自動水栓

【課題】吐水開始後においてセンサが吐水流を誤検知することによって水が出っ放しとなってしまう問題を解決することのできる自動水栓を提供する。
【解決手段】投光部62と受光部64とを有するセンサ66で検知対象を検知し、吐水を自動的に行う自動水栓において、検知対象の検知により吐水開始した後に吐水流からの反射光を受光部64が受光することで受光量が増加したとき、吐水中にしきい値を高く変更し、そして受光量が変更したしきい値以下となったときに止水を行い、併せてしきい値を再び変更前のもとのしきい値に戻すようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はセンサによる検知対象の検知に基づいて自動的に吐水を行う自動水栓に関し、詳しくは吐水流の誤検知を防止するための技術手段に特徴を有する自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水口の下方に差し出された使用者の手(検知対象)をセンサにより検知し、吐水を自動的に行う自動水栓が公共の洗面所等において広く用いられている。
通例、この自動水栓におけるセンサとして光反射型のセンサ、詳しくは発光部と受光部とを有し、発光部で発光した光の検知対象からの反射光を受光部で受光して、その受光量が設定したしきい値を超えたことをもって検知対象を検知するものが用いられている。
【0003】
ところで、この種自動水栓においてはセンサが検知対象を検知して吐水を開始した後、その吐水流に発光部からの光が当って吐水流により反射され、そしてその反射光を受光部が受光してしまうことで、その後に使用者が手を引いてもセンサによる吐水流の検知により水が出っ放しとなる恐れがある。
【0004】
特にこのような誤検知の問題は、下記特許文献1に開示されている図8に示すような自動水栓で生じ易い。
図において200は吐水管、202はその内部に挿通された給水チューブ、204は給水路の先端に配置された吐水口部材でハウジング206の内部に保持されている。
208はセンサで吐水口部材204に固定され保持されている。
この例において、センサ208は検知方向を吐水の方向と同方向に向けて配置されている。
【0005】
吐水口部材204から吐水された吐水流及びセンサ208による検知範囲は何れも一定の拡がりを持っており、従ってこのようにセンサ208が吐水口部材204に近接して配置されていると、センサ208による使用者の手等の検知対象の検知に基づいて吐水口210から吐水を行ったとき、発光部からの光が吐水流に当ってその反射光を受光部が受光してしまい、センサ208が吐水流を検知対象と誤検知してしまい易い。
【0006】
而してこのようにセンサ208が吐水流を検知対象と誤検知してしまうと、その後使用者が手を引いてセンサ208による検知エリアから手を外しても引続き吐水口210から吐水が継続されてしまう。即ち水が出っ放しとなってしまう問題を生ずる。
【0007】
尚、下記特許文献2には吐水流の誤検知を防止することを目的として構成した自動水栓が開示されている。
この特許文献2に開示の自動水栓は、検知エリアを変化させることで吐水流の誤検知を防止するようになしているものであるが、吐水後において吐水流の検知によりしきい値を変更するといったものではなく、本発明とは異なっている。
【0008】
また、下記特許文献3にはタッチスイッチ検出装置についての発明が示され、そこにおいてタッチスイッチ部に使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する水検出電極とを設け、水検出電極に水滴が付着したことを水検出電極で検出したときに、タッチ検出電極の検知のしきい値を上げることで、水滴の付着を人の操作と誤認するのを防止するようになした点が開示されている。
【0009】
しかしながらこの特許文献3に開示のものは吐水流の誤検知を防止できるものではなく、従って本発明の問題としているところの、吐水流の誤検知により水が出っ放しとなってしまう問題を解決することができず、本発明とは異なったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−70096号公報
【特許文献2】特開2002−256599号公報
