説明

脆質ラベル及びその製造方法

【課題】製品の管理や品質保証の目的の個別表示が容易にでき、光、溶媒や外力への物理的及び化学的な耐久性に優れ、偽造や変造を防止するセキュリティ性に優れる脆質ラベルの製造方法を提供する。
【解決手段】(1)転写箔基材11、剥離層13、ハードコート層15、紫外線吸収層16、及び接着層19とからなるハードコート層転写箔準備工程と、(2)受容層27、ラベル基材21、パーターン状の剥離層23、紫外線吸収層26、印刷層28、粘着層29、剥離紙31からなる印字用脆質ラベル準備工程と、(3)印字用脆質ラベルの受容層27へインクジェット方式で画像103を印字する画像形成工程と、(4)画像103が形成された受容層27面へ、ハードコート層転写箔の接着層19面を重ね合わせて加熱加圧し、転写する転写工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆質ラベルに関し、さらに詳しくは、情報の個別表示ができ、耐久性が高く、かつセキュリティ性の高い脆質ラベル及びその製造方法に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「UV」は「紫外線」、及び「MEK」は「メチルエチルケトン」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明の脆質ラベルの主なる用途としては、自動車、航空機、船舶、産業機械やそれらの部品等で、熱、光(特に紫外線)や外力に対するの耐久性が必要とされる物品へ貼着するラベルであり、該ラベルには、部品名などの個別表示を求められ、更に、偽造や変造に対する高防止性(セキュリティ性)も求められるので、それらをを解消したものである。しかしながら、スポーツ用品、日用品、装飾品などの、個別表示、耐久性、セキュリティ性を必要とする用途や、製品の管理や品質保証の目的であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)例えば、自動車では部品点数が多く、更に同一部品でも多くの国への出荷され、その出荷先の言語に合わせて、製品の管理や品質保証の目的で、部品名や取扱法などが表示される。該表示はラベルへの印字では行わず、部品自身へシルク印刷等により個別表示を行っていたが、同一部品でも他地域への転用が利かず、無駄な部品を多く抱え、製造原価を高めていた。そこで、ラベルを用いれば、同一部品用へ表示内容の異なる多くの個別表示が容易にできるが、ラベルは部品に貼着されて保管、船舶輸送、組立てされて行くが、その環境は苛酷である。部品に貼着されたラベルの個別表示部分は、特に染料着色インキによるインクジェット印刷では、紫外線の暴露によって退色し判読不可になったり、また、ラベルの表面は、部品同士や他の部材とぶつかったり擦れたりして、傷付き、削られ、脱落する危険性が高く、さらに、水、油、塗料の溶剤に触れて、滲んだり溶解したりして判読不可になったり、さらにまた、ラベル自身が剥離されて偽の他のラベルと貼り替えたり、ラベルを変造したりして、悪用される恐れもあるので、ラベルの使用は限られていた。
そこで、脆質ラベルは、製品の管理や品質保証の目的の個別表示が容易にでき、光、熱、溶媒や外力への物理的及び化学的な耐久性、偽造や変造を防止するセキュリティ性が求められている。
【0005】
(先行技術)従来、偽造防止用ラベル(本願の脆質ラベルに相当する)は、剥離シートと、該シート上に順を追って積層された下層ラベル及び上層ラベルとからなり、その際、前記下層ラベルは、少なくとも片面に可視記号が印刷された自己支持性フィルム基材と、該フィルム基材の剥離シート側に施された粘着剤層とからなり、そして前記可視記号と少なくとも一部が交わるカットラインを有しており、また、前記上層ラベルは、少なくとも片面に可視記号が印刷された非自己支持性の脆弱フィルム基材と、該フィルム基材の下層ラベル側に施された粘着剤層とからなるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、偽造防止性は良いと考えられるが、多種の個別表示はそれぞれ別工程で行うので、コストが高く納期もかかり、また、ラベルの熱、溶媒や外力への耐久性については記載も示唆もされていない。
また、脆質レーザー印字用積層体(本願の脆質ラベルに相当する)は、レーザー光照射により除かれ得る着色樹脂層、該着色樹脂層に積層され、着色樹脂層と視認可能な色差を有する着色破壊層、該着色破壊層に積層された接着剤層からなるレーザー印字可能な積層体であって、着色破壊層がグリコール化合物を含む架橋アクリル系樹脂であり、被着体に接着後剥離すると着色破壊層が破壊するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、個別情報を印字するには適しているが、レーザー発信機などの超高価かつ危険で高度な取扱法を要するという欠点がある。
さらにまた、本出願人も、情報保護ラベル(本願の脆質ラベルに相当する)は、ラベル基材,部分剥離剤層,偽造防止手段形成層,同一平面上に並べて形成された第一の粘着剤及び第二の粘着剤形成層,剥離紙がこの順に積層され、第二の粘着剤の粘着力が第一の粘着剤より強く設定されたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、情報の漏洩、偽造や改竄による不正防止機能はよいが、個別表示、及びラベルの熱、溶媒や外力への耐久性については記載も示唆もされていない。
