説明

自走式脱穀装置

【課題】回収容器に二番物が満杯になった場合、一旦脱穀作業を中断し回収容器を取替えることなく、自動的に二番物を乾燥させることができ、自動的に二番物を脱穀部へ再投入できる自走式脱穀装置を提供する。
【解決手段】穀稈の脱粒を行う脱穀部2と、穀粒と排稈及び屑莢とを選別する選別部3と、前記脱穀部2及び選別部3の下方に設けた走行装置4等を備えた自走式脱穀装置1において、前記脱穀部2の側部に穀稈投入口11を設け、選別部3の前下部に二番物受手段90を配置し、該二番物受手段90の一端側に二番還元搬送手段93の一側を接続し、該二番還元搬送手段93の他側を前記穀稈投入口11近傍に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆などの穀稈を脱粒する自走式脱穀装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置は主に脱穀部と選別部とから成り、大豆などの刈取穀稈は脱穀部に設けられた扱胴などにより脱粒される。そして、脱穀部にて処理された処理物は脱穀部の下方に配設された選別部の揺動選別装置に漏下して選別される。
例えば、特許文献1に示すように、揺動選別装置から落下する処理物のうち、穀粒は一番物として一番コンベアにより搬送されて揚穀装置(穀粒縦搬送シュート)を介して取出口から適宜機体外部へ取り出されて回収される。未脱粒のものや稈屑や排稈などが混じった二番物は唐箕(昇降ファン)から供給される選別風と選別ベルトにより後上方へ搬送され、該選別ベルト後方に設けられた排出口から機体外部へ排出される。前記処理物のうち、転動し難い未脱粒のものや重量の軽い莢屑などが混じった二番物は、排出口から搬送コンベアを介して機体外部へ排出される。一方、重量の大きい未脱粒のものはその自重により二番物回収手段となる回収容器へ流下して回収されるようにした自走式脱穀装置の技術は公知となっている。
【特許文献1】特開2004−337092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に大豆などの二番物には、乾燥が不十分な為に莢の中に穀粒が残っているもの(未脱粒物)が多く存在する。よって、機外に排出される二番物は、袋などの回収容器で回収し、一度乾燥させた後、手作業で脱穀部へと再投入されていた。
このため、回収容器に二番物が満杯になった場合、一旦脱穀作業を中断し回収容器を取替えるので、作業効率が悪くなっていた。
【0004】
つまり、前述したように手作業での二番物の乾燥と脱穀部への再投入という問題点があった。
【0005】
本発明は以上の状況に鑑み、自動的に二番物を乾燥させることができ、自動的に二番物を脱穀部へ再投入できる自走式脱穀装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、穀稈の脱粒を行う脱穀部と、穀粒と排稈及び屑莢とを選別する選別部と、前記脱穀部及び選別部の下方に設けた走行装置等を備えた自走式脱穀装置において、前記脱穀部の側部に穀稈投入口を設け、選別部の前下部に二番物受手段を配置し、該二番物受手段の一端側に二番還元搬送手段の一側を接続し、該二番還元搬送手段の他側を前記穀稈投入口近傍に設けたものである。
【0008】
請求項2においては、前記二番還元搬送手段を、前記選別部と前記一番物排出手段の間に配置したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、脱穀作業を中断して回収した二番物を手動で穀稈投入口まで持ち運ぶ必要がなくなり、二番物の還元工程が付加されることになって、労力を低減することができる。そして、二番物が昇降ファン、選別ファン、セカンドファンからの送風によって乾燥が促進され、脱粒し易くなる。更に、未投入の穀稈と二番物は同時に穀稈投入口より投入されるため、脱穀部でよくもまれ、未脱粒物が脱粒され易くなり、穀粒の回収効率が向上する。
【0011】
請求項2においては、二番還元搬送手段が狭い空間に効率よく配置でき、機体が大きくならず、他の部品と干渉することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る自走式脱穀装置の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく自走式脱穀装置の平面図、図3は同じく自走式脱穀装置の正面図、図4は同じく自走式脱穀装置の内部構造を示す概略側断面図、図5は二番物受手段および二番還元搬送手段の正面断面図、図6は二番還元搬送手段の側面断面図である。
なお、本発明では図1の左右方向を自走式脱穀装置の走行方向(以下、走行方向)とし、矢印A方向を走行方向前方(以下、前方)とする。
【0013】
本発明の一実施例である自走式脱穀装置1について図1から図4を用いて説明する。
