説明

自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材

【課題】 変性ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂を基材樹脂とする発泡積層シートを用いた、軽量かつリサイクル性に優れた環境適合性の高い自動車内装材用発泡積層シートに、耐薬品性を付与し、実用特性の高い自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を得る。
【解決手段】 変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡シートの両面に、変性PPE系樹脂または耐熱ポリスチレン系樹脂からなる非発泡層を積層してなる発泡積層シートの、片面に異音防止層を積層し、該異音防止層が積層された面の反対面に、少なくとも二層からなる多層ホットメルト接着剤を介して表皮材を積層することにより、耐薬品性の高い自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材に関する。更に詳しくは、耐薬品性に優れた自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車内装材用基材としては、ウレタンフォームにガラス繊維を積層してなる基材(特許文献1)あるいはポリプロピレン樹脂にガラス繊維を混合または積層してなる基材(特許文献2)が広く用いられている。これらの基材は、成形加工性・耐熱特性に優れているという特徴がある。しかしながら、該基材よりなる自動車内装材は、ガラス繊維を構成材料とするため、リサイクル性(特にサーマルリサイクル性)に難があり、また、軽量化が図れずに燃費が上昇せずCO量が増加するという点から、環境適合性に劣るものであった。
【0003】
このような問題を解決するため、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下「変性PPE系樹脂」と記す場合がある)発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用いた自動車内装材用基材が提案されている。変性PPE系樹脂を用いた自動車内装材用基材は、耐熱性に優れ、軽量であるだけでなく、ガラスフリーの素材で構成されているため、リサイクル性を有する環境適合性の高い素材である。
【0004】
一般に、自動車内装材においては、自動車内装材用基材の意匠面に、不織布、ニット、ニットと発泡ウレタンの積層体、ニットと不織布の積層体、等からなる表皮材が積層されたものが使用されている。
【0005】
これら表皮材と自動車内装材用基材との接着には、使用が簡便であり、かつ適度な耐熱性を有する接着剤として、ホットメルト接着剤が多用されている。例えば、前記変性PPE系樹脂からなる発泡積層シートを用いる自動車内装材用基材の場合、表皮材との十分な接着強度を付与するために、変性PPE系樹脂非発泡層と相溶性を有するポリオレフィン系ホットメルト接着剤を用いている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、該ポリオレフィン系ホットメルト接着剤は、変性PPE系樹脂への相溶性を考慮した結果として、極性の高い樹脂種が選択されるため、耐薬品性が低下してしまう。このため、例えば、変性PPE系樹脂発泡積層シートを自動車のトランクルーム構成部材として使用した場合、灯油を運搬中に過って車内に零した際、ホットメルト接着剤が溶解し、積層シートから表皮材が剥離してしまうという実用上の問題が発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平5−69748号公報(特許第1859360号)
【特許文献2】特許第3574209号公報
【特許文献3】特開2000−158575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軽量かつリサイクル性(ガラスフリー)という特徴を持つ環境適応性の高い自動車内装材用変性PPE系樹脂発泡基材に、優れた耐薬品性を付与した自動車内装材用基材および自動車内装材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記実情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、変性PPE系樹脂発泡積層シートと意匠面としての表皮材とを接着させるホットメルト接着剤として、耐薬品性に優れた樹脂層および変性PPE系樹脂発泡積層シートとの接着性が優れた樹脂層を有する多層ホットメルト接着剤を使用することにより、耐薬品性に優れた変性PPE系樹脂発泡積層シートおよび自動車内装材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層が積層されてなる発泡積層シートの、片面に異音防止層が積層され、その反対面に、表皮材が多層ホットメルト接着剤を介して積層されてなることを特徴とする、自動車内装材用発泡積層シート、
[2]多層ホットメルト接着剤が、少なくとも二層の樹脂層で構成されるフィルムであることを特徴とする、[1]に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
[3]多層ホットメルト接着剤の、表皮材側の最外層が非発泡層の基材樹脂に対して非相溶性のポリオレフィン系樹脂からなり、かつ、発泡積層シート側の最外層が非発泡層に対して相溶性の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、[1]または[2]に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
[4]多層ホットメルト接着剤の表皮材側の最外層が、ポリエチレン系樹脂フィルムからなることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート、
[5]多層ホットメルト接着剤の発泡積層シート側の最外層が、ポリスチレン系樹脂フィルムまたは酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルムからなることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート、
[6]発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂25重量%〜70重量%およびスチレン系樹脂75%〜30重量%であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート、
[7]非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂および/または耐熱ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート、
[8]表皮材が、不織布、ニット、不織布とニットとの積層体、および、ニットとパッド材との積層体よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート、および
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シートを、表皮材が室内側に配置されるように成形してなる自動車内装材
に関する。
