自動車
【課題】 運転席,助手席の頭上スペースを広くすることができ、快適性を向上させる。
【解決手段】 自動車の天井構造は、車両ボデイのルーフパネル1と、このルーフパネル1の下側を覆う樹脂製のルーフトリム2とを備えている。ルーフトリム2は、ルーフパネルの後部領域を覆う第1成形板10と、ルーフパネル1の前部領域を覆う第2成形板20とを有している。第1成形板10はシートをプレス成形することにより得られる。第2成形板20は、発泡樹脂の射出成形体からなる。第1成形体10とルーフパネル1との間隔は比較的大きいが、第2成形体20はルーフパネルに接近して配置されている。
【解決手段】 自動車の天井構造は、車両ボデイのルーフパネル1と、このルーフパネル1の下側を覆う樹脂製のルーフトリム2とを備えている。ルーフトリム2は、ルーフパネルの後部領域を覆う第1成形板10と、ルーフパネル1の前部領域を覆う第2成形板20とを有している。第1成形板10はシートをプレス成形することにより得られる。第2成形板20は、発泡樹脂の射出成形体からなる。第1成形体10とルーフパネル1との間隔は比較的大きいが、第2成形体20はルーフパネルに接近して配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の天井構造は、鋼板からなるルーフパネルの下側を樹脂製のルーフトリムで覆うことにより構成されている。このルーフトリムは、特許文献1に示すように、樹脂シートをプレス成形することにより得られる一枚の成形板で構成するのが一般的である。
【0003】
また、特許文献2には、電装品の装着を工夫するために、ルーフトリムを2つの成形板で構成した天井構造が開示されている。第1成形板は、ルーフパネルの全域を覆い、第2成形板は第1成形板の前端部を覆うように配置されている。
【特許文献1】特開2002−210880号公報
【特許文献2】特許2936848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、ルーフトリムをプレス成形板により構成する場合には、ルーフパネルの形状に沿って深絞り形状にすることができず、ルーフパネルとルーフトリムの間に大きな間隙が形成されてしまう。そのため、乗員とルーフトリムとの間の頭上スペースを広くすることができなかった。特に、運転席,助手席に対応するルーフトリムの前部領域では頭上スペースを広げたいという要求が強いが、これに十分に答えることができなかった。
特許文献2でも同様である。特にルーフトリムの前部領域は第1,第2の成形板が重なっているので、運転席,助手席の頭上スペースを広げたいという要求には全く答えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、車両ボデイのルーフパネルと、このルーフパネルの下側を覆う樹脂製のルーフトリムとを備えた自動車の天井構造において、 上記ルーフトリムは、上記車両ボデイのルーフパネルの後部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第1成形板と、上記ルーフパネルの前部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第2成形板とを備え、上記第2成形板は、上記第1成形板と別体をなすとともに射出成形体からなり、上記ルーフパネルに接近して配置されていることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、第2成形板が射出成形されるので、ルーフパネルの形状に対応して深絞り形状に成形でき、ルーフパネルに接近して配置でき、運転席,助手席の乗員の頭上スペースを広げることができる。第2成形板はルーフパネルに比べて小さいので、比較的小型の射出成形機で成形することができるので、製造コストを抑制することができる。
【0007】
好ましくは、上記第2成形板は発泡樹脂からなる。この構成によれば、第2成形板を軽量にすることができ、自重による垂れ下がりを抑制でき、広い頭上スペースを長期にわたり確保することができる。
【0008】
好ましくは、上記第1成形板はシートをプレス成形することにより得られ、上記第2成形板よりも上記ルーフパネルとの間隔が大きく、第2成形板の後縁部がルーフパネルから離れる方向に延びて上記第1成形板の前縁部に接合する。この構成によれば、第1成形板を安価に製造できる。また、第1,第2の成形板のルーフパネルとの間隔の相違にも拘わらず、第1成形板の前縁部と第2成形板の後縁部との間に間隙が形成されずに済む。
【0009】
