説明

自動販売機

【課題】簡単な構造で冷却・加熱領域を適正に調整をして、販売頻度に対応して消費電力を低減させる自動販売機を提供する。
【解決手段】キャビネット10の庫内に上下に並べて収納した商品Sを販売指令に基づき最下位から順に下方に搬出する商品収納ラック40と,運転モードに合わせて庫内に冷却もしくは加熱した空気を循環送風して商品を冷却ないし加熱するファン付きの冷却/加熱ユニット60と、冷却/加熱ユニットの風胴77に連ねて庫内の背面に位置し、前面壁に吸い込み口を有するダクト70と、ダクトの上方に冷却もしくは加熱した空気の循環流の流動を阻止する遮蔽部材81とを具備し、その遮蔽部材が可動自在として、庫内の冷却・加熱領域を適正に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶、ビン、パック、ペットボトルなどの容器に入れた飲料などの商品を冷却、加熱して販売に供する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化、二酸化炭素の排出削減問題で自動販売機の省エネルギーが強く要求されている。省エネルギーを実施する上では、自動販売機の断熱構造を強化すること、庫内の必要な商品だけを部分的に冷却、加熱することなどが有用である。庫内の必要な商品だけを部分的に冷却、加熱するには、庫内の背面に短い背面ダクトを設けることが周知の技術であり、そのなかで、上面に開口部を有する背面ダクトの上部に風路遮蔽板を設けて部分冷却もしくは部分加熱の効率を上げることも知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された自動販売機は、図13で示されるように、商品収納装置1を収納する自動販売機の本体2の下部に冷却/加熱装置3とファン4を設け、背面に上部を開口したリターンダクト5と、そのリターンダクト5の上方に閉口6a,6bを有する断面コの字状の風路遮蔽板6を設けている。この構成によれば、図中矢印で示すように商品収納庫1内の空気の循環流が商品収納装置1の後方上部よりリターンダクト5に流入する経路を遮断して、より効率よく必要量のみ商品を冷却または加熱することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−182133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の自動販売機では、庫内の冷却・加熱領域が下部に固定されているため、販売頻度が多い場合には、上部域に保存され冷却もしくは加熱が不十分な商品を販売する可能性がある。また、リターンダクトの開口部を上方に移動させて冷却・加熱領域をさらに上部にまで設定をすると、販売頻度が少ない場合には、長時間販売されない商品まで冷却もしくは加熱をするために外部からの進入熱を助長することになり、消費電力が増加するという問題点がある。そこで、リターンダクトの開口部を上下方向に沿って複数設け、適宜、その開口部を開閉して冷却・加熱領域を調整することが考えられるが、それでは、リターンダクトの開口部開閉機構が複雑となり、コスト高を招来させることになる。
【0006】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、簡単な構造で冷却・加熱領域を適正に調整をして、販売頻度に対応して消費電力を低減させる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る自動販売機は、キャビネットの庫内に上下に並べて収納した商品を販売指令に基づき最下位から順に下方に搬出する商品収納ラックと,運転モードに合わせて庫内に冷却もしくは加熱した空気を循環送風して商品を冷却ないし加熱するファン付きの冷却/加熱ユニットと、該冷却/加熱ユニットの風胴に連ねて庫内の背面に位置し、前面壁に吸い込み口を有するダクトと、該ダクトの上方に冷却もしくは加熱した空気の循環流の流動を阻止する遮蔽部材とを具備する自動販売機において、前記遮蔽部材が可動自在であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る自動販売機は、請求項1記載の自動販売機において、前記遮蔽部材が多段階に開閉することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る自動販売機は、請求項1記載の自動販売機において、前記遮蔽部材が連続的に開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、前記ダクトの上部に冷却もしくは加熱した空気の循環流の流動を阻止する遮蔽部材を設け、当該遮蔽部材が可動自在とすることにより、販売頻度が少ない時には庫内上部からの空気の流れを遮断する態様に遮蔽部材を位置させることができるので、庫内の冷却・加熱領域が狭くなる結果、外部からの侵入熱を低減して消費電力が低減する。また、販売頻度が多い時には庫内上部からの空気の循環流をダクト側に流入させる態様に遮蔽部材を位置させることができるので、冷却・加熱領域が広がり販売チャンスを逃すことがない。
【0010】
本発明の請求項2に係る自動販売機によれば、きめ細かく対応できる。
本発明の請求項3に係る自動販売機によれば、さらにきめ細かく対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係る自動販売機を示す斜視図。
【図2】図1に示した自動販売機の断面図。
【図3】図1に示した自動販売機の背面ダクトの斜視図。
【図4】図1に示した自動販売機の遮蔽部材を駆動する装置の概略図であり、(a)は側面図、(b)正面図。
【図5】本発明の実施例1に係る自動販売機の制御ブロック図。
【図6】本発明の実施例1に係る自動販売機の要部フローチャート。
【図7】図3に示した背面ダクトの動作図であり、(a)は遮蔽板閉鎖時の動作図、(b)は遮蔽板開放時の動作図。
【図8】本発明の実施例2に係る自動販売機背面ダクトの上部斜視図。
【図9】本発明の実施例3に係る自動販売機背面ダクトの上部斜視図。
【図10】図9に示した背面ダクトの動作図であり、(a)は上部遮蔽板閉鎖時および下部遮蔽板開放時の動作図、(b)は上部遮蔽板開放時で下部遮蔽板閉鎖時の動作図、(c)は上部遮蔽板および下部遮蔽板開放時の動作図。
【図11】本発明の実施例4に係る自動販売機背面ダクトの上部斜視図。
【図12】図11に示した背面ダクトの動作図であり、(a)は上部遮蔽板閉鎖時および下部遮蔽板開放時の動作図、(b)は上部遮蔽板および下部遮蔽板閉鎖時の動作図、(c)は上部遮蔽板および下部遮蔽板開放時の動作図。
【図13】従来技術の自動販売機の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施の形態を詳細に説明する。実施例1は、図1−7を参照しつつ説明をする。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1に示す本発明の実施例1に係る自動販売機を示す斜視図および図2に示す自動販売機の断面図において、自動販売機は、前面が開口した直方状の断熱体として形成された本体キャビネット10と、その前面に設けられた外扉20および内扉30と、本体キャビネット10の内部を上下2段に底板11にて区画形成し、上部を例えば2つの断熱仕切板40wによって仕切られた3つの独立した商品収納庫40a、40b、40cと、下部に商品収納庫40a、40b、40cを冷却もしくは加熱する冷却/加熱ユニット60を収納する機械室50と、外扉20の内側に配設され、商品収納庫40a、40b、40c内の温度センサTa、Tb、Tcにより自動販売機の冷却、加熱運転などを制御する制御手段90と、を有して構成されている。
【0014】
より詳細に説明すると、外扉20は、本体キャビネット10の前面開口を開閉するためのものであり、図には明示していないが、この外扉20の前面には、販売する商品の見本を展示する商品展示室、販売する商品を選択するための選択ボタン、貨幣を投入するための貨幣投入口、払い出された商品を取り出すための商品取出口21等々、商品の販売に必要となる構成が配置してある。