【発明の効果】
【0011】
変性PPE系樹脂発泡積層シートと意匠面としての表皮材とを接着させるホットメルト接着剤として、耐薬品性に優れた樹脂層および変性PPE系樹脂発泡積層シートとの接着性が優れた樹脂層を有する多層ホットメルト接着剤を使用することにより、軽量かつリサイクル性に優れた環境適合性の高い自動車内装材用変性PPE系発泡積層シートに優れた耐薬品性を付与することができ、実用特性の高い自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る自動車内装材用発泡積層シートの一例を示す要部拡大断面図
【図2】本発明に係る自動車内装材用発泡積層シートの一例を示す要部拡大断面図
【図3】本発明に係る自動車内装材用発泡積層シートの一例を示す要部拡大断面図
【図4】本発明に係る自動車内装材用発泡積層シートの一例を示す要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材の構成を示すものであり、変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が形成され、室外側非発泡層14の表面に接着剤層16を介して異音防止層18が積層され、室内側非発泡層12の表面に二層構造の多層ホットメルト接着剤層22[24:多層ホットメルト接着剤22における表皮材側の最外層、26:多層ホットメルト接着剤22における非発泡層側の最外層]を介して表皮材20が積層されてなる。
【0015】
図2は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材の構成を示すものであり、変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が形成され、室外側非発泡層14の表面に接着剤層16を介して異音防止層18が積層され、室内側非発泡層12の表面に三層構造の多層ホットメルト接着剤層22[24:多層ホットメルト接着剤22における表皮材側最外層、26:多層ホットメルト接着剤22における非発泡層側最外層、30:多層ホットメルト接着剤22における中間層(単層)]を介して表皮材20が積層されてなる。
【0016】
図3は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材の構成を示すものであり、変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が形成され、室外側非発泡層14の表面に接着剤層16を介して異音防止層18が積層され、室内側非発泡層12の表面に四層構造の多層ホットメルト接着剤層22[24:多層ホットメルト接着剤22における表皮材側最外層、26:多層ホットメルト接着剤22における非発泡層側最外層、32:多層ホットメルト接着剤22における中間層(二層)]を介して表皮材20が積層されてなる。
【0017】
図4は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材の構成を示すものであり、変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が形成され、室外側非発泡層14の表面に接着剤層16を介して異音防止層18が積層され、室内側非発泡層12の表面に五層構造の多層ホットメルト接着剤層22[24:多層ホットメルト接着剤22における表皮材側最外層、26:多層ホットメルト接着剤22における非発泡層側最外層、34:多層ホットメルト接着剤22における中間層(三層)]を介して表皮材20が積層されてなる。
【0018】
本発明の発泡層10の基材樹脂として使用される変性PPE系樹脂とは、PPE系樹脂に対して、スチレン系化合物を主体とする単量体との共重合、または、その重合体との混合による変性を行ったものである。変性PPE系樹脂としては、例えば、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたPPE−スチレン共重合体、該共重合体とPS系樹脂またはPPE系樹脂との混合物、その共重合体とPPE系樹脂とPS系樹脂との混合物などが挙げられる。これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0019】
本発明の発泡層10の基材樹脂として使用される変性PPE系樹脂中のPPE系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、 ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
変性PPE系樹脂中、PPE系樹脂と混合樹脂を形成するポリスチレン系樹脂(以下「PS系樹脂」と記す)は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等を主成分とする樹脂である。したがって、PS系樹脂はスチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず、他の単量体と共重合することによって作られた共重合体であってもよい。
【0021】
また、前記PPE系樹脂に重合、好ましくはグラフト重合させるスチレン系単量体の具体例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コストの点から好ましい。
【0022】
本発明の発泡層10に基材樹脂として使用される変性PPE系樹脂は、通常、PPE系樹脂25〜70重量%およびPS系樹脂75〜30重量%であることが好ましく、PPE系樹脂35〜60重量%およびPS系樹脂65〜40重量%であることがより好ましく、PPE系樹脂38〜58重量%およびPS系樹脂62〜42重量%であることがさらに好ましい。変性PPE系樹脂中のPPE系樹脂が25重量%より少ないと、耐熱性が劣る傾向にあり、PPE系樹脂が70重量%より多いと、加熱流動時の粘度が上昇し発泡成形が困難になる傾向がある。
【0023】
発泡層10を形成する1次発泡層としては、層の厚みが1〜5mmであることが好ましく、1.5〜3.5mmであることがさらに好ましい。1次発泡層の厚さが1mm未満であると、強度および断熱性に劣り自動車内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、厚さが5mmを超える場合、成形加熱時に熱が発泡層10の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため十分な加熱が行えず、成形性が悪くなる場合があり、また、十分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルに破泡等が生じ、製品として許容できるものが得られ難くなる場合がある。
【0024】
発泡層10を形成する1次発泡層としては、発泡倍率が3〜20倍であることが好ましく、5〜15倍であることがさらに好ましい。1次発泡倍率が3倍未満の場合、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易く、また軽量化の効果が少ない傾向がある。1次発泡倍率が20倍を越える場合、強度が低下し、中心部まで加熱しにくいことにより成形性が低下する傾向がある。
【0025】
発泡層10を形成する1次発泡層としては、セル径が0.05〜0.9mmであることが好ましく、0.1〜0.7mmがさらに好ましい。セル径が0.05mm未満の場合、十分な強度が得られ難く、0.9mmを超える場合、断熱性に劣る傾向がある。
