説明

脱穀ハウジング

【課題】開放状態にある前記扱室カバーを閉塞位置へ向けて回動させる際に、前記扱室カバーに設けられた係合凹部が前記脱穀機枠側の固定部材に設けられた係合凸部に確実に係合することを可能とする脱穀ハウジングを提供する。
【解決手段】脱穀機枠41の上方開口が開放されている状態から扱室カバー400を枢支軸401回り下方側(矢符B1側)へ回動させる際に、扱室カバー400が閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中においては、ロックアーム404のガイド面404aが脱穀機枠41側の係合凸部411aと係合することでロックアーム404が付勢部材405の付勢力に抗して回動軸線回り他方側(矢符A2側)へ回動されつつ、扱室カバー400が閉塞位置に到達すると、係合凹部404bが係合凸部411aと係合することで扱室カバー400が閉塞位置に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように前記脱穀機枠に枢支軸回り回動可能に連結された扱室カバーとを備えた脱穀ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀機枠の上方開口を閉塞および開放し得るように扱室カバーが枢支軸回り回動可能に連結されてなる脱穀ハウジングは、コンバイン等において利用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように前記脱穀機枠に枢支軸回り回動可能に連結された扱室カバーとを備えた脱穀ハウジングにおいて、前記扱室カバーに、前記枢支軸と平行な回動軸と、前記回動軸に相対回転不能に連結された操作レバーと、前記回動軸に相対回転不能に連結された係合フックとを設け、前記脱穀機枠に、前記係合フックに対応した係合ピンを設けた構成が開示されている。
【0004】
詳しくは、前記従来構成においては、前記操作レバーを前記回動軸の軸線(以下、回動軸線という)回り下方へ操作すると、該操作レバーに連動して前記係合フックが前記係合ピンと係合して前記扱室カバーが閉塞位置に係止される。そして、前記操作レバーを前記回動軸線回り上方へ操作すると、該操作レバーに連動して前記係合フックが前記係合ピンから脱離して前記扱室カバーを開放させることが可能となっている。
【0005】
しかしながら、前記従来構成においては、前記操作レバーおよび前記係合フックが前記回動軸線回りに常時連動する為、開放状態にある前記扱室カバーを閉塞位置へ向けて閉塞操作する際、前記扱室カバーが閉塞位置に位置する前に、前記係合フックが前記回動軸線回りに関し前記係合ピンと係合する位置まで回動してしまい、これにより、前記係合フックおよび前記係合ピンが干渉したり、前記係合ピンが係合フックの背面側(すなわち、前記係合フックの係合凹部とは反対側の表面側)に位置するという事態が生じ易かった。
【0006】
詳しく説明すると、前記操作レバーおよび前記係合フックは、常時、前記回動軸線回りに一体的に回転する。つまり、前記係合フックは、前記操作レバーの前記回動軸線回りの回動に応じて、該回動軸線回りに係合位置または解除位置に位置する。
したがって、開放状態にある前記扱室カバーに対して前記操作レバーを下方へ押動させて、前記扱室カバーを前記枢支軸回り下方へ回動させる際に、前記扱室カバーは未だ閉塞位置に位置していないにもかかわらず、前記係合フックが前記操作レバーの前記回動軸線回りの回動に連動して前記回動軸線回りに前記係合位置に位置することが起こり得る。
このような事態が生じると、前記係合フックおよび前記係合ピンが干渉したり、前記係合ピンが係合フックの背面側に位置することになる。
【特許文献1】特開平5−84015公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように前記脱穀機枠に枢支軸回り回動可能に連結された扱室カバーとを備えた脱穀ハウジングであって、開放状態にある前記扱室カバーを閉塞位置へ向けて回動させる際に、前記扱室カバーに設けられた係合凹部が前記脱穀機枠側の固定部材に設けられた係合凸部に確実に係合することを可能とする脱穀ハウジングの提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る脱穀ハウジングは、上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように前記脱穀機枠に枢支軸回り回動可能に連結された扱室カバーとを備えた脱穀ハウジングであって、前記扱室カバーには、前記枢支軸と略平行な状態で軸線回り回転自在に支持された回動軸と、前記回動軸に対して回動軸線回り相対回転不能とされた外部操作可能な開閉操作部材と、前記回動軸に相対回転自在に支持されたロックアームと、前記ロックアームを前記回動軸線回り一方側へ付勢する付勢部材と、前記ロックアームの前記一方側への回動端を画するロックアーム用停止部材と、前記開閉操作部材が前記回動軸線回り他方側へ押動操作される際に前記付勢部材の付勢力に抗して前記ロックアームを前記回動軸線回り他方側へ回動させるように前記回動軸に軸線回り相対回転不能に支持された押動部材とが設けられており、前記ロックアームは、前記回動軸線回り一方側を向く面に、ガイド面と、前記回動軸線を基準にして前記ガイド面の径方向内方側に隣接された係合凹部とを有し、前記脱穀機枠側の固定部材には、前記ガイド面および前記係合凹部と係合可能な係合凸部が設けられており、前記脱穀機枠の上方開口が開放されている状態から前記扱室カバーを前記枢支軸回り下方側へ回動させる際に、前記扱室カバーが閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中においては、前記ガイド面が前記係合凸部と係合することで前記ロックアームが前記付勢部材の付勢力に抗して前記回動軸線回り他方側へ回動されつつ、前記扱室カバーが閉塞位置に到達すると、前記係合凹部が前記係合凸部と係合することで前記扱室カバーが閉塞位置に係止されることを特徴とするものである。
【0009】