自走式脱穀装置1には、主に、脱穀部2、選別部3、走行装置4、操作部5等が備えられている。前記脱穀部2及び選別部3(図4参照)の下方にクローラ式の走行装置4が設けられている。
【0014】
図1、図4に示すように、機体側面(本実施例では左側面)に穀稈投入口11が設けられ、穀稈投入口11より投入した穀稈を脱穀部2へと導く投入口コンベア12が側方(左方)へ突設されている。
また、走行方向前方には排出口13(図2、図4参照)が設けられ、走行方向後方にはエンジン14が搭載されている。図1、図4に示すように前記自走式脱穀装置1の内部には脱穀部2と選別部3とが設けられており、前記脱穀部2及び前記選別部3で脱穀及び選別された穀粒が、走行方向左側面(図1手前側)に設けられた一番物排出手段10である穀粒縦搬送シュート15を通って、ホッパ16に一時貯留され、取出口17より袋などに詰められる構成となっている。
また、前記脱穀部2、選別部3、及び走行装置4の操作を行うために自走式脱穀装置1後部に操作部5が設けられている。
【0015】
操作部5は、前記自走式脱穀装置1の後部に配設され、エンジン14からミッションケースへの駆動伝達の入切を行い走行装置4の駆動・停止を行う駆動・停止手段となるクラッチレバー51、走行装置4の左右それぞれの駆動輪に対し駆動伝達の入切を行い機体の進行方向を切り替える操向操作手段となるサイドクラッチレバー52、脱穀部2及び選別部3の駆動伝達の入切を行い作業のON/OFFを切り替える作業部クラッチレバー53、選別時の状況に応じて前記選別ベルト34の搬送速度を調節する作業変速レバー54などが備えられている。
【0016】
図1から図3に示すように、前記穀稈投入口11の側方に配置する投入口コンベア12の前方及び後方には前作業台65及び後作業台66が設けられている。前記後作業台66は前記穀稈投入口11のある左側面部の後方に設けられており、穀稈の載置量を増加することができ、この後作業台66から投入口コンベア12に載せ替えて穀稈投入口11へ投入することにより、作業を効率よく進めることが可能となっている。後作業台66が不要な場合には、後作業台66を上方に回動させることで収納状態にする、または、後作業台66を取り外すことができる。
【0017】
前記後作業台66は後作業台用支持部材77によって支持されており、該後作業台用支持部材77は自走式脱穀装置1後方下部の後作業台用支持部78によって回動可能に支持されている。また、前記後作業台66は、前記後作業台用支持部材77の上部を中心に上下回動可能に支持されている。
【0018】
前記前作業台65は、下面を前作業台用支持部材71によって支持され、後辺を前記投入口コンベア12と連結具72を介して支持されている。
前記前作業台65と前作業台用支持部材71は着脱可能となっている。前記前作業台用支持部材71は上下伸縮可能となっており、後述する二番還元搬送手段93作動時には、穀稈投入口11よりも高くして、前作業台65が後下方に傾斜するよう構成されている。
また前記前作業台65と投入口コンベア12とを連結する連結具72は前記投入口コンベア12の前部に固定された回動軸73に回動可能に連結されており、前記前作業台65は前記回動軸73を中心に回動可能に投入口コンベア12によって支持されている。
【0019】
また、機体と前作業台65の間には、補助作業台64が前記前作業台65よりも高い位置に配設されており、補助作業台64は機体側から前作業台65側へと下がるように傾斜して設けられている。該補助作業台64の前作業台65近傍側の一端には、帯状の弾性体である誘導体64aが設けられている。該誘導体64aは補助作業台64と前作業台65によって生じる段差(隙間)を埋めるように配設されている。
よって、後述する二番還元搬送装置93を介して排出される二番物は、補助作業台64へと排出され、誘導体64aを経て、前作業台65へと搬送される。つまり、補助作業台64、誘導体64a、前作業台65がそれぞれ傾斜して設けられているので、投入口コンベア12へと二番物がその重量により自然に滑り落ちるように搬送されるように構成されている。
【0020】
前記投入口コンベア12は左右両端に設けられた図示せぬプーリに帯状のベルトを環状に掛け渡して構成されており、投入口コンベア12の右端部が穀稈投入口11に配置され、投入口コンベア12上に穀稈を載せることで、作業時には自動的に穀稈投入口11に搬送されるように構成している。該投入口コンベア12は右端部の図示せぬ駆動軸を中心に投入口コンベア12の左側を上下回動可能に支持されている。
【0021】
次に、脱穀部2について図4を用いて説明する。
前記脱穀部2に形成された扱室21に走行方向と平行に軸架された扱胴22が穀稈投入口11と面するように内設されている。前記扱胴22の周囲には扱歯22aが植設されて回転させることで脱粒が行われると共に、扱胴22下部周囲には受網23が設けられて、一番物や穀稈くず等が漏下するように構成されている。
