説明

脂環式イソシアネートに基づくゴルフボール用ポリ尿素カバー

【課題】優れた機械強度および切断/剪断耐性、さらに光安定性を有するゴルフボールカバーを実現する。
【解決手段】ポリ尿素組成物から製造されたカバー材料を具備するゴルフボール20が実現される。1バージョンでは、ゴルフボール20はポリブタジエンコア22とポリ尿素組成物から製造される被覆カバー層24とを含む。他のバージョンでは、ゴルフボール20はポリブタジエンコア22と、アイオノマー樹脂から製造された中間ケーシング層と、ポリ尿素組成物から製造された外側カバー層24とを含む。ポリ尿素組成物は、脂環式イソシアネートおよびアミン化合物の反応生成物である。ジイソシアネートは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびこれらの混合物から選択される。生成されたカバー材料は、改善された耐久性、強靱性、および光安定性を含む多くの有益な特性を伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、ポリ尿素組成物から製造されたカバー材料を具備するゴルフボールに関する。より具体的にはポリ尿素組成物は脂環式イソシアネート、アミン末端化合物、およびアミン硬化剤の反応生成物である。生成されたカバー材料は、改良された耐久性、強靱性、および光安定性を含む多くの利点を有する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンおよびポリ尿素組成物から製造されたゴルフボールカバーは、当業界で一般的に知られている。近年、ポリウレタンおよびポリ尿素カバー材料は、「柔らかさ」および「硬さ」の所望の組み合わせをゴルフボールに付与するので、より人気がでている。ゴルフボールカバーの「硬さ」はボールを断裂、摩耗、その他の損傷から防護する。さらに、硬いカバーのボールはクラブで打撃したときに、一般的に、より大きな速度に到達する。したがって、そのようなゴルフボールは、より長い距離だけ移動する傾向があり、ティーからのドライバーショットにとくに重要である。他方、ゴルフボールの「柔らかさ」は、クラブフェースでボールを打ったときにプレイヤにより良好な「フィール」を与える。プレイヤは、クラブフェースが衝突するときにボールに対するより大きな制御を感得する。柔らかさは、プレイヤはボールにスピンを付与することが可能になり、その飛行パターンをより良好に制御できるようになり、これはアプローチショットで重要である。
【0003】
基本的には、ポリウレタン組成物はイソシアネート基(−N=C=O)をヒドロキシル基(OH)と反応させて形成されたウレタン結合を含む。ポリウレタンはポリイソシアネートを、触媒および他の添加物の存在下で、ポリアルコール(ポリオール)と反応させて製造する。ポリウレタンプレポリマーの鎖長は、それをヒドロキシル末端硬化剤化合物と反応させることにより延長される。
【0004】
ポリ尿素組成物も生成でき、これは上述のポリウレタンと区別される。一般に、ポリ尿素組成物は、イソシアネート基(−N=C=O)をアミン基(NHまたはNH)と反応させて生成された尿素結合を含む。ポリ尿素プレポリマーの鎖長は、プレポリマーをアミン硬化剤と反応させて延長される。
【0005】
ポリウレタンおよびポリ尿素のカバーのゴルフボールは特許文献に説明されている。例えば、米国特許第5,484,870号(Wu。特許文献1)はゴルフボールカバーを成型するために適したポリ尿素組成物を開示している。ポリ尿素組成物は、少なくとも2つのイソシアネート官能基を具備する有機化合物とアミン硬化剤との反応生成物である。アミン基のイソシアネート基に対する分子当量比は広い範囲で変化して良い。着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、その他の添加物材料を組成物中に含ませて良い。米国特許第6,964,621号(Bulpett等。特許文献2)はゴルフボールの構造中に使用できるポリ尿素組成物を開示している。これら組成物はポリ尿素プレポリマーと硬化剤とから準備される。’621特許によれば、生成されたゴルフボールは切断および剪断耐性が改善されたものとなる。
【0006】
先に検討したように、2以上の官能基を具備するイソシアネートはポリウレタンおよびポリ尿素を製造する際に基本的な成分である。芳香族イソシアネートは、いくつかの理由から通常的に使用され、その理由には、高い反応性およびコスト上の利益が含まれる。芳香族イソシアネートの例は、これに限定されないが、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6−ジイソシアネート(TDI)、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマー性メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PDI)、m−フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン2,40ジイソシアネート(NDI)、p−キシレンジイソシアネート(XDI)、その他を含む。芳香族イソシアネートはヒドロキシルまたはアミン化合物と反応して耐久性があり強靱で溶融点が高いポリマーを生成することができる。生成されたポリウレタンまたはポリ尿素は一般的に良好の機械強度および切断/剪断耐性を有する。ただし、芳香族イソシアネートを利用する際の欠点の1つは、ポリマー反応生成物が光安定性に乏しい傾向にあり、光、とくに紫外(UV)線への露出により変色しやすいことである。芳香族イソシアネートは反応物として使用されるので、いくつかの芳香族構造が反応生成物中に見いだされる。UV光線はベンゼン環のキノイデーションを起こし、黄色の変色を引き起こす。このため、UV光安定剤が調合に加えられるが、カバーはそれでも長期の太陽光露呈により黄色の外観を呈するようになる。このため、ゴルフボールは通常では白色ペイントで塗られ、ボールの外観を防護するために透明コーティングで被覆される。
【0007】
第2のアプローチでは、脂肪族イソシアネートを使用してプレポリマーを形成する。脂肪族イソシアネートの例は、これに限定されないが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、その他を含む。これら脂肪族イソシアネートは良好な光安定性を有するポリマーを実現するけれども、このようなポリマーは機械強度および切断/剪断耐性が小さくなる傾向にある。
【0008】