上記構成の脱穀ハウジングによれば、上方が開口された脱穀機枠に扱室カバーが連結され、脱穀機枠に対して枢支軸回りに回動することにより脱穀機枠の上方開口が閉塞および開放される。この際、扱室カバーの外部操作可能な開閉操作部材を用いて閉塞および開放動作が行われる。開閉操作部材は、扱室カバーに枢支軸と略平行な状態で軸線回り回転自在に支持された回動軸に対して回動軸線回り相対回転不能に固定されている。
また、回動軸には、相対回転自在に支持されたロックアームが設けられ、付勢部材により回動軸線回り一方側に付勢されている。一方、ロックアーム用停止部材により、付勢されたロックアームの前記一方側への回動端が画される。そして、開閉操作部材が回動軸線回り他方側(扱室カバーを開放する方向)へ押動操作されると、押動部材により、ロックアームが付勢部材の付勢力に抗して回動軸線回り他方側に回動される。
さらに、脱穀機枠の上方開口が開放されている状態から前記扱室カバーを前記枢支軸回り下方側へ回動させると、前記扱室カバーが閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中においては、ロックアームの回動軸線回り一方側を向く面に設けられたガイド面と脱穀機枠側の固定部材に設けられた係合凸部とが係合することでロックアームが前記付勢部材の付勢力に抗して前記回動軸線回り他方側へ回動される。ここで、ロックアームには、前記回動軸線を基準にしてガイド面の径方向内方側に隣接して係合凹部が設けられており、扱室カバーが閉塞位置に到達すると、ロックアームの係合凹部が付勢部材の付勢力によって脱穀機枠側の固定部材の係合凸部と係合して、前記扱室カバーが閉塞位置に係止される。
【0010】
以上のように、ロックアームを開閉操作部材が固定された回動軸に相対回転自在に支持し、かつ、付勢部材によってロックアームを回動軸の軸線回り一方側へ付勢した上で、ロックアーム用停止部材によりロックアームの前記一方側への回動端が画されることにより、脱穀機枠側の係合凸部がロックアームの背面側に位置することを防止することができる。
しかも、扱室カバーが閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中において、ロックアームのガイド面と脱穀機枠側の係合凸部とが係合されることにより、ロックアームが付勢部材の付勢力に抗して前記回動軸線回り他方側へ回動されるため、ロックアームおよび係合凸部が干渉することを防止することができる。
また、ロックアームを回動軸線回り一方側に付勢するとともに、ロックアームのガイド面に隣接して係合凹部が設けられることにより、扱室カバーが閉塞位置に到達した際、脱穀機枠側の係合凸部とロックアームの係合凹部とをロックアームに付与された付勢力を用いて確実に係合することができる。
【0011】
好ましくは、前記扱室カバーには、さらに、前記開閉操作部材を用いて前記扱室カバーを開放方向へ押動する際に前記開閉操作部材の前記回動軸線回り他方側の回動端を画する開放操作時停止部材と、前記開閉操作部材を用いて前記扱室カバーを閉塞方向へ押動する際に前記開閉操作部材の前記回動軸線回り一方側の回動端を画する第1閉塞操作時停止部材とが設けられ、前記開放操作時停止部材は、前記開閉操作部材を用いて閉塞位置に位置する前記扱室カバーを前記枢支軸回りに回動させる際に、前記係合凹部および前記係合凸部の係合が解除するまで前記押動部材を介して前記ロックアームを前記回動軸線回り他方側へ回動させることが可能なように、前記開閉操作部材が前記回動軸線回り他方側へ回動することを許容する位置に設けられ、前記第1閉塞操作時停止部材は、前記開閉操作部材を用いて閉塞位置へ向けて前記扱室カバーを前記枢支軸回りに回動させる際に、前記付勢部材の付勢力によって前記ロックアームが前記ロックアーム用停止部材と係合することを許容する位置まで、前記押動部材が前記回動軸線回り一方側へ退避するように、前記開閉操作部材が前記回動軸線回り一方側へ回動することを許容する位置に設けられているように構成される。
【0012】
この場合、扱室カバーに設けられた開放操作時停止部材により、開閉操作部材の回動軸線回り他方側への回動端が画されるため、開閉操作部材の回動軸線回り他方側への回動の力が扱室カバーを開放方向へ押動する力に変換される。
このとき、開閉操作部材を用いて閉塞位置に位置する扱室カバーを枢支軸回りに回動させる際に、係合凹部および係合凸部の係合が解除するまで押動部材を介してロックアームを回動軸線回り他方側へ回動させることが可能なように、前記開閉操作部材の回動軸線回り他方側への回動が許容される。
一方、扱室カバーに設けられた第1閉塞操作時停止部材により、開閉操作部材の回動軸線回り一方側への回動端が画されるため、開閉操作部材の回動軸線回り一方側への回動の力が扱室カバーを閉塞方向へ押動する力に変換される。このとき、開閉操作部材を用いて閉塞位置へ向けて扱室カバーを枢支軸回りに回動させる際に、付勢部材の付勢力によってロックアームがロックアーム用停止部材と係合することを許容する位置まで、押動部材が回動軸線回り一方側へ退避するように、開閉操作部材の回動軸線回り一方側への回動が許容される。
このように、開放操作時停止部材および第1閉塞操作時停止部材の位置を最適化することにより、脱穀機枠側の係合凸部とロックアームのガイド面との係合を確実に行うとともに、脱穀機枠側の係合凸部とロックアームの係合凹部との係合および係合解除を確実に行うことができる。
【0013】
さらに好ましくは、前記扱室カバーには、前記回動軸を軸線回り回転自在に支持する支持アームが固着されており、前記支持アームは、前記回動軸と直交する方向に延びる軸受プレート部であって、前記回動軸が挿通される軸受孔が形成された軸受プレート部と、前記軸受プレート部から前記回動軸と平行する方向に延びる第1延在片および第2延在片とを有しており、前記第1延在片が前記ロックアーム用停止部材として作用し、前記第2延在片が前記開放操作時用停止部材として作用しているように構成される。
【0014】