好ましくは、上記第2成形板の縁部にはクリップ座が一体をなして形成されており、このクリップ座に取り付けられたクリップを介して第2成形板が上記ルーフパネルに固定されている。この構成によれば、部品点数を少なくして第2成形板をルーフパネルに固定できる。この構成は、第2成形板を射出成形体としたために採用可能となったものである。
【0010】
上記第2成形板は、アクセサリを支持する支持部を一体に形成してなる。これにより、部品点数を少なくしてアクセサリを支持できる。この構成も第2成形板を射出成形体としたために採用可能となったものである。
【0011】
上記支持部がフックを含み、このフックに、上記アクセサリとしてのサンバイザーの軸部が回動可能に嵌められる。
また、上記支持部が、上記アクセサリを収容支持するハウジング部と、アクセサリを支持するボス部の少なくとも一方を含む。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、運転席,助手席の頭上スペースを広くすることができ、快適性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態をなす自動車について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において前後とは、車両の進行方向における前後を意味する。図1,図2に示すように、自動車の天井構造は、鋼板からなる車両ボデイのルーフパネル1と、ルーフパネル1の下側を覆う樹脂製のルーフトリム2とを備えている。
【0014】
ルーフトリム2は、ルーフパネル1の後部領域のみを占める第1成形板10と、ルーフパネルの前部領域のみを占める第2成形板20とを有している。第1成形板10はルーフパネル1の約2/3(半分超)を占め、第2成形板20は残りの約1/3(半分未満)を占めている。したがって、運転席,助手席のシートの真上には、第2成形板20が配置されている。第1成形板10は、通常の自動車と同様にシートをプレス成形することにより得られる。第2成形板20は、発泡樹脂の射出成形体からなる。
【0015】
第1成形板10は、プレス成形により得られるものであり、ルーフパネル1の形状に合わせた深絞り形状にするには限界があるため、図2に示すように、ルーフパネル1との間には間隙3が形成される。これに対して第2成形板20は射出成形により得られるため、ルーフパネル1の形状に合わせて上に凸となるように深絞り形状にすることができる。その結果、第2成形板20は図2,図3に示すようにルーフパネル1に接近して配置され、両者の間の隙間は僅かであるから、頭上スペースを広くすることができる。具体的には第1成形板10,第2成形板20のルーフパネル1との間隙は、約20mm異なり、その分頭上スペースを広くすることができるのである。
【0016】
上記第2成形板20の後縁部21はルーフパネル1から離れる方向に延び、後方に向かうにしたがって下方に進むように傾斜している。この後援部21はさらに略水平に折られており、上記第1成形板10の前縁部と接合することにより、両者の間に間隙が形成されないようになっている。なお、上記第1成形板10の前縁部と第2成形板20の後縁部とは、単に接するだけでもよいし、接着,溶着等の手段で固着してもよい。
【0017】
第2成形板20は、上述したように射出成形体であり、例えば厚さ3〜5mmとなる。しかし、発泡倍率が1.5〜3.0倍の発泡樹脂(材質は例えばPPF)からなり軽量であるので、自重による垂れ下がりを抑制でき、上記の広い頭上スペースを長期にわたって維持できる。
【0018】
次に、上記ルーフトリム2のルーフパネル1への固定構造について説明する。図2,図4に示すように、第1成形板10の後縁部上面には、複数箇所において第1成形板10と別体をなすクリップ座12が溶着または接着により固定されている。このクリップ座12にはクリップ13が取り付けられている。このクリップ13を、ルーフパネル1の後縁部に固定された左右に延びる補強ビーム1aの穴に嵌め込むことにより、第1成形板10がルーフパネル1に固定されている。
【0019】
他方、図2,図5に示すように、第2成形板20の前縁部上面には複数箇所においてクリップ座22が設けられている。このクリップ座22は、第2成形板20の射出成形時に一体に成形される。このクリップ座22は、射出成形する際にキャビティの小さな凹部に樹脂が入り込んで成形されるため、樹脂の発泡が抑えられ、高強度にすることができる。後述するフック25,ボス部26b,28b,ハウジング部27等の支持部についても同様である。
【0020】