発泡層10を形成する1次発泡層としては、独立気泡率が70%以上であることが好ましく、80%以上であるのがさらに好ましい。独立気泡率が70%未満の場合、断熱性、剛性に劣ると共に、成形加熱によって目的とする2次発泡倍率を得ることが困難となり、成形性に劣る傾向がある。
【0026】
発泡層10を形成する1次発泡層中の残存揮発成分量は、発泡層全重量に対して1〜5重量%であることが好ましく、2〜4重量%であることがさらに好ましい。残存揮発成分量が1重量%未満の場合は、2次発泡倍率が低くなりすぎることも有り得るため、良好な成形性を得るのに影響を与える場合がある。また、残存揮発成分量が5重量%を越える場合は、非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなる傾向がある。
なお、残存揮発成分量は、ガスクロマトグラフィーにより測定しても良いが、通常、発泡層試験片を変性PPE系樹脂が軟化し始める温度以上、かつ、分解温度以下の温度範囲で加熱して揮発成分を十分に揮発させ、加熱前後の重量差により、測定することができる。
【0027】
本発明において使用される発泡層10の基材樹脂には、必要に応じて、気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等の添加剤を添加してもよい。
【0028】
本発明に係る自動車内装材用発泡積層シートは、変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層12、14が積層される。これは、耐熱時の変形制御、成形時の成形体形状の安定化を図る目的で、発泡層の動きを非発泡層で制御する必要があることによる。
【0029】
非発泡層12、14に用いられる熱可塑性樹脂としては、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちで、発泡樹脂層との接着性の観点から、変性PPE系樹脂または耐熱PS系樹脂が好ましい。
【0030】
非発泡層12、14の熱可塑性樹脂として用いられる変性PPE系樹脂は、上述の発泡層10の場合と同様に、PPE系樹脂に対して、スチレン系化合物を主体とする単量体との共重合、または、その重合体との混合による変性を行ったものである。変性PPE系樹脂としては、例えば、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたPPE−スチレン共重合体、この共重合体とPS系樹脂またはPPE系樹脂との混合物、その共重合体とPPE系樹脂とPS系樹脂との混合物などが挙げられる。これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0031】
PPE系樹脂、PS系樹脂またはスチレン系単量体の具体例や好ましいものの例示や、PS系樹脂やスチレン単量体と重合可能な単量体の具体例、それを使用する理由などは、発泡層10において説明した場合と同様である。ただし、PS系樹脂の好ましい具体例として、ハイインパクトポリスチレン(以下「HIPS」と記す)で代表されるスチレン−ブタジエン共重合体が、非発泡層12、14の耐衝撃性改善効果が大きいという点から好ましい。
【0032】
非発泡層12、14は、共に同一基材樹脂からなる熱可塑性樹脂であっても良く、相互に異なる基材樹脂からなる熱可塑性樹脂であっても良い。非発泡層12、14としては、例えば、共に変性PPE系樹脂、非発泡層12が耐熱PS系樹脂で非発泡層14が変性PPE系樹脂、等、要求される性能やコスト等により適宜選択される。
【0033】
非発泡層12、14の熱可塑性樹脂として用いる耐熱PS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体と他の単量体との共重合体であり、耐熱性の改善効果を有するものである。スチレンまたはその誘導体と共重合可能な単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体およびその酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物またはその誘導体、等が挙げられる。耐熱PS系樹脂は単独で用いても良く、2種類以上組み合わせても用いても良い。
【0034】
また、耐熱PS系樹脂は、他の熱可塑性樹脂とブレンドして用いてもよい。ブレンドする熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、HIPS、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミドやそれらの共重合体などが挙げられる。これらのうちでは、汎用性、均一分散が可能であること、非発泡層の耐衝撃性改善効果が大きいこと、コストの面等から、HIPSが好ましい。HIPSとしては、公知のものが使用でき、ゴム成分の含有量は通常1〜15重量%である。
【0035】
本発明における非発泡層12、14の厚みは、50〜300μmが好ましく、75〜200μmがさらに好ましい。非発泡層の厚さが50μmより薄い場合には、強度、剛性、耐熱性などが低下する傾向があり、300μmより厚い場合には、発泡積層シートの成形性が劣る傾向にある。
【0036】
本発明においては、非発泡層を形成する場合、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0037】
耐衝撃性改良剤は、非発泡層12、14を発泡層10に積層し、2次発泡させた積層シートを自動車内装材として成形する際のパンチング加工や、積層シートや成形体を輸送する際に、非発泡層12、14の割れなどを防止するのに有効である。
【0038】
耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に混合することによって耐衝撃性効果を発揮するものであれば、特に限定なく使用することができる。耐衝撃性改良剤としては、重合による変性で熱可塑性樹脂に導入した耐衝撃性改良効果を発揮し得る成分であってもよく、例えば、HIPSなどのように耐衝撃性改良成分を含むものを混合して非発泡層に使用する場合も、非発泡層12、14に耐衝撃性を付与することができる。
【0039】
本発明に係る自動車内装材は、図1〜図4に例示するように、室外側の非発泡層14の表面に接着剤層16を介して異音防止層18が設けられている。異音防止層18は、自動車に装着した場合、車内をクーラー等で急冷した際、また、凹凸のある路面での走行中や急カ−ブでの走行中の際に発生する異音を防止するのに効果を発揮する。
【0040】
異音防止層18としては、不織布系、織布系の繊維素材であればいずれも用いることができる。異音防止層18に使用される不織布としては、原料繊維を接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合させた布状物であれば、いずれの種類でもよい。原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維のいずれをも用いることができる。具体的には、原料繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、木綿、セルロース等の天然繊維を使用することができるが、これらの中でもポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
【0041】