脂環式イソシアネートをポリウレタン調合に使用することも知られている。米国特許出願公開第2007/0265388号(Argyropoulos。特許文献3)はポリイソシアネートをポリオールと反応させて製造したポリウレタン分散系を開示している。ポリウレタンを製造するために使用される脂環式ジイソシアネートは、(i)トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、または(ii)2以上のシス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびトランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのアイソマー混合物から選択される。アイソマー混合物は少なくとも約5重量パーセントのトランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む。’388公報は、ポリウレタン分散系が、木、布、プラスチック、金属、ガラス、繊維、医療用軟膏、自動車インテリア、皮、さらには、靴底、木またはガラスのような接着用途にも利用できることを開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2009/0105013号(Slagel等。特許文献4)は、ゴルフボールの外側層および/または内側層を形成するために硬化できるポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを開示している。1実施例では、プレポリマーは、ポリカプロラクトングリコールを1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、またはこれらの組み合わせで反応させた生成物である。プレポリマーは、硬化剤としてのジエチルトルエンジアミンの1以上のアイソマーを用いて硬化されて良い。’013公報は、反応物質、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて純粋なポリ尿素組成物を合成することは開示していない。
【0010】
良好な機械強度および切断/剪断耐性、さらに光安定性を有するポリウレタンおよびポリ尿素のゴルフボールカバー材料が引き続き要請されている。とくに、ポリマーにそのような特性を付与するイソシアネート成分を採用することは有益であろう。この発明は、優れた機械強度および切断/剪断耐性、さらに光安定性を有するそのようなゴルフボールカバー材料を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,484,870号明細書
【特許文献2】米国特許第6,964,621号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0265388号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0105013号明細書
【発明の開示】
【0012】
この発明は、ポリ尿素組成物から製造されたカバー材料を具備するゴルフボールを実現し、これは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびこれらの混合物からなるグループから選択されたイソシアネート、アミン末端化合物、ならびにアミン硬化剤の反応生成物である。生成されたポリ尿素カバー材料は多くの利点を有し、これには、改善された耐久性、強靱性、切断/剪断耐性、および光安定性が含まれる。1つのバージョンでは、ゴルフボールはポリブタジエンコア、および、ポリ尿素組成物から製造された包囲カバーを含む。他のバージョンでは、ゴルフボールは、ポリブタジエンコア、アイオノマー樹脂から製造された中間ケーシング層、およびポリ尿素から製造されケーシング層を包囲汁外側カバー層を含む。この発明に従って製造されるゴルフボールは種々の構造を有して良い。1実施例においては、コアの径は約1.26から約1.60インチであり、中間層の厚さは約0.015から約0.120インチの範囲であり、カバーの厚さはタjy0.020インチから約0.050インチである。
【0013】
この発明を特徴付ける新規な特徴は添付の特許請求の範囲に示される。ただし、この発明の好ましい実施例は、他の目的および付随的な効果とともに、添付の図面と関連する以下の詳細な説明を参照して最も良く理解される。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に従って製造された、ポリウレタンカバーを具備する、単一層、ツーピースのゴルフボールの断面図である。
【図1A】この発明に従って製造された、ポリ尿素カバーを具備する、単一層、ツーピースのゴルフボールの断面図である。
【図2】この発明に従って製造された、ポリウレタンカバーを具備する、多層、スリーピースのゴルフボールの断面図である。
【図2A】この発明に従って製造された、ポリウレタンカバーを具備する、多層、スリーピースのゴルフボールの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明は、全般的には、ポリウレタン、または、ハイブリッドポリウレタン/ポリ尿素、または、ポリ尿素、またはハイブリッドポリ尿素/ポリウレタン組成物から製造されたカバー材料を具備するゴルフボールに関する。
【0016】
[ポリウレタン組成物]
基本的には、ポリウレタン組成物はイソシアネート基(−N=C=O)をヒドロキシル基(OH)と反応させて形成されたウレタン結合を含む。ポリウレタンはポリイソシアネートを、触媒および他の添加物の存在下で、ポリアルコール(ポリオール)と反応させて製造する。ポリウレタンプレポリマーの鎖長は、それをヒドロキシル末端硬化剤化合物と反応させることにより延長される。製造されたポリウレタンポリマーは、ソフトおよびハードセグメントの相分離に基礎を置く弾性特性を有する。ソフトセグメントはポリオールから形成され、一般的には柔軟で移動性があり、他方、ハードセグメントはイソシアネートおよび鎖延長剤から形成され、一般的には、固く、非移動性がある。ポリウレタン組成物は以下の一般式のウレタン結合を含む。
【化1】

【0017】
[ポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッド組成物]
ポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッド組成物は、ポリウレタンプレポリマーをアミン末端硬化剤を用いて鎖延長するときに製造される。プレポリマー中の任意の過剰なイソシアネート基が硬化剤中のアミン基と反応して尿素結合を形成する。すなわち、ウレタンおよび尿素結合の双方を含むポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドが生成される。イソシアネートは水との反応に先立ってポリオールと反応して良く、また、イソシアネートはポリオールとの反応に先立って水と反応して良い。水がイソシアネート基と反応してカルバミン酸を生成する。そして比較的不安定なカルバミン酸が分解して二酸化炭素およびアミンを形成する。アミンはつぎにイソシアネート基と反応して尿素結合を形成する。
【0018】
[ポリ尿素組成物]
一般に、ポリ尿素組成物は、イソシアネート基(−N=C=O)をアミン基(NHまたはNH)と反応させて生成された尿素結合を含む。ポリ尿素プレポリマーの鎖長は、プレポリマーをアミン硬化剤と反応させて延長される。製造されたポリ尿素は、ソフトおよびハードセグメントゆえの弾性特性を有し、これらは相互に共有結合している。ソフトな、非晶質の低融点のセグメントがポリアミンから形成され、比較的、柔軟で移動性があり、他方、ハードな、高融点のセグメントがイソシアネートおよび鎖延長剤から形成され、比較的、固く、非移動性がある。ポリ尿素組成物は以下の一般式の尿素結合を含む。
【化2】

【0019】
[ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド組成物]
ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド組成物は、ポリ尿素プレポリマー(上述)をヒドロキシル末端硬化剤を用いて鎖延長するときに製造される。プレポリマー中の任意の過剰なイソシアネート基が硬化剤中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成する。すなわち、ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドが生成される。
【0020】
好ましい実施例においては、純粋なポリ尿素組成物が上述したように準備される。すなわち、組成物は尿素結合のみ含む。アミン末端硬化剤を反応に使用して純粋なポリ尿素組成物を製造する。ただし、上述のようにしてこの発明に従ってポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド組成物も準備できることに留意されたい。ポリ尿素プレポリマーがヒドロキシル末端硬化剤により硬化されるならば、このようなハイブリッド組成物が製造できる。ポリ尿素プレポリマー中の任意の過剰なイソシアネートが硬化剤中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成する。製造されたポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド組成物は尿素およびウレタン結合の双方を含む。
【0021】
より具体的には、ボールカバーの1つの好ましいバージョンでは、ボールカバーを構成するポリマーマトリックスがこの発明のポリ尿素組成物を100重量%含む。他のバージョンでは、ボールカバーのポリマーマトリックスがポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドブレンドである。ブレンドは約10から約90重量%のポリ尿素組成物と約90%から約10%のポリウレタン組成物を含む。さらに他の実施例では、ボールカバーを構成するポリマーマトリックスがこの発明のポリウレタン組成物を100重量%含む。ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドブレンドを含むポリマーマトリックスも準備できる。ブレンドは約10から約90重量%のポリウレタン組成物と約90%から約10%のポリ尿素組成物を含んでよい。代替的には、ボールカバーは約10から約90重量%のポリ尿素組成物と約90%から約10%の他のポリマー、例えばビニル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンのブレンドから製造して良い。
【0022】
[イソシアネート化合物]
先に検討したように、ポリ尿素組成物は、イソシアネート成分とアミン末端ポリマー樹脂との反応生成物である弾性材料である。当業界ではおおくのイソシアネート化合物が知られている。驚くべきことに、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびこれらの混合物からなるグループから選択されたイソシアネートが、この発明にとって最も好ましい特性を、生成されたポリ尿素組成物に付与することがわかった。ジイソシアネート化合物はつぎの一般的構造を有する。
【化3】

【0023】
この発明のイソシアネート化合物はアミン末端化合物と反応して機械強度が大きく完全性が大きいポリ尿素を製造することがわかった。さらに、このイソシアネート化合物は光安定性を改善させたポリ尿素組成物を実現する。このイソシアネート化合物は、通常芳香族イソシアネート化合物を用いて製造されるポリマーに見いだされた有益な機械特性を有するポリマーを実現できる。同時に、このポリマーは良好な光安定性を有し、これは脂肪族イソシアネートを利用して製造したポリマーの特徴である。
【0024】
[アミン末端化合物]
この発明の尿素プレポリマーを形成するときに、任意の適切なアミン末端化合物をこの発明に従う上述のイソシアネート化合物と反応させて良い。そのようなアミン末端化合物は、例えば、アミン末端炭化水素、アミン末端ポリエーテル、アミン末端ポリエステル、アミン末端ポリカーボネート、アミン末端ポリカプロラクトン、およびこれらの混合物を含む。アミン末端化合物の分子量は一般的に約100から約10000の範囲である。適切なポリエーテルアミンは、これに限定されないが、メチルジエタノールアミン;ポリオキシアルキレンジアミン、例えばポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン、およびポリオキシプロピレンジアミン;ポリ(エチレンオキシドキャップドオキシプロピレン)エーテルジアミン;プロピレンオキシドベースドトリアミン;トリエチレングリコールジアミン;グリセリンベースドトリアミン;およびこれらの混合ブルを含む。1実施例では、プレポリマーを生成する為に用いられるポリエーテルアミンはJeffamine D2000(Huntsman社)である。付加的なアミン末端化合物は、この発明のポリ尿素プレポリマーを形成するのに有益でもあり、この化合物は、これに限定されないが、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン);液体またはワックス固形形態のポリ(1,4−ブタンジオール)ビス(4−アミノベンゾエート);線型または分岐のポリエチレンイミン;平均分子量が約500から約30000の低または高分子量のポリエチレンイミン;平均分子量が約200から約5000のポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル);平均分子量が約200から約2000のポリテトラヒドロフランビス(3−アミノプロピル)ターミネーテッド;およびこれらの混合物(Aldrich Co)を含む。好ましくは、アミン末端化合物はポリテトラメチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー(Hutsman社)である。
