説明

脱穀装置

【課題】脱穀物の切断処理性能を向上させる扱胴の扱歯と切り刃を提供する。
【解決手段】扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、扱室1内における扱口10側上部と反扱口10側上部とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、この一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて配置して、コ字形状の切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側上部と反扱口10側上部とで脱穀物を切断処理するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインやハーベスタ等に搭載する脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脱穀装置において、扱胴の扱歯の回転軌跡に沿う扱室内壁の一部に、扱胴の回転軸心に沿って複数の凹部を構成すると共にこの複数の凹部に切り刃取付用の開口部を形成し、刃板台に多数の切り刃を取り付けておいて、多数の切り刃を開口部から扱室内に突出状態に配置して刃板台を脱穀ケースに取り付けるものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−274741号公報(3頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の脱穀装置の切り刃は、切り刃の外側面先端には内側面に対して斜めの研削面に沿って凹凸状の刃縁が形成される構成であり、扱歯と切り刃による藁屑類の切断性能が良くないという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記問題点を解決するために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、前記扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、前記扱胴3の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置とする。
【0005】
前記構成によると、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が切断処理される。
【0006】
請求項2の発明は、扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、前記扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状になるように形成し、前記扱胴3の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記内側にへこむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置とする。
【0007】
前記構成によると、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が切断処理される。
【0008】
請求項3の発明は、扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、前記扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状になるように形成し、前記扱胴3の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記外側にふくらむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置とする。
【0009】
前記構成によると、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が切断処理される。
【0010】
請求項4の発明は、処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、前記処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように刃縁を形成し、前記処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く処理歯7と前記切り刃12の直線状の凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の脱穀物を処理室6内の上側で切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置とする。
【0011】
前記構成によると、回転する処理胴8の処理歯7が処理室6内の上側に設置されているコ字形状の切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとが交互に繰り返しながら直線状に形成されている凹凸刃縁14,14と処理歯7とによって処理室6内の上側で脱穀物が切断処理される。
【0012】
請求項5の発明は、処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、前記処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状になるように刃縁を形成し、前記処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く処理歯7と前記切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成された凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の上側で脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置とする。