不織布の種類としては、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンボンド布、スプレファイバー布、ウォーターニードル接着布あるいはステッチボンド布等が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。
【0042】
本発明における異音防止層18の目付は、成形加工性、品質およびコストを考慮すると、15〜100g/mが好ましく、20〜60g/mがより好ましい。異音防止層18の目付が15g/m未満では、有効な異音防止効果が認めらない傾向があり、また、100g/mを超えると、軽量性に劣り、コストが無駄に増加してしまう場合がある。
【0043】
本発明における接着剤層16としては、室外側非発泡層14の構成樹脂に対し相溶性を有する熱可塑性樹脂(以下「接着樹脂」と記す場合がある)が好ましく、具体例としては、非発泡層14が変性PPE系樹脂または耐熱PS系樹脂の場合、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂(以下「SB系樹脂」と記す)およびカルボキシ変性スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂(以下「カルボキシ変性SB系樹脂」と記す)が挙げられる。この中でも、加工性、汎用性、コストの点から、PS系樹脂、SB系樹脂およびカルボキシ変性SB系樹脂が、特に好ましい。
【0044】
接着樹脂としてのPS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等を主成分とする樹脂である。従って、PS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体の単独重合体に限らず、他の単量体との共重合体であってもよい。
【0045】
接着樹脂としてのSB系樹脂は、スチレンまたはその誘導体とブタジエン系単量体との共重合体である。重合されるスチレン単量体およびブタジエン単量体の比率は、スチレン単量体の比率が高くなるほど耐熱性が高くなること、スチレン単量体の比率が高くなるほど非発泡層14との相溶性が良好になることより、スチレン単量体の比率が高くなるほど好ましく、具体的にはSB系樹脂中のスチレン系成分含有量が60重量%以上のものが好ましい。SB系樹脂中のスチレン系成分含有量が60重量%未満では、耐熱性の悪化により、高温下での使用時に異音防止層18の剥離が発生する可能性がある。
【0046】
なお、SB系樹脂の物性は、単量体の比率による組成以外に、ブタジエンの二重結合に基づく分子構造(1,2付加構造、1,4付加構造(シスおよびトランス)、橋掛け構造)による影響を受け、特に、ゴム的な性質は1,4付加構造から齎されている。そのため、橋掛け構造は多すぎるとゴム的な伸び特性を失い、少ないと耐薬品性等の特性が発揮されないため、この橋掛け構造の量調整、分子量の設計により最終的な樹脂物性が設計される。
【0047】
接着樹脂としてのカルボキシ変性SB系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、ブタジエン系単量体および不飽和カルボン酸の単量体の共重合体である。使用される不飽和カルボン酸の単量体としては、一塩基酸および二塩基酸のいずれを使用することも可能で、例えばマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。導入されるカルボキシル基含有単量体の組成比は、強度、熱および光安定性の点から、樹脂全体を100重量%とした場合、1〜10重量%が好ましい。また、カルボキシ変性SB系樹脂中のスチレン系成分含有量は、SB系樹脂と同様な理由により、60重量%以上のものが好ましい。
【0048】
ここで、接着剤層16の形態としては、接着樹脂の希釈溶液が好ましく、異音防止層18の表面近傍に接着樹脂を偏在させることが可能なこと、作業環境負荷の低減の点から、水を媒体とする樹脂エマルジョンタイプであるラテックスが特に好ましい。
【0049】
本発明におけるラテックスとしては、カーペットバッキング用、塗工紙用、不織布繊維処理用として当業者に知られるいずれのラテックスを使用することが可能である。ラテックス原液中の固形分濃度としては通常40重量%以上であるが、塗布量および塗布方法に合わせ、任意に水で希釈した後使用することが可能である。但し、ラテックス水希釈溶液の固形分濃度が低すぎると、工程内での乾燥が不十分となり、接着不良を引き起こす可能性があるため20重量%以上が好ましい。
【0050】
本発明における接着剤層16の接着樹脂としては、PS系樹脂ラテックス、SB系樹脂ラテックスまたはカルボキシ変性SB系ラテックスを単独で用いることも可能である。さらに、自動車内装材としての種々の要求特性を満たすためには、スチレン系樹脂ラテックスおよび、SB系樹脂ラテックスまたはカルボキシ変性SB系樹脂ラテックスとの混合物として用いることが好ましい。すなわち、高い(好ましくは100℃以上)ガラス転移温度Tgを有するスチレン系樹脂および、低い(好ましくは25℃以下、より好ましくは0℃以下)ガラス転移温度Tgを有するSB系樹脂またはカルボキシ変性SB系樹脂を併用することにより、実用特性上必要とされる100℃程度の高温下における接着性の維持および常温下での強固な接着強度を両立させ、より物性バランスのとれた接着剤層を得ることが可能となる。ただし、スチレン系樹脂およびSB系樹脂またはカルボキシ変性SB系樹脂との混合物においても、混合物中のスチレン系成分含有量は60重量%以上であることが好ましい。
【0051】
本発明における接着剤層16による非発泡層14と異音防止層18の接着方法としては、(イ)接着樹脂希釈溶液(水性ラテックス)を接着剤層16として、非発泡層14表面に塗布し、未乾燥状態の塗布面に異音防止層18を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることで接着させる方法、(ロ)異音防止層18に接着剤層16として予め接着樹脂希釈溶液(水性ラテックス)を塗布し、未乾燥状態の塗布面に非発泡層14が接するように積層させた状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることで接着させる方法が、好ましい。接着樹脂の水性ラテックスを塗布し、未乾燥状態で非発泡層14および異音防止層18を積層させることにより、変性PPE系樹脂発泡シート等を使用した場合、発泡シートの破泡が起こらない加熱温度での加熱プレスによっても、要求される接着性が安定的に発現される。
【0052】
さらに、本発明における接着剤層16による非発泡層14と異音防止層18の接着方法としては、(ハ)異音防止層18に接着層16として予め接着樹脂希釈溶液(水性ラテックス)を塗布し、乾燥させ乾燥状態の塗布面に溶融状態にある非発泡層14が接するように発泡層10と異音防止層18とで挟み込み冷却ロール等で圧着固化し、積層接着させる方法も、挙げられる。これは、溶融状態にある非発泡層14と接触する表層部分の接着剤層16を軟化させ、圧着すると同時に冷却固化することにより接着性を発現させるもので、非発泡層14と接着剤層16が相溶性を有し、且つ接着剤層16が熱可塑性樹脂からなることにより強固な接着性が発現するものである。なお、この接着方法においては、溶融状態の非発泡層14は異音防止層18による接触冷却、冷却ロール等により速やかに冷却されるため、発泡層10に及ぼす熱ダメージは小さく、発泡層10が破泡するには至らない。