【0006】
【特許文献1】特開平1−23277号公報
【特許文献2】特開2007−21818号公報
【特許文献3】特開2006−337616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、製品の管理や品質保証の目的の個別表示が容易にでき、光、熱、溶媒や外力への物理的及び化学的な耐久性に優れ、偽造や変造を防止するセキュリティ性に優れる脆質ラベル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、 請求項1の発明に係わる脆質ラベルの製造方法は、(1)転写箔基材と、該転写箔基材の一方の面に剥離層、ハードコート層、紫外線吸収層、及び接着層が順に積層されてなるハードコート層転写箔を準備するハードコート層転写箔準備工程と、(2)ラベル基材と、該ラベル基材の一方の面に受容層を有し、前記ラベル基材の他方の面にパーターン状の剥離層、紫外線吸収層、印刷層、及び粘着層が順に積層されてなり、前記粘着層へ剥離可能に剥離紙が設けられている印字用脆質ラベルを準備する印字用脆質ラベル準備工程と、(3)前記印字用脆質ラベルの受容層へインクジェット方式で画像を印字して、印字済み脆質ラベルとする画像形成工程と、(4)前記印字済み脆質ラベルの画像が形成された受容層面へ、前記ハードコート層転写箔の接着層面を重ね合わせて加熱加圧し、前記ハードコート層転写箔の転写箔基材及び剥離層を剥離することによって、画像が形成された受容層面へ、接着層、紫外線吸収層、及びハードコート層を転写して脆質ラベルとするハードコート層転写工程と、からなるように、したものである。
請求項2の発明に係わる脆質ラベルの製造方法は、上記ハードコート層転写箔のハードコート層に代えて、ホログラム層及び反射層層を設けることで、ハードコート層転写箔が転写箔基材と、該転写箔基材の一方の面に剥離層、ホログラム層、反射層、紫外線吸収層、及び接着層が順に積層されてなるように、したものである。
請求項3の発明に係わる脆質ラベルは、請求項1〜2のいずれかに記載の脆質ラベルの製造方法で製造されている脆質ラベルであって、該脆質ラベルを被貼着材に貼り付けた後に剥離した時に、パターン状剥離層のパターンに従って、パターン印刷部ではラベル基材から剥がれて被貼着材に残り、パターンのない部分ではラベル基材に接着したまま除去され、被貼着材に剥離層のパターンに応じた紫外線吸収層、印刷層、及び粘着層の残留物が残されることで、剥離の判定ができるように、したものである。
請求項4の発明に係わる印字用脆質ラベルは、請求項1〜2のいずれかに記載の脆質ラベルの製造方法で用いられるる印字用脆質ラベルであって、ラベル基材と、該ラベル基材の一方の面に受容層を有し、前記ラベル基材の他方の面にパターン状の剥離層、紫外線吸収層、印刷層、及び粘着層が順に積層されてなり、前記粘着層へ剥離可能に剥離紙が設けられているように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、製品の管理や品質保証の目的の個別表示が容易にでき、光、熱、溶媒や外力への物理的及び化学的な耐久性に優れ、偽造や変造を防止するセキュリティ性に優れる脆質ラベルの製造方法が提供される。
請求項2の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、ホログラム光回折画像も有するので、よりセキュリティ性に優れる脆質ラベルの製造方法が提供される。
請求項3の本発明によれば、個別表示が容易にでき、光、熱、溶媒や外力への物理的及び化学的な耐久性に優れ、偽造や変造を防止するセキュリティ性に優れる脆質ラベルが提供される。
請求項4の本発明によれば、個別表示がインクジェット方式で容易にできる印字用脆質ラベルが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の脆質ラベルの製造方法のステップ図である。
図2は、本発明に用いるハードコート層転写箔の断面図である。
図3は、本発明の1実施例を示す印字用脆質ラベルの断面図である。
図4は、ハードコート層転写箔を印字用脆質ラベルへ転写する説明図である。
図5は、本発明の1実施例を示す脆質ラベルの断面図である。
図6は、本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
【0011】
