説明

自動車用ホイール

【課題】電池交換を容易かつ確実に行うことができる空気圧検知センサを備えた自動車用ホイールを提供する。
【解決手段】ディスク部3に形成される複数の飾り穴6のうちの一つをセンサ取付け穴10とし、センサ取付け穴10は、ディスク部3の外面側から順に大径穴11と小径穴12とからなる段付き穴に形成されており、空気圧検知センサ20は、センサ取付け穴10の小径穴12および大径穴11にそれぞれ嵌合する小径部23および大径部22と、大径部22の外周から突出する突片部とを有し、小径部23および大径部22がセンサ取付け穴10の小径穴12および大径穴11にそれぞれ嵌合しつつ突片部がディスク部3の外面に接触した状態で、突片部がディスク部3にボルトで締結されて取り付けられ、リム部2に設置されたエアバルブに通気管を介して連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ホイールに関し、特に、タイヤの空気圧の著しい低下を報知するタイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System、以下「TPMS」という)を実現するために、タイヤの空気圧を検知する空気圧検知センサを備えた自動車用ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの空気圧は、自動車の走行性能、安全性、燃費などに影響を及ぼすことから、適正な基準圧が規定されている。しかし、従来の自動車では、日常点検でタイヤ空気圧を基準圧に調整した場合であっても、走行中に、タイヤ空気圧の変化はもとより、その著しい低下を把握することはできない。走行中のタイヤ空気圧の著しい低下は、その多くがタイヤのパンクに起因しており、重大事故を引き起こしかねない。このため、安全性の観点から、近年、乗用車などの小型自動車を始めとし、トラックやバスやトレーラーなどの大型自動車といった各種の自動車に、TPMSの装備が求められる動向にある。ちなみに、米国では、乗用車やミニバンなどの小型自動車を対象としてTPMSを装備することが法律により義務化されている。
【0003】
TPMSは、タイヤの空気圧を直接測定する直接方式と、タイヤ空気圧の変化に伴って変化する特性(例:タイヤ動半径差、タイヤ共振周波数)を検出する間接方式とに大別される。これらのうちで直接方式のTPMSは、タイヤのホイールに設置される空気圧検知センサと、車体に設置される受信アンテナ、受信機および表示機とから構成される。空気圧検知センサは、タイヤの空気圧を逐次検知するとともに、その検知データを無線送信する。受信アンテナは、空気圧検知センサから無線送信されたデータを受信する。受信機は、受信アンテナからのデータを処理し、表示機は、受信機から指令信号を受け取ってタイヤ空気圧の状態を表示し、運転者にタイヤ空気圧の著しい低下の有無を報知する。
【0004】
空気圧検知センサを備えたホイールに関する従来技術は、下記のものがある。
【0005】
特許文献1、2には、ホイールを構成するリム部とディスク部のうちのリム部に着目し、リム部に空気圧検知センサを取り付けたホイールが開示されている。具体的には、特許文献1に開示されるホイールは、リム部を構成するフランジ部とドロップ部との間の肉厚部位のタイヤ装着面となる外周面に、空気圧検知センサを嵌着させるための溝が形成されており、この溝に空気圧検知センサがそのセンサ受圧面をタイヤ内に配置した状態で嵌着された構成である。
【0006】
特許文献2に開示されるホイールは、リム部のタイヤ装着範囲内に厚肉部が形成され、この厚肉部のタイヤ装着面と反対側の内周面にセンサ取付け凹部が形成され、このセンサ取付け凹部とタイヤ装着面との間に小孔が穿設されており、センサ取付け凹部に空気圧検知センサが収納されるとともに蓋が捩じ込まれた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−127624号公報
【特許文献2】特開2006−69485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、空気圧検知センサは、自身を作動させるために電池を内蔵しており、電池切れに備えて電池交換を行うことが不可欠である。しかし、前記特許文献1に開示されるホイールでは、空気圧検知センサがリム部の外周面側となるタイヤ内に設置されているため、空気圧検知センサの電池交換の際に、車体からホイールを取り外し、さらにホイールからタイヤを取り外す必要があり、極めて煩雑な作業を強いられる。その上、タイヤの脱着時に、タイヤが空気圧検知センサに接触し、空気圧検知センサが破損するおそれがある。
