説明

自動二輪車用エンジン制御装置

【課題】自動二輪車の直進走行及びドリフト走行を安全に行わせることができる自動二輪車用エンジン制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンの吸入空気量を調節するスロットルして電動スロットルを用い、電動スロットルのバルブ開度を指示するために運転者により操作されるアクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出器3と、アクセル操作量検出器により検出された操作量に応じてバルブ開度を変化させるように電動スロットルの駆動量を制御するスロットル制御部と、車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出器2とを設ける。スロットル制御部は、車体傾斜角検出器により検出される車体の傾斜角に応じて、アクセルの操作量に対するバルブ開度の変化の特性を異ならせるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用のエンジンを制御する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動二輪車は、舵取り輪である前輪と駆動輪である後輪とを備えた車体と、後輪を駆動するために車体に搭載されたエンジンとを備えている。自動二輪車を安全に走行させるためには、走行状態に応じてエンジンを的確に制御することが必要である。例えば自動二輪車を直進走行させるために運転者がアクセルの開操作(スロットルバルブを開く方向へのアクセルの操作)を行ったときにエンジン(内燃機関)の出力が急激に増大すると、前輪がリフトして(浮き上がって)車体の姿勢が崩れ、最悪の場合には転倒するおそれがある。従って、自動二輪車を直進させる際には、運転者がアクセルの開操作を行った際に、運転者が予想した以上のトルクをエンジンが発生するすることがないようにしておく必要があり、アクセルを操作した際のエンジンの出力トルクの立上がりを抑制しておくことが好ましい。
【0003】
自動二輪車の運転者は、カーブを走行する際に素早い回頭を行わせるために、車体を傾斜させて後輪を外側に意図的に滑らせるドリフト走行を行うことがある。自動二輪車の後輪のグリップ力は、車体の傾斜角により変化し、車体の傾斜角が大きくなるに従って弱くなっていく。自動二輪車がカーブを走行する際には、カーブの手前でアクセルを絞って減速し、その車体を傾斜させた状態でカーブに進入した後、アクセルを開いて後輪(駆動輪)に働くトルクを増大させることにより、後輪を意図的にスリップさせることでドリフト走行を行わせることができる。
【0004】
自動二輪車にドリフト走行を行わせるためには、走行速度、車体の傾斜角、路面の状況などに応じて、微妙なアクセル操作を行うことが必要である。自動二輪車をドリフト走行させるためにアクセルの開操作を行った際に、エンジンの出力トルクが過度に増大すると、後輪がトラクションを喪失して大きくスリップし、車体が転倒する危険がある。また自動二輪車が車体を傾けてカーブを走行する際に、後輪がトラクションを失うのを防ぐために、アクセルの開操作に伴うエンジンの出力トルクの増大を過度に抑制してしまうと、運転者が意図した通りに後輪を滑らせることができず、ドリフト走行を行わせることができなくなる。
【0005】
自動二輪車のスリップを抑制するための装置として、特許文献1に示されたようなトラクションコントロール装置が提案されている。この装置では、車両の走行中にエンジンの回転速度の上昇割合を積算して、その積算値を所定の閾値と比較することで車輪のスリップを検出し、車輪のスリップが検出されたときにエンジンの点火時期を遅角させることにより、エンジンの出力トルクを減少させてトラクションを回復させるようにしている。
【0006】
また特許文献2には、自動二輪車がカーブを走行する際に、車体の傾斜角から車体に働く遠心力を求めて、この遠心力の関数として車体の走行方向に働く加速度を求め、この加速度に対して、エンジンの出力が許容される最大値を超えないように制御することにより、車体が転倒するのを防ぐ制御方法が示されている。特許文献2に示された制御方法では、エンジンの出力を制限する際に、エンジンのスロットルバルブの位置を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−64037号公報
【特許文献2】特開2004−99026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エンジンの点火時期を遅角させると、燃焼室内に取り込んだ燃料の燃焼を制限して、エンジンの出力を低下させることができるが、エンジンの燃焼室内に吸い込んだ燃料を完全に燃焼させることができないため、エンジンの排気ガス中のCOガスやNOガスの量が増加するのを避けられない。従って、特許文献1に示されたトラクションコントロール装置は、エンジンの排気ガスの悪化を伴うことになり、好ましくない。
【0009】
また特許文献1に示されたトラクションコントロール装置では、自動二輪車が直進走行を行っていて、後輪がスリップしていない状態では、エンジンの出力を低下させる制御が働かないため、運転者がアクセル開度を増大させる操作を行った際に、運転者の意に反してエンジンの出力が急激に増大する現象が起るのを防ぐことができなかった。
【0010】
更に、特許文献1に示されたトラクションコントロール装置は、車体の傾斜角を考慮していないため、ドリフト走行を行う場合のように、車体の傾斜角により後輪のグリップ力が変化する場合のトラクション制御を的確に行うことができない。特許文献1に開示されたトラクションコントロール装置によった場合には、運転者がコーナリング時にドリフト走行を行うべく後輪を滑らせようとすると、エンジンの点火時期が遅角させられてエンジンの出力が低下するため、後輪を意図した通りに滑らせることができなくなり、ドリフト走行を円滑に行うことができない。
【0011】
特許文献2に示された方法では、カーブ走行時に車体の傾斜角に応じてエンジンの出力の最大値を制限する制御を行うことにより、車体に働く遠心力が限界を超えて車体が転倒するのを防ぐ制御を行っているが、コーナリング時にエンジンの出力を制限すると、後輪を意図した通りに滑らせることができなくなって、ドリフト制御を円滑に行わせることができなくなることがある。
【0012】
また特許文献2に示された方法では、自動二輪車が直進走行を行っていて、車体が傾斜していないときにエンジンの出力を制限する制御を行わないため、運転者がスロットルバルブの開度を増大させる方向へのアクセル操作を行った際に、運転者の意に反してエンジンの出力が急激に増大して、前輪がリフトアップするおそれがある。
【0013】
本発明の目的は、エンジンの排気ガスを悪化させることなく、自動二輪車を安全に走行させるべく、走行状態に応じてエンジンの出力を的確に制御することができる自動二輪車用エンジン制御装置を提供することにある。
【0014】
本発明の更に特定された目的は、エンジンの排気ガスの悪化を伴うことなく、直進走行時にはスロットル操作に伴ってエンジンの出力が急激に上昇するのを抑えて車体の姿勢が崩れるのを防ぎ、コーナリング時には、スムースなドリフト走行を可能にするとともに、車体が転倒するのをも防ぐトラクション制御を行うことができる自動二輪車用エンジンの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前輪及び後輪を備えた車体と、後輪を駆動するために車体に搭載されて、電動スロットルにより吸入空気量が調節されるエンジンとを備えた自動二輪車のエンジン制御装置を対象とする。
【0016】
上記電動スロットルは、エンジンの吸気管に取り付けられて吸入空気量を調節するスロットルバルブと、このスロットルバルブを操作する電動アクチュエータとにより構成される。
【0017】
本発明においては、電動スロットルのバルブ開度(スロットルバルブの開度)を指示するために運転者により操作される部材であるアクセル(例えばアクセルグリップ)の操作量(回転角度)を検出するアクセル操作量検出器と、電動スロットルのバルブ開度を前記アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量に対応するバルブ開度とするように前記電動スロットルを制御するスロットル制御部と、前記車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出器とを備える。上記電動スロットルと、スロットル制御部とにより、アクセルの操作量に応じてスロットルバルブの開度を調節する電子制御スロットルが構成される。本発明においては、上記スロットル制御部が、車体傾斜角検出器により検出される車体の傾斜角に応じて、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせるように構成される。
【0018】
上記電動スロットルの駆動量は、スロットルバルブの開度で表してもよく、スロットルバルブの開度との間に一義的に定まる関係を有するパラメータの値(例えばスロットルバルブを駆動するアクチュエータの駆動量)で表してもよい。
【0019】
車体の傾斜角は、種々の定義をすることができるが、本明細書においては、自動二輪車の後輪の車軸の軸線に対して直角な平面が鉛直面に対してなす角度を車体の傾斜角とする。自動二輪車が直進走行をしているときにはその車体の傾斜角がほぼ零であり、コーナリングをしているときには車体が所定の傾斜角を持つ。したがって、自動二輪車の車体の傾斜角をみることにより、自動二輪車が直進走行をしているのかコーナリングをしているのか等の走行状態を把握することができる。本発明においては、車体の傾斜角に応じて、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせることにより、自動二輪車の走行状態に応じて、アクセルの操作量に対するエンジンの出力の特性を変化させる。このように構成すると、点火時期を制御する方法による場合のようにエンジンの排気ガスを悪化させることなく、車両の走行状態に応じてエンジンの出力を的確に制御して、自動二輪車を安全に走行させることができる。
【0020】
例えば、自動二輪車が直進走行をしていて車体の傾斜角が小さいときには、アクセルの操作量の増大に対して吸入空気量が急激に増大しないような特性が得られるようにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を設定することにより、運転者の予想以上にエンジンの出力が増大して前輪が浮き上がるのを防ぐことができる。
【0021】
また、自動二輪車がその車体を傾斜させてコーナーに進入した際には、車体の傾斜角から安全にドリフト走行を行うことができる状況にあるか否かを判定することができ、ドリフト走行が可能であるときには、アクセルの操作量の変化に対するバルブ開度の変化割合を大きくして、アクセル操作に敏感に反応してエンジンの出力が増大する特性が得られるように、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を設定することにより、運転者の意のままに後輪をスリップさせてドリフト走行を行わせることができる。
【0022】
