腰部サポータ
【課題】腰部にフィットした装着状態を得ることができるようにした補助ベルト等の腰部サポータを提供することである。
【解決手段】胴ベルト10の締付けによって腰部外周を包み込む装着状態とされる帯状のベルト本体21をクッション性を有する熱可塑性樹脂によって腰部外周に沿うよう立体成形し、その成形時に、仙骨と対向する部位に仙骨に模した形状の突出部25を設けるようにする。腰部に対するベルト本体21の装着時に、突出部25を仙骨に強く弾性接触させて、その接触部で吊下げ支持された作業工具の重量を受けて、ベルト本体21の上辺部が外方に倒れるのを防止し、ベルト本体21の内面全体が腰部の外周にフィットした装着状態が得られるようにする。
【解決手段】胴ベルト10の締付けによって腰部外周を包み込む装着状態とされる帯状のベルト本体21をクッション性を有する熱可塑性樹脂によって腰部外周に沿うよう立体成形し、その成形時に、仙骨と対向する部位に仙骨に模した形状の突出部25を設けるようにする。腰部に対するベルト本体21の装着時に、突出部25を仙骨に強く弾性接触させて、その接触部で吊下げ支持された作業工具の重量を受けて、ベルト本体21の上辺部が外方に倒れるのを防止し、ベルト本体21の内面全体が腰部の外周にフィットした装着状態が得られるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安全帯の補助ベルトや、仙骨の歪みを矯正する腰部矯正ベルト等の腰部を保護する腰部サポータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設現場等の高所で作業を行なう場合、腰部に安全帯を巻き締め、その安全帯に連結されたロープ先端の安全フックを、高所に張設された親綱や構築物に係合して、安全性を確保することが行なわれている。
【0003】
ここで、安全帯の胴ベルトを腰部に直接巻き締める使用であると、その胴ベルトには多くの作業用工具が吊下げ支持されて重量も重いため、長時間の作業を行なうと、腰部に対する負担が大きくなり、長時間の作業や日々の作業により、疲労が蓄積されて腰に痛みを感じるケースが多く見られる。また、作業時に万一落下して、安全フック付きのロープで墜落が阻止された際に、腰部に大きな衝撃が負荷され、腰を痛める場合がある。
【0004】
上記のような安全帯に限らず、工具吊り専用の工具吊りベルトにおいても、工具の重みによって、上記と同様に、腰に痛みを感じるケースが多くある。
【0005】
そのような不都合を解消するため、胴ベルトや工具吊りベルトの内側に、その胴ベルトより幅寸法の大きなクッション性に優れた腰部サポータとしての補助ベルトを沿わせて、腰への負担を軽減する対策が採られるようになってきている。
【0006】
上記補助ベルトとして、特許文献1に記載されているように、上下辺が平行する帯状のものや、特許文献2に記載されているように、上辺を中央部が窪む湾曲状とし、かつ、下辺を中央部が突出する湾曲状とした帯状のものが知られている。いずれの補助ベルトも未装着状態で扁平な形態をなし、胴ベルトや工具吊りベルトの締付けによって、腰部の外周に巻き付く装着状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−14815号公報
【特許文献2】特開2005−58635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記いずれの補助ベルトも、着用前の状態で扁平な形態をなしているため、腰部の外周に装着した状態で、吊下げ支持された工具の重量によるモーメント荷重により、上辺部が腰から離れて腰との間に空間が生じ、下辺部のみが腰に強く密着して、その密着部分に吊下げ荷重が集中し、腰部にフィットした装着状態を得ることができず、クッション材としての効果を充分に発揮させることができないという不都合がある。
【0009】
この発明の課題は、腰部にフィットした装着状態を得ることができるようにした補助ベルト等の腰部サポータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明においては、腰部を包み込み可能な帯状のクッション性を有するベルト本体を具え、そのベルト本体の腰部を包み込む装着状態で仙骨と対向する部位に、両側辺部が下辺に向けて内方傾斜して上辺が下辺より長くされた仙骨に模した形状の突出部を設けた構成を採用したのである。
【0011】
上記の構成からなる腰部サポータを安全帯の補助ベルトとして使用する場合は、ベルト本体の外表面に複数のベルト押えを長さ方向に間隔をおいて設け、そのベルト押えで補助ベルトの外表面に沿わせられた胴ベルトを押えるようにする。そして、安全帯の着用に際しては、ベルト本体を腰部外周に沿わせ、腰部に対する胴ベルトの巻き締めにより、ベルト本体を締め付けるようにする。
【0012】
上記のようなベルト本体の装着状態において、そのベルト本体に形成された突出部が仙骨と対向して、その仙骨に突出部の表面全体が強く弾性接触することになる。このため、胴ベルトに吊下げ支持される作業工具等の吊下げ荷重は、突出部と仙骨の弾性接触部で受けられることになり、ベルト本体の上辺が腰部から離れて隙間が形成されるようなことがなく、ベルト本体は、その内面全体が全長にわたって腰部の外周に密着するフィットした取付けとされる。
【0013】
ここで、ベルト本体を、扁平な展開状態で上辺を、その中央部が両端より上位に位置するよう上方に向けて緩やかに湾曲させ、かつ、下辺を、その中央部が両端より下位に位置するよう上記上辺の曲率半径より小さな曲率半径でもって下方に向けて湾曲させて、上下辺間の幅寸法が長さ方向の中央部で広く、両端に至るに従って次第に小さくし、そのベルト本体を腰部を包み込む形状に立体成形すると、よりフィットした装着状態を得ることができる。
【0014】
この場合、ベルト本体の内面上部の曲率半径を内面下部の曲率半径より小さくしておくことにより、ベルト本体の上辺および下辺を腰部により確実に密着させることができ、より良好なフィット状態を得ることができる。
【0015】
また、ベルト本体を腰部の外周に沿う主体部分と、腹部の両側部位に沿う左右一対の端末部分とに3分割し、上記主体部分と一対の端末部分とを、両端部が主体部分と端末部分とに縫着される柔軟な連結片で連結しておくと、ベルト本体の装着時に、ベルト本体の端末部を外方に簡単に拡げることができるため、腰部外周に対してベルト本体を簡単に装着することができる。
【0016】
さらに、ベルト本体の両端部に一対の係着可能な面ファスナテープを接続しておくと、一対の面ファスナテープの係着によって、ベルト本体を腰部外周に沿わせた装着状態に仮止めすることができるため、胴ベルトの締付け時にベルト本体を支える必要がなくなり、胴ベルトの締付け作業を容易に行なうことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明においては、ベルト本体の装着状態において、そのベルト本体に形成された突出部が仙骨に強く弾性接触し、その接触部において胴ベルトに負荷される作業工具等の吊下げ荷重を受けることができるため、胴ベルトの上辺が腰部から離れて隙間が形成されるようなことがなく、ベルト本体の内面全体が全長にわたって腰部の外周に密着するフィットした取付け状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る腰部サポータの実施の形態を示す斜視図
【図2】図1の正面図
【図3】図1の平面図
【図4】図1の背面図
【図5】図2のV−V線に沿った断面図
【図6】図2のVI−VI線に沿った断面図
【図7】図2のVII−VII線に沿った断面図
【図8】図2のVIII−VIII線に沿った断面図
【図9】図1の腰部サポータを採用した安全帯を示す斜視図
【図10】図9の側面図
【図11】この発明に係る腰部サポータの他の実施の形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図9および図10は、高所作業用の安全帯1を示す。この安全帯1は、腰部外周に締付けられる胴ベルト10と、その胴ベルト10の内側に沿わせられた腰部サポータとしての補助ベルト20とからなり、上記胴ベルト10は、バックル11を端部に有している。
【0020】
図1乃至図8は、補助ベルト20を示している。この補助ベルト20は、ベルト本体21を有している。ベルト本体21は、熱可塑性樹脂の成形により腰部を包み込む形状に立体成形されてクッション性を有し、外表面はベルト本体21に接着された保護布22によって全体が覆われ、外周部はベルト本体21に縫着される縁布23によって包み込まれている。
【0021】
ベルト本体21は、厚さが3〜6mm程度とされている。このベルト本体21の成形に際し、ここでは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を採用するようにしているが、熱可塑性樹脂はこれに限定されるものではない。例えば、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等でもよい。
【0022】
ベルト本体21は、腰部外周に沿う主体部分21aと、腹部の両側部位に沿う左右一対の端末部分21bとに3分割され、その主体部分21aと一対の端末部分21bは、両端部が主体部分21aと端末部分21bに縫着される柔軟な連結片24で連結されている。
【0023】
図2に示すように、主体部分21aの上辺は、長さ方向の中央部が両端より上位に位置するよう上方に向けて緩やかに湾曲し、下辺は、長さ方向の中央部が両端より下位に位置するよう上辺の曲率半径より小さい曲率半径でもって下方に向けて湾曲している。また、図1に示すように、主体部分21aの内面上部の曲率半径r1は、内面下部の曲率半径r2より小さくされている。
【0024】
図2、図5および図6に示すように、主体部分21aには、ベルト本体21が腰部を包み込む装着状態において、仙骨と対向する部分に縦長の突出部25が設けられ、その突出部25の背面側には凹部26が形成されている。
【0025】
突出部25は、外周縁部での盛り上がり高さが3〜7mm程度とされており、その両側辺部25aは下辺に向けて内方傾斜し、上辺が下辺より長くなって仙骨を模したほぼV字形状とされている。また、突出部25の表面25bは上下方向および左右方向の2方向に緩やかに湾曲する凸曲面とされている。
【0026】
また、主体部分21aには、図2に示すように、縦長の突出部25の両側方に左右方向に延びる横長の突出部27が上下方向に間隔をおいて設けられ、その上下の突出部27間および縦長突出部25間に通気路28が形成されている。
【0027】
一方、端末部分21bの内面には上下方向に延びる突出部29が左右方向に間隔をおいて設けられ、その突出部29間は通気路30とされている。
【0028】
ここで、主体部分21aに形成された横長突出部27および端末部分21bに形成された突出部29の盛り上がり高さは、縦長突出部25の外周縁部での盛り上がり高さ以下とされている。
【0029】
図4および図5に示すように、補助ベルト20の外表面には、一端部が補助ベルト20の上辺部に縫着された複数のベルト押え31aが長さ方向に間隔をおいて設けられ、そのベルト押え31aは、その他端部に設けられたスナップ31bと補助ベルト20の外表面の下辺部に設けられたスナップ31cの係合により、下側の自由端部が固定され、補助ベルト20の外表面に重なり合う胴ベルト10が補助ベルト20から離れる方向に移動するのを防止するようになっている。
【0030】
実施の形態で示す安全帯1は上記の構造からなり、その安全帯1の着用に際しては、補助ベルト20を腰部外周に沿わせ、上記腰部に対する胴ベルト10の巻き締めによって補助ベルト20を締付ける。
【0031】
ここで、補助ベルト20は、主体部分21aの両端部に柔軟な連結片24を介して一対の端末部分21bを連結しているため、その一対の端末部分21bを外方に拡げることにより、主体部分21aを腰部外周に簡単に沿わせることができる。
【0032】
上記のような補助ベルト20の装着状態において、その補助ベルト20の主体部分21aに形成された突出部25が仙骨と対向して、その仙骨に突出部25の表面全体が強く弾性接触することになる。このため、胴ベルト10に吊下げ支持された図示省略の作業工具等の吊下げ荷重は、突出部25と仙骨の弾性接触部で受けられることになり、ベルト本体21の主体部分21aの上辺が腰部から離れて隙間が形成されるようなことがなく、ベルト本体21は、その内面に設けられた突出部27、29の表面それぞれが腰部の外周に密着するフィットした取付けとされる。
【0033】
実施の形態においては、ベルト本体21を主体部分21aと一対の端末部分21bとに3分割し、その主体部分21aと一対の端末部分21bとを柔軟な連結片24で連結するようにしているが、ベルト本体21を1本ものとして、その全体を腰部外周を包み込むよう立体成形するようにしてもよい。また、立体成形することなく、扁平な帯状の成形品としてもよい。
【0034】
図11に示すように、補助ベルト20の両端部に一対の係着可能な雌雄の面ファスナテープ32を連結しておくと、その面ファスナテープ32の係合によって補助ベルト20を腰部に装着した状態に仮止めすることができるため、胴ベルト10の締付け時に、補助ベルト20を支える必要がなくなり、胴ベルト10の締付け作業を容易に行なうことができる。
【0035】
実施の形態では、腰部サポータとして補助ベルト20を示したが、腰部サポータは補助ベルトに限定されるものではない。例えば、仙骨の歪みを矯正する腰部矯正ベルトであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
21 ベルト本体
21a 主体部分
21b 端末部分
24 連結片
25 突出部
25a 両側辺部
32 面ファスナテープ
r1 内面上部の曲率半径
r2 内面下部の曲率半径
【技術分野】
【0001】
この発明は、安全帯の補助ベルトや、仙骨の歪みを矯正する腰部矯正ベルト等の腰部を保護する腰部サポータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設現場等の高所で作業を行なう場合、腰部に安全帯を巻き締め、その安全帯に連結されたロープ先端の安全フックを、高所に張設された親綱や構築物に係合して、安全性を確保することが行なわれている。
【0003】
ここで、安全帯の胴ベルトを腰部に直接巻き締める使用であると、その胴ベルトには多くの作業用工具が吊下げ支持されて重量も重いため、長時間の作業を行なうと、腰部に対する負担が大きくなり、長時間の作業や日々の作業により、疲労が蓄積されて腰に痛みを感じるケースが多く見られる。また、作業時に万一落下して、安全フック付きのロープで墜落が阻止された際に、腰部に大きな衝撃が負荷され、腰を痛める場合がある。
【0004】
上記のような安全帯に限らず、工具吊り専用の工具吊りベルトにおいても、工具の重みによって、上記と同様に、腰に痛みを感じるケースが多くある。
【0005】
そのような不都合を解消するため、胴ベルトや工具吊りベルトの内側に、その胴ベルトより幅寸法の大きなクッション性に優れた腰部サポータとしての補助ベルトを沿わせて、腰への負担を軽減する対策が採られるようになってきている。
【0006】
上記補助ベルトとして、特許文献1に記載されているように、上下辺が平行する帯状のものや、特許文献2に記載されているように、上辺を中央部が窪む湾曲状とし、かつ、下辺を中央部が突出する湾曲状とした帯状のものが知られている。いずれの補助ベルトも未装着状態で扁平な形態をなし、胴ベルトや工具吊りベルトの締付けによって、腰部の外周に巻き付く装着状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−14815号公報
【特許文献2】特開2005−58635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記いずれの補助ベルトも、着用前の状態で扁平な形態をなしているため、腰部の外周に装着した状態で、吊下げ支持された工具の重量によるモーメント荷重により、上辺部が腰から離れて腰との間に空間が生じ、下辺部のみが腰に強く密着して、その密着部分に吊下げ荷重が集中し、腰部にフィットした装着状態を得ることができず、クッション材としての効果を充分に発揮させることができないという不都合がある。
【0009】
この発明の課題は、腰部にフィットした装着状態を得ることができるようにした補助ベルト等の腰部サポータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明においては、腰部を包み込み可能な帯状のクッション性を有するベルト本体を具え、そのベルト本体の腰部を包み込む装着状態で仙骨と対向する部位に、両側辺部が下辺に向けて内方傾斜して上辺が下辺より長くされた仙骨に模した形状の突出部を設けた構成を採用したのである。
【0011】
上記の構成からなる腰部サポータを安全帯の補助ベルトとして使用する場合は、ベルト本体の外表面に複数のベルト押えを長さ方向に間隔をおいて設け、そのベルト押えで補助ベルトの外表面に沿わせられた胴ベルトを押えるようにする。そして、安全帯の着用に際しては、ベルト本体を腰部外周に沿わせ、腰部に対する胴ベルトの巻き締めにより、ベルト本体を締め付けるようにする。
【0012】
上記のようなベルト本体の装着状態において、そのベルト本体に形成された突出部が仙骨と対向して、その仙骨に突出部の表面全体が強く弾性接触することになる。このため、胴ベルトに吊下げ支持される作業工具等の吊下げ荷重は、突出部と仙骨の弾性接触部で受けられることになり、ベルト本体の上辺が腰部から離れて隙間が形成されるようなことがなく、ベルト本体は、その内面全体が全長にわたって腰部の外周に密着するフィットした取付けとされる。
【0013】
ここで、ベルト本体を、扁平な展開状態で上辺を、その中央部が両端より上位に位置するよう上方に向けて緩やかに湾曲させ、かつ、下辺を、その中央部が両端より下位に位置するよう上記上辺の曲率半径より小さな曲率半径でもって下方に向けて湾曲させて、上下辺間の幅寸法が長さ方向の中央部で広く、両端に至るに従って次第に小さくし、そのベルト本体を腰部を包み込む形状に立体成形すると、よりフィットした装着状態を得ることができる。
【0014】
この場合、ベルト本体の内面上部の曲率半径を内面下部の曲率半径より小さくしておくことにより、ベルト本体の上辺および下辺を腰部により確実に密着させることができ、より良好なフィット状態を得ることができる。
【0015】
また、ベルト本体を腰部の外周に沿う主体部分と、腹部の両側部位に沿う左右一対の端末部分とに3分割し、上記主体部分と一対の端末部分とを、両端部が主体部分と端末部分とに縫着される柔軟な連結片で連結しておくと、ベルト本体の装着時に、ベルト本体の端末部を外方に簡単に拡げることができるため、腰部外周に対してベルト本体を簡単に装着することができる。
【0016】
さらに、ベルト本体の両端部に一対の係着可能な面ファスナテープを接続しておくと、一対の面ファスナテープの係着によって、ベルト本体を腰部外周に沿わせた装着状態に仮止めすることができるため、胴ベルトの締付け時にベルト本体を支える必要がなくなり、胴ベルトの締付け作業を容易に行なうことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明においては、ベルト本体の装着状態において、そのベルト本体に形成された突出部が仙骨に強く弾性接触し、その接触部において胴ベルトに負荷される作業工具等の吊下げ荷重を受けることができるため、胴ベルトの上辺が腰部から離れて隙間が形成されるようなことがなく、ベルト本体の内面全体が全長にわたって腰部の外周に密着するフィットした取付け状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る腰部サポータの実施の形態を示す斜視図
【図2】図1の正面図
【図3】図1の平面図
【図4】図1の背面図
【図5】図2のV−V線に沿った断面図
【図6】図2のVI−VI線に沿った断面図
【図7】図2のVII−VII線に沿った断面図
【図8】図2のVIII−VIII線に沿った断面図
【図9】図1の腰部サポータを採用した安全帯を示す斜視図
【図10】図9の側面図
【図11】この発明に係る腰部サポータの他の実施の形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図9および図10は、高所作業用の安全帯1を示す。この安全帯1は、腰部外周に締付けられる胴ベルト10と、その胴ベルト10の内側に沿わせられた腰部サポータとしての補助ベルト20とからなり、上記胴ベルト10は、バックル11を端部に有している。
【0020】
図1乃至図8は、補助ベルト20を示している。この補助ベルト20は、ベルト本体21を有している。ベルト本体21は、熱可塑性樹脂の成形により腰部を包み込む形状に立体成形されてクッション性を有し、外表面はベルト本体21に接着された保護布22によって全体が覆われ、外周部はベルト本体21に縫着される縁布23によって包み込まれている。
【0021】
ベルト本体21は、厚さが3〜6mm程度とされている。このベルト本体21の成形に際し、ここでは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を採用するようにしているが、熱可塑性樹脂はこれに限定されるものではない。例えば、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等でもよい。
【0022】
ベルト本体21は、腰部外周に沿う主体部分21aと、腹部の両側部位に沿う左右一対の端末部分21bとに3分割され、その主体部分21aと一対の端末部分21bは、両端部が主体部分21aと端末部分21bに縫着される柔軟な連結片24で連結されている。
【0023】
図2に示すように、主体部分21aの上辺は、長さ方向の中央部が両端より上位に位置するよう上方に向けて緩やかに湾曲し、下辺は、長さ方向の中央部が両端より下位に位置するよう上辺の曲率半径より小さい曲率半径でもって下方に向けて湾曲している。また、図1に示すように、主体部分21aの内面上部の曲率半径r1は、内面下部の曲率半径r2より小さくされている。
【0024】
図2、図5および図6に示すように、主体部分21aには、ベルト本体21が腰部を包み込む装着状態において、仙骨と対向する部分に縦長の突出部25が設けられ、その突出部25の背面側には凹部26が形成されている。
【0025】
突出部25は、外周縁部での盛り上がり高さが3〜7mm程度とされており、その両側辺部25aは下辺に向けて内方傾斜し、上辺が下辺より長くなって仙骨を模したほぼV字形状とされている。また、突出部25の表面25bは上下方向および左右方向の2方向に緩やかに湾曲する凸曲面とされている。
【0026】
また、主体部分21aには、図2に示すように、縦長の突出部25の両側方に左右方向に延びる横長の突出部27が上下方向に間隔をおいて設けられ、その上下の突出部27間および縦長突出部25間に通気路28が形成されている。
【0027】
一方、端末部分21bの内面には上下方向に延びる突出部29が左右方向に間隔をおいて設けられ、その突出部29間は通気路30とされている。
【0028】
ここで、主体部分21aに形成された横長突出部27および端末部分21bに形成された突出部29の盛り上がり高さは、縦長突出部25の外周縁部での盛り上がり高さ以下とされている。
【0029】
図4および図5に示すように、補助ベルト20の外表面には、一端部が補助ベルト20の上辺部に縫着された複数のベルト押え31aが長さ方向に間隔をおいて設けられ、そのベルト押え31aは、その他端部に設けられたスナップ31bと補助ベルト20の外表面の下辺部に設けられたスナップ31cの係合により、下側の自由端部が固定され、補助ベルト20の外表面に重なり合う胴ベルト10が補助ベルト20から離れる方向に移動するのを防止するようになっている。
【0030】
実施の形態で示す安全帯1は上記の構造からなり、その安全帯1の着用に際しては、補助ベルト20を腰部外周に沿わせ、上記腰部に対する胴ベルト10の巻き締めによって補助ベルト20を締付ける。
【0031】
ここで、補助ベルト20は、主体部分21aの両端部に柔軟な連結片24を介して一対の端末部分21bを連結しているため、その一対の端末部分21bを外方に拡げることにより、主体部分21aを腰部外周に簡単に沿わせることができる。
【0032】
上記のような補助ベルト20の装着状態において、その補助ベルト20の主体部分21aに形成された突出部25が仙骨と対向して、その仙骨に突出部25の表面全体が強く弾性接触することになる。このため、胴ベルト10に吊下げ支持された図示省略の作業工具等の吊下げ荷重は、突出部25と仙骨の弾性接触部で受けられることになり、ベルト本体21の主体部分21aの上辺が腰部から離れて隙間が形成されるようなことがなく、ベルト本体21は、その内面に設けられた突出部27、29の表面それぞれが腰部の外周に密着するフィットした取付けとされる。
【0033】
実施の形態においては、ベルト本体21を主体部分21aと一対の端末部分21bとに3分割し、その主体部分21aと一対の端末部分21bとを柔軟な連結片24で連結するようにしているが、ベルト本体21を1本ものとして、その全体を腰部外周を包み込むよう立体成形するようにしてもよい。また、立体成形することなく、扁平な帯状の成形品としてもよい。
【0034】
図11に示すように、補助ベルト20の両端部に一対の係着可能な雌雄の面ファスナテープ32を連結しておくと、その面ファスナテープ32の係合によって補助ベルト20を腰部に装着した状態に仮止めすることができるため、胴ベルト10の締付け時に、補助ベルト20を支える必要がなくなり、胴ベルト10の締付け作業を容易に行なうことができる。
【0035】
実施の形態では、腰部サポータとして補助ベルト20を示したが、腰部サポータは補助ベルトに限定されるものではない。例えば、仙骨の歪みを矯正する腰部矯正ベルトであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
21 ベルト本体
21a 主体部分
21b 端末部分
24 連結片
25 突出部
25a 両側辺部
32 面ファスナテープ
r1 内面上部の曲率半径
r2 内面下部の曲率半径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰部を包み込み可能な帯状のクッション性を有するベルト本体を具え、そのベルト本体の腰部を包み込む装着状態で仙骨と対向する部位に、両側辺部が下辺に向けて内方傾斜して上辺が下辺より長くされた仙骨に模した形状の突出部を設けた腰部サポータ。
【請求項2】
前記ベルト本体を、上下辺間の幅寸法を長さ方向の中央部で広く、両端に至るに従って次第に小さくし、そのベルト本体を腰部を包み込む形状に立体成形した請求項1に記載の腰部サポータ。
【請求項3】
ベルト本体の内面上部の曲率半径が、内面下部の曲率半径より小さくされた請求項2に記載の腰部サポータ。
【請求項4】
ベルト本体を、腰部の外周に沿う主体部分と、腹部の両側部位に沿う左右一対の端末部分とに3分割し、前記主体部分と一対の端末部分とを、両端部が主体部分と端末部分とに縫着される柔軟な連結片で連結した請求項2又は3に記載の腰部サポータ。
【請求項5】
ベルト本体の両端部に一対の係着可能な面ファスナテープを接続した請求項1乃至4のいずれかの項に記載の腰部サポータ。
【請求項1】
腰部を包み込み可能な帯状のクッション性を有するベルト本体を具え、そのベルト本体の腰部を包み込む装着状態で仙骨と対向する部位に、両側辺部が下辺に向けて内方傾斜して上辺が下辺より長くされた仙骨に模した形状の突出部を設けた腰部サポータ。
【請求項2】
前記ベルト本体を、上下辺間の幅寸法を長さ方向の中央部で広く、両端に至るに従って次第に小さくし、そのベルト本体を腰部を包み込む形状に立体成形した請求項1に記載の腰部サポータ。
【請求項3】
ベルト本体の内面上部の曲率半径が、内面下部の曲率半径より小さくされた請求項2に記載の腰部サポータ。
【請求項4】
ベルト本体を、腰部の外周に沿う主体部分と、腹部の両側部位に沿う左右一対の端末部分とに3分割し、前記主体部分と一対の端末部分とを、両端部が主体部分と端末部分とに縫着される柔軟な連結片で連結した請求項2又は3に記載の腰部サポータ。
【請求項5】
ベルト本体の両端部に一対の係着可能な面ファスナテープを接続した請求項1乃至4のいずれかの項に記載の腰部サポータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−200556(P2011−200556A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72389(P2010−72389)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000106287)サンコー株式会社 (24)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000106287)サンコー株式会社 (24)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
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