と当たるように1組の補助具12を挿入させて使用するものである。この腰椎矯正具11は、胸部付近の椎骨aが床面で固定された状態で補助具12の摩擦面15aを差し込むことによって発生する引張力Fbを椎骨bに作用させて腰椎骨を引張矯正するものであるため、腰椎骨を一方向(足方向)に伸ばすことにより背骨全体がある程度伸びるが、摩擦面(傾斜面)が片側しかないので十分に伸び難く、効果は少なかった。また、背骨全体を伸ばすものであるため、背骨の1つ1つの椎骨の位置ずれを矯正することはできなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、背骨の1つ1つの椎骨の位置ずれを矯正することができる背骨矯正具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記目的を達成するために次の技術的手段を講じた。
本発明の背骨矯正具は、背骨の椎骨と椎骨との間に差し込んで背骨の椎骨と椎骨との間を伸ばす背骨矯正具であって、頂辺部と2つの傾斜面とからなる断面山形の差込み部と、当該差込み部を支持する支持部とを有していることを特徴としている。
この構成によれば、例えば背骨矯正具を載置した状態で、その差込み部の頂辺部に、ずれている椎骨と隣の椎骨との間の軟骨(椎間板)部分が添うように被治療者が仰向けに横たわると、2つの傾斜面が軟骨に当たり、そこに身体の自重がかかることで軟骨が頭方向と足方向の両方向に伸ばされ、その結果ずれた椎骨を自然に正常な位置に戻すことができる。すなわち、本願発明者は、椎骨の位置が前後左右にずれると椎骨と椎骨との隙間が狭くなることに着目して鋭意研究した結果、椎骨と椎骨との隙間にある軟骨を頭方向と足方向の両方向に拡げることによって椎骨が自然に正常な位置に戻るとの知見を得、かかる知見に基づいて本願発明を完成したものである。
【0005】
前記背骨矯正具は、前記差込み部と前記支持部とが一体形成された略三角柱形状を呈していてもよい。この場合、構造が簡単で製造が容易となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、背骨の1つ1つの椎骨の位置ずれを矯正することができる背骨矯正具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の背骨矯正具の一実施形態の斜視図であり、図2はその断面図である。
本実施形態に係る背骨矯正具1は、差込み部2と、当該差込み部2を支持する支持部3とを有しており、背骨の椎骨と椎骨との間に差し込んで背骨の椎骨と椎骨との間を伸ばすものである。この背骨矯正具1は、差込み部2と支持部3とが一体となって略三角柱形状を呈しており、全体が整体に適した硬度のゴムで一体成形されている。また、例えば、底面(長方形)の短辺が5〜7cm、長辺が10〜12cm、高さが4〜5cm程度の大きさに成形されている。
【0008】
差込み部2は、頂辺部4と、2つの傾斜面5,5とからなり、断面が山形である。頂辺部4は、背骨の椎骨と椎骨との間の軟骨に当たる部分であり、軟骨への当たりを柔らかくするために丸みがもたせてある。そして、頂辺部4から両側に2つの傾斜面5,5が設けられている。傾斜面を両側に設けることによって、軟骨が頭方向と足方向の両方向に伸びやすくなり、椎骨の位置ずれ矯正効果が得られる。2つの傾斜面5,5と頂辺部4でなす角度αは、軟骨への当たり方、人体への刺激等を考慮して、55〜65度に設定される。
支持部3は、差込み部2を支持するために設けられており、断面が台形状である。
【0009】
図3に示すように、背骨矯正具1を載置した状態で、その差込み部2の頂辺部4に、位置ずれしている椎骨6aと隣の椎骨6bとの間の軟骨部分7が添うように被治療者が仰向けに横たわると、2つの傾斜面5,5が軟骨7に当たり、そこに身体の自重がかかることで軟骨7が頭方向と足方向の両方向に伸ばされる。同じ体勢で約1分間静止し、これを数回繰り返すことで、位置ずれした椎骨6aが正常な位置に戻る。
【0010】
被治療者が身体を少しずつ移動させて差込み部2に当たる椎骨の位置を変えることにより、首から腰までの1本1本の椎骨の位置ずれを矯正することができる。また、椎骨の位置がずれている場合には椎骨と椎骨との隙間が狭くなっているために、背骨矯正具1を当てると痛みを感じるが、椎骨が正常な位置に戻ると背骨矯正具1を当てても痛みを感じなくなることから、自分で背骨の位置ずれが戻ったことを確認することができる。さらに、背骨矯正具1は軽くてコンパクトであるため、持ち運びに便利であり、手軽にどこででも使用することができる。
【0011】
なお、本発明において、前述の実施形態に限らず、本発明の範囲内で適宜変更が可能である。例えば、図4に示すように、差込み部2と支持部3との境界に、頂辺部4と平行してそれぞれ凹溝6が設けてもよい。凹溝6を設けることによって、差込み部2の断面が丸くなり、椎骨と椎骨との間に入り易くなるとともに軟骨への当たりがやさしくなるため痛みを少なくすることができる。凹溝6は、頂辺部4から傾斜面に沿って例えば0.5〜1.5cm下に、凹溝5,5の間Lが例えば7〜9mmとなるような深さで設ければよい。
【0012】
なお、上記実施形態においては、差込み部2と支持部3とをゴムで一体成形したものを示したが、人体が上に横たわったときに差込み部2を安定して支持することが可能であれば、支持部3はどのような形状であってもかまわない。また、差込み部2と支持部3とを別々に作製して接着剤等で貼り合わせてもよい。差込み部2及び支持部3の素材としては、ゴム以外に、プラスチック、木(好ましくは、桐)等を使用することができ、差込み部2と支持部3とを別々に作製する場合には、素材は同一でも異なっていてもよい。
背骨矯正具1を首に当てる際に高さが足りなければ、その下に適宜本等を置いて高さを調節すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の背骨矯正具の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の背骨矯正具の断面図である。
【図3】図1の背骨矯正具を使用した状態を示す概略図である。
【図4】本発明の背骨矯正具の他の実施形態の斜視図である。
【図5】(a)は従来の背骨(腰椎)矯正具の斜視図であり、(b)は(a)の背骨(腰椎)矯正具を手に装着した状態を示す図である。
【図6】従来の背骨(腰椎)矯正具を使用した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0014】
1 背骨矯正具
2 差込み部
3 支持部
4 頂辺部
5 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背骨の椎骨と椎骨との間に差し込んで背骨の椎骨と椎骨との間を伸ばす背骨矯正具であって、頂辺部と2つの傾斜面とからなる断面山形の差込み部と、当該差込み部を支持する支持部とを有していることを特徴とする背骨矯正具。
【請求項2】
前記差込み部と前記支持部とが一体形成された略三角柱形状を呈している請求項1に記載の背骨矯正具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−195704(P2007−195704A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17250(P2006−17250)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(305061232)
【Fターム(参考)】