説明

腕時計式電子機器

【課題】 従来のアラーム電子機器は、騒音の激しい場所では警報音に気づき難く、又、目覚まし時計としては音が発生する為に周囲の人に迷惑をかける。振動式とした場合でも消費電力に制約があるため、振動幅を大きく出来ない。よって、使用者が感知するに十分な振動幅が得られ、且つ、該腕時計の電源から十分な電力を供給するためのバッテリーを配置した腕時計式電子機器を提供するものである。
【解決手段】 アラーム警報の報知を振動式とすることで、腕に直接振動が当たるため、騒音に関係なく報知され、且つ、メッセージ表示により予定を確認することができる。電源としては着脱可能な充電式バッテリーとし、随時充電できるものとする。又、その配置は電子機器本体2とつなぎ31を介したリストバンド41aの間とすることにより解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計式電子機器の構造及び構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の腕時計式電子機器のバッテリーは、該電子機器本体内部に収納する構造の物が一般的であり、その結果、振動モーター及びバッテリーの容積分、電子機器本体が大きなものとなり、腕時計式電子機器全体としてバランスを欠いたものになる。
【0003】
従って、前記のような電子機器用である振動モーター及びバッテリーの収納配置はあまり現実的ではない。
【0004】
又、バッテリーに関しては、非充電式バッテリーで、且つ、該電子機器本体内に収納することを前提としているため、容量の大きいものは使用しないので、前記の電子機器でアラームが作動すると、バッテリーの電圧低下のため時計に誤作動が生じる場合もある。
【0005】
従って、バッテリーの交換回数の頻度も多くなる、という欠点を有している。
【0006】
従って、該電子機器の電源としては、比較的大きな電流の安定した供給ができるものが望ましい。又、予約設定時刻に関しては、時刻設定した後、長時間経過した場合に、その設定した時刻の目的を忘れてしまうこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べたように、腕時計式電子機器に搭載できる振動モーターは、容積の制限をうけるため、携帯電話のものより小型になり、発生する振動が弱くなる結果となった。又、バッテリーに関しても搭載できるものは小型になるために、十分な電流容量を得ることができない。
【0008】
このようなことから、従来の腕時計式電子機器では十分な振動幅を得るには限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は振動モーターを搭載する腕時計式電子機器に対し以下のような手段をとる。
【0010】
請求項1に記載の発明は、電子機器本体と、リストバンドとを具えた腕時計式電子機器において、前記電子機器本体と前記リストバンドの一方側との間に、充電用機器により充電可能な蓄電手段を、前記充電用機器の端子が接続される端子口を有する第1の筐体に収納して配置し、且つ、前記電子機器本体と前記リストバンドの他方側との間に、振動を直接身体で感知させる振動発生手段を、前記電子機器本体と接続される第2の筐体に収納して配置してなることを特徴とする。
【0011】
前記のように容量の大きい蓄電手段及び振動発生手段を電子機器本体と切り離して配置することにより、該電子機器本体の厚さ又は大きさを抑えることができる。又、充電するための充電用機器の端子が接続される端子口を蓄電手段の筐体部分に取り付けることで、その分の電子機器本体の容積分だけ小型化できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の腕時計式電子機器において、充電用機器は、充電用プラグを有する充電用アダプターで構成されているとともに、蓄電手段は、充電式バッテリーで構成され、該充電式バッテリーは、充電用プラグが接続される充電用ジャックを有する第1の筐体に収納して配置されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、充電式バッテリーを電子機器本体内に収納すると本体自身が大きくなるため、電子機器本体と分離し、第1の筐体に収納して電子機器本体とリストバンドの一方側との間に配置するものである。又、充電用ジャックを電気機器本体に取り付けると、該本体の容積がその分大きくなるため、該本体を小型化するのに支障をきたす。そのため、充電するための充電用ジャックを第1の筐体に取り付けることで、その分の電子機器本体の容積分だけ小型化できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の腕時計式電子機器において、第1の筐体及び第2の筐体は、ヒンジを介して電子機器本体と接続されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の腕時計式電子機器において、振動発生手段は、振動モーターで構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の腕時計式電子機器において、第2の筐体が、つなぎを介してリストバンドの他方側に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の腕時計式電子機器において、電子機器本体は、メモリーを備えるとともに、情報端末器と通信用ケーブルにより接続可能に構成され、該情報端末器のキースイッチ操作部にて入力されたアラーム予約設定時刻及びメッセージを、前記ケーブルを介して受信して前記メモリーに入力保存すると同時に、アラーム用タイマーを始動させるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
