説明

自動取引装置

【課題】取引中に、シャッタ21を閉鎖する場合、紙幣1のセット状態が不完全のときには紙幣1がシャッタ21に挟まることがあった。又、利用者が接客口13に手を入れた状態でシャッタ21の閉動作が行われると手指を挟まれるという課題があった。
【解決手段】シャッタ21の閉動作を行うと同時に、接客口センサ22により、接客口13内の異物の有無を監視し、異物を検出したときは、閉動作を停止するシャッタ閉鎖手段31bと、異物検出を受けて、接客口13から紙幣1の受け取りを促し、紙幣1が受け取られたか否かを監視する媒体受取誘導手段31cとを設けたので、紙幣1がシャッタ21に挟まり機器障害が発生することが防止されるという効果がある。又、利用者が接客口13に手を入れた状態で紙幣1のセットを行っている途中であっても手指を挟まれることが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者により取引操作を行う現金自動預け払い機(以下「ATM」という。)等の自動取引装置、特に、紙幣投入取出口や硬貨投入取出口等のシャッタの開閉制御の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM等の自動取引装置には、利用者が取引操作時に現金を投入し、且つ自動取引装置が放出した現金を利用者が取り出すための、接客口である紙幣投入取出口及び硬貨投入取出口が設けられている。
【0003】
この接客口には、異物が接客口に混入することを防ぐためと防犯上の観点からシャッタが設けられており、必要なタイミングで開閉するように構成されている。例えば、入金取引では、利用者が取引を選択するとシャッタが開き、現金(=紙幣や硬貨)の投入を促すようになっている。利用者が現金を投入するとシャッタが閉まり、自動取引装置は現金の計数を行い入金額の確認を利用者に促す。このとき、確認ボタンが押下されると入金取引が継続されるが、取消しボタンが押下されると、シャッタを開き現金の受取を促して取引を終了させるようになっている。
【0004】
引出し取引においては、ホストコンピュータとの通信により暗証番号等による本人確認が終了すると、現金の計数が行われて接客口に現金が放出され、シャッタが開くように構成されている。
【0005】
下記の特許文献1には、自動取引装置の接客部に遠赤外線を検知するセンサを設け、手指から放射される遠赤外線により接客部に手指があることを検知して、シャッタが閉動作をしているときこれを停止するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−76096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の自動取引装置では、取引中において、紙幣セット待ちのタイムアウトや取消ボタンが押下されたときは、シャッタが閉まるまで閉動作を行うので、紙幣のセット状態が不完全の場合は、紙幣がシャッタに挟まり、機器障害が発生することがあった。又、利用者が接客口に手を入れた状態で紙幣のセットを行っている途中にシャッタの閉動作が行われると手指を挟まれる可能性があった。
【0008】
更に、利用者の操作によりシャッタを閉鎖する場合は、利用者が紙幣を接客口にセットし終えたと思っても、紙幣のセット状態が悪いと、シャッタを閉鎖するためのボタン表示が行われず、取引時間が長くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動取引装置は、利用者の操作によって取引を行う自動取引装置であって、前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、前記利用者との間で媒体を受け渡しするための接客口と、前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、前記接客口に設けられ、前記媒体が前記接客口にセットされたときにはオン状態となり、前記媒体の非セット時にはオフ状態となる媒体センサと、前記接客口に設けられ、前記接客口内の異物の有無を検出し、前記異物を検出したときは、オン状態となり、前記異物の非検出時にはオフ状態となる接客口センサと、前記媒体センサの検出結果を監視し、前記媒体センサがオン状態のときには監視結果が第1の状態となり、前記媒体センサが一定時間オフ状態を継続したときには第2の状態となる媒体セット監視手段と、前記媒体セット監視手段が前記第2の状態のときには、前記シャッタの閉動作を行い、前記閉動作中に前記接客口センサが前記オフ状態のときには前記閉動作を続行し、前記オン状態のときには前記閉動作を停止するシャッタ閉鎖手段と、前記シャッタ閉鎖手段が前記閉動作を停止したときには、前記接客口からの前記媒体の受け取りを促し、前記媒体センサの出力に基づき前記媒