【0015】
内扉30は、商品収納庫40a、40b、40cの前面を開閉し、内部の商品を保温するものであり、上下2段に分割され内部に断熱体を有する箱型形状の構造体である。上側の内扉30aは、一端を外扉20に軸支し、他端を外扉20に係着して、外扉20の開放と同時に上側の内扉30aを開放させて、商品の補充を容易にするものである。下側の内扉30bは、一端を本体キャビネット10に軸支し、他端を本体キャビネット10に不図示の掛金にて掛着して、外扉20を開放したときには、閉止した状態であり、商品収納庫40a、40b、40c内の冷却もしくは加熱した空気が流出することを防ぎ、メンテナンス時など必要に応じて開放できるものである。
【0016】
商品収納庫40a、40b、40cは、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのものであり、その収納庫の容量は商品収納庫40c、40a、40bの順番に大きな態様で配分されている。本実施例1は、商品収納庫40cを冷却専用とし、商品収納庫40a、40bを冷却加熱兼用としている。その商品収納庫40a、40b、40cには、それぞれ、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納し、販売信号により1個ずつ商品を排出するための商品搬出機構を備えた商品収納ラックR、排出された商品Sを内扉30bに取設された搬出扉31を介して外扉の販売口21へ搬出する商品搬出シュート42を有している。
【0017】
冷却/加熱ユニット60は、圧縮機61、凝縮器62、膨張弁63、64、庫外熱交換器76、アキュムレータ69、底板11を跨いで庫内の庫内熱交換器65a、65b、65cとを冷媒配管で連結する冷媒循環回路と庫内に設置した加熱ヒータ66h、66hを有して構成されている。庫内熱交換器65a、65b、65cの後方の取設したファン65f、65f、65fの送風により冷却もしくは加熱が行われる。
【0018】
冷媒循環回路は、冷媒を圧縮機61にて圧縮し、その圧縮した冷媒を凝縮器62にて凝縮し、膨張弁63にて断熱膨張させて、庫内熱交換器65a、65b、65cに送り、庫内熱交換器65a、65b、65cにて蒸発して庫内を冷却したのち、アキュムレータ69を経由して圧縮機61に戻す冷却回路と、冷媒を圧縮機61にて圧縮し、その圧縮した冷媒を庫内熱交換器65a、65bに送り凝縮させて庫内を加熱し、さらに庫外熱交換器76で凝縮し、膨張弁64にて断熱膨張させて、庫内熱交換器65cにて蒸発して庫内を冷却したのち、アキュムレータ69を経由して圧縮機61に戻す冷却加熱(ヒートポンプ)回路が形成されている。なお、庫内熱交換器65a、65bのうち一方のみが加熱に使用される時は、他方は庫内熱交換器65cと同様に冷媒を蒸発して冷却に使用される。
【0019】
圧縮機61は、ヒートポンプ運転が可能な高圧の圧縮ができる圧縮機が使用されている。
凝縮器62の後部にはファン62fが取設され、ファン62fは機械室50の前面開口部(図2中左側)より空気を吸入し、凝縮器62による凝縮熱を吸入するとともに、圧縮機61の排熱を吸収して、機械室50の背面開口部(図2中右側)へ排気する。
【0020】
アキュムレータ69は、庫内熱交換器65a、65b、65cから蒸発された冷媒を流入し、気液分離させて液冷媒を貯留し、気体冷媒を圧縮機61に戻すための密閉した容器である。
【0021】
加熱ヒータ66h、66hは、庫内熱交換器65a、65bの前方に取設され、ヒートポンプ運転で冷却側の庫内が適温に冷却されたときに庫内熱交換器65a、65bを使用せずに冷媒回路の運転を停止し、商品収納庫40a、40bを加熱するためのものである。
【0022】
庫内熱交換器65a、65b、65cは商品収納庫40a、40b、40cの下部に取設され、その後方にファン65fが取設されている。庫内熱交換器65a、65b、65c、加熱ヒータ66h、66h、ファン65fは、風胴77a、77b、77cで囲繞され、風胴77a、77b、77cの前方は庫内側に開口されており、後方は背面ダクト70a、70b、70cと連通して取設されている。背面ダクト70a、70b、70cの上部には、可動遮蔽板81a,81b,81cが取設され、可動遮蔽板81a,81b,81cを可動させる遮蔽板可動装置80,80,80がその一部を背面ダクト70a、70b、70cの内部を経由して取設されている。