【0009】
また、特許文献2に開示されるホイールでは、空気圧検知センサの電池交換の際に、ホイールに対してタイヤの脱着作業は不要であるが、空気圧検知センサがディスク部の内面側に設置されている場合は、車体に対してホイールの脱着作業は免れない。さらに、ホイールのリム部にはタイヤの空気圧が常時負荷されるため、長期にわたる走行に伴ってリム部が次第に変形する場合があり、この場合、リム部に捩じ込まれた空気圧検知センサの蓋が抜けなくなり、電池交換を行うことができない。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、空気圧検知センサを備えた自動車用ホイールであって、空気圧検知センサの電池交換を容易かつ確実に行うことができる自動車用ホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記の(a)〜(c)の知見を得た。
【0012】
(a)空気圧検知センサの電池交換の際に、車体に対するホイールの脱着作業およびホイールに対するタイヤの脱着作業を不要とするには、外部に表出しているディスク部の外面側に空気圧検知センサを取り付けることが有効である。ただし、空気圧検知センサをディスク部の外面に直接取り付けた場合、ディスク部そのものが障害物となり、空気圧検知センサから送信された電波の受信感度が低下する。このことから、受信感度を確保するために、ディスク部を貫通する空間内に空気圧検知センサを設置する必要がある。そのためのセンサ設置箇所としては、ディスク部に必須で形成される複数の飾り穴の一つを活用できる。
【0013】
(b)上記(a)に示すように、飾り穴の一つをセンサ取付け穴として活用し、このセンサ取付け穴に空気圧検知センサを取り付ける場合、空気圧検知センサへのタイヤ内の空気の導入は、ホイールのリム部に専用のエアバルブを設置し、このエアバルブと空気圧検知センサを通気管で連結することにより行える。
【0014】
(c)ホイールのディスク部には、走行中に振動が発生する。このため、上記(a)に示すように、空気圧検知センサをディスク部のセンサ取付け穴に取り付ける場合、仮に捩じ込みで取り付けると、その捩じ込み状態が振動によって次第に緩み、空気圧検知センサが脱落するおそれがある。これを防止するため、センサ取付け穴をディスク部の外面側から順に大径穴と小径穴とからなる段付き穴とし、このセンサ取付け穴にディスク部の外面側から空気圧検知センサを嵌合させる。互いに嵌合するセンサ取付け穴の小径穴と空気圧検知センサの小径部との間、およびセンサ取付け穴の大径穴と空気圧検知センサの大径部との間で振動を許容できるからである。さらに、空気圧検知センサの大径部の外周から突片部を突出させ、この突片部をディスク部の外面に接触させつつボルトで締結すれば、空気圧検知センサをディスク部に強固に取り付けることができ、また、ボルトを外すことにより空気圧検知センサの取り外しも容易に行え、電池交換を容易かつ確実に行うことができる。
【0015】
本発明は、上記(a)〜(c)に示す知見に基づいて完成させたものであり、その要旨は、下記に示す自動車用ホイールにある。すなわち、リム部とディスク部とからなり、タイヤの空気圧を検知する空気圧検知センサを備えた自動車用ホイールにおいて、ディスク部に形成される複数の飾り穴のうちの一つが、空気圧検知センサが取り付けられるセンサ取付け穴であり、このセンサ取付け穴は、ディスク部の外面側から順に大径穴と小径穴とからなる段付き穴に形成されており、空気圧検知センサは、センサ取付け穴の小径穴および大径穴にそれぞれ嵌合する小径部および大径部と、大径部の外周から突出しディスク部の外面に接触する突片部とを有し、小径部および大径部がセンサ取付け穴の小径穴および大径穴にそれぞれ嵌合しつつ突片部がディスク部の外面に接触した状態で、突片部がディスク部にボルトで締結されて取り付けられ、リム部に設置されたエアバルブに通気管を介して連結されていることを特徴とする自動車用ホイールである。
【0016】
上記のホイールは、アルミニウム製であることが好ましい。
【0017】
上記のホイールは、前記空気圧検知センサの外郭が硬質樹脂で構成されることが好ましい。
【0018】