【特許文献3】特開2009−239649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、吐水開始後においてセンサが吐水流を誤検知することによって水が出っ放しとなってしまう問題を解決することのできる自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1のものは、検知対象に向けて光を発光する発光部と、反射光を受光する受光部とを有し、該受光部における受光量が設定したしきい値を超えることで該検知対象を検知するセンサと、該センサによる該検知対象の検知及び非検知に基づいて開閉動作する給水弁とを備え、該検知対象の検知により吐水を自動的に行う自動水栓において、前記検知対象の検知により吐水開始した後、吐水流からの反射光を前記受光部が受光することで受光量が増加したとき、吐水中に前記しきい値を高く変更し、受光量が該変更したしきい値以下となったときに止水を行い、且つしきい値を再び変更前のもとのしきい値に戻すようになしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項2のものは、請求項1において、前記吐水開始後に増加した受光量の分だけ前記しきい値を高く変更するようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、発光部と受光部とを有するセンサが検知対象を検知することで吐水を自動的に行う自動水栓において、検知対象の検知により吐水開始した後、吐水流からの反射光を受光部が受光することで受光量が増加したとき、吐水中にしきい値を高く変更し、受光量が変更したしきい値以下となったとき、止水を行うとともにしきい値を再び変更前のもとのしきい値に戻すようになしたもので、本発明によれば、吐水流からの反射光を受光部が受光することで受光量が増加した場合であっても、吐水開始後にしきい値を高く変更することで、使用者の手等の検知対象がセンサの検知エリアから外れたときに受光量をしきい値以下となすことができ、従って検知対象が検知エリアから外れたときに止水を行うことができ、吐水流の誤検知により水が出っ放しとなってしまう問題を解決することが可能となる。
【0015】
尚、吐水開始後における受光部での受光量の増加が吐水流からの反射光の受光によるものであることの判定は、例えば次のようにして行うことが可能である。
自動水栓において、センサが使用者の手等の検知対象を検知するとその検知情報は制御部に送られる。
制御部は、その検知情報に基づいて給水弁を開弁動作させ、吐水口に水を送って吐水口から吐水せしめる。その際、センサが検知対象を検知してから実際に吐水が行われるまでに一定の時間を要する。
従ってその間の所要時間だけ遅れて受光部における受光量の増加があったときには、それは吐水流の誤検知によるもの、即ち吐水流からの反射光による受光量の増加であると判定することができる。
【0016】
或いは、水流検知するフローセンサを給水路に設けておいて、水流が生じたことをフローセンサで検知し、その信号の発生のタイミングと同期して受光部での反射光の受光量が増加したときに、その受光量の増加が吐水流からの反射光によるものであること、即ち吐水流の誤検知によるものであることを判定することが可能である。
その外、他の様々な手段にて反射光の受光量の増加が吐水流からの反射によるものであることを判定することが可能である。
【0017】
本発明では、吐水開始後に増加した受光量の分だけしきい値を高く変更するようになしておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、吐水流からの反射光の受光による影響を無くして、真に目的とする使用者の手等の検知対象だけを正しく検知し、また非検知することができ、自動水栓の吐水,止水動作を正確に行うことができる。
【0018】
センサが吐水流からの反射光を受光部で受光する場合において、その受光量の増大の程度は吐水流の強さや勢い、それに伴う吐水の方向の微妙な変化等によって様々である。
しかるにこの請求項2によれば、吐水流の勢いや向き、吐水流量等の影響を完全に排除し得て、正しく検知対象の有無だけを判定できるようになる。
【0019】