【0023】
背面ダクト70a、70b、70cは、断面コの字状の板状部材よりなる本体71a、71b、71cにて構成され、キャビネット10の背面上に布設されており、その上部近傍の前面壁に吸い込み口72a、72b、72cと、下部に風胴77a、77b、77cに連なる吹き出し口73a,73b,73cを有している。そして、背面ダクト70a、70b、70c、風胴77a、77b、77cにて通風路が形成され、ファン65fにより庫内熱交換器65a、65b、65c、加熱ヒータ66h、66hにて冷却もしくは加熱された空気を風胴77a、77b、77cより商品収納庫内の商品Sに送風し、図2中の矢印Aで示すように背面ダクト70a、70b、70cより回収することで商品収納庫内の冷却もしくは加熱が行われる。なお、背面ダクト70a、70b、70cの上面は、後述する操作棒84を通過させる孔71ac、71bc、71ccが穿孔されている。
【0024】
遮蔽板可動装置80は、可動遮蔽板81a,81b,81cを駆動させるためのものである。商品収容庫40a、40,40cに設置している遮蔽板可動装置80は、幅寸法の相違する商品収容庫40a、40,40cによりそれぞれ取設され、その構造は実質的に同一であるので、以下の説明では、可動遮蔽板の符号81a,81b,81cを81、背面ダクト70a、70b、70cを70などと庫内収納庫を識別するa、b、cを略した符号を用いて説明をする。
【0025】
遮蔽板可動装置80は、図3,4に示すように可動遮蔽板81の両端を支持する支持板82,82と、可動遮蔽板81を駆動させる操作棒84と、操作棒84を電動で駆動させる駆動モータ86、操作棒84の原点位置を検出する位置決めセンサ87、操作棒84を手動で駆動させるノブ88を有して構成されている。
【0026】
可動遮蔽板81は、鋼板部材であり、根元部には、ピン82p、ピン82pにて回動自在に軸支されている。可動遮蔽板81の回動する先端は、水平位置にあるときはラックRの端面の近傍まで位置し、このとき図2中の矢印Bで示す流れが阻止される。
【0027】
支持板82,82は、本体71の側板の後部より上方に延設された薄板板金であり、その先端側には、可動遮蔽板81の両端を軸支するピン82pが挿入されている。そのピン82p、82pには可動遮蔽板81の自由端側が手前側(図中左側)から見て上から下に回動する方向に付勢する態様でスプリング82s、82sが巻着され、可動遮蔽板81が水平方向に係止される位置にストッパー83、83が支持板82,82に固着されている。
【0028】
操作棒84は、断面矩形状の板状部材であり、上部はやや傾斜する態様で形成された爪部84h、下部の側面にはラック84rが取設されている。操作棒84の中央部には、正面に原点を検出するマーカー84m、側面方向に延設してスライダーピン84s、ノブ88が取設されている。また、操作棒84は上下方向に移動自在となる態様で上下のガイド(不図示)にて支持されている。
【0029】
駆動モータ86は、操作棒84を上下方向に移動させ、遮蔽板81を開閉させるものであり、減速ギア86g、モータ本体86mにより構成され、減速ギア86gのシャフトの先端にはラック84rと噛み合うピニオン86pが取設されている。
【0030】
位置決めセンサ87は、操作棒84の原点を求めるためのものであり、駆動モータ86の上部に取設されている。
ノブ88は、円柱形状のピンであり、駆動モータ86を不通電状態としたときに、手動で操作棒84を駆動させるためのものである。
【0031】
制御部90は、内部にCPU,メモリを有し、駆動モータ86を制御するモータ制御部90mを組み込んでいる。モータ制御部90mは、図5の制御回路の要部ブロック図を示すように、可動遮蔽板モードSW91、遮蔽板駆動SW92、遮蔽板温度設定SW93、販売カウンタ94、温度センサTa,Tb,Tc、位置決めセンサ87の信号を入力として、可動遮蔽板81を駆動させるモータ86を制御する。