上記のホイールは、前記突片部が当該ホイールの周方向に突出する一対からなることが好ましい。
【0019】
上記のホイールは、前記突片部における前記ディスク部の外面との接触面が、前記ディスク部の外面の形状に沿って形成されていることが好ましい。
【0020】
上記のホイールは、前記空気圧検知センサに連結される前記エアバルブが、タイヤに空気を供給するためのエア供給バルブと当該ホイールの中心軸を挟んで対角に設置されていることが好ましい。
【0021】
上記のホイールは、前記センサ取付け穴が、前記空気圧検知センサに連結される前記エアバルブに対向して開口する飾り穴に隣接することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の自動車用ホイールによれば、空気圧検知センサの電池交換を行う際、空気圧検知センサがディスク部の外面側から取り付けられているため、車体からホイールを取り外したり、ホイールからタイヤを取り外したりする煩雑な作業は一切不要であり、外部に表出する空気圧検知センサをディスク部から取り外すことにより、電池交換を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態である自動車用ホイールの一例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】センサ取付け穴への空気圧検知センサの取付け構造を説明する図である。
【図5】空気圧検知センサの外観を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態である自動車用ホイールの一例を示す平面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】図6のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の自動車用ホイールについて、その実施形態を詳述する。
【0025】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態である自動車用ホイールの一例を示す平面図である。図2は、図1のA−A断面図であり、図3は、図1のB−B断面図である。ここで、図1は、ホイールが車体に取り付けられた場合に外部に表出する側、すなわち車体と反対側から見た状態を示し、図2および図3は、左側が車体側で、右側が外部に表出する側となる状態を示している。
【0026】
第1実施形態のホイール1は、サイズが例えば22.5×11.75のホイールであり、トラックやバスやトレーラーなどの大型自動車の後輪として、2本のタイヤを連結してなるダブルタイヤの代わりに、1本の超扁平タイヤを装着してなるスーパーシングルタイヤに用いられるものである。
【0027】
第1実施形態のホイール1は、リム部2のリム幅のほぼ中心にディスク部3を有する。このホイール1は、アルミニウム製であり、鍛造により成形することができる。その他の材質としては、マグネシウムなどの軽合金を採用することができ、成形方法としては、ダイキャストなどの鋳造を採用することも可能である。
【0028】
ディスク部3は、中央にハブ穴4が形成され、ハブ穴4の周囲には複数のボルト穴5が等角度間隔に形成されている。図1では、ボルト穴5が10個形成された態様を示している。ボルト穴5は、タイヤが装着されたホイール1を車体の車軸に固定するのに用いられる。
【0029】
ディスク部3の外縁部には、複数の飾り穴6が等角度間隔に形成されている。図1では、飾り穴6が10個形成された態様を示している。ただし、これらの飾り穴6のうちの一つは、空気圧検知センサ20が取り付けられるセンサ取付け穴10とされる(図2および図3参照)。飾り穴6は、デザイン性のみならず、ホイール1を軽量化するとともに、ホイール1の内側に配設されるブレーキから発生する熱を放熱する役割を担い、ホイール1には必須である。
【0030】
一方、リム部2には、タイヤに空気を供給するためのエア供給バルブ7が設置されている。このエア供給バルブ7は、ディスク部3の外面側(図2では右側)でリム部2を貫通し、その先端が飾り穴6の一つと対向する位置に突出する。
【0031】
また、リム部2には、ホイール1の中心軸を挟んでエア供給バルブ7の対角となる位置に、タイヤ内の空気を空気圧検知センサ20に導入するためのエアバルブ34が設置されている。このエアバルブ34も、エア供給バルブ7と同様に、ディスク部3の外面側(図2では右側)でリム部2を貫通し、その先端が飾り穴6の一つと対向する位置に突出する。この飾り穴6と隣接する飾り穴がセンサ取付け穴10とされる。