【0013】
前記構成によると、回転する処理胴8の処理歯7が処理室6内の上側に設置されているコ字形状の切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成されている凹凸刃縁14,14と処理歯7とによって処理室6内の上側で脱穀物が切断処理される。
【0014】
請求項6の発明は、処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、前記処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状になるように刃縁を形成し、前記処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く処理歯7と前記切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成された凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の上側で脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置とする。
【0015】
前記構成によると、回転する処理胴8の処理歯7が処理室6内の上側に設置されているコ字形状の切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成されている凹凸刃縁14,14と処理歯7とによって処理室6内の上側で脱穀物が切断処理される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状に形成されている凹凸刃縁14,14と回転軌跡を描く扱歯2とによって脱穀物が良好に切断処理され、また、凹凸刃縁14,14の切断作用部を短くし耐久性を向上させることができる。
【0017】
請求項2の発明は、扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成されている凹凸刃縁14,14と回転軌跡を描く扱歯2とによって脱穀物が良好に切断処理され、また、切断時に切り刃12と扱歯2とのオーバーラップが進んでも扱歯2と凹凸刃縁14,14との角度変化が少なく安定した切断作用を確保できる。
【0018】
請求項3の発明は、扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成されている凹凸刃縁14,14と回転軌跡を描く扱歯2とによって脱穀物が良好に切断処理され、また、扱歯2と共に回動する藁屑類が凹凸刃縁14,14により扱歯2の基部側に案内されながら切断され切断性能を向上させることができる。
【0019】
請求項4の発明は、処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状に形成されている凹凸刃縁14,14と回転軌跡を描く処理歯7とによって脱穀物が良好に切断処理され、また、切断作用部を短くし耐久性を向上させることができる。
【0020】
請求項5の発明は、処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成されている凹凸刃縁14,14と回転軌跡を描く処理歯7とによって脱穀物が良好に切断処理され、また、切断時に切り刃12と処理歯7とのオーバーラップが進んでも処理歯7と凹凸刃縁14,14との角度変化が少なく、安定した切断作用を確保できる。
【0021】
請求項6の発明は、処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成されている凹凸刃縁14,14と回転軌跡を描く処理歯7とによって脱穀物が良好に切断処理され、また、処理歯7と共に回動する藁屑類が凹凸刃縁14,14により処理歯7の基部側に案内されながら切断され、切断性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明の第1実施例を図1〜図10に基づき説明する。図1はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図2は切断正面図、図3は要部の正面図、図4は脱穀機用の切り刃の斜視図、図5と図6は脱穀機用の切り刃の左右の側面図、図7と図8は脱穀機用の切り刃の正面図及び背面図、図9と図10は脱穀機用の切り刃の平面図及び底面図である。
【0023】
この脱穀装置は、扱室1内に軸架されている扱歯2,…付きの扱胴3、扱胴3の下部外周を覆うように設けている受網4、扱室1の側方に設けられている2番還元物処理用の前側の処理室6、該前側の処理室6内に軸架されている処理歯7付きの処理胴8、該処理胴8の下側外周を覆う処理網S、前記前側の処理室6の後側に設けられる扱室排塵物処理用の後側の処理室6、該後側の処理室6内に軸架されているラセン処理歯7a付きの処理胴8、フィードチエン9、排藁チエン11、排塵ファンF等により構成されている。
【0024】
扱室1の扱口10側のフィードチエン9の上方部位、及び、扱室1の反扱口10側の受網4の上方部位には、回転する扱胴3の左右両側に位置するようにコ字形状の切り刃12,…を配設している。この切り刃12,12における扱歯2の回転方向に対向する縁部には、基部から先端部にかけて一対の凹凸刃縁14,14を形成している。
【0025】
そして、切り刃12の板体の側面に沿う正面視で、切り刃12の外側面に沿って一対の凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aの最も高い部分と凹部14bの最も低い部分を交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、また、切り刃12の板体に直交する側面視で、多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、コ字形状の切り刃12の内側面に凹凸刃縁14,14を構成している。切り刃12基部の取付部13には、取付用の螺子部材Bを設けている。
【0026】