【0032】
可動遮蔽板モードSW91は、可動遮蔽板81を手動にて操作をさせる手動操作モード、庫内の目標温度を設定して、温度センサTより検出される温度がその目標値になるように可動遮蔽板81を操作する手動命令モード、販売の頻度に従って温度センサTの目標値を設定して、その目標値になるように可動遮蔽板81を操作する自動制御モードの三モードを切り替えるスイッチ(SW)である。
【0033】
遮蔽板駆動SW92は、手動操作モードにより駆動モータ86を正逆回転させ、操作棒84を上下駆動させることにより可動遮蔽板81の傾斜を操作・設定するものである。
温度設定SW93は、手動命令モードにより可動遮蔽板81の位置を適正に制御するための温度センサTa,Tb,Tcの目標値を入力するためのテンキースイッチである。
【0034】
販売カウンタ94は、自動制御モードにより使用され、各庫内に収容された商品の販売をカウントするものである。カウントされた販売数は、制御装置90により時間ごと積算され、所定のメモリに販売頻度として記憶される。
【0035】
温度センサTa,Tb,Tcは、庫内下部の風胴77a,77b,77cの上面に取設され、庫内温度を検出するものである。
かかる構成で、自動販売機を始動すると制御が開始すると、可動遮蔽板81を設定することができる。すなわち、図6の要部フローチャートに示すように位置決めセンサ87にて原点の信号が得られるまで、駆動モータ86が正逆回転を行い零点に位置合わせを行う(ステップS1)。つぎに、可動遮蔽板モードSW91を手動操作モードにセットすると(ステップS2分岐1)、遮蔽板駆動SW92を操作する(ステップS11)ことにより、可動遮蔽板81が所望の角度となるように操作棒84を駆動させる(ステップS12)。具体的には、販売頻度が少ない場合には、図7(a)に示すように可動遮蔽板81を水平位置の状態とし、販売頻度が多い場合には、図7(b)に示すように可動遮蔽板81を上方に向いた角度に設定をする。なお、図7中の一点鎖線は、ラックRの端面を示している。
【0036】
図7(a)に示すように可動遮蔽板81を水平位置の状態の場合には、図中の矢印Bで示されるよう上部からの流入が阻止され、図中の矢印Aで示されるようにダクト入口71近傍を中心に流れるので、庫内の冷却・加熱領域が狭くなる結果、外部からの侵入熱を低減して消費電力を低減させることができる。また、販売頻度が多い時には、図7(b)に示すように、庫内上部からの空気の流れ(図中の矢印B)およびダクト入口71の近傍よりの流れ(図中の矢印A)を発生させることができるので、冷却・加熱領域を広げることができる結果、冷却もしくは加熱不十分な商品が低減されて販売チャンスを逃すことがない。
【0037】
なお、この操作は、駆動モータ86の電源を切断し、ノブ88を上下に移動操作することにより手動にて行うこともできる。
また、ステップS2において可動遮蔽板モードSW91を手動命令モードにセットすると(ステップS2分岐2)、温度設定SW93により所望の目標温度の設定を行う(ステップS21)。次に、定時間ごとに温度センサTにより庫内温度を検出して可動遮蔽板81の開閉調整を行う(ステップS22)。具体的には、冷却運転の場合に検出した庫内温度が目標温度より低い温度の場合には(加熱運転の場合には高い温度)、冷却・加熱領域が狭すぎる運転を行っているので、操作棒81を上昇させて可動遮蔽板81の開閉の角度を広げるようにする。また、冷却運転の場合に検出した庫内温度が目標温度より高い温度の場合には(加熱運転の場合には低い温度)、冷却・加熱領域が広すぎる運転を行っているので、操作棒81を下降させて可動遮蔽板81の開閉の角度を狭めるようにする。
【0038】