この場合、回動軸は、支持アームに設けられた軸受プレート部の軸受穴に挿通されて、軸受プレート部と直交する向きに、軸線回り回転自在に支持される。この軸受プレート部には、回動軸と平行する方向に第1延在片および第2延在片が軸受プレート部から延出して設けられており、第1延在片がロックアーム用停止部材として作用し、第2延在片が開放操作時用停止部材として作用する。
このように、ロックアーム用停止部材および開放操作時用停止部材を軸受プレート部を延在させることにより形成するため、部品点数の増加を防止し、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0015】
さらに好ましくは、前記第2延在片は、前記第1閉塞操作時用停止部材としても作用しているように構成される。
【0016】
この場合、第2延在片が開放操作時用停止部材と第1閉塞操作時用停止部材とのいずれとしても作用する。これにより、部品点数の増加をさらに防止し、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0017】
好ましくは、前記扱室カバーには、前記開閉操作部材を用いて前記扱室カバーを閉塞方向へ押動する際に前記開閉操作部材と係合して該開閉操作部材の前記回動軸線回り一方側の回動端を画する第2閉塞操作時停止部材が設けられているように構成される。
【0018】
この場合、開閉操作部材を用いて扱室カバーを閉塞方向へ押動する際に、扱室カバーに設けられた第2閉塞操作時停止部材と開閉操作部材とが係合して開閉操作部材の回動軸線回り一方側の回動端となり、開閉操作部材の回動軸線回り一方側への回動の力が扱室カバーを閉塞方向へ押動する力に変換される。
したがって、第1閉塞操作時停止部材とともに第2閉塞操作時停止部材を設けることにより、例え第1閉塞操作時停止部材による開閉操作部材の回動軸線回り一方側の回動端としての作用が十分でない場合でも、確実に開閉操作部材の回動軸線回り一方側への回動の力を扱室カバーを閉塞方向へ押動する力に変換させることができる。
【0019】
好ましくは、前記ガイド面は、自由端側へ行くに従って前記回動軸線回り他方側に位置するように傾斜または湾曲されているように構成される。
【0020】
この場合、ロックアームのガイド面がロックアームの自由端側に行くに従って回動軸回り他方側に位置するように傾斜または湾曲されている。
したがって、ガイド面が脱穀機枠側の係合凸部に係合した際、扱室カバーが閉塞方向へ回動される際、係合凸部を確実にガイド面上に係合させることができ、これにより扱室カバーを閉塞位置に位置させる際に、係合凸部がロックアームの背面側(係合凹部が形成された側とは反対側)に位置するという不都合を防止することができる。
【0021】
好ましくは、前記扱室カバーを開放方向へ付勢する付勢部材がさらに備えられているように構成される。
【0022】
この場合、付勢部材により扱室カバーが開放方向に付勢される。これにより、閉塞位置に位置する扱室カバーを開放させる際に、係合凸部とロックアームの係合凹部とを解除させるだけで、扱室カバーを自動的に開放位置に位置させることができる。
【0023】
好ましくは、前記回動軸は、前端部および後端部がそれぞれ前記脱穀機枠の前端面および後端面より外方へ延在するように、前記扱室カバーに支持されており、前記ロックアーム、前記付勢部材、前記ロックアーム用停止部材および前記押動部材は、前記回動軸の前端部および後端部の双方に設けられており、前記係合凸部は、前記脱穀機枠の前端面側および後端面側にそれぞれ設けられているように構成される。
【0024】
この場合、回動軸の前端部および後端部は、それぞれ脱穀機枠の前端面および後端面より外方に延在した状態で扱室カバーに支持される。そして、ロックアーム、付勢部材、ロックアーム用停止部材および押動部材は、回動軸の前端部および後端部の双方に設けられる。一方、係合凸部は、脱穀機枠の前端面側および後端面側のそれぞれに設けられる。
したがって、脱穀機枠の前端面側および後端面側の双方においてロックアームによる扱室カバーとの係合がなされるため、扱室カバーを閉塞した際に、係合を強固にすることができるとともに、回動軸が共通するため、1つの開閉操作部材を押動することにより双方のロックアームの係合および係合解除動作を同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る脱穀ハウジングによれば、ロックアームを開閉操作部材が固定された回動軸に相対回転自在に支持し、かつ、付勢部材によってロックアームを回動軸の軸線回り一方側へ付勢した上で、ロックアーム用停止部材によりロックアームの前記一方側への回動端が画されることにより、脱穀機枠側の係合凸部がロックアームの背面側に位置することを防止することができる。
しかも、扱室カバーが閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中において、ロックアームのガイド面と脱穀機枠側の係合凸部とが係合されることにより、ロックアームが付勢部材の付勢力に抗して前記回動軸線回り他方側へ回動されるため、ロックアームおよび係合凸部が干渉することを防止することができる。
また、ロックアームを回動軸線回り一方側に付勢するとともに、ロックアームのガイド面に隣接して係合凹部が設けられることにより、扱室カバーが閉塞位置に到達した際、脱穀機枠側の係合凸部とロックアームの係合凹部とをロックアームに付与された付勢力を用いて確実に係合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1〜図3は、それぞれ、本発明の一実施形態が適用されたコンバインの斜視図、側面図および正面図である。また、図4は図1のコンバインにおける伝動模式図である。
【0027】