体が受け取られたか否かを監視する媒体受取誘導手段とを有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動取引装置では、媒体が接客口にセットされたか否かを監視して、その監視結果が第1又は第2の状態となる媒体セット監視手段と、第1及び第2の状態を受けて、シャッタの閉動作を行うと同時に、接客口センサにより接客口内の異物の有無を監視し、異物を検出したときは、閉動作を停止するシャッタ閉鎖手段と、異物検出を受けて、接客口から媒体の受け取りを促し、媒体が受け取られたか否かを監視する媒体受取誘導手段とを自動取引装置に設けたので、紙幣がシャッタに挟まり機器障害が発生することが防止されるという効果がある。又、利用者が接客口に手を入れた状態で紙幣のセットを行っている途中であっても手指を挟まれることが防止される。
【0011】
更に、利用者に対し媒体のセットを促すための誘導画面を入力操作部に表示し、利用者が誘導画面に表示された操作用のボタンを押下したときには、媒体のセット状態に拘らずシャッタの閉動作をするようにしたので取引時間の短縮化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるATMの接客口を示す概略の構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における図3のATMの機能ブロック図である。
【図3】図3は本発明の実施例1における自動取引装置(例えば、ATM)を示す外観図である。
【図4】図4は図2中の入力操作部12上に取引開始前に表示される取引選択画面を示す図である。
【図5】図5は実施例1における図2中の入力操作部12上に表示される紙幣セット誘導画面を示す図である。
【図6】図6は実施例1における図2中の入力操作部12上に表示される紙幣入れ直し誘導画面を示す図である。
【図7】図7は本発明の実施例1における図2及び図3のATM10の入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は本発明の実施例2における図3のATMの機能ブロック図である。
【図9】図9は実施例2における図8中の入力操作部12上に表示される紙幣セット誘導画面を示す図である。
【図10】図10は実施例2における図8中の入力操作部12上に表示される紙幣入れ直し誘導画面を示す図である。
【図11】図11は本発明の実施例2における図3、図8のATM10Aの入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
(実施例1の構成)
図3は、本発明の実施例1における自動取引装置(例えば、ATM)を示す概略の外観図である。
【0015】
本実施例1のATM10は、銀行の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者自身の操作により、現金の預入れ(=入金)、現金の引出し、振込、残高照会、通帳記入等の取引を行うためのものである。
【0016】
ATM10は、熱や衝撃に対し一定の強度を有する鉄材で作られたキャビネット11で覆われている。ATM10の前面には、利用者が操作するための操作面11aが略水平に利用者の方向に突き出している。操作面11aの奥方向には、操作面11aから連続して投入面11bが設置されている。更に、投入面11bに連続して挿入面11cが略垂直に立ち上がっている。
【0017】
前記操作面11aには、操作のためのガイダンスを表示し各種取引のための入力を行う入力操作部12が設けられている。投入面11bには、入出金取引等、現金を扱う取引で使用する接客口、すなわち紙幣投入取出口13と硬貨投入取出口14とが設けられている。
【0018】
挿入面11cには、通帳取扱口15、キャッシュカード(以下単に「カード」という。)取扱口16及び音声等を出力するスピーカ17が設けられている。カードには、磁気ストライプが設けられており、磁気ストライプには、金融機関コードや顧客の口座番号、氏名等の顧客情報が記憶されている。
【0019】
図1は、本発明の実施例1におけるATMの接客口を示す概略の構成図である。
ATM10の操作面11aには、利用者との間で媒体(例えば、紙幣)1を受け渡しするための接客口(例えば、紙幣投入取出口)13が設けられている。接客口13の上部には、異物が接客口13に混入することを防ぐためと防犯上の観点から開閉自在なシャッタ21が設けられている。
【0020】
シャッタ21の下部には、接客口13内の異物を検出する接客口センサ22(=22a、22b)が設けられており、手指や紙幣1等で接客口センサ22aと接客口センサ22bとの間を遮ったときオン状態となり、遮るものがないときは、オフ状態を継続するように構成されている。接客口センサ22の下部には、紙幣1をセットし、セットされた紙幣1を保持するための紙幣セット部24(=24a、24b)と、紙幣1を抑えるための紙幣押え23とが設けられている。