また、ステップS2において可動遮蔽板モードSW91を自動制御モードにセットすると(ステップS2分岐3)、制御装置90は、販売頻度情報を販売カウンタ94より入手した販売頻度を記憶したメモリを参照して(ステップS31)、販売頻度により各庫内の目標温度を設定する(ステップS32)。具体的には、販売頻度が高い場合には、目標温度を低めに設定し(加熱運転の場合は、高めに設定し)、販売頻度が低い場合には、目標温度を高めに設定する(加熱運転の場合は、低めに設定する)。そして、S21と同様に、定時間ごとに温度センサTを検出して可動遮蔽板81の開閉調整を行う(ステップS33)。
【0039】
発明者らの試験では、可動遮蔽板81の開閉角度を大きくすることにより、商品ラックに搭載された商品の下から5番目の商品温度の平均値が上昇することを確認した。
前述のように、販売頻度が少ない時には庫内上部からの空気の流れを遮断する態様に遮蔽部材81を位置させることにより、庫内の冷却・加熱領域が狭くなるので、外部からの侵入熱が低減して消費電力を低減させることができる。また、販売頻度が多い時には庫内上部からの空気の流れをダクト側に流入する態様に遮蔽部材81を位置させることにより、冷却・加熱領域を広げることができるので、販売チャンスを逃すことを防止することができる。
【0040】
遮蔽部材81の開閉角度を段階的もしくは連続的に変えることにより、庫内の冷却・加熱領域を段階的もしくは連続的に変えることができるので、上記の効果をよりきめ細かく行うことができる。
【0041】
(実施例2)
本発明の実施例2に係る自動販売機について説明する。実施例1と相違する点は、遮蔽板81が水平状態を保持しながら垂直方向に移動させるように支持板282,ガイド孔282gを設けている。その説明を図8の斜視図を用いて詳述し、その他は実施例1と実質的に同一であるので、同一部の説明は省略する。
【0042】
遮蔽板81は、その中央後部にて操作棒84と固定されており、その側面両端にはピン82p、82pが挿入されている。支持板282,282はダクト本体71の側面より立設する態様で延設され、その後部には前記ピン82p、82pと係合して垂直方向にガイド溝282g、282gが形成されている。ガイド溝282g、282gは、操作棒84を垂直方向に駆動操作することにより、前記ピン82p、82pのガイドとして遮蔽板81は水平状態で垂直方向に移動させるためのものである。
【0043】
かかる構成で、販売頻度が少ない時には操作棒84を下方に操作することにより、遮蔽板81を低い位置に移動をすることにより、庫内上部からの空気の流れを遮断することができるので、庫内の冷却・加熱領域が狭くなる結果、外部からの侵入熱を低減して消費電力を低減させることができる。また、販売頻度が多い時には庫内上部からの空気の流れをダクト側に流入する態様に遮蔽部材を位置させることができるので、冷却・加熱領域を広げ販売チャンスを逃すことがない。
【0044】
(実施例3)
本発明の実施例3に係る自動販売機について説明する。実施例1と相違する点は、遮蔽板81と背面ダクト70との中間に第2の遮蔽板381が支持板382に軸支され、その第2の遮蔽板381を操作する第2操作棒384が操作棒84の側面側に延設されている点である。その説明を図9の斜視図および図10の動作図を用いて詳述し、その他は実施例1と実質的に同一であるので、同一部の説明は省略する。
【0045】
第2の遮蔽板381は、図9に示すように遮蔽板81と同様に板状部材であり、その両側端の奥側はピン82p、82pで軸支され、前方(図中左方)から見て前端を下方に回動する態様で付勢するスプリング82s、82sがピン82p、82pに巻着されている。なお、上部に位置する遮蔽板81と異なり水平位置で係り止めするストッパー83,83による係止手段は有していないので、第2の遮蔽板381は操作棒384と当接しないときは、その前端を下方に向いた状態で位置している。また、第2の遮蔽板381には、操作棒84との干渉を防ぐための貫通させる孔381cが形成されている。
【0046】
第2操作棒384は、第2の遮蔽板381を回動させるためのもので、操作棒84の側面より水平に延設され、その後垂直上方に延設された部材である。第2操作棒384は、第2の遮蔽板381と当接することにより第2の遮蔽板381の先端を上方、水平、上方にと回動せせることができる。