更に、自動二輪車がコーナーに進入した際の車体の傾斜角が大きすぎ、車体が転倒するおそれがある場合には、アクセルの各操作量に対応するバルブ開度を小さく制限すると共に、バルブ開度を大きくする側にアクセルを操作した際の吸入空気量の増加割合を制限して、アクセルの開操作を行ってもエンジンの出力が大きく増大しないような特性が得られるようにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との間の対応関係を設定することにより、エンジンの出力を低下させて、後輪のグリップ力を回復させることができるので、車体が転倒するのを防ぐことができる。
【0023】
本発明によれば、車体の傾斜角に応じてアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との間の対応関係を変えることにより、エンジンの出力を走行状態に適合させてトラクション制御を行うことができるので、エンジンの点火時期を制御する場合のように、エンジンの排気ガスの悪化を伴うことなく、トラクション制御を行うことができる。
【0024】
上記スロットル制御部は、車体の傾斜角が第1の判定角度未満であるときにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、前輪をリフトさせることなく直進走行を行わせるのに適した関係とし、車体の傾斜角が第1の判定角度と該第1の判定角度よりも大きく設定された第2の判定角度との間にあるときにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、ドリフト走行を行わせるのに適した関係とし、車体の傾斜角が前記第2の判定角度を超えているときにはアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、後輪のグリップ力を維持するのに適した関係とするべく、車体傾斜角検出器により検出される車体の傾斜角に応じて、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせるように構成することができる。
【0025】
上記第1の判定角度は、自動二輪車がドリフト走行を行う際の車体の傾斜角の下限値以下に設定する。また第2の判定角度は、ドリフト走行が可能な車体の傾斜角の範囲の上限値に設定する。
【0026】
上記スロットル制御部は、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を与えるテーブルとして、車体の傾斜角が第1の判定角度未満であるときに用いる第1のテーブルと、車体の傾斜角が前記第1の判定角度と第2の判定角度との間にあるときに用いる第2のテーブルと、車体の傾斜角が前記第2の判定角度を超えているときに用いる第3のテーブルとを記憶するスロットル駆動量演算用テーブル記憶手段と、車体傾斜角検出手器により検出された車体の傾斜角に応じてスロットル駆動量演算用テーブル記憶手段に記憶されたテーブルの中から電動スロットルの駆動量の演算に用いるテーブルを決定するスロットル駆動量演算用テーブル決定手段と、アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量とスロットル駆動量演算用テーブル決定手段により決定されたテーブルとを用いて、検出されたアクセルの操作量に対応する電動スロットルの駆動量を演算するスロットル駆動量演算手段と、電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように電動スロットルを駆動するスロットル駆動部とを備えた構成とすることができる。
【0027】
スロットル制御部はまた、車体の傾斜角と、アクセルの操作量と、電動スロットルの駆動量との間の関係を与えるスロットル駆動量演算用マップを記憶するマップ記憶手段と、スロットル駆動量演算用マップを用いて、車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角と、アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量とに対して電動スロットルの駆動量を演算するスロットル駆動量演算手段と、電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように電動スロットルを駆動するスロットル駆動部とを備えた構成とすることもできる。
【0028】
上記のように、車体の傾斜角が第1の判定角度未満のときにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、前輪をリフトさせることなく直進走行を行わせるのに適した関係とし、車体の傾斜角が第1の判定角度と該第1の判定角度よりも大きく設定された第2の判定角度との間にあるときにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、ドリフト走行を行わせるのに適した関係とし、車体の傾斜角が第2の判定角度を超えているときにはアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、後輪のグリップ力を維持するのに適した関係とするべく、車体傾斜角検出器により検出される車体の傾斜角に応じて、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせるようにすると、直進走行時にスロットル操作に伴ってエンジンの出力が急激に上昇するのを抑えて車体の姿勢が崩れるのを防ぎ、コーナリング時には、スムースなドリフト走行を可能にするとともに、車体が転倒するのをも防ぐトラクション制御を、排気ガスの悪化を伴うことなく行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明においては、自動二輪車の走行状態が反映される車体の傾斜角を検出して、検出した傾斜角に応じて、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせるようにしたので、エンジンの排気ガスの悪化を伴うことなく、自動二輪車の走行状態に応じて、アクセルの操作量に対するエンジンの出力の特性を変化させることができ、車両の走行状態に応じてエンジンの出力を的確に制御して、自動二輪車を安全に走行させることができる。