【0021】
更に、紙幣押え23と紙幣セット部24bには、互いに対向して媒体センサ25(=25a、25b)が設けられている。この媒体センサ25は、媒体センサ25aと媒体センサ25bとの間に紙幣1がセットされているときオン状態となり、紙幣1が存在しないときオフ状態となるように構成されている。
【0022】
図2は、本発明の実施例1における図3のATMを示す概略の機能ブロック図である。
【0023】
このATM10は、中央処理装置を有する制御部31と、プログラムやデータを記憶するための記憶部32と、ホストコンピュータと通信を行うための通信部33とを有している。制御部31は、プログラム制御によりATM10全体を制御するものであり、この制御部31は、媒体セット監視手段31a、シャッタ閉鎖手段31b及び媒体受取誘導手段31cを有している。制御部31により制御される入力操作部12は、文字や図形等で構成される操作画面を表示する画面表示機能と、情報入力のためのタッチパネル等による入力機能とを有している。
【0024】
更に、ATM10は、制御部31により制御されるカードリーダプリンタ部34、紙幣入出金部35、硬貨入出金部36、及び通帳部37を有している。カードリーダプリンタ部34は、カードの内容の読み取り書き込みを行うものである。紙幣入出金部35は、紙幣1の真贋を鑑別し、計数し、入出金処理を行うものである。硬貨入出金部36は、硬貨の真贋を鑑別し、計数し、入出金処理を行うものである。通帳処理部37は、通帳の記帳処理を行うものである。
【0025】
図4は、図2中の入力操作部12上に取引開始前に表示される取引選択画面例を示す図である。
【0026】
本取引選択画面は、ATM10に電源が投入されたときに表示される。取引選択画面上には、取引科目を表す、預入れボタン12a―1、引出しボタン12a―2、振込ボタン12a―3、公共料金払込みボタン12a―4、残高照会ボタン12a―5、通帳記入ボタン12a―6、振替ボタン12a―7、及び暗証番号変更ボタン12a―8の取引選択ボタン12a(=12a−1〜12a−8)が配列されている。
【0027】
図5は、実施例1における図2中の入力操作部12上に表示される紙幣セット誘導画面を示す図である。
【0028】
本操作画面は、入金取引が開始されたとき、入力操作部12に表示されて、「紙幣を揃えてセットしてください。」のメッセージと取消ボタン12bを表示する画面である。
【0029】
図6は、実施例1における図2中の入力操作部12上に表示される紙幣入れ直し誘導画面を示す図である。
【0030】
本操作画面は、シャッタ21が閉鎖できなかったときに表示され、「シャッタを閉じることができませんでしたので、紙幣投入取出口にある紙幣をすべて取出してください。」のメッセージを表示する画面である。
【0031】
(実施例1のATM10の全体動作)
図2及び図3を用いて、引出し取引を例にATM10全体の動作を説明する。
【0032】
利用者がATM10に接近すると、図示しない近接センサがこれを検出し、入力操作部12に電源が投入される。電源が投入されると、入力操作部12に図4の取引選択画面が表示される。
【0033】
図4の取引選択画面では、預入れボタン12a―1、引出しボタン12a―2、振込ボタン12a―3、公共料金払込みボタン12a―4、残高照会ボタン12a―5、通帳記入ボタン12a―6、振替ボタン12a―7及び暗証番号変更ボタン12a―8が、入力操作部12にグラフィック表示され、利用者に取引の選択を促す。利用者がこれらの取引選択ボタン12a(=12a−1〜12a−8)の1つを選択し、押下することにより、該当する取引が開始される。
【0034】
例えば、利用者が自口座から現金を引き出すときは、引出しボタン12a―2を押下する。引出しボタン12a―2の押下により、引出し取引が開始され、通帳及びカードの插入を促すメッセージが操作画面に表示される。通帳が通帳取扱口15に挿入されると、通帳部37はこれを取り込み、記帳の準備を行う。カードが、カード取扱口16に挿入されると、カードリーダプリンタ部34は、カードの磁気ストライプを読み取り、記憶部32に記憶する。
【0035】
次に、入力操作部12には、利用者の希望する出金額を入力するための操作画面が表示される。この操作画面を用いて、利用者により出金額が入力される。続いて、暗証番号を入力するための操作画面が表示される。顧客により暗証番号が入力されると、口座番号、金額、暗証番号等が制御部31で編集され、図示しないホストコンピュータに送信される。ホストコンピュータでは、ATM10からの電文を受信すると、受信した口座番号から当該利用者の口座ファイルから口座情報を読み出し、受信した暗証番号とホストコンピュータが保持している暗証番号とが一致するかチェックする。