本実施形態のコンバイン1は、図1〜図3および図4に示すように、本機フレーム2と、前記本機フレーム2に支持された駆動源9と、前記本機フレーム2に連結された左右一対のクローラ式走行装置10と、前記駆動源9からの回転動力を変速して前記一対のクローラ式走行装置10へ出力するトランスミッション15と、前記本機フレーム2の前方において該本機フレーム2に昇降可能に支持された刈取装置30と、前記刈取装置30によって刈り取られた穀稈を前記本機フレーム2の左側方において後方へ搬送するフィードチェーン装置20と、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈に対して脱穀処理を行うように、前記本機フレーム2の左部分に配設された脱穀装置40と、前記本機フレーム2の右前方部分に配設された運転席5と、脱穀装置によって脱穀された穀粒を収容するグレンタンク6と、前記フィードチェーン装置20から脱穀済の排藁を受け継ぎ、該排藁を後方へ搬送する排藁搬送装置7とを備えている。なお、フィードチェーン装置20はフィードチェーンカバー200(図1〜図3参照)によって覆われている。
【0028】
前記刈取装置30は、穀稈を刈り取る刈取部31と、該刈取部31によって刈り取られた穀稈をフィードチェーン装置20へ搬送する搬送部36とを備えている。
前記刈取部31は、引起ケースおよび引起タインを含む引起機構32と、前記引起ケースの下方部から前方へ突出された分草板33と、前記引起ケースの後方に配設された刈刃34とを有している。
前記搬送部36は、上部搬送機構および縦搬送機構を含み、刈り取られた穀稈の株元を前記フィードチェーン装置20へ受け継ぐように構成されている。
【0029】
図5および図6は、それぞれ、前記脱穀装置40および前記フィードチェーン装置500の斜視図および平面図である。フィードチェーン装置20は、刈取装置30から受け継いだ刈取穀稈を穂先側が脱穀装置40の扱室(後述)に突入した状態で搬送する。より具体的には、フィードチェーン装置20は、本機フレーム2に対して回動軸201回り回動自在とされたFCレール部材21と、前記駆動源9に作動連結された駆動スプロケット202および従動スプロケット203を含むFC駆動機構22と、FC駆動機構22およびFCレール部材21に巻き回されたフィードチェーン23とを備えている。
【0030】
また、図7および図8は、それぞれ本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図および部分正面図である。脱穀装置40は、フィードチェーン装置20により搬送された穀稈を脱穀する扱胴45と、扱胴45を収容し、上方が開口とされた脱穀機枠41と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように脱穀機枠41に枢支軸402回りに回動可能に連結された扱室カバー400とを備えている。扱胴45は、コンバイン1の前後方向に沿って配設された扱胴駆動軸46に相対回転不能に支持されており、駆動源9からの動力が扱胴駆動軸46に作動的に伝達されることにより回転駆動する。
なお、図7および図8においては、扱室カバー400は、脱穀機枠41の外側面のうち前記フィードチェーン装置20より上方部分をも覆う構成となっている。
ここで、フィードチェーン装置20は、FCレール部材21の車輌幅方向内側面に支持された内側カバー部材25をさらに具備する。この内側カバー部材25は、脱穀装置40の外側面のうち下方部分を覆うように構成されており、本機フレーム2に対してフィードチェーン装置20を回動軸201回りに回動可能とされることにより、脱穀装置40の左側面下方が開閉可能に構成される。つまり、扱室は、脱穀機枠41および扱室カバー400により構成される脱穀ハウジングとフィードチェーン装置20の内側カバー部材25により形成される。
【0031】
コンバイン1は、さらに、図5および図6に示すように、前記フィードチェーン装置20の上方に位置し、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈を前記フィードチェーン23に向けて押圧する藁押さえ装置24を有している。より具体的には、前記藁押さえ装置24は、穀稈搬送方向に沿った固定レール241と、前記フィードチェーン23と対向配置される可動レール242と、前記固定レール241および前記可動レール242の間に配置され、前記可動レール242を前記フィードチェーン23へ向けて押圧するコイルスプリング等の付勢部材243とを備えている。
藁押さえ装置24は、扱室カバー400に支持されており、扱室カバー400に着脱可能に装着または回動可能に連結された藁押さえカバー240(図1〜図3参照)によって覆われている。
【0032】
なお、脱穀装置40は、脱穀機枠41の下方に配設された揺動選別装置(図示せず)と、前記揺動選別装置によって選別された穀粒を集約する樋構造体(図示せず)とをさらに備えている。
揺動選別装置は、扱胴45によって脱穀された被脱穀物から穀粒を、比重選別すると共に、唐箕ファン(図示せず)からの選別風によって風選別するように構成されている。
また、樋構造体は、フィードチェーン装置20の搬送方向上流側から下流側へ直列配置された一番樋および二番樋(ともに図示せず)を有している。
一番樋および二番樋には、図4に示すように、それぞれ一番コンベア58aおよび二番コンベア59aが配置されており、一番樋に集約された一番穀粒は一番コンベア58aおよび揚穀コンベア58bを介して前記グレンタンク6内に搬入され、二番樋に集約された二番穀粒は二番コンベア59aと二番還元コンベア59bを含む二番還元装置とによって、揺動選別装置へ戻されるようになっている。
【0033】
ここで、本実施形態の脱穀ハウジングの構造についてより詳しく説明する。
図7および図8に示すように、本実施形態の脱穀ハウジングにおいて、前記扱室カバー400には、前記枢支軸401と略平行な状態で軸線回り回転自在に支持された回動軸402と、前記回動軸402に対して回動軸線回り相対回転不能とされた外部操作可能な開閉操作部材403と、前記回動軸402に相対回転自在に支持されたロックアーム404と、前記ロックアーム404を前記回動軸線回り一方側(矢符A1側)へ付勢する付勢部材405と、前記ロックアームの前記一方側への回動端を画するロックアーム用停止部材である第1延在片406と、前記開閉操作部材403が前記回動軸線回り他方側(矢符A2側)へ押動操作される際に前記付勢部材405の付勢力に抗して前記ロックアーム404を前記回動軸線回り他方側へ回動させるように前記回動軸402に軸線回り相対回転不能に支持された押動部材407とが設けられている。