上記クリップ座22にはクリップ23が取り付けられている。このクリップ23を、ルーフパネル1の前縁部に固定された左右に延びる補強ビーム1bの穴に嵌め込むことにより、第2成形板20がルーフパネル1に固定されている。
図示しないが、上記第1成形板10,第2成形板20の左右縁部も、ルーフパネル1の左右縁部に固定された前後に延びる補強ビーム1cに、上記と同様のクリップ止めで固定される。
【0021】
図1,図6に示すように上記第2成形板20の前縁部の下面には、運転席,助手席に対応してそれぞれ一対のフック25(支持部)が、射出成形時に第2成形板20と一体に形成されている。フック25は係合部25aを有しており、この係合部25aにサンバイザ30(アクセサリ)の軸部31が着脱可能かつ回動可能に嵌め込まれている。軸部31の外径はフック25の係合部25aの内径より若干大きいため、摩擦力を持って係合部25aに保持される。なお、サンバイザ30をメッシュ化すれば、格納時の頭上スペースをより一層広げることができる。
【0022】
図7に示すように、第2成形板20には、インナーミラー40,ルームランプ50,スイッチ60等のアクセサリも取り付けられている。詳述すると、第2成形板20には貫通穴26aが形成されるとともに、貫通穴26aの前後の上面にはボス部26b(支持部)が一体に形成されている。これらボス部26bにはブラケット41がねじ42で固定されている。このブラケット41は貫通穴26aを通って第2成形板20から下方に突出しており、この突出部にミラー40が回動可能に連結されている。
【0023】
また、第2成形板20にはハウジング部27(支持部)が一体に形成されている。このハウジング部27にはランプ50が図示しない支持金具を介して収容支持されている。ハウジング部27の下端開口には透明カバー51が取り付けられている。
【0024】
さらに、第2成形板20には貫通穴28aが形成されるとともに、貫通穴28aの前後の上面にボス部28b(支持部)が一体に形成されている。これらボス部28bにスイッチ60のフランジ部61がねじ62で固定されている。スイッチ60は貫通穴28aを通って第2成形板20から下方に突出している。
【0025】
上記ボス部26b,28b,ハウジング部27は、第2成形板20の射出成形時に一体に成形されるので、上記ミラー40,ランプ50,スイッチ60の支持構造の部品点数を削減し構造を簡略化することができる。
【0026】
実際の組み立てに際しては、上記第2成形板20に上述した種々のアクセサリを取り付けてモジュール化した後、ルーフパネル1に固定する。これにより、組み立て作業を能率良く行なうことができる。
【0027】
上記サンバイザ30を支持するフック25は、上記実施形態では前方が開口し、サンバイザ30を前方から着脱するようになっているが、図8に示すように、後方が開口し、サンバイザ30を後方から着脱するようにしてもよい。この場合、サンバイザ30を外した後で、トレイ70(アクセサリ)を取り付けることもできる。このトレイ70は、サンバイザと同様に軸部71を有し、フック25に着脱可能に嵌め込むことができる。この嵌め込み状態で、トレイ70の前縁部72が第2成形板20の前縁部に当たることにより時計周り方向の回動が禁じられ、後方に延びる載置部73を略水平に維持できる。
【0028】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様を採用可能である。例えば、運転席,助手席のフロントサンバイザ30のみならず、サイドサンバイザにも図6,または図8のフックによる支持構造を適用してもよい。また、第2成形板にハウジング部を一体成形してミラー40を嵌め込むようにしてもよい。
第1成形板も射出成形体としてもよい。この場合、第1成形体を複数の射出成形体により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態をなす自動車の天井構造の底面図である。
【図2】図1中A−A線に沿う上記天井構造の断面図である。
【図3】図1中B−B線に沿う上記天井構造の断面図である。
【図4】同天井構造の第1成形板の固定部を示す拡大断面図である。
【図5】同天井構造の第2成形板の固定部を示す拡大断面図である。
【図6】図1中C−C線に沿うサンバイザ支持用フックの拡大断面図である。
【図7】図1中D−D線に沿うミラー,ランプ等の支持構造の拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示すサンバイザ支持用フックの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ルーフパネル