【0032】
センサ取付け穴10には、ディスク部3の外面側(図1では紙面の表側、図2および図3では右側)から空気圧検知センサ20が挿入されて取り付けられ、ボルト32によって締結されている。なお、センサ取付け穴10への空気圧検知センサ20の取付け構造の詳細は後述する。
【0033】
空気圧検知センサ20とエアバルブ34は、互いに通気管35を介して連結されている。具体的には、空気圧検知センサ20からは空気導入管24が突出しており、通気管35の一端がその空気導入管24にユニオン継手36によって接続される。一方、通気管35の他端は、エアバルブ34の先端にユニオン継手37によって接続される。ここで、空気圧検知センサ20に接続される側のユニオン継手36は、逆止弁を内蔵している。このため、そのユニオン継手36から空気圧検知センサ20を取り外した状態では、逆止弁が機能し、タイヤ内の空気がエアバルブ34および通気管35を通じて漏出することはない。一方、そのユニオン継手36に空気圧検知センサ20を接続した状態では、空気導入管24により逆止弁のバルブコアが押し込まれて逆止弁が開放し、エアバルブ34から通気管35を経て空気圧検知センサ20までにわたり空気の流通が可能になる。通気管35の材質は、特に限定しないが、銅やステンレス鋼などの金属を採用することができる。
【0034】
図4は、センサ取付け穴への空気圧検知センサの取付け構造を説明する図であり、同図(a)はセンサを取り付けた状態の拡大断面図、同図(b)はセンサを取り外した状態の拡大断面図、および同図(c)はセンサを取り外した状態の拡大平面図をそれぞれ示す。図5は、空気圧検知センサの外観を示す図であり、同図(a)はホイールのディスク部を基準として外面側から見た状態に相当する表面図、同図(b)は裏面図、および同図(c)は側面図をそれぞれ示す。ここで、図4(a)、(b)は、ホイールが車体に取り付けられた場合に左側が車体側で、右側が外部に表出する側となる状態を示し、図4(c)は、外部に表出する側、すなわち車体と反対側から見た状態を示している。
【0035】
図4に示すように、ホイール1のディスク部3に形成されるセンサ取付け穴10は、ディスク部3の外面側(図4(a)、(b)では右側、図4(c)では紙面の表側)から順に大径穴11と小径穴12とからなる段付き穴である。このような段付き穴形状のセンサ取付け穴10は、機械加工によって形成することができる。ホイール1がアルミニウム製であるので、ディスク部3の肉厚はスチール製ホイールと比べて厚く、ディスク部3にセンサ取付け穴10として段付き穴を形成することは可能である。センサ取付け穴10の大径穴11と小径穴12の直径および深さは、ここに取り付けられる空気圧検知センサ20および通気管35を含めて、ホイール1全体のバランスが確保されるように設定することが好ましい。
【0036】
一方、空気圧検知センサ20は、図4(a)および(b)、並びに図5に示すように、その外郭が筐体21と蓋28とから構成される。筐体21は、センサ取付け穴10の小径穴12に嵌合する小径部23と、この小径部23に連続しセンサ取付け穴10の大径穴11に嵌合する大径部22とからなる。筐体21の内部には、感圧素子やICチップや送信アンテナを搭載した基板30、および電池31などが収納されており、小径部23の端部の開口に捩じ込まれた蓋28によって封止されている。蓋28の外面には、図5(b)に示すように、同心円上に3つの小穴29が形成されている。これらの小穴29に三叉の鉤爪工具を挿し込んで回転させることにより、蓋28を脱着することができる。
【0037】
大径部22の端面からは空気導入管24が突出している。この空気導入管24の内穴25は、筐体21の内部に連通している。空気導入管24は、上述の通り、前記図1〜図3に示すエアバルブ34に連結された通気管35に接続される。エアバルブ34、通気管35、および空気導入管24を通じて、タイヤ内の空気を筐体21の内部に導入し、筐体21内の感圧素子によってタイヤ内の空気圧を検知することができる。
【0038】
大径部22の外周からは一対の突片部26が突出している。各突片部26は、空気圧検知センサ20がセンサ取付け穴10に取り付けられた状態で、ホイール1の周方向に突出するように形成され、ディスク部3の外面に接触する。各突片部26におけるディスク部3の外面との接触面は、ディスク部3の外面に沿った形状に形成されていることが好ましい。空気圧検知センサ20の取付け状態が安定するからである。