【0030】
本願の請求項2ないし4の何れかに記載された発明によれば、直進走行時にスロットル操作に伴ってエンジンの出力が急激に上昇するのを抑えて車体の姿勢が崩れるのを防ぎ、コーナリング時には、スムースなドリフト走行を可能にするとともに、車体が転倒するのをも防ぐトラクション制御を、排気ガスの悪化を伴うことなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の構成を概略的に示したブロック図である。
【図2】図1の実施形態で電動スロットルの駆動量を演算する際に用いるテーブルを示した図表である。
【図3】図1の実施形態の要部を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるプログラムのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図4】電動スロットルのアクセル操作量と吸入空気量及びスロットルバルブ開度との関係の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態において採用するアクセル操作量とスロットルバルブの実駆動量との関係の一例を示したグラフである。
【図6】本発明の他の実施形態の構成を概略的に示したブロック図である。
【図7】図6の実施形態で用いるスロットル駆動量演算用マップの構成例を示した図表である。
【図8】図6の実施形態の要部を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるプログラムのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態の構成を示したもので、同図において、1はエンジンの吸入空気量を調節する電動スロットル、2は自動二輪車の車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出器、3はスロットルバルブの開度を指示するために運転者により操作されるアクセルグリップなどのアクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出器、4は、車体傾斜角検出器2により検出された車体の傾斜角とアクセル操作量検出器3により検出されたアクセルの操作量とに応じて電動スロットル1を制御する電子式制御ユニット(ECU)である。
【0033】
電動スロットル1は、エンジンの吸気管内に取り付けられたスロットルバルブと、モータなどを駆動源としてスロットルバルブを操作する電動アクチュエータとにより構成される。スロットルバルブとしては、バタフライバルブが多く用いられている。アクセルの操作量とスロットルバルブの開度との関係を図4の直線aのようなリニアな関係に設定した場合、アクセル操作量と吸入空気量との間の関係は、同図の曲線bのようにリニアな関係にならない。このような特性を有する電動スロットルを用いた場合、アクセル操作を開始したときにエンジンの吸入空気量が急激に増大するため、エンジンの出力が急激に増大して、前輪が浮き上がる現象が生じ、車体の姿勢が崩れるおそれがある。
【0034】
本発明においては、車体の傾斜角を検出して、検出した傾斜角から自動二輪車の走行状態を判定し、アクセル操作量とエンジンの出力との関係を与える特性を、判定された走行状態に適合した特性とするように、車体の傾斜角に応じて、アクセル操作量と電動スロットルの駆動量との間の対応関係を変化させる。車体傾斜角検出器2は、自動二輪車の後輪の車軸の軸線に対して直角な平面が鉛直面に対してなす角度を車体の傾斜角として検出する。車体傾斜角検出器としては、例えば、車体に取り付けられた加速度センサと、加速度センサの出力から車体の傾斜角を演算する演算手段とにより構成される周知のものを用いることができる。
【0035】
アクセル操作量検出器3は、運転者がスロットルバルブの開度を指示するために操作する部材であるアクセルの操作量に比例した電気信号を発生するものである。アクセルとして、アクセルグリップが用いられる場合、アクセル操作量検出器3は、アクセルグリップの回転角度を検出する変位センサ(例えばポテンショメータ)により構成することができる。
【0036】
電子制御ユニット(ECU)4は、マイクロプロセッサを備えて、該マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより、エンジンを制御するために必要な各種の機能ブロックを構成するもので、通常、エンジンの点火時期を制御する点火時期制御ブロックや、エンジンに燃料を供給する燃料噴射装置の燃料噴射時期や燃料噴射量を制御する燃料噴射制御ブロック等をソフトウェア的に構成する他、エンジンを点火する点火装置の主要部を構成する点火回路や、燃料噴射装置のインジェクタを駆動するインジェクタ駆動回路などのハードウェア回路を内蔵している。図1においては、これらの図示を省略している。
【0037】