【0022】
また、前記扱室21の前部には処理後の稈を切断するための切刃24が設けられている。前記切刃24は前記扱胴22の回転する扱歯22aと扱歯22aとの間に位置するように扱室21の扱室カバー内面より扱胴22側に突設しており、扱胴22の回転に合わせて回転している稈を切断するものである。そして、前記受網23の前端下部より、前部が下方に傾斜している複数の棒状部材からなるストローラック25が配設されている。
【0023】
前記選別部3においては、振動板31による揺動選別と選別ファン32による風選別とが行われ、穀粒、屑莢、排稈などの処理物から、穀粒のみが選別される。図4に示すように、前記振動板31は走行方向と平行に揺動可能に配設され、後方が高くなるように傾斜させており、前記扱胴22の下方に配置されている。そして前記振動板31の前端部(傾斜下方側)下面から、複数の棒状部材からなる櫛歯33が突設されており、該櫛歯33は終端部が下方に傾斜するように構成されている。
【0024】
前記振動板31の前端部下方から機体前部のセカンドファン46の上方に配置する排出口13には選別ベルト34が配設されている。前記選別ベルト34は前後両端部に設けたプーリ34a・34aに帯状のベルトを掛け渡して構成されている。
また、前記選別ベルト34の後方には選別ファン32が配設され、該選別ファン32から選別ベルト34上面に向かって選別風が送風される。前記選別ベルト34の後端部は前記振動板31の前端部下方であって、選別ファン32の選別風の出口上方に配置され、前記選別ベルト34が排出口13に向けて、上方に傾斜した状態で配置されている。また、前記選別ベルト34の表面には無数の凹凸が設けてあり、摩擦力を大きくすることにより、屑莢、排稈などを搬送しやすく構成している。また、前記櫛歯33は、前記選別ベルト34の後部側の上面に近接した位置まで延設している。選別ベルト34の後部下方には一番コンベア81が横設されて、選別後の穀粒を左方へ搬送するようにし、該一番コンベア81の左端は後述する昇降ファン45の出口側に臨む構成としている。なお、選別ベルト34の傾斜角度は回転時において、穀粒が自然落下する最低限度の角度としている。
【0025】
穀粒が大豆のように球形状の場合には、前記選別ベルト34は、該選別ベルト34の上面が排出口13に向かって移動するように構成されている。なお、穀粒が蕎麦のように球形状ではない場合には、前記選別ベルト34の上面が排出口13と反対の方向に向かって移動する構成とすることも可能である。
また、前記選別ベルト34、すなわち、プーリ34aを駆動する変速比を無段階で変更できるように構成されており、選別時の状況に応じて処理物の搬送速度を操作部5にて調節できるようにしている。
【0026】
さらに、前記選別ベルト34の前方(排出側)には搬送コンベア40が配設されている。前記搬送コンベア40は、前後両端部に設けたプーリ40a・40aに帯状のベルトを環状に掛け渡して構成されており、後端部が排出口13、つまり選別ベルト34の前端部の下方に配置され、前記自走式脱穀装置1の前部において搬送コンベア40後端部のプーリ40aの駆動軸40bを中心に上下回動自在に支持され、前端部が前方へ延出され、自走式脱穀装置1の使用時には前端部を高くして前上がりに傾斜した状態に配置されて固定される。また、前記搬送コンベア40は搬送速度を変速できるように構成することもできる。さらに、傾斜角度も変更可能に構成することもでき、二番物の選別精度を向上するように構成することもできる。
【0027】
そして、図1、図4に示すように、前記振動板31後端部の下方位置に昇降ファン45が設けられ、該昇降ファン45から、一番物を一番コンベア81出口を経て取出口17まで風力搬送させるための搬送風が送風される。さらに、前記選別ベルト34の下方にはセカンドファン46が配設され、前記選別ベルト34の前端部上方と搬送コンベア40の後端部下方の間に選別風が送風され、選別ベルト34の前端部から落下する未脱粒のものや屑莢、排稈などが混じった二番物を風選別できるようにしている。
【0028】
そして、図4から図6に示すように、選別ベルト34前端部から落下する重量の重い二番物を回収するための二番物受手段90である回収容器91は搬送コンベア40後下部に配設されている。
該回収容器91は上部に配設されている搬送コンベア40と左右幅が略同じ、もしくは若干長く、上面が全面開口され、二番物を回収し易く構成されている。