【0053】
本発明におけるラテックスの塗布方法としては、ロールコーター法、スプレー法、泡噴霧法等の方法が挙げられ、塗布量、塗布面の形状により選択される。
【0054】
本発明におけるラテックスは、配合剤として、必要に応じて、安定剤、老化防止剤、加硫促進剤、分散剤、充填剤、増粘剤、消泡剤、ゲル化剤、凍結防止剤、軟化剤、粘着樹脂等を含有してもよい。
【0055】
本発明における接着剤層16の構成樹脂の塗布量は、使用する熱可塑性樹脂の種類、必要とされる異音防止層18との接着強度により任意に選択されるが、一般的に0.5〜20g/mが好ましく、さらには5.0〜15g/mがより好ましい。接着剤層16の構成樹脂の塗布量が0.5g/m未満の場合、良好な接着性が得られない可能性があり、また、20g/mを超える場合、成形時に異音防止層18より接着剤層16が染み出し金型を汚染する可能性があり、さらには染み出した接着剤層16より異音防止層18の異音を防止する機能を損ねてしまう。
【0056】
本発明における自動車内装材は、図1〜図4に示すように、室内側非発泡層12の表面に、多層ホットメルト接着剤22を介して表皮材20が積層されている。表皮材20は、自動車内装材における室内側最外層に積層される部材であり、自動車室内から見え、触れられる部分に配置されるため、特に意匠性、耐傷つき性、触感等が要求される。
【0057】
表皮材20の構成としては、不織布、ニット、不織布とニットの積層体、ニットとパッド材との積層体、不織布とニットとパッド材の積層体等、内装材に使用されているものであればいずれも使用することができる。
【0058】
表皮材20に使用される不織布としては、原料繊維を接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合させた布状物であれば、いずれの種類でもよい。原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維のいずれをも使用することができる。具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、木綿、セルロース等の天然繊維を使用することができる。これらの中でも、ポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
【0059】
表皮材20に使用される不織布の種類としては、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンボンド布、スプレファイバー布、あるいはステッチボンド布等があげられ、いずれの不織布も使用することができる。
【0060】
表皮材20に使用されるニットは、トリコット、ダブルラッセル、ビロード等、内装材に使用されるものであれば、いずれも使用することができる。
【0061】
表皮材20に使用されるパッド材は、表皮材の触感(高級感)を向上させる目的で使用され、緩衝材としての性質を有するフォームが使用される。パッド材として使用されるフォームの種類としては、ポリウレタンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリブタジエンフォーム等が挙げられる。
【0062】
表皮材20としては、品質およびコストを考慮すると、130〜380g/mの目付を有していることが好ましく、180〜330g/mの目付を有していることがより好ましい。表皮材20の目付が130g/m未満では、内装材としての十分な感触を得ることができない傾向がある。一方、表皮材20の目付が380g/mを超えると、いたずらに重量が増加するだけではなく、成形加工時の表皮材成形歪みが増加し、自動車内装材用発泡積層シートを成形加工して得られる自動車内装材の寸法安定性が劣る傾向にある。
【0063】
次に、表皮材20を熱可塑性樹脂発泡積層シートに接着させる多層ホットメルト接着剤22について、説明する。
【0064】
本発明における多層ホットメルト接着剤22は、少なくとも二層のフィルムで構成され、表皮材20と接触する該接着剤22の最外層24としては、耐薬品性に優れ、非発泡層の基材樹脂に対して非相溶性のポリオレフィン系樹脂が使用され、他方、室内側非発泡層12と接触する該接着剤22の最外層26としては、非発泡層12に対して相溶性の熱可塑性樹脂が使用される。
【0065】
多層ホットメルト接着剤22の表皮材側最外層24として使用される非発泡層に対して非相溶性のポリオレフィン系樹脂としては、加熱・溶融を伴うフィルム積層時の作業性の点から、ポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、具体的には、ポリエチレン単独重合体やエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。前記ポリエチレン系樹脂の融点としては、100℃以上140℃未満が好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂の密度としては、特に限定されず、直鎖状低密度、分岐状低密度、中密度、高密度でも構わない。
【0066】
多層ホットメルト接着剤22の非発泡層12側の最外層26として使用される、非発泡層12の基材樹脂と相溶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等の、ポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸により変性してなる酸変性ポリオレフィン系樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のポリスチレン系エラストマー;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、コストおよび加熱・溶融を伴うフィルム積層時の作業性の点から、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。前記酸変性ポリオレフィン系樹脂は結晶性、非晶性どちらでもよく、結晶性酸変性ポリオレフィンの融点としては75℃以上125℃未満が好ましい。
【0067】
本発明における多層ホットメルト接着剤22は、最外層24、26の間に、単層もしくは二層以上からなる中間層を設けても良い。中間層を設けることにより、最外層24、26同士の層間接着性が低い場合にも両層間の接着を向上させることができ、また、中間層として耐薬品性の高い樹脂種を選択することにより、最外層24の耐薬品性を補強することができ、もしくは、中間層として優れた空気遮断性を有する樹脂種を選択することにより、車内外の汚染空気の透過を防いで内装材の汚染を防止することができる。
【0068】
本発明における多層ホットメルト接着剤22には、最外層24の耐薬品性を損なわない範囲で、接着性その他の性質を調整するために、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、着色剤等を配合してもよい。
【0069】
本発明における多層ホットメルト接着剤22のフィルム化方法は、特に限定されるものではなく、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、ドライラミネート法、押出しラミネート法等の、公知の積層フィルム製造方法が適用できる。
【0070】