尚、自動水栓においてセンサの配置位置は様々であるが、センサが吐水管の先端部で吐水口部材に固定され保持されているものの場合、センサと吐水口部材が極めて近接しているため、センサの検知エリアの拡がりと吐水流の拡がりとが重複し易く、従ってこのような場合には特にセンサが吐水流を検知対象と誤検知する恐れが大きい。
従って本発明はこのような自動水栓に適用して効果の大なるものである。
【0020】
更にこの場合において、センサの前端面が吐水口部材の前端面よりも使用者側の前側に位置している場合、センサが吐水流からの反射光をより受光し易く、従ってこのような形態の自動水栓に対して本発明の適用の効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の自動水栓の全体構成を示す図である。
【図2】図1における吐水管の内部構造を示した縦断面図である。
【図3】図2の吐水管の先端部の内部構造を示した要部断面図である。
【図4】同実施形態のセンサとその周辺部を示した要部斜視図である。
【図5】同実施形態の一作用状態を示した図である。
【図6】同実施形態の作用をタイムチャートで示した図である。
【図7】比較例をタイムチャートで示した図である。
【図8】従来の自動水栓の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の自動水栓で、12は自動水栓10における吐水管である。ここで吐水管12は金属製とされている。
吐水管12は、カウンタ(取付基体)14から起立する形態で設置され、上部が使用者に向って逆U字状のグースネック形状をなしている。
即ち使用者側の前端側(先端側)の部分が、使用者の側に向って前方斜め下向きをなす形状とされており、そしてその前端面に、開口面が管軸と略直角に近い角度で交差し且つ斜め下向きの面をなす開口16が形成されている。
ここで開口16は、その横断面形状が正面視において左右方向に長い略楕円形状とされている。
【0023】
図2に示しているように、吐水管12は基端側に着座部18と、この着座部18から下向きに延びる挿通管20とを一体に有している。
挿通管20は、カウンタ14の取付穴22を挿通してカウンタ14の下側まで突き出しており、その外周面に設けられた雄ねじ部24に固定ナット26がねじ込まれている。
吐水管12は、着座部18をカウンタ14の上面に着座させ、その着座部18と固定ナット26とでパッキン28,30を介し、カウンタ14を上下両側から挟み込む状態にカウンタ14に取り付けられている。
【0024】
一方、図3に示しているように吐水管12の前端部の内部には、後述の吐水口部材60を内部に保持する筒状の保持部材52が納められている。
本例において、この保持部材52は樹脂製(ここではPOM樹脂(ポリアセタール樹脂))のもので、横断面形状が全体として吐水管12の前端部の形状に対応した略楕円形状をなしている。
【0025】
この保持部材52は円筒形状の差込部54を一体に備えており、その差込部54が後述の給水チューブ38に圧入された上、給水チューブ38を外周面から締め付けるバンド状の締付部材56によって給水チューブ38に接続され、固定されている。
【0026】
この保持部材52には、その内部に吐水口部材60が挿入されて、そこに保持されている。
吐水口部材60は、給水チューブ38を通じて送られて来た水の流れを軸方向に通過させて前端(図中左端)の吐水口58から吐水するもので、ここではこの吐水口部材60は水の流れを整流して吐水するものとなしてある。
但し吐水口部材60は、給水チューブ38を通じて送られて来た水を気泡混じりの泡沫流として、又はシャワー流として、或いはその他様々な吐出パターンで吐水を吐出するものとなしておくこともできる。
【0027】
吐水口部材60は、横断面形状が扁平な楕円形状をなす筒状をなしており、その前端面が吐水管12の前端面及び保持部材52の前端面よりも更に奥側に位置する状態に、保持部材52の内部に挿入配置されている。このように吐水口部材60が吐水管12及び保持部材52の前端よりも突出しないように奥側に配置されていることによって、吐水管12の前端部をデザイン的にすっきりとしたものとなしておくことができる。
【0028】