回収容器91は前後方向下部にいくに従って窄められ、左面下部に設けられた開口部91aに二番物が集まり易くなるよう構成されている。また、回収容器91内下部には左右にスクリュー型のコンベア92が横設されている。該コンベア92の軸であるコンベア軸92bの一端はギア等を介してセカンドファン46の駆動部と接続されている。つまり、セカンドファン46の駆動部が駆動することによって、コンベア92が回転される。コンベア軸92bの他端は後述する二番還元搬送装置93へと突出し、該二番還元搬送装置93下部の内側壁に設けられた軸受によって回転可能に支持されている。また、コンベア軸92bに螺旋状に一体に形成されたコンベア羽92aは回収容器91内部にのみ設けられている。
【0029】
回収容器91の底部には掃除口が設けられ、該掃除口を開口した状態で二番物の残留や、詰り等を取り除くことができるよう構成されている。また、作業時等二番物の搬送中において前記掃除口は閉じられている。
【0030】
回収容器91によって回収された二番物を前作業台65まで搬送するために、二番還元搬送装置93の二番昇降機94は、選別部3の左前方であって、一番物排出手段10(図1参照)である穀粒縦搬送シュート15、ホッパ16等の右方に配設されており、後上がりに傾斜した状態で配置されている。
前記回収容器91の開口部91aは二番昇降機94の右側面下部に設けられた開口部94aと連結されている。一方、二番昇降機94の上部には補助作業台64に向けて吐出口94bが設けられている。
【0031】
二番昇降機94の内部は、前記開口部91aより突出されたコンベア軸92b上に駆動プーリ95aと、二番昇降機94上方に従動プーリ95bが配設されている。前記駆動プーリ95a及び従動プーリ95bに環状に昇降ベルト96が掛け渡されている。つまり、駆動プーリ95aの駆動軸であるコンベア軸92bを中心に、昇降ベルト96が上下回動自在に支持されている。その昇降ベルト96上にはゴム等の硬質弾性体によって形成された複数の搬送板97が所定間隔をあけて固定されている。よって、二番物は搬送板97を介して上後方へ搬送され、吐出口94bより補助作業台64へと排出される。また、二番昇降機94は、上後方へ二番物を搬送できれば、バケット、ベルトコンベアやスクリュー式のコンベアでもよく、その形体は限定されない。
【0032】
また、二番昇降機94の下部左側面には掃除口が設けられ、該掃除口を開口した状態で二番物の残留や詰り等を開口し取り除くことができるよう構成されている。また、二番物の搬送中において前記掃除口は閉じられている。
【0033】
このような構成において、穀稈投入口11から脱穀部2内に投入された穀稈は、前記扱胴22の回転によって脱穀され、一番物や小さな屑莢、排稈などは受網23から漏下する。このように漏下した処理物は振動板31により選別されて、選別ベルト34上に落下する。ここで、穀粒が大豆のように球形状である場合、前記選別ベルト34はベルトの上面が排出口13に向かって前方に移動するように駆動されるが、転動しやすい穀粒は前記選別ベルト34の傾斜に沿って選別ベルト34後端へ転落し、選別部3の下部に設けられた一番コンベア81に集められる。この際、前記選別ベルト34後部には前記櫛歯33が、前記選別ベルト34の上面に近接した位置まで延設されているため、屑莢や排稈は、前記櫛歯33によって堰き止められる。これにより、穀粒のより精度の高い選別が可能となる。
【0034】
また、選別ベルト34下端部より落下した穀粒は、前記一番コンベア81によって前記自走式脱穀装置1の左側面(穀稈投入口11側)に設けた穀粒縦搬送シュート15の下端へと集められ、前記昇降ファン45の風力によって前記穀粒縦搬送シュート15内を通って上方へと搬送され、走行方向に対して自走式脱穀装置1の左側面に配設されたホッパ16内へと集められ、取出口17から袋などに詰められることにより、適宜自走式脱穀装置1の外部へ取り出される。なお、前記取出口17の下方には、袋などを載置するための袋載置台82が設けられている。該袋載置台82は自走式脱穀装置1の左側面において袋載置台用支持部材83を中心に左右方向へ回動自在に支持されている。
前記袋載置台用支持部材83は袋載置台用支持部によって上下方向へ回動自在に支持されている。なお、前記取出口17は通常使う通常時取出口17aと、該通常時取出口17aに連結した袋などが一杯になったときに使用する予備取出口17bとを設けている。
【0035】
一方、前記処理物のうち、選別ベルト34上において転動し難い未脱粒のものや重量の軽い屑莢などが混じった二番物は、選別ベルト34と前記選別ファン32から送風される選別風とにより前上方へ搬送され、該選別ベルト34前方に設けられた排出口13から機体外部へ排出される。そして、これらの排出物は該排出口13の下方位置に後端部を臨ませた搬送コンベア40へと落下する。この際、前記搬送コンベア40は、その上面が前方に向けて移動するように駆動されている。したがって、前記搬送コンベア40へ落下した排出物のうち、重量の大きい未脱粒のものは、その自重により搬送コンベア40の後下方(後端側)に配置した二番物受手段90である回収容器91へ流下する。また、重量の軽い屑莢や排稈などは、前記選別ベルト34から落下する途中で、前記セカンドファン46から送風される選別風と搬送コンベア40とにより前上方に搬送され、機体前方へ放出される。