【0025】
[ポリオール化合物]
ポリウレタンプレポリマーを形成するときに、任意のポリオール化合物をこの発明に従う上述のイソシアネート化合物と反応させてよい。事例のポリオールは、これに限定されないが、
ポリエーテルポリオール、ヒドロキシル末端ポリブタジエン(部分的にまたは充分に水素化された誘導体を含む)ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールを含む。とくに好ましいものは、ポリテトラメチレンエーテルグッリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせである。炭化水素鎖は飽和または不飽和の結合を有し、置換または非置換の芳香族および環状基を有してよい。好ましくは、この発明のポリオールはPTMEGを含む。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されない外、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、オルト−フタレート−1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの組み合わせを含む。炭化水素鎖は飽和または不飽和の結合を有し、置換または非置換の芳香族および環状基を有してよい。ポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、およびこれらの組み合わせを含む。炭化水素鎖は飽和または不飽和の結合を有し、置換または非置換の芳香族および環状基を有してよい。適切なポリカーボネートはポリフタレートカーボネートを含む。炭化水素鎖は飽和または不飽和の結合を有し、置換または非置換の芳香族および環状基を有してよい。
【0026】
[製造プロセス]
この発明のポリ尿素組成物を製造するのに採用できる2つの基本方法、a)ワンショット法、およびb)プレポリマー法がある。ワンショット法では、イソシアネート、アミン末端化合物、およびアミン末端硬化剤が1ステップで反応させられる。他方、プレポリマー法では、イソシアネートとアミン末端化合物との間で第1の反応が行われポリ尿素プレポリマーがせいぞうされ、つぎの反応がこのプレポリマーとアミン末端硬化剤との間で行われる。イソシアネートとアミン末端ポリカプロラクトンとの間の反応の結果として、ポリ尿素プレポリマー中にある程度の未反応NCO基が残る。プレポリマーは14%未満のNCO基しか含んではならない。好ましくは、プレポリマーは8.5%以下の未反応NCO基、より好ましくは2.5%から8%、最も好ましくは5.0%から8.0%の未反応NCO基しか伴わない。未反応のイソシアネート基の重量%が増大していくと、組成物の硬度も一般的に増大していく。ワンショット法またはプレポリマー法のいずれかを用いてこの発明のポリ尿素組成物を製造できるけれども、プレポリマー法は、化学反応をより良好に制御できるのでプレポリマー法が好ましい。プレポリマー法によれば混合物がより均一になり、より一貫性のあるポリマー組成物をもたらす。ワンショット法では、非均一(よりランダム)な混合物をもたらし、製造業者に生成組成物の分子構造に対する制御をより少なくする。
【0027】
キャスティング過程において、ポリ尿素プレポリマーを単一の硬化剤または以下に説明するような硬化剤のブレンドによって鎖延長することのより、ポリ尿素組成物を製造できる。この発明の組成物は、鋳造可能な熱可塑性または熱硬化性材料の双方から選択して良い。熱可塑性ポリ尿素は、典型的には、各々2つ(またはそれ以下)の官能基を具備する、イソシアネートおよびアミン末端化合物を、1:1の理論量比で反応させて製造される。例えば、プレポリマーは、第2ジアミンで硬化されて非架橋熱可塑性組成物を製造する。他方、熱硬化性組成物は、架橋ポリマーであり、典型的にはイソシアネートおよびアミン末端化合物の反応から製造され、そこでは、各成分は2つ(またはそれより多く)の官能基を具備し、通常では1.05:1の理論量比である。例えば、プレポリマーは第1または第2のジアミンで硬化され架橋熱硬化ポリ尿素を製造する。一般的には、熱硬化性ポリ尿素組成物の方が熱可塑性ポリ尿素より準備しやすい。
【0028】
この発明のポリ尿素プレポリマーを鎖延長するのに採用できる、適切なアミン末端硬化剤は、これに限定されないが、不飽和ジアミン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ジアニリンまたは”MDA”)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)ベンゼン,3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−)トルエンジアミンまたは”DETDA”、3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチル−ベンゼンアミノ)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)または”MOCA”)、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン))、2,2’−ジクロロ−3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)または”MCDEA”)、3,3’−ジエチル−5,5’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは”MDEA”、3,3’−ジクロロ−2,2’,6,6’