本実施形態においては、ECU4が、上記の構成要素の他に、スロットル駆動量演算用テーブル記憶手段401と、スロットル駆動量演算用テーブル決定手段402と、スロットル駆動量演算手段403と、スロットル駆動部404とを備えている。
【0038】
スロットル駆動量演算用テーブル記憶手段401は、アクセルの操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算するために用いる複数のスロットル駆動量演算用テーブル(アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を与えるテーブル)を、ROMやEEPROM等の不揮発性メモリに記憶する手段である。
【0039】
本実施形態では、スロットル駆動量演算用テーブルとして、車体の傾斜角が第1の判定角度未満であるときに用いる第1のテーブルと、車体の傾斜角が第1の判定角度と第2の判定角度との間にあるときに用いる第2のテーブルと、車体の傾斜角が第2の判定角度を超えているときに用いる第3のテーブルとが設けられ、これらのテーブルがスロットル駆動量演算用テーブル記憶手段401により記憶されている。
【0040】
スロットル駆動量演算用テーブル決定手段402は、車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角に応じてスロットル駆動量演算用テーブル記憶手段に記憶されたテーブルの中から電動スロットルの駆動量の演算に用いるテーブルを決定する手段である。
【0041】
スロットル駆動量演算手段403は、アクセル操作量検出器3により検出されたアクセルの操作量とスロットル駆動量演算用テーブル決定手段402により決定されたテーブルとを用いて、検出されたアクセルの操作量に対応する電動スロットルの駆動量を演算する手段である。
【0042】
スロットル駆動部404は、電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように電動スロットルを駆動する手段である。
【0043】
上記電動スロットルの駆動量は、電動スロットルのバルブ開度(スロットルバルブの開度)または、バルブ開度と一義的な関係を有するパラメータ(例えばスロットルバルブを駆動するアクチュエータの駆動量)の値として演算することができる。スロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサが設けられる場合には、上記駆動量をバルブ開度として演算する。またアクチュエータの出力軸の変位量を検出するセンサが設けられる場合には、上記駆動量をアクチュエータの出力軸の変位量として演算する。本実施形態では、電動スロットルの駆動量を電動スロットルのバルブ開度として演算するものとする。
【0044】
スロットル駆動部404は、例えば、スロットルセンサにより検出されたバルブ開度と、電動スロットルの駆動量として演算されたバルブ開度との偏差を零にするようにアクチュエータに供給する駆動電流を制御するように構成できる。
【0045】
第1のテーブルないし第3のテーブルは例えば図2に示すように構成される。図2に示した各テーブルにおいて、Aは、アクセルの操作量を、バルブ開度を最大にする際のアクセルの操作量(バルブ開度の最小値を指示する際のアクセル位置からの操作量)を100として示している。またBは、電動スロットルの駆動量(バルブ開度)を、最大バルブ開度を100として示している。
【0046】
第1のテーブルないし第3のテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算したときのアクセル操作量と電動スロットルの実駆動量との関係を示すと図5のようになる。図5において、曲線aは、第1のテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算した場合に得られるアクセル操作量と電動スロットルの実駆動量との間の関係を示し、曲線bは、第2のテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算した場合に得られるアクセル操作量と電動スロットルの実駆動量との間の関係を示している。また曲線cは、第3のテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算した場合に得られるアクセルの操作量と電動スロットルの実駆動量との間の関係を示している。
【0047】
第1のテーブルは、車体の傾斜角が第1の判定角度未満のとき(自動二輪車が直進走行をしているとき)に用いるスロットル駆動量演算用テーブルで、図5から明らかなように、第1のテーブルは、このテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算したときに、バルブの低開度側でアクセルの開操作の操作量の変化に対して吸入空気量が急激に大きくならない特性が得られるように作成されている。
【0048】
第2のテーブルは、車体の傾斜角が第1の判定角度と第1の判定角度よりも大きく設定された第2の判定角度との間にあるとき(自動二輪車が車体を傾けてカーブに進入した状態で、車体の傾斜角がドリフト走行が可能な範囲にあるとき)に用いるスロットル駆動量演算用テーブルで、この第2のテーブルは、このテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算したときに、バルブの低開度側でアクセルの操作量の変化に対する吸入空気量変化割合が大きくなって、アクセル操作に敏感に反応してエンジンの出力が増大する特性が得られるように作成されている。
【0049】