多層ホットメルト接着剤22の厚みは、20〜300μmが好ましく、20〜150μmが更に好ましい。多層ホットメルト接着剤22の厚みが20μmより薄い場合には強度、剛性、耐熱性等に劣る傾向があり、300μmより厚い場合には成形性に劣る傾向がある。
【0071】
次に、本発明の自動車内装材用発泡積層シートの製造方法について説明する。
本発明において使用される発泡層10(1次発泡層)は、基材樹脂である変性PPE系樹脂に対し、必要に応じ各種の添加剤をブレンドしたものを、押出機により150℃〜400℃で溶融・混練し、ついで150〜400℃、3〜50MPaの高温高圧下で前記変性PPE系樹脂100重量部に対して発泡剤1〜15重量部を圧入し、発泡最適温度(150〜300℃)に調節して、サーキュラーダイなどを使い低圧帯(通常は大気中)に押出し発泡させて円筒状発泡体を得る。その後、例えば0.5〜40m/分の速度でマンドレル(円筒状冷却筒)などに接触させて延伸、冷却した後、切り開いてシート状に成形して巻き取る、などの方法により製造することができる。
【0072】
発泡層10を製造する際に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタンなどの炭化水素系発泡剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0073】
前記発泡層10に非発泡層12および14を積層し、発泡積層シート50とする方法としては、例えば、予め発泡成形して、供給される発泡層10の上面または下面に押出機から供給した溶融状態の非発泡層12および14の構成樹脂を発泡層10の表面に層状に積層し、冷却ロールなどによって圧着する方法が好ましい。中でも、発泡層10の押出発泡シート成形および、非発泡層12および14の押出をインラインで行って積層する方法は、製造工程が簡略化できる点で好ましい。
【0074】
前記発泡積層シート50と異音防止層18とを接着する方法としては、接着剤層16を発泡積層シート50の非発泡層14の面に塗布した後、異音防止層18を当該面に積層し、ロール等を用いて圧着後乾燥する方法、接着剤層16を異音防止層18に塗布した後、発泡積層シート50の非発泡層14の面とロール等を用いて圧着後、乾燥する方法が挙げられる。
【0075】
前記発泡積層シート50と表皮材20とを接着する方法としては、予め多層ホットメルト接着剤22を接着した表皮材20を発泡積層シート50に熱ロールなどを用いて接着する方法、予め多層ホットメルト接着剤22を接着した発泡積層シート50に表皮材20を仮止めし、加熱成形時に成形と接着を同時に行う方法、等が挙げられる。
【0076】
得られた1次発泡積層シートから、自動車内装材である成形した2次発泡積層成形体を成形する方法としては、上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度(例えば120〜200℃)に加熱して2次発泡させた後、温度調節した金型にて、異音防止層18の設けられた面を自動車の室外側、表皮材20の設けられた面を自動車の室内側に配して取り付けるように成形される。
【0077】
成形方法の例としては、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法が挙げられる。
【0078】
前記1次発泡積層シートを、自動車内装部材を成形する際の加熱により2次発泡させる場合には、1次発泡シートに対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させるのが好ましく、1.5〜3倍に2次発泡させるのがより好ましい。従って、2次発泡後の発泡層(2次発泡シート)の発泡倍率は3.6〜80倍が好ましく、7.5〜45倍がより好ましく、10〜40倍が更に好ましい。2次発泡倍率が1.2倍未満では、柔軟性に劣り、曲げ等による破損が生じ易い傾向がある。2次発泡倍率が4倍を超えると、強度が低下する傾向がある。
【0079】
また、2次発泡後の発泡層(2次発泡シート)の厚さは、1.2〜20.0mmが好ましく、2.25〜10.5mmがより好ましく、3.0〜7.0mmが更に好ましい。2次発泡後の発泡層の厚さが1.2mmより小さいと、強度および断熱性に劣り、自動車内装部品として適当でない場合がある。厚さが20.0mmを超えると、成形賦型時の形状発現性が劣ったり、必要以上に嵩高くなり、車室内が狭くなる傾向がある。
【0080】
本発明の発泡積層シート全体の目付けは、200〜850g/mが好ましく、240〜600g/mがより好ましい。発泡積層シート全体の目付けが200g/m未満では、強度が劣り、曲げ等による破損が生じ易い傾向がある。850g/mを超えると、重量増に伴う取り扱い性(内装作業者のハンドリング性)が低下し、本発明の課題の一つである軽量性に反する傾向がある。
【0081】
以上、本発明に係る発泡積層シートおよび自動車内装材の実施態様を種々説明したが、本発明は前記の態様に限定されるものではない。例えば、自動車内装材は、用途として電車、航空機、建築物の室内等、自動車以外の内装材としても使用することができ、広義に解釈されるべきものである。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
【実施例】
【0082】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
【0083】
なお、実施例または比較例に用いた樹脂を表1に、多層ホットメルトの構成を表2、表3に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
なお、実施例、比較例、表1〜表3に示した各符号に関する記載は、次の通りである。
PPE:ポリフェニレンエーテル
PS:ポリスチレン
SMMA:スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(耐熱ポリスチレン)
HIPS:ハイインパクトポリスチレン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
HDPE:高密度ポリエチレン
EEA:エチレン−エチルアクリレート共重合体。
【0086】
また、実施例および比較例にて実施した評価方法を以下に示す。
【0087】
(発泡層および成形体の厚さ)
得られた1次発泡シートおよび成形体について、幅方向に20ヶ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
【0088】
(発泡倍率)
得られた1次発泡シートの密度dfをJIS K7222に準じて測定し、別途、変性PPE系樹脂の密度dpをJIS K7112に準じて測定し、発泡倍率=dp/dfの式により算出した。
【0089】
(独立気泡率)
独立気泡率は、ASTM D2859に準じて、マルチピクノメーター(ベックマン社製)を使用して、求めた。
【0090】
(セル径)
発泡層の断面を光学顕微鏡で観察し、20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
【0091】
(目付)
1次発泡シートの押出方向の5ヶ所より、100mm×100mmの大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定した後、平均値を算出した。
【0092】
(表皮接着性評価)
得られた成形体から、150mm×25mmの大きさの試験片を切り出し、室温23℃、湿度50RH%の環境下の常態時における表皮材と発泡積層シートとの接着強度を、以下の方法にて測定した。