そして、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成している。
【0027】
また、扱口10側上部及び反扱口10側上部の切り刃12,…を平面視で扱胴3の軸心方向に千鳥足状に配置し、扱胴3の扱歯2,…は何れか一方の切り刃12の凹凸刃縁14,14間を通過するように構成して、藁屑類の切断性能の向上及び馬力ロスの減少を図っている。
【0028】
なお、扱口10側上部及び反扱口10側上部の切り刃12,…を平面視で扱胴3の軸心方向に同位相に配置し、同一の扱歯2が扱口10側上部及び反扱口10側上部の切り刃12,…の凹凸刃縁14,14間を通過するように構成してもよい。このように構成することにより、藁屑類の切断性能の向上及び馬力ロスの減少を図ることができる。
【0029】
しかして、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって、扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が良好に切断処理される。また、凹凸刃縁14,14の切断作用部を短くしたので耐久性を向上させることができる。また、コ字形状の切り刃12,12の内側面に凹凸刃縁14を形成したので、扱歯2を左右の凹凸刃縁14,14で挟みながら藁屑類を切断するので、切断性能が向上する。
【0030】
このようにして脱穀された脱穀物は、扱室1下方の揺動選別棚で選別され、精粒は1番螺旋(図示省略)によって回収されてグレンタンク又はホッパ(図示省略)に投入される。また、1番螺旋の後側に配置する2番螺旋(図示省略)によって回収された2番物は、2番揚穀筒(図示省略)によって前記前側の処理室6の後部に投入され、処理胴8の回転によって前方へ送られながら処理され、処理網Sから漏下しない処理物は、処理室6の前部の開口部から下方の揺動棚上へ落下する。また、扱室1で発生した排塵物は、該扱室1の後部の連通口から前記後側の処理室6に引き継がれ、処理胴8の回転によって後方へ送られながら処理される。
【0031】
次に、第2実施例について図11〜図20に基づき説明する。図11はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図12は切断正面図、図13は要部の正面図、図14は脱穀機用の切り刃の斜視図、図15と図16は脱穀機用の切り刃の左右の側面図、図17と図18は脱穀機用の切り刃の正面図及び背面図、図19と図20は脱穀機用の切り刃の平面図及び底面図である。なお、切り刃12の構成が相違し、その他の構成は第1実施例と同じであるので、切り刃12の相違点についてのみ説明する。
【0032】
この切り刃12,12における扱歯2の回転方向に対向する縁部には、基部から先端部にかけて一対の凹凸刃縁14,14を形成している。そして、切り刃12の板体の内側面に沿う正面視で、切り刃12の両内側面に沿って一対の凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aの最も高い部分と凹部14bの最も低い部分を交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、また、切り刃12の板体に直交する側面視で、一対の凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、コ字形状の切り刃12の外側面に凹凸刃縁14,14を構成している。
【0033】
そして、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成している。
【0034】
しかして、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって、扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が良好に切断処理される。また、凹凸刃縁14,14の切断作用部を短くしたので、耐久性を向上させることができる。また、コ字形状の切り刃12,12の外側に凹凸刃縁14を形成したので、切り刃12,12のフラットな内側面が扱歯2に対向し藁屑類の抜けが良くなる。
【0035】
次に、第3実施例について図21〜図30に基づき説明する。図21はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図22は切断正面図、図23は要部の正面図、図24は脱穀機用の切り刃の斜視図、図25と図26は脱穀機用の切り刃の左右の側面図、図27と図28は脱穀機用の切り刃の正面図及び背面図、図29と図30は脱穀機用の切り刃の平面図及び底面図である。なお、切り刃12の構成が相違し、その他の構成は第1実施例と同じであるので切り刃12の相違点について説明する。
【0036】
この切り刃12,12における扱歯2の回転方向に対向する縁部には、基部から先端部にかけて一対の凹凸刃縁14,14を形成している。そして、切り刃12の板体の外側面に沿う正面視で、切り刃12の両外側面に沿って凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aの最も高い部分と凹部14bの最も低い部分を交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、また、切り刃12の板体に直交する側面視で、一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状になるように形成し、コ字形状の切り刃12の両内側面に凹凸刃縁14,14を構成している。
【0037】
そして、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設け、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記内側にへこむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成している。
【0038】