また第3のテーブルは、車体の傾斜角が第2の判定角度を超えているとき(自動二輪車の車体の傾斜角が大きすぎ、後輪のグリップ力が喪失して車体が転倒するおそれがあるとき)に用いるスロットル駆動量演算用テーブルで、この第3のテーブルは、このテーブルを用いてアクセル操作量に対して電動スロットルの駆動量を演算したときに、アクセルの各操作量に対応するバルブ開度を小さく制限すると共に、バルブ開度を大きくする側にアクセルを操作した際の吸入空気量の増加割合を制限して、アクセルの開操作を行ってもエンジンの出力が大きく増大しないような特性が得られるように作成されている。
【0050】
上記第1の判定角度は、ドリフト走行を可能にするために必要な車体傾斜角の範囲の下限を与えるものであり、第2の判定角度は、ドリフト走行が可能な車体傾斜角の範囲の上限を与えるものである。車体の傾斜角が第2の判定角度を超えた状態でエンジンの出力を増大させて後輪をスリップさせると、後輪のグリップ力が喪失して車体が転倒する。第1の判定角度及び第2の判定角度は実験的に決定する。
【0051】
上記の構成要素の内、スロットル駆動量演算用テーブル決定手段402と、スロットル駆動量演算手段403と、スロットル駆動部404の一部とは、マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより構成される。図3はこれらの構成要素を構成するためにECUのマイクロプロセッサに実行させる電動スロットル駆動制御処理のアルゴリズムの一例を示したものである。この処理は、一連のタスクを所定の順序で繰り返し行うタスク処理の中に組み込まれて、所定のタイミングが到来する毎に実行される。
【0052】
図3の処理が立ち上がると、先ずステップ101において、車体傾斜角検出器3により検出されている車体の傾斜角を読み込んで(車体の傾斜角を検出して)、検出された車体の傾斜角が第1の判定角度未満であるか否かを判定する。その結果、検出された車体の傾斜角が第1の判定角度未満である場合には、ステップ102でスロットル駆動量演算用テーブルとして第1のテーブルを選択してステップ103に進む。ステップ103では、アクセル操作量検出器3により検出されているアクセル操作量を読み込んでステップ104に進む。ステップ104では、ステップ103で読み込んだアクセル操作量とステップ102で選択された第1のテーブルとを用いて、検出されたアクセル操作量に対応する電動スロットルの駆動量(バルブ開度)を演算し、ステップ105で、電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように(スロットルバルブのバルブ開度を演算された開度とするように)、電動スロットルのアクチュエータに駆動電流を供給する。
【0053】
ステップ101で車体の傾斜角が第1の判定角度未満でないと判定されたときには、ステップ106に進んで車体の傾斜角が第1の判定角度と第2の判定角度との間にあるか否かを判定する。その結果、車体の傾斜角が第1の判定角度と第2の判定角度との間にあると判定されたときには、ステップ107でスロットル駆動量演算用テーブルとして第2のテーブルを選択した後ステップ103に進む。ステップ103では、アクセル操作量検出器3により検出されているアクセル操作量を読み込んでステップ104に進む。ステップ104では、ステップ103で検出されたアクセル操作量とステップ106で選択された第2のテーブルとを用いて、検出されたアクセル操作量に対応する電動スロットルの駆動量(バルブ開度)を演算し、ステップ105で電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように電動スロットルのアクチュエータに駆動電流を供給する。
【0054】
ステップ101で車体の傾斜角が第1の判定角度未満でないと判定され、ステップ106で車体の傾斜角が第1の判定角度と第2の判定角度との間にない(第2の判定角度よりも大きい)と判定されたときには、ステップ108で第3のテーブルを選択してステップ103に進む。このときステップ103でアクセル操作量検出器3により検出されているアクセル操作量を読み込んだ後、ステップ104で検出されたアクセル操作量とステップ107で選択された第3のテーブルとを用いて、検出されたアクセル操作量に対応する電動スロットルの駆動量(バルブ開度)を演算し、ステップ105で電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように電動スロットルのアクチュエータに駆動電流を供給する。
【0055】
図3に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ101,102,106,107及び108により、スロットル駆動量演算用テーブル決定手段402が構成され、ステップ104によりスロットル駆動量演算部403が構成される。またステップ105と電動スロットルに駆動電流を供給する回路(図示せず。)とによりスロットル駆動部404が構成される。そして、スロットル駆動量演算用テーブル記憶手段401と、スロットル駆動量演算用テーブル決定手段402と、スロットル駆動量演算部403と、スロットル駆動部404とにより、電動スロットルの駆動量をアクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量に対応する駆動量とするように電動スロットルを制御するスロットル制御部が構成されている。
【0056】
上記の実施形態では、電動スロットル駆動量演算用テーブルとして第1ないし第3のテーブルを設けたが、電動スロットル駆動量演算用テーブルとして更に多くのテーブルを設けることもできる。例えば、ドリフト走行が可能な傾斜角の範囲を複数の範囲に分けて、それぞれの傾斜角の範囲に対して異なる電動スロットル駆動量演算用テーブル(第2のテーブル)を用意するようにしてもよい。