2 ルーフトリム
10 第1成形板
20 第2成形板
22 クリップ座
23 クリップ
25 フック(支持部)
26b ボス部(支持部)
27 ハウジング部(支持部)
28b ボス部(支持部)
30 サンバイザ(アクセサリ)
40 ミラー(アクセサリ)
50 ランプ(アクセサリ)
60 スイッチ(アクセサリ)
70 トレイ(アクセサリ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の天井構造は、鋼板からなるルーフパネルの下側を樹脂製のルーフトリムで覆うことにより構成されている。このルーフトリムは、特許文献1に示すように、樹脂シートをプレス成形することにより得られる一枚の成形板で構成するのが一般的である。
【0003】
また、特許文献2には、電装品の装着を工夫するために、ルーフトリムを2つの成形板で構成した天井構造が開示されている。第1成形板は、ルーフパネルの全域を覆い、第2成形板は第1成形板の前端部を覆うように配置されている。
【特許文献1】特開2002−210880号公報
【特許文献2】特許2936848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、ルーフトリムをプレス成形板により構成する場合には、ルーフパネルの形状に沿って深絞り形状にすることができず、ルーフパネルとルーフトリムの間に大きな間隙が形成されてしまう。そのため、乗員とルーフトリムとの間の頭上スペースを広くすることができなかった。特に、運転席,助手席に対応するルーフトリムの前部領域では頭上スペースを広げたいという要求が強いが、これに十分に答えることができなかった。
特許文献2でも同様である。特にルーフトリムの前部領域は第1,第2の成形板が重なっているので、運転席,助手席の頭上スペースを広げたいという要求には全く答えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、車両ボデイのルーフパネルと、このルーフパネルの下側を覆う樹脂製のルーフトリムとを備えた自動車の天井構造において、 上記ルーフトリムは、上記車両ボデイのルーフパネルの後部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第1成形板と、上記ルーフパネルの前部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第2成形板とを備え、上記第2成形板は、上記第1成形板と別体をなすとともに射出成形体からなり、上記ルーフパネルに接近して配置されていることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、第2成形板が射出成形されるので、ルーフパネルの形状に対応して深絞り形状に成形でき、ルーフパネルに接近して配置でき、運転席,助手席の乗員の頭上スペースを広げることができる。第2成形板はルーフパネルに比べて小さいので、比較的小型の射出成形機で成形することができるので、製造コストを抑制することができる。
【0007】
好ましくは、上記第2成形板は発泡樹脂からなる。この構成によれば、第2成形板を軽量にすることができ、自重による垂れ下がりを抑制でき、広い頭上スペースを長期にわたり確保することができる。
【0008】
好ましくは、上記第1成形板はシートをプレス成形することにより得られ、上記第2成形板よりも上記ルーフパネルとの間隔が大きく、第2成形板の後縁部がルーフパネルから離れる方向に延びて上記第1成形板の前縁部に接合する。この構成によれば、第1成形板を安価に製造できる。また、第1,第2の成形板のルーフパネルとの間隔の相違にも拘わらず、第1成形板の前縁部と第2成形板の後縁部との間に間隙が形成されずに済む。
【0009】
好ましくは、上記第2成形板の縁部にはクリップ座が一体をなして形成されており、このクリップ座に取り付けられたクリップを介して第2成形板が上記ルーフパネルに固定されている。この構成によれば、部品点数を少なくして第2成形板をルーフパネルに固定できる。この構成は、第2成形板を射出成形体としたために採用可能となったものである。
【0010】
上記第2成形板は、アクセサリを支持する支持部を一体に形成してなる。これにより、部品点数を少なくしてアクセサリを支持できる。この構成も第2成形板を射出成形体としたために採用可能となったものである。
【0011】
上記支持部がフックを含み、このフックに、上記アクセサリとしてのサンバイザーの軸部が回動可能に嵌められる。