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2,3−ジックロロアニリン)(すなわち2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは”MDCA”、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン、トリメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリエチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);飽和アミン、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−エキサンジアミン、イミノ−ビス(プロピルアミン)、イミド−ビス(プロピルアミン)、メチルイミノ−ビス(プロピルアミン)(すなわちN−(3−アミノプロピル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロキシ)ブタン(すなわち3,3’−[1,4−ブタンジイルビス−(オキシ)ビス]−1−プロパンアミン)、ジエチレングリコール−ビス(プロピルアミン)(すなわちジエチレングリコール−ジ(アミノプロピル)エーテル)、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、1−メチル−2,6−ジアミノ−シクロヘキサン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアミン,1,3−または1,4−ビス(メチルアミノ)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシエチレンジアミン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシプロピルジアミン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(すなわち、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアミノシクロヘキサン))、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、2,2’−ジクロロ−3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、(エチレンオキシド)−キャップドポリオキシプロプレンエーテルジアミン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジシクロヘキシルメタン;トリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、(プロピレンオキシド)ベースのトリアミン(すなわち、ポリオキシプロピレントリアミン)、N−(2−アミノエチル−1,3−プロピレンジアミン(すなわちN−アミン)、N−(アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(アミノプロピルブチレンジアミン、N−(アミノエチル)ヘキサメチレンジアミン、N−(アミノプロピル)ヘキサメチレンジアミン、トリメチロールプロパンベースのトリアミン、グリセリンベースのトリアミン、(すべて飽和);テトラアミン、例えば、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(すなわち、Nアミン)、トリメチレンテトラアミン、(双方飽和);および他のポリアミン、例えば、テトラエチレンペンタミン(飽和)を含む。鎖延長剤として使用されるアミン硬化剤は通常では環状構造を有し、低分子量である(250以下)。
【0029】
先に検討したように、いくつかの場合には、ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド組成物を生成することが望ましいかもしれない。そのような環境下では、ポリ尿素プレポリマーの反応に採用される硬化剤は、ヒロドキシ末端硬化剤と、アミン末端およびヒドリキシル末端硬化剤の混合物とからなるグループから選択されて良い。鎖延長剤または架橋剤はプレポリマーの鎖を延長し、その分子量を増強する。
【0030】
ヒドロキシル末端硬化剤は好ましくはつぎのグループから選択される。そのグループは、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−メチル−1,4−ブタンジオール;モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチルオール;トリイソプロパノール;N,N,N’,N’−テトラ−(2−ヒドロキシルプロピル)−エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス−(アミノプロピル)エーテル;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4−シクロヘキシルジメチルオール;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;トリメチロールプロパン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、好ましくは約250〜約3900の分子量を持つもの;およびこれらの混合物からなる。
【0031】
当業界で知られている付加的な材料をポリ尿素組成物に付加しても良い。これら付加的な材料は、これに限定されないが、触媒、湿潤剤、発色剤、光学的光沢剤、架橋剤、二酸化チタンおよび酸化亜鉛のような白色剤、紫外線(UV)光吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、脱泡剤、処理助剤、表面活性剤、および他の慣用的な添加剤を含む。例えば、湿潤添加剤はより効率的に顔料を分散させるために添加して良い。抗酸化剤、安定化剤、軟化剤、内的および外的可塑剤を含む可塑剤、衝撃改質剤、発泡剤、密度調整フィラー、強化剤、および相溶化剤も当業界で知られえ散る量だけ添加しても良い。一般的に、添加剤は、所望の特性に応じて、組成物の全充用をベースにして約1から約70重量パーセントの範囲で組成物中に存在する。
【0032】
[ボール構造]