【0057】
上記のように構成すると、車体の傾斜角が第1の判定角度未満であるときにアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、前輪をリフトさせることなく直進走行を行わせるのに適した関係として、直進走行を安全に行わせることができる。
【0058】
また車体の傾斜角が第1の判定角度と該第1の判定角度よりも大きく設定された第2の判定角度との間にあるときには、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、ドリフト走行を行わせるのに適した関係として、運転者の意のままに後輪をスリップさせてドリフト走行を行わせることができる。
【0059】
また車体の傾斜角が第2の判定角度を超えているときにはアクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を、後輪のグリップ力を維持するのに適した関係として、車体が転倒するのを防ぐことができる。
【0060】
図6は、本発明の第2の実施形態の構成例を示している。第1の実施形態では、異なる車体の傾斜角に対応する複数のスロットル駆動量演算用テーブル(上記の例では第1ないし第3のテーブル)を設けて、電動スロットルの駆動量の演算に用いるスロットル駆動量演算用テーブルを、車体の傾斜角に応じて選択するようにしたが、図6に示した第2の実施形態では、車体の傾斜角と、アクセルの操作量と、電動スロットルの駆動量との間の関係を与えるスロットル駆動量演算用マップ(三次元マップ)を用いて、車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角と、アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量とに対して前記電動スロットルの駆動量を演算する。
【0061】
本実施形態では、ECU4に、スロットル駆動量演算用マップ記憶手段401′と、スロットル駆動量演算部403′と、スロットル駆動部404′とが設けられる。
【0062】
ここで、スロットル駆動量演算用マップ記憶手段401′は、車体の傾斜角と、前記アクセルの操作量と、前記電動スロットルの駆動量との間の関係を与えるスロットル駆動量演算用マップを不揮発性メモリに記憶する手段であり、スロットル駆動量演算部404′は、スロットル駆動量演算用マップを用いて、前記車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角と、前記アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量とに対して前記電動スロットルの駆動量を演算する手段である。この場合も、スロットル駆動部404′は、電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように電動スロットルのアクチュエータに駆動電流を供給する。
【0063】
車体の傾斜角と、前記アクセルの操作量と、前記電動スロットルの駆動量との間の関係を与えるスロットル駆動量演算用マップは例えば図7に示すように構成される。図7に示された図表中の電動スロットル駆動量の数値は、電動スロットルのバルブ開度を最大にするときの駆動量を100として示している。
【0064】
本実施形態において、スロットル駆動量演算部403′及びスロットル駆動部404′の一部を構成するためにECU4のマイクロプロセッサに実行させる処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図8に示した。
【0065】
図8に示した処理が立ち上がると、先ずステップ201で車体傾斜角検出器3により検出されている車体の傾斜角を読み込み(車体の傾斜角を検出し)、ステップ202でアクセル操作量検出器3により検出されているアクセル操作量を読み込む。次いでステップ203で、車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角と、アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量とに対してマップを検索して電動スロットルの駆動量を演算し、ステップ204で、電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように(スロットルバルブのバルブ開度を演算された開度とするように)、電動スロットルのアクチュエータに駆動電流を供給する。
【0066】
図8に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ201ないし203により、スロットル駆動量演算部403′が構成され、ステップ204と電動スロットルに駆動電流を供給する回路(図示せず。)とによりスロットル駆動部404′が構成される。またスロットル駆動量演算用マップ記憶手段401′と、スロットル駆動量演算部403′と、スロットル駆動部404′とにより、電動スロットルの駆動量をアクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量に対応する駆動量とするように電動スロットルを制御するスロットル制御部が構成される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、車体の傾斜角に応じて、アクセルの操作量と電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせることにより、自動二輪車の走行状態に応じて、アクセルの操作量に対するエンジンの出力の特性を変化させて、自動二輪車の走行の安全性を高めることができるので、自動二輪車の付加価値を高めることができる。またエンジンの出力を変化させる手段として、点火時期を遅角させる手段を用いないので、エンジンの排気ガスが悪化するのを防ぐことができ、COの排出量の削減に関する要請に応えることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 電動スロットル