しかして、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって、扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が良好に切断処理される。また、切断時に切り刃12と扱歯2とのオーバーラップが進んでも扱歯2と凹凸刃縁14,14との角度変化が少なく安定した切断作用を確保できる。また、コ字形状の切り刃12,12の内側面に凹凸刃縁14を形成したので、扱歯2を左右の凹凸刃縁14,14で挟みながら藁屑類を切断し切断性能が向上する。
【0039】
次に、第4実施例について図31〜図40に基づき説明する。図31はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図32は切断正面図、図33は要部の正面図、図34は脱穀機用の切り刃の斜視図、図35と図36は脱穀機用の切り刃の左右の側面図、図37と図38は脱穀機用の切り刃の正面図及び背面図、図39と図40は脱穀機用の切り刃の平面図及び底面図である。なお、切り刃12の構成が相違しその他の構成は第1実施例と同じであるので、切り刃12の相違点について説明する。
【0040】
この切り刃12,12における扱歯2の回転方向に対向する縁部には、基部から先端部にかけて一対の凹凸刃縁14,14を形成している。そして、切り刃12の板体の内側面に沿う正面視で、切り刃12の両内側面に沿って凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aの最も高い部分と凹部14bの最も低い部分を交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、また、切り刃12の板体に直交する側面視で、一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状になるように形成し、コ字形状の切り刃12の両外側面に凹凸刃縁14,14を構成している。
【0041】
そして、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設け、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記内側にへこむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成している。
【0042】
しかして、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって、扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が良好に切断処理される。また、切断時に切り刃12と扱歯2とのオーバーラップが進んでも扱歯2と凹凸刃縁14,14との角度変化が少なく安定した切断作用を確保できる。また、コ字形状の切り刃12,12の外側に凹凸刃縁14を形成したので、切り刃12,12のフラットな内側面が扱歯2に対向し藁屑類の抜けが良くなる。
【0043】
次に、第5実施例について図41〜図50に基づき説明する。図41はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図42は切断正面図、図43は要部の正面図、図44は脱穀機用の切り刃の斜視図、図45と図46は脱穀機用の切り刃の左右の側面図、図47と図48は脱穀機用の切り刃の正面図及び背面図、図49と図50は脱穀機用の切り刃の平面図及び底面図である。なお、切り刃12の構成が相違しその他の構成は第1実施例と同じであるので、切り刃12の相違点について説明する。
【0044】
この切り刃12,12における扱歯2の回転方向に対向する縁部には、基部から先端部にかけて一対の凹凸刃縁14,14を形成している。そして、切り刃12の板体の外側面に沿う正面視で、切り刃12の両外側面に沿って凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aの最も高い部分と凹部14bの最も低い部分を交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、また、切り刃12の板体に直交する側面視で、一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状になるように形成し、コ字形状の切り刃12の両内側面に凹凸刃縁14,14を構成している。
【0045】
そして、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設け、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記外側にふくらむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成している。
【0046】
しかして、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって、扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が良好に切断処理される。また、扱歯2と共に回動する藁屑類が凹凸刃縁14,14により扱歯2の基部側に案内されながら切断され切断性能を向上させることができる。また、コ字形状の切り刃12,12の内側面に凹凸刃縁14を形成したので、扱歯2を左右の凹凸刃縁14,14で挟みながら藁屑類を切断し切断性能が向上する。
【0047】
次に、第6実施例について図51〜図60に基づき説明する。図51はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図52は切断正面図、図53は要部の正面図、図54は脱穀機用の切り刃の斜視図、図55と図56は脱穀機用の切り刃の左右の側面図、図57と図58は脱穀機用の切り刃の正面図及び背面図、図59と図60は脱穀機用の切り刃の平面図及び底面図である。なお、切り刃12の構成が相違しその他の構成は第1実施例と同じであるので、切り刃12の相違点について説明する。
【0048】