(脆質ラベルの製造方法)本発明の脆質ラベルの製造方法は、図1に示すように、(1)転写箔基材11と、該転写箔基材11の一方の面に剥離層13、ハードコート層15、紫外線吸収層16、及び接着層19が順に積層されてなるハードコート層転写箔10を準備するハードコート層転写箔準備工程(S1)、(2)ラベル基材21と、該ラベル基材21の一方の面に受容層27を有し、前記ラベル基材21の他方の面にパーターン状の剥離層23、紫外線吸収層26、印刷層28、及び粘着層29が順に積層されてなり、前記粘着層29へ剥離可能に剥離紙31が設けられている印字用脆質ラベル20を準備する印字用脆質ラベル準備工程(S2)、(3)前記印字用脆質ラベル20の受容層27へインクジェット方式で画像103を印字して、印字済み脆質ラベルとする画像形成工程(S3)と、(4)前記印字済み脆質ラベルの画像103が形成された受容層27面へ、前記ハードコート層転写箔10の接着層19面を重ね合わせて加熱加圧し、前記ハードコート層転写箔の転写箔基材11及び剥離層13を剥離することによって、画像103が形成された受容層27面へ、接着層19、紫外線吸収16層、及びハードコート層15を転写して脆質ラベル30とするハードコート層転写工程(S4)、の4ステップとからなる。程順に従って、材料も含めて説明する。
【0012】
(S1)S1ステップは、図2に示すような、転写箔基材11と、該転写箔基材11の一方の面に剥離層13、ハードコート層15、紫外線吸収層16、及び接着層19が順に積層されてなるハードコート層転写箔10を準備するハードコート層転写箔準備工程である。
【0013】
(転写箔基材)転写箔基材11の材料としては、従来の転写箔に使用されているものと同じ基材をそのまま用いることができ、特に限定するものではない。好ましい転写箔基材11の具体例としては、グラシン紙、コンデンサー紙またはパラフィン紙等の薄紙、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。基材フィルムの厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。該転写箔基材11は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プライマ(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理などの易接着処理を行ってもよい。該転写箔基材11には、必要に応じて、例えば、フィルムの特性を改良、改質する目的で、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加してもよい。
【0014】
(剥離層)転写時の剥離性を向上させるために、剥離層13を設け、必要に応じて、離型層も設けてもよく、離型層及び剥離層13の両方を設け、離型層と剥離層13との間で剥離させることで、より転写性を向上できる。剥離層13は転写後には被転写体へ転写移行して、保護層としての機能を合わせ持つ。
【0015】
剥離層13としては、一般的には酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリ(メタ)クリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリビニルブチラールなどのビニル共重合体の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂などの熱硬化型の樹脂を用いて形成することができる。また、剥離層13には箔切れ性を向上させるために、マイクロシリカやポリエチレンワックスなどのフィラーを含有させることが好ましい。剥離層は、上記の樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を形成したりすれば良い。剥離層の厚さとしては、通常は0.1μm〜5μm程度、好ましくは0.5μm〜2μm程度である。
【0016】
(離型層)必要に応じて設ける離型層としては、通常、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などがある。離型層の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング方法で、塗布し乾燥して、温度150℃〜200℃程度で焼き付ける。離型層の厚さとしては、通常は0.01μm〜5.0μm程度、好ましくは0.5μm〜3.0μm程度である。離型層及び剥離層12の両方を設ける場合には、適宜組み合わせて用いればよく、この場合も、剥離層は転写後には被転写体へ転写移行して、保護層としての機能を合わせ持つ。
【0017】
(ハードコート層)ハードコート層15としては、少なくとも電離放射線硬化樹脂を主成分とし、必要に応じてポリエチレンワックスを含むようにする。該電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、ポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
【0018】
(ハードコート層の形成)ハードコート層の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂にポリエチレンワックス、必要に応じて光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、電離放射線で反応(硬化)させればよい。ハードコート層の厚さは、通常、1〜15μm程度である。
【0019】