【0036】
そして、回収容器91へ流下し搬送された二番物は、図5の太矢印に示すように、回収容器91内のコンベア92の回転運動によって、コンベア羽92aにより機体左へと押され、開口部91a・94aを介して二番昇降機94下部へと搬送される。
図5及び図6に示すように、二番昇降機94へと搬送された二番物は、二番昇降機94の下部に溜まり、その下部より回動されている昇降ベルト96上にある搬送板97によって掬い上げられる。該昇降ベルト96の回動により搬送板97上面の二番物は、上部後方へと搬送され、吐出口94b付近で上面であった搬送板97の搬送面が下方を向くことによって、吐出口94bより補助作業台64へと吐出し搬送される。なお、二番昇降機94の構成は限定するものではなく、バケットコンベア等により構成することもできる。
【0037】
その後、二番物は自重により補助作業台64、誘導体64a及び前作業台65のそれぞれの傾斜に従って投入口コンベア12へと移動し、作業中の穀稈と共に穀稈投入口11へと再投入される。
穀稈投入口11へと投入された二番物は、投入前の穀稈と同様の経路を辿り、前記扱胴22の回転によって穀稈と共にもまれ脱穀され前記と同様に処理される。
【0038】
以上のように、穀物の脱粒を行う脱穀部2と、穀粒と排稈及び屑莢とを選別する選別部3と、前記脱穀部2及び選別部3の下方に設けた走行装置4等を備えた自走式脱穀装置1において、前記脱穀部2の側部に穀稈投入口11を設け、前記選別部3の前下部に二番物受手段90である回収容器91を配置し、該回収容器91の一端側に二番還元搬送手段93である二番昇降機94の一側を接続し、該二番昇降機94の他側を前記穀稈投入口11近傍に設けた。
【0039】
このように構成することにより、脱穀作業を中断して回収した二番物を手動で穀稈投入口11まで持ち運ぶ必要がなくなり、二番物の還元工程が付加されることになって、労力を低減することができる。そして、昇降ファン45、選別ファン32、セカンドファン46からの送風によって二番物の乾燥が促進され、二番物は脱粒し易くなる。更に、未投入の穀稈と二番物は同時に穀稈投入口11より投入されるため、脱穀部2でよくもまれ、未脱粒物が脱粒され易くなり、穀粒の回収効率が向上する。
【0040】
また、前記二番還元搬送手段93は、選別部3と一番物排出手段10の間に配置されている。
このように構成することにより、穀粒縦搬送シュート15、ホッパ16等で構成された一番物排出手段10と選別部3との狭い空間に、二番還元搬送手段93を効率よく配置でき、機体が大きくならず、他の部品と干渉することもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例に係る自走式脱穀装置の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく自走式脱穀装置の平面図。
【図3】同じく自走式脱穀装置の正面図。
【図4】同じく自走式脱穀装置の内部構造を示す概略側断面図。
【図5】二番物受手段および二番還元搬送手段の正面断面図。
【図6】二番還元搬送手段の側面断面図。
【符号の説明】
【0042】
1 自走式脱穀装置
2 脱穀部
3 選別部
4 走行装置
10 一番物排出手段
11 穀稈投入口
90 二番物受手段
93 二番還元搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈の脱粒を行う脱穀部と、穀粒と排稈及び屑莢とを選別する選別部と、前記脱穀部及び選別部の下方に設けた走行装置等を備えた自走式脱穀装置において、
前記脱穀部の側部に穀稈投入口を設け、選別部の前下部に二番物受手段を配置し、該二番物受手段の一端側に二番還元搬送手段の一側を接続し、該二番還元搬送手段の他側を前記穀稈投入口近傍に設けたことを特徴とする自走式脱穀装置。
【請求項2】
前記二番還元搬送手段を、前記選別部と前記一番物排出手段の間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の自走式脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−46033(P2010−46033A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214629(P2008−214629)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】