【0047】
かかる構成で、操作棒84を低位置に設定するときは、図10(a)に示すように、操作棒84、第2操作棒384がそれぞれ遮蔽板81、第2の遮蔽板381に当接していないので、遮蔽板81が水平状態にあり、第2の遮蔽板381は下向きにある。この結果、図中の矢印Bで示すように庫内の上方からの流れが遮蔽板81にて遮断され、庫内の中部、下部からの流れが図中の矢印Aで示すように背面ダクト70内に流入をするので、冷却・加熱領域を中領域に設定ができる。
【0048】
操作棒84を中位置に設定するときは、図10(b)に示すように、操作棒84、第2操作棒384がそれぞれ遮蔽板81、第2の遮蔽板381に当接して、遮蔽板81が上向き状態となり、第2の遮蔽板381は水平状態となるので、図中の矢印Bで示すように庫内の上方からの流れが第2の遮蔽板381により遮断され、下部のみからの流れが図中の矢印Aで示すように背面ダクト70内に流入をするので、冷却・加熱領域を小領域に設定ができる。
【0049】
操作棒84を高位置に設定するときは、図10(c)に示すように、操作棒84、第2操作棒384がそれぞれ遮蔽板81、第2の遮蔽板381に当接して、遮蔽板81、第2の遮蔽板381は上向き状態となるので、図中の矢印Bで示すように庫内の上方からの流れは遮断されず、上方、中段、下方からの流れが図中の矢印Aで示すように背面ダクト70内に流入をするので、冷却・加熱領域を大領域に設定ができる。
【0050】
(実施例4)
本発明の実施例4に係る自動販売機について説明する。実施例1と相違する点は、背面ダクト70の奥行き寸法が半分であり、遮蔽板81が背面ダクト70の前面側の設けられた前面側遮蔽板481と天板側に設けられた天板側遮蔽板581に分割されて支持板482に軸支されている点である。また、天板側遮蔽板581は背面ダクト70の天板側開口部を開閉する点である。その説明を図11の斜視図、図12の動作図を用いて詳述し、その他は実施例1と実質的に同一であるので、同一部の説明を省略する。
【0051】
支柱板482はダクト本体71の側板より延設して設けられ、中段より手前側に延在するフランジ482fと上端より上方に延在するフランジ482uが形成されている。また、両支柱板482の間にはダクト本体70の正面に延設して正面板483が設けられ、両支柱板482と正面板483とで背面ダクト70の通路を延長する態様でダクト空間が形成されている。
【0052】
前面側遮蔽板481は、板状部材であり、図9に示す遮蔽板381と同様にその両側端の奥側はピン82p、82pで軸支され、前方(図中左方)から見て前端を下方に回動する態様で付勢するスプリング82s、82sがピン82p、82pに巻着されている。また、前面側遮蔽板481は第2操作棒484と当接しないときは、その前端を下方に向いた状態で位置している。
【0053】
天板側遮蔽板581は、板状部材であり、ダクト空間を閉止する態様でスプリング82s、82sにて付勢されている。また、支柱板482、482の内側にはストッパー83,83が固着され、天板側遮蔽板581が水平位置で係止されている。天板側遮蔽板581は、操作棒84と当接することにより、先端が上方に回動して、庫内の上部の空間とダクト70の上端口を連通する。
【0054】
第2操作棒484は、第2の遮蔽板481を回動させるためのもので、操作棒84の側面より水平に延設され、その後垂直上方に延設された部材である。
かかる構成で、操作棒84を低位置に設定するときは、図12(a)に示すように、操作棒84、第2操作棒484がそれぞれ前面側遮蔽板481、天板側遮蔽板581に当接しないので、天板側遮蔽板581が水平状態にあり、前面側遮蔽板481は下向きにある。その結果、図中の矢印Bで示すように背面に沿った上方からの流れが天板側遮蔽板581にて遮断され、ラックの端面と天板側遮蔽板581との間を流れて図中の矢印Aで示すように開口部71aに流入をするので、冷却・加熱領域を中領域に設定ができる。
【0055】