2 車体傾斜角検出器
3 アクセル操作量検出器
4 ECU
401 スロットル駆動量演算用テーブル記憶手段
401′スロットル駆動量演算用マップ記憶手段
402 スロットル駆動量演算用テーブル決定手段
403,403′スロットル駆動量演算部
404、404′スロットル駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪を備えた車体と、前記後輪を駆動するために前記車体に搭載されて、電動スロットルにより吸入空気量が調節されるエンジンとを備えた自動二輪車のエンジン制御装置であって、
前記電動スロットルのバルブ開度を指示するために運転者により操作されるアクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出器と、前記電動スロットルの駆動量を前記アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量に対応する駆動量とするように前記電動スロットルを制御するスロットル制御部と、前記車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出器とを備え、
前記スロットル制御部は、前記車体傾斜角検出器により検出される車体の傾斜角に応じて、前記アクセルの操作量と前記電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせるように構成されていること、
を特徴とする自動二輪車用エンジン制御装置。
【請求項2】
前記スロットル制御部は、前記車体の傾斜角が第1の判定角度未満であるときに前記アクセルの操作量と前記電動スロットルの駆動量との対応関係を、前記前輪をリフトさせることなく直進走行を行わせるのに適した関係とし、前記車体の傾斜角が前記第1の判定角度と該第1の判定角度よりも大きく設定された第2の判定角度との間にあるときに前記アクセルの操作量と前記電動スロットルの駆動量との対応関係を、ドリフト走行を行わせるのに適した関係とし、前記車体の傾斜角が前記第2の判定角度を超えているときには前記アクセルの操作量と前記電動スロットルの駆動量との対応関係を、前記後輪のグリップ力を維持するのに適した関係とするべく、前記車体傾斜角検出器により検出される車体の傾斜角に応じて、前記アクセルの操作量と前記電動スロットルの駆動量との対応関係を異ならせるように構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用エンジン制御装置。
【請求項3】
前記スロットル制御部は、
アクセルの操作量と前記電動スロットルの駆動量との対応関係を与えるテーブルとして、前記車体の傾斜角が前記第1の判定角度未満であるときに用いる第1のテーブルと、前記車体の傾斜角が前記第1の判定角度と第2の判定角度との間にあるときに用いる第2のテーブルと、前記車体の傾斜角が前記第2の判定角度を超えているときに用いる第3のテーブルとを記憶するスロットル駆動量演算用テーブル記憶手段と、
前記車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角に応じて前記スロットル駆動量演算用テーブル記憶手段に記憶されたテーブルの中から前記電動スロットルの駆動量の演算に用いるテーブルを決定するスロットル駆動量演算用テーブル決定手段と、
前記アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量と前記スロットル駆動量演算用テーブル決定手段により決定されたテーブルとを用いて、検出されたアクセルの操作量に対応する前記電動スロットルの駆動量を演算するスロットル駆動量演算手段と、
前記電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように前記電動スロットルを駆動するスロットル駆動部と、
を備えている請求項2に記載の自動二輪車用エンジン制御装置。
【請求項4】
前記スロットル制御部は、
前記車体の傾斜角と、前記アクセルの操作量と、前記電動スロットルの駆動量との間の関係を与えるスロットル駆動量演算用マップを記憶するマップ記憶手段と、
前記スロットル駆動量演算用マップを用いて、前記車体傾斜角検出器により検出された車体の傾斜角と、前記アクセル操作量検出器により検出されたアクセルの操作量とに対して前記電動スロットルの駆動量を演算するスロットル駆動量演算手段と、
前記電動スロットルの駆動量を演算された駆動量とするように前記電動スロットルを駆動するスロットル駆動部と、
を備えている請求項2に記載の自動二輪車用エンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−185107(P2011−185107A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48726(P2010−48726)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】