【0039】
各突片部26にはボルト挿通穴27が形成されている。ディスク部3におけるセンサ取付け穴10の周囲には、各ボルト挿通穴27の形成位置に対応してネジ穴33が形成されている(図4(b)、(c)参照)。空気圧検知センサ20がセンサ取付け穴10に取り付けられた状態で、各ボルト挿通穴27にボルト32を挿通し、さらにネジ穴33に捩じ込むことにより、空気圧検知センサ20をディスク部3に強固に固定するためである。ネジ穴33にはエンザートを用いることが好ましい。ボルト32との締結力を確保するとともに、長期の耐久性を確保することができるからである。
【0040】
筐体21(小径部23および大径部22)は、空気導入管24および突片部26を含め、一体成形品である。これらの筐体21、さらに蓋28の材質としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPPA(ポリフタルアミド)などの硬質樹脂を採用することが好ましい。筐体21の内部の送信アンテナから送信された電波を透過させ、受信感度に悪影響を及ぼさないし、軽量で耐久性にも優れるからである。
【0041】
このような構成のもと、空気圧検知センサ20は、ディスク部3の外部からセンサ取付け穴10に挿入され、小径部23が小径穴12に嵌合するとともに、大径部22が大径穴11に嵌合し、これと同時に突片部26がディスク部3の外面に接触した状態になり、この状態で突片部26がボルト32で締結される。これにより、空気圧検知センサ20がディスク部3のセンサ取付け穴10に強固に固定されて取り付けられる。そして、通気管35などを連結することにより、空気圧検知センサ20を備えたホイール1が得られる。
【0042】
このようなホイール1においては、ディスク部3に必須で形成される複数の飾り穴6の一つをセンサ取付け穴10として活用し、そのディスク部3を貫通するセンサ取付け穴10に空気圧検知センサ20が設置されているため、空気圧検知センサ20から送信された電波の障害物はなく、受信感度を確保することができる。
【0043】
また、走行中にディスク部3に振動が発生する場合であっても、互いに嵌合するセンサ取付け穴10の小径穴12と空気圧検知センサ20の小径部23との間、およびセンサ取付け穴10の大径穴11と空気圧検知センサ20の大径部22との間で振動を許容でき、さらに、空気圧検知センサ20の突片部26がディスク部3の外面に接触しつつボルト32で強固に固定されているため、空気圧検知センサ20が不用意に脱落する事態は生じない。
【0044】
その上、空気圧検知センサ20の電池31を交換する際には、外部に表出しているボルト32を外した後、ディスク部3から空気圧検知センサ20を引き抜いて取り外し、さらに空気圧検知センサ20の蓋28を捩って外すことにより、電池交換を容易かつ確実に行うことができる。その際、空気圧検知センサ20がディスク部3の外面側から取り付けられているため、その取外し作業はすべて外部から行うことができ、車体からホイール1を取り外したり、ホイール1からタイヤを取り外したりする煩雑な作業は一切不要である。
【0045】
2.第2実施形態
図6は、本発明の第2実施形態である自動車用ホイールの一例を示す平面図である。図7は、図6のC−C断面図であり、図8は、図6のD−D断面図である。ここで、図6は、前記図1と同様に、ホイールが車体に取り付けられた場合に外部に表出する側から見た状態を示し、図7および図8は、前記図2および図3と同様に、左側が車体側で、右側が外部に表出する側となる状態を示している。
【0046】
第2実施形態のホイール1は、サイズが例えば22.5×7.50のホイールであり、大型自動車の前輪として通常のシングルタイヤに用いられるものである。ホイールサイズを小さくすれば、小型自動車に適用することもできる。
【0047】
第2実施形態のホイールは、前記図1〜図5に示す第1実施形態のホイールと比較して、シングルタイヤ用にホイール形状が異なる以外に、基本構成は同じである。すなわち、第2実施形態のホイール1は、リム部2の端部にディスク部3を有する。このため、飾り穴6の一つと対向する位置に設置されるエア供給バルブ7は、ディスク部3の近傍でリム部2を貫通し、その先端が飾り穴6内に配置されている。同様に、ホイール1の中心軸を挟んでエア供給バルブ7の対角となる位置に、空気圧検知センサ20に通気管35を介して接続されたエアバルブ34が設置されている。