保持部材52は、図4に示しているように本体部88とその上面を覆うカバー90とを有しており、そしてそれら本体部88とカバー90とにより挟まれるようにして、手等の検知対象を検知するためのセンサ(ここでは光センサ、特に赤外線式且つ反射型のセンサ)66を成す投光部62と受光部64とが、保持部材52に固定され、保持されている。
【0029】
この実施形態において、センサ66はその前端面(図3(A)中左端面)が、上記の吐水口部材60の前端面よりも前側に位置する状態に設置されている。即ちこのセンサ66の前端面よりも吐水口部材60の前端面が吐水管12の奥側に位置するように、吐水口部材60が吐水管12内に設置されている。
尚、センサ66を成す投光部62,受光部64の前端面は、何れも吐水管12の管軸方向において同じ位置に位置している。
図3から明らかなようにこのセンサ66もまた、その前端面が吐水管12の前端面よりも僅かに吐水管12の奥側に位置する状態に配置されている。
本実施形態において、吐水口部材60と保持部材52とは、図3に示す固定部材67によって吐水管12に対し固定孔68において共通に固定されている。
【0030】
この固定部材67は円形の押込ボタン式の部材で、円形の外周壁部70と、その中心部から立ち上る第1の嵌合凸部71と、この第1の嵌合凸部71の上端から更に上向きに突出する小径の第2の嵌合凸部72とを一体に有しており、その第2の嵌合凸部72を吐水口部材60の嵌合穴74に嵌入させ、また第1の嵌合凸部71を保持部材52の貫通の嵌合穴76に嵌合させ、また外周壁部70を吐水管12の円形の固定孔68に嵌合させる状態で吐水管12に取り付けられ、以て吐水口部材60及び保持部材52を吐水管12に位置決状態に固定している。
尚、この固定部材67は図3(B)に示すように正面視において左右に一対の爪78を有しており、これら爪78を固定孔68の縁部に係止させることで、吐水管12から抜止めされている。
【0031】
図4において、80は投光側の光ファイバ,82は受光側の光ファイバで、それら投光側の光ファイバ80,受光側の光ファイバ82の先端部によって上記の投光部62,受光部64が構成されている。
尚、投光部62には投射される光に指向性を持たせるためのレンズ84が備えられている。
またこれら光ファイバ80,82には、これを保持部材52に対して軸線方向に位置決状態に固定するための環状の凸部86が一体的に設けられている。
【0032】
図1において、32はカウンタ14の下方に配置された本体機能部で、34はその本体機能部32の機能部ボックスであり、その内部に電磁弁(給水弁)36が収容されている。
電磁弁36は、給水元管からの水を吐水口部材60に供給する給水路を開閉する弁であって、この電磁弁36に対し、給水チューブ38の下端が継手40を介して接続されている。
【0033】
給水チューブ38は、給水路の一部を形成する部材であって、機能部ボックス34から上向きに延び出し、そして図2に示す吐水管12の基端(下端)の開口部42から吐水管12内部に入り込んでいる。
給水チューブ38は、更にこの吐水管12の内部をその前端部に到るまで延びている。
尚この例において、給水チューブ38は可撓性のもので、ここではポリウレタン樹脂にて形成されている。
尚図1において44は止水栓を表している。
【0034】
機能部ボックス34の内部にはまた、マイコンを主要素として含む制御部46、及び発光素子及び受光素子を保持した基板48が収容されている。
制御部46は電磁弁36を作動制御し、センサ66による検知対象の検知に基づいて電磁弁36を開弁させ、またセンサ66が検知対象を非検知となったところで電磁弁36を閉弁させる。
【0035】
発光素子からは上記の投光側の光ファイバ80が延び出しており、また受光素子からは受光側の光ファイバ82が延び出している。これら光ファイバ80,82は機能部ボックス34から延び出して、吐水管12の基端の開口部42からその内部に入り込んでいる。
光ファイバ80,82は、更に吐水管12内部を前端部に到るまで延びている。
尚、50はそれら2つの光ファイバ80,82を1本に束ねた光ファイバのコードを表している。
【0036】
この実施形態では、センサ66が検知対象、通常は使用者が差し出した手を検知すると、制御部46による制御の下に電磁弁36が開弁し、図3の吐水口部材60の吐水口58から自動的に吐水を行う。