また、上記支持部が、上記アクセサリを収容支持するハウジング部と、アクセサリを支持するボス部の少なくとも一方を含む。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、運転席,助手席の頭上スペースを広くすることができ、快適性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態をなす自動車について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において前後とは、車両の進行方向における前後を意味する。図1,図2に示すように、自動車の天井構造は、鋼板からなる車両ボデイのルーフパネル1と、ルーフパネル1の下側を覆う樹脂製のルーフトリム2とを備えている。
【0014】
ルーフトリム2は、ルーフパネル1の後部領域のみを占める第1成形板10と、ルーフパネルの前部領域のみを占める第2成形板20とを有している。第1成形板10はルーフパネル1の約2/3(半分超)を占め、第2成形板20は残りの約1/3(半分未満)を占めている。したがって、運転席,助手席のシートの真上には、第2成形板20が配置されている。第1成形板10は、通常の自動車と同様にシートをプレス成形することにより得られる。第2成形板20は、発泡樹脂の射出成形体からなる。
【0015】
第1成形板10は、プレス成形により得られるものであり、ルーフパネル1の形状に合わせた深絞り形状にするには限界があるため、図2に示すように、ルーフパネル1との間には間隙3が形成される。これに対して第2成形板20は射出成形により得られるため、ルーフパネル1の形状に合わせて上に凸となるように深絞り形状にすることができる。その結果、第2成形板20は図2,図3に示すようにルーフパネル1に接近して配置され、両者の間の隙間は僅かであるから、頭上スペースを広くすることができる。具体的には第1成形板10,第2成形板20のルーフパネル1との間隙は、約20mm異なり、その分頭上スペースを広くすることができるのである。
【0016】
上記第2成形板20の後縁部21はルーフパネル1から離れる方向に延び、後方に向かうにしたがって下方に進むように傾斜している。この後援部21はさらに略水平に折られており、上記第1成形板10の前縁部と接合することにより、両者の間に間隙が形成されないようになっている。なお、上記第1成形板10の前縁部と第2成形板20の後縁部とは、単に接するだけでもよいし、接着,溶着等の手段で固着してもよい。
【0017】
第2成形板20は、上述したように射出成形体であり、例えば厚さ3〜5mmとなる。しかし、発泡倍率が1.5〜3.0倍の発泡樹脂(材質は例えばPPF)からなり軽量であるので、自重による垂れ下がりを抑制でき、上記の広い頭上スペースを長期にわたって維持できる。
【0018】
次に、上記ルーフトリム2のルーフパネル1への固定構造について説明する。図2,図4に示すように、第1成形板10の後縁部上面には、複数箇所において第1成形板10と別体をなすクリップ座12が溶着または接着により固定されている。このクリップ座12にはクリップ13が取り付けられている。このクリップ13を、ルーフパネル1の後縁部に固定された左右に延びる補強ビーム1aの穴に嵌め込むことにより、第1成形板10がルーフパネル1に固定されている。
【0019】
他方、図2,図5に示すように、第2成形板20の前縁部上面には複数箇所においてクリップ座22が設けられている。このクリップ座22は、第2成形板20の射出成形時に一体に成形される。このクリップ座22は、射出成形する際にキャビティの小さな凹部に樹脂が入り込んで成形されるため、樹脂の発泡が抑えられ、高強度にすることができる。後述するフック25,ボス部26b,28b,ハウジング部27等の支持部についても同様である。
【0020】
上記クリップ座22にはクリップ23が取り付けられている。このクリップ23を、ルーフパネル1の前縁部に固定された左右に延びる補強ビーム1bの穴に嵌め込むことにより、第2成形板20がルーフパネル1に固定されている。
図示しないが、上記第1成形板10,第2成形板20の左右縁部も、ルーフパネル1の左右縁部に固定された前後に延びる補強ビーム1cに、上記と同様のクリップ止めで固定される。
【0021】
図1,図6に示すように上記第2成形板20の前縁部の下面には、運転席,助手席に対応してそれぞれ一対のフック25(支持部)が、射出成形時に第2成形板20と一体に形成されている。フック25は係合部25aを有しており、この係合部25aにサンバイザ30(アクセサリ)の軸部31が着脱可能かつ回動可能に嵌め込まれている。軸部31の外径はフック25の係合部25aの内径より若干大きいため、摩擦力を持って係合部25aに保持される。なお、サンバイザ30をメッシュ化すれば、格納時の頭上スペースをより一層広げることができる。