また、前記ロックアーム404は、前記回動軸線回り一方側を向く面に、ガイド面404aと、前記回動軸線を基準にして前記ガイド面404aの径方向内方側に隣接された係合凹部404bとを有し、前記脱穀機枠41側の固定部材411には、前記ガイド面404aおよび前記係合凹部404bと係合可能な係合凸部411aが設けられている。
【0034】
図9は、本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置から閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中にある場合の脱穀装置近傍の部分正面図である。また、図10および図11は、それぞれ本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の閉塞位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図および部分正面図である。
本実施形態の脱穀ハウジングは、前記脱穀機枠31の上方開口が開放されている状態(図7および図8)から前記扱室カバー400を前記枢支軸401回り下方側(矢符B1側)へ回動させる際に、前記扱室カバー400が閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中においては、図9に示すように、まず、前記ガイド面404aが前記係合凸部411aと係合することで前記ロックアーム404が前記付勢部材405の付勢力(矢符A1方向)に抗して前記回動軸線回り他方側(矢符A2側)へ回動され、その後、さらに前記扱室カバー400が前記枢支軸回り下方側(矢符B1側)へ回動され、前記扱室カバー400が閉塞位置に到達すると、図10および図11に示すように、前記係合凹部404bが前記係合凸部411aと係合することで前記扱室カバー400が閉塞位置に係止されることを特徴とするものである。
【0035】
上記構成の脱穀ハウジングによれば、上方が開口された脱穀機枠41に扱室カバー400が連結され、脱穀機枠41に対して枢支軸401回りに回動することにより脱穀機枠41の上方開口が閉塞および開放される。この際、扱室カバー400の外部操作可能な開閉操作部材403を用いて閉塞および開放が行われる。
以下、順に説明する。
【0036】
まず、図10および図11に示す脱穀機枠41の上方開口の閉塞状態においては、扱室カバー400が閉塞位置にあり、脱穀機枠41の固定部材(プレート部材)411に設けられた係合凸部411aとロックアーム404の係合凹部404bとが係合されて係止されている。
この状態において、開閉操作部材403を回動軸線回り他方側(扱室カバー400を開放する方向)に押動すると、扱室カバー400の枢支軸401と略平行な状態で軸線回り回転自在に支持された回動軸402および回動軸402に軸線回り相対回転不能に支持された押動部材407も回動軸線回り他方側に回動する。本実施形態において、扱室カバー400には、回動軸402と直交する方向に延びた軸受プレート部409aを有する支持アーム409が固着されており、軸受けプレート部409に形成された軸受孔410に回動軸402が挿通されて、軸線回り回転自在に支持される。
また、扱室カバー400には、開閉操作部材403を用いて扱室カバー400を開放方向へ押動する際に開閉操作部材403の回動軸線回り他方側(矢符A2)の回動端を画する開放操作時停止部材である第2延在片408が設けられている。本実施形態において、第2延在片408は、前記軸受プレート部409aから回動軸402と平行する方向に延びている。なお、第2延在片408(後述する第1延在片406も同様)と軸受プレート部409aとは、一体成型あるいは1つのプレート部材から折り曲げ加工して成型することにより形成してもよいし、別体として形成してもよい。
【0037】
一方、ロックアーム404は、回動軸402に相対回転自在に支持されており、付勢部材405により回動軸線回り一方側(矢符A1側)に付勢されている。本実施形態の付勢部材405は、回動軸402に巻き回された弦巻ばねの一端部405aをロックアーム404の回動軸線回り他方側を向く面に係合することにより実現しているが、これに限られない。
ここで、押動部材407が回動軸線回り他方側に回動することにより、ロックアーム404は、付勢部材405による付勢力に抗して回動軸線回り他方側(矢符A2側)に回動される。
このとき、開閉操作部材403を用いて閉塞位置に位置する扱室カバー400を枢支軸401回りに回動させる際に、係合凹部404bおよび係合凸部411aの係合が解除するまで押動部材407を介してロックアーム404を回動軸線回り他方側へ回動させることが可能なように、前記第2延在片408は、前記開閉操作部材403の回動軸線回り他方側への回動を許容するように位置設定されている。
つまり、係合凹部404bと係合凸部411aとの係合が解除されるまでは、押動部材407が第2延在片に当接することなく回動軸線回り他方側に回動される。このように、開放操作時停止部材である第2延在片408の位置を最適化することにより、脱穀機枠41側の係合凸部411aとロックアーム404の係合凹部404bとの係合解除を確実に行うことができる。
【0038】
開閉操作部材403を回動軸線回り他方側に回動していくと、開閉操作部材403とともに回動する押動部材407が扱室カバー400に設けられた第2延在片408に係合する。本実施形態においては、押動部材407の上側端部が第2延在片408の側面上に当接する。このとき、第2延在片408は、開放操作時停止部材として作用し、開閉操作部材403の回動軸線回り他方側への回動端が画される。したがって、さらに開閉操作部材403を回動軸線回り他方側へ回動させようとすると、回動軸線回り他方側への回動の力が扱室カバー400を開放方向へ押動する力に変換される。
これにより、扱室カバー400が枢支軸401回り上方側(矢符B2側)に回動されて閉塞位置から開放位置へと移動する。