この切り刃12,12における扱歯2の回転方向に対向する縁部には、基部から先端部にかけて一対の凹凸刃縁14,14を形成している。そして、切り刃12の板体の内側面に沿う正面視で、切り刃12の両内側面に沿って凹凸刃縁14,14の多数の凸部14aの最も高い部分と凹部14bの最も低い部分を交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、また、切り刃12の板体に直交する側面視で、一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状になるように形成し、コ字形状の切り刃12の両外側面に凹凸刃縁14,14を構成している。
【0049】
そして、扱胴3の軸心方向視において切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設け、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記外側にふくらむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成している。
【0050】
しかして、回転する扱胴3の扱歯2が扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置されているコ字形状の切り刃12における一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成されている一対の凹凸刃縁14,14と扱歯2とによって、扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物が良好に切断処理される。また、扱歯2と共に回動する藁屑類が凹凸刃縁14,14により扱歯2の基部側に案内されながら切断され切断性能を向上させることができる。また、コ字形状の切り刃12,12の外側に凹凸刃縁14を形成したので、切り刃12,12のフラットな内側面が扱歯2に対向し藁屑類の抜けが良くなる。
【0051】
次に、第7実施例について図61〜図63に基づき説明する。この実施例は処理室6に切り刃12を設けた構成で、図61はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図62は脱穀装置の切断正面図、図63は処理室6の正面図である。
【0052】
扱室1の後部から藁屑類の送り込まれる排塵処理用の処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、処理室6内の上側にコ字形状の切り刃12を配置し、この切り刃12は図4〜図10に示すように構成されている。処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、回転軌跡を描く処理歯7と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の上側で脱穀物を切断処理するように構成している。Kは排塵口を形成する格子状部材である。
【0053】
しかして、回転する処理胴8の処理歯7が処理室6内の上側に設置されているコ字形状の切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとが交互に繰り返しながら直線状に形成されている凹凸刃縁14,14と処理歯7とによって処理室6内の上側で脱穀物が良好に切断処理される。また、切断作用部を短くしたので耐久性を向上させることができる。
【0054】
また、第8実施例は図64〜図66に示すように構成している。図64はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図65は脱穀装置の切断正面図、図66は処理室6の正面図である。この実施例では第7実施例の切り刃12に代えて図14〜図20に示す切り刃12を採用しており、同様の効果を奏するものである。
【0055】
また、前記第7実施例の切り刃12に代えて、前記図24〜図30に示す切り刃、図34〜図40に示す切り刃、図44〜図50に示す切り刃、図54〜図60に示す切り刃を選択してもよい。
【0056】
次に、第9実施例について図67〜図69に基づき説明する。この実施例は処理室6に切り刃12を設けた構成で、図67はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図68は脱穀装置の切断正面図、図69は処理室6の正面図である。
【0057】
扱室1の側方に二番処理用の処理室6を設け、この二番処理用の処理室6に二番処理用の処理胴8を回転自在に軸架し、揺動選別棚16で選別された二番物を二番揚穀機(図示省略)を介して処理室6の後部に還元して処理胴8の回転によって前方へ移送しながら処理するように構成し、この処理室6内の上側には平面視で扱室1側と反扱室1側とにコ字形状の切り刃12を配置し、この切り刃12は図4〜図10に示すように構成されている。なお、処理室6内の上側における扱室1側あるいは反扱室1側のいずれか一方にのみ切り刃12を配置してもよい。
【0058】
処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて、切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、回転軌跡を描く処理歯7と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の上側で脱穀物を切断処理するように構成している。
【0059】
しかして、回転する処理胴8の処理歯7が処理室6内の上側に設置されているコ字形状の切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を通過すると、切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとが交互に繰り返しながら直線状に形成されている凹凸刃縁14,14と処理歯7とによって処理室6内の上側で脱穀物が良好に切断処理される。また、切断作用部を短くしたので耐久性を向上させることができる。
【0060】