すなわち、電子機器本体のキースイッチ操作部で文字入力できるだけのキースイッチを配置できるスペースを確保することは困難である。
【0019】
従って、外付けの情報端末器と電子機器本体とを通信用ケーブルで接続し、情報端末器にて入力したアラーム予約設定時刻及びメッセージのデーター等を、通信用ケーブルを介して受信する。又、受信したこれらのデーターを、電子機器本体のメモリーに保存するとともに、アラーム用カウントダウンのタイマーを始動させる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の腕時計式電子機器において、電子機器本体は、表示部を備え、アラーム予約設定時刻が現時刻に達した時、振動発生手段を始動させると同時に、メモリーに保存したメッセージを表示部に表示することを特徴とする。
【0021】
すなわち、アラーム予約設定時刻が現時刻に達した時、トリガーパルスを発生させ、そのトリガーパルスにより、振動モーターを駆動させ、同時に、メッセージを電子機器本体のメモリーから呼び出し、表示部において図8(a)に示す表示画面の時刻表示が消え、(b)のメッセージが表示されるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上のように、容量の大きい蓄電手段及び振動発生手段を電子機器本体と切り離して配置することにより、該電子機器本体の厚さ又は大きさを抑えることができる。又、充電するための充電用機器の端子が接続される端子口を蓄電手段の筐体部分に取り付けることで、その分の電子機器本体の容積分だけ小型化できる。しかも、十分な電流容量を得ることができる。又、設定時刻を感知する方法が振動のため、他人に知られずに振動が直接身体で感知され、使用者本人だけに設定した時刻に達したことを報知するものであり、ビジネスマン、時間単位で活躍している者にとって、約束時間に遅れること、約束を忘れること、等の防止に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】通信ケーブル用ジャック及び充電用ジャックの取り付け配置を示した腕時計式電子機器の斜視図である。
【図2】表示切替スイッチを取り付けた側を示した腕時計式電子機器の斜視図である。
【図3】腕時計式電子機器を上方向から視た図である。
【図4】腕時計式電子機器を横方向から視た図である。
【図5】腕時計式電子機器を装着したと仮定した場合の横方向から視た図である。
【図6】充電用アダプターの全体図である。
【図7】情報端末器の全体図である。
【図8】腕時計式電子機器の表示部とキースイッチ操作部を表した図である。
【図9】通信用ケーブル図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の第一実施例を示す腕時計式電子機器1である。腕時計式電子機器1は、主に、液晶表示部3、キースイッチ操作部4及び内装部5からなる電子機器本体2、その電子機器本体2の両端にヒンジ付振動発生器(振動発生手段)である振動モーター12の筐体11及び蓄電手段である充電式バッテリー22を収納している筐体21を配置しているものである。
【0026】
振動モーター12の筐体11及び充電式バッテリー22の筐体21は、空洞部分を有し、その中を介して該電子機器本体2と振動モーター12間及び電子機器本体2と充電式バッテリー22間は配線される。
【0027】
さらに、その振動モーター12の筐体11につなぎの31を介してリストバンド41aが配置されているという構成のものである。これは、振動モーター12で発生する振動を抑制しないためのものであり、又、充電式バッテリー22の筐体21は直接リストバンド41bに接続されるものである。
【0028】
内装部5にはクロック発信機、メモリー、時刻やデーターの表示及び演算や入出力を行う電子部品、及びそれら内蔵品を固定するための基盤が含まれる。
【0029】
以上のように構成された腕時計式電子機器1は、図6に示すように、付属品として充電用アダプター80を備え、随時充電用プラグ82を介して充電できるものとする。該プラグ82及び充電用ジャック23の形状は他のものであっても構わない。
【0030】
図7に示す情報端末器60は通信用ケーブル50により、該電子機器本体2に接続し、該情報端末器60のキースイッチ操作部64にてアラーム予約設定時刻及びメッセージを入力する。
【0031】
入力時にメッセージ等の確認をする場合はスクロールスイッチ62,63を用いる。上方にスクロールする場合はスクロールスイッチ62、下方にスクロールする場合はスクロールスイッチ63を用いる。