なお、本実施形態においては、扱室カバー400を開放方向へ付勢する付勢部材であるダンパー42がさらに備えられているように構成される。この場合、ダンパー42により扱室カバー400が開放方向に付勢される。これにより、開閉操作部材403の押動操作により、係合凸部411aと係合凹部404bとの係合が解除された後は、自動的に扱室カバー400が開放方向に回動する。また、扱室カバー400が開放位置で停止させた際にも、ダンパー42により扱室カバー400が開放方向へ付勢されるため、開放状態が維持されて、作業中における扱室カバー400の落下を防止することができる。
【0039】
続いて、扱室カバー400が開放位置にある状態から閉塞される態様を説明する。扱室カバー400が開放位置にある状態から開閉操作部材404を回動軸線回り一方側(扱室カバー400を閉塞させる方向)に押動すると、回動軸402および押動部材407も回動軸線回り一方側に回動する。押動部材407が回動軸線回り一方側に回動すると、押動部材404に規制されていたロックアーム404も付勢部材405による回動軸線回り一方側への付勢力により、回動軸線回り一方側(矢符A1側)に回動する。
一方、軸受プレート部409aには、第2延在片408と同様に、回動軸402と平行する方向に延びる第1延在片406が設けられている。本実施形態においては、第1延在片406および第2延在片408を軸受プレート部409aから延在した1つのプレートで形成するため、部品点数の増加を防止し、製造工程の簡略化を図ることができる。
ロックアーム404が前述したように回動軸線回り一方側に回動すると、所定の位置でロックアームの回動軸線一方側の面に第1延在片406が当接する。つまり、第1延在片406がロックアーム用停止部材として作用して、付勢されたロックアーム406の回動軸線回り一方側への回動端が画される。
さらに、開閉操作部材403を回動軸線回り一方側に押動すると、ロックアーム404は、前記回動軸402にほじされたままで、開閉操作部材403、押動部材407および回動軸402が回動軸線回り一方側へ回動する。
【0040】
この後、開閉操作部材403の回動軸線回り一方側へのさらなる押動により、押動部材407が第2延在片408に係合する。本実施形態においては、図7および図8に示すように、押動部材407の側面(回動軸402に対して開閉操作部材403が支持されている側とは反対側の面)が第2延在片408の下方端部に当接する。このとき、第2延在片408は、第1閉塞操作時停止部材として作用し、開閉操作部材403の回動軸線回り一方側への回動端が画される。したがって、さらに開閉操作部材403を回動軸線回り一方側へ回動させようとすると、回動軸線回り一方側への回動の力が扱室カバー400を閉塞方向へ押動する力に変換される。
本実施形態においては、第2延在片408が開放操作時用停止部材と第1閉塞操作時用停止部材とのいずれとしても作用するため、部品点数の増加をさらに防止し、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0041】
また、このとき、開閉操作部材403を用いて閉塞位置へ向けて扱室カバー400を枢支軸401回りに回動させる際に、付勢部材405の付勢力によってロックアーム404がロックアーム用停止部材である第1延在片406と係合することを許容する位置まで、押動部材407が回動軸線回り一方側へ退避するように、第2延在片408が開閉操作部材403の回動軸線回り一方側への回動を許容するように位置設定されている。
【0042】
なお、本実施形態においては、前記扱室カバー400に、開閉操作部材403を用いて扱室カバー400を閉塞方向へ押動する際に開閉操作部材403と係合して開閉操作部材403の回動軸線回り一方側の回動端を画する第2閉塞操作時停止部材43がさらに設けられている。本実施形態においては、開閉操作部材403の基端部のそれぞれに当接可能に構成される。
この場合、開閉操作部材403を用いて扱室カバー400を閉塞方向へ押動する際に、扱室カバー400に設けられた第2閉塞操作時停止部材43と開閉操作部材403とが係合して開閉操作部材403の回動軸線回り一方側の回動端となり、開閉操作部材403の回動軸線回り一方側への回動の力が扱室カバー400を閉塞方向へ押動する力に変換される。
したがって、第1閉塞操作時停止部材である第2延在片408とともに第2閉塞操作時停止部材43を設けることにより、扱室カバー400の閉塞方向への押動操作によって第2延在片408にかかる負荷を軽減させるとともに、例え第2延在片408による開閉操作部材403の回動軸線回り一方側の回動端としての作用が十分でない場合でも、確実に開閉操作部材403の回動軸線回り一方側への回動の力を扱室カバー300を閉塞方向へ押動する力に変換させることができる。
【0043】
さらに、開閉操作部材403を回動軸線回り一方側へ押動すると、扱室カバー400が閉塞位置へ至るまでに、まず、ロックアーム404の回動軸線回り一方側を向く面に設けられたガイド面404aと脱穀機枠41側の固定部材411に設けられた係合凸部411aとが係合する。本実施形態においては、図9に示すように、ガイド面404aは、ロックアーム404の自由端側へ行くに従って回動軸線回り他方側に位置するように傾斜されている。したがって、製造誤差や構成部材の撓みが生じても、ガイド面404aと係合凸部411aとを確実に係合させることができる。ガイド面404aが係合凸部411aに当接した状態で、扱室カバー400が引き続き閉塞位置へ向けて回動されると、ロックアーム404は、付勢部材405の回動軸線回り一方側への付勢力に抗して回動軸線回り他方側へ回動される。
この際、係合凸部411aがガイド面404a上を回動軸402の径方向内方側(ロックアーム404の基端側)に相対的に摺動する(係合状態を維持しながら相対的に移動する)。
つまり、ロックアーム404は、ガイド面404aおよび係合凸部411aの係合によって付勢部材405の付勢に抗して回動軸線回り他方側へ回動しつつ、扱室カバー400とともに、枢支軸回り下方側へ移動する。なお、ガイド面404aは、直線状に形成されるだけでなく湾曲して形成されてもよい。