また、第10実施例は図70〜図72に示すように構成している。図70はこの発明を具備する脱穀装置の切断平面図、図71は脱穀装置の切断正面図、図72は処理室6の正面図である。この実施例では第9実施例の切り刃12に代えて図14〜図20に示す両外側に凹凸刃縁14,14を設けた切り刃12を採用するもので、同様の効果を奏するものである。
【0061】
また、前記第9実施例の切り刃12に代えて、前記図24〜図30に示す切り刃、図34〜図40に示す切り刃、図44〜図50に示す切り刃、図54〜図60に示す切り刃を選択してもよい。
【0062】
前記脱穀装置の第11実施例について、図73に基づいて詳細に説明する。
この第11実施例の脱穀装置においては、前述した第1実施例の脱穀装置に搭載している切り刃12の構成を搭載しているが、前述した第2実施例から第10実施例の脱穀装置に搭載している切り刃12の構成を第11実施例の脱穀装置に搭載してもよい。また、図73で説明する第11実施例の脱穀装置内の脱穀物の流れと、前述した第1実施例から第10実施例の脱穀装置内の脱穀物の流れは基本的に同じである。
【0063】
図73は脱穀装置の側断面図である。
脱穀装置内には、受網4を有する扱胴3を扱胴軸で軸架した扱室1と、該扱室1の一側には、扱室1の後部からの処理物を受け入れて処理する処理網S(網や格子状のものでもよい。)を有する後側の処理胴8を処理胴軸で軸架した後側の処理室6が設けられている。そして、扱室1と後側の処理室6の下方には揺動選別棚15を設けている。
【0064】
また、後側の処理胴8の前方には、2番還元物処理用の前側の処理胴8と該前側の処理胴8の下部外周を覆う処理網S(網や格子状のものでもよい。)からなる前側の処理室6が構成されている。この前側の処理胴8は、本実施例では扱胴3の一側であって、後側の処理胴8の前方にこの後側の処理胴8と一体的に構成されている。前側の処理胴8は基本的には二番物を処理するものである。この前側の処理胴8と後側の処理胴8とは処理胴軸16にて支持されている構成である。即ち、前記後側の処理胴8と前側の処理胴8とは一体的に処理胴軸16で支持されている構成である。
【0065】
また、図74の脱穀装置の前側の処理胴部分における切断正面図に示すように、受網4から漏れた脱穀物は前側の処理室6内に取り込まれる構成であるので、前記前側の処理胴8は二番物の他に、扱室1内から入り込んできた脱穀物も一緒に処理する構成となっている。
【0066】
前記扱室1と前側の処理室6と後側の処理室6の下方には、落下してくる脱穀物を受けて選別する揺動選別棚15が設置されていて、該揺動選別棚15の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕17を設け、該唐箕17から送風される選別風の送り方向下手側には、風路18と風路19が設けられていて、この風路18と風路19の下手側に1番ラセン20を設け、該1番ラセン20の選別風送り方向下手側には2番ラセン21を設けている。この2番ラセン21にて収集された2番物を前記前側の処理室6へ揚穀するための2番揚穀筒22が設けられている。
【0067】
前記揺動選別棚15の構成について説明する。揺動選別棚15は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚15a、脱穀物を選別するグレンシーブ15b、2番物を選別するチャフシーブ15c、排塵物をほぐしてササリ粒を回収すると共に排塵物を機外に移送して放出するストローラック15dとから構成されている。該ストローラック15dの下方は、2番物を2番ラセン21内へ案内する二番棚先21aで構成されていて、この2番棚先21aの終端部近傍まで前記後側の処理胴8が延出している構成である。排塵ファンF(横断流ファン)は、選別室24内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、後側の処理胴8の左側方であってストローラック15dの上方に設けられている構成である。前記グレンシーブ15bは、基本的には1番ラセン20の上方に位置するものであり、チャフシーブ15cは、基本的には2番ラセン21の上方に位置するものである。
【0068】
脱穀装置に投入された穀稈は、フィードチェン9にて後方に搬送されながら、扱胴3の扱歯2と受網4との相互作用により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚15上に落下して、該揺動選別棚15の揺動作用と唐箕17からの風選作用により選別され、1番ラセン20内へと取り込まれていき、該1番ラセン20に取り込まれた整粒は、グレンタンク又はホッパー内に一時貯溜される構成である。このような脱穀装置を搭載したコンバインにあっては、脱穀後の排稈はフィードチェン9の終端部から、排藁チェン11の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター(図示せず)に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0069】
扱室1内の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は前側の処理室6内に取り込まれていく。該前側の処理室6内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、前側の処理胴8と処理網Sとの相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚15上に落下していく。
【0070】
扱胴3と前側の処理胴8と後側の処理胴8は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況において、時計回りで回転する構成である。従って、前側の処理胴8の処理歯25の向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着している。
【0071】