この発明のポリウレタンおよびポリ尿素カバー材料は当業界で知られている任意のタイプのボール構造に採用できる。このようなゴルフボールのデザインは、例えば、単一ピース、ツーピース、スリーピース、およびフォーピースを含む。コア、中間ケーシング、およびカバーは単一または複数層構造であってよい。図1を参照すると、ソリッドコア(22)およびこの発明のポリウレタンカバー(24)を具備する多層(ツーピース)のゴルフボール(20)が示される。図1Aは、他のバージョンの多層(ツーピース)のゴルフボール(20a)を示し、これはソリッドコア(22a)およびポリウレタンカバー(24a)を具備する。図1および図1Aにおいて、カバー材料(24、24a)はコアセグメント(22、22a)をそれぞれ包囲してカプセル化する。図2および図2Aにおいて、多層(スリーピース)のゴルフボール(30、30a)が示される。図2において、ボール(30)はソリッドコア(32)、中間層(32)、およびポリウレタンカバー(36)を有する。他方、図2Aにおいて、ボール(30a)はポリ尿素カバー(34)を伴って製造される。図2Aのボール(30a)はソリッドコア(32a)およびアイオノマーじゅしんで製造された包囲用中間ケーシング層(34a)を含む。
【0033】
[コアセグメント]
ゴルフボールのコアは、ソリッド、準ソリッド、流体充填、または空洞であってよく、コアは単一ピースまたは複数ピース構造であって良い。図1〜2Aに示されるように、コア(22、22a、32、および32a)はソリッド構造である。当業界で知られている素樹の材料をコアの製造に採用して良く、この材料は、熱硬化性組成物、例えばゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、トランスイソプレン;熱可塑性組成物、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミドまたはポリエステル;および熱可塑性および熱硬化性ポリウレタンおよびポリ尿素エラストマーを含む。1実施例において、コアは天然または合成ゴム組成物、例えばポリブタジエンから製造される単一ピースである。より具体的にはソリッドコア用の材料は典型的にはベースゴム、フィラー、開始剤、および架橋剤を含む組成物から製造される。ベースゴムは、通常、天然または合成ゴム、例えばポリブタジエンゴムである。1実施例において、ベースゴムは少なくとも40%のcis−構造を伴う1,4−ポリブタジエンである。ポリブタジエンは他のエラストマー例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、および/または他のポリブタジエンとブレンドして良い。コアに採用できる他の適切なゴムはトランス−ポリブタジエンである。このポリブタジエンアイソマーは、成型サイクルにおいて、ポリブタジエンのcis−アイソマーをtrans−アイソマーに変換することにより製造される。ソフトおよびファースト剤、例えば、ペンタクロロチオフェノール(PCTP)またはZnPCTPをポリブタジエンにブレンドして良い。これら化合物はcis−to−trans触媒としても働き、ポリブタジエン中のcis−1,4結合をtrans結合に変換可能である。先に説明したフィラー材料は、比重、密度、硬度、重量、弾性、弾力性、圧縮、その他の特性を修正するためにコア組成物中に添加できる。所望の場合には複数ピースのコア(図示しない)を構築できることに留意されたい。すなわち、2以上のコアの部分またはピースがあってよい。内側のコア部分は第1のベースゴム材料から製造されて良く、内側のコア部分を包囲する外側のコア部分が第2のベースゴム材料から製造されて良い。それぞれのコアピースは上述した同一または異なるゴム材料から製造されて良い。架橋剤およびフィラーを各コアピースを構築するゴム材料に添加して良い。
【0034】
[中間層]
図2および2Aを参照すると、ゴルフボール(30、30a)は中間またはケーシング層(34、34a)を含んで良く、これは内側のコア(32、32a)および外側のカバー(36、36a)の間に位置づけられる。横たわった中間層(34、34a)はコア(32、32a)を囲んで包み込む。中間層は、当業界で知られている任意に適切な材料で製造されて良く、これは熱可塑性および熱硬化性材料を含む。中間コア層を製造するのに適した熱可塑性材料は、これに限定されないが、部分的に、および充分に中和されたアイオノマー、アイオノマーおよびポリアミドのグラフトコポリマー、および以下の非アイオノマーポリマー、そのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに、少なくとも1つのグラフト化またはコポリマー化された官能基、例えば、無水マレイン酸、アミン、エポキシ、イソシアネート、ヒドロキシル、スフホネート、ホスホネート等と適合性があるそれらの誘導体を含み、非アイオノマーポリマーは、ポリエステル;ポリアミド;ポリアミド−エーテルおよびポリアミド−エステル;ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド;フルオロポリマー;非アイオノマー性酸ポリマー、例えばE/Y−およびE/X/Y−タイプのコポリマー、ただし、Eはオレフィン(例えばエチレン)であり、Yはカルボン酸であり、かつ、Xは軟化コモノマー、例えば、脂肪族カルボン酸のビニルエステート、およびアルキルアクリレート;メタローセン触媒ポリマー;ポリスチレン;ポリプロピレンおよびポリエチレン;ポリビニルクロライドおよびグラフト化ポリビニルクロライド;ポリビニルアセテート;ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエンスチレンブレンド、ポリカーボネート/ポリウレタンブレンド、およびポリカーボネート/ポリエステルブレンドを含むポリカーボネート;ポリビニルアルコール;ポリエーテル;ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、;および上述の熱可塑性ポリマーの任意の2つ以上の混合物を含む。中間コア層を形成するのに適した商業的に入手可能な熱可塑性材料の例は、これに限定されないが、Arkema Incから商業的に入手可能なPebax(商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミド;Surlyn(商標)アイオノマー樹脂、Hytrel(商標)熱可塑性ポリエステルエラストマー、DuPont HPF1000およびHPG2000の商標の下で販売されているアイオノマー材料であって、すべてE.I.DuPont社から商業的に入手可能なもの;ExxonMobil Chemical社から商業敵意入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Company社から商業的に入手可能なAmplify(商標)IOエチレンアクリル酸コポリマーのアイオノマー;A. Schulman Incから商業的に入手可能なClarixアイオノマー樹脂;BASF社から商業的に入手可能なElastollan(商標)ポリウレタンブレンドベースの熱可塑性エラストマー;およびSABIC Innovative Plastics社から商業的に入手可能なXylex(商標)ポリカーボネート/ポリエステルブレンドを含む。先に説明したフィラーが中間層組成物に添加されて比重、密度、硬度、重量、弾性率、弾力性、圧縮、その他の特性を修正して良い。