【0044】
ロックアーム404には、回動軸線を基準にしてガイド面404aの径方向内方側(ロックアーム404の基端側)に隣接して係合凹部404bが設けられている。そして、係合凹部404bは、扱室カバー400が閉塞位置に到達した際、係合凸部411aと係合する位置に設けられている。つまり、扱室カバー400を枢支軸回りに閉塞方向へ回動させると、ロックアーム404は、まず、ガイド面404aにおいて係合凸部411aと係合する。この状態において、扱室カバー400を引き続き閉塞方向へ回動させると、ロックアーム404は、係合凸部411aによって回動軸402の回動軸線回り他方側へ回動しつつ、扱室カバー400とともに枢支軸回り一方側(閉塞方向)へ回動する。そして、扱室カバー400が閉塞位置に位置した時点で、ロックアーム404は、係合凹部404bが係合凸部411aと対向するような位置に到達し、付勢部材405の付勢力によって、係合凹部404bが係合凸部411aと係合する。これにより、扱室カバー400が閉塞位置に係止される(図10および図11)。
【0045】
以上のように、ロックアーム404を開閉操作部材43が固定された回動軸402に相対回転自在に支持し、かつ、付勢部材405によってロックアーム404を回動軸402の軸線回り一方側(矢符A1側)へ付勢した上で、ロックアーム用停止部材である第1延在片406によりロックアーム404の回動軸線回り一方側(矢符A1側)への回動端が画されることにより、脱穀機枠41側の係合凸部411aがロックアーム404の背面側に位置することを防止することができる。
しかも、扱室カバー400が閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中において、ロックアーム404のガイド面404aと脱穀機枠41側の係合凸部411aとが係合されることにより、ロックアーム404が付勢部材405の付勢力に抗して回動軸線回り他方側(矢符A2側)へ回動されるため、ロックアーム404および係合凸部411aが干渉することを防止することができる。
また、ロックアーム404を回動軸線回り一方側に付勢するとともに、ロックアーム404のガイド面404aに隣接して係合凹部404bが設けられることにより、扱室カバー400が閉塞位置に到達した際、脱穀機枠41側の係合凸部411aとロックアーム404の係合凹部404bとをロックアーム400に付与された付勢力を用いて確実に係合することができる。
【0046】
また、開放操作時停止部材403および第1閉塞操作時停止部材として作用する第2延在片408の位置を最適化することにより、脱穀機枠41側の係合凸部411aとロックアーム404のガイド面404aとの係合を確実に行うとともに、脱穀機枠41側の係合凸部411aとロックアーム404の係合凹部404bとの係合を確実に行うことができる。
【0047】
なお、以上の説明においては、回動軸402の前端部側に設けられたロックアーム404等について動作説明したが、本実施形態においては、回動軸402の後端部側にもロックアーム404等が設けられている。図12は図7のコンバインを後方側から見た部分斜視図である。本実施形態において、前記回動軸402は、図12に示すように、前端部および後端部がそれぞれ前記脱穀機枠41の前端面および後端面より外方へ延在するように、前記扱室カバー400の前方および後方にそれぞれ設けられた支持アーム409の軸受プレート部409aに支持されている。そして、前記ロックアーム404、前記付勢部材405、前記第1延在片406、前記押動部材407および前記第2延在片408は、前記回動軸402の前端部および後端部の双方に設けられいる。一方、前記係合凸部411aは、前記脱穀機枠41の前端面側および後端面側にそれぞれ設けられている。
【0048】
したがって、脱穀機枠41の前端面側および後端面側の双方においてロックアーム404による扱室カバー400との係合がなされるため、扱室カバー400を閉塞した際に、係合を強固にすることができるとともに、回動軸402が共通するため、1つの開閉操作部材403を押動することにより双方のロックアーム404の係合および係合解除動作を同時に行うことができる。
【0049】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたコンバインの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態が適用されたコンバインの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用されたコンバインの正面図である。
【図4】図1のコンバインにおける伝動模式図である。
【図5】脱穀装置およびフィードチェーン装置の斜視図である。
【図6】脱穀装置およびフィードチェーン装置の平面図である。
【図7】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図である。
【図8】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分正面図である。
【図9】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置から閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中にある場合の脱穀装置近傍の部分正面図である。
【図10】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の閉塞位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図である。
【図11】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の閉塞位置にある場合の脱穀装置近傍の部分正面図である。
【図12】図7のコンバインを後方側から見た部分斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 コンバイン