(紫外線吸収層)紫外線吸収層18としては、バインダ中へ、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、置換オキザニリド類、シアノアクリレート類、又はトリアリールトリアジン類などの紫外線吸収剤を含む組成物へ、必要に応じて、マイクロシリカ、硬化剤、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥するか、乾燥、若しくは乾燥した後のエージング(硬化)処理、又は電離放射線で反応(硬化)させればよい。UV吸収層を設けることで、画像の耐光性を向上させ長期間にわたって画像を維持させることができる。紫外線吸収層18へのマイクロシリカの含有割合は、質量基準で電離放射線硬化樹脂:マイクロシリカ=90〜94:6〜10である。マイクロシリカの含有割合がこの範囲未満では転写時の箔キレ性が悪く、この範囲を超えると透明性が低下し、画像が見えにくくなる。
【0020】
(接着層)接着層19としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該接着層19には、マイクロシリカなどのフィラーを含むことが、箔切れ性の点で好ましい。また、接着層19の樹脂としては、95℃程度の低温で溶融接着し、60℃程度になると固化して接着する融点が60〜95℃ものが好ましい。融点が上記範囲未満であると、被転写体との接着性が不十分であり、形成された画像を使用する温度が制限される。また、融点が上記範囲を越えるとサーマルヘッドによる加熱では転写性が不十分となり、又、機能性層の箔切れ性が低下し、バリなどが発生し易い。
【0021】
好ましい接着層19としては、熱接着性ポリエステル系樹脂とマイクロシリカとを含有し、前記熱接着性ポリエステル系樹脂と前記マイクロシリカとの割合が質量基準でポリエステル系樹脂:マイクロシリカ=90〜99:1〜10である。マイクロシリカの含有割合がが上記範囲未満では箔キレ性が悪く、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ0.1〜30μm程度、好ましくは0.4〜3μmの層を得る。
【0022】
(印字用脆質ラベル)印字用脆質ラベル20としては、図3に示すように、ラベル基材21と、該ラベル基材21の一方の面に受容層27を有し、前記ラベル基材21の他方の面にパーターン状の剥離層23、紫外線吸収層26、印刷層28、及び粘着層29が順に積層されてなり、前記粘着層29へ剥離可能に剥離紙31が設けられている印字用脆質ラベル20を準備する印字用脆質ラベル準備工程である。
【0023】
(ラベル基材)ラベル基材21としては、前記転写箔基材11と同様の材料が使用できる。
【0024】
(受容層)受容層28としては、印字ラベル20の最表面にあり、該受容層28にはインクジェット方式によって画像が印字、印画される。受容層28としては、耐摩擦性や透明性などに優れた樹脂を適宜用いることができる。具体的には、澱粉やその変性物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、ポリ酢酸ビニル鹸化物、カルボキシメチルセルロース、繊維素系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの樹脂のシリコーン変性樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びこれらの樹脂の混合物、SBR(ブタジエンスチレンゴム)ラテックス、NBR(ブタジエンアクリロニトリルゴム)ラテックス、ヒドロキシセルロース、ポリビニルピロリドン等の有機物が挙げられ、さらにマイクロシリカを含有させる。
【0025】
該マイクロシリカの含有割合としては、受容層27の樹脂分100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。また、マイクロシリカを含有させることで、インクジェット印刷時にインキの吸収、定着が早く、速乾性であり、早く次工程に移ることができる。また、工程において、機械や冶具、他の物に接触しても、傷付きにくく、長尺状で加工して巻き取っても裏表が密着するブロッキング現象が発生しにくい。
【0026】
(パターン状剥離層)転写時の剥離性を向上させるために、パターン状剥離層23を設け、必要に応じて、離型層も設けてもよく、離型層及び剥離層13の両方を設け、離型層と剥離層13との間で剥離させることで、より転写性を向上できる。パターン状剥離層23としては、ハードコート層転写箔10の剥離層13と同様の材料が使用できるが、該パターン状剥離層23は、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法でパターン状に設ける。該パターンとしては特に限定されず、規則的な模様柄、ランダムな迷彩柄などが例示できる。
【0027】
(紫外線吸収層)紫外線吸収層21としては、ハードコート層転写箔10の紫外線吸収層18と同様なものを使用すればよい。
【0028】
(印刷層)印刷層28としては、オフセット印刷、グラビア印刷、シクリーン印刷なおどの公知の印刷法で、公知のインキでよい。
【0029】