【0048】
このような第2実施形態のホイール1でも、飾り穴6の一つをセンサ取付け穴10として活用し、このセンサ取付け穴10への空気圧検知センサ20の取付け構造は上述した第1実施形態と同様であることから、前記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0049】
その他、本発明は上記の各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、空気圧検知センサ20の大径部22の外周から突出する突片部26は、一対からなるものに限らず、大径部22の外周全域から突出する鍔状のものでも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の自動車用ホイールは、TPMSを装備するあらゆる自動車に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:ホイール、 2:リム部、 3:ディスク部、 4:ハブ穴、
5:ボルト穴、 6:飾り穴、 7:エア供給バルブ、
10:センサ取付け穴、 11:大径穴、 12:小径穴、
20:空気圧検知センサ、 21:筐体、 22:大径部、 23:小径部、
24:空気導入管、 25:内穴、 26:突片部、 27:ボルト挿通穴、
28:蓋、 29:小穴、 30:基板、 31:電池、
32:ボルト、 33:ネジ穴、 34:エアバルブ、
35:通気管、 36、37:ユニオン継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部とディスク部とからなり、タイヤの空気圧を検知する空気圧検知センサを備えた自動車用ホイールにおいて、
ディスク部に形成される複数の飾り穴のうちの一つが、空気圧検知センサが取り付けられるセンサ取付け穴であり、このセンサ取付け穴は、ディスク部の外面側から順に大径穴と小径穴とからなる段付き穴に形成されており、
空気圧検知センサは、センサ取付け穴の小径穴および大径穴にそれぞれ嵌合する小径部および大径部と、大径部の外周から突出しディスク部の外面に接触する突片部とを有し、小径部および大径部がセンサ取付け穴の小径穴および大径穴にそれぞれ嵌合しつつ突片部がディスク部の外面に接触した状態で、突片部がディスク部にボルトで締結されて取り付けられ、リム部に設置されたエアバルブに通気管を介して連結されていることを特徴とする自動車用ホイール。
【請求項2】
当該ホイールがアルミニウム製であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ホイール。
【請求項3】
前記空気圧検知センサの外郭が硬質樹脂で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用ホイール。
【請求項4】
前記突片部が当該ホイールの周方向に突出する一対からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用ホイール。
【請求項5】
前記突片部における前記ディスク部の外面との接触面が、前記ディスク部の外面の形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用ホイール。
【請求項6】
前記空気圧検知センサに連結される前記エアバルブが、タイヤに空気を供給するためのエア供給バルブと当該ホイールの中心軸を挟んで対角に設置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用ホイール。
【請求項7】
前記センサ取付け穴が、前記空気圧検知センサに連結される前記エアバルブに対向して開口する飾り穴に隣接することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車用ホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−67290(P2013−67290A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207783(P2011−207783)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)