取得したサイズの試験片に積層された表皮材を、長辺方向において、短辺に平行となるように適当量引き剥がし、引き剥がされた表皮材および発泡積層シートを引張試験機[島津製作所(株)製、オートグラフDSS−2000]のつかみ治具に取り付け、180°方向に引張速度20mm/minで引き剥がし、接着強度を求め、以下の基準で合否判定した。
○:接着強度が15N/25mm以上。
×:接着強度が15N/25mm未満。
【0093】
(耐薬品性評価)
得られた成形体に、灯油1mLを駒込ピペットで滴下し、12時間経過後、滴下部位周辺に切り込みを入れ、表皮材を手で引き剥がし、剥離部位を観察して、以下の基準にて合否判定した。
○:表皮材の材料破壊は観察されるが、ホットメルト接着剤の材料破壊や室内側非発泡層からの剥離は観察されない。
×:表皮材の材料破壊は観察され、ホットメルト接着剤でも部分的な材料破壊もしくはホットメルト接着剤の室内側非発泡層からの剥離が観察される。
【0094】
(実施例1)
<発泡層の製造>
PPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)57.1重量部とPS樹脂(B)42.9重量部とを混合した混合樹脂100重量部に対して、iso−ブタンを主成分とする炭化水素系発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15重量%)3.8重量部およびタルク0.32重量部を押出機により樹脂温度270℃にて混練し、樹脂温度を198℃まで冷却し、圧力12MPaでサーキュラーダイスにより押出し、引き取りロールを介して巻き取りロールにロール状に巻き取り、厚さ2.4mm、発泡倍率14.2倍、独立気泡率89%、セル径0.16mm、目付150g/mの発泡シート(1次発泡シート)の巻物を得た。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表2に示す樹脂構成の二層ホットメルトフィルム[表皮材側最外層24/非発泡層側最外層26=LLDPE/酸変性EEA]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表2に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
<室外側非発泡層および異音防止層の積層>
前記1次発泡シートをロールより繰り出しながら、PPE樹脂成分20重量%、PS樹脂成分71.1重量%およびゴム成分8.9重量%となるように、PPE樹脂(A)28.6重量部およびHIPS樹脂(B)71.4重量部を混合した混合樹脂を、押出機を用い樹脂温度250℃にて溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、溶融状態でフィルム状の室外側非発泡層を前記1次発泡シートおよび下記異音防止層との間に積層し、目付120g/mの変性PPE系樹脂非発泡層を積層した。
なお、異音防止層は、カルボキシル化変性スチレン−ブタジエン系樹脂ラテックス接着剤(L)[JSR(株)製、0569]が10g/m目付で塗布されたスパンレース不織布マット(K)[(株)ユウホウ製、目付50g/m]の構成体である。
<室内側非発泡層および表皮材の積層>
得られた変性PPE系樹脂非発泡層を形成した発泡積層シートに、PPE樹脂成分7.0重量%、PS樹脂成分88重量%、ゴム成分3.9重量%および顔料1.2重量%となるようにPPE樹脂(A)10重量部、HIPS樹脂(B)30重量部、PS樹脂(C)58重量部およびグレー色顔料(E)2.0重量部を混合した混合樹脂を、樹脂温度が255℃となるようフィルム状に押し出し、変性PPE系樹脂室外側非発泡層を形成したシートの反対面および二層ホットメルト接着剤との間に積層し、目付200g/mの変性PPE系樹脂室内側非発泡層を形成した。
その後、加熱炉中にて二層ホットメルト接着剤面を100℃に加熱した後、意匠面表皮材としてプレーンニードルパンチ不織布表皮材[(株)オーツカ製、目付250g/m]を積層して、仮止めした。
<成形体の作成>
得られた発泡積層シートより430mm×430mm四方のサンプル片を切り出し、該サンプル面の上面側を意匠面表皮材層、下面を異音防止層となるように配置して、該サンプル片の幅方向2方をクランプして加熱炉に入れ、該サンプル片の表面温度が、異音防止層の表面温度が150℃、意匠面表皮材層の表面温度が200℃となるように30秒加熱した。その後、60℃に温調した300mm×300mm四方の平板金型を用い、金型クリアランス5.0mmでプラグ成形を行い、良好な成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表2に示す。
【0095】
(実施例2)
多層ホットメルト接着剤として表2に示す二層ホットメルト接着剤を用いた以外は、実施例1で製造した1次発泡シートを用いて、実施例1と同様な方法にて成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表2に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表2に示す樹脂構成の二層ホットメルトフィルム[表皮材側最外層24/非発泡層側最外層26=HDPE/酸変性EEA]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表2に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0096】
(実施例3)
多層ホットメルト接着剤として表2に示す三層ホットメルトを用いた以外は、実施例1と同様な方法にて成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表2に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表2に示す樹脂構成の三層ホットメルト[表皮材側最外層24/中間層(単層)/非発泡層側最外層26=LLDPE/酸変性EEA/HIPS]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表2に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0097】
(実施例4)
多層ホットメルト接着剤として表2に示す三層ホットメルト接着剤を用いた以外は、実施例1で製造した1次発泡シートを用いて、実施例1と同様な方法にて成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表2に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表2に示す樹脂構成の三層ホットメルト[表皮材側最外層24/中間層(単層)/非発泡層側最外層26=HDPE/酸変性EEA/HIPS]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表2に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0098】
(実施例5)