(粘着層)粘着層29としては、公知の感圧で接着する粘着剤が適用できる。粘着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム系、スチレン−ブタジエン共重合樹脂などの合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニール系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、ロジン系樹脂が適用できる。これらの樹脂、またはこれらの混合物を、ラテックス、水分散液、または有機溶媒液として、スクリーン印刷またはコンマコートなどの、公知の印刷またはコーティング法で、印刷または塗布し乾燥すれば良い。また、粘着剤の粘着力や凝集力は、用途や対象に合わせて適宜選定することができる。被転写体の裏面から観察する場合には、画像を判読できるような、透明、半透明、着色透明などが好ましい。
【0030】
(剥離紙)剥離紙31(セパレート紙、セパ紙とも呼ばれる)としては、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルムなどの基材の片面に離型層を有している。該離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂などがある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。
【0031】
(S3)S3ステップは、前記印字用脆質ラベル20の受容層27へインクジェット方式で画像103を印字して、印字済み脆質ラベルとする画像形成工程である。
【0032】
(印字)受容層27への印字は、インクジェット方式によるインクジェット印刷が小ロット多品種の印刷に適用でき、可変情報による1ロット1枚印刷にも対応できる。該インクジェット方式は公知の方式でよく、単色でも、多色でも、カラー写真調でもよく、水性又は油性インキが適用できる。
【0033】
(インクジェット方式)インクジェット方式としては特に限定されず、例えば、バブルジェット(登録商標)方式、パルスジェット方式、荷電制御方式などの公知のものでよい。画像の色も特に限定されず、カラー、単色、複色などいずれでもよい。画像のパターンも特に限定されず、文字、記号、数字、イラスト、写真などいずれでもよい。
【0034】
(S4)S4ステップは、前記印字済み脆質ラベルの画像103が形成された受容層27面へ、前記ハードコート層転写箔10の接着層19面を重ね合わせて加熱加圧し、前記ハードコート層転写箔10の転写箔基材11を剥離することによって、画像103が形成された受容層27面へ、接着層19、紫外線吸収16層、ハードコート層15及び剥離層13を転写して脆質ラベル30とするハードコート層転写工程である。
【0035】
(転写)次に、図4に示すように、ハードコート層転写箔10の接着層19面を、印字用脆質ラベル20の受容層27へ重ねて熱転写する。該熱転写方法は特に限定されず、例えば加熱平板又は加熱ロールで圧着した後に、転写箔基材11を剥離し除去すれば、図5に示すように、脆質ラベル30が得られる。
【0036】
(ホログラム付き)前述のハードコート層転写箔10は、図6に示すようにホログラム転写箔10Aとしてもよく、ハードコート層転写箔10のハードコート層15に代えて、ホログラム層35及び反射層37を設けることで、転写箔基材と、該転写箔基材の一方の面に剥離層、ホログラム層、反射層、紫外線吸収層及び接着層を順に積層して、転写箔基材11/剥離層13/ホログラム層35/反射層37/紫外線吸収層16/接着層19の層構成とする。ホログラム層35はハードコート層15と同様の材料であり、同様の保護機能を発揮することができる。
【0037】
(ホログラム層)ホログラム層35としては、電離放射線硬化性樹脂の硬化物、反応性シリコーン、必要に応じてポリエチレンワックスなども含ませてもよい。このようにすることで、電離放射線硬化後でも熱で白化しない耐熱性と、伸縮へ追従性がよく、割れや白化などのホログラム効果の低下が少ない意匠性に優れたホログラムとすることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂である。ホログラム層35は、上記の樹脂及び必要に応じて添加剤を、溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を形成したりすれば良い。ホログラム層35の厚さとしては、通常は1μm〜30μm程度である。
【0038】
(ホログラム)次に、ホログラム層35の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を、プレス型(スタンパという)として加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着する熱プレス法などの公知の方法で賦型し、紫外線(UV)などの電離放射線を照射して、硬化させればよい。ホログラムとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム、レインボーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
【0039】