また使用者が手を引き込めてセンサ66による検知エリアから外れると、センサ66が手を非検知となり、ここにおいて制御部46の制御の下に電磁弁36が閉弁し、吐水口部材60からの吐水を停止する。
【0037】
上記センサ66は、発光部62から光を発して検知対象である使用者の手からの反射光を受光部64で受光し、その受光量が予め設定してあるしきい値を超えると図5の検知エリアK内に使用者の手があるものと判定する。即ち検知エリアK内の手を検知する。
制御部46は、センサ66からの検知情報に基づいて電磁弁36を開弁させ、吐水口部材60の吐水口58から吐水させる。
【0038】
この場合において、図5(B)に示しているように吐水口部材60からの吐水流Sがセンサ66の検知エリアKにかからない場合、即ち吐水流Sの拡がりと検知エリアKの拡がりとが重複しない場合、使用者が手を引き込めて検知エリアKから手を外すと、センサ66は手を非検知となって非検知情報を制御部46に送る。制御部46は、これに基づいて電磁弁36を閉弁させて吐水口58からの吐水を停止させる。即ち止水させる。
【0039】
しかしながら本例の自動水栓では、センサ66が吐水口部材60に近接して配置され且つ検知方向、厳密には光軸が吐水口部材60からの吐水方向と同方向の前方斜め下向きをなしているため、図5(A)に示しているように吐水流Sの勢いが強い場合等において吐水流Sが検知エリアKにかかってしまうことがある。つまり吐水流Sの拡がりと検知エリアKとが重複してしまうことがある。この場合吐水流Sからの反射光が受光部64に受光されることとなる。
【0040】
而してその際の吐水流Sからの反射光量が多いと、センサ66は吐水流Sを検知対象と誤検知してしまい、使用者が検知エリアKから手を引き込めてもセンサ66は検知状態を維持したままとなり、この場合吐水口58からの吐水は停止されずに(止水されずに)そのまま水が出っ放しとなってしまう。
【0041】
そこで本実施形態では、吐水流Sからの反射光をセンサ66の受光部64が受光した場合、その受光量の分だけ制御部46がセンサ66のしきい値を高く変更し、吐水流Sによる反射光の受光の影響を生じないようになしている。
【0042】
図6及び図7はこれを具体的に表している。
図7(ロ)は、吐水流Sからの反射光をセンサ66が受光した場合においても、しきい値を変更しない場合の比較例を表している。
図中Gは、反射光量に基づいて検知対象の有無を判定する基準のしきい値(具体的にはここでは反射光量に応じて発生する電圧の基準値)を表しており、検知対象である使用者の手からの反射光量に基づく検出電圧がしきい値Gを超える大きさのAである場合、センサ66は検知エリアK内の使用者の手を検知し、ここにおいて吐水口58から吐水が行われる。
【0043】
図7(ロ)中のBは、その後一定時間経過後に吐水流Sが生じて、そこからの反射光がセンサ66の受光部64に受光されたときの受光量の増加分、即ち検出電圧の増加分を表している。このときのセンサ66による検出電圧はA+Bの大きさとなる。
【0044】
この状態の下では、使用者が手洗い等を終えて手を検知エリアKから外しても、検出電圧はAだけしか下がらずに検出電圧Bが残ったままであり、検出電圧はしきい値Gを下回らない。従って使用者の手が検知エリアKから外れたにも拘らずそのまま水が出っ放しとなってしまう。
【0045】
図7(A)は、センサ66の検知エリアKに吐水流Sがかからない場合を表しており、この場合には使用者の手が検知エリアKから外れて検出電圧が大きさAだけ下がると、そこで検出電圧がしきい値Gを下回り、ここにおいて吐水が停止する。
【0046】
一方、図6に示す実施形態の場合、使用者の手からの反射光量に基づいて当初のしきい値Gを超えるAの大きさの検出電圧が生じたときには、そこで吐水口58から吐水開始させるとともに、その後一定時間経過して吐水開始されることにより即ち吐水流Sの発生により、そこからの反射光の受光による受光量の増加によって検出電圧がBだけ大きくなると、そこで制御部46により当初のしきい値GがBに相当する分だけ高く変更される。Gは、その変更後のしきい値の高さを表している。
【0047】