操作棒84を中位置に設定するときは、図12(b)に示すように、操作棒84は天板側遮蔽板581と当接せず天板側遮蔽板581を水平状態にあり、第2操作棒484が前面側遮蔽板481に当接して、前面側遮蔽板481を水平状態にする。その結果、図中の矢印Bで示すように庫内の上方からの流れが天板側遮蔽板581および前面側遮蔽板481にて遮断されるので、下部のみからの流れが図中の矢印Aで示すように背面ダクト70内に流入をするので、冷却・加熱領域を小領域に設定ができる。
【0056】
操作棒84を高位置に設定するときは、図12(c)に示すように、操作棒84、第2操作棒484がそれぞれ天板側遮蔽板581、前面側遮蔽板481に当接して、天板側遮蔽板581、前面側遮蔽板481は上向き状態とする。その結果、図中の矢印Bで示すように背面に沿う流れは、背面ダクト70の上部開口部よりダクト内部に流れ、それよりも手前側の流れも背面ダクト70内に流入をするので、下方からの流れが図中の矢印Aで示すように背面ダクト71a内に流入をするので、冷却・加熱領域を大領域に設定ができる。
【0057】
すなわち、操作棒84を操作して、前面側遮蔽板481、天板側遮蔽板581を開閉することにより、冷却・加熱領域を制御することができる。
上述のように前記ダクトの上部に冷却もしくは加熱した空気の循環流の流動を阻止する遮蔽部材を設け、当該遮蔽部材が可動自在に設けたことにより、販売頻度が少ない時には庫内上部からの空気の流れを遮断する態様に遮蔽部材を位置させることができるので、庫内の冷却・加熱領域が狭くなる結果、外部からの侵入熱を低減して消費電力を低減させ、販売頻度が多い時には庫内上部からの空気の流れをダクト側に流入する態様に遮蔽部材を位置させることができるので、冷却・加熱領域を広げ販売チャンスを逃すことがない。
【0058】
遮蔽部材を段階的もしくは連続的に変えることにより、庫内の冷却・加熱領域を段階的もしくは連続的に変えることができるので、上記の効果をよりきめ細かく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明は、例えば断熱筐体の内部雰囲気を冷却/加熱するための自動販売機として有用である。
【符号の説明】
【0060】
10 本体キャビネット
20 外扉
30 内扉
40a、40b、40c 商品収納庫
60 冷却/加熱ユニット
61 圧縮機
62 凝縮器
63 膨張弁(膨張手段)
65a、65b、65c 庫内熱交換器
66h 加熱ヒータ
70a70b、70c 背面ダクト
80 遮蔽板可動装置
81、81a,81b,81c 遮蔽部材
84 操作棒
86 駆動モータ
381 第2の遮蔽板
481 前面側遮蔽板
581 天板側遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの庫内に上下に並べて収納した商品を販売指令に基づき最下位から順に下方に搬出する商品収納ラックと,運転モードに合わせて庫内に冷却もしくは加熱した空気を循環送風して商品を冷却ないし加熱するファン付きの冷却/加熱ユニットと、該冷却/加熱ユニットの風胴に連ねて庫内の背面に位置し、前面壁に吸い込み口を有するダクトと、該ダクトの上方に冷却もしくは加熱した空気の循環流の流動を阻止する遮蔽部材とを具備する自動販売機において、前記遮蔽部材が可動自在であることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記遮蔽部材が多段階に開閉することを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記遮蔽部材が連続的に開閉することを特徴とする請求項1記載の自動販売機。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−53857(P2011−53857A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201284(P2009−201284)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】