【0036】
暗証番号が不一致のときは、ホストコンピュータは、その旨をATM10に送信する。ATM10は、暗証番号入力画面を入力操作部12に表示し、利用者に暗証番号の再入力を促す。暗証番号が一致したときは、ホストコンピュータは、当該取引を有効とし、当該口座ファイルの残高から受信した入金額を減算し新残高とする。未記帳分の通帳記帳データがあれば、新残高とともにATM10に送る。ATM10では、これを受信すると、通帳部37で取り込んだ通帳にホストコンピュータから受信した記帳データを印刷する。
【0037】
同時に、紙幣入出金部35では、ATM10内部の図示しない保管庫から紙幣1を取り出し、計数し、紙幣投入取出口13にセットする。硬貨入出金部36も同様に、保管庫から硬貨を取り出し、計数し、硬貨投入取出口14にセットする。次に、入力操作部12には、通帳、キャッシュカード及び現金の取り出しを促すメッセージが表示され、利用者は、通帳取扱口15、カード取扱口16及び紙幣投入取出口13、硬貨投入取出口14から通帳、キャッシュカード及び現金を取り出す。
【0038】
(実施例1のATM10の入金取引時の動作)
図7は、本発明の実施例1における図2及び図3のATM10の入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【0039】
ATM10への電源の投入によりATM10の動作が開始され、ステップS1において、図4に示す取引選択画面が入力操作部12に表示される。利用者により、預入れボタン12a―1が押下されて入金取引が選択される。カードの挿入等の入金取引が実施され、ステップS2において、シャッタ21が開けられる。ステップS3において、媒体セット監視手段31aは、図5に示す紙幣セット誘導画面を入力操作部12に表示し、利用者により紙幣1が紙幣投入取出口13にセットされることを監視する。
【0040】
紙幣1が紙幣セット部24にセットされると、媒体センサ25がオン状態になり、媒体セット監視手段31aは、紙幣セットを検出してステップS4において、紙幣1のセットが、正常か否かが判定され、正常でないときは(NO)、ステップS3へ戻る。正常のときは(YES)、ステップS5へ進む。ステップS5において、シャッタ閉鎖手段31bは、シャッタ21の閉動作を開始する。この動作中に、接客口センサ22が異物を検知せずシャッタ21が閉鎖されたときは(YES)、計数処理が実行され、以後、通常の入金処理が実行される。
【0041】
閉動作中に接客口センサ22が異物を検出したときは(NO)、シャッタ閉鎖手段31bは、閉動作を停止し、シャッタ21を開放する。ステップS3に戻り、再び、紙幣セット待ち状態になる。
【0042】
ステップS3において、紙幣セット待ちタイムアウト、すなわち、一定時間を経過しても紙幣1がセットされないか、又は取消ボタン12bが押下されたときは、ステップS8へ進む。ステップS8において、シャッタ閉鎖手段31bは、シャッタ21の閉動作を開始する。この動作中に、接客口センサ22が異物を検知せずシャッタ21が閉鎖されたときは(YES)、ステップS10へ進み、紙幣セット部24に紙幣1が残留しているか否かを媒体センサ25の状態により判定する。紙幣1が残留していたときは(YES)、媒体センサ25はオン状態であり、計数処理が実行され、以後、通常の入金処理が実行される。紙幣1が残留していなかったときは(NO)、媒体センサ25はオフ状態であり、処理を終了する。
【0043】
ステップS9において、閉動作中に接客口センサ22が異物を検出したときは(NO)、シャッタ閉鎖手段31bは、閉動作を停止し、シャッタ21を開放する。ステップS11へ進み、ステップS11において、媒体受取誘導手段31cは、図6の紙幣入れ直し誘導画面を表示して紙幣1が受け取られる(すなわち、取り去られる)ことを監視する。
【0044】
紙幣セット部24から紙幣1が取り去られたか否かは、媒体センサ25の状態により判定する。媒体センサ25がオフ状態であれば、紙幣1が取り去られたものと判定してステップS3の紙幣セット待ち処理に戻る。一定時間が経過しても媒体センサ25がオン状態のときは、受取待ちタイムアウトとして、ステップS12へ進む。
【0045】
ステップS12において、シャッタ閉鎖手段31bは、シャッタ21の閉動作を開始する。ステップS13において、この動作中に、接客口センサ22が異物を検知したか否かが判定される。異物を検出したときは、閉動作を停止し、シャッタ21を開放する。この動作を数回繰り返しても異物が除去されなかったときは(NO)、ステップS15へ進み、本入金取引を取扱中止として処理を終了する。ステップS13において、閉動作中にシャッタ閉鎖手段31bが異物を検出しないで閉動作を完了したときは(YES)、ステップS14に進み、紙幣セット部24に紙幣1が残留しているか否かを判定する。紙幣1が残留していたときは(YES)、ステップS15において、本入金取引を取扱中止として処理を終了する。紙幣1が残留していなかったときは(NO)、処理を終了する。