(反射層)反射層37としては、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層35面のレリーフ面へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高める。ホログラム層35の反射率と差があればよく、特に限定されない。金属薄膜や金属層の酸化物又は窒化物が例示でき、例えば、Al、ZnS、TiO2が例示でき、被貼着材に非貼着面より観察できる透明反射層層が好ましい。反射層37の形成は、20〜1000nm程度の厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
【0040】
(脆質ラベル)このようにして得られた脆質ラベル30は、図5に示すような構成となり、適宜、枚葉状としたり、ロール状から切断したり、ラベル部分をハーフカットして剥離紙上に仮着状としたりして被貼着材(図示せず)へ貼着すればよい。また、ハードコート層転写箔10と印字用脆質ラベル20とを予め転写して厚味が厚くなって、ラベル貼り適性が向上する特徴もある。被貼着材101としては特に限定されず、用途に応じて種々の材料、形状が適用でき、例えば、紙類、プラスチック類、ガラス、金属、セラミックス、木材、布などのいずれのものでもよく、形状もフィルム状、ボード状、成形物などがある。また、被貼着材101の媒体はその少なくとも1部が着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
【0041】
(耐久性)本発明の脆質ラベルの製造方法で製造された本発明の脆質ラベル30は、印字部を紫外線吸収層16と紫外線吸収層26が覆って印字部を保護し、紫外線などの光から退色を防止し、また、表面はハードコート層15又はホログラム層35が覆って、外力や溶媒などの物理的及び化学的な耐久性が付与されている。
【0042】
(セキュリティ性)また、被貼着材101へ一体化されてなるラベルは、該ラベルを被貼着材101から剥離した場合には、パターン状剥離層23のパターン部分は剥離し、パターンのない部分は剥離しないので、きれいに除去できずムラムラに破壊されることで、故意による剥離の判定ができ、変造、貼替えを防止するセキュリティ性に優れる。
【0043】
(製造)また、本発明の脆質ラベルの製造方法によれば、人や製品の管理や品質保証の目的での個別表示が、インクジェット方式なので、オンデマンドで、1個毎の可変情報でも容易に印字することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
【0045】
(実施例1)
(ハードコート層転写箔の準備)転写箔基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、ロールコーティング法で、下記の剥離層樹脂組成物(塗工液)を乾燥後1μmになるように塗布し乾燥して、剥離層13を形成した。
・<剥離層の樹脂組成物>
剥離ニス45−3(アクリル系樹脂、昭和インク社製、商品名) 10質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 0.5質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 90質量部
該剥離層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させ、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ハードコート層15を形成した。
・<ハードコート層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
ユピマーUV−V3031(三菱化学社製、UV硬化性樹脂商品名)100質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径3〜5μm、球状) 2質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 5質量部
酢酸エチル 300質量部
次に、該ハードコート層15面へ、下記組成のプライマ層組成物途工液によりグラビアコーティングにより、乾燥時0.5μmの厚さになるように塗布、乾燥した後に、45℃で24時間エージングして、プライマ層を形成した。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル樹脂 10部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、該プライマ層面へ、下記の紫外線吸収層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が4μmになるように、塗工し100℃で乾燥させ、50℃で1週間エージングして、紫外線吸収層16を形成した。
・<紫外線吸収層組成物>
UVA−C11(昭和インク社製、紫外線吸収架橋性樹脂の商品名) 25質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 2質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 73質量部