即ち、該処理歯25には脱穀物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、脱穀物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯25は螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と処理網Sとの間の相互作用にて脱穀物を処理する構成となっている。前側の処理胴8の搬送終端部に設けられている羽根26は、脱穀物を揺動選別棚15上に強制的に送り出すものである。
【0072】
前記後側の処理胴8の始端部の処理歯27は、扱室1の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該処理歯27は、後側の処理胴8の外周面に巻き介いされているラセン形状の一部となっている。
【0073】
本実施例では、後側の処理胴8処理網Sの目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚15上に落下し、落下しなかった長い藁屑は後側の処理室6の終端部まで搬送されて、後側の処理胴8の終端部の羽根28にてストローラック15d上に強制的に排出される。そして、このように脱穀物が後側の処理室6内で搬送される間に、後側の処理胴8とこの後側の処理胴8に設けられている処理歯29と処理網Sとの相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚15上に落下し、さらに2番ラセン21内へと回収されていく構成である。
【0074】
前述のように、扱室1内の脱穀物で、揺動選別棚15上に落下せず、前側の処理室6内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室1の終端部まで搬送される。この扱室1の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、後側の処理室6内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は選別風送り方向下手側に搬送されていく。
【0075】
また、扱室1の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、後側の処理室6内に取り込まれなかった脱穀物は、下方の揺動選別棚15上に落下していく構成である。
扱室1内の終端部から後側の処理室6内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室1から後側の処理室6への引継ぎ部分において、前述したように後側の処理胴8の外周にラセン形状の一部である処理歯27を設けているので、この処理歯27の送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないように構成されている。
【0076】
このような、揺動選別棚15の揺動作用と唐箕17からの選別風の作用にもかかわらず、1番ラセン20内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、2番ラセン21内へと取り込まれていく。該2番ラセン21内に取り込まれた2番物は、2番揚穀筒22にて前記前側の処理室6の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室1からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、処理網Sとの相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根26により下方の揺動選別棚15上に落下していく構成である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】脱穀装置の切断平面図。
【図2】脱穀装置の切断正面図。
【図3】扱室の拡大正面図。
【図4】脱穀機用の切り刃の斜視図。
【図5】脱穀機用の切り刃の右側面図。
【図6】脱穀機用の切り刃の左側面図。
【図7】脱穀機用の切り刃の正面図。
【図8】脱穀機用の切り刃の背面図。
【図9】脱穀機用の切り刃の平面図。
【図10】脱穀機用の切り刃の底面図。
【図11】脱穀装置の切断平面図。
【図12】脱穀装置の切断正面図。
【図13】扱室の拡大正面図。
【図14】脱穀機用の切り刃の斜視図。
【図15】脱穀機用の切り刃の右側面図。
【図16】脱穀機用の切り刃の左側面図。
【図17】脱穀機用の切り刃の正面図。
【図18】脱穀機用の切り刃の背面図。
【図19】脱穀機用の切り刃の平面図。
【図20】脱穀機用の切り刃の底面図。
【図21】脱穀装置の切断平面図。
【図22】脱穀装置の切断正面図。
【図23】扱室の拡大正面図。
【図24】脱穀機用の切り刃の斜視図。
【図25】脱穀機用の切り刃の右側面図。
【図26】脱穀機用の切り刃の左側面図。
【図27】脱穀機用の切り刃の正面図。
【図28】脱穀機用の切り刃の背面図。
【図29】脱穀機用の切り刃の平面図。
【図30】脱穀機用の切り刃の底面図。
【図31】脱穀装置の切断平面図。
【図32】脱穀装置の切断正面図。
【図33】扱室の拡大正面図。
【図34】脱穀機用の切り刃の斜視図。
【図35】脱穀機用の切り刃の右側面図。
【図36】脱穀機用の切り刃の左側面図。
【図37】脱穀機用の切り刃の正面図。
【図38】脱穀機用の切り刃の背面図。
【図39】脱穀機用の切り刃の平面図。
【図40】脱穀機用の切り刃の底面図。
【図41】脱穀装置の切断平面図。
【図42】脱穀装置の切断正面図。
【図43】扱室の拡大正面図。
【図44】脱穀機用の切り刃の斜視図。
【図45】脱穀機用の切り刃の右側面図。
【図46】脱穀機用の切り刃の左側面図。
【図47】脱穀機用の切り刃の正面図。
【図48】脱穀機用の切り刃の背面図。
【図49】脱穀機用の切り刃の平面図。
【図50】脱穀機用の切り刃の底面図。
【図51】脱穀装置の切断平面図。
【図52】脱穀装置の切断正面図。
【図53】扱室の拡大正面図。
【図54】脱穀機用の切り刃の斜視図。
【図55】脱穀機用の切り刃の右側面図。
【図56】脱穀機用の切り刃の左側面図。