【0046】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、紙幣1が接客口13にセットされたか否かを監視して第1の監視結果である紙幣セットと、第2の監視結果である紙幣セット待ちタイムアウト、又は取消ボタン押下を出力する媒体セット監視手段31aと、第1及び第2の監視結果を受けて、シャッタ21の閉動作を行うと同時に、接客口センサ22により、接客口22内の異物の有無を監視し、異物を検出したときは、閉動作を停止するシャッタ閉鎖手段31bと、異物検出を受けて、接客口13から媒体の受け取りを促し、媒体が受け取られたか否かを監視する媒体受取誘導手段31cとを設けたので、紙幣1がシャッタ21に挟まり機器障害が発生することが防止されるという効果がある。又、利用者が接客口13に手を入れた状態で紙幣1のセットを行っている途中であっても手指を挟まれることが防止される。
【実施例2】
【0047】
(実施例2の構成)
図8は、本発明の実施例2における図2のATMの機能ブロック図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0048】
本実施例2におけるATM10Aの構成は、実施例1を示す図2のATM10の構成とほぼ同様であるが、実施例1の媒体セット監視手段31aに代えて媒体セット監視手段31aAが設けられている点が異なっている。
【0049】
図9は、実施例2における図8中の入力操作部12上に表示される紙幣セット誘導画面を示す図である。
【0050】
この操作画面には、「紙幣を揃えてセットしてください。セットが完了したら、確認ボタンを押してください。」のメッセージと、取消ボタン12bと、確認ボタン12cとが表示されている。
【0051】
図10は、実施例2における図8中の入力操作部12上に表示される紙幣入れ直し誘導画面を示す図である。
【0052】
本操作画面は、シャッタ21の閉鎖できなかったときに表示され、「シャッタを閉じることができませんでしたので、紙幣投入取出口にある紙幣1をすべて取出してください。」のメッセージが表示されている。
【0053】
(実施例2のATM10Aの入金取引時の動作)
図11は、本発明の実施例2における図8のATM10Aの入金取引時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図7中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0054】
本実施例2におけるATM10Aの入金取引時の動作は、以下のように実施例1と同様のステップS1,S2及びステップS7〜S15と、本実施例2の特徴であるステップS31〜S34とに従って処理が行われる。
【0055】
本実施例2の入金取引処理は、実施例1とほぼ同様の処理であり、ATM10Aへの電源の投入によりATM10Aの動作が開始され、ステップS1の取引選択面表示処理、ステップS2のシャッタ開放処理が実行される。
【0056】
ステップS31において、媒体セット監視手段31aAは、図9に示す紙幣セット誘導画面を入力操作部12に表示し、利用者により確認ボタン12cが押下されることを監視する。
【0057】
確認ボタン12cが押下されると、紙幣セット部24に紙幣1がセットされたか否か、あるいは、セットされたときの紙幣1のセット状態に拘らず、ステップS32へ進む。ステップS32において、シャッタ閉鎖手段31bは、シャッタ21の閉動作を開始する。ステップS33において、この動作中に、接客口センサ22が異物を検知せずシャッタ21が閉鎖されたときは(YES)、ステップS34において、紙幣セット部24に紙幣1が残留しているかが判定される。紙幣1が残留しているときは(YES)、計数処理が実行され、以後、通常の入金処理が実行される。紙幣1が残留していないときは(NO)、ステップ2に戻りシャッタ21が解放になる。
【0058】
ステップS33において、閉動作中に接客口センサ22が異物を検出したときは(NO)、シャッタ閉鎖手段31bは、閉動作を停止し、シャッタ21を開放してステップS11に進む。
【0059】
ステップS31において、紙幣セット待ちタイムアウト、すなわち、一定時間を経過しても紙幣1がセットされないか、又は取消ボタン12bが押下されたときは、ステップS8へ進む。実施例1と同様に、ステップS8のシャッタ閉鎖処理、ステップS9の閉鎖正常判定処理、ステップS10の紙幣残留判定処理、ステップS11の紙幣受取待ち処理、ステップS12のシャッタ閉鎖処理、ステップS13の閉鎖正常判定処理、ステップS14の紙幣残留判定処理、ステップS15の取扱中止処理、及びステップS7の計数実行処理が実行され、処理を終了する。