多層ホットメルト接着剤として表2に示す四層ホットメルト接着剤を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を表2に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表2に示す樹脂構成の三層ホットメルト[表皮材側最外層24/中間層(二層)/非発泡層側最外層26=LLDPE/酸変性EEA/共重合ナイロン/酸変性EEA]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表2に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0099】
(実施例6)
多層ホットメルト接着剤として表3に示す五層ホットメルト接着剤を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を表3に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表2に示す樹脂構成の五層ホットメルト[表皮材側最外層24/中間層(三層)/非発泡層側最外層26=LLDPE/酸変性EEA/共重合ナイロン/酸変性EEA/HIPS]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表3に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0100】
(実施例7)
室内側非発泡層の積層において、HIPS樹脂(B)49重量部、(耐熱)PS樹脂(D)49重量部およびグレー色顔料(E)2.0重量部を混合した混合樹脂を用いて目付200g/mの耐熱PS系樹脂非発泡層を形成し、さらに、表3に示す三層ホットメルト接着剤を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表3に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表3に示す樹脂構成の三層ホットメルト[表皮材側最外層24/中間層(単層)/非発泡層側最外層26=LLDPE/酸変性EEA/HIPS]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表3に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0101】
(実施例8)
多層ホットメルト接着剤として表3に示す四層ホットメルト接着剤を用いた以外は、実施例7と同様な方法にて、成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を表3に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表3に示す樹脂構成の四層ホットメルト[表皮材側最外層24/中間層(二層)/非発泡層側最外層26=HDPE/酸変性EEA/共重合ナイロン/酸変性EEA]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表3に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0102】
(比較例1)
ホットメルト接着剤として、表3に示す単層ホットメルトフィルム[酸変性EEA(30μm)]を用いた以外は実施例1と同様な方法にて、成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表3に示す。
【0103】
(比較例2)
多層ホットメルト接着剤として、表3に示す二層ホットメルト接着剤を使用した以外は、実施例1で製造した1次発泡シートを用いて、実施例1と同様な方法にて、成形体を得た。
得られた成形体よりサンプルを切り出し、表皮接着性評価、耐薬品性評価を実施した。試験結果を、表3に示す。
<多層ホットメルト接着剤の製造>
表3に示す樹脂構成の四層ホットメルト[表皮材側最外層24/非発泡層側最外層26=酸変性EEA/HIPS]を、各樹脂を各々の押出機において樹脂温度220℃にて溶融混練を行い、表3に示す各層厚みとなるようにフィードブロック型共押出Tダイを用いて製造した。
【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【符号の説明】
【0106】
10 発泡層
12 室内側非発泡層
14 室外側非発泡層
16 接着剤層
18 異音防止層
20 表皮材
22 多層ホットメルト接着剤
24 多層ホットメルト接着剤における表皮材側最外層
26 多層ホットメルト接着剤における非発泡層側最外層
30 多層ホットメルト接着剤における中間層(単層)
32 多層ホットメルト接着剤における中間層(二層)
34 多層ホットメルト接着剤における中間層(三層)
50 発泡積層シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層が積層された発泡積層シートの、片面に異音防止層が積層され、その反対面に、表皮材が多層ホットメルト接着剤を介して積層されてなることを特徴とする、自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項2】
多層ホットメルト接着剤が少なくとも二層で構成されるフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項3】
多層ホットメルト接着剤の表皮材側の最外層が非発泡層の基材樹脂に対して非相溶性のポリオレフィン系樹脂からなり、かつ、発泡積層シート側の最外層が非発泡層の基材樹脂に対して相溶性の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項4】
多層ホットメルト接着剤の表皮材側の最外層が、ポリエチレン系樹脂フィルムからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項5】
多層ホットメルト接着剤の発泡積層シート側の最外層が、ポリスチレン系樹脂フィルムまたは酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルムからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項6】
発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂25重量%〜70重量%およびスチレン系樹脂75%〜30重量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項7】
非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂および/または耐熱ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項8】
意匠面に積層する表皮材が、不織布、ニット、不織布とニットとの積層体、および、ニットとパッド材との積層体よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シートを、表皮材が室内側に配置されるように成形してなることを特徴とする、自動車内装材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−810(P2011−810A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146412(P2009−146412)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】