【0035】
アイオノマー性樹脂は非イオン性熱可塑性樹脂でブレンドしてよい。適切な非イオン性熱可塑性樹脂は、これに限定されないが、ポリウレタン、ポリ−エーテル−エステル、ポリ−アミド−エーテル、ポリ−エーテル−尿素、熱可塑性ポリエーテルブロックアミド(例えば、Arkema Incから商業的に入手可能なPebax(商標)ブロックコポリマー)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン(エチレン−ブチレン)−スチレンブロックコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリエチレン−(メタクリレート)アクリレート、ポリエチレン−(メタクリル酸)アクリル酸、無水マレイン酸グラフト化により官能化されたポリマー、E.I.DuPont社から商業的に入手可能なFusabond(商標)官能化ポリマー、エポキシ化により官能化されたポリマー、エラストマー(例えばエチレンプロピレンジエンモノマーゴム、メタローセン触媒ポリオレフィン)、および熱可塑性エラストマーの粉砕粉末を含む。
【0036】
この発明に従って製造されたゴルフボールのサイズは任意でよいけれども、USGAは競技用ゴルフボールの直径が少なくとも1.68インチで、重量が1.62オンス以下であることを要求する。USGA競技以外のプレイでは、ゴルフボールの径はより小さくても、重量がより重くても良い。好ましくは、ゴルフボールの径は約1.68〜約1.80インチの範囲である。コアの径は一般に約1.26〜約1.60インチの範囲である。1実施例において、単一ピースコアの径は約1.57インチである。コアの硬度はボールの所望の特性に応じて変化する。一般に、コアの硬度は約30〜約65ショアDの範囲であり、より好ましくは、約35〜約60ショアDの範囲である。コア部分の圧縮は一般的に約70〜約110の範囲であり、より好ましくは約80〜約100の範囲である。図1〜2Aに示すように、コアセグメントは一般的にボールの実質的な部分を構成し、例えば、コアはボール構造中の少なくとも95%またはそれ以上を構成して良い。
【0037】
図2および図2Aはそれぞれ中間ケーシング層(34、34a)を具備するゴルフボールを示しており、種々の材料を採用できるので、中間層の厚さの範囲は変化して良い。ただし、一般的には、中間層の厚さは約0.015〜約0.120インチの範囲であり、好ましくは約0.020〜約0.060インチの範囲である。内側コアおよび外側カバーの間に複数の中間層が配置されて良い。好ましくは、コアおよびすべての中間層の全体の径は、完成したボールの全体の径の約90パーセント〜約98パーセントである。図1および2に示し、また上述したように、カバー材料(24、36)はこの発明のポリウレタン組成物から製造される。図1Aおよび2Aにおいては、カバー材料(24a、36a)はこの発明のポリ尿素組成物から製造される。ポリウレタンおよびポリ尿素のカバーを用いれば、良好な機械強度および耐久性が、プレイ性能特性とともにボールに付与される。カバー層の厚さは変えることができるが、一般的には約0.015〜約0.090インチの範囲であり、好ましくは約0.020〜約0.050インチであり、より好ましくは約0.020〜約0.035インチである。
【0038】
この発明のゴルフボールは同一またが異なる硬度値の層を含んでよい。表面硬度および材料硬度はボールデザインおよび構造において考慮される重要な特性である。表面硬度および材料硬度を測定するテスト方法は以下にさらに説明される。ゴルフボールの種々の層に渡って均一な硬度が採用されても良く、また各層を横切って硬度勾配があってもよい。例えば、コアの硬度は変化しても良いが、一般的には約30〜約65ショアDの範囲であり、より好ましくは約35〜約60ショアDの範囲である。この発明の中間層の硬度もボールの個別の構造に左右されて変化して良い。1実施例において、中間層の硬度は約30〜約75ショアDである。コアおよび中間層と同様に、カバーの硬度も変化して良いけれども、一般的にそれは約30〜65ショアDの範囲である。いくつかの例では、コアは中間層よりも柔らかくなるように企図される。例えば、コアの硬度が約40〜約55ショアDの範囲であって良く、中間層の硬度が約60〜75ショアDの範囲であって良い。さらに、いくつかの例では、外側カバー層が中間層よりも柔らかくなるように企図される。それゆえ、中間層の硬度が約60〜約75ショアDの範囲であり、カバー材料に硬度が約20〜約55ショアDの範囲である。
【0039】
この発明のゴルフボールは当業界で知られている任意の適切な技術を採用して構築されて良い。これらの方法は、一般的には、圧縮成型、フリップ成型、射出成型、後退可能ピン射出成形、反応性射出成形(RIM)、液体射出成形(LIM)、キャスティング、真空形成、粉末コーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディッピング、スプレイ、その他を含む。
【0040】
より具体的には、ゴルフボールのコアは圧縮成形または射出成形を用いて形成されて良い。上述のように、適切なコア材料は、例えばゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、トランス−イソプレンのような熱硬化性材料や、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミドまたはポリエステルのような熱可塑性材料を含む。中間層も、例えば、後退可能ピン射出成型または圧縮成型のような既知の方法を採用して製造して良い。中間層は上述のように商業的に入手可能なアイオノマー樹脂から製造して良い。
【0041】