2 本機フレーム
40 脱穀装置
41 脱穀機枠
42 ダンパー(付勢部材)
43 第2閉塞操作時用停止部材
400 扱室カバー
401 枢支軸
402 回動軸
403 開閉操作部材
404 ロックアーム
404a ガイド面
404b 係合凹部
405 付勢部材
406 第1延在片(ロックアーム用停止部材)
407 押動部材
408 第2延在片(開放操作時用および第1閉塞操作時用停止部材)
409 支持アーム
409a 軸受プレート部
410 軸受孔
411 固定部材
411a 係合凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように前記脱穀機枠に枢支軸回り回動可能に連結された扱室カバーとを備えた脱穀ハウジングであって、
前記扱室カバーには、前記枢支軸と略平行な状態で軸線回り回転自在に支持された回動軸と、前記回動軸に対して回動軸線回り相対回転不能とされた外部操作可能な開閉操作部材と、前記回動軸に相対回転自在に支持されたロックアームと、前記ロックアームを前記回動軸線回り一方側へ付勢する付勢部材と、前記ロックアームの前記一方側への回動端を画するロックアーム用停止部材と、前記開閉操作部材が前記回動軸線回り他方側へ押動操作される際に前記付勢部材の付勢力に抗して前記ロックアームを前記回動軸線回り他方側へ回動させるように前記回動軸に軸線回り相対回転不能に支持された押動部材とが設けられており、
前記ロックアームは、前記回動軸線回り一方側を向く面に、ガイド面と、前記回動軸線を基準にして前記ガイド面の径方向内方側に隣接された係合凹部とを有し、
前記脱穀機枠側の固定部材には、前記ガイド面および前記係合凹部と係合可能な係合凸部が設けられており、
前記脱穀機枠の上方開口が開放されている状態から前記扱室カバーを前記枢支軸回り下方側へ回動させる際に、前記扱室カバーが閉塞位置へ至るまでの閉塞移行中においては、前記ガイド面が前記係合凸部と係合することで前記ロックアームが前記付勢部材の付勢力に抗して前記回動軸線回り他方側へ回動されつつ、前記扱室カバーが閉塞位置に到達すると、前記係合凹部が前記係合凸部と係合することで前記扱室カバーが閉塞位置に係止されることを特徴とする脱穀ハウジング。
【請求項2】
前記扱室カバーには、さらに、前記開閉操作部材を用いて前記扱室カバーを開放方向へ押動する際に前記開閉操作部材の前記回動軸線回り他方側の回動端を画する開放操作時停止部材と、前記開閉操作部材を用いて前記扱室カバーを閉塞方向へ押動する際に前記開閉操作部材の前記回動軸線回り一方側の回動端を画する第1閉塞操作時停止部材とが設けられ、
前記開放操作時停止部材は、前記開閉操作部材を用いて閉塞位置に位置する前記扱室カバーを前記枢支軸回りに回動させる際に、前記係合凹部および前記係合凸部の係合が解除するまで前記押動部材を介して前記ロックアームを前記回動軸線回り他方側へ回動させることが可能なように、前記開閉操作部材が前記回動軸線回り他方側へ回動することを許容する位置に設けられ、
前記第1閉塞操作時停止部材は、前記開閉操作部材を用いて閉塞位置へ向けて前記扱室カバーを前記枢支軸回りに回動させる際に、前記付勢部材の付勢力によって前記ロックアームが前記ロックアーム用停止部材と係合することを許容する位置まで、前記押動部材が前記回動軸線回り一方側へ退避するように、前記開閉操作部材が前記回動軸線回り一方側へ回動することを許容する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脱穀ハウジング。
【請求項3】
前記扱室カバーには、前記回動軸を軸線回り回転自在に支持する支持アームが固着されており、
前記支持アームは、前記回動軸と直交する方向に延びる軸受プレート部であって、前記回動軸が挿通される軸受孔が形成された軸受プレート部と、前記軸受プレート部から前記回動軸と平行する方向に延びる第1延在片および第2延在片とを有しており、
前記第1延在片が前記ロックアーム用停止部材として作用し、
前記第2延在片が前記開放操作時用停止部材として作用していることを特徴とする請求項2に記載の脱穀ハウジング。
【請求項4】
前記第2延在片は前記第1閉塞操作時用停止部材としても作用していることを特徴とする請求項3に記載の脱穀ハウジング。
【請求項5】
前記扱室カバーには、前記開閉操作部材を用いて前記扱室カバーを閉塞方向へ押動する際に前記開閉操作部材と係合して該開閉操作部材の前記回動軸線回り一方側の回動端を画する第2閉塞操作時停止部材が設けられていることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の脱穀ハウジング。
【請求項6】
前記ガイド面は、自由端側へ行くに従って前記回動軸線回り他方側に位置するように傾斜または湾曲されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の脱穀ハウジング。
【請求項7】
前記扱室カバーを開放方向へ付勢する付勢部材がさらに備えられていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の脱穀ハウジング。
【請求項8】
前記回動軸は、前端部および後端部がそれぞれ前記脱穀機枠の前端面および後端面より外方へ延在するように、前記扱室カバーに支持されており、
前記ロックアーム、前記付勢部材、前記ロックアーム用停止部材および前記押動部材は、前記回動軸の前端部および後端部の双方に設けられており、
前記係合凸部は、前記脱穀機枠の前端面側および後端面側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の脱穀ハウジング。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−99591(P2008−99591A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284288(P2006−284288)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】