次に、該紫外線吸収層16面へ、下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成した。
・<接着層組成物>
ポリエステル樹脂SP170(日本合成化学社製、商品名) 20質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1.5質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 78.5質量部
以上のようにして、転写箔基材11/剥離層13/ハードコート層15/紫外線吸収層16/接着層19が順に積層されてなるハードコート層転写箔10を得た。
【0046】
(印字用脆質ラベルの準備)
ラベル基材21として厚さが50μmのPETフィルムを用い、該基材21の一方の面へ、下記のプライマ層組成物をグラビアコーターで、乾燥後の塗布量が0.5g/m2になるように塗工し乾燥させてプライマ層とした。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル系樹脂 10質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 80質量部
該プライマ層面へ、下記の受容層組成物(pH=3.5)をグラビアリバースコーターで、乾燥後の厚さが5μmになるように塗工し乾燥させて、受容層27とした。
・<受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20質量部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(水) 80質量部
次に、該受容層27と反対側のラベル基材21面へ、迷彩模様をグラビア印刷法で、下記の剥離層樹脂組成物(塗工液)を乾燥後1μmになるように模様を印刷し乾燥して、パターン状の剥離層23を形成した。
・<剥離層の樹脂組成物>
剥離ニス45−3(アクリル系樹脂、昭和インク社製、商品名) 10質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 0.5質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 90質量部
次に、該パターン状の剥離層23面へ、下記の紫外線吸収層組成物をグラビアコーターで、乾燥後の塗布量が4μmになるように塗工し乾燥させ、50℃で1週間エージングして、紫外線吸収層26を形成した。
・<紫外線吸収層組成物>
UVA−C11(昭和インク社製、紫外線吸収架橋性樹脂の商品名) 25質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 2質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 73質量部
次に、該紫外線吸収層26面へ、公知の白色インキをグラビア印刷で乾燥後の塗布量が1μmになるように印刷し乾燥させて、印刷層28を形成した。
該印刷層28面へ、アクリル系粘着剤を乾燥後の40g/m2の塗布量となるように、コンマコーターで塗布し乾燥し粘着層29とし、この面へ剥離紙31として厚さが38μmのPETセパ紙を剥離可能に設けた。
このようにして、受容層27/ラベル基材21/パーターン状の剥離層23/紫外線吸収層26/印刷層28/粘着層29/剥離紙31が順に設けられている印字用脆質ラベル20を得た。
【0047】
該印字用脆質ラベル20をロール状のまま、受容層27面へインクジェット印刷法で顔料系インキを用いて、顔写真と名前を印字し画像103を形成した。該印字済み受容層27面へ、先に製造しておいたハードコート層転写箔10の接着層19を重ねて加熱ロールで加圧し転写箔基材11を剥離し除去した。このようにして、画像103が形成された受容層27面へ、接着層19/紫外線吸収16層/ハードコート層15/剥離層13が転写された脆質ラベル30を得た。
【0048】
(実施例2)
(ホログラム転写箔の準備)ハードコート層15に代えて、ホログラム層35及び反射層37を設ける以外は実施例1と同様にして実施例2のホログラム転写箔10Aを得た。
ホログラム層35としては、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが5μmになるように、塗工し乾燥させた。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
ユピマーUV−V3031(三菱化学社製、UV硬化性樹脂商品名)100質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.5質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径3〜5μm、球状) 2質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 5質量部
酢酸エチル 300質量部
次に、該層面へ、立体の社章の2光束干渉法によるホログラムから、2P法で複製した絵柄(立体の社章像を再生するレリーフ)と、該絵柄毎にホログラムマークが設けて一対とし、該一対を複製の流れ方向へ順次羅列して複数絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層35を形成した。