【0060】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、入力操作部12上に紙幣セットを確認するための確認ボタン12cを設け、紙幣1のセット状態に拘わらず、確認ボタン12cの押下を有効とするようにし、シャッタ21の閉動作をするようにしたので、取引時間の短縮化が期待できる。
【0061】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
【0062】
(a) 自動取引装置は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置されるATM10,10Aのみに限定されない。利用者による操作で取引を行う装置であれば、広く適用できる。例えば、駅等に設置される券売機、空港等に設置される航空券発行機、スーパーマーケットに設置されるセルフレジ、市役所等に設置される証明書発行機等が考えられる。
【0063】
(b) 媒体として紙幣1で説明したが、硬貨でも同様に本発明が適用できる。
【0064】
(c) 入金取引を例に説明したが、例えば、引出し取引や振込取引等の他の取引でも適用可能である。
【0065】
(d) 実施例1の図7では、紙幣セットを検出して正常にセットされたか否かを判定し、正常にセットされていないときは、正常にセットされるまで待つように構成したが、ここで、待ち時間が一定時間を越えたらステップS11の紙幣受取待ち処理に移行するように構成してもよい。
【0066】
(e) 接客口13とシャッタ21を有する自動取引装置であれば、現金を扱わない装置でも本発明が適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 紙幣
10,10A ATM
12 入力操作部
12a 取引選択ボタン
12b 取消ボタン
12c 確認ボタン
13 紙幣投入取出口
14 硬貨投入取出口
21 シャッタ
22a,22b 接客口センサ
23 紙幣押え
24a、24b 紙幣セット部
25 媒体センサ
31,31A 制御部
31a,31aA, 取消確認手段
31b シャッタ閉鎖手段
31c 媒体受取誘導手段
31dB,31dC 取消無効手段
32 記憶部
33 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、
前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、
前記利用者との間で媒体を受け渡しするための接客口と、
前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、
前記接客口に設けられ、前記媒体が前記接客口にセットされたときにはオン状態となり、前記媒体の非セット時にはオフ状態となる媒体センサと、
前記接客口に設けられ、前記接客口内の異物の有無を検出し、前記異物を検出したときは、オン状態となり、前記異物の非検出時にはオフ状態となる接客口センサと、
前記媒体センサの検出結果を監視し、前記媒体センサがオン状態のときには監視結果が第1の状態となり、前記媒体センサが一定時間オフ状態を継続したときには第2の状態となる媒体セット監視手段と、
前記媒体セット監視手段が前記第2の状態のときには、前記シャッタの閉動作を行い、前記閉動作中に前記接客口センサが前記オフ状態のときには前記閉動作を続行し、前記オン状態のときには前記閉動作を停止するシャッタ閉鎖手段と、
前記シャッタ閉鎖手段が前記閉動作を停止したときには、前記接客口からの前記媒体の受け取りを促し、前記媒体センサの出力に基づき前記媒体が受け取られたか否かを監視する媒体受取誘導手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記媒体セット監視手段は、前記利用者に対し前記媒体のセットを促すための誘導画面を前記入力操作部に表示し、前記利用者が前記誘導画面に表示された操作用のボタンを操作したときには前記第1の状態となり、前記媒体センサが、一定時間オフ状態を継続したときには、前記第2の状態となることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−271756(P2010−271756A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120597(P2009−120597)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】