【0022】
図7に示すように、第2成形板20には、インナーミラー40,ルームランプ50,スイッチ60等のアクセサリも取り付けられている。詳述すると、第2成形板20には貫通穴26aが形成されるとともに、貫通穴26aの前後の上面にはボス部26b(支持部)が一体に形成されている。これらボス部26bにはブラケット41がねじ42で固定されている。このブラケット41は貫通穴26aを通って第2成形板20から下方に突出しており、この突出部にミラー40が回動可能に連結されている。
【0023】
また、第2成形板20にはハウジング部27(支持部)が一体に形成されている。このハウジング部27にはランプ50が図示しない支持金具を介して収容支持されている。ハウジング部27の下端開口には透明カバー51が取り付けられている。
【0024】
さらに、第2成形板20には貫通穴28aが形成されるとともに、貫通穴28aの前後の上面にボス部28b(支持部)が一体に形成されている。これらボス部28bにスイッチ60のフランジ部61がねじ62で固定されている。スイッチ60は貫通穴28aを通って第2成形板20から下方に突出している。
【0025】
上記ボス部26b,28b,ハウジング部27は、第2成形板20の射出成形時に一体に成形されるので、上記ミラー40,ランプ50,スイッチ60の支持構造の部品点数を削減し構造を簡略化することができる。
【0026】
実際の組み立てに際しては、上記第2成形板20に上述した種々のアクセサリを取り付けてモジュール化した後、ルーフパネル1に固定する。これにより、組み立て作業を能率良く行なうことができる。
【0027】
上記サンバイザ30を支持するフック25は、上記実施形態では前方が開口し、サンバイザ30を前方から着脱するようになっているが、図8に示すように、後方が開口し、サンバイザ30を後方から着脱するようにしてもよい。この場合、サンバイザ30を外した後で、トレイ70(アクセサリ)を取り付けることもできる。このトレイ70は、サンバイザと同様に軸部71を有し、フック25に着脱可能に嵌め込むことができる。この嵌め込み状態で、トレイ70の前縁部72が第2成形板20の前縁部に当たることにより時計周り方向の回動が禁じられ、後方に延びる載置部73を略水平に維持できる。
【0028】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様を採用可能である。例えば、運転席,助手席のフロントサンバイザ30のみならず、サイドサンバイザにも図6,または図8のフックによる支持構造を適用してもよい。また、第2成形板にハウジング部を一体成形してミラー40を嵌め込むようにしてもよい。
第1成形板も射出成形体としてもよい。この場合、第1成形体を複数の射出成形体により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態をなす自動車の天井構造の底面図である。
【図2】図1中A−A線に沿う上記天井構造の断面図である。
【図3】図1中B−B線に沿う上記天井構造の断面図である。
【図4】同天井構造の第1成形板の固定部を示す拡大断面図である。
【図5】同天井構造の第2成形板の固定部を示す拡大断面図である。
【図6】図1中C−C線に沿うサンバイザ支持用フックの拡大断面図である。
【図7】図1中D−D線に沿うミラー,ランプ等の支持構造の拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示すサンバイザ支持用フックの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ルーフパネル
2 ルーフトリム
10 第1成形板
20 第2成形板
22 クリップ座
23 クリップ
25 フック(支持部)
26b ボス部(支持部)
27 ハウジング部(支持部)
28b ボス部(支持部)
30 サンバイザ(アクセサリ)
40 ミラー(アクセサリ)
50 ランプ(アクセサリ)
60 スイッチ(アクセサリ)
70 トレイ(アクセサリ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボデイのルーフパネルと、このルーフパネルの下側を覆う樹脂製のルーフトリムとを備えた自動車の天井構造において、