該ホログラム層35のレリーフ面へコロナ処理を行い、厚さ500nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して反射層37とした。
【0049】
実施例1の印字用脆質ラベル20をロール状のまま、受容層27面へインクジェット印刷法で顔料系インキを用いて、顔写真と名前を印字し画像103を形成した。該印字済み受容層27面へ、実施例2のホログラム転写箔10Aの接着層19を重ねて加熱ロールで加圧し転写箔基材11を剥離し除去した。このようにして、画像103が形成された受容層27面へ、接着層19/紫外線吸収16層/反射層37/ホログラム層35/剥離層13が転写された脆質ラベル30を得た。該脆質ラベル30を25×35mmに切断して、クレジットカードサイズのポリ塩化ビニル製の社員証へ貼着した。ホログラム(立体の社章像)の下に、白地背景にインクジェット方式で印字された顔写真と名前の鮮明な画像が観察された。また、該脆質ラベル30を無理やり剥がしたところ、パターン状の剥離層23からムラムラに剥がれ再使用することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の脆質ラベルの製造方法のステップ図である。
【図2】本発明に用いるハードコート層転写箔の断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す印字用脆質ラベルの断面図である。
【図4】ハードコート層転写箔を印字用脆質ラベルへ転写する説明図である。
【図5】本発明の1実施例を示す脆質ラベルの断面図である。
【図6】本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10:ハードコート層転写箔
10A:ホログラム転写箔
11:転写箔基材
13:剥離層
15:ハードコート層
16:紫外線吸収層
19:接着層
20:印字用脆質ラベル
21:ラベル基材
23:剥離層(パターン状)
26:紫外線吸収層
27:受容層
28:印刷層
30:脆質ラベル
31:剥離紙
35:ホログラム層
37:反射層
101:被貼着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆質ラベルの製造方法であって、(1)転写箔基材と、該転写箔基材の一方の面に剥離層、ハードコート層、紫外線吸収層、及び接着層が順に積層されてなるハードコート層転写箔を準備するハードコート層転写箔準備工程と、(2)ラベル基材と、該ラベル基材の一方の面に受容層を有し、前記ラベル基材の他方の面にパーターン状の剥離層、紫外線吸収層、印刷層、及び粘着層が順に積層されてなり、前記粘着層へ剥離可能に剥離紙が設けられている印字用脆質ラベルを準備する印字用脆質ラベル準備工程と、(3)前記印字用脆質ラベルの受容層へインクジェット方式で画像を印字して、印字済み脆質ラベルとする画像形成工程と、(4)前記印字済み脆質ラベルの画像が形成された受容層面へ、前記ハードコート層転写箔の接着層面を重ね合わせて加熱加圧し、前記ハードコート層転写箔の転写箔基材及び剥離層を剥離することによって、画像が形成された受容層面へ、接着層、紫外線吸収層、及びハードコート層を転写して脆質ラベルとするハードコート層転写工程と、からなることを特徴とする脆質ラベルの製造方法。
【請求項2】
上記ハードコート層転写箔のハードコート層に代えて、ホログラム層及び反射層層を設けることで、ハードコート層転写箔が転写箔基材と、該転写箔基材の一方の面に剥離層、ホログラム層、反射層、紫外線吸収層、及び接着層が順に積層されてなることを特徴とする請求項1記載の脆質ラベルの製造方法。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の脆質ラベルの製造方法で製造されている脆質ラベルであって、該脆質ラベルを被貼着材に貼り付けた後に剥離した時に、パターン状剥離層のパターンに従って、パターン印刷部ではラベル基材から剥がれて被貼着材に残り、パターンのない部分ではラベル基材に接着したまま除去され、被貼着材に剥離層のパターンに応じた紫外線吸収層、印刷層、及び粘着層の残留物が残されることで、剥離の判定ができることを特徴とする脆質ラベル。
【請求項4】
請求項1〜2のいずれかに記載の脆質ラベルの製造方法で用いられるる印字用脆質ラベルであって、ラベル基材と、該ラベル基材の一方の面に受容層を有し、前記ラベル基材の他方の面にパーターン状の剥離層、紫外線吸収層、印刷層、及び粘着層が順に積層されてなり、前記粘着層へ剥離可能に剥離紙が設けられていることを特徴とする印字用脆質ラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−69718(P2009−69718A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240438(P2007−240438)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】