【図57】脱穀機用の切り刃の正面図。
【図58】脱穀機用の切り刃の背面図。
【図59】脱穀機用の切り刃の平面図。
【図60】脱穀機用の切り刃の底面図。
【図61】脱穀装置の切断平面図。
【図62】脱穀装置の切断正面図。
【図63】処理室の拡大正面図。
【図64】脱穀装置の切断平面図。
【図65】脱穀装置の切断正面図。
【図66】処理室の拡大正面図。
【図67】脱穀装置の切断平面図。
【図68】脱穀装置の切断正面図。
【図69】処理室の拡大正面図。
【図70】脱穀装置の切断平面図。
【図71】脱穀装置の切断正面図。
【図72】処理室の拡大正面図。
【図73】脱穀装置の切断側面図。
【図74】脱穀装置の前側の処理胴部分における切断正面図。
【符号の説明】
【0078】
B 螺子部材
F 排塵ファン
K 格子状部材
S 処理網
1 扱室
2 扱歯
3 扱胴
4 受網
6 処理室
7 処理歯
8 処理胴
9 フィードチエン
10 扱口
11 排藁チエン
12 切り刃
13 取付部
14 凹凸刃縁
14a 凸部
14b 凹部
15 揺動選別棚
15a 移送棚
15b グレンシーブ
15c チャフシーブ
15d ストローラック
16 処理胴軸
17 唐箕
18 風路
19 風路
20 1番ラセン
21 2番ラセン
21a 2番棚先
22 2番揚穀筒
24 選別室
25 処理歯
26 羽根
27 処理歯
28 羽根
29 処理歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、前記扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように形成し、前記扱胴3の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記直線状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置。
【請求項2】
扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、前記扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状になるように形成し、前記扱胴3の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記内側にへこむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置。
【請求項3】
扱室1内に扱胴3を回転自在に軸架し、前記扱室1内における扱口10側と反扱口10側とに設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状になるように形成し、前記扱胴3の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を扱胴3の扱歯2の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を扱歯2が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く扱歯2と切り刃12の前記外側にふくらむ円弧状の凹凸刃縁14,14とによって扱室1内の扱口10側と反扱口10側とで脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置。
【請求項4】
処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、前記処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら直線状になるように刃縁を形成し、前記処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く処理歯7と前記切り刃12の直線状の凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の脱穀物を処理室6内の上側で切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置。
【請求項5】
処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、前記処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状になるように刃縁を形成し、前記処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く処理歯7と前記切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら内側にへこむ円弧状に形成された凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の上側で脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置。
【請求項6】
処理室6内に処理胴8を回転自在に軸架し、前記処理室6内の上側に設置するコ字形状の切り刃12に一対の凹凸刃縁14,14を形成し、該一対の凹凸刃縁14,14を多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状になるように刃縁を形成し、前記処理胴8の軸心方向視において前記切り刃12の先端部を処理胴8の処理歯7の回転軌跡内に入り込ませて設けて、前記切り刃12の一対の凹凸刃縁14,14の間を処理歯7が通過するように構成し、前記回転軌跡を描く処理歯7と前記切り刃12における多数の凸部14aと凹部14bとを交互に繰り返しながら外側にふくらむ円弧状に形成された凹凸刃縁14,14とによって処理室6内の上側で脱穀物を切断処理するように構成したことを特徴とするコンバイン等の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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