【0032】
入力したアラーム予約設定時刻及びメッセージを、情報端末器60のキースイッチ操作部64にて電子機器本体2に送信する。アラーム予約設定時刻はアラーム用カウントダウンのタイマーをスタートさせる。
【0033】
又、メッセージのデーターは該電子機器本体2のメモリーに入力保存される。設定したアラーム予約設定時刻が現在時刻に達した時、メッセージのデーターは呼び出され、図8(b)に示すように、電子機器本体2の表示部3にメッセージを表示する。
【0034】
該情報電子機器60を接続しないでアラーム予約設定時刻を入力する場合は、該電子機器本体2のキースイッチ操作部4を用いて行う。メッセージの入力は該キースイッチ操作部4では入力できない。
【0035】
図3は、2個の偏重心の分銅13a,13bを取り付けた振動モーター12を該電子機器本体2の片側に取り付けたものである。
【0036】
又、その2個の分銅13a,13bは、お互いに180度の角度を持たせた対称点に固定されているが、同方向に固定したものでも構わない。しかし、この場合、振動モーター12全体が同一方向に振動するため、発生する振動は異なったものとなる。
【0037】
図4及び図5は、振動モーター12により発生する振動は、腕の撓骨に振動を伝えるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 腕時計式電子機器
2 電子機器本体
3 表示部
4 キースイッチ操作部
5 内装部
6 電子機器本体側データー通信用ケーブル接続ジャック
11 振動モーターの筐体(第2の筐体)
12 振動モーター
13a,13b 偏重心の分銅
14 振動モーター停止スイッチ
15 表示切替スイッチ
21 充電式バッテリーの筐体(第1の筐体)
22 充電式バッテリー
23 充電用ジャック(端子口)
31 つなぎ
41a,41b リストバンド
50 通信用ケーブル
51,52 プラグ
60 情報端末器
61 情報端末器の画面表示部
62,63 スクロールスイッチ
64 情報端末器のキースイッチ操作部
65 電源スイッチ
66 情報端末器側データー通信用ジャック
67,68,69,70,71,72 機能スイッチ
80 充電用アダプター(充電用機器)
81 充電用アダプター本体
82 充電用プラグ(端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体と、リストバンドとを具えた腕時計式電子機器において、
前記電子機器本体と前記リストバンドの一方側との間に、充電用機器により充電可能な蓄電手段を、前記充電用機器の端子が接続される端子口を有する第1の筐体に収納して配置し、且つ、前記電子機器本体と前記リストバンドの他方側との間に、振動を直接身体で感知させる振動発生手段を、前記電子機器本体と接続される第2の筐体に収納して配置してなることを特徴とする腕時計式電子機器。
【請求項2】
充電用機器は、充電用プラグを有する充電用アダプターで構成されているとともに、蓄電手段は、充電式バッテリーで構成され、該充電式バッテリーは、前記充電用プラグが接続される充電用ジャックを有する第1の筐体に収納して配置されている請求項1記載の腕時計式電子機器。
【請求項3】
第1の筐体及び第2の筐体は、ヒンジを介して電子機器本体と接続されている請求項1又は2記載の腕時計式電子機器。
【請求項4】
振動発生手段は、振動モーターで構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の腕時計式電子機器。
【請求項5】
第2の筐体は、つなぎを介してリストバンドの他方側に接続されている請求項1ないし4のいずれかに記載の腕時計式電子機器。
【請求項6】
電子機器本体は、メモリーを備えるとともに、情報端末器と通信用ケーブルにより接続可能に構成され、該情報端末器のキースイッチ操作部にて入力されたアラーム予約設定時刻及びメッセージを、前記ケーブルを介して受信して前記メモリーに入力保存すると同時に、アラーム用タイマーを始動させるように構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の腕時計式電子機器。
【請求項7】
電子機器本体は、表示部を備え、アラーム予約設定時刻が現時刻に達した時、振動発生手段を始動させると同時に、メモリーに保存したメッセージを表示部に表示する請求項6記載の腕時計式電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−203277(P2011−203277A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156339(P2011−156339)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2005−199358(P2005−199358)の分割
【原出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(505076603)
【Fターム(参考)】