上記ルーフトリムは、上記車両ボデイのルーフパネルの後部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第1成形板と、上記ルーフパネルの前部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第2成形板とを備え、上記第2成形板は、上記第1成形板と別体をなすとともに射出成形体からなり、上記ルーフパネルに接近して配置されていることを特徴とする自動車の天井構造。
【請求項2】
上記第2成形板は、発泡樹脂からなる請求項1に記載の自動車の天井構造。
【請求項3】
上記第1成形板はシートをプレス成形することにより得られ、上記第2成形板よりも上記ルーフパネルとの間隔が大きく、第2成形板の後縁部がルーフパネルから離れる方向に延びて上記第1成形板の前縁部に接合することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の天井構造。
【請求項4】
上記第2成形板の縁部にはクリップ座が一体をなして形成されており、このクリップ座に取り付けられたクリップを介して第2成形板が上記ルーフパネルに固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車の天井構造。
【請求項5】
上記第2成形板は、アクセサリを支持する支持部を一体に形成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の自動車の天井構造。
【請求項6】
上記支持部がフックを含み、このフックに、上記アクセサリとしてのサンバイザーの軸部が回動可能に嵌められることを特徴とする請求項5に記載の自動車の天井構造。
【請求項7】
上記支持部が、上記アクセサリを収容支持するハウジング部と、アクセサリを支持するボス部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載の自動車の天井構造。
【請求項1】
車両ボデイのルーフパネルと、このルーフパネルの下側を覆う樹脂製のルーフトリムとを備えた自動車の天井構造において、
上記ルーフトリムは、上記車両ボデイのルーフパネルの後部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第1成形板と、上記ルーフパネルの前部領域を覆いこのルーフパネルと対峙する第2成形板とを備え、上記第2成形板は、上記第1成形板と別体をなすとともに射出成形体からなり、上記ルーフパネルに接近して配置されていることを特徴とする自動車の天井構造。
【請求項2】
上記第2成形板は、発泡樹脂からなる請求項1に記載の自動車の天井構造。
【請求項3】
上記第1成形板はシートをプレス成形することにより得られ、上記第2成形板よりも上記ルーフパネルとの間隔が大きく、第2成形板の後縁部がルーフパネルから離れる方向に延びて上記第1成形板の前縁部に接合することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の天井構造。
【請求項4】
上記第2成形板の縁部にはクリップ座が一体をなして形成されており、このクリップ座に取り付けられたクリップを介して第2成形板が上記ルーフパネルに固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車の天井構造。
【請求項5】
上記第2成形板は、アクセサリを支持する支持部を一体に形成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の自動車の天井構造。
【請求項6】
上記支持部がフックを含み、このフックに、上記アクセサリとしてのサンバイザーの軸部が回動可能に嵌められることを特徴とする請求項5に記載の自動車の天井構造。
【請求項7】
上記支持部が、上記アクセサリを収容支持するハウジング部と、アクセサリを支持するボス部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載の自動車の天井構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−62389(P2006−62389A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243793(P2004−243793)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
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