従って、その後使用者が検知エリアKから手を外して検出電圧がAだけ低下すると、そこで検出電圧がしきい値Gを下回り、ここにおいてセンサ66は使用者の手を非検知となって止水が行われる。
またこれと併せて、一旦高く変更されたしきい値Gが再び変更前のもとのしきい値Gに戻される。
従って次に再び使用者がセンサ66の前方に手を差し出してしきい値Gを超える検出電圧が生じると、そこで次の吐水が行われる。
【0048】
以上のような実施形態によれば、吐水流Sからの反射光を受光部64が受光することで受光量が増加した場合であっても、吐水開始後にしきい値を高く変更することで、使用者の手等の検知対象がセンサ66の検知エリアKから外れたときに確実に止水を行うことができ、吐水流Sの誤検知により水が出っ放しとなってしまうのを防止することができる。
尚、吐水開始後のしきい値は本実施形態に限らずB以上A+B以下(A>0,B>0)であれば良い。
【0049】
尚吐水流Sからの反射光を受光部64で受光することによる受光量の増大の程度は吐水流Sの強さや勢い、それに伴う吐水の方向の微妙な変化等によって様々である。
しかるにこの実施形態によれば吐水流Sの勢いや向き、吐水流量等の影響を完全に排除し得て、正しく検知対象の有無だけを判定することができる。
【0050】
また本実施形態ではセンサ66が吐水管12の先端部で保持部材52を介し吐水口部材60に固定されて、センサ66と吐水口部材60が極めて近接しているため、更にはセンサ66の前端面が吐水口部材60の前端面よりも使用者側の前側に位置しているため、センサ66の検知エリアKの拡がりと吐水流Sの拡がりとが重複し易く、従ってセンサ66が吐水流Sを検知対象と誤検知し易いが、しきい値の変更によりその誤検知を有効に防止することができる。
【0051】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明は吐水口から気泡混じりの泡沫流を吐水するものに対しても適用可能であり、この場合、泡沫流には泡が混じって色が白いため反射光の光量が多くなり、センサ66は水だけの吐水流に比べてその泡沫流を検知対象と誤って検知し易くなるが、本発明に従えばそのような不具合の発生を有効に防止することができる。
更に上記実施形態ではセンサを保持部材を介して吐水口部材に固定しているが、センサを直接吐水口部材に固定しておくことも可能である。
【0052】
また本発明は吐水管の前端部に発光素子,受光素子及びそれらに接続された回路から成るセンサを配置した形態の自動水栓に対しても適用することができるし、また上例以外の他の様々な形態を有する吐水管を備えた自動水栓に対して適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 自動水栓
12 吐水管
58 吐水口
60 吐水口部材
62 投光部
64 受光部
66 センサ
S 吐水流
K 検知エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象に向けて光を発光する発光部と、反射光を受光する受光部とを有し、該受光部における受光量が設定したしきい値を超えることで該検知対象を検知するセンサと、該センサによる該検知対象の検知及び非検知に基づいて開閉動作する給水弁とを備え、該検知対象の検知により吐水を自動的に行う自動水栓において、
前記検知対象の検知により吐水開始した後、吐水流からの反射光を前記受光部が受光することで受光量が増加したとき、吐水中に前記しきい値を高く変更し、受光量が該変更したしきい値以下となったときに止水を行い、且つしきい値を再び変更前のもとのしきい値に戻すようになしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記吐水開始後に増加した受光量の分だけ前記しきい値を高く変更するようになしてあることを特徴とする自動水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−137289(P2011−137289A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296037(P2009−296037)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】