この中間ケーシング層は反応性射出成型または鋳造プロセスを採用してカバー材料により被覆される。鋳造プロセスにおいては、ポリ尿素混合物が上側成型部材のキャビティに注入される。この第1の成型反対は半球構造を伴う。つぎに、対応する下側成型部材のキャビティがポリ尿素混合物で満たされる。この第2の成型半体も半球構造を伴う。キャビティは典型的には予め加熱されてある。ボールカップはゴルフボール(コアおよび上側に配されているケーシング層)を真空により保持する。第1の成型半体中のポリ尿素混合物が準ゲルまたはゲル状態に至ったのち、圧力が除去され、ゴルフボールが下降されて、ポリ尿素混合物を含有する上側成型半体中に移動させられる。つぎに、第1の成型半体が反転されて、ポリ尿素混合物を含有する第2の成型半体と係合され、このポリ尿素混合物も準ゲル状態またはゲル状態に至っている。係合された成型部材中のポリ尿素混合物はゴルフボールカバーを形成する。ポリ尿素混合物およびゴルフボールセンタを含有する係合した第1および第2の成型半体はそのつぎに加熱されて混合物が硬化し、硬くなるようにしてよい。つぎに、ゴルフボールが成型金型から取り外される。ボールは必要であれば加熱または冷却してよい。
【0042】
この発明のポリウレタンおよびポリ尿素組成物はゴルフボールカバーに多くの有益な特性および特徴を付与する。とくに、このカバー材料は良好な機械強度および切断/剪断耐性ならびに光安定性を有する。このポリウレタンおよびポリ尿素はゴルフボールの天候耐性を増強するのに役立つ。この発明のゴルフボールは黄色化および変色に対する大きな耐性を示し、ポリウレタンおよびポリ尿素カバー材料を用いずに構築したゴルフボールと全く異なることがわかる。
【0043】
ここに説明され図示されたポリ尿素カバーを具備するゴルフボールはこの発明の単に現存の好ましい実施例を示すにすぎないことに留意されたい。この発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。すべてのそのような実施例は添付の特許請求の範囲によりカバーされることに留意されたい。
【符号の説明】
【0044】
20、20a、30、30a ゴルフボール
22、22a、32、32a ソリッドコア
24、24a、36、36a カバー層
34、34a 中間ケーシング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびこれらの混合物からなるグループから選択されたイソシアネートと、アミン末端化合物と、アミン架橋剤とを有する諸成分の反応により生成されたポリ尿素カバー材料とを有するゴルフボール。
【請求項2】
上記イソシアネートは1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記イソシアネートは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記コアはポリブタジエンを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン;3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン;2,2’−ジクロロ−3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン;ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;およびこれらの混合物からなるグループから選択された1つのアミン末端硬化剤である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記ポリ尿素カバー材料はさらに顔料およびフィラーを含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記コアの径が約1.26〜約1.60インチである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記カバーの厚さが約0.015〜約0.090インチである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記カバーの厚さが約0.020〜約0.050インチである請求項7記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記カバーの厚さが約0.020〜約0.035インチである請求項8記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記コアの表面硬度が約30〜約65ショアDである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記カバーの材料硬度が約30〜約65ショアDである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
上記カバーの材料硬度が約35〜約55ショアDである請求項12記載のゴルフボール。
【請求項14】
コアと、
上記コアを被覆する中間ケーシング層と、
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびこれらの混合物からなるグループから選択されたイソシアネートと、アミン末端化合物と、アミン架橋剤とを有する諸成分の反応により生成されたポリ尿素カバー材料とを有するゴルフボール。
【請求項15】
上記イソシアネートは1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである請求項14記載のゴルフボール。
【請求項16】
上記イソシアネートは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである請求項14記載のゴルフボール。
【請求項17】
上記コアはポリブタジエンを有する請求項14記載のゴルフボール。
【請求項18】
上記ポリ尿素カバー材料はさらに顔料およびフィラーを含む請求項14記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記中間層はアイオノマー樹脂を有する請求項14記載のゴルフボール。
【請求項20】
上記中間層はアイオノマー樹脂および非アイオノマー樹脂のブレンドを有する請求項14記載のゴルフボール。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【公開番号】特開2010−274115(P2010−274115A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−120081(P2010−120081)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY