自動二輪車及び車体フレーム
【課題】優れた操作感が得られやすい自動二輪車を提供する。
【解決手段】車体フレーム2は、上部フレーム20と、下部フレーム24と、締結部材25と、締結部材26とを備える。締結部材25は、第1ボルトと第2ボルトとを備える。第1ボルトは、上部フレーム端部237と接続される下部フレーム端部241の軸線に対して斜めに交差して配置され、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。第2ボルトは、下部フレーム端部241の軸線に対して垂直に交差して配置され、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。
【解決手段】車体フレーム2は、上部フレーム20と、下部フレーム24と、締結部材25と、締結部材26とを備える。締結部材25は、第1ボルトと第2ボルトとを備える。第1ボルトは、上部フレーム端部237と接続される下部フレーム端部241の軸線に対して斜めに交差して配置され、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。第2ボルトは、下部フレーム端部241の軸線に対して垂直に交差して配置され、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車及び自動二輪車に用いられる車体フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の車体フレームは、ループ形状を有し、内側にエンジンを収納する。車体フレームは通常、一体的に成型される。自動二輪車の製造時に、エンジンは車体フレーム内に収納される。そのため、車体フレームはエンジンよりも大きい。
【0003】
車体フレームが大きすぎれば、自動二輪車の操作感が低下する。車体フレームが小さければ、自動二輪車が軽量化され、かつ、車体フレーム全体が自動二輪車の重心近くに配置される。そのため、優れた操作感が得られる。従って、車体フレームは小さい方が好ましい。
【0004】
車体フレームにはさらに、バランスのとれた剛性が求められる。特に、自動二輪車がモトクロッサーに代表されるオフロードタイプである場合、自動二輪車は不整地を走行したり、ジャンプしたりする。そのため、車体フレームには、種々の方向から外力が加わる。各方向の外力に対する剛性の片寄りが大きければ、操作感が低下する。たとえば、引張剛性及び圧縮剛性と比較して、ねじり剛性が極端に低い場合、車体フレームは、ねじり方向の力に対して、しなりやすい。そのため、ねじり方向に外力が加わると、車体フレームが通常よりもしなり、操作し難くなる。このように、各方向の外力に対する剛性の片寄りが大きい場合、操作感が低下する。したがって、種々の外力に対する剛性の片寄りが抑えられる方が好ましい。
【0005】
特開2008−222077号公(特許文献1)及び特開平4−244492号公報(特許文献2)は、剛性及び強度を確保できる車体フレームを提案する。特許文献1及び特許文献2に開示された車体フレームは、一部のフレームを着脱可能である。着脱可能なフレームの材質を選択することにより、車体フレームの強度及び剛性を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−222077号公報
【特許文献2】特開平4−244492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された車体フレームでは、着脱可能なフレームを車体フレームに接続する部分において、種々の外力に対する剛性の片寄りが大きいと考えられる。そのため、優れた操作感が得られにくい。
【0008】
本発明の目的は、優れた操作感が得られやすい自動二輪車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態による自動二輪車は、エンジンと、車体フレームとを備える。車体フレームは、エンジンの周りに配置される。車体フレームは、ヘッドパイプと、上部フレームと、下部フレームと、第1の締結部材とを備える。上部フレームは、メインフレームと、フロントフレームとを含む、メインフレームは、ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びる。フロントフレームは、ヘッドパイプから下方に延びる。下部フレームは、フロントフレームの下端に配置される第1の上部フレーム端部と、メインフレームの下端に配置される第2の上部フレーム端部との間に配置される。第1の締結部材は、下部フレームを上部フレームに締結する。下部フレームは、第1及び第2の下部フレーム端部を含む。第1の下部フレーム端部は、上方に延び、第1の上部フレーム端部と接続される。第2の下部フレーム端部は、後方に延び、第2の上部フレーム端部と接続される。第1の締結部材は、第1のボルトと、第2のボルトとを含む。第1のボルトは、上部フレーム端部と接続される下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、下部フレーム端部を上部フレーム端部に締結する。第2のボルトは、下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、下部フレーム端部を上部フレーム端部に締結する。
【0010】
本実施の形態による自動二輪車では、車体フレームは上部フレームと下部フレームとに分割できる。そのため、車体フレーム全体を従来よりも小さくすることができる。さらに、上部フレームと下部フレームの締結部分において、第1の締結部材により、種々の方向からの外力に対する剛性の片寄りを低減できる。そのため、優れた操作感が得られやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施の形態による自動二輪車の左側面図である。
【図2】図2は、図1中の車体フレームの斜視図である。
【図3】図3は、図1中の車体フレームの分解斜視図である。
【図4】図4は、図1中の上部フレーム及びエンジンの側面図である。
【図5】図5は、図1中の車体フレーム及びエンジンの側面図である。
【図6】図6は、図2中の車体フレームのうち、フロント締結部分の分解斜視図である。
【図7】図7は、図2中の車体フレームのうち、フロント締結部分の斜視図である。
【図8】図8は、フレーム試験片の平面図である。
【図9A】図9Aは、図8と異なるフレーム試験片の平面図である。
【図9B】図9Bは、図9A中の線分IXB−IXBでの断面図である。
【図10A】図10Aは、図8及び図9Aと異なるフレーム試験片の平面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのフレーム試験片の側面図である。
【図11】図11は、図8、図9A及び図10Aと異なるフレーム試験片の平面図である。
【図12】図12は、図8〜図11に示すフレーム試験片を用いた各種剛性試験により得られた。異なる方向からの外力に対する各フレーム試験片の剛性値の割合を示すグラフである。
【図13】図2中の車体フレームのうち、リア締結部分の側面図である。
【図14】図14は、図13中の下部フレーム端部と上部フレーム端部との側面図である。
【図15】図15は、図13に示すリア締結部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下の説明での、前後左右は、ライダが乗車した状態での方向を示す。
【0013】
[自動二輪車の全体構成]
図1は、自動二輪車1の左側面図である。図1を参照して、自動二輪車1は、車体フレーム2と、エンジン3と、燃料タンク4と、シート5と、フロントフォーク6と、前輪7と、後輪8と、リアショックアブソーバ12と、リンク機構13とを備える。
【0014】
車体フレーム2は、前端にヘッドパイプ21を備える。ヘッドパイプ21は筒であり、下方に向かって斜め前方に延びる。ヘッドパイプ21の上方には、ハンドル11が左右方向に回転可能に取り付けられている。ヘッドパイプ21の左右には、一対のフロントフォーク6が配置される。一対のフロントフォーク6は、下方に向かって斜め前方に延びる。一対のフロントフォーク6の下端には、前輪7が回転可能に取り付けられる。燃料タンク4は、車体フレーム2の前部上方に配置される。シート5は、車体フレーム2の上方に配置され、燃料タンク4の後部上端から後方に延びる。
【0015】
車体フレーム2は、いわゆるクレードル型のフレームであり、ループ形状を有する。エンジン3は車体フレーム2内に収納される。車体フレーム2の後部には、ピボット軸9が設けられる。リアアーム10は、その前端部でピボット軸9周りに上下に揺動可能に支持される。後輪8は、リアアーム10の後端部に回転可能に取り付けられる。
【0016】
リアショックアブソーバ12は、車体フレーム2の後方、かつ、シート5の下方に配置される。リアショックアブソーバ12の上端は、車体フレーム2の上部に形成されたブラケットに取り付けられる。リアショックアブソーバ12の下端は、リンク機構13に取り付けられる。リンク機構13は、リアアーム10と、車体フレーム2の後部下端とに取り付けられる。リアアーム10は上下に揺動可能に取り付けられる。
【0017】
[車体フレーム2の構成]
図2は、車体フレーム2の斜視図である。図3は、車体フレーム2の分解斜視図である。図2及び図3を参照して、車体フレーム2は、上部フレーム20と、一対の下部フレーム24と、締結部材25と、締結部材26とを備える。締結部材25及び26は、下部フレーム24を、上部フレーム20に締結する。
【0018】
[上部フレーム20の構成]
上部フレーム20は、ヘッドパイプ21と、一対のメインフレーム22と、フロントフレーム23とを備える。一対のメインフレーム22の前端は、ヘッドパイプ21の後部に接続される。一対のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21から自動二輪車1の後方に向かって斜め下方に延びる。一対のメインフレーム22は、自動二輪車1の幅方向に並んで配置される。一対のメインフレーム22の下端部には、一対の貫通孔229が形成される。一対の貫通孔229には、ピボット軸9(図1参照)が挿入される。
【0019】
一対のメインフレーム22は、下端に端部221を備える。端部221には、下部フレーム24が取り付けられる。端部221は、上部フレーム20の端部であるため、以降の説明では、上部フレーム端部221と呼ぶ。
【0020】
一対の上部フレーム端部221の間には、筒状のクロスフレーム260が配置される。クロスフレーム260は、一対の取付部材223を備える。一対の取付部材223は、クロスフレーム260の後端に、互いに幅方向に離れて配置される。一対の取付部材223の間には、リンク機構13(図1参照)の前端部が配置され、一対の取付部材223は、シャフトによりリンク機構13と連結される。
【0021】
フロントフレーム23の上端は、ヘッドパイプ21の下端部と接続される。フロントフレーム23は、ヘッドパイプ21から下方に延びる。フロントフレーム23は、幹フレーム231と、一対の枝フレーム232とを備える。幹フレーム231は、フロントフレーム23の上部に配置され、幹フレーム231の上端は、ヘッドパイプ21に接続される。一対の枝フレーム232は、フロントフレーム23の下部に配置される。一対の枝フレーム232は、自動二輪車1の幅方向に配列され、各枝フレーム232の上端は、幹フレーム231の下端に接続される。各枝フレーム232は、下端に端部237を備える。端部237には、下部フレーム24が取り付けられる。端部237は、上部フレーム20の端部であるため、以降の説明では、上部フレーム端部237と呼ぶ。
【0022】
フロントフレーム23はさらに、一対の梁部材233を備える。一対の梁部材233は、幹フレーム231の後端と、一対のメインフレーム22との間に取り付けられる。梁部材233は、ボルト連結前の単品時における溶接歪みを低減する。
【0023】
[下部フレーム24]
下部フレーム24は、上部フレーム端部237と、上部フレーム端部221との間に配置される。
【0024】
下部フレーム24は、自動二輪車1の前後方向に延び、その前端部は上部に延びる。下部フレーム24は、2つの下部フレーム端部241及び242を有する。下部フレーム端部241は、下部フレーム24の前端に配置され、上方に延びる。下部フレーム端部242は、下部フレーム24の後端に配置され、後方に延びる。
【0025】
下部フレーム端部241は、上部フレーム端部237に取り付けられる。下部フレーム端部242は、上部フレーム端部221に取り付けられる。
【0026】
[締結部材25及び26]
締結部材25は、下部フレーム端部241を、上部フレーム端部237に締結する。締結部材26は、下部フレーム端部242を、上部フレーム端部221に締結する。以降、車体フレーム2のうち、締結部材25で締結される部分を「フロント締結部分」と呼び、締結部材26で締結される部分を「リア締結部分」という。
【0027】
[車体フレーム2内のエンジン3の配置について]
以上のとおり、車体フレーム2は、上部フレーム20と、下部フレーム24とに分割される。一体成型された車体フレーム内にエンジンを収納する場合、車体フレームは、内部にエンジンを挿入できる程度に大きい。
【0028】
これに対して、車体フレーム2は、一体成型される従来の車体フレームよりも小さくすることができる。上述のとおり、車体フレーム2は、上部フレーム20と、下部フレーム24とに分割される。図4に示すとおり、車体フレーム2にエンジン3を収納するとき、エンジン3は上部フレーム20に取り付けられる。具体的には、エンジン3は、メインフレーム22から下方に延びるブラケット250に取り付けられる。このとき、下部フレーム24は上部フレーム20に取り付けられていないため、エンジン3は上部フレーム20に容易に取り付けられる。上部フレーム20に取り付けられたエンジン3の後端の一部は、一対のメインフレーム22の間に配置される。したがって、メインフレーム22は、側面視において、エンジン3と重なる部分を有する。
【0029】
エンジン3が上部フレーム20に取り付けられた後、図5に示すように、下部フレーム24が上部フレーム20に取り付けられる。上述のとおり、下部フレーム24は、締結部材25及び26により、上部フレーム20に締結される。このとき、エンジン3の下端部は、一対の下部フレーム24の間に配置される。したがって、下部フレーム24は、側面視において、エンジン3と重なる部分を有する。
【0030】
以上のとおり、車体フレーム2は、側面視において、エンジン3と重なる部分を有する。車体フレーム2は、一体成型される車体フレームと比較して、小さい。そのため、車体フレーム2は従来よりも軽量化でき、車体フレーム2全体を自動二輪車1の重心近傍に近づけることができる。そのため、操作感が向上する。
【0031】
[車体フレーム2の剛性について]
車体フレーム2の剛性は、ライダの操作感及び乗り心地感に影響する。特に、モトクロッサーのように、自動二輪車が不整地を走行する場合、車体フレーム2には複数の方向から外力を受ける。このとき、種々の外力に対する締結部分(フロント締結部分、リア締結部分)の剛性の片寄りが少ない方が、優れた操作感及び乗り心地感が得られる。締結部材25及び26は、種々の外力に対する締結部分の剛性の片寄りを抑える。以下、車体フレーム2のフロント締結部分、リア締結部分の構成について詳述する。
【0032】
[フロント締結部分]
[上部フレーム端部237及び下部フレーム端部241の構成]
図6は、車体フレーム2のフロント締結部分の分解斜視図であり、図7は、フロント締結部分の斜視図である。図6を参照して、上部フレーム端部237は、枝フレーム232の下端に配置される。上部フレーム端部237は、下端に端面234を有する。端面234は平面であり、上部フレーム端部237の軸線L237に対して傾斜する。端面234の前端234Fは、端面234の後端234Rよりも上方に配置される。そのため、端面234の法線N234は、前方に向かって斜め下方に延びる。
【0033】
下部フレーム24の前端には、下部フレーム端部241が配置される。下部フレーム端部241は、端面243を有する。端面243は平面であり、下部フレーム端部241の軸線L241に対して傾斜する。端面243の前端は、端面243の後端よりも上方に配置される。そのため、端面243の法線N243は、後方に向かって斜め上方に延びる。
図7に示すように、締結時、端面243は端面234と接触する。したがって、端面234は端面243に対向する。
【0034】
上部フレーム端部237はさらに、貫通孔235及び236を有する。貫通孔235は、軸線L237に対して斜めに交差して配置される。具体的には、貫通孔235は、端面234と、上部フレーム端部237の背面との間に形成され、法線N234方向に延びる。そのため、貫通孔235は、端面234と、上部フレーム端部237の背面とに開口を有する。締結時、軸線L237は、下部フレーム端部241の軸線L241と同軸に配置される。そのため、締結時、貫通孔235は、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。
【0035】
貫通孔236は、上部フレーム端部237の両側面の間に配置される。そのため、貫通孔236は、上部フレーム端部237の軸線L237に対して垂直に交差して配置される。したがって、締結時、貫通孔236は、軸線L241に対しても垂直に交差して配置される。貫通孔236は、貫通孔235と垂直に交差する。貫通孔235の内面には雌ねじが形成される。
【0036】
なお、本明細書でいう「垂直」とは、厳密に90度で交わる場合だけでなく、90度±10度の範囲を含む。好ましくは、垂直とは90度±5度の範囲をいい、さらに好ましくは、90度±2度の範囲をいう。
【0037】
下部フレーム端部241はさらに、上部フレーム端部237と同様に、2つの貫通孔245及び246を有する。貫通孔245は、端面243と、下部フレーム端部241の前面との間に形成される。下部フレーム端部241の前面には、窪み248が形成される。貫通孔245は、端面243と窪み248との間に配置される。締結時、貫通孔245は、貫通孔235と同軸に配置され、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。
【0038】
貫通孔246は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。そのため、締結時、貫通孔246は、貫通孔236と平行する。
【0039】
[締結部材25の構成]
締結部材25は、ボルトB1、B2及びB5と、板状のブラケット253及び254とを備える。ボルトB1、B2及びB5には雄ねじが形成される。ボルトB1は、貫通孔235及び245に挿入され、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。締結時、ボルトB1は、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。軸線L241は、ボルトB1を貫く。本例では、ボルトB1の軸線は、軸線L241と同一の仮想平面に含まれる。
【0040】
車体フレーム2とエンジン3との位置関係において、側面視にて車体フレーム2のうち、エンジン3が配置される側を内側と定義する場合、ボルトB1は、車体フレーム2の外側から内側に向かって貫通孔235及び245に挿入される。したがって、自動二輪車1を製造するとき、作業者がボルトB1を挿入しやすい。
【0041】
取付ボルトB5は、ブラケット253及び254を下部フレーム端部241に取り付ける。ボルトB2はさらに、下部フレーム端部241に取り付けられたブラケット253及び254を、上部フレーム端部237に締結する。したがって、ブラケット253及び254は、ボルトB2及び取付ボルトB5により、上部フレーム端部237及び下部フレーム端部241に取り付けられる。
【0042】
ブラケット253は、図7に示すとおり、締結時、上部フレーム端部237の側面及び下部フレーム端部241の側面に接して配置される。図6を参照して、ブラケット253は、貫通孔253A及び253Bを有する。貫通孔253Aは、貫通孔253Bよりも上方に配置される。締結時、貫通孔253Aは貫通孔236と同軸に配置され、貫通孔253Bは貫通孔246と同軸に配置される。
【0043】
ボルトB2は、貫通孔253A及び236に挿入され、ブラケット253を上部フレーム端部237に締結する。このとき、ボルトB2は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。取付ボルトB5は、貫通孔253B及び貫通孔246に挿入され、ブラケット253を下部フレーム端部241に取り付ける。このとき、取付ボルトB5は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。さらに、ボルトB2及びB5は、ボルトB1に対して垂直に交差して配置される。
【0044】
ブラケット254は、ブラケット253が配置される側面と反対側の側面に配置される。ブラケット254は、貫通孔254A及び254Bを有する。貫通孔254Aは、貫通孔254Bよりも上方に配置される。貫通孔254Aは貫通孔236と同軸に配置され、貫通孔254Bは貫通孔246と同軸に配置される。貫通孔254A及び254Bはいずれも、雌ねじが形成される。ボルトB2は貫通孔254Aに挿入され、ブラケット254を上部フレーム端部237に締結する。取付ボルトB5は貫通孔254Bに挿入され、ブラケット254を下部フレーム端部241に取り付ける。
【0045】
ブラケット254はさらに、貫通孔254Cを有する。貫通孔254Cは、貫通孔254A及び254Bよりも後方に配置され、ブラケット254の後端に配置される。締結部材25はさらに、ボルトB6を備える。図5に示すとおり、ボルトB4は貫通孔254Cに挿入され、エンジン3をブラケット254に締結する。
【0046】
上述のとおり、フロント締結部分では、ボルトB1、B2及びボルトB5が、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。このとき、ボルトB1は、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。ボルトB2及びB5は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。
【0047】
このように、異なる2方向に配置されたボルトB1、B2及びB5により、異なる方向からの外力に対するフロント締結部分の剛性は、片寄りにくい。ボルトB1は、軸線L241に対して斜めに交差して配置されるため、ボルトB1により、フロント結合部分の圧縮剛性、引張剛性及び曲げ剛性が向上する。さらに、ボルトB2及びB5は、軸線L241と垂直に交差して配置されるため、ボルトB2及びB5により、フロント締結部分のねじり剛性及び曲げ剛性が向上する。したがって、フロント結合部分の剛性は、異なる方向からの外力に対して片寄りにくい。以下、この点について詳述する。
【0048】
図8〜図11に示すフレーム試験片S1〜S4を用いて、引張剛性、圧縮剛性、曲げ剛性及びねじり剛性を調査した。
【0049】
図8を参照して、フレーム試験片S1は、横断面が長方形であり、中央に締結部分を有した。フレーム試験片S1は、フレームS11とフレームS12とを備え、フレームS11とS12とは、図7に示すフロント締結部分と同様の構成により締結された。具体的には、フレームS11とS12とは、ボルトB11と、一対のボルトB12と、一対のブラケットP1とにより結合された。ボルトB1は、フレーム試験片S1の軸線に対して斜めに交差して配置され、フレームS11にフレームS12を締結した。一対のボルトB2は、一対のブラケットP1の各々をフレームS11及びフレームS12の一方の側面及び他方の側面にそれぞれに固定した。さらに一対のボルトB12は、フレーム試験片S1の軸線と垂直に交差して配置された。
【0050】
図9A及び図9Bを参照して、フレーム試験片S2は、フレーム試験片S1と同じ形状及び同じ面積の横断面形状を有した。フレーム試験片S2も、中央に締結部分を有した。フレーム試験片S2は、フレームS21とフレームS22とを備えた。図9Bに示すとおり、フレームS21の後端部には、テーパ形状の溝が形成された。一方、フレームS22の先端部は、フレームS21の後端部の溝に嵌るように、テーパ形状を有した。フレームS22の先端部はフレームS21の後端部の溝に嵌められ、一対のボルトB12により、フレームS21の後端部に固定された。一対のボルトB12は、フレーム試験片S2の軸方向に対して垂直に交差して配置された。
【0051】
図10Aはフレーム試験片S3の平面図であり、図10Bは側面図である。図10A及び10Bを参照して、フレーム試験片S3は、フレーム試験片S1と同じ形状及び同じ面積の横断面形状を有した。フレーム試験片S3も、中央に締結部分を有した。フレーム試験片S3は、フレームS31とフレームS32とを備えた。図10Bを参照して、フレームS31の後端部には段差が設けられ、後端部の下部は、上部よりも後方に延びていた。フレームS32の前端部には段差が設けられ、前端部の上部は、下部よりも前方に延びていた。フレームS31の後端部がフレームS32の前端部に重なり、フレーム試験片S3を構成した。フレームS31の後端部とフレームS32の前端部とが互いに重なった部分には、一対のボルトB12が配置され、ボルトB12によりフレームS31とS32とが締結された。ボルトB12は、フレーム試験片S3の軸線に対して垂直に交差して配置された。
【0052】
図11を参照して、フレーム試験片S4は、フレーム試験片S1と同じ形状及び面積の横断面形状を有する素管であり、締結部分が形成されなかった。
【0053】
フレーム試験片S1〜S4はいずれも同じ長さ及び同じ外形寸法を有した。
【0054】
各フレーム試験片S1〜S4に対して、フレーム試験片の軸方向に対して引張試験及び圧縮試験を実施し、引張剛性及び圧縮剛性を求めた。さらに、各フレーム試験片S1〜S3のボルトB12の軸方向に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、ボルトB12の長手方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性を求めた。さらに、ボルトB12と垂直な方向に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、ボルトB12と垂直な方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性を求めた。
【0055】
フレーム試験片S4については、フレーム試験片S4の軸線方向に垂直な任意の方向(第1方向という)に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、第1方向に対する曲げ剛性を求めた。そして、第1方向の3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性を、ボルトB12の長手方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性と定義した。さらに、フレーム試験片S4の軸線方向及び第1方向に垂直な方向(第2方向という)に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、第2方向に対する曲げ剛性を求めた。そして、第2方向の3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性をボルトB12と垂直な方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性と定義した。さらに、各フレーム試験片S1〜S4に対してねじり試験を実施し、ねじり剛性を求めた。
【0056】
各フレーム試験片S1〜S4の試験結果を図12に示す。図12は、フレーム試験片S4の各試験での剛性を100とした場合の、フレーム試験片S1〜S4の各試験における剛性値(圧縮剛性、引張剛性、ボルトB12の長手方向の3点曲げ剛性、ボルトB12の長手方向の片持ち曲げ剛性、ボルトB12と垂直な方向の3点曲げ剛性、ボルトB12と垂直な方向の片持ち曲げ剛性)を示すグラフである。図12中の実線のグラフは、フレーム試験片S4の結果を示す。破線のグラフは、フレーム試験片S1の結果を示す。一点鎖線のグラフは、フレーム試験片S2の結果を示す。二点鎖線のグラフは、フレーム試験片S3の結果を示す。
【0057】
図12を参照して、フレーム試験片S1の各試験における剛性値は、フレーム試験片S4の対応する剛性値に近かった。したがって、フレーム試験片S1のグラフの形状は、フレーム試験片S4と同様に、正七角形に近かった。一方、フレーム試験片S2は、ボルトB12の垂直方向に対する3点曲げ試験の剛性値がフレーム試験片S4よりも顕著に高く、さらに、ねじり剛性値の高かった。そのため、フレーム試験片S2のグラフ形状は、正七角形から離れたいびつな形状となった。また、フレーム試験片S3では、ボルトB12の垂直方向に対する3点曲げ試験の剛性値がフレーム試験片S4よりも顕著に低く、ねじり剛性値もフレーム試験片S4よりも顕著に高かった。さらに、フレーム試験片S3の引張剛性値及び圧縮剛性値は、フレーム試験片S4よりも顕著に低かった。そのため、フレーム試験片S3のグラフ形状は、正七角形から離れたいびつな形状となった。
【0058】
以上の試験結果からもわかるように、車体フレーム2のフロント締結部分では、種々の異なる方向から外力に対する剛性値が片寄りにくく、フロント締結部分は素管と同様の剛性を示す。したがって、ライダは、一体成型された車体フレームと同じ感覚で自動二輪車1を操作できる。したがって、自動二輪車1は操作感及び乗り心地感を向上する。
【0059】
さらに、図6に示すとおり、下部フレーム端部241の端面243は、軸線L241に対して傾斜する。仮に、上部フレーム部材273と下部フレーム端部241との締結部分が、図10A及び図10Bに示すフレーム試験片S31及びS32の締結部分のように段差を有する場合、締結部分での断面変化が大きい。断面変化が大きければ、締結部分での力の伝わり方がなめらかにならず、操作感が低下する。本例では、端面243が軸線L241に対して傾斜する。そのため、締結部分での下部フレーム端部241及び上部フレーム端部237での横断面は、先端から徐々に変化する。そのため、締結部分において、応力はなめらかに伝わり、操作感が向上する。
【0060】
さらに、図6に示すとおり、ボルトB1は、下部フレーム端部241の端面243に開口を有する貫通孔245に挿入され、端面243の法線N243方向に配置される。そのため、ボルトB1は、端面243を端面234に強固に締結できる。
【0061】
さらに、ブラケット253及び254は、取付ボルトB5により下部フレーム端部241に取り付けられる。そして、ボルトB2は、下部フレーム端部241に取り付けられたブラケット253及び254を、上部フレーム端部237に締結する。このとき、取付ボルトB5は、ボルトB2と同じ方向に延び、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。そのため、締結部材のねじり剛性及び曲げ剛性が向上する。
【0062】
さらに、ブラケット254には、エンジン3が取り付けられる。ブラケット254により、上部フレーム20と、下部フレーム24と、エンジン3とが、1箇所で締結される。車体フレーム中において、締結箇所が多いほど、剛性の片寄りが多くなる。仮に、エンジン3をブラケット254に取り付けず、車体フレーム2内の他の箇所に配置される他のブラケットに締結した場合、車体フレーム2内の締結箇所が増加する。ブラケット254により、車体フレーム2の締結箇所の数を抑えることができるため、車体フレーム2の剛性の片寄りが抑えられ、操作感が向上する。
【0063】
本例では、フロント締結部分に、ブラケット253及び254を使用した。しかしながら、ブラケット253及び254のいずれか一方を使用し、他方を使用しなくてもよい。この場合であっても、ボルトB2及び使用されるブラケットにより、下部フレーム端部241は上部フレーム端部237に締結される。
【0064】
本例では、ブラケット253又は254は、取付ボルトB5により下部フレーム端部241に取り付けられる。しかしながら、ブラケット253及び254は、取付ボルトB5以外の他の方法により、下部フレーム端部241に取り付けされてもよい。たとえば、ブラケット253及び254は、下部フレーム端部241の側面に溶接されてもよい。また、ブラケット253及び254は、切削加工により下部フレーム端部241に形成されてもよい。
【0065】
また、ブラケット253及び254は、下部フレーム端部241に代えて、上部フレーム端部237の側面に取り付けられてもよい。この場合、取付ボルトB5により、ブラケット253及び254は下部フレーム端部241に締結される。要するに、ブラケットは、上部フレーム端部237及び下部フレーム端部241のいずれか一方に取り付けられ、ボルトにより他方に締結されればよい。
【0066】
[リア締結部分の詳細]
リア締結部分についても、フロント締結部分と同様の方法が採用される。図13は、リア締結部分の側面図である。図13を参照して、リア締結部分は、下部フレーム端部242と、上部フレーム端部221と、締結部材26とを備える。下部フレーム端部242は、下部フレーム24の後端に配置される。上部フレーム端部221は、メインフレーム22の下端に配置される。
【0067】
図14は、リア締結部分のうち、下部フレーム端部242と、上部フレーム端部221との側面図である。図15は、リア締結部分の分解斜視図である。図13〜図15を参照して、締結部材26は、ボルトB3と、ボルトB4と、ナットN1と、ブラケット222とを備える。締結部材26は、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。
【0068】
下部フレーム端部242は、後端に端面243を有する。端面243は平面であり、下部フレーム端部242の軸線L242に対して傾斜する。端面243の下端は、端面243の上端よりも、後方に配置される。下部フレーム端部242は、貫通孔245及び247を有する。貫通孔245は、端面243と、下部フレーム端部242の下面に形成される窪み246との間に形成される。したがって、貫通孔245は、端面243と、窪み246の表面とに開口を有する。
【0069】
貫通孔247は、下部フレーム端部242の両側面の間に形成され、軸線L242に対して垂直に交差して配置される。
【0070】
上部フレーム端部221は、下端に端面224を有する。端面224は、端面243と対向して配置される。上部フレーム端部221には、非貫通孔225が形成される。非貫通孔225は、端面224から後方に向かって斜め上方に延びる。締結時、非貫通孔225は、貫通孔245と同軸に配置される。非貫通孔225の内面には、雌ねじが形成される。
【0071】
上部フレーム端部221の下端のうち、端面224の隣りには、ブラケット222が取り付けられる。本例では、ブラケット222は、上部フレーム端部221の下端に一体的に取り付けられる。ブラケット222は、前方に延在し、貫通孔227を有する。締結時、貫通孔227は、貫通孔247と同軸に配置される。
【0072】
ボルトB3は、貫通孔245及び非貫通孔225に挿入され、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。締結時、ボルトB3は、軸線L242に対して斜めに交差して配置される。軸線L242は、ボルトB3を貫く。本例では、ボルトB3の軸線と軸線L242とは、同一の仮想平面に含まれる。
【0073】
ボルトB3は、車体フレーム2の外側から内側に向かって貫通孔245及び非貫通孔225に挿入される。したがって、自動二輪車1を製造するとき、作業者がボルトB3を挿入しやすい。
【0074】
ボルトB4は、貫通孔247及び貫通孔227に挿入される。このとき、ボルトB4の先端は、貫通孔247からはみ出る。ナットN1は、貫通孔247からはみ出たボルトB4の先端に取り付けられる。ボルトB4及びナットN1は、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。ボルトB4は、軸線L242に対して垂直に交差して配置される。
【0075】
ボルトB3及びB4により、異なる方向の外力に対するリア締結部分の剛性の片寄りは低減する。ボルトB3により、リア締結部分の圧縮剛性、引張剛性及び曲げ剛性は向上する。ボルトB4により、リア締結部分のねじり剛性及び曲げ剛性は向上する。そのため、操作感が向上する。
【0076】
上述の実施の形態では、図5に示すとおり、側面視において、メインフレーム22はエンジン3と重複する部分を有し、かつ、下部フレーム24はエンジン3と重複する部分を有した。しかしながら、車体フレーム2は、メインフレーム22及び下部フレーム24のいずれかが、エンジン3と重複してもよい。この場合であっても、従来の一体成型車体フレームと比較して、車体フレーム2は小さい。
【0077】
上述の実施の形態では、車体フレーム2は、締結部材25及び締結部材26を備える。しかしながら、車体フレーム2は、締結部材25及び締結部材26のいずれか一方を有してもよい。たとえば、車体フレーム2は、締結部材25を備え、リア締結部分では、締結部材26と異なる他の締結部材を取り付けてもよい。このような場合であっても、車体フレーム2の剛性の片寄りはある程度低減する。
【0078】
上述の実施の形態では、端面243及び223は平面である。しかしながら、端面243及び223は平面でなくてもよい。
【0079】
上述の実施の形態では、締結部材26がナットN1を備える。しかしながら、締結部材26はナットN1を備えなくてもよい。この場合、貫通孔227及び247の内面には雌ねじが形成される。
【0080】
上述の実施の形態では、ブラケット222は上部フレーム端部221に一体的に取り付けられている。しかしながら、ブラケット222は他の方法により上部フレーム端部221に取り付けられてもよい。たとえば、ブラケット222は、取付ボルトにより、上部フレーム端部221に取り付けられてもよい。
【0081】
また、ブラケット222は、上部フレーム端部221ではなく、下部フレーム端部242に取り付けられてもよい。この場合、上部フレーム端部221は、ブラケット222と接触する側面を有し、その側面には、貫通孔227と同軸に配置される孔(非貫通孔でも貫通孔でもよい)が形成される。ボルトB4は、貫通孔227と上部フレーム端部221に形成された孔とに挿入され、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。
【0082】
上述の実施の形態では、上部フレーム20は、一対のメインフレーム22を備える。しかしながら、メインフレーム22は1つであってもよい。また、下部フレーム24は一つであってもよい。また、フロントフレーム23は、枝フレームを有さなくてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
3 エンジン
20 上部フレーム
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
23 フロントフレーム
24 下部フレーム
25 締結部材
26 締結部材
221,237 上部フレーム端部
222,253,254 ブラケット
224,234 端面
241,242 下部フレーム端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車及び自動二輪車に用いられる車体フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の車体フレームは、ループ形状を有し、内側にエンジンを収納する。車体フレームは通常、一体的に成型される。自動二輪車の製造時に、エンジンは車体フレーム内に収納される。そのため、車体フレームはエンジンよりも大きい。
【0003】
車体フレームが大きすぎれば、自動二輪車の操作感が低下する。車体フレームが小さければ、自動二輪車が軽量化され、かつ、車体フレーム全体が自動二輪車の重心近くに配置される。そのため、優れた操作感が得られる。従って、車体フレームは小さい方が好ましい。
【0004】
車体フレームにはさらに、バランスのとれた剛性が求められる。特に、自動二輪車がモトクロッサーに代表されるオフロードタイプである場合、自動二輪車は不整地を走行したり、ジャンプしたりする。そのため、車体フレームには、種々の方向から外力が加わる。各方向の外力に対する剛性の片寄りが大きければ、操作感が低下する。たとえば、引張剛性及び圧縮剛性と比較して、ねじり剛性が極端に低い場合、車体フレームは、ねじり方向の力に対して、しなりやすい。そのため、ねじり方向に外力が加わると、車体フレームが通常よりもしなり、操作し難くなる。このように、各方向の外力に対する剛性の片寄りが大きい場合、操作感が低下する。したがって、種々の外力に対する剛性の片寄りが抑えられる方が好ましい。
【0005】
特開2008−222077号公(特許文献1)及び特開平4−244492号公報(特許文献2)は、剛性及び強度を確保できる車体フレームを提案する。特許文献1及び特許文献2に開示された車体フレームは、一部のフレームを着脱可能である。着脱可能なフレームの材質を選択することにより、車体フレームの強度及び剛性を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−222077号公報
【特許文献2】特開平4−244492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された車体フレームでは、着脱可能なフレームを車体フレームに接続する部分において、種々の外力に対する剛性の片寄りが大きいと考えられる。そのため、優れた操作感が得られにくい。
【0008】
本発明の目的は、優れた操作感が得られやすい自動二輪車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態による自動二輪車は、エンジンと、車体フレームとを備える。車体フレームは、エンジンの周りに配置される。車体フレームは、ヘッドパイプと、上部フレームと、下部フレームと、第1の締結部材とを備える。上部フレームは、メインフレームと、フロントフレームとを含む、メインフレームは、ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びる。フロントフレームは、ヘッドパイプから下方に延びる。下部フレームは、フロントフレームの下端に配置される第1の上部フレーム端部と、メインフレームの下端に配置される第2の上部フレーム端部との間に配置される。第1の締結部材は、下部フレームを上部フレームに締結する。下部フレームは、第1及び第2の下部フレーム端部を含む。第1の下部フレーム端部は、上方に延び、第1の上部フレーム端部と接続される。第2の下部フレーム端部は、後方に延び、第2の上部フレーム端部と接続される。第1の締結部材は、第1のボルトと、第2のボルトとを含む。第1のボルトは、上部フレーム端部と接続される下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、下部フレーム端部を上部フレーム端部に締結する。第2のボルトは、下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、下部フレーム端部を上部フレーム端部に締結する。
【0010】
本実施の形態による自動二輪車では、車体フレームは上部フレームと下部フレームとに分割できる。そのため、車体フレーム全体を従来よりも小さくすることができる。さらに、上部フレームと下部フレームの締結部分において、第1の締結部材により、種々の方向からの外力に対する剛性の片寄りを低減できる。そのため、優れた操作感が得られやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施の形態による自動二輪車の左側面図である。
【図2】図2は、図1中の車体フレームの斜視図である。
【図3】図3は、図1中の車体フレームの分解斜視図である。
【図4】図4は、図1中の上部フレーム及びエンジンの側面図である。
【図5】図5は、図1中の車体フレーム及びエンジンの側面図である。
【図6】図6は、図2中の車体フレームのうち、フロント締結部分の分解斜視図である。
【図7】図7は、図2中の車体フレームのうち、フロント締結部分の斜視図である。
【図8】図8は、フレーム試験片の平面図である。
【図9A】図9Aは、図8と異なるフレーム試験片の平面図である。
【図9B】図9Bは、図9A中の線分IXB−IXBでの断面図である。
【図10A】図10Aは、図8及び図9Aと異なるフレーム試験片の平面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのフレーム試験片の側面図である。
【図11】図11は、図8、図9A及び図10Aと異なるフレーム試験片の平面図である。
【図12】図12は、図8〜図11に示すフレーム試験片を用いた各種剛性試験により得られた。異なる方向からの外力に対する各フレーム試験片の剛性値の割合を示すグラフである。
【図13】図2中の車体フレームのうち、リア締結部分の側面図である。
【図14】図14は、図13中の下部フレーム端部と上部フレーム端部との側面図である。
【図15】図15は、図13に示すリア締結部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下の説明での、前後左右は、ライダが乗車した状態での方向を示す。
【0013】
[自動二輪車の全体構成]
図1は、自動二輪車1の左側面図である。図1を参照して、自動二輪車1は、車体フレーム2と、エンジン3と、燃料タンク4と、シート5と、フロントフォーク6と、前輪7と、後輪8と、リアショックアブソーバ12と、リンク機構13とを備える。
【0014】
車体フレーム2は、前端にヘッドパイプ21を備える。ヘッドパイプ21は筒であり、下方に向かって斜め前方に延びる。ヘッドパイプ21の上方には、ハンドル11が左右方向に回転可能に取り付けられている。ヘッドパイプ21の左右には、一対のフロントフォーク6が配置される。一対のフロントフォーク6は、下方に向かって斜め前方に延びる。一対のフロントフォーク6の下端には、前輪7が回転可能に取り付けられる。燃料タンク4は、車体フレーム2の前部上方に配置される。シート5は、車体フレーム2の上方に配置され、燃料タンク4の後部上端から後方に延びる。
【0015】
車体フレーム2は、いわゆるクレードル型のフレームであり、ループ形状を有する。エンジン3は車体フレーム2内に収納される。車体フレーム2の後部には、ピボット軸9が設けられる。リアアーム10は、その前端部でピボット軸9周りに上下に揺動可能に支持される。後輪8は、リアアーム10の後端部に回転可能に取り付けられる。
【0016】
リアショックアブソーバ12は、車体フレーム2の後方、かつ、シート5の下方に配置される。リアショックアブソーバ12の上端は、車体フレーム2の上部に形成されたブラケットに取り付けられる。リアショックアブソーバ12の下端は、リンク機構13に取り付けられる。リンク機構13は、リアアーム10と、車体フレーム2の後部下端とに取り付けられる。リアアーム10は上下に揺動可能に取り付けられる。
【0017】
[車体フレーム2の構成]
図2は、車体フレーム2の斜視図である。図3は、車体フレーム2の分解斜視図である。図2及び図3を参照して、車体フレーム2は、上部フレーム20と、一対の下部フレーム24と、締結部材25と、締結部材26とを備える。締結部材25及び26は、下部フレーム24を、上部フレーム20に締結する。
【0018】
[上部フレーム20の構成]
上部フレーム20は、ヘッドパイプ21と、一対のメインフレーム22と、フロントフレーム23とを備える。一対のメインフレーム22の前端は、ヘッドパイプ21の後部に接続される。一対のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21から自動二輪車1の後方に向かって斜め下方に延びる。一対のメインフレーム22は、自動二輪車1の幅方向に並んで配置される。一対のメインフレーム22の下端部には、一対の貫通孔229が形成される。一対の貫通孔229には、ピボット軸9(図1参照)が挿入される。
【0019】
一対のメインフレーム22は、下端に端部221を備える。端部221には、下部フレーム24が取り付けられる。端部221は、上部フレーム20の端部であるため、以降の説明では、上部フレーム端部221と呼ぶ。
【0020】
一対の上部フレーム端部221の間には、筒状のクロスフレーム260が配置される。クロスフレーム260は、一対の取付部材223を備える。一対の取付部材223は、クロスフレーム260の後端に、互いに幅方向に離れて配置される。一対の取付部材223の間には、リンク機構13(図1参照)の前端部が配置され、一対の取付部材223は、シャフトによりリンク機構13と連結される。
【0021】
フロントフレーム23の上端は、ヘッドパイプ21の下端部と接続される。フロントフレーム23は、ヘッドパイプ21から下方に延びる。フロントフレーム23は、幹フレーム231と、一対の枝フレーム232とを備える。幹フレーム231は、フロントフレーム23の上部に配置され、幹フレーム231の上端は、ヘッドパイプ21に接続される。一対の枝フレーム232は、フロントフレーム23の下部に配置される。一対の枝フレーム232は、自動二輪車1の幅方向に配列され、各枝フレーム232の上端は、幹フレーム231の下端に接続される。各枝フレーム232は、下端に端部237を備える。端部237には、下部フレーム24が取り付けられる。端部237は、上部フレーム20の端部であるため、以降の説明では、上部フレーム端部237と呼ぶ。
【0022】
フロントフレーム23はさらに、一対の梁部材233を備える。一対の梁部材233は、幹フレーム231の後端と、一対のメインフレーム22との間に取り付けられる。梁部材233は、ボルト連結前の単品時における溶接歪みを低減する。
【0023】
[下部フレーム24]
下部フレーム24は、上部フレーム端部237と、上部フレーム端部221との間に配置される。
【0024】
下部フレーム24は、自動二輪車1の前後方向に延び、その前端部は上部に延びる。下部フレーム24は、2つの下部フレーム端部241及び242を有する。下部フレーム端部241は、下部フレーム24の前端に配置され、上方に延びる。下部フレーム端部242は、下部フレーム24の後端に配置され、後方に延びる。
【0025】
下部フレーム端部241は、上部フレーム端部237に取り付けられる。下部フレーム端部242は、上部フレーム端部221に取り付けられる。
【0026】
[締結部材25及び26]
締結部材25は、下部フレーム端部241を、上部フレーム端部237に締結する。締結部材26は、下部フレーム端部242を、上部フレーム端部221に締結する。以降、車体フレーム2のうち、締結部材25で締結される部分を「フロント締結部分」と呼び、締結部材26で締結される部分を「リア締結部分」という。
【0027】
[車体フレーム2内のエンジン3の配置について]
以上のとおり、車体フレーム2は、上部フレーム20と、下部フレーム24とに分割される。一体成型された車体フレーム内にエンジンを収納する場合、車体フレームは、内部にエンジンを挿入できる程度に大きい。
【0028】
これに対して、車体フレーム2は、一体成型される従来の車体フレームよりも小さくすることができる。上述のとおり、車体フレーム2は、上部フレーム20と、下部フレーム24とに分割される。図4に示すとおり、車体フレーム2にエンジン3を収納するとき、エンジン3は上部フレーム20に取り付けられる。具体的には、エンジン3は、メインフレーム22から下方に延びるブラケット250に取り付けられる。このとき、下部フレーム24は上部フレーム20に取り付けられていないため、エンジン3は上部フレーム20に容易に取り付けられる。上部フレーム20に取り付けられたエンジン3の後端の一部は、一対のメインフレーム22の間に配置される。したがって、メインフレーム22は、側面視において、エンジン3と重なる部分を有する。
【0029】
エンジン3が上部フレーム20に取り付けられた後、図5に示すように、下部フレーム24が上部フレーム20に取り付けられる。上述のとおり、下部フレーム24は、締結部材25及び26により、上部フレーム20に締結される。このとき、エンジン3の下端部は、一対の下部フレーム24の間に配置される。したがって、下部フレーム24は、側面視において、エンジン3と重なる部分を有する。
【0030】
以上のとおり、車体フレーム2は、側面視において、エンジン3と重なる部分を有する。車体フレーム2は、一体成型される車体フレームと比較して、小さい。そのため、車体フレーム2は従来よりも軽量化でき、車体フレーム2全体を自動二輪車1の重心近傍に近づけることができる。そのため、操作感が向上する。
【0031】
[車体フレーム2の剛性について]
車体フレーム2の剛性は、ライダの操作感及び乗り心地感に影響する。特に、モトクロッサーのように、自動二輪車が不整地を走行する場合、車体フレーム2には複数の方向から外力を受ける。このとき、種々の外力に対する締結部分(フロント締結部分、リア締結部分)の剛性の片寄りが少ない方が、優れた操作感及び乗り心地感が得られる。締結部材25及び26は、種々の外力に対する締結部分の剛性の片寄りを抑える。以下、車体フレーム2のフロント締結部分、リア締結部分の構成について詳述する。
【0032】
[フロント締結部分]
[上部フレーム端部237及び下部フレーム端部241の構成]
図6は、車体フレーム2のフロント締結部分の分解斜視図であり、図7は、フロント締結部分の斜視図である。図6を参照して、上部フレーム端部237は、枝フレーム232の下端に配置される。上部フレーム端部237は、下端に端面234を有する。端面234は平面であり、上部フレーム端部237の軸線L237に対して傾斜する。端面234の前端234Fは、端面234の後端234Rよりも上方に配置される。そのため、端面234の法線N234は、前方に向かって斜め下方に延びる。
【0033】
下部フレーム24の前端には、下部フレーム端部241が配置される。下部フレーム端部241は、端面243を有する。端面243は平面であり、下部フレーム端部241の軸線L241に対して傾斜する。端面243の前端は、端面243の後端よりも上方に配置される。そのため、端面243の法線N243は、後方に向かって斜め上方に延びる。
図7に示すように、締結時、端面243は端面234と接触する。したがって、端面234は端面243に対向する。
【0034】
上部フレーム端部237はさらに、貫通孔235及び236を有する。貫通孔235は、軸線L237に対して斜めに交差して配置される。具体的には、貫通孔235は、端面234と、上部フレーム端部237の背面との間に形成され、法線N234方向に延びる。そのため、貫通孔235は、端面234と、上部フレーム端部237の背面とに開口を有する。締結時、軸線L237は、下部フレーム端部241の軸線L241と同軸に配置される。そのため、締結時、貫通孔235は、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。
【0035】
貫通孔236は、上部フレーム端部237の両側面の間に配置される。そのため、貫通孔236は、上部フレーム端部237の軸線L237に対して垂直に交差して配置される。したがって、締結時、貫通孔236は、軸線L241に対しても垂直に交差して配置される。貫通孔236は、貫通孔235と垂直に交差する。貫通孔235の内面には雌ねじが形成される。
【0036】
なお、本明細書でいう「垂直」とは、厳密に90度で交わる場合だけでなく、90度±10度の範囲を含む。好ましくは、垂直とは90度±5度の範囲をいい、さらに好ましくは、90度±2度の範囲をいう。
【0037】
下部フレーム端部241はさらに、上部フレーム端部237と同様に、2つの貫通孔245及び246を有する。貫通孔245は、端面243と、下部フレーム端部241の前面との間に形成される。下部フレーム端部241の前面には、窪み248が形成される。貫通孔245は、端面243と窪み248との間に配置される。締結時、貫通孔245は、貫通孔235と同軸に配置され、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。
【0038】
貫通孔246は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。そのため、締結時、貫通孔246は、貫通孔236と平行する。
【0039】
[締結部材25の構成]
締結部材25は、ボルトB1、B2及びB5と、板状のブラケット253及び254とを備える。ボルトB1、B2及びB5には雄ねじが形成される。ボルトB1は、貫通孔235及び245に挿入され、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。締結時、ボルトB1は、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。軸線L241は、ボルトB1を貫く。本例では、ボルトB1の軸線は、軸線L241と同一の仮想平面に含まれる。
【0040】
車体フレーム2とエンジン3との位置関係において、側面視にて車体フレーム2のうち、エンジン3が配置される側を内側と定義する場合、ボルトB1は、車体フレーム2の外側から内側に向かって貫通孔235及び245に挿入される。したがって、自動二輪車1を製造するとき、作業者がボルトB1を挿入しやすい。
【0041】
取付ボルトB5は、ブラケット253及び254を下部フレーム端部241に取り付ける。ボルトB2はさらに、下部フレーム端部241に取り付けられたブラケット253及び254を、上部フレーム端部237に締結する。したがって、ブラケット253及び254は、ボルトB2及び取付ボルトB5により、上部フレーム端部237及び下部フレーム端部241に取り付けられる。
【0042】
ブラケット253は、図7に示すとおり、締結時、上部フレーム端部237の側面及び下部フレーム端部241の側面に接して配置される。図6を参照して、ブラケット253は、貫通孔253A及び253Bを有する。貫通孔253Aは、貫通孔253Bよりも上方に配置される。締結時、貫通孔253Aは貫通孔236と同軸に配置され、貫通孔253Bは貫通孔246と同軸に配置される。
【0043】
ボルトB2は、貫通孔253A及び236に挿入され、ブラケット253を上部フレーム端部237に締結する。このとき、ボルトB2は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。取付ボルトB5は、貫通孔253B及び貫通孔246に挿入され、ブラケット253を下部フレーム端部241に取り付ける。このとき、取付ボルトB5は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。さらに、ボルトB2及びB5は、ボルトB1に対して垂直に交差して配置される。
【0044】
ブラケット254は、ブラケット253が配置される側面と反対側の側面に配置される。ブラケット254は、貫通孔254A及び254Bを有する。貫通孔254Aは、貫通孔254Bよりも上方に配置される。貫通孔254Aは貫通孔236と同軸に配置され、貫通孔254Bは貫通孔246と同軸に配置される。貫通孔254A及び254Bはいずれも、雌ねじが形成される。ボルトB2は貫通孔254Aに挿入され、ブラケット254を上部フレーム端部237に締結する。取付ボルトB5は貫通孔254Bに挿入され、ブラケット254を下部フレーム端部241に取り付ける。
【0045】
ブラケット254はさらに、貫通孔254Cを有する。貫通孔254Cは、貫通孔254A及び254Bよりも後方に配置され、ブラケット254の後端に配置される。締結部材25はさらに、ボルトB6を備える。図5に示すとおり、ボルトB4は貫通孔254Cに挿入され、エンジン3をブラケット254に締結する。
【0046】
上述のとおり、フロント締結部分では、ボルトB1、B2及びボルトB5が、下部フレーム端部241を上部フレーム端部237に締結する。このとき、ボルトB1は、軸線L241に対して斜めに交差して配置される。ボルトB2及びB5は、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。
【0047】
このように、異なる2方向に配置されたボルトB1、B2及びB5により、異なる方向からの外力に対するフロント締結部分の剛性は、片寄りにくい。ボルトB1は、軸線L241に対して斜めに交差して配置されるため、ボルトB1により、フロント結合部分の圧縮剛性、引張剛性及び曲げ剛性が向上する。さらに、ボルトB2及びB5は、軸線L241と垂直に交差して配置されるため、ボルトB2及びB5により、フロント締結部分のねじり剛性及び曲げ剛性が向上する。したがって、フロント結合部分の剛性は、異なる方向からの外力に対して片寄りにくい。以下、この点について詳述する。
【0048】
図8〜図11に示すフレーム試験片S1〜S4を用いて、引張剛性、圧縮剛性、曲げ剛性及びねじり剛性を調査した。
【0049】
図8を参照して、フレーム試験片S1は、横断面が長方形であり、中央に締結部分を有した。フレーム試験片S1は、フレームS11とフレームS12とを備え、フレームS11とS12とは、図7に示すフロント締結部分と同様の構成により締結された。具体的には、フレームS11とS12とは、ボルトB11と、一対のボルトB12と、一対のブラケットP1とにより結合された。ボルトB1は、フレーム試験片S1の軸線に対して斜めに交差して配置され、フレームS11にフレームS12を締結した。一対のボルトB2は、一対のブラケットP1の各々をフレームS11及びフレームS12の一方の側面及び他方の側面にそれぞれに固定した。さらに一対のボルトB12は、フレーム試験片S1の軸線と垂直に交差して配置された。
【0050】
図9A及び図9Bを参照して、フレーム試験片S2は、フレーム試験片S1と同じ形状及び同じ面積の横断面形状を有した。フレーム試験片S2も、中央に締結部分を有した。フレーム試験片S2は、フレームS21とフレームS22とを備えた。図9Bに示すとおり、フレームS21の後端部には、テーパ形状の溝が形成された。一方、フレームS22の先端部は、フレームS21の後端部の溝に嵌るように、テーパ形状を有した。フレームS22の先端部はフレームS21の後端部の溝に嵌められ、一対のボルトB12により、フレームS21の後端部に固定された。一対のボルトB12は、フレーム試験片S2の軸方向に対して垂直に交差して配置された。
【0051】
図10Aはフレーム試験片S3の平面図であり、図10Bは側面図である。図10A及び10Bを参照して、フレーム試験片S3は、フレーム試験片S1と同じ形状及び同じ面積の横断面形状を有した。フレーム試験片S3も、中央に締結部分を有した。フレーム試験片S3は、フレームS31とフレームS32とを備えた。図10Bを参照して、フレームS31の後端部には段差が設けられ、後端部の下部は、上部よりも後方に延びていた。フレームS32の前端部には段差が設けられ、前端部の上部は、下部よりも前方に延びていた。フレームS31の後端部がフレームS32の前端部に重なり、フレーム試験片S3を構成した。フレームS31の後端部とフレームS32の前端部とが互いに重なった部分には、一対のボルトB12が配置され、ボルトB12によりフレームS31とS32とが締結された。ボルトB12は、フレーム試験片S3の軸線に対して垂直に交差して配置された。
【0052】
図11を参照して、フレーム試験片S4は、フレーム試験片S1と同じ形状及び面積の横断面形状を有する素管であり、締結部分が形成されなかった。
【0053】
フレーム試験片S1〜S4はいずれも同じ長さ及び同じ外形寸法を有した。
【0054】
各フレーム試験片S1〜S4に対して、フレーム試験片の軸方向に対して引張試験及び圧縮試験を実施し、引張剛性及び圧縮剛性を求めた。さらに、各フレーム試験片S1〜S3のボルトB12の軸方向に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、ボルトB12の長手方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性を求めた。さらに、ボルトB12と垂直な方向に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、ボルトB12と垂直な方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性を求めた。
【0055】
フレーム試験片S4については、フレーム試験片S4の軸線方向に垂直な任意の方向(第1方向という)に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、第1方向に対する曲げ剛性を求めた。そして、第1方向の3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性を、ボルトB12の長手方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性と定義した。さらに、フレーム試験片S4の軸線方向及び第1方向に垂直な方向(第2方向という)に対して3点曲げ試験及び片持ち曲げ試験を実施し、第2方向に対する曲げ剛性を求めた。そして、第2方向の3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性をボルトB12と垂直な方向に対する3点曲げ剛性及び片持ち曲げ剛性と定義した。さらに、各フレーム試験片S1〜S4に対してねじり試験を実施し、ねじり剛性を求めた。
【0056】
各フレーム試験片S1〜S4の試験結果を図12に示す。図12は、フレーム試験片S4の各試験での剛性を100とした場合の、フレーム試験片S1〜S4の各試験における剛性値(圧縮剛性、引張剛性、ボルトB12の長手方向の3点曲げ剛性、ボルトB12の長手方向の片持ち曲げ剛性、ボルトB12と垂直な方向の3点曲げ剛性、ボルトB12と垂直な方向の片持ち曲げ剛性)を示すグラフである。図12中の実線のグラフは、フレーム試験片S4の結果を示す。破線のグラフは、フレーム試験片S1の結果を示す。一点鎖線のグラフは、フレーム試験片S2の結果を示す。二点鎖線のグラフは、フレーム試験片S3の結果を示す。
【0057】
図12を参照して、フレーム試験片S1の各試験における剛性値は、フレーム試験片S4の対応する剛性値に近かった。したがって、フレーム試験片S1のグラフの形状は、フレーム試験片S4と同様に、正七角形に近かった。一方、フレーム試験片S2は、ボルトB12の垂直方向に対する3点曲げ試験の剛性値がフレーム試験片S4よりも顕著に高く、さらに、ねじり剛性値の高かった。そのため、フレーム試験片S2のグラフ形状は、正七角形から離れたいびつな形状となった。また、フレーム試験片S3では、ボルトB12の垂直方向に対する3点曲げ試験の剛性値がフレーム試験片S4よりも顕著に低く、ねじり剛性値もフレーム試験片S4よりも顕著に高かった。さらに、フレーム試験片S3の引張剛性値及び圧縮剛性値は、フレーム試験片S4よりも顕著に低かった。そのため、フレーム試験片S3のグラフ形状は、正七角形から離れたいびつな形状となった。
【0058】
以上の試験結果からもわかるように、車体フレーム2のフロント締結部分では、種々の異なる方向から外力に対する剛性値が片寄りにくく、フロント締結部分は素管と同様の剛性を示す。したがって、ライダは、一体成型された車体フレームと同じ感覚で自動二輪車1を操作できる。したがって、自動二輪車1は操作感及び乗り心地感を向上する。
【0059】
さらに、図6に示すとおり、下部フレーム端部241の端面243は、軸線L241に対して傾斜する。仮に、上部フレーム部材273と下部フレーム端部241との締結部分が、図10A及び図10Bに示すフレーム試験片S31及びS32の締結部分のように段差を有する場合、締結部分での断面変化が大きい。断面変化が大きければ、締結部分での力の伝わり方がなめらかにならず、操作感が低下する。本例では、端面243が軸線L241に対して傾斜する。そのため、締結部分での下部フレーム端部241及び上部フレーム端部237での横断面は、先端から徐々に変化する。そのため、締結部分において、応力はなめらかに伝わり、操作感が向上する。
【0060】
さらに、図6に示すとおり、ボルトB1は、下部フレーム端部241の端面243に開口を有する貫通孔245に挿入され、端面243の法線N243方向に配置される。そのため、ボルトB1は、端面243を端面234に強固に締結できる。
【0061】
さらに、ブラケット253及び254は、取付ボルトB5により下部フレーム端部241に取り付けられる。そして、ボルトB2は、下部フレーム端部241に取り付けられたブラケット253及び254を、上部フレーム端部237に締結する。このとき、取付ボルトB5は、ボルトB2と同じ方向に延び、軸線L241に対して垂直に交差して配置される。そのため、締結部材のねじり剛性及び曲げ剛性が向上する。
【0062】
さらに、ブラケット254には、エンジン3が取り付けられる。ブラケット254により、上部フレーム20と、下部フレーム24と、エンジン3とが、1箇所で締結される。車体フレーム中において、締結箇所が多いほど、剛性の片寄りが多くなる。仮に、エンジン3をブラケット254に取り付けず、車体フレーム2内の他の箇所に配置される他のブラケットに締結した場合、車体フレーム2内の締結箇所が増加する。ブラケット254により、車体フレーム2の締結箇所の数を抑えることができるため、車体フレーム2の剛性の片寄りが抑えられ、操作感が向上する。
【0063】
本例では、フロント締結部分に、ブラケット253及び254を使用した。しかしながら、ブラケット253及び254のいずれか一方を使用し、他方を使用しなくてもよい。この場合であっても、ボルトB2及び使用されるブラケットにより、下部フレーム端部241は上部フレーム端部237に締結される。
【0064】
本例では、ブラケット253又は254は、取付ボルトB5により下部フレーム端部241に取り付けられる。しかしながら、ブラケット253及び254は、取付ボルトB5以外の他の方法により、下部フレーム端部241に取り付けされてもよい。たとえば、ブラケット253及び254は、下部フレーム端部241の側面に溶接されてもよい。また、ブラケット253及び254は、切削加工により下部フレーム端部241に形成されてもよい。
【0065】
また、ブラケット253及び254は、下部フレーム端部241に代えて、上部フレーム端部237の側面に取り付けられてもよい。この場合、取付ボルトB5により、ブラケット253及び254は下部フレーム端部241に締結される。要するに、ブラケットは、上部フレーム端部237及び下部フレーム端部241のいずれか一方に取り付けられ、ボルトにより他方に締結されればよい。
【0066】
[リア締結部分の詳細]
リア締結部分についても、フロント締結部分と同様の方法が採用される。図13は、リア締結部分の側面図である。図13を参照して、リア締結部分は、下部フレーム端部242と、上部フレーム端部221と、締結部材26とを備える。下部フレーム端部242は、下部フレーム24の後端に配置される。上部フレーム端部221は、メインフレーム22の下端に配置される。
【0067】
図14は、リア締結部分のうち、下部フレーム端部242と、上部フレーム端部221との側面図である。図15は、リア締結部分の分解斜視図である。図13〜図15を参照して、締結部材26は、ボルトB3と、ボルトB4と、ナットN1と、ブラケット222とを備える。締結部材26は、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。
【0068】
下部フレーム端部242は、後端に端面243を有する。端面243は平面であり、下部フレーム端部242の軸線L242に対して傾斜する。端面243の下端は、端面243の上端よりも、後方に配置される。下部フレーム端部242は、貫通孔245及び247を有する。貫通孔245は、端面243と、下部フレーム端部242の下面に形成される窪み246との間に形成される。したがって、貫通孔245は、端面243と、窪み246の表面とに開口を有する。
【0069】
貫通孔247は、下部フレーム端部242の両側面の間に形成され、軸線L242に対して垂直に交差して配置される。
【0070】
上部フレーム端部221は、下端に端面224を有する。端面224は、端面243と対向して配置される。上部フレーム端部221には、非貫通孔225が形成される。非貫通孔225は、端面224から後方に向かって斜め上方に延びる。締結時、非貫通孔225は、貫通孔245と同軸に配置される。非貫通孔225の内面には、雌ねじが形成される。
【0071】
上部フレーム端部221の下端のうち、端面224の隣りには、ブラケット222が取り付けられる。本例では、ブラケット222は、上部フレーム端部221の下端に一体的に取り付けられる。ブラケット222は、前方に延在し、貫通孔227を有する。締結時、貫通孔227は、貫通孔247と同軸に配置される。
【0072】
ボルトB3は、貫通孔245及び非貫通孔225に挿入され、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。締結時、ボルトB3は、軸線L242に対して斜めに交差して配置される。軸線L242は、ボルトB3を貫く。本例では、ボルトB3の軸線と軸線L242とは、同一の仮想平面に含まれる。
【0073】
ボルトB3は、車体フレーム2の外側から内側に向かって貫通孔245及び非貫通孔225に挿入される。したがって、自動二輪車1を製造するとき、作業者がボルトB3を挿入しやすい。
【0074】
ボルトB4は、貫通孔247及び貫通孔227に挿入される。このとき、ボルトB4の先端は、貫通孔247からはみ出る。ナットN1は、貫通孔247からはみ出たボルトB4の先端に取り付けられる。ボルトB4及びナットN1は、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。ボルトB4は、軸線L242に対して垂直に交差して配置される。
【0075】
ボルトB3及びB4により、異なる方向の外力に対するリア締結部分の剛性の片寄りは低減する。ボルトB3により、リア締結部分の圧縮剛性、引張剛性及び曲げ剛性は向上する。ボルトB4により、リア締結部分のねじり剛性及び曲げ剛性は向上する。そのため、操作感が向上する。
【0076】
上述の実施の形態では、図5に示すとおり、側面視において、メインフレーム22はエンジン3と重複する部分を有し、かつ、下部フレーム24はエンジン3と重複する部分を有した。しかしながら、車体フレーム2は、メインフレーム22及び下部フレーム24のいずれかが、エンジン3と重複してもよい。この場合であっても、従来の一体成型車体フレームと比較して、車体フレーム2は小さい。
【0077】
上述の実施の形態では、車体フレーム2は、締結部材25及び締結部材26を備える。しかしながら、車体フレーム2は、締結部材25及び締結部材26のいずれか一方を有してもよい。たとえば、車体フレーム2は、締結部材25を備え、リア締結部分では、締結部材26と異なる他の締結部材を取り付けてもよい。このような場合であっても、車体フレーム2の剛性の片寄りはある程度低減する。
【0078】
上述の実施の形態では、端面243及び223は平面である。しかしながら、端面243及び223は平面でなくてもよい。
【0079】
上述の実施の形態では、締結部材26がナットN1を備える。しかしながら、締結部材26はナットN1を備えなくてもよい。この場合、貫通孔227及び247の内面には雌ねじが形成される。
【0080】
上述の実施の形態では、ブラケット222は上部フレーム端部221に一体的に取り付けられている。しかしながら、ブラケット222は他の方法により上部フレーム端部221に取り付けられてもよい。たとえば、ブラケット222は、取付ボルトにより、上部フレーム端部221に取り付けられてもよい。
【0081】
また、ブラケット222は、上部フレーム端部221ではなく、下部フレーム端部242に取り付けられてもよい。この場合、上部フレーム端部221は、ブラケット222と接触する側面を有し、その側面には、貫通孔227と同軸に配置される孔(非貫通孔でも貫通孔でもよい)が形成される。ボルトB4は、貫通孔227と上部フレーム端部221に形成された孔とに挿入され、下部フレーム端部242を上部フレーム端部221に締結する。
【0082】
上述の実施の形態では、上部フレーム20は、一対のメインフレーム22を備える。しかしながら、メインフレーム22は1つであってもよい。また、下部フレーム24は一つであってもよい。また、フロントフレーム23は、枝フレームを有さなくてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
3 エンジン
20 上部フレーム
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
23 フロントフレーム
24 下部フレーム
25 締結部材
26 締結部材
221,237 上部フレーム端部
222,253,254 ブラケット
224,234 端面
241,242 下部フレーム端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの周りに配置される車体フレームとを備え、
前記車体フレームは、
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びるメインフレームと、前記ヘッドパイプから下方に延びるフロントフレームとを含む上部フレームと、
前記フロントフレームの下端である第1の上部フレーム端部と、前記メインフレームの下端である第2の上部フレーム端部との間に配置される下部フレームと、
前記下部フレームを前記上部フレームに締結する第1の締結部材とを備え、
前記下部フレームは、
前記第1の上部フレーム端部と接続される第1の下部フレーム端部と、
前記第2の上部フレーム端部と接続される第2の下部フレーム端部とを含み、
前記第1の締結部材は、
前記上部フレーム端部と接続される前記下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第1のボルトと、
前記下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第2のボルトとを含む、自動二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記第1のボルトにより前記上部フレーム端部に締結される前記下部フレーム端部の軸線は、前記第1のボルトを貫く、自動二輪車。
【請求項3】
請求項2に記載の自動二輪車であって、
前記第1のボルトは、前記第2のボルトと垂直に交差する、自動二輪車。
【請求項4】
請求項3に記載の自動二輪車であって、
前記第1の締結部材はさらに、
前記上部フレーム端部及び下部フレーム端部のいずれか一方に取り付けられるブラケットを含み、
前記第2のボルトは、前記ブラケットを前記上部フレーム端部及び前記下部フレーム端部の他方に締結する、自動二輪車。
【請求項5】
請求項4に記載の自動二輪車であって、
前記下部フレーム端部の端面は、前記下部フレーム端部の軸線に対して傾斜しており、
前記上部フレーム端部の端面は、前記下部フレーム端部の端面と対向する、自動二輪車。
【請求項6】
請求項5に記載の自動二輪車であって、
前記第1のボルトは、前記下部フレーム端部の端面に開口を有する孔に挿入され、前記下部フレーム端部の端面の法線方向に配置される、自動二輪車。
【請求項7】
請求項6に記載の自動二輪車であって、
前記車体フレームと前記エンジンとの位置関係において、側面視にて前記車体フレームの前記エンジンが配置される側を内側とした場合、
前記第1のボルトは、前記車体フレームの外側から前記車体フレームの内側に向かって挿入される、自動二輪車。
【請求項8】
請求項4に記載の自動二輪車であって、
前記第1の締結部材はさらに、前記ブラケットを上部フレーム端部及び下部フレーム端部のいずれか一方に取り付ける取付ボルトを含み、
前記取付ボルトは、前記第2のボルトと同じ方向に延びる、自動二輪車。
【請求項9】
請求項4に記載の自動二輪車であって、
前記ブラケットには、前記エンジンが取り付けられる、自動二輪車。
【請求項10】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記第1の締結部材は、前記第1の下部フレーム端部を前記第1の上部フレーム端部に締結し、
前記自動二輪車はさらに、
前記第2の下部フレーム端部を前記第2の上部フレーム端部に締結する第2の締結部材を備え、
前記第2の締結部材は、
前記第2の下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、前記第2の下部フレーム端部を前記第2の上部フレーム端部に締結する第3のボルトと、
前記第2の下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、前記第2の下部フレーム端部を前記第2の上部フレーム端部に締結する第4のボルトとを含む、自動二輪車。
【請求項11】
請求項10に記載の自動二輪車であってさらに、
リアショックアブソーバと、
前記リアショックアブソーバの下端と連結されるリンク機構とを備え、
前記上部フレームは、
一対の前記メインフレームと、
前記一対のメインフレームの第2の上部フレーム端部の間に配置され、前記リンク機構が連結される取付部材とを備える、自動二輪車。
【請求項12】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記上部フレームは、一対の前記メインフレームを有し、
前記メインフレームは、側面視にて前記エンジンと重なる部分を有する、自動二輪車。
【請求項13】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記車体フレームは、一対の前記下部フレームを有し、
前記下部フレームは、側面視にて前記エンジンと重なる部分を有する、自動二輪車。
【請求項14】
エンジンの周りに配置される、自動二輪車用の車体フレームであって、
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びるメインフレームと、前記ヘッドパイプから下方に延びるフロントフレームとを含む上部フレームと、
前記フロントフレームの下端の第1の上部フレーム端部と、前記メインフレームの下端の第2の上部フレーム端部との間に配置される下部フレームと、
前記下部フレームを前記上部フレームに締結する第1の締結部材とを備え、
前記下部フレームは、
前記第1の上部フレーム端部と接続される第1の下部フレーム端部と、
前記第2の上部フレーム端部と接続される第2の下部フレーム端部とを含み、
前記第1の締結部材は、
前記上部フレーム端部と接続される前記下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第1のボルトと、
前記下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第2のボルトとを含む、車体フレーム。
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの周りに配置される車体フレームとを備え、
前記車体フレームは、
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びるメインフレームと、前記ヘッドパイプから下方に延びるフロントフレームとを含む上部フレームと、
前記フロントフレームの下端である第1の上部フレーム端部と、前記メインフレームの下端である第2の上部フレーム端部との間に配置される下部フレームと、
前記下部フレームを前記上部フレームに締結する第1の締結部材とを備え、
前記下部フレームは、
前記第1の上部フレーム端部と接続される第1の下部フレーム端部と、
前記第2の上部フレーム端部と接続される第2の下部フレーム端部とを含み、
前記第1の締結部材は、
前記上部フレーム端部と接続される前記下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第1のボルトと、
前記下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第2のボルトとを含む、自動二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記第1のボルトにより前記上部フレーム端部に締結される前記下部フレーム端部の軸線は、前記第1のボルトを貫く、自動二輪車。
【請求項3】
請求項2に記載の自動二輪車であって、
前記第1のボルトは、前記第2のボルトと垂直に交差する、自動二輪車。
【請求項4】
請求項3に記載の自動二輪車であって、
前記第1の締結部材はさらに、
前記上部フレーム端部及び下部フレーム端部のいずれか一方に取り付けられるブラケットを含み、
前記第2のボルトは、前記ブラケットを前記上部フレーム端部及び前記下部フレーム端部の他方に締結する、自動二輪車。
【請求項5】
請求項4に記載の自動二輪車であって、
前記下部フレーム端部の端面は、前記下部フレーム端部の軸線に対して傾斜しており、
前記上部フレーム端部の端面は、前記下部フレーム端部の端面と対向する、自動二輪車。
【請求項6】
請求項5に記載の自動二輪車であって、
前記第1のボルトは、前記下部フレーム端部の端面に開口を有する孔に挿入され、前記下部フレーム端部の端面の法線方向に配置される、自動二輪車。
【請求項7】
請求項6に記載の自動二輪車であって、
前記車体フレームと前記エンジンとの位置関係において、側面視にて前記車体フレームの前記エンジンが配置される側を内側とした場合、
前記第1のボルトは、前記車体フレームの外側から前記車体フレームの内側に向かって挿入される、自動二輪車。
【請求項8】
請求項4に記載の自動二輪車であって、
前記第1の締結部材はさらに、前記ブラケットを上部フレーム端部及び下部フレーム端部のいずれか一方に取り付ける取付ボルトを含み、
前記取付ボルトは、前記第2のボルトと同じ方向に延びる、自動二輪車。
【請求項9】
請求項4に記載の自動二輪車であって、
前記ブラケットには、前記エンジンが取り付けられる、自動二輪車。
【請求項10】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記第1の締結部材は、前記第1の下部フレーム端部を前記第1の上部フレーム端部に締結し、
前記自動二輪車はさらに、
前記第2の下部フレーム端部を前記第2の上部フレーム端部に締結する第2の締結部材を備え、
前記第2の締結部材は、
前記第2の下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、前記第2の下部フレーム端部を前記第2の上部フレーム端部に締結する第3のボルトと、
前記第2の下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、前記第2の下部フレーム端部を前記第2の上部フレーム端部に締結する第4のボルトとを含む、自動二輪車。
【請求項11】
請求項10に記載の自動二輪車であってさらに、
リアショックアブソーバと、
前記リアショックアブソーバの下端と連結されるリンク機構とを備え、
前記上部フレームは、
一対の前記メインフレームと、
前記一対のメインフレームの第2の上部フレーム端部の間に配置され、前記リンク機構が連結される取付部材とを備える、自動二輪車。
【請求項12】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記上部フレームは、一対の前記メインフレームを有し、
前記メインフレームは、側面視にて前記エンジンと重なる部分を有する、自動二輪車。
【請求項13】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記車体フレームは、一対の前記下部フレームを有し、
前記下部フレームは、側面視にて前記エンジンと重なる部分を有する、自動二輪車。
【請求項14】
エンジンの周りに配置される、自動二輪車用の車体フレームであって、
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方に向かって斜め下方に延びるメインフレームと、前記ヘッドパイプから下方に延びるフロントフレームとを含む上部フレームと、
前記フロントフレームの下端の第1の上部フレーム端部と、前記メインフレームの下端の第2の上部フレーム端部との間に配置される下部フレームと、
前記下部フレームを前記上部フレームに締結する第1の締結部材とを備え、
前記下部フレームは、
前記第1の上部フレーム端部と接続される第1の下部フレーム端部と、
前記第2の上部フレーム端部と接続される第2の下部フレーム端部とを含み、
前記第1の締結部材は、
前記上部フレーム端部と接続される前記下部フレーム端部の軸線に対して斜めに交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第1のボルトと、
前記下部フレーム端部の軸線に対して垂直に交差して配置され、前記下部フレーム端部を前記上部フレーム端部に締結する第2のボルトとを含む、車体フレーム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−91352(P2013−91352